JP5280099B2 - 金属表面の処理方法、及び該処理方法による金属表面を有する摺動部品 - Google Patents

金属表面の処理方法、及び該処理方法による金属表面を有する摺動部品 Download PDF

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Description

本発明は、金属表面の処理方法、及び該処理方法による金属表面を有する摺動部品に関する。より具体的には、自動車用部品のうちの摺動部材の潤滑処理方法、及び該潤滑処理方法により得られる金属表面を有する摺動部品に関する。
近年、車両のエンジン性能の向上に伴い、部品にかかる面圧が飛躍的に上昇しているため、部品の接触面で発生する熱量が大きくなり、潤滑油の早期劣化や材料の軟化による強度の低下が問題となっている。
このように面圧を受けた状態で相互に接触する部材の表面の摩擦係数を低減するには、金属表面同士が直接接触することなく、潤滑油膜を介して接触するようにしておく必要がある。すなわち、潤滑油膜が金属表面に保持されなくなると、金属表面同士が焼き付きを起こしてしまうことになるので、潤滑油が確実に金属表面に保持されるようにする必要がある。そこで、発熱を抑制するための方法として、潤滑油の保持性能の向上による摩擦係数の低減を目的としたリン酸マンガン皮膜処理が開示されている(特許文献1)。かかる文献によれば、金属の表面に微細な凹部を多数形成し、その凹部内に、平均粒径が4〜6μmのリン酸マンガン粒子を含ませつつ金属表面に皮膜層を形成する。これにより、金属表面から皮膜層が欠落しても、凹部内にはリン酸マンガン粒子が保持されるとともに、凹部と凹部以外の表面とを含めた接触面の平滑度を高めることができる。さらに、該粒子相互間に存在する間隙に潤滑油が含浸されるとともに、凹部以外の仕上げ面に形成される微細な凹部内から潤滑油を接触面に常時補給することになり、接触面の摩擦係数を低減し続けることになる。そして、かような4〜6μmという平均粒径の場合にのみ、歯車の歯面のような、面圧を受けて相互に接触する金属表面の潤滑油の保持性能を高めて、接触面の摩擦係数を有意に低減させることができると指摘されている。
特開2005−320604号公報
しかしながら、上記文献での開示に従うと、部品同士の接触面の温度が上昇して材料が軟化することで材料強度が低下し目標強度が達成できないという問題があった。これは、上記文献による、平均粒径4〜6μmのリン酸マンガン粒子を用いて製造されたリン酸マンガン皮膜を車両の摺動部品に用いた場合、上記文献での指摘に反して、摩擦係数が高いことに起因する。
そこで本発明の目的は、摺動部品に求められる十分な強度を有するための金属表面の処理方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、該処理方法による金属表面を有する摺動部品を提供することである。
本発明者が摩擦係数の低減を目的としたリン酸マンガン皮膜処理を詳細に検討したところ、所定のリン酸マンガン皮膜を有する摺動部品であれば、面圧が特にかかる車両用部品に用いても目標強度を達成できることを見出した。該所定のリン酸マンガン皮膜は、ある条件の下で、上記文献における指摘に反して、皮膜処理に用いるリン酸の平均粒径が4μm以下の方が、4〜6μmの場合よりもリン酸マンガン皮膜としての潤滑油の保持効果に優れていることを特徴とする。さらに、前記条件を詳細に詰めることによって本発明を完成させるに至った。
上記目的を達成するための本発明は、相互に面圧を受けた状態で接触する金属表面を処理する金属表面の処理方法である。該処理方法は、以下の工程を含むことを特徴とする。具体的には、まず、金属表面に仕上げ面を形成する。続いて、前記仕上げ面の少なくとも一部に凹部を形成する。続いて、少なくともリン酸マンガンを含む処理液を用いて、前記凹部を含む仕上げ面に、少なくとも0μmを超えて4μm以下の平均粒径を有するリン酸マンガン粒子を含む皮膜層を形成する。続いて、前記皮膜層が形成された前記金属表面同士の摩擦により、前記仕上げ面から前記皮膜層を除去する。続いて、前記金属表面同士の間に潤滑油を注入し、前記凹部内に残留したリン酸マンガン粒子に前記潤滑油を保持させることにより前記金属表面を潤滑する。
上記目的を達成するための本発明の摺動部品は、仕上げ面の少なくとも一部に凹部を有し、前記凹部中に、少なくとも0μmを超えて4μm以下の平均粒径を有するリン酸マンガン粒子を含む金属表面を有する。
上記目的を達成するための本発明の摺動部品は、前記リン酸マンガン粒子に保持された潤滑油を有する、ハイポイド歯車、軸受の転動体若しくは軌道輪、滑り軸受、またはデファレンシャル機構の傘歯車から選択される。
上記目的を達成するための本発明の車両は、前記摺動部品のうち一以上を用いてなる。
本発明によれば、リン酸マンガン皮膜を構成するリン酸マンガン粒子の平均粒径の微細化により摩擦係数が低減し、摺動部品同士の接触面の温度上昇を抑制することができる。これにより摺動部品の高寿命化、エンジン性能の向上、及び摺動部品のサイズアップの抑制が可能となる。
より具体的には、リン酸マンガン粒子の平均粒径の微細化に起因して、凹部内にリン酸マンガン粒子がより緻密に存在することとなる。これにより、歯車の運動の際に潤滑油を一定速度で流出させることができ、歯車の歯面のような、面圧を受けて接触する金属の表面に潤滑油を効果的に保持することができる。したがって、金属表面が相互に直接接触することを防止して、潤滑油膜を介して接触することになり、金属表面の摩擦係数を低減することができる。また、動力を伝達する歯車や軸受などの金属同士の接触面の摩擦係数を低減することにより、摩擦による発熱や音によって失われるエネルギーを低減し、回転部材間の動力伝達効率を向上させることができる。さらには、車両を駆動する動力伝達装置における動力伝達効率を向上させて車両の燃費を向上させることができる。
以下、添付した図面を参照して本発明を適用した最良の実施形態を説明する。
[第1態様]
本発明の第1は、相互に面圧を受けた状態で接触する金属表面を処理する金属表面の処理方法であって、金属表面に仕上げ面を形成する工程と、前記仕上げ面の少なくとも一部に凹部を形成する工程と、リン酸マンガンを含む処理液を用いて、前記凹部を含む仕上げ面に、0μmを超えて4μm以下の平均粒径を有するリン酸マンガン粒子を含む皮膜層を形成する工程と、前記皮膜層が形成された前記金属表面同士の摩擦により、前記仕上げ面から前記皮膜層を除去する工程と、前記金属表面同士の間に潤滑油を注入し、前記凹部内に残留したリン酸マンガン粒子に前記潤滑油を保持させることにより前記金属表面を潤滑する工程とを含む、金属表面の処理方法である。なお、本明細書では、特に言及のない限り、平均粒径は以下の値を意味する。すなわち、走査型電子顕微鏡(SEM)または光学顕微鏡を用いて写真を撮影し、かかる写真上に対角線を2セット引き、各対角線の全長に対する、各対角線上の凹部の合計の長さを計算し、平均を求めることにより得られる値である。図1は、本発明の第1の金属表面の処理方法の工程図である。また、図2は、本発明の第1の金属表面の処理方法における表面の変化を示す断面図である。
(前工程)
図1の(イ)(図2では図示せず)は、本発明の処理方法が、歯車の表面を処理するために用いられる場合に行われる工程(以下、「歯切り加工工程」という)を示す。すなわち、歯車などの摺動部品の金属表面に、本発明によるリン酸マンガン皮膜を施したい場合には、後述する「第1工程」のいわば「前工程」として、あらかじめ金属材料を歯切りしておく必要がある。歯車はホブ盤を用いたホブ切り、あるいはピニオンカッターやラックカッターを用いた歯切りにより切削加工される。ホブ切りはホブと歯車素材との相対運動によって歯車を削り出すようにした創成歯切り法である。ホブは円筒面上にラックの歯形をした切れ刃がねじ状に形成された工具で、このホブの回転とともに一定の比率で歯車素材を回転させ、同時にホブを歯車軸方向に送ることにより歯車の創成歯切りが行われる。歯車のうち歯筋がねじれた曲線となっているハイポイド歯車は、環状カッターを用いた創成歯切りや、円錐ホブを用いた創成歯切りにより歯切り加工される。
歯切り加工された歯車の金属表面(歯面)は、熱処理工程により浸炭処理またはめっき処理が施され、歯車素材の鋼の炭素含有率が増加して、歯面に硬化層またはめっき層が形成される。
浸炭処理には、ガス浸炭法や真空浸炭法などがある。ガス浸炭法の場合、メタンなどの炭素ガス雰囲気で大気圧または加圧下、熱処理を行う。熱処理温度は、例えば、900〜950℃程度である。熱処理時間は、好ましくは240〜360分である。真空浸炭法の場合、減圧度を好ましくは10kPa以下とする。熱処理温度は、980〜1050℃程度である。熱処理時間は、好ましくは120〜180分である。その他、前記浸炭処理として、油中に浸漬させて浸炭させる方法などもありうる。
めっき処理は、従来公知の方法で行うことができる。ここで、めっき処理に用いる単体金属または合金として、後述する金属材料に用いられる単体金属または合金よりも反応性の高いものを用いることが好ましい。
上述の通り、本工程は、歯車の表面処理を対象としている。したがって、例えば、軸受の処理を対象としている場合には、本工程は必須の工程ではない。その意味で、本工程は「任意工程」といえる。
かかる前工程に続き、「第1工程」へと繋げることができる。
(第1工程)
図1の(ロ)及び図2の(P)は、金属材料30に仕上げ面31を形成する工程(以下、「表面仕上げ工程」という)を示す。まず、摺動部品として用いる金属材料30(基材)は、特に限定されず、摺動材料において公知の種々の金属を用いることができる。例えば、鉄、アルミニウム若しくは銅、または鋼若しくはステンレスなどの鉄系合金、あるいは銅系合金若しくはアルミニウム系合金などが挙げられる。ただし、車両用部品など、非常に面圧のかかる摺動部品に用いる金属材料としては、鋼若しくはステンレスなどの鉄系合金、SNC415等のニッケル・クロム系,SNCM420等のニッケル・クロム・モリブデン系,SCr420等のクロム系,SCM418等のクロム・モリブデン系などの機械構造用合金はだ焼鋼を用いることが好ましい。
図1の(ロ)、すなわち表面仕上げ工程では、表面仕上げ、脱脂、水洗及び乾燥が行われる。表面仕上げの方法としては、金属加工の分野における従来公知の方法であれば特に制限されることはない。例えば、ラッピングやホーニング等の研磨加工、またはシェービング等の切削加工などが挙げられる。この表面仕上げにより、本発明により得られる金属表面の摩擦係数を有意に低減させることに繋がる。
脱脂、水洗及び乾燥の方法・条件については、WO2002/075172等に開示されているような従来公知の方法を採用することができる。脱脂処理としては、例えば苛性ソーダ等のアルカリ処理液中に浸漬させる方法が挙げられる。アルカリ処理液の濃度は、好ましくは2〜4質量%であり、より好ましくは2〜3質量%である。アルカリ処理液のpHは、10〜14であることが好ましく、10〜12であることがより好ましい。また、前記浸漬の際の温度は、60〜80℃であることが好ましく、70〜80℃であることがより好ましい。また、浸漬時間は、5〜15分であることが好ましく、10〜15分であることがより好ましい。
脱脂後に水洗処理を行い、金属表面に付着したアルカリを除去する。水洗処理温度は、10〜40℃であることが好ましく、20〜40℃であることがより好ましい。水洗処理時間は、0.5〜2.0分であることが好ましく、1.0〜1.5分であることがより好ましい。その後、乾燥処理を経て本工程は終了する。乾燥処理温度は、80〜150℃であることが好ましく、100〜150℃であることがより好ましい。乾燥処理時間は、5〜20分であることが好ましく、5〜10分であることがより好ましい。
(第2工程)
図1の(ハ)及び図2の(Q)は、仕上げ面31の少なくとも一部に凹部32を形成する工程(以下、「表面調整工程」という)を示す。本工程は、上記特許文献1に開示された方法とほぼ同様の方法で行うことができる。すなわち、ショットピーニング機を用いて、平均粒径50〜800μmの投射材29を仕上げ面31に投射することにより、金属材料30の仕上げ面31に凹部32を形成する。これにより、金属材料30の表面は、投射材29が投射されない仕上げ面31と、投射材29により形成される凹部32とが混在した面となる。凹部32のサイズ(深さ及び幅)は、投射材29の平均粒径及び投射圧を調整することにより、適宜調節することができる。特に、凹部32内には後の工程でリン酸マンガン粒子が入り込み、保持されることとなるため、リン酸マンガン粒子の平均粒径如何によって凹部32のサイズを調節することが好ましい。
投射材29の平均粒径の好ましい範囲などは上述の通りであり、かかる平均粒径の測定方法としては、篩いを用いて選別する方法やマイクロスコープにより観察する方法が挙げられる。前記投射圧については、0.1〜0.5MPaであることが好ましく、0.2〜0.4MPaであることがより好ましい。かような平均粒径及び投射圧によって、凹部32のサイズを上記範囲内とすることができる。そして、このように形成した凹部32の場合、後の工程で、リン酸マンガン粒子が凹部32内で好適かつ緻密に収まるように形成することができる。ひいては、凝集されたリン酸マンガン粒子同士の間の間隙に保持された潤滑油を、歯車などの運動の際に一定速度で流出させることができる。これにより、仕上げ面31に凹部32を無数に形成させることができる。また、歯車などにおけるリン酸マンガン粒子による潤滑油の保持効果を十分に発揮させることができる。さらに、歯車などの運動を継続させても、凹部32内にリン酸マンガン粒子が保持された状態が好適に維持される。
歯切り加工された歯車の金属表面(歯面)は、熱処理工程により浸炭処理またはめっき処理が施され、歯車素材の鋼の炭素含有率が増加して、歯面に硬化層またはめっき層が形成される。特に、前工程を行っていない場合に上記処理を行うことは好適である。浸炭処理やめっき処理の条件などは上記前工程で挙げたものと同様であるため、ここでは省略する。
(第3工程)
図1の(ニ)、並びに図2の(R)及び(S)は、リン酸マンガンを含む処理液を用いて、凹部32を含む仕上げ面31に0μmを超えて4μm以下の平均粒径を有するリン酸マンガン粒子34を含む皮膜層33を形成する工程を示す。以下、該工程を「皮膜層形成工程」という。具体的にいうならば、皮膜層形成工程は、リン酸マンガンを含む処理液の調製段階、並びにリン酸マンガンの投入段階及び化成段階からなる。以下、各段階について順に説明する。
第1段階として、まずリン酸マンガンを含む処理液を調製する。前記処理液はリン酸マンガンを必須に含むことを特徴とする。リン酸マンガン粒子(コロイド)34で構成されるリン酸マンガン皮膜を歯車などの金属表面に形成することにより、金属表面の初期なじみ性が向上しうる。また、同時に、歯車などの運動に伴い発生する熱を抑制し、潤滑油の保持性能の向上による摩擦係数の低減を図ることもできる。
ここで、工業用水など、金属加工の分野で通常使用されるような水を該処理液に用いる場合、本発明における前記処理液はピロリン酸ナトリウムをさらに含むことが好ましい。ピロリン酸ナトリウムを用いる意義について説明する。皮膜層形成工程において、リン酸マンガンからなる皮膜形成粒子はマイナスに帯電することにより、懸濁液中で安定に存在している。しかし、前記工業用水に由来するカルシウム等のプラスイオンが存在すると、マイナス帯電が打ち消されて不安定となり、大きな粒子に会合して本発明による金属表面への皮膜形成の効果が希釈化する。ここで、ピロリン酸ナトリウムを添加すると金属イオン封鎖剤として作用し、マイナス帯電の打ち消しが抑制され、本発明による金属表面への皮膜形成の効果が十分に発揮される。前記処理液中に含まれるリン酸マンガン及びピロリン酸ナトリウムの直径は、リン酸マンガン粒子34の平均粒径と凹部32のサイズとの関係上、共に1〜500nmの範囲内であることが好ましい。前記処理液中に含まれるリン酸マンガンの濃度は、1〜5g/lであることが好ましく、2〜3g/lであることがより好ましく、2.4〜2.7g/lであることがさらに好ましい。また、前記処理液中にピロリン酸ナトリウムが含まれる場合には、前記処理液中のピロリン酸ナトリウムの濃度は、0.5〜2.0g/lであることが好ましい。より好ましくは0.5〜1.5g/lであり、さらに好ましくは0.5〜1.0g/lであり、最も好ましくは0.8〜1.0g/lである。
これに加えて、上記した工業用水などにおける水の硬度(カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの濃度)を以下に示す。まず、カルシウムイオンの濃度は、10〜14.55mg/lであることが好ましく、12〜14mg/lであることがより好ましく、13〜14mg/lであることがさらに好ましい。また、マグネシウムイオンの濃度は、0.5〜1.92mg/lであることが好ましく、1.0〜1.92mg/lであることがより好ましい。
以上のように、リン酸マンガンの濃度、任意に含まれうるピロリン酸ナトリウムの濃度、及び水の硬度がそれぞれ上記した範囲内である場合、後述の通り、リン酸マンガン皮膜におけるリン酸マンガン粒子34の好ましい平均粒径(4μm以下)が常に安定的に得られる。本発明者はかような点を見出したのである。
工業上一般に使用される、上記した工業用水中のカルシウムイオン及びマグネシウムイオンの濃度がそれぞれ、14.55mg/l及び1.92mg/lを超える場合、水の硬度をより軟化させることにより上記範囲内に硬度を調整することが好ましい。水の軟化法としては従来公知の方法を用いることができる。例えば、煮沸法、アルカリ法(水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを使用)、イオン封鎖法(エチレンジアミン四酢酸(エデト酸、EDTA)等の金属イオン封鎖剤を用いて硬度成分を封鎖)、イオン交換法(イオン交換樹脂を使用)等が挙げられる。
前記処理液中に含まれるリン酸マンガンの濃度が上記した範囲内である一方、ピロリン酸ナトリウムの濃度が3.0g/lを超える場合について説明する。かかる場合、ピロリン酸ナトリウムが微細なリン酸マンガン粒子34を溶解する傾向にあり、皮膜層形成効果を妨げる可能性があり、皮膜結晶の粒度が大きくなる。したがって、当業界である薬剤メーカーにおいては、リン酸マンガンとピロリン酸ナトリウムとの建浴量として各3.0g/l以下が推奨されている。そして、建浴直後において、リン酸マンガン皮膜におけるリン酸マンガン粒子34の平均粒径は4.7μmとなる(図3の電子顕微鏡写真を参照)。そして、処理バッチ数の増加に伴うリン酸マンガン濃度の低下により粒子の核が減少し、平均粒径が大きくなることが知られている(図4の電子顕微鏡写真を参照)。上記の知見を基に、本発明者は、後述の実施例で示すように、摺動部品の強度向上を目的としてさらにリン酸マンガン皮膜の平均粒径を微細にする上で、ピロリン酸ナトリウムの濃度に着目した。そして、鋭意検討の結果、上記した範囲(なかでも特に0.5〜1.0g/l)の場合に、摺動部品の強度が顕著に向上することを見出したのである。そして、かかるピロリン酸ナトリウムの濃度において、リン酸マンガン粒子34の平均粒径4μm以下を安定的に得られることも見出した。かかる実証の結果(電子顕微鏡写真)を図5に示す。なお、図5において、リン酸マンガンの濃度(A)は一律3.0g/lで固定し、ピロリン酸ナトリウムの濃度(B)を0.5〜5.0g/lの範囲内で6パターンが存在する。また、図5中、「C」はリン酸マンガン皮膜を構成するリン酸マンガン粒子34の平均粒径を表す。なお、図5に示した試験は、基本的には後述する実施例1に準じた方法・条件により行ったものである。
一方、該処理液に工業用水ではなく超純水を用いることも可能である。本明細書において、「超純水」とは、カルシウムイオンの濃度が0mg/l以下であり、かつ、マグネシウムイオンの濃度が0.04mg/lである、極めて純度の高い水を意味する。該処理液に超純水を用いた場合、上記した工業用水を使用した場合の問題は殆ど生じないといえるため、ピロリン酸ナトリウムの存在は必須ではない。しかし、皮膜層の形成を十全なものとするために、該処理液に超純水を用いたとしてもさらにピロリン酸ナトリウムを添加してもよい。
その後、リン酸マンガンの投入段階において、凹部32を含む仕上げ面31を有する金属材料30を、上記処理液中に浸漬させることにより、リン酸マンガン粒子34を形成させ、リン酸マンガン粒子34で構成される皮膜層33を生成する。すなわち、凹部32を含む仕上げ面31にリン酸マンガン等を投入する。前記浸漬の際の温度は、90〜99℃であることが好ましく、90〜94℃であることがより好ましい。また、浸漬時間は、3〜5分であることが好ましく、4〜5分であることがより好ましい。
続いて、以下、金属材料30が鉄(Fe)である場合であって、前記処理液に鉄を浸漬させた場合の反応、すなわち化成段階について説明する。前記浸漬させた液中では、下記の2種類の化学反応が起こる。
化学式1に示すように、鉄は、化学式2で示される加水分解平衡により存在しているリン酸と反応して塩を形成し(中和反応)、処理液中のリン酸を積極的に減少させる。一方、化学式2で示される加水分解平衡状態は、かかるリン酸の減少・欠乏により崩れ、リン酸第一マンガン(Mn(HPO))から、リン酸(HPO)とリン酸第三マンガン(Mn(PO)とが生成される方向へと傾く。その結果、リン酸第三マンガン(Mn(PO)が蓄積することとなる。
金属(鉄)と溶液(処理液)との境界面ではpHが上昇し続け、やがて、不溶性のリン酸第三マンガンの溶解積を超え、溶解積を超えた時点以降、リン酸マンガンが核形成用の核となって凹部32内にリン酸マンガン粒子(コロイド)34が形成される。また、同時に、仕上げ面31の表面にもリン酸マンガン粒子34の皮膜層33が形成される。その際、凹部32において、リン酸マンガン粒子34の周囲をピロリン酸ナトリウムが覆い、リン酸マンガン粒子34を安定化させることができる。ピロリン酸ナトリウムは、特に処理液として工業用水などを用いた場合に顕著な効果を発揮する。ここで、かかる安定化について詳説すると、表面調整としてのリン酸マンガンは、コロイド状態で存在する。このコロイドは中性域において安定な状態である一方、酸性域及び塩基性域においては不安定な状態である。しかし、ピロリン酸ナトリウムがpH緩衝剤として作用するため、かかる不安定な状態を安定化させることができるのである。また、ピロリン酸ナトリウムがリン酸マンガン粒子34を安定化させるメカニズムについて詳説する。リン酸マンガンコロイド(粒子)は水溶液中でアニオン性の電荷を持つことにより、電気的反発によって沈殿せずに分散している。工業用水中にはカチオン性成分であるカルシウムやマグネシウムが多量に存在しており、かかる場合にはリン酸マンガンコロイドのアニオン性は電気的に中和されて凝集沈殿を起こしてしまい、リン酸マンガンコロイドとしての効果を失ってしまう。この時、ピロリン酸ナトリウムが存在すると、ピロリン酸ナトリウムがカチオン成分を封鎖し、リン酸マンガンコロイドの安定性を維持することができる。また、リン酸マンガンコロイドをより安定化させるために、処理液に用いられる水中のカルシウム及びマグネシウム以外の他の金属の濃度もできるだけ低い方が好ましい。さらに、処理液のpHは中性または弱塩基性が好ましく、数値としては7〜10が好ましく、9.6〜9.9がより好ましい。また、上記特許文献1で指摘されている、リン酸マンガン粒子34の粒径を「4μm以下の小径とすると、粒径が小さ過ぎて潤滑油の保持効果を発揮することができずに接触面の摩擦係数が大きくなった」という点について、本発明者が検討を行った。その結果、保持効果を発揮することができないということはなく、むしろ4μm以下の小径としたことによる摩擦係数の低減効果が大きく、注目すべき点であることを見出した。かかる摩擦係数の有意な低減の効果という観点などからすると、リン酸マンガン粒子34の平均粒径は、1.0〜4.0μmであることが好ましく、1.0〜3.2μmであることがより好ましく、1.8〜2.1μmであることがさらに好ましい。なお、皮膜層33の厚さ「W」は、0.6〜2.4μmであることが好ましく、0.6〜1.9μmであることがより好ましく、0.6〜1.3μmであることがさらに好ましい。かかる範囲内の場合、凹部32をリン酸マンガン粒子34で十分に埋め尽くすことができる。リン酸マンガン厚さの測定は、金属材料を切断し、その切断面のSEM写真により測定した。あるいは、予め金属材料にマスキングテープを貼り付けておき、皮膜形成後にマスキングテープを剥がしてから皮膜の厚さをマイクロメータにより測定してもよい。なお、本明細書におけるリン酸マンガン皮膜の断面膜厚は、表面に塗料を塗り、断面を切断した後、樹脂に埋め込み研磨してマイクロスコープ(JH−7000、キーエンス社製)(倍率500倍)により観察することで測定した。そして、前記「W」は、図2に示す通り、仕上げ面31から皮膜層33の表面までの厚さを意味する。
(第4工程)
図1の(ホ)及び図2の(T)は、皮膜層33が形成された金属表面同士の摩擦により、仕上げ面31から皮膜層33を除去する工程(以下、「皮膜層除去工程」という)を示す。具体的にいえば、皮膜層除去工程は、皮膜層除去段階、水洗段階、湯洗段階及び防錆段階からなる。以下、各段階を順に説明する。
第1段階として、皮膜層除去段階を実行する。皮膜層除去段階では、皮膜層33が形成された金属表面同士の摩擦により、仕上げ面31から皮膜層33を除去する。図2(T)は上述のように皮膜層33がそれぞれ形成された一対の歯車などの金属表面(歯面)を噛み合わせて回転を伝達させることにより、初期なじみを行った後の歯車の金属材料30を示す断面図である。相互に対となる他の歯車などの金属表面(歯面)と噛み合わせて接触させることによって、接触面同士の摩耗により皮膜層33のうち仕上げ面31に付着した部分は消失ないし欠落する。さらに、上述した表面調整工程において微細な平均粒径の投射材29を用いて仕上げ面31の表面調整処理を行うと、一部の凹部32は比較的浅く形成されうる。そして、そのような浅い凹部32内に入り込んだ皮膜層33は、相互に対となる他の歯車の歯面との噛み合い接触により消失ないし欠落することになる。これに対して、上記した範囲内の深さの凹部32内に入り込んだリン酸マンガン粒子34は、凹部32内にほぼ欠落することなく残留する。
初期なじみ処理により仕上げ面31の表面に付着した皮膜層33が消失するのは、以下の理由による。すなわち、歯面同士の接触により皮膜層33が面圧を受けると、面圧により皮膜層33を構成するリン酸マンガン粒子34が仕上げ面31に沿う方向にも弾性変形し、その結果、仕上げ面31から欠落することになるためである。しかし、欠落したリン酸マンガン粒子34の一部はいずれかの凹部32内に付加的に入り込んで凹部32を埋めることになる。同時に、凹部32内に入り込んだリン酸マンガン粒子34は凹部32の外径が小さいことから、凹部32内から欠落することが防止される。また、本発明で用いるリン酸マンガン粒子34は平均粒径が4μm以下と非常に小さいため、凝集効果が大きく、凹部32のサイズをかかる平均粒径に合わせて調整することにより、凹部32内からの欠落は殆ど起こらなくなる。
さらに、水洗段階、湯洗段階及び防錆段階を行う。水洗段階における水洗処理温度は、10〜40℃であることが好ましく、20〜40℃であることがより好ましい。水洗処理時間は、0.5〜2.0分であることが好ましく、0.5〜1.0分であることがより好ましい。続く湯洗段階における湯洗処理温度は、70〜99℃であることが好ましく、80〜99℃であることがより好ましい。湯洗処理時間は、0.5〜5.0分であることが好ましく、1.0〜5.0分であることがより好ましい。その後、乾燥処理を施した上で防錆段階を行い、本工程は終了する。乾燥処理として、乾燥処理温度は、100〜150℃であることが好ましく、100〜120℃であることがより好ましい。乾燥処理時間は、5〜30分であることが好ましく、5〜20分であることがより好ましい。防錆処理は、金属材料30のうち、仕上げ面31に相当する摺動面以外の面について行う。これらの面には潤滑油が注入されないからである。塗装・ライニング等の被膜処理、亜鉛メッキ等のメッキ処理などがありうる。防錆の目的は,歯車を組み立てて潤滑油を注入するまでの間の錆の発生を抑えるためである。
(第5工程)
図1の(ヘ)は、前記金属表面同士の間に潤滑油を注入し、前記凹部内に残留したリン酸マンガン粒子34に前記潤滑油を保持させることにより前記金属表面を潤滑する工程(以下、「潤滑処理工程」という)を示す。仕上げ面31から初期なじみにより皮膜層33が消失された状態の一対の金属表面に潤滑油を供給すると、供給された潤滑油は凹部32内に入り込んだリン酸マンガン粒子34中の間隙に含浸される。また、同時に、露出した仕上げ面31の微細な表面荒れの中にも入り込むことになり、結果的に金属表面を潤滑することになる。なお、潤滑油としては、摺動部品の用途に応じて、適宜従来公知のものが使用できる。
上述のようにリン酸マンガン粒子34の平均粒径を微細化することにより、凝集してなるリン酸マンガン粒子34同士が緻密に存在することに起因して、本発明では、凹部32内において、リン酸マンガン粒子34が従来技術と比較して、より緻密に存在することとなる。これにより、歯車の運動の際に摺動の相手側の金属表面に流れる潤滑油量をより多く確保することができ、摺動による温度上昇を防止することができる。また、従来であれば、経時的に潤滑油が不足するような摺動面での運動状態であっても、本発明による金属表面は潤滑油を多く保持しており、一定速度で長持間流出させ続けることができるので、金属接触を有効に防止することができる。すなわち、歯車の歯面のように面圧を受けて接触する金属の表面中の凹部32に、潤滑油を効果的に保持することができる。したがって、金属表面が相互に直接接触することを防止し、潤滑油膜を介して接触することになり、金属表面の摩擦係数を低減することができる。
[第2態様]
本発明の第2は、仕上げ面の少なくとも一部に凹部を有し、前記凹部中に、0μmを超えて4μm以下の平均粒径を有するリン酸マンガン粒子34を含む金属表面を有する摺動部品である。また、上記第1態様で説明した通り、リン酸マンガン粒子34を生成する際の処理液に、金属加工の分野で通常使用されるような水(工業用水など)を用いる場合には、前記処理液にさらにピロリン酸ナトリウムを含ませることが好ましい。すなわち、かかる場合には、得られる摺動部品における金属表面にはピロリン酸ナトリウムがさらに含まれる。なお、「仕上げ面」、「凹部」、「平均粒径」、「リン酸マンガン粒子」及び「ピロリン酸ナトリウム」などについては、上記第1態様で説明した内容と同様であるため、ここでは説明を省略する。
[第3態様]
本発明の第3は、上記第2態様の摺動部品であって、リン酸マンガン粒子34に保持された潤滑油を有し、ハイポイド歯車、軸受の転動体若しくは軌道輪、滑り軸受、またはデファレンシャル機構の傘歯車から選択される摺動部品である。本発明の摺動部品によれば、上述の通り、金属表面の摩擦係数を低減することができる。動力を伝達する歯車や軸受などの金属同士の接触面の摩擦係数を低減することによって、摩擦による発熱や音によって失われるエネルギーを低減し、部品同士の接触面の温度上昇を抑制することができ、回転部材間の動力伝達効率を向上させることができる。ひいては、摺動部品の高寿命化を達成できる。
[第4態様]
本発明の第4は、上記第3態様の摺動部品のうち一以上を用いてなる車両である。本発明の車両によれば、上述の通り、車両を駆動する動力伝達装置における動力伝達効率を向上させて、車両の燃費を向上させることができる。また、部品同士の接触面の温度上昇を抑制することができることに起因して、エンジン性能の向上、より具体的にはエンジントルクの上昇が図れ、さらに、オイルクーラーの設置が不要となるため、部品のサイズアップの抑制が可能となる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、下記実施例により本発明が限定されることはない。
[リン酸マンガン粒子(PF−M5)の結晶粒径と摩擦係数との関係]
<実施例1>
(前工程:歯切り加工工程)
摺動部品として歯車を製造した。摺動部品として用いる金属材料(基材)に鋼を用いた。まず、歯切り盤により歯切り加工を行った。歯切り加工された歯車の金属表面(歯面)は、炭素ガス雰囲気でのガス浸炭処理を施し、歯面に硬化層を形成させた。熱処理温度は940℃であり、熱処理時間は360分であった。
(第1工程:表面仕上げ工程)
ラッピング法によって表面仕上げを行い、仕上げ後の金属材料の表面粗さは、1μmRaであった。脱脂処理として、3質量%アルカリ処理液(pH:12)中に浸漬させた。前記浸漬の際の温度は70℃であり、時間は10分であった。脱脂後に水洗処理を行い、金属表面に付着したアルカリを除去した。水洗処理温度は30℃であり、水洗処理時間は1.0分であった。その後乾燥処理を行った。乾燥処理温度は120℃であり、乾燥処理時間は10分であった。
(第2工程:表面調整工程)
ショットピーニング機(新東工業社製)を用いて、材料を鋼球とする、平均粒径0.6mmの投射材を仕上げ面に投射することにより、金属材料の仕上げ面に凹部を形成した。
(第3工程:皮膜層形成工程)
リン酸マンガン系化成処理薬剤(パルホスM5、日本パーカライジング(株)製)を用いて、処理液の調製を行った。直径1〜500nm程度のリン酸マンガンを含むA剤(リン酸マンガンの含有率は80〜90%)、及び直径1〜500nm程度のピロリン酸ナトリウムを含むB剤(ピロリン酸ナトリウムの含有率は100%)を用意した。そして、A剤及びB剤を用いて、2.7g/lの前記リン酸マンガン(A)、0.5g/lの前記ピロリン酸ナトリウム(B)、及び工業用水からなる処理液を調製した。前記工業用水の成分としては、カルシウムイオンの濃度が14.55mg/l、マグネシウムイオンの濃度が1.92mg/l、塩素イオンの濃度が3.958mg/l、硫酸イオンの濃度が12.634mg/l、電気伝導度が110.4μS/m、及びpHが9.6であった。
その後、リン酸マンガンの投入段階において、凹部を含む仕上げ面を有する金属材料を、上記処理液中に浸漬させることにより、平均粒径2.1μm(C)のリン酸マンガン粒子を形成させて、リン酸マンガン粒子で構成される皮膜層を形成した。
続いて化成段階へと移行した。前記浸漬させた液中で、リン酸第三マンガン(Mn(PO)を上述の反応系により蓄積させた。なお、前記浸漬の際の温度は90℃であり、浸漬時間は5分であった。処理液のpHは2.20であった。また、皮膜層の厚さ(W)は1.3μmであった。
(第4工程:皮膜層除去工程)
続いて、皮膜層除去工程(第4工程)の第1段階として、皮膜層除去段階を実行した。皮膜層除去段階では、皮膜層が形成された金属表面同士を摩擦させることにより、仕上げ面から皮膜層を除去した。
さらに、水洗段階、湯洗段階及び防錆段階を行った。水洗段階における水洗処理温度は20℃であり、水洗処理時間は1.0分であり、続く湯洗段階における湯洗処理温度は90℃であり、湯洗処理時間は3分であった。その後、乾燥処理を施した上で防錆段階を行った。乾燥処理として、乾燥処理温度は110℃であり、乾燥処理時間は15分であった。防錆処理として、塗装を施した。
(第5工程)
続いて、前記金属表面同士の間に潤滑油を注入し、前記凹部内に残留したリン酸マンガン粒子に前記潤滑油を保持させることにより前記金属表面を潤滑する工程を行った。なお、潤滑油として、オートマチックトランスミッション用の日産自動車純正ATF・マチックフルードDを使用した。
(摩擦磨耗試験)
以下の表1に示す条件、及び図6に示す試験機を用いて試験を行った。
上記試験の結果を、リン酸マンガン粒子(PF−M5)の結晶粒径と摩擦係数との関係の観点より、図7に示す。
<実施例2>
第3工程以外の各工程及び摩擦磨耗試験は、実施例1と同様に実施した。
(第3工程:皮膜層形成工程)
処理液の調製を行った。A剤及びB剤を用いて、2.7g/lのリン酸マンガン(A)、2.0g/lのピロリン酸ナトリウム(B)、及び工業用水からなる処理液を調製した。処理液のpHは9.90であった。前記工業用水は実施例1と同一のものを使用した。
その後、リン酸マンガンの投入段階において、凹部を含む仕上げ面を有する金属材料を、上記処理液中に浸漬させることにより、平均粒径4.0μm(C)のリン酸マンガン粒子を形成させて、リン酸マンガン粒子で構成される皮膜層を形成した。
続いて化成段階へと移行した。前記浸漬させた液中で、リン酸第三マンガン(Mn(PO)を上述の反応系により蓄積させた。なお、前記浸漬の際の温度は90℃であり、時間は5分であった。処理液のpHは2.20であった。また、皮膜層の厚さ(W)は2.4μmであった。
上記摩擦磨耗試験の結果を、リン酸マンガン粒子(PF−M5)の結晶粒径と摩擦係数との関係の観点より、図7に示す。
<比較例1>
第3工程以外の各工程、及び摩擦磨耗試験は、実施例1と同様に実施した。
(第3工程:皮膜層形成工程)
処理液の調製を行った。A剤及びB剤を用いて、2.7g/lのリン酸マンガン(A)、3.0g/lのピロリン酸ナトリウム(B)、及び工業用水からなる処理液を調製した。処理液のpHは10.0であった。前記工業用水は実施例1と同一のものを使用した。
その後、リン酸マンガンの投入段階において、凹部を含む仕上げ面を有する金属材料を、上記処理液中に浸漬させることにより、平均粒径4.7μm(C)のリン酸マンガン粒子を形成させて、リン酸マンガン粒子で構成される皮膜層を形成した。
続いて化成段階へと移行した。前記浸漬させた液中で、リン酸第三マンガン(Mn(PO)を上述の反応系により蓄積させた。なお、前記浸漬の際の温度は90℃であり、時間は5分であった。処理液のpHは2.20であった。また、皮膜層の厚さ(W)は2.8μmであった。
上記摩擦磨耗試験の結果を、リン酸マンガン粒子(PF−M5)の結晶粒径と摩擦係数との関係の観点より、図7に示す。
<比較例2>
第3工程以外の各工程、及び摩擦磨耗試験は、実施例1と同様に実施した。
(第3工程:皮膜層形成工程)
処理液の調製を行った。A剤及びB剤を用いて、2.7g/lのリン酸マンガン(A)、4.0g/lのピロリン酸ナトリウム(B)、及び工業用水からなる処理液を調製した。処理液のpHは10.0であった。前記工業用水は実施例1と同一のものを使用した。
その後、リン酸マンガンの投入段階において、凹部を含む仕上げ面を有する金属材料を、上記処理液中に浸漬させることにより、平均粒径5.5μm(C)のリン酸マンガン粒子を形成させて、リン酸マンガン粒子で構成される皮膜層を形成した。
続いて化成段階へと移行した。前記浸漬させた液中で、リン酸第三マンガン(Mn(PO)を上述の反応系により蓄積させた。なお、前記浸漬の際の温度は90℃であり、時間は5分であった。処理液のpHは2.20であった。また、皮膜層の厚さ(W)は3.3μmであった。
上記摩擦磨耗試験の結果を、リン酸マンガン粒子(PF−M5)の結晶粒径と摩擦係数との関係の観点より、図7に示す。
<比較例3>
第3工程以外の各工程及び摩擦磨耗試験は、実施例1と同様に実施した。
(第3工程:皮膜層形成工程)
処理液の調製を行った。A剤及びB剤を用いて、2.7g/lのリン酸マンガン(A)、5.0g/lのピロリン酸ナトリウム(B)、及び工業用水からなる処理液を調製した。処理液のpHは10.1であった。前記工業用水は実施例1と同一のものを使用した。
その後、リン酸マンガンの投入段階において、凹部を含む仕上げ面を有する金属材料を、上記処理液中に浸漬させることにより、平均粒径8.9μm(C)のリン酸マンガン粒子を形成させて、リン酸マンガン粒子で構成される皮膜層を形成した。
続いて化成段階へと移行した。前記浸漬させた液中で、リン酸第三マンガン(Mn(PO)を上述の反応系により蓄積させた。なお、前記浸漬の際の温度は90℃であり、時間は5分であった。処理液のpHは2.20であった。また、皮膜層の厚さ(W)は5.3μmであった。
上記摩擦磨耗試験の結果を、リン酸マンガン粒子(PF−M5)の結晶粒径と摩擦係数との関係の観点より、図7に示す。
図7を見ると、同じ荷重をかけた場合に、上記実施例1及び2、並びに比較例1〜3の結果より、リン酸マンガン粒子の平均粒径が2.1μm(実施例1)及び4.0μm(実施例2)では、その他と比較して有意に摩擦係数が低いことは明らかである。なかでも特に、荷重が小さいほど摩擦係数の差異は顕著である。図6で示される試験は、オイル中で試験を行っているが、図7より、荷重が100kgfを超えると、試験片のうちの接触面に外部からオイルが侵入できなくなり、接触面内に存在する凹部内のオイル保持能力を測ることができることが分かる。
一方、荷重が大きくなり、やがて、荷重が500kgf、またはトルク値が10kgf/cmに達した段階で、試験は中断・終了する。すなわち、図7において試験が中断した時点を見ると、潤滑油が不足し、摺動面が焼き付けを起こして、トルク値が10kgf/cmに達したものといえる。したがって、特に実施例1では、荷重が500kgfに達した時点でもなお、トルク値が10kgf/cmに達しなかったことが分かる。これは、500kgfという非常に大きな荷重が面圧としてかかっても、摺動面はなお潤滑油膜を保持し続け、焼き付けを起こさないことを意味する。このように、リン酸マンガン粒子の平均粒径が4.0μm以下の場合、摺動部品(金属部品)の表面に形成されるリン酸マンガン皮膜に起因して摩擦係数を有意に低減させることができ、部品同士の接触面の温度上昇を抑制することができ、これにより摺動部品の高寿命化及びエンジン性能の向上や部品のサイズアップの抑制が可能となりうる。
(ピロリン酸ナトリウムの濃度とリン酸マンガンの粒径との関係)
上記実施例1及び2、並びに比較例1〜3について、SEMかかる実証の結果(電子顕微鏡写真)を図8に示す。図8において、Aはリン酸マンガンの濃度、Bはピロリン酸ナトリウムの濃度、Cはリン酸マンガン皮膜を構成するリン酸マンガン粒子の平均粒径を表す。図8の結果より、リン酸マンガンの濃度が2.7g/lの場合、ピロリン酸ナトリウムの濃度が2.0g/l以下である場合(特に、1.0〜2.0g/lの場合)、リン酸マンガン皮膜の平均粒径を効果的に微細化することができ、摺動部品の強度が顕著に向上することを見出した。併せて、上記範囲内のピロリン酸ナトリウムの濃度において、リン酸マンガン粒子34の平均粒径4μm以下を安定的に得られることも見出した。
[リン酸マンガン皮膜の粒径と部品寿命との関係]
<実施例3>
第3工程以外の各工程は、実施例1と同様に実施した。
(第3工程:皮膜層形成工程)
処理液の調製を行った。A剤及びB剤を用いて、2.7g/lのリン酸マンガン(A)、1.0g/lのピロリン酸ナトリウム(B)、及び工業用水からなる処理液を調製した(pH9.6)。前記工業用水は実施例1と同一のものを使用した。
その後、リン酸マンガンの投入段階において、凹部を含む仕上げ面を有する金属材料を、上記処理液中に浸漬させることにより、平均粒径1.8μm(C)のリン酸マンガン粒子を形成させて、リン酸マンガン粒子で構成される皮膜層を形成した。
続いて化成段階へと移行した。前記浸漬させた液中で、リン酸第三マンガン(Mn(PO)を上述の反応系により蓄積させた。なお、前記浸漬の際の温度は90℃であり、時間は5分であった。処理液のpHは2.20であった。また、皮膜層の厚さ(W)は1.1μmであった。
<実施例4>
第3工程以外の各工程は、実施例1と同様に実施した。
(第3工程:皮膜層形成工程)
処理液の調製を行った。A剤及びB剤を用いて、2.7g/lのリン酸マンガン(A)、1.5g/lのピロリン酸ナトリウム(B)、及び工業用水からなる処理液を調製した(pH9.8)。前記工業用水は実施例1と同一のものを使用した。
その後、リン酸マンガンの投入段階において、凹部を含む仕上げ面を有する金属材料を、上記処理液中に浸漬させることにより、平均粒径3.2μm(C)のリン酸マンガン粒子を形成させて、リン酸マンガン粒子で構成される皮膜層を形成した。
続いて化成段階へと移行した。前記浸漬させた液中で、リン酸第三マンガン(Mn(PO)を上述の反応系により蓄積させた。なお、前記浸漬の際の温度は90℃であり、時間は5分であった。処理液のpHは2.20であった。また、皮膜層の厚さ(W)は1.9μmであった。
<比較例4>
第3工程以外の各工程は、実施例1と同様に実施した。
(第3工程:皮膜層形成工程)
処理液の調製を行った。A剤及びB剤を用いて、2.7g/lのリン酸マンガン(A)、3.0g/lのピロリン酸ナトリウム(B)、及び工業用水からなる処理液を調製した。前記工業用水は実施例1と同一のものを使用した(pH10.0)。
その後、リン酸マンガンの投入段階において、凹部を含む仕上げ面を有する金属材料を、上記処理液中に浸漬させることにより、平均粒径4.5μm(C)のリン酸マンガン粒子を形成させて、リン酸マンガン粒子で構成される皮膜層を形成した。
続いて化成段階へと移行した。前記浸漬させた液中で、リン酸第三マンガン(Mn(PO)を上述の反応系により蓄積させた。なお、前記浸漬の際の温度は90℃であり、時間は5分であった。処理液のpHは2.20であった。また、皮膜層の厚さ(W)は2.7μmであった。
<比較例5>
リン酸マンガン(A剤)を一切添加しない対照区を設けた。
まず、処理液の調製を行った。B剤を用いて、3.0g/lのピロリン酸ナトリウム(B)、及び工業用水からなる処理液を調製した(pH10.0)。前記工業用水は実施例1と同一のものを使用した。
その後、実施例1と同様の方法・条件、すなわち歯切り工程(前工程)、表面仕上げ工程(第1工程)及び表面調整工程(第2工程)により加工された、凹部を含む仕上げ面を有する金属材料を、リン酸マンガンを含まない処理液中に浸漬させた。前記浸漬の際の温度は90℃であり、時間は5分であった。処理液のpHは2.20であった。工程終了後、皮膜はまばらにしか生成されていないことを確認した。
続いて、実施例1の第4段階に相当する水洗段階、湯洗段階及び防錆段階を行った。各段階の方法・条件は、実施例1と同様である。
続いて、実施例1の第5段階に相当する工程、すなわち前記金属表面同士の間に潤滑油を注入し、前記凹部内に残留したリン酸マンガン粒子に前記潤滑油を保持させることにより前記金属表面を潤滑する工程を行った。なお、諸条件は実施例1と同様とした。
(摺動部品の寿命試験)
一定のトルクで歯車同士を噛み合わせて試験を行い,歯車が破損する際に発生する振動を検知させて試験機を停止させて停止するまでの累積回転数から強度の評価を行った。結果を図9に示す。図9の縦軸は、リン酸マンガン皮膜を有さない比較例5の寿命期間に対する、実施例3及び4、並びに比較例4における部品の寿命期間を、寿命向上率として示すものである。
図9より、リン酸マンガン皮膜を構成するリン酸マンガン粒子の粒径が、4.5μmの場合(比較例4)にはわずか10%の伸び率(寿命向上率)であった。これに対し、3.2μmの場合(実施例3)には97%の寿命向上率、そして、1.8μmの場合(実施例4)には200%もの寿命向上率を実現可能であることを見出した。
実施例1〜4及び比較例1〜5の結果より、リン酸マンガン粒子の平均粒径が4.0μm以下の場合、摺動部品(金属部品)の表面に形成されるリン酸マンガン皮膜に起因して摩擦係数を有意に低減させることができることを見出した。また、部品同士の接触面の温度上昇を抑制することができ、これにより部品の高寿命化及びエンジン性能の向上や部品のサイズアップの抑制が可能となることを実証した。
さらに、図5の結果などを併せて総合的に考察すれば、平均粒径が4μm以下、好ましくは3.2μm以下のリン酸マンガン粒子を安定的に得るためには、以下の条件とすることが非常に効果的である。すなわち、ピロリン酸ナトリウムの濃度、並びに処理液用の水の硬度(カルシウム及びマグネシウムの濃度)を所定範囲の濃度とすることである。
本発明の第1の金属表面の処理方法の工程図である。 本発明の第1の金属表面の処理方法における表面の変化を示す断面図である。 平均粒径3.9μmのリン酸マンガン粒子で構成されるリン酸マンガン皮膜の表面を示す電子顕微鏡写真である。 平均粒径9.7μmのリン酸マンガン粒子で構成されるリン酸マンガン皮膜の表面を示す電子顕微鏡写真である。 ピロリン酸ナトリウムの濃度を種々変化させた時の、リン酸マンガン皮膜の表面を示す電子顕微鏡写真である。 摩擦磨耗試験に使用する試験機の模式図である。 リン酸マンガン粒子(PF−M5)の結晶粒径と摩擦係数との関係を示すグラフである。 ピロリン酸ナトリウムの濃度を種々変化させた時の、リン酸マンガン皮膜の表面を示す電子顕微鏡写真である。 リン酸マンガン皮膜を構成するリン酸マンガン粒子の粒径と部品寿命との関係(ユニット評価)を示すグラフである。
符号の説明
29 投射材、
30 金属材料、
31 仕上げ面、
32 凹部、
33 皮膜層、
34 リン酸マンガン粒子。

Claims (11)

  1. 相互に面圧を受けた状態で接触する金属表面を処理する金属表面の処理方法であって、
    金属表面に仕上げ面を形成する工程と、
    前記仕上げ面の少なくとも一部に凹部を形成する工程と、
    リン酸マンガンを含む処理液を用いて、前記凹部を含む仕上げ面に、0μmを超えて3.2μm以下の平均粒径を有するリン酸マンガン粒子を含む皮膜層を形成する工程と、
    前記皮膜層が形成された前記金属表面同士の摩擦により、前記仕上げ面から前記皮膜層を除去する工程と、
    前記金属表面同士の間に潤滑油を注入し、前記凹部内に残留したリン酸マンガン粒子に前記潤滑油を保持させることにより前記金属表面を潤滑する工程とを含む、金属表面の処理方法。
  2. 前記処理液はピロリン酸ナトリウムをさらに含む、請求項1に記載の処理方法。
  3. 前記処理液に超純水を用いる、請求項1または2に記載の処理方法。
  4. 前記凹部において、前記リン酸マンガンが核形成用の核となり前記リン酸マンガン粒子を形成し、前記リン酸マンガン粒子の周囲をピロリン酸ナトリウムが覆いリン酸マンガン粒子を安定化する、請求項2または3に記載の処理方法。
  5. 前記皮膜層を形成する工程において、前記処理液中の水が、10〜14.55mg/lのカルシウムイオンと、0.5〜1.92mg/lのマグネシウムイオンとを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の処理方法。
  6. 前記処理液中に含まれるリン酸マンガンの濃度が2.4〜2.7g/lである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の処理方法。
  7. 前記処理液中に含まれるピロリン酸ナトリウムの濃度が0.5〜1.0g/lである、請求項2〜6のいずれか1項に記載の処理方法。
  8. 前記仕上げ面の少なくとも一部に凹部を形成する工程において、平均粒径が50〜800μmの投射材を前記仕上げ面に投射して前記凹部を形成する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の処理方法。
  9. 歯車の表面を処理するために用いられる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の処理方法。
  10. 仕上げ面の少なくとも一部に凹部を有し、
    前記凹部中に、0μmを超えて3.2μm以下の平均粒径を有するリン酸マンガン粒子を含む金属表面を有する、摺動部品であって、
    前記金属表面にピロリン酸ナトリウムがさらに含まれ、
    前記リン酸マンガン粒子に保持された潤滑油を有し、ハイポイド歯車、軸受の転動体若しくは軌道輪、滑り軸受、またはデファレンシャル機構の傘歯車から選択される、摺動部品
  11. 請求項10に記載の部品のうち一以上を用いてなる、車両。
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