JP5787744B2 - 摺動機構およびロータリ圧縮機およびスクロール圧縮機 - Google Patents

摺動機構およびロータリ圧縮機およびスクロール圧縮機 Download PDF

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Description

この発明は、潤滑油を介して対向する摺動面の耐摩擦特性を向上させる摺動機構およびロータリ圧縮機およびスクロール圧縮機に関するものである。
従来の摺動部を有する機器では効率向上のために、摺動部での摩擦損失を低減することが所望されている。例えば、近年、地球環境に対する意識の高まりから高性能空調機器の需要が増加している。その中でも、空調機器の性能は圧縮機の能力に大きく依存しており、圧縮機の出力向上および効率改善が必須となっている。そして、この圧縮機は密閉容器内に1つもしくは複数の圧縮室を内包する圧縮機構と、これを駆動する電動機とが内蔵されている。そして、圧縮機の効率を改善する方法の1つとして、上記圧縮室を構成する多数の摺動部の摩擦損失を低減する方法が挙げられている。
一般的に、摺動部の摩擦損失を低減する方法として、摺動面の微小な凹凸を平滑化し、面粗度を向上させる方法や、化成処理により摩擦特性に優れたリン酸マンガン皮膜を形成する方法などが知られている。そして、摺動面間に潤滑油を十分に保持できず、油膜が破断して摺動部材相互が接触するような境界潤滑領域での摺動状態が長時間継続すると、凝着やアブレシブ摩耗に至るという問題に対して、従来の摺動部材表面に摺動条件に応じた面積比でくぼみを形成することで、摩擦損失の低減や耐摩耗性を向上させている(例えば、特許文献1参照)。また、他の従来では、キニー型(又は、スイング型)圧縮機を高速回転させた場合の摺動部に摩耗や焼付きが発生するという問題に対して、潤滑油の粘度を変更することなく上記問題を防止するために、対向する摺動部材の少なくとも一方の表面にくぼみや溝等の潤滑油の保持部を設けるものがある(例えば、特許文献2参照)。
特開2011―21597号公報 特開2001―153067号公報
従来の摺動機構は、潤滑油を介して対向する少なくとも一方の摺動面に潤滑油を保持するくぼみを任意の割合で形成するのみで、摩擦損失の低減や耐摩耗性を向上させる効果が小さいという問題点があった。インバーターエアコンの普及により、冷凍サイクル用の圧縮機等では、潤滑油を介した摺動部が油切れによる摩擦損失や摩耗をより発生しやすい境界潤滑領域となる低回転での運転が重要視されている。上記条件で圧縮機を運転した場合、油を十分に保持できず油膜が破断し、摩擦損失や摩耗が発生するという問題点があった。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、潤滑油を介して対向する摺動面の耐摩擦特性を向上させる摺動機構およびロータリ圧縮機およびスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
この発明の摺動機構は、
第1摺動部材と、第2摺動部材とがなす摺動面に潤滑油を介在させた摺動機構において、
上記第1摺動部材および上記第2摺動部材の摺動面には、リン酸マンガン皮膜がそれぞれ形成され、
上記第1摺動部材および上記第2摺動部材の摺動面には、少なくともいずれか一方の上記摺動面上に摺動面積に対する全くぼみの体積の割合が4.4×10−4から7.6×10−4mm/mmとなるようにくぼみ形状及びその面積比を設定した上記潤滑油を保持するくぼみが形成されているものである。
この発明の摺動機構によれば、
潤滑油を介して対向する摺動面の耐摩擦特性を向上させる。
この発明の実施の形態1における摺動機構の構成を示す断面図および第1摺動部材の構成を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1における他の摺動機構の構成を示す図である。 この発明の実施の形態1における他の摺動機構の構成を示す図である。 図1に示した摺動機構のくぼみを作成するためのくぼみ形成装置である。 図4に示したくぼみ形成装置にて形成したくぼみの形成例を示した図である。 図4に示したくぼみ形成装置にて形成したくぼみの断面状態を示した図である。 図4に示したくぼみ形成装置にて形成した各材質におけるくぼみの形成例を示した図である。 この発明の実施の形態1における摺動機構および比較例の摺動機構の摩擦係数の評価を行うためのディスクオンディスク試験機を示した斜視図である。 図8に示したディスクオンディスク試験機における実験条件を示した図である。 図8に示したディスクオンディスク試験機において実験を行った比較例の構成を示した図である。 図10に示した比較例の実験結果を示した図である。 図10に示した比較例の実験結果を示した図である。 図10に示した比較例の実験結果を示した図である。 図10に示した比較例の実験結果を示した図である。 図8に示したディスクオンディスク試験機において実験を行った比較例の構成を示した図である。 図15に示した比較例の実験結果を示した図である。 図15に示した比較例の実験結果を示した図である。 図15に示した比較例の実験結果を示した図である。 図15に示した比較例の実験結果を示した図である。 図15に示した各比較例の実験結果を平均値化した図である。 図8に示したディスクオンディスク試験機において実験を行った実施例および比較例の構成を示した図である。 図21に示した実施例および比較例の実験結果を示した図である。 図21に示した実施例および比較例の実験結果を示した図である。 図21に示した実施例および比較例の実験結果を示した図である。 図21に示した実施例および比較例の実験結果を示した図である。 本発明の実施の形態2における2気筒ロータリ圧縮機の構成を示した図である。 本発明の実施の形態3におけるスクロール圧縮機の構成を示した図である。
実施の形態1.
以下、本願発明の実施の形態について説明する。図1はこの発明の実施の形態1における摺動機構の構成を示す断面図および第1摺動部材の構成を示す斜視図、図2および図3はこの発明の実施の形態1における他の摺動機構の構成を示す図、図4は図1に示した摺動機構のくぼみを作成するためのくぼみ形成装置、図5は図4に示したくぼみ形成装置にて形成したくぼみの形成例を示した図、図6は図4に示したくぼみ形成装置にて形成したくぼみの断面状態を示した図、図7は図4に示したくぼみ形成装置にて形成した各材質におけるくぼみの形成例を示した図である。
図8はこの発明の実施の形態1における摺動機構および比較例の摺動機構の摩擦係数の評価を行うためのディスクオンディスク試験機を示した斜視図、図9は図8に示したディスクオンディスク試験機における実験条件を示した図、図10は図8に示したディスクオンディスク試験機において実験を行った比較例の構成を示した図、図11ないし図14は図10に示した比較例の実験結果を示した図、図15は図8に示したディスクオンディスク試験機において実験を行った比較例の構成を示した図、図16ないし図19は図15に示した比較例の実験結果を示した図、図20は図15に示した各比較例の実験結果を平均値化した図、図21は図8に示したディスクオンディスク試験機において実験を行った実施例および比較例の構成を示した図、図22ないし図25は図21に示した実施例および比較例の実験結果を示した図である。
図1において、摺動機構3は、第1摺動部材3aと第2摺動部材3bとがなす摺動面4に潤滑油5を介在させたものである。そして、第1摺動部材3aおよび第2摺動部材3bの各摺動面4には、リン酸マンガン皮膜2a、2bがそれぞれ形成されている。
第1摺動部材3aの摺動面4には、摺動面積に対する全くぼみの体積の割合が4.4×10−4から7.6×10−4となるようにくぼみ形状及びその面積比を設定したくぼみ1が複数個規則的に形成されている。第1および第2摺動部材3a、3bの各摺動面4には化成処理によりリン酸マンガン皮膜2a、2bが皮膜されている。
図4において、くぼみ形成装置はマシニングセンタ等の加工機(図示なし)に装着されており、加工機の主軸に回転されるマンドレル10と、このマンドレル10に固定された回転フレーム8と、この回転フレーム8に取り付けられているローラー7と、マンドレル10の外周部にベアリング(図示なし)を介して外装となるステム11と、回転フレームに対面するように設けられた固定フレーム9と、この固定フレーム9に上下運動が可能になるよう取り付けられたくぼみ1を形成するための鋼球6と、固定フレーム9をステム11に固定するカバー12から構成されている。
図8において、ディスクオンディスク試験機は、潤滑油50を満たすためのプール18と、プール18の固定台16に固定ピン(図示なし)によって位置決めされた摺動面40を有する第1摺動部材15と、第1摺動部材15と潤滑油50を介して対向する摺動面40を有する第2摺動部材14と、第2摺動部材14を第1摺動部材15に荷重を加えて押付ける主軸17から構成されている。そして、このディスクオンディスク試験機は第1摺動部材15が固定ピンによって位置決めされたプール18が揺動することで、主軸17に荷重を加えられながら固定されている第2摺動部材14と第1摺動部材15が潤滑油50を介して摺動することを可能とし、また、プール18にカバー(図示なし)を取り付けることで潤滑油50の漏れを防止している。尚、ここで言う、第2摺動部材14、第1摺動部材15および摺動面40および潤滑油50とは、実施例および比較例におけるそれぞれの各部分を示すものである。
次に上記のように構成された実施の形態1の摺動機構について説明する。まず、図4に示したくぼみ形成装置によりくぼみを形成する方法について説明する。まず、鋼球6の直径はφ1.0からφ11.0mmの範囲で選定し、鋼球6の押込み量をくぼみ1を形成する摺動面4を基準として、第1および第2摺動部材3a、3bの材質に応じた任意の量だけ押込むことでくぼみ1の径・深さを任意の値で形成することができる。鋼球6の形状を例えば円錐にて形成することで、図2に示すような円錐形状のくぼみ100を形成することができる。また、他の例としては、鋼球6の形状を例えば円柱にて形成することで、図3に示すような円筒形状のくぼみ101を形成することができる。尚、くぼみの形状はこれらに限られることはなく、他の形状であってもよい。また、くぼみは押圧により形成されるものである。
そして、所望のくぼみを形成するために、形成したいパターンでプログラムを作成し、図4に示したくぼみ形成装置を装着するマシニングセンタ等の加工機にプログラムを入力する。このようにすれば、任意のパターンのくぼみを容易に形成することが可能である。この加工方法を使用した条件および結果を図5に示す。くぼみを形成する第1摺動部材のワークとして、圧縮機などの摺動機構にて用いられるFC250(JIS規格)、および、FC250にリン酸マンガン皮膜を皮膜処理(以下、Mn処理)したものを用いた。尚、摺動面上に形成されるくぼみの深さと径とのバラつきを抑えるために、ワークの平面度が2μm以下、面粗度がRz1.0以下のものを使用した。
図5に示すように、くぼみ形成装置のくぼみを形成する鋼球6の直径としてφ3.5mmおよびφ10.3mmのものを使用した。そして、押込み量を21μm〜40μmの範囲としてくぼみの形成実験を行った。尚、図5に示したくぼみの深さおよび直径は、形成されたくぼみ1を押込み量ごとに各4点測定した平均値を示している。図6(a)は鋼球6をφ10.3mmとし、押込み量を25μmとしたときのくぼみの断面形状を示した図で、深さ3.77μm、直径φ530μmにて形成されていることが確認できた。同様に、図6(b)は鋼球6をφ10.3mmとし、押込み量を40μmとしたときのくぼみの断面形状を示した図で、深さ6.42μm、直径φ635μmにて形成されていることが確認できた。
このようにして形成されたくぼみの形成実験の結果について図7を用いて説明する。図7は、先に示した実験後に形成されたくぼみ1の直径を横軸とし、くぼみの深さを縦軸に示したグラフで、鋼球6をφ3.5mmとした場合(FC250のワーク)と、鋼球6をφ10.3mmとした場合(FC250のワークおよびFC250にMn処理を施したワーク)のくぼみの形状をプロットしたものである。φ3.5mmの鋼球6を用いた場合、押込み量を25μm〜35μmと増やすことで、くぼみの深さが約4.0〜6.5μm、直径が約290μm〜360μmの範囲で徐々に増加している。同様にφ10.3mmの鋼球6を用いた場合、押込み量を25μm〜40μmと増やすことで、くぼみの深さが約3.3μm〜6.4μm、直径が約510μm〜649μmの範囲で徐々に増加している。また、FC250の表面より軟らかいMn処理を施したワークでは、ほぼ同じ直径で深さが僅かに深いくぼみが形成された。
以上のことから、このようなくぼみの形成方法により、鋼球6の押込み量や鋼球6のサイズや形状をワークの特性(硬さや降伏応力)に応じて条件をそれぞれ設定することで、くぼみの深さと直径とを、任意の値で形成できる。
次に、このように形成されたくぼみが摩擦係数を低減する効果を、図8に示したディスクオンディスク試験機を用いた実験データにて基づいて説明する。このディスクオンディスク試験機の実験条件は、図9に示すように、揺動半径を2mmとし、より油膜の形成されにくい状態を想定して、潤滑油50としては低粘度油(動粘度:30℃で5.973mm/sec)を用い、周速は低回転時を想定し0.011〜0.63m/secとし、面圧は低負荷時、高負荷時の状態を確認するため0.2〜1.64N/mmと広い範囲に設定した。そして、これに用いた比較例1および比較例2は、ともに第2摺動部材14はFC250のMn処理を施したものを用いる。そして、比較例1は第1摺動部材15にFC250の生材を用い、比較例2は第1摺動部材15にFC250のMn処理品を用いた。
この実験結果を図11ないし図14は摺動試験後の摩擦係数を各面圧ごとにプロットしたグラフで、周速を横軸とし、摩擦係数を縦軸にて示している。各図から明らかなように、周速が微小な場合は、どの面圧でも同じような摩擦係数を示したが、周速を大きくするにつれて、比較例1に比べて、比較例2の摩擦係数が全ての面圧領域で低減している。以上のことから、Mn処理を対向する摺動面の両面に施すことで、大きく摩擦係数を低減する効果が得られることが確認できる。
次に、摺動面積に対する全くぼみの体積の割合が4.4×10−4から7.6×10−4となるようにくぼみ形状及びその面積比を設定したときの摩擦係数の低減効果を確認する実験を行った。この実験条件については上記実験と同様に、どの比較例においても第2摺動部材14はFC250のMn処理品を用い、くぼみは形成しない。そして、比較例3は、第1摺動部材15にFC250の生材を用い、くぼみとしては直径450μm、深さ9.6μm、面積比10%、摺動面積に対する全くぼみの体積の割合を4.1×10−4にて形成した。また、面積比とは、各くぼみの開口面積の合計が、摺動面の面積の何%であるかを示したものである。
比較例4は第1摺動部材15にFC250の生材を用い、くぼみとしては直径500μm、深さ3.5μm、面積比30%、摺動面積に対する全くぼみの体積の割合を4.4×10−4にて形成した。比較例5は第1摺動部材15にFC250の生材を用い、くぼみとしては直径600μm、深さ5.0μm、面積比20%、摺動面積に対する全くぼみの体積の割合を4.9×10−4にて形成した。比較例6は第1摺動部材15にFC250の生材を用い、くぼみとしては直径650μm、深さ5.4μm、面積比20%、摺動面積に対する全くぼみの体積の割合を6.3×10−4にて形成した。比較例7は第1摺動部材15にFC250の生材を用い、くぼみとしては直径450μm、深さ3.0μm、面積比65%、摺動面積に対する全くぼみの体積の割合を7.6×10−4にて形成した。比較例8は第1摺動部材15にFC250の生材を用い、くぼみとしては直径300μm、深さ3.8μm、面積比65%、摺動面積に対する全くぼみの体積の割合を11.1×10−4にて形成した。
この実験結果を図16ないし図19において摺動試験後の摩擦係数を各面圧ごとにプロットしたグラフで、周速を横軸とし、摩擦係数を縦軸にて示している。また、図20は摺動試験後の摩擦係数を各比較例の平均値で示したグラフで、各比較例を横軸に示し、摩擦係数を縦軸に示している。図20から明らかなように、比較例3、7の結果から、摺動面積に対する全くぼみの体積の割合が4.4×10−4から7.6×10−4の領域の範囲外だと、摩擦係数が大きくなっていることが確認できる。このように、摺動面積内の全くぼみで保持する油量が適正な範囲内でないと、摩擦係数を低減する効果が小さかった。この結果により、摺動面に油膜を形成するためには、適正な油量をくぼみで保持する必要があると考えられる。
次に、第1摺動部材および第2摺動部材の摺動面に、リン酸マンガン皮膜がそれぞれ形成され、上記第1摺動部材および上記第2摺動部材の摺動面には、少なくともいずれか一方の上記摺動面上に摺動面積に対する全くぼみの体積の割合が4.4×10−4から7.6×10−4となるようにくぼみ形状及びその面積比を設定したくぼみが形成したときの摩擦係数の低減効果を確認する実験を行った。この実験条件については上記実験と同様に、どの実施例および比較例においても、第2摺動部材14はFC250のMn処理品を用い、くぼみは形成しない。そして、比較例2、6は上記実験と同様である。
比較例8は第1摺動部材15にFC250の生材を用い、くぼみとしては直径300μm、深さ3.8μm、面積比65%にて形成した。比較例9は第1摺動部材15にFC250の生材を用い、くぼみとしては直径300μm、深さ3.8μm、面積比10%を形成した。比較例10は第1摺動部材15にFC250のMn処理品を用い、くぼみとしては直径300μm、深さ3.8μm、面積比10%を形成した。また、実施例1は本実施の形態と一致するもので、実施例1は、第1摺動部材15にFC250のMn処理品を用い、くぼみ1としては直径400μm、深さ9.0μm、面積比15%にて形成した。
この実験結果を図22ないし図25において摺動試験後の摩擦係数を各面圧ごとにプロットしたグラフで、周速を横軸とし、摩擦係数を縦軸にて示している。
比較例8、9の結果より、面圧0.2N/mmのとき、面積比の小さい比較例4での摩擦係数の低減が見られるが、他の面圧では一定の摩擦係数低減効果は得られているものの、その効果は小さい。さらに、面圧が最も高い1.64N/mmにおいては、ほぼその効果は無くなっていた。また、面積比10%以下では、摺動面を形成する粗さと混ざってしまい、くぼみを形成していない状態と同一になってしまい、効果を得ることができないと考えられる。また、面積比65%以上は、くぼみ同士の重なりにより潤滑油の保持が効率的に行われないと考えられる。これらのことより、くぼみの面積比を10〜65%の範囲で形成することにより、摩擦係数低減効果が得られると考えられる。
次に、実施例1は、面圧が最も低い0.2N/mmではその効果があまり確認されなかったものの、油膜が破断しやすい(0.55N/mmよりも)面圧が高い状態で摩擦係数を低減する効果が大きくなった。このことにより、面圧を0.55N/mmよりも大きくすることにより、摩擦係数低減効果をより一層得ることができると考えられる。尚、この面圧は、油膜が破断しない程度の範囲(上限値)の面圧ならば同様に適応できると考えられる。
上記のように構成された実施の形態1の摺動機構によれば、潤滑油を介して対向する摺動面の片側のみのリン酸マンガン皮膜よりも、潤滑油を介して対向する摺動面の両方に化成処理によるリン酸マンガン皮膜を皮膜させることで、油脂との親和性に優れるリン酸マンガン皮膜の効果で潤滑油の保持性が高まり、さらに摺動面(金属面)同士の直接接触を防止できるという効果が得られる。そのため、耐久性を向上することができる。そして、少なくとも一方の摺動面に摺動面積に対する全くぼみの体積の割合が4.4×10−4から7.6×10−4となるようにくぼみ形状及びその面積比を設定することにより、摺動面全域で潤滑油を十分かつ均一に保持することができるので、油膜の形成が促され、特に油膜が破断しやすい高面圧下で摩擦損失を大きく低減することや耐摩耗性の向上が可能となる。
さらに、くぼみを面積比10〜65%の範囲で形成することにより、摺動面の面圧を適切に制御することができるので、摺動面全域で潤滑油をより一層、十分かつ均一に保持することができ、油膜の形成が促され、特に油膜の破断が発生しやすい高面圧下で、摩擦損失や摩耗を大きく低減することができる。
さらに、摺動条件を面圧0.55N/mmよりも大きくすることで、この面圧によりくぼみに保持されている潤滑油の平面部への供給が活発になり、油膜の形成が促され、摩擦損失や摩耗をさらに大きく低減することができる。
また、くぼみを形成する加工方法は、摺動面よりも硬い鋼球を任意の押付け量および間隔で摺動面に押付けることにより、任意の径・深さおよびパターンでくぼみ状のくぼみを容易に形成することができる。尚、上記実施の形態1においては、くぼみ形成装置において、1つの鋼球にて複数のくぼみを形成する例を示したが、これに限られることはなく、複数の鋼球を備えるようにして、複数のくぼみを同時に形成することが可能である。また、くぼみ形成装置の構成はこれに限られることはなく、ワークの形状に応じて変更することが可能である。
また、くぼみは、鋼球を押込むことにより形成しているため、くぼみの表面においてもリン酸マンガン皮膜が残存する。それに比べ、くぼみをショットブラスト方式などのエッチング方式にて形成した場合には、くぼみの表面においてリン酸マンガン皮膜が削れてしまい残存することはほとんど期待できない。よって、このような場合と比較して、リン酸マンガン皮膜の親油性の効果をより一層得ることができる。
実施の形態2.
本実施の形態2においては、冷凍サイクル用の圧縮機の1つである2気筒ロータリ圧縮機における摺動機構について、上記実施の形態1にて示した本願発明の摺動機構を適用する場合について説明する。図26はこの発明の実施の形態2における2気筒ロータリ圧縮機の構成を示す断面図である。
図において、2気筒ロータリ圧縮機は、アッパーシェル28およびロワーシェル29にてなる密閉容器30のロワーシェル29の上部に電動機20を有している。密閉容器30には上部に吐出パイプ19が、下部に吸入パイプ31が形成されている。そして、密閉容器30の下部の軸方向に2つの圧縮要素として、シリンダのUシリンダ24とLシリンダ26とから構成される圧縮機構部がある。この圧縮機構部は、電動機20により駆動される。このように、電動機20のロータに連結された駆動軸であるクランクシャフト21の他端には、圧縮機構部が構成されている。
そして、クランクシャフト21はクランクシャフト21と同心の圧縮室を内周に形成したUシリンダ24およびLシリンダ26を挟んで設置された第1軸受22と第2軸受27とにて支持される。圧縮機構は、クランクシャフト21の偏芯部で駆動されてUシリンダ24およびLシリンダ26の内周面に沿って転動するピストンとしてのローリングピストン23と、このローリングピストン23の外周部にばね(図示なし)で押圧されて圧縮室を高圧室および低圧室に区分するベーン(図示なし)から構成されている。Uシリンダ24およびLシリンダ26の内周面に沿って転動するローリングピストン23を駆動させるクランクシャフト21の偏芯部は180度位相をずらして配置されている。また、Uシリンダ24とLシリンダ26の間には、Uシリンダ24およびLシリンダ26の内周面に形成される圧縮室を密閉し、仕切るための中間プレート25が挿入される。そして、中間プレート25を介して圧縮室を形成しているUシリンダ24やLシリンダ26およびシリンダヘッドを締結するボルトを通す穴が複数個形成されている。
このように形成されている2気筒ロータリ圧縮機に組込まれている潤滑油を介する摺動機構の部分に、上記実施の形態1にて示した摺動機構を適用することができる。この2気筒ロータリ圧縮機におけるローリングピストン23の往復運動による潤滑油を介する摺動機構の箇所の一例としては、Uシリンダ24およびLシリンダ26内のローリングピストン23と摺動する第1軸受22や中間プレート25、第2軸受27などがあり、また、Uシリンダ24とLシリンダ26内のベーン部にも適用可能である。
上記のように構成された実施の形態2の2気筒ロータリ圧縮機に本願発明の摺動機構に適用することで、摺動面全域で潤滑油を十分かつ均一に保持することができる。よって、潤滑油膜の形成が促され、特に潤滑油膜が破断しやすい高面圧下で摩擦損失を大きく低減することや耐摩耗性の向上が可能となり、高効率な2気筒ロータリ圧縮機を提供することができる。
実施の形態3.
本実施の形態3では、冷凍サイクル用の圧縮機の1つであるスクロール圧縮機の摺動機構について、上記実施の形態1にて示した本発明の摺動機構を適用する場合について説明する。図27はこの発明の実施の形態3におけるスクロール圧縮機の構成を示す断面図である。
図において、スクロール圧縮機は、外周部をガイドフレーム32にボルト(図示なし)で固定された固定スクロール33と、固定スクロール33の側面方向(図21において右側)から吸入管34を貫通して圧入させた密閉容器35と、固定スクロール33と板状渦巻歯が相互間に圧縮室36を形成するように噛み合わされた揺動スクロール37と、この揺動スクロール37を軸方向に支持すると共にこの揺動スクロール37を駆動し、電動機38によって回転駆動される主軸39を半径方向に支持するコンプライアントフレーム40とを備えている。そして、このコンプライアントフレーム40のガイドフレーム32に対する軸方向の摺動により揺動スクロール37を軸方向に移動可能としたスクロール圧縮機である。
このように形成されているスクロール圧縮機に組込まれている潤滑油を介する摺動機構の部分に、上記実施の形態1に示した摺動機構を適用することができる。このスクロール圧縮機における揺動スクロールの回転駆動による潤滑油を介する摺動機構の箇所の一例として、揺動スクロール37を軸方向に支持するコンプライアントフレーム40のスラスト軸受部分や、揺動スクロール37と固定スクロール33とで圧縮室を形成している板状渦巻歯の歯先部分などがある。
上記のように構成された実施の形態3のスクロール圧縮機の摺動機構に適用することで、摺動面全域で潤滑油を十分かつ均一に保持することができる。よって、潤滑油膜の形成が促され、特に潤滑油膜が破断しやすい高面圧下で摩擦損失を大きく低減することや耐摩耗性の向上が可能となり、高効率なスクロール圧縮機を提供することができる。
尚、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態において適宜、変形、省略することが可能である。
1,100,101 くぼみ、2a,2b リン酸マンガン皮膜、3 摺動機構、
3a 第1摺動部材、3b 第2摺動部材、4 摺動面、5 潤滑油、6 鋼球、
7 ローラー、8 回転フレーム、9 固定フレーム、10 マンドレル、
11 ステム、12 カバー、14 第2摺動部材、15 第1摺動部材、
16 固定台、17 主軸、18 プール、19 吐出パイプ、20 電動機、
21 クランクシャフト、22 第1軸受、23 ローリングピストン、
24 Uシリンダ、25 中間プレート、26 Lシリンダ、27 第2軸受、
28 アッパーシェル、29 ロワーシェル、30 密閉容器、31 吸入パイプ、
32 ガイドフレーム、33 固定スクロール、34 吸入管、35 密閉容器、
36 圧縮室、37 揺動スクロール、38 電動機、39 主軸、
40 コンプライアントフレーム。

Claims (5)

  1. 第1摺動部材と、第2摺動部材とがなす摺動面に潤滑油を介在させた摺動機構において、
    上記第1摺動部材および上記第2摺動部材の摺動面には、リン酸マンガン皮膜がそれぞれ形成され、
    上記第1摺動部材および上記第2摺動部材の摺動面には、少なくともいずれか一方の上記摺動面上に摺動面積に対する全くぼみの体積の割合が4.4×10−4から7.6×10−4mm/mmとなるようにくぼみ形状及びその面積比を設定した上記潤滑油を保持するくぼみが形成されていることを特徴とする摺動機構。
  2. 上記各くぼみの開口面積の合計は、上記摺動面の面積の10〜65%の範囲にて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の摺動機構。
  3. 上記第1摺動部材および上記第2摺動部材の摺動条件は、面圧が0.55N/mmよりも大きくなることを特徴とした請求項1または請求項2に記載の摺動機構。
  4. シリンダと、
    上記シリンダ内を往復運動するピストンとを有するロータリ圧縮機において、
    、上記ピストンの往復運動による潤滑油を介する摺動機構の箇所に、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の摺動機構を用いることを特徴とするロータリ圧縮機。
  5. 板状渦巻歯を有する固定スクロールと、
    上記固定スクロールの板状渦巻歯と相互間に圧縮室を形成するように噛み合わされた板状渦巻歯を有する揺動スクロールと、
    上記揺動スクロールを回転駆動される主軸とを有するスクロール圧縮機において、
    上記揺動スクロールの回転駆動による潤滑油を介する摺動機構の箇所に、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の摺動機構を用いることを特徴とするスクロール圧縮機。
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