JP2005105856A - ピストンポンプ駆動部の支持構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】ピストンポンプ駆動部の支持構造に用いられるシェル型針状ころ軸受を長寿命化することと、使用中の音響レベルを低減することである。
【解決手段】アーマチュアシャフト4の偏心部4aに嵌着され、ピストン8を衝合支持するシェル型針状ころ軸受7のシェル型外輪11を、しごき工程を設けたプレス加工で形成し、このしごき工程における外輪11の外径面となる外径側しごき面での潤滑条件を、略流体潤滑状態とすることにより、その内径面の周方向面粗度、内径真円度および筒部偏肉量を所定の数値範囲に規制し、シェル型針状ころ軸受7を長寿命化するとともに、使用中の音響レベルを低減できるようにした。
【選択図】図1

Description

この発明は、ピストンポンプ駆動部の支持構造に関するものである。
自動車のアンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロール(TRC)等の自動ブレーキシステムには、リザーバタンクのブレーキ液をマスタシリンダへ送るピストンポンプが装備されている。この種のオイル等を圧送するピストンポンプには、電動モータの出力軸であるアーマチャシャフトに偏心部を設け、この偏心部に嵌着した転がり軸受で往復駆動されるピストンを衝合支持するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
前記ピストンを衝合支持する転がり軸受に、針状ころ軸受を採用したものもある(例えば、特許文献2参照。)。針状ころ軸受は軸受投影面積が小さい割に高負荷容量と高剛性が得られる利点を有しており、上記のようなピストンポンプ駆動部の支持構造をコンパクトに設計できる。
前記ピストンポンプ駆動部の支持構造に採用される針状ころ軸受は、低粘度のオイル(ブレーキ液)が混入すること等で潤滑状態が希薄となり、かつ、ピストンが衝合する外輪の内径面を針状ころが高速で転走するので、この転走面で油膜切れが生じやすい。このため、外輪の内径面にスミアリング等の表面損傷や表面起点型の剥離が発生して、軸受寿命が短くなることがある。また、ABSやTRC等の自動車のブレーキシステムに装備されるピストンポンプでは、針状ころの転走に伴う軸受使用中の騒音を低くすることが要求される。
一方、外輪の内径面に沿って複数の針状ころを配列した針状ころ軸受には、絞り工程を含むプレス加工で形成されたシェル型外輪を用いるものがある。このシェル型外輪を用いるシェル型針状ころ軸受は、製造コストが安価となる経済的優位性からその用途が、自動車用のものを始めとして多岐に渡っている。
従来のシェル型外輪のプレス加工の概略工程は、以下の通りである。まず、絞り工程で円形ブランクをカップ状に成形し、決め押し工程でカップ底コーナ部を所定のコーナ半径に決め押しする。こののち、底抜き工程でカップ底中央部を打ち抜いて外輪の一方の鍔を形成し、トリミング工程でカップ上端部を均一な高さにトリミングする。絞り工程または決め押し工程の後に、しごき工程を加える場合もある。通常、これらのプレス加工は、トランスファプレスや順送りプレスを用いて行われ、トランスファプレスを用いる場合は、円形ブランクの打ち抜き工程も一緒に組み込まれることが多い。なお、外輪の他方の鍔は、熱処理後の組立て工程で、カップ上端部を内方に折り曲げることにより形成される。
前記シェル型外輪のブランク素材には、SCM415等の肌焼鋼の鋼板が用いられ、所定の製品強度を確保するために、プレス加工後に浸炭焼入れ、焼戻し等の熱処理を施される。肌焼鋼の鋼板はSPCC等の軟鋼板に較べて炭素含有量が多く、絞り性の目安となるr値が低いので、絞り工程での絞り回数を複数回に分けて、1回当たりの絞り比を小さく設定している。
このように、シェル型外輪は多数のプレス加工工程を経て形成されるので、金型の精度誤差や、加工工程ごとの不均一なひずみの累積により、筒部の真円度や偏肉量等の寸法精度が削り加工で形成される外輪よりも劣り、軸受の寿命も短くなる。
このようなシェル型針状ころ軸受の寿命を向上させることを目的として、シェル型外輪の熱処理を軸受組立て後に行い、かつ、この熱処理を浸炭窒化処理後に、さらに焼入れ、焼戻しするものとして、外輪の外径真円度を高めるとともに、各軸受部品の強度も高めるようにしたシェル型針状ころ軸受の製造方法がある(例えば、特許文献3参照。)。
特開平8−182254号公報(第2頁、第7図) 特開2001−187915号公報(第2頁、第9図) 特許第3073937号公報(第1−2頁、第1−3図)
特許文献3に記載されたシェル型針状ころ軸受の製造方法は、軸受組立て後に熱処理を行うことにより、シェル型外輪の熱ひずみを低減してその外径真円度を高めることができるが、シェル型外輪のプレス加工工程は従来と同じであるので、内径真円度や筒部の偏肉量はあまり改善されない。ちなみに、従来のシェル型外輪の内径真円度は、内径が25mm程度のもので15〜40μmであり、特許文献2に記載された製造方法のものでも10μmを超える。また、筒部偏肉量は、特許文献2に記載された製造方法のものも含めて、内径が25mm程度のもので10〜20μmである。
このため、潤滑を含めた使用条件が非常に厳しいピストンポンプ駆動部の支持構造に用いられるシェル型針状ころ軸受では、特許文献3に記載された製造方法によるものであっても、十分に満足できる長寿命化は達成されていない。
また、プレス加工で形成されるシェル型外輪は、削り加工で形成される外輪よりも内径面の面粗度が粗くなる。通常、削り加工で形成される外輪の内径面の面粗度はRa0.05μm程度であるのに対して、シェル型外輪の内径面の面粗度はRa0.4μm程度である。このため、従来のシェル型針状ころ軸受は、内径面での針状ころの転走に伴う使用中の音響が大きく、特に、ABSやTRC等の自動車のブレーキシステムに装備されるピストンポンプのように騒音の発生を厳しく嫌う用途のピストンポンプ駆動部の支持構造には適用できない問題がある。
そこで、この発明の課題は、ピストンポンプ駆動部の支持構造に用いられるシェル型針状ころ軸受を長寿命化することと、使用中の音響レベルを低減することである。
上記の課題を解決するために、この発明は、ピストンポンプの駆動部をモータ出力軸の偏心部に嵌着した針状ころ軸受で衝合支持するピストンポンプ駆動部の支持構造において、前記針状ころ軸受を、プレス加工で形成されるシェル型外輪の内径面に沿って複数の針状ころを配列したシェル型針状ころ軸受とし、前記外輪の内径面の周方向面粗度をRa0.05〜0.3μmの数値範囲に規制した構成を採用した。
前記外輪内径面の周方向面粗度の下限をRa0.05μmとしたのは、これよりも周方向面粗度が細かくなって内径面が滑らかになり過ぎると、転走する針状ころの弾性接触領域に保持される潤滑油が少なくなり、スミアリング等の表面損傷が生じやすくなるからである。周方向面粗度の上限をRa0.3μmとしたのは、以下の理由による。
本発明者は、シェル型外輪の内径面の面粗度を変えたシェル型針状ころ軸受について、回転試験機を用いた音響測定試験を行い、内径面の周方向面粗度を細かくすると軸受の音響レベルが効果的に低減されることを知見し、後の図5に示すように、これをRa0.3μm以下にすると、音響レベルを厳しく要求される用途の軸受にも十分適用できることを確認した。
この内径面の周方向面粗度が音響レベルの低減に特に効果があるのは、つぎのように考えられる。すなわち、針状ころのころ径に対してころの回転方向の凹凸(周方向面粗度)がある程度以上に粗くなると、針状ころの上下振動が大きくなって大きな音響が発生する。針状ころのころ径は比較的小さいので、周方向面粗度がRa0.3μmを超えると、大きな音響が発生するものと思われる。
また、この発明は、ピストンポンプの駆動部をモータ出力軸の偏心部に嵌着した針状ころ軸受で衝合支持するピストンポンプ駆動部の支持構造において、前記針状ころ軸受を、プレス加工で形成されるシェル型外輪の内径面に沿って複数の針状ころを配列したシェル型針状ころ軸受とし、前記外輪の内径真円度を10μm以下の数値範囲に規制した構成も採用した。
前記外輪の内径真円度の数値範囲を10μm以下としたのは以下の理由による。本発明者は、シェル型外輪の内径真円度を変えたシェル型針状ころ軸受について軸受寿命試験を行い、後の図6に示すように、内径真円度と軸受寿命は良い相関関係を有し、内径真円度を10μm以下にすると、厳しい使用条件下でも十分な長寿命化を達成できることを確認した。
さらに、この発明は、ピストンポンプの駆動部をモータ出力軸の偏心部に嵌着した針状ころ軸受で衝合支持するピストンポンプ駆動部の支持構造において、前記針状ころ軸受を、プレス加工で形成されるシェル型外輪の内径面に沿って複数の針状ころを配列したシェル型針状ころ軸受とし、前記外輪の筒部偏肉量を10μm未満の数値範囲に規制した構成も採用した。
前記外輪の筒部偏肉量を10μm未満の数値範囲に規制したのは以下の理由による。本発明者は、シェル型外輪の筒部偏肉量を変えたシェル型針状ころ軸受について軸受寿命試験を行い、後の図7に示すように、外輪の筒部偏肉量と軸受寿命は良い相関関係を有し、軸方向偏肉量を10μm未満にすると、厳しい使用条件下でも十分な長寿命化を達成できることを確認した。
前記シェル型外輪の内径真円度や筒部偏肉量の低減が軸受の長寿命化に効果があるのは、内径面での針状ころの転走が円滑になり、ころのスリップやがたつき等による内径面での局部的な摩耗や応力集中が抑制されるためと考えられる。
前記外輪の内径面の周方向面粗度、内径真円度および筒部偏肉量の少なくともいずれかを前記数値範囲に規制する手段としては、前記シェル型外輪を形成するプレス加工にしごき工程を設け、このしごき工程における前記外輪の外径面となる外径側しごき面での潤滑条件を、略流体潤滑状態とする手段を採用することができる。
本発明者は、プレス試験機を用いて、SCM415鋼板の絞りしごき試験を行い、カップ成形物の内外径面の面粗度、内径真円度および筒部偏肉量を調査した。この結果、ダイス側(カップ成形物の外径側しごき面)に潤滑性の優れた高粘度プレス加工油を塗布すると、シェル型外輪の内径面となるカップ成形物の内径面における面粗度が外径面よりも細かくなること、および内径真円度と筒部偏肉量が改善されることを見出した。
まず、前記面粗度の調査結果については、図8にその一例を示すが、ブランク素材の面粗度は表裏面ともRa0.49μm程度であるのに対して、カップ成形物内径面の面粗度はRa0.15μmと非常に細かくなっている。カップ成形物外径面の面粗度はRa0.44μmであり、ブランク素材の面粗度とあまり変わっていない。なお、図8に示すカップ成形物内外径面の面粗度は、いずれも軸方向に測定したものであるが、周方向に測定した面粗度もこれらとほぼ同等であった。この測定結果は、通常の絞りしごき加工で観察されるものと逆であり、通常の絞りしごき加工では、ダイスでしごかれるカップ成形物外径面の方が細かい面粗度となり、内径面の面粗度はブランク素材の面粗度とあまり変わらない。
これらの調査結果は、以下のように考えられる。すなわち、カップ成形物外径面の面粗度が素材の面粗度とあまり変わらなかったのは、カップ成形物の外径側しごき面では、加工される素材とダイスが殆ど接触しない略流体潤滑状態であったと考えられる。このようにダイス側の潤滑条件を略流体潤滑状態にすると、ダイスとの摩擦に起因する外径側しごき面での剪断力が殆どなくなって、ポンチとダイスの間のしごき部における応力が板厚方向で均一な圧縮応力状態となり、つぎの図9で検証されるように、素材が板厚方向で均一に減厚変形するようになる。
図9は、前記カップ成形物の上端部の板厚断面写真を示す。上記推定を検証するように、ダイス側に潤滑性の優れたプレス加工油を塗布したカップ成形物の上端部は、板厚方向で均一に軸方向へ延伸している。このように、素材が板厚方向で均一に減厚変形して軸方向へ延伸すると、ポンチに接触するカップ成形物の内径面がポンチ表面に沿って軸方向へ相対移動し、この相対移動によるポンチ表面との摺動で内径面の面粗度が細かくなったものと考えられる。一方、通常の絞りしごき加工によるカップ成形物の上端部は、外径面側が著しく軸方向に延伸している。これは、ダイスとの摩擦に起因する剪断力でカップ成形物の外径面側が優先的に減厚変形し、内径面側があまり減厚変形しないからである。このように、内径面側があまり減厚変形しない通常の絞りしごき加工では、カップ成形物の内径面がポンチ表面と殆ど相対移動しないので、その面粗度は素材とあまり変わらない。
前記外径側しごき面での潤滑条件を略流体潤滑状態とする加工方法では、図9に示したように、カップ成形物の上端面が板厚方向で均一になるので、ブランク径を小さくして歩留も向上させることができる。また、ブランク径を小さくすることにより、絞り加工に必要なプレス荷重も低減される。
つぎに、前記内径真円度と筒部偏肉量については、後の表1に示すように、内径真円度は10μm以下に、筒部偏肉量は10μm未満に低減されることを確認した。これらの調査結果は、以下のように考えられる。すなわち、上述したように、しごき加工におけるダイス側の潤滑条件が略流体潤滑状態とされて素材が板厚方向で均一に減厚変形すると、カップ成形物の筒部偏肉量が低減されるととともに、ポンチに接触するカップ成形物の内径面がポンチ表面に沿って軸方向へ相対移動してポンチ外径面の形状になじみ、ポンチから離型後もカップ成形物の内径真円度が良好に保持されるものと考えられる。一方、通常の絞りしごき加工では、カップ成形物の内径面側はあまり減厚変形せず、ポンチ表面とも殆ど相対移動しないので、カップ成形物の内径真円度や筒部偏肉量はあまり改善されない。
この発明のピストンポンプ駆動部の支持構造は、モータ出力軸の偏心部に嵌着される針状ころ軸受を、プレス加工で形成されるシェル型外輪の内径面に沿って複数の針状ころを配列したシェル型針状ころ軸受とし、このシェル型外輪の内径面の周方向面粗度をRa0.05〜0.3μmの数値範囲に規制するようにしたので、ピストンポンプ作動中の音響レベルを低減することができる。
また、この発明のピストンポンプ駆動部の支持構造は、モータ出力軸の偏心部に嵌着される針状ころ軸受を、プレス加工で形成されるシェル型外輪の内径面に沿って複数の針状ころを配列したシェル型針状ころ軸受とし、このシェル型外輪の内径真円度を10μm以下の数値範囲に規制するか、または、筒部偏肉量を10μm未満の数値範囲に規制するようにしたので、その寿命を延長することができる。
前記外輪の内径面の周方向面粗度、内径真円度および筒部偏肉量の少なくともいずれかを前記数値範囲に規制する手段を、シェル型外輪を形成するプレス加工にしごき工程を設け、このしごき工程における外輪の外径面となる外径側しごき面での潤滑条件を略流体潤滑状態とすることにより、カップ成形物の上端面が板厚方向で均一に近くなるので、ラブランク径を小さくして歩留を向上させるとともに、絞り加工に必要なプレス荷重も低減することができる。
以下、図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。図1は、本発明に係るピストンポンプ駆動部の支持構造を採用した自動車のABS用ピストンポンプ1と、これを駆動する電動モータ2を示す。電動モータ2の出力軸であるアーマチュア3のアーマチュアシャフト4は、ポンプハウジング5にピストンポンプ1と直角に形成された凹部5aに一対の玉軸受6で支持され、その偏心部4aに嵌着されたシェル型針状ころ軸受7に、ピストンポンプ1のピストン8が衝合支持されている。したがって、電動モータ2を回転駆動することにより、シェル型針状ころ軸受7に衝合支持されたピストン8が往復駆動され、ブレーキ液がポンプハウジング5に設けられた吸引口9から吸引されて、吐出口10から吐出される。なお、図示は省略するが、吸引口9はリザーバタンクに接続され、吐出口10はマスタシリンダに接続される。
前記ピストン8を衝合支持するシェル型針状ころ軸受7は、図2に示すように、プレス加工で形成されたSCM415製シェル型外輪11の内径面12に沿って、複数の針状ころ13を配列したものであり、各針状ころ13は、同じくプレス加工で形成されたSPCC製保持器14によって保持されている。
図3は、前記シェル型外輪11を製造する概略の工程を示す。まずプレス加工により、SCM415リン酸塩皮膜処理鋼鈑の円形ブランクが、1回の絞りしごき工程でカップ成形物とされ、決め押し工程でカップ底コーナ部が所定のコーナ半径に決め押し成形される。絞りしごき工程では、ダイス側に潤滑性の優れたプレス加工油が塗布され、外径側しごき面での潤滑条件が略流体潤滑状態とされる。つぎに、底抜き工程でカップ底中央部が打ち抜かれて外輪11の一方の鍔11aが形成され、トリミング工程でカップ上端部が均一な高さにトリミングされる。こののち、プレス加工された外輪11は、熱処理工程で浸炭焼入れ、焼戻し処理を施され、最後の組立て工程で、他方の鍔11bが内方への折り曲げ加工により形成される。
上述した実施形態では、シェル型外輪11のプレス加工における絞り工程を1回のみとし、しごき工程をこの1回の絞り工程と同時に行う絞りしごき工程としたが、絞り工程を3回以下の複数回とし、しごき工程を最終回の絞り工程と同時に行う絞りしごき工程としてもよく、しごき工程を絞り工程または決め押し工程の後で別に行ってもよい。
図3の製造工程で製造した実施例のシェル型外輪について、内径面の面粗度、内径真円度および筒部偏肉量を測定した。測定した外輪の寸法は、外径28mm、長さ16mm、肉厚0.95mmであり、内径面の面粗度の測定は、外輪を半円筒状に2分割して行った。
前記内径面の面粗度は周方向と軸方向に測定し、周方向面粗度は、外輪の両端から各2mmの位置と長さ方向中央位置の3箇所で、軸方向面粗度は、周方向に90°の位相の4箇所で測定した。なお、図8に示したように、ブランク素材の面粗度は表裏面ともRa0.49μm程度、外輪の外径面の面粗度はRa0.44μm程度である。
図4(a)、(b)は、上記面粗度の測定結果の一例を示す。図4(a)は、外輪の長さ方向中央位置で測定した周方向面粗度であり、Ra0.18μmと非常に細かくなっている。図示は省略するが、両端から各2mmの位置で測定した周方向面粗度もRa0.05〜0.3μmの範囲にあり、ブランク素材や外径面の面粗度よりも細かくなっている。図4(b)は、1つの位相で測定した軸方向面粗度であり、Ra0.15μmとなっている。図示は省略するが、他の位相で測定した軸方向面粗度も、いずれもRa0.3μm以下と非常に細かくなっていた。
上記実施例の外輪内径面の周方向面粗度をRa0.05〜0.3μmとしたシェル型針状ころ軸受と、同一軸受寸法で、外輪内径面の周方向面粗度がRa0.3μmを超える比較例のシェル型針状ころ軸受を用意し、これらを回転試験機に取り付けて、音響測定試験を行った。試験条件は、以下の通りである。
・回転速度:4800rpm
・ラジアル荷重:180N
・潤滑:粘度2cSt油塗布
・音響測定位置:軸受から45°方向で距離100mmの位置
図5は、上記音響測定試験における音響レベルの測定結果を示す。この測定結果より、内径面の周方向面粗度をRa0.05〜0.3μmとした実施例のものは、いずれも音響レベルが60dB以下となり、比較例のものに較べて音響レベルが著しく低減されていることが分かる。
表1は、図3の製造工程で製造したシェル型外輪(実施例A〜F)と、従来の製造工程で製造したシェル型外輪(比較例A〜F)について、その内径真円度と筒部偏肉量を測定した結果を示す。測定した外輪の寸法は、外径28mm、長さ16mm、肉厚0.95mmである。内径真円度と筒部偏肉量の軸方向での測定位置は、前記内径面の周方向面粗度の測定位置と同じ3箇所とし、筒部偏肉量については、これらの各軸方向位置で周方向に90°の位相で4箇所、合計12箇所で測定した。実施例のものは、いずれも内径真円度が10μm以下、筒部偏肉量が10μm未満となっている。なお、比較例Aは、特許文献3に記載された製造方法で製造したものである。
表1に示した実施例および比較例のシェル型針状ころ軸受について、軸受寿命試験を行った。各実施例および比較例のサンプル数は8個とし、軸受寿命はL10寿命(サンプルの90%が破損しないで使える時間)で評価した。試験条件は、以下の通りである。
・アキシアル荷重:9.81kN
・回転速度:5000rpm
・潤滑油:スピンドル油VG2
図6は、上記軸受寿命試験における内径真円度とL10寿命の関係を示す。シェル型外輪の内径真円度が10μm以下である各実施例のものは、いずれもL10寿命が200時間を超え、軸受寿命が大幅に延長されていることが分かる。なお、内径真円度が10μmを超える比較例のものは、最も優れた比較例AでもL10寿命が200時間に満たない。
図7は、上記軸受寿命試験における筒部偏肉量とL10寿命の関係を示す。筒部偏肉量についても、10μm未満である各実施例のものはいずれもL10寿命が200時間を超え、軸受寿命が大幅に延長されている。
本発明に係るピストンポンプ駆動部の支持構造を採用した自動車のABS用ピストンポンプと電動モータを示す縦断面図 図1のシェル型針状ころ軸受を示す縦断面図 図2のシェル型針状ころ軸受の概略の製造工程を示す工程図 a、bは、それぞれ図3の製造工程で製造したシェル型外輪内径面の周方向と軸方向の面粗度を示すグラフ シェル型針状ころ軸受の音響測定試験における外輪内径面の周方向面粗度と音響レベルの関係を示すグラフ シェル型針状ころ軸受の軸受寿命試験におけるシェル型外輪の内径真円度とL10寿命の関係を示すグラフ シェル型針状ころ軸受の軸受寿命試験におけるシェル型外輪の筒部偏肉量とL10寿命の関係を示すグラフ 絞りしごき試験におけるカップ成形物内外径面の面粗度とブランク素材の面粗度を示すグラフ 絞りしごき試験におけるカップ成形物上端部の板厚断面写真
符号の説明
1 ピストンポンプ
2 電動モータ
3 アーマチュア
4 アーマチュアシャフト
4a 偏心部
5 ポンプハウジング
5a 凹部
6 玉軸受
7 シェル型針状ころ軸受
8 ピストン
9 吸引口
10 吐出口
11 シェル型外輪
11a、11b 鍔
12 内径面
13 針状ころ
14 保持器

Claims (4)

  1. ピストンポンプの駆動部をモータ出力軸の偏心部に嵌着した針状ころ軸受で衝合支持するピストンポンプ駆動部の支持構造において、前記針状ころ軸受を、プレス加工で形成されるシェル型外輪の内径面に沿って複数の針状ころを配列したシェル型針状ころ軸受とし、前記外輪の内径面の周方向面粗度をRa0.05〜0.3μmの数値範囲に規制したことを特徴とするピストンポンプ駆動部の支持構造。
  2. ピストンポンプの駆動部をモータ出力軸の偏心部に嵌着した針状ころ軸受で衝合支持するピストンポンプ駆動部の支持構造において、前記針状ころ軸受を、プレス加工で形成されるシェル型外輪の内径面に沿って複数の針状ころを配列したシェル型針状ころ軸受とし、前記外輪の内径真円度を10μm以下の数値範囲に規制したことを特徴とするピストンポンプ駆動部の支持構造。
  3. ピストンポンプの駆動部をモータ出力軸の偏心部に嵌着した針状ころ軸受で衝合支持するピストンポンプ駆動部の支持構造において、前記針状ころ軸受を、プレス加工で形成されるシェル型外輪の内径面に沿って複数の針状ころを配列したシェル型針状ころ軸受とし、前記外輪の筒部偏肉量を10μm未満の数値範囲に規制したことを特徴とするピストンポンプ駆動部の支持構造。
  4. 前記外輪の内径面の周方向面粗度、内径真円度および筒部偏肉量の少なくともいずれかを前記数値範囲に規制する手段が、前記シェル型外輪を形成するプレス加工にしごき工程を設け、このしごき工程における前記外輪の外径面となる外径側しごき面での潤滑条件を、略流体潤滑状態とするものである請求項1乃至3のいずれかに記載のピストンポンプ駆動部の支持構造。
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