JP3867421B2 - コンバインの穀稈供給搬送装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、コンバインの刈取装置に係るものである。
【0002】
【従来技術】
従来、特開平2−142126号公報には、穀稈供給搬送装置を、刈取前処理装置側に設けた搬送装置から刈取穀稈を受取る前側供給搬送装置と、該前側供給搬送装置から前記刈取穀稈を受け取って機体後方に搬送する主供給搬送装置とに分割形成し、前記前側供給搬送装置は、前記主供給搬送装置の始端部側部に設け、走行装置による走行速度と前記刈取前処理装置へ伝達する回転とを同期させて変更するように構成したものについて記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記公知例の前側供給搬送装置は、主供給搬送装置の始端部側部に並設しているだけであり、前側供給搬送装置を刈取前処理装置へ伝達する回転と同期させても、主供給搬送装置は回転を同期させていないので、穀稈の引き継ぎが円滑でないという課題がある。
本発明は、前側供給搬送装置の配置を工夫して穀稈の引継を良好にしたものである。
【0004】
【発明の目的】
穀稈の搬送引継の円滑・確実化、作動の確実化、空間の有効利用、機体の小型化。
【0005】
【課題を解決しようとする手段】
本発明は、刈取前処理装置4側には、脱穀装置3に穀稈を供給する穀稈供給搬送装置18に刈取穀稈を引き継ぐ引継搬送装置19を設け、前記穀稈供給搬送装置18は、前記引継搬送装置19から刈取穀稈を受取る前側供給搬送装置26と、該前側供給搬送装置26から前記刈取穀稈を受け取って機体後方に搬送する主供給搬送装置25とに分割形成し、前記前側供給搬送装置26は、前記主供給搬送装置25の前方に主供給搬送装置25と略同一直線状に始端側供給装置33を設け、該始端側供給装置33の終端側部と前記主供給搬送装置25の始端側部の夫々に側面視において略重なる終端側供給装置34を始端側供給装置33および前記主供給搬送装置25の内側に設けて構成し、前記前側供給搬送装置26は前記引継搬送装置19と同一搬送速度にするとともに、走行速度と同調して変速するように構成し、前記前側供給搬送装置26の内側にギヤボックス50を設け、該ギヤボックス50は脱穀装置3の穀稈供給口63に穀稈を案内する入口漏斗62の下方に位置させ、前記前側供給搬送装置26は、前記始端側供給装置33の先端を回動自在に構成して、始端側供給装置33の刈取前処理装置4側が高く、始端側供給装置33の脱穀装置3側が低く傾斜させられるように構成すると共に、前記終端側供給装置34の終端部を、前記主供給搬送装置25の始端側と略同じ高さにし、前記入口漏斗62は、前記刈取前処理装置4側が高く、前記脱穀装置3側が低くなるように傾斜させ、前記入口漏斗62の前記刈取前処理装置4側に、前記刈取前処理装置4側が高く、前記脱穀装置3側が低くなるように傾斜させた弾性搬送案内体75を設けたコンバインの穀稈供給搬送装置としたものである。
本発明は、前記刈取前処理装置4側に設けた刈取穀稈を搬送する搬送装置11のうちの穂先側搬送装置11aの終端側は、前記引継搬送装置19が搬送する穀稈の穂先側を搬送するように構成し、前記始端側供給装置33の前側歯車36の高さ位置と、前記引継搬送装置19の終端部と平面視重なる前記穂先側搬送装置11aの搬送ラグ43が搬送穀稈から離れる略作用終了域の高さ位置と、前記引継搬送装置19の終端の高さ位置とが、正面視において、穀稈搬送姿勢が略直線状になるように配置したコンバインの穀稈供給搬送装置としたものである。
本発明は、前記始端側供給装置33のチエン38と終端側供給装置34のチエン42は、夫々独立して緊張させ得るようにしたコンバインの穀稈供給搬送装置としたものである。
本発明は、前記前側供給搬送装置26の始端側供給装置33のチエン38の上方には、穀稈を弾力的に押し付ける挟持用案内ガイド82を設けたコンバインの穀稈供給搬送装置としたものである。
本発明は、前記前側供給搬送装置26の終端側供給装置34のチエン42の上方には、穀稈を弾力的に押し付ける挟持用案内ガイド82aを設けたコンバインの穀稈供給搬送装置としたものである。
【0006】
【実施例】
本発明の実施例を図により説明すると、1は機体フレーム、2は走行装置、3は走行装置2の上方位置に設けた脱穀装置、4は前記脱穀装置3の前方位置に設けた刈取前処理装置、5は刈取前処理装置4の最前方部の分草体、6は分草した穀稈を引起す引起装置、7はスターホイル、8は掻込装置、9は刈刃、10は株元側搬送装置、11は穂先側搬送装置であり、これらは刈取フレーム12に取付けられ、刈取フレーム12は縦支持フレーム13の先端に取付け、縦支持フレーム13の基部には横伝動筒14を設け、横伝動筒14を機体フレーム1側に設けた支持架台15に回動自在に取付ける。したがって、刈取前処理装置4は、横伝動筒14中心に刈取上下シリンダ16により上下する。
しかして、前記各搬送装置により搬送される搬送路の終端には扱深さ調節装置17の始端部を臨ませ、扱深さ調節装置17の終端部は前記脱穀装置3に穀稈を供給する穀稈供給搬送装置18に引き継ぐ株元側引継搬送装置19の始端部下方位置に臨ませ、扱深さ調節装置17は前記株元側引継搬送装置19へ穀稈を引継ぐ位置を、穀稈の稈身方向に変更し、脱穀装置3の脱穀室に供給するときの扱深さを調節する。20は扱深さ調節用アクチュエータ20であり、扱深さ調節用アクチュエータ20には扱深さ位置検出用のポテンショメータ21を設ける。また、該ポテンショメータ21は前記扱深さ調節装置17の取付部に設けてもよい。
【0007】
また、扱深さ調節装置17により扱深さが調節されるだけでなく、更に、前記株元側引継搬送装置19は、その引継搬送チエンの案内ローラ23が前記穀稈供給搬送装置18に対して稈身方向の離れる側に移動することにより確実に脱穀装置3に供給する。24は引継搬送用アクチュエータである。
しかして、前記穀稈供給搬送装置18は、前記脱穀装置3の側部に位置する主供給搬送装置25と該主供給搬送装置25の始端部と前記株元側引継搬送装置19の終端側との間に設けた前側供給搬送装置26とに分割して構成する。この場合、前記主供給搬送装置25は、所謂挾扼杆27と搬送供給チエン28により穀稈を挾持搬送するように構成し、前記挾扼杆27は脱穀装置3の上部カバー29に設け、上部カバー29の上方回動により搬送供給チエン28より退避する。前記搬送供給チエン28は前後方向のチエン案内レール30の前後に設けた前側受動輪体31および後側受動輪体32に掛け回す。
前記前側供給搬送装置26は、更に、前記株元側引継搬送装置19の終端部近傍に臨み、かつ、平面視前記主供給搬送装置25と同一直線状に主供給搬送装置25の前方に位置する始端側供給装置33と、前記主供給搬送装置25と略同一直線状であって該主供給搬送装置25の前方に位置する始端側供給装置33と該始端側供給装置33の終端側部と前記主供給搬送装置25の始端側部との夫々に臨んで重合する終端側供給装置34とにより構成し、前側供給搬送装置26は前記株元側引継搬送装置19と同一搬送速度にするとともに、走行速度と同調して変速するように構成している。即ち、刈取前処理装置4に伝達する回転は前記走行装置2による走行速度の変化に同調(シンクロ)させ、株元側引継搬送装置19も刈取前処理装置4に伝達する回転と同調(シンクロ)させ、その結果、刈取前処理装置4と株元側引継搬送装置19と前側供給搬送装置26の穀稈搬送速度は略同じになる。
【0008】
前記始端側供給装置33は、案内レール35の前側に前側歯車36を設け、案内レール35の後側に後側歯車37を設け、前側歯車36と後側歯車37にチエン38を掛け回して構成する。前記後側歯車37の取付軸39の内側部分には前記終端側供給装置34の前側歯車40を固定し、該前側歯車40と前側歯車40の後方に設けた後側歯車41との間にチエン42を掛け回して前記終端側供給装置34を構成する。この場合、前記始端側供給装置33と終端側供給装置34のうち、何れか一方を前後に長く、何れか他方を短く形成し、短い方を内側に配置すればよく、実施例では、始端側供給装置33を長く形成し、終端側供給装置34を短く形成し、終端側供給装置34を始端側供給装置33より内側に位置させ、始端側供給装置33は主供給搬送装置25の前方に直線状に配置する。また、終端側供給装置34の終端と前記主供給搬送装置25の始端部は側面視略重合させ、また、少なくとも重合部分のチエン上面の高さは略同じにする。
【0009】
また、前記穂先側搬送装置11のうち前記終端が前記株元側引継搬送装置19の終端部と略重合する穂先側搬送装置11aの搬送ラグ43の終端部分の作用終了域と、前記株元側引継搬送装置19の案内ローラの位置と、前記始端側供給装置33の前側歯車36の位置とは、良好な穀稈搬送姿勢と略一致する直線状に配置する。
しかして、実施例の穀稈供給搬送装置18では前記したように主供給搬送装置25と前側供給搬送装置26により2分割して構成するが、そのうち後側の主供給搬送装置25を、前後側の何れか一方に設けた縦軸44を中心に縦軸回動自在に設け、前記脱穀装置3の側部を開放するように構成する。即ち、走行速度と同調して刈取前処理装置4の回転(作業速度)が変速され、これに合わせて前記株元側引継搬送装置19も変速し、これに合わせて前側供給搬送装置26も変速するように構成しているので、この前側供給搬送装置26は機体側に残して、主供給搬送装置25を脱穀装置3の側部が開放するように移動させて、脱穀装置3の側部開放を容易にする。
【0010】
この場合、実施例ではチエン案内レール30の終端(後側)を側方に回動させるように構成し、前記機体フレーム1側には支持体45を設け、前記チエン案内レール30には回動アーム47の先端を固定し、該支持体45または前記回動アーム47の何れか一方に前記縦軸44を設け、前記支持体45または回動アーム47の何れか他方に前記縦軸44を支持(係合支持)する支持部材46を設け、縦軸44を中心に縦軸回動させ、縦軸44は前記前側受動輪体31より前側部分に位置させると、チエン案内レール30の終端(後側)を大きく外側に開くようにでき、好適である。なお、回動アーム47の上端はチエン案内レール30の前記前側受動輪体31より後側部分に固定し、回動アーム47の下部は前記前側受動輪体31よりも前側に位置するように屈曲または円弧状に形成すればよい。また、主供給搬送装置25の側方回動は、チエン案内レール30に搬送供給チエン28を掛け回した状態、あるいは、チエン案内レール30から搬送供給チエン28を外した状態の何れかの状態で側方回動するようにすればよく、その構成は任意である。
しかして、前記後側歯車41の回転軸48はギヤボックス50に軸装し、回転軸48はギヤボックス50の出力軸となる。ギヤボックス50内には、減速用の歯車51群を設け、該歯車51には入力軸52の入力歯車53を噛み合わせる。前記ギヤボックス50より突出する入力軸52には入力プーリ54を設ける。55は出力プーリ、56はベルト、56aは脱穀クラッチである。
【0011】
前記出力プーリ55は前記横伝動筒14の一端に設けた刈取部入力プーリ57と同軸に設けられ、刈取部入力プーリ57に走行速度と同調して伝達される回転が出力プーリ55により前記始端側供給装置33と終端側供給装置34に伝達される。
前記ギヤボックス50には取付部材58の上部を固定し、取付部材58の下部は前記支持架台15に固定する。
前記ギヤボックス50の上部には筒部材60の基部を片持状態に取付け、該筒部材60に前記回転軸48を軸装し、回転軸48の内端のギヤボックス50内の部分の歯車61は小径に形成し、前記ギヤボックス50の高さを低くし、ギヤボックス50を脱穀装置3の穀稈供給口63に穀稈を案内する入口漏斗(ジョウゴ)62の下方に位置させる。前記筒部材60の外周にはボス64を嵌合させ、ボス64と筒部材60の重合部分にはブリーザ孔65を設け、筒部材60内の潤滑油がブリーザ孔65より漏出してボス64と筒部材60の間に滲むようにしている。
【0012】
前記ギヤボックス50の入力プーリ54は、前記筒部材60の下方に位置させ、該入力プーリ54と横伝動筒14の左端の出力プーリ55とベルト56は平面視ギヤボックス50と前記前側供給搬送装置26との間の空間内に配置する。
前記ボス64には回動アーム66の基部を固定し、回動アーム66には縦杆67をボルト68を緩めると長さ方向に移動調節自在となるように取付ける。縦杆67の中間部には前記取付軸39を固定し、取付軸39に軸受39aを介して前記後側歯車37と終端側供給装置34の前側歯車40を回転のみ自在に取付ける。
また、縦杆67の先端側には横杆69の内端を固定し、横杆69の外端は取付体70を固定し、取付体70には前記始端側供給装置33の案内レール35をボルト71を緩めると長さ方向に移動調節自在に取付ける。回動アーム66に対して縦杆67を、取付体70に対して案内レール35を夫々移動させることによりテンション機構とする。
【0013】
前記横杆69にはロッド72の上端を取付け、ロッド72の下端はアクチュエータ73のアーム74に軸着する。アクチュエータ73はアーム74を回動させてロッド72を上下させ、ロッド72の上下により横杆69を上下させ、横杆69の上下により回動アーム66をボス64中心に回動させ、始端側供給装置33の前側歯車36の高さを上下調節する。
したがって、アクチュエータ73は、作動しないとき回動アーム66の荷重を支受している。この場合、通常、前側供給搬送装置26は刈取前処理装置4側を高く、脱穀装置3を低く傾斜させると、穀稈の搬送姿勢に重力が良好に作用し、搬送不良、稈こぼれ、籾の扱室からの吹出がなくなり、作業を安定させて好適である。なお、長穀稈の場合、前側供給搬送装置26の始端部を下げると、搬送姿勢が良好になって、好適である。
また、前記入口漏斗62も刈取前処理装置4側を高く、脱穀装置3を低く傾斜させる。また、前記入口漏斗62の刈取前処理装置4側には、刈取前処理装置4側を高く、脱穀装置3を低く傾斜させた弾性搬送案内体75を設け、前記作用を期待している。弾性搬送案内体75は、ゴム、合成樹脂等により形成し、株元側引継搬送装置19または前記穂先側搬送装置11のうちその終端が前記株元側引継搬送装置19の終端部と略重合する穂先側搬送装置11aの固定部分に取付け、脱穀装置3側の先端は自由端に形成する。
【0014】
また、前側供給搬送装置26は、前記アクチュエータ73に替えて、前記ロッド72の下端を固定部に設けた係合部76に選択的に係合させて傾斜角度を変更してもよい。また、前側供給搬送装置26を常時上方回動するようにバネ(図示省略)を設け、前記ロッド72の下端にはワイヤー76aの一端を係止し、ワイヤー76aの他端を前記扱深さ調節装置17側に係止して、牽引するようにして、前記扱深さ調節装置17の扱深さ調節と連動させる。
この場合、前側供給搬送装置26の回動は、前記扱深さ調節装置17の扱深さ調節と独立して行うと、きめ細かい調節が可能になり、また、扱深さ調節装置17の扱深さ調節と連動して行うと、扱深さ調節装置17から前側供給搬送装置26に至る搬送が一層良好になり、前記ポテンショメータ21により扱深さ調節装置17の角度を検出してアクチュエータ73を連動させると、従前の部品を利用して正確に作動させることができて、好適である。また、扱深さ調節装置17の扱深さ調節用の扱深さセンサ77によりアクチュエータ73を連動させてもよい。
【0015】
前記前側供給搬送装置26の回動を扱深さ調節装置17の扱深さ調節と連動して行う場合において、扱深さ調節装置17と前側供給搬送装置26の関係は、原則として扱深さ調節装置17が上動(深扱き)すると、前側供給搬送装置26も上方回動させるようにするが、この前側供給搬送装置26を上方回動させる割合は任意である。また、特殊な場合には、扱深さ調節装置17が上動(深扱き)したとき、前側供給搬送装置26を下方回動させることもある。
しかして、前記出力プーリ55と前記入力プーリ54とベルト56の一部または全部は、株元側引継搬送装置19の下方(これより内側)に位置させ、株元側引継搬送装置19がこれらの上方カバーの作用を奏するように構成している(図12)。
しかして、前記入口漏斗62の前方左側は前記ギヤボックス50および前記回動アーム66の上方に臨むため、該平面視重合部分の入口漏斗62は可動部80に形成し、可動部80はその内側部分を入口漏斗62の本体に回動自在に取付け、可動部80には長孔81を形成し、長孔81には前記前側供給搬送装置26側に設けた係合軸81aを係合させ、前側供給搬送装置26の先端が上下してもこれに干渉しないように可動部80が上下する。また、前記可動部80を弾性部材により形成して、干渉を避けてもよい。
【0016】
しかして、前記始端側供給装置33のチエン38の上方には、穀稈を弾力的に始端側供給装置33に押し付ける挟持用案内ガイド82を設ける。挟持用案内ガイド82は前後方向の軸部材により形成し、挟持用案内ガイド82の先端は始端側供給装置33のチエン38の上方に臨ませ、挟持用案内ガイド82の基部は回動アーム83の先端に回動自在に軸84により軸着し、該軸84には挟持用案内ガイド82を常時下方回動するように付勢するバネ85を設ける。前記回動アーム83の基部は取付杆86の下部に回動自在に軸87により軸着し、取付杆86の上部は刈取前処理装置4の固定部に両端を掛け渡して設けた取付フレーム88に取付ける。
また、前記挟持用案内ガイド82の中間部分には、終端側供給装置34のチエン42の上方で穀稈を弾力的に終端側供給装置34に押し付ける挟持用案内ガイド82a基部を固定する(以下、挟持用案内ガイド82は特に記載した場合除いて挟持用案内ガイド82aを含むものとし、終端側供給装置34の挟持用案内ガイド82aは省略することもある)。
【0017】
前記回動アーム83の中間部にはロッド89の上端を取付け、ロッド89の下部は扱深さ調節装置17の回動側のフレーム部分に取付け、扱深さ調節装置17の回動に連動して回動アーム83を軸87中心に回動させる。
この場合、扱深さ調節装置17と前記前側供給搬送装置26の回動方向が一致していることを前提としているため、扱深さ調節装置17と前記前側供給搬送装置26の回動方向を一致させないときは、前記ロッド89の下部は別途前側供給搬送装置26のアクチュエータ73のアーム74に連動するように連結する。したがって、挟持用案内ガイド82は始端側供給装置33のチエン38、42の傾斜角度に追随させ、常に上方に弾力的に穀稈を押し付けるように臨ませる。
しかして、前記前側供給搬送装置26の外側にはカバー90を設ける。カバー90は前後方向の縦板により形成し、前端は始端側供給装置33の前側歯車36に掛け回したチエン38の先端軌跡より前方および上方を包囲するように位置させ、後端は主供給搬送装置25の前側部分に臨ませ、また、下端は前側供給搬送装置26を上方回動させたとき、送風唐箕カバー91の上部と重合するように設ける。カバー90は始端側供給装置33の案内レール35にボルト92により取付ける。
【0018】
【作用】
次に作用を述べる。
走行装置2により機体を前進させると、各分草体7により分草し、分草体7により分草された穀稈は引起装置8により引起され、スターホイル9により後方に掻込まれ、刈刃11により切断され、切断された穀稈は株元側搬送装置10と穂先側搬送装置11により搬送され、搬送された穀稈は扱深さ調節装置17に挾持送されて株元側引継搬送装置19に引き継がれ、株元側引継搬送装置19により穀稈供給搬送装置18に穀稈を引き継ぐ。
この場合、株元側引継搬送装置19の始端部に対して扱深さ調節装置17の終端部は穀稈の稈身方向に遠近調節自在であるから、株元側センサや穂先側センサ等の信号により、扱深さ調節装置17の終端部位置を調節することにより穀稈の挟持位置を変更して、脱穀室に供給する穀稈の扱深さが略一定になるように調節する。
【0019】
しかして、前記穀稈供給搬送装置18は、前記脱穀装置3の側部に位置する主供給搬送装置25と該主供給搬送装置25の始端部と前記株元側引継搬送装置19の終端側との間に設けた前側供給搬送装置26とにより構成し、前側供給搬送装置26は、更に、前記株元側引継搬送装置19の終端部近傍に臨み、かつ、平面視前記主供給搬送装置25と同一直線状に主供給搬送装置25の前方に位置する始端側供給装置33と前記主供給搬送装置25の始端部の側方に臨んで側面視重合する終端側供給装置34とにより構成し、始端側供給装置33と終端側供給装置34からなる前側供給搬送装置26は前記株元側引継搬送装置19と同一搬送速度にするとともに、走行速度と同調して変速するように構成しているから、まず、走行速度と同調して株元側引継搬送装置19により円滑に搬送された穀稈の株元は、引き続き同じ搬送速度の始端側供給装置33にのみ引き継がれて搬送され、次ぎに、次ぎに、始端側供給装置33に株元が挟持搬送されている状態で、これよりやや穂先側が終端側供給装置34に同じ搬送速度で引き継がれる。したがって、搬送姿勢が株元側引継搬送装置19から変化する状態でも前側供給搬送装置26は始端側供給装置33と終端側供給装置34により確実に搬送する。
【0020】
特に、主供給搬送装置25の前側に始端側供給装置33を設けているから、株元側引継搬送装置19からの引継が良好になる。即ち、搬送速度の相違する前側供給搬送装置26と主供給搬送装置25とに株元側引継搬送装置19から直接引き継ぐことによる不具合を防止する。また、本実施例の終端側供給装置34と主供給搬送装置25とでは搬送速度が相違するが、既に搬送姿勢は横向きになっており、終端側供給装置34により搬送されたものをそのまま引き継ぐことになるので、搬送乱れは生じない。
また、実施例では、始端側供給装置33を長く形成し、終端側供給装置34を短く形成し、始端側供給装置33を終端側供給装置34より外側に位置させているから、株元側引継搬送装置19から引継がれるとき、より穀稈の株元が始端側供給装置33に引き継がれて、稈こぼれ等を防止できる。また、始端側供給装置33は主供給搬送装置25の前方に直線状に配置されているから、始端側供給装置33と主供給搬送装置25の夫々の挟持位置も変化せず、この点も引継を円滑、確実にする。
しかして、前記穂先側搬送装置11のうち前記終端が前記株元側引継搬送装置19の終端部と略重合する穂先側搬送装置11aの搬送ラグ43の終端部分の作用終了域と、前記株元側引継搬送装置19の案内ローラ案内ローラ23の位置と、前記始端側供給装置33の前側歯車36の位置とは、穀稈搬送姿勢と略一致するように直線状に配置しているから、穀稈は同時に3か所挟持搬送されて稈こぼれを防止でき、しかも、配置の工夫であるから、コストを上昇させずに、コンパクトに無駄のない合理的な構成にできる。また、前側供給搬送装置26の終端側供給装置34の高さと主供給搬送装置25の高さとを同じにしているから、終端側供給装置34から主供給搬送装置25への引継も良好になる。
【0021】
しかして、ギヤボックス50の上部には筒部材60の基部を片持状態に取付け、筒部材60に後側歯車41の回転軸48を軸装しているから、ギヤボックス50は前側供給搬送装置26に対して内側にオフセットさせることができる。
したがって、ギヤボックス50と前側供給搬送装置26の間に空間を形成することができ、この空間内にギヤボックス50の入力プーリ54と、刈取前処理装置4の縦支持フレーム13の基部の横伝動筒14の左端に設けた出力プーリ55とを配置することができ、搬送穀稈とベルト56との干渉を防止でき、ベルト56に藁屑が巻き付くのを防止する。また、ギヤボックス50内の回転軸48に固定の歯車61は小径に形成しているから、ギヤボックス50の高さを低くでき、それゆえ、ギヤボックス50を入口漏斗62の下方に位置させることができ、空間を有効利用でき、機体全体をコンパクトにできる。
【0022】
また、筒部材60の外周にはボス64を嵌合させ、ボス64と筒部材60の重合部分にはブリーザ孔65を設け、筒部材60内の潤滑油がブリーザ孔65より漏出してボス64と筒部材60の間に滲むようにしているから、筒部材60に対するボス64の回転を良好にし、後述する前側供給搬送装置26の傾斜変更を円滑にする。また、ブリーザ孔65はボス64により外気と遮断されているので、油の吹出しあるいは異物混入を防止できる。
しかして、ギヤボックス50に設けた筒部材60の外周にボス64を嵌合させ、ボス64には回動アーム66の基部を固定し、回動アーム66の先端側には横杆69の内端を固定し、横杆69の外端は前記始端側供給装置33の案内レール35に固定し、横杆69にはロッド72の上端を取付け、ロッド72の下端はアクチュエータ73のアーム74に軸着しているから、アクチュエータ73を作動させると、アーム74を回動させてロッド72を上下させ、ロッド72の上下により横杆69を上下させ、横杆69の上下により回動アーム66をボス64中心に回動させ、始端側供給装置33の前側歯車36の高さを上下調節する。したがって、前側供給搬送装置26は筒部材60の軸心を中心に上下回動して傾斜角度を変更できる。この場合、前側供給搬送装置26は刈取前処理装置4側を高く、脱穀装置3を低く傾斜させると、穀稈の搬送姿勢に重力が良好に作用し、搬送不良、稈こぼれ、籾の扱室からの吹出がなくなり、作業を安定させる。
【0023】
この場合、回動アーム66の回動中心を筒部材60に嵌合させたボス64の軸心としたので、別途回動支点部材を設けなくて済み、コンパクトで強固な支点にすることができる。
しかして、前記入口漏斗62も刈取前処理装置4側を高く、脱穀装置3を低く傾斜させ、前記入口漏斗62の刈取前処理装置4側には、刈取前処理装置4側を高く、脱穀装置3を低く傾斜させた弾性搬送案内体75を設けているから、株元側引継搬送装置19および穂先側搬送装置11aの終端まで搬送された穀稈は、弾性搬送案内体75により入口漏斗62に案内され、脱穀室に供給される。したがって、穀稈の搬送姿勢に重力が良好に作用し、搬送不良、稈こぼれ、籾の扱室からの吹出がなくなり、作業を安定させる。
しかして、ギヤボックス50の入力プーリ54は筒部材60の下方に位置させ、刈取前処理装置4の横伝動筒14に出力プーリ55を設け、た出力プーリ55と前記入力プーリ54とベルト56は平面視ギヤボックス50と前記前側供給搬送装置26との間の空間内に配置しているから、仮に穀稈供給搬送装置18の前側供給搬送装置26を筒部材60中心に上下させるとき、干渉せず、上下範囲を広くすることができ、また、ベルト56のメンテナンスが容易になる。
【0024】
また、前記出力プーリ55と前記入力プーリ54とベルト56の一部または全部は、株元側引継搬送装置19の下方(これより内側)に位置させているから、株元側引継搬送装置19のフレームやチエン案内レール等の各部材が、これらの上方を覆うので、カバーの作用を奏し、藁屑、塵埃の付着を防止でき、特に、穀稈供給搬送装置18の前側供給搬送装置26を筒部材60中心に下げたとき搬送穀稈とベルト56の干渉を防止でき、ベルト56に藁屑が巻き付くのを防止する。
しかして、アクチュエータ73のアーム74がロッド72を上下させると、ロッド72の上下により横杆69が上下し、横杆69の上下により回動アーム66をボス64中心に回動させ、これにより、前側供給搬送装置26の始端部は上下するから、前側供給搬送装置26の始端部は、株元側引継搬送装置19の終端(案内ローラ23)に対して距離(間隔)を遠近させることができ、一層、穀稈の挟持位置の変更し得る範囲を広げることができる。即ち、株元側引継搬送装置19と前側供給搬送装置26とは相互に遠近自在に構成されることになって、調節範囲を広げる。
【0025】
また、アクチュエータ73に替えて、ロッド72の下端を固定部に設けた係合部76に選択的に係合させるように構成すると、手動操作によって前側供給搬送装置26の傾斜角度を変更することができ、安価な構成で、調節範囲の広域化を実現する。
しかして、前記前側供給搬送装置26の回動は、短穀稈の場合前側供給搬送装置26を上動させ、長穀稈の場合前側供給搬送装置26を下げると、搬送姿勢が良好となる。
また、前側供給搬送装置26の回動を扱深さ調節装置17の扱深さ調節と連動して行う場合は、前記ポテンショメータ21により扱深さ調節装置17の角度を検出してアクチュエータ73を連動させると、部品点数を増加することなく、連動構成にすることができる。また、扱深さ調節装置17の扱深さ調節用の扱深さセンサ77によりアクチュエータ73を連動させても、同様の作用を期待できる。
【0026】
前記前側供給搬送装置26の回動を扱深さ調節装置17の扱深さ調節と連動して行う場合において、扱深さ調節装置17と前側供給搬送装置26の関係は、原則として扱深さ調節装置17が上動(深扱き)すると、前側供給搬送装置26も上方回動させるようにするが、この前側供給搬送装置26を上方回動させる割合は任意である。また、特殊な場合には、扱深さ調節装置17が上動(深扱き)したとき、前側供給搬送装置26を下方回動させることもある。
しかして、取付体70に対して始端側供給装置33の案内レール35を前側移動させると、始端側供給装置33のチエン38を緊張させ、この状態で、縦杆67を回動アーム66に対して前側に移動させると、終端側供給装置34のチエン42を緊張させる。したがって、前側供給搬送装置26の始端側供給装置33および終端側供給装置34の夫々のチエンを独立して調節可能となる。
【0027】
しかして、前記始端側供給装置33および終端側供給装置34のチエン38、42の上方には、穀稈を弾力的に上方より押し付ける挟持用案内ガイド82および挟持用案内ガイド82aを設けているから、株元側引継搬送装置19により搬送された穀稈は、前側供給搬送装置26のチエンと挟持用案内ガイド82、82aとにより挟持搬送され、一層引継が良好になり、確実に搬送されて、主供給搬送装置25に至る。
この場合、挟持用案内ガイド82、82aは前後方向の軸部材により形成し、挟持用案内ガイド82の基部は回動アーム83の先端に回動自在に軸84により軸着し、該軸84には挟持用案内ガイド82を常時下方回動するように付勢するバネ85を設けている構成であるから、簡単に構成でき、コストを低くできる。また、バネ85により付勢されているから、挟持用案内ガイド82はチエン38、42の傾斜角度に追随させ、常に上方に弾力的に穀稈を押し付けるように臨ませることができる。
【0028】
また、前側供給搬送装置26を上下させる回動アーム83の基部は取付杆86の下部に回動自在に軸87により軸着し、取付杆86の上部は刈取前処理装置4の固定部に両端を掛け渡して設けた取付フレーム88に取付け、回動アーム83の中間部にはロッド89の上端を取付け、ロッド89の下部は扱深さ調節装置17の回動側のフレーム部分に取付けているから、扱深さ調節装置17の回動に連動して回動アーム83を軸87中心に回動させることができる。
また、ロッド89の下部は別途前側供給搬送装置26のアクチュエータ73のアーム74に連動するように連結すると、扱深さ調節装置17と前記前側供給搬送装置26の回動方向を一致させないときでも、挟持用案内ガイド82、82aはチエン38、42の傾斜角度に追随させ、常に上方に弾力的に穀稈を押し付けるように臨ませることができる。
しかして、穀稈供給搬送装置18は、主供給搬送装置25と前側供給搬送装置26により分割して構成し、そのうち後側の主供給搬送装置25を、前後側の何れか一方に設けた縦軸縦軸44を中心に縦軸回動自在に設け、前記脱穀装置3の側部を開放するように構成しているから、縦軸44を中心に縦軸回動させるので、脱穀装置3の側部を大きく開放することができ、また、穀稈供給搬送装置18全体を側方回動させるのに比して前側供給搬送装置26の長さ分短い主供給搬送装置25を側方回動させるので、回動スペースを狭くでき、狭いスペースでも回動させて開放することができる。
【0029】
また、前側供給搬送装置26は、走行速度と同調して変速される刈取前処理装置4の回転(作業速度)に合わせるように構成しているが、この前側供給搬送装置26を機体側に残して、主供給搬送装置25を回動させるから、脱穀装置3の側部の穀稈供給搬送装置18の開放構成を簡単にできる。
この場合、実施例ではチエン案内レール30の前記前側受動輪体31より後側部分に縦軸44を設けているから、開放(回動)角度を大きくできる。
前記前側供給搬送装置26に回転を伝達するギヤボックス50は取付部材58の上部に固定し、取付部材58の下部は前記支持架台15に固定しているから、支持架台15に設けることにより刈取前処理装置4に対するギヤボックス50の位置決めが容易かつ正確になり、ひいては前側供給搬送装置26の取付精度を向上させることができる。また、支持架台15に連結固定しており、支持架台15それ自体堅牢構造であるから、充分な支持強度を確保できる。また、取付部材58を含めたギヤボックス50あるいは前側供給搬送装置26の着脱を容易にでき、メンテナンスを容易にできる。
【0030】
しかして、ギヤボックス50および回動アーム66の上方に臨む入口漏斗62の部分は可動部80に形成し、可動部80はその内側部分を入口漏斗62の本体に回動自在に取付け、可動部80には長孔81を形成し、前側供給搬送装置26側の係合軸81aを前記長孔81に係合させているから、前側供給搬送装置26の先端が上下してもこれに干渉しないように可動部80が上下する。また、可動部80は入口漏斗62の前部の左側の角部を頂点とする平面視三角形状に形成しているから、可動部80が上動すると、脱穀室に向かって低く傾斜して、穀稈をおよび落下物を脱穀装置3に一層円滑に誘導案内する。また、前記可動部80を弾性部材により形成した場合は、低いコストにより干渉防止構成にすることができる。
しかして、前記前側供給搬送装置26の外側にはカバー90を設けているから、下側のチエンに穀稈が絡み付くのを防止する。
また、カバー90は前後方向の縦板により形成し、前端は始端側供給装置33の前側歯車36に掛け回したチエン38の先端軌跡より前方および上方を包囲するように位置させ、後端は主供給搬送装置25の前側部分に臨ませ、また、下端は前側供給搬送装置26を上方回動させたとき、送風唐箕カバー91の上部と重合するように設けているから、前側供給搬送装置26が上下回動しても追随して包囲できる。
【0031】
【効果】
本発明は、刈取前処理装置4側には、脱穀装置3に穀稈を供給する穀稈供給搬送装置18に刈取穀稈を引き継ぐ引継搬送装置19を設け、前記穀稈供給搬送装置18は、前記引継搬送装置19から刈取穀稈を受取る前側供給搬送装置26と、該前側供給搬送装置26から前記刈取穀稈を受け取って機体後方に搬送する主供給搬送装置25とに分割形成し、前記前側供給搬送装置26は、前記主供給搬送装置25の前方に主供給搬送装置25と略同一直線状に始端側供給装置33を設け、該始端側供給装置33の終端側部と前記主供給搬送装置25の始端側部の夫々に側面視において略重なる終端側供給装置34を始端側供給装置33および前記主供給搬送装置25の内側に設けて構成し、前記前側供給搬送装置26は前記引継搬送装置19と同一搬送速度にするとともに、走行速度と同調して変速するように構成し、前記前側供給搬送装置26の内側にギヤボックス50を設け、該ギヤボックス50は脱穀装置3の穀稈供給口63に穀稈を案内する入口漏斗62の下方に位置させ、前記前側供給搬送装置26は、前記始端側供給装置33の先端を回動自在に構成して、始端側供給装置33の刈取前処理装置4側が高く、始端側供給装置33の脱穀装置3側が低く傾斜させられるように構成すると共に、前記終端側供給装置34の終端部を、前記主供給搬送装置25の始端側と略同じ高さにし、前記入口漏斗62は、前記刈取前処理装置4側が高く、前記脱穀装置3側が低くなるように傾斜させ、前記入口漏斗62の前記刈取前処理装置4側に、前記刈取前処理装置4側が高く、前記脱穀装置3側が低くなるように傾斜させた弾性搬送案内体75を設けたコンバインの穀稈供給搬送装置としたものであるから、引継搬送装置19は走行速度と同調して搬送して、引き続き同じ搬送速度の始端側供給装置33にのみ引き継ぐので、引継が円滑、かつ、確実であり、次ぎに、始端側供給装置33に株元が挟持搬送されている状態で、これよりやや穂先側が終端側供給装置34に同じ搬送速度で引き継がれるので、ここでも引継は円滑、かつ、確実であり、次ぎに、終端側供給装置34が挟持搬送している状態で主供給搬送装置25に引き継ぐので、搬送速度が相違するにもかかわらず円滑・確実に引き継がれ、搬送乱れは生じない。また、入口漏斗62も刈取前処理装置4側を高く、脱穀装置3を低く傾斜させ、入口漏斗62の刈取前処理装置4側には、刈取前処理装置4側を高く、脱穀装置3を低く傾斜させた弾性搬送案内体75を設けているから、引継搬送装置19の終端まで搬送された穀稈は、弾性搬送案内体75により入口漏斗62に案内され、脱穀室に供給される。したがって、穀稈の搬送姿勢に重力が良好に作用し、搬送不良、稈こぼれ、籾の扱室からの吹出がなくなり、作業を安定させる。
本発明は、前記刈取前処理装置4側に設けた刈取穀稈を搬送する搬送装置11のうちの穂先側搬送装置11aの終端側は、前記引継搬送装置19が搬送する穀稈の穂先側を搬送するように構成し、前記始端側供給装置33の前側歯車36の高さ位置と、前記引継搬送装置19の終端部と平面視重なる前記穂先側搬送装置11aの搬送ラグ43が搬送穀稈から離れる略作用終了域の高さ位置と、前記引継搬送装置19の終端の高さ位置とが、正面視において、穀稈搬送姿勢が略直線状になるように配置したコンバインの穀稈供給搬送装置としたものであるから、穀稈は同時に3か所挟持搬送されて稈こぼれを防止でき、しかも、配置の工夫であるから、コストを上昇させずに、コンパクトに無駄のない合理的な構成にできる。
本発明は、前記始端側供給装置33のチエン38と終端側供給装置34のチエン42は、夫々独立して緊張させ得るようにしたコンバインの穀稈供給搬送装置としたものであるから、最適な状態で搬送することができる。
本発明は、前記前側供給搬送装置26の始端側供給装置33のチエン38の上方には、穀稈を弾力的に押し付ける挟持用案内ガイド82を設けたコンバインの穀稈供給搬送装置としたものであるから、始端側供給装置33は穀稈を挟持搬送でき、良好に引継ぐだけでなく、終端側供給装置34への引継も良好にできる。
本発明は、前記前側供給搬送装置26の終端側供給装置34のチエン42の上方には、穀稈を弾力的に押し付ける挟持用案内ガイド82aを設けたコンバインの穀稈供給搬送装置としたものであるから、良好に引継ぐだけでなく、主供給搬送装置25への引継も良好にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 刈取部の側面図。
【図2】 同平面図。
【図3】 刈取部と穀稈供給搬送装置の側面図。
【図4】 前側供給搬送装置の展開状態の概略平面図。
【図5】 穂先側搬送装置と株元側引継搬送装置と前側供給搬送装置との配置の実施例の展開状態の概略平面図。
【図6】 同背面図。
【図7】 前側供給搬送装置とギヤボックスの展開状態の概略平面図。
【図8】 脱穀装置の概略正面図。
【図9】 刈取部の側面図。
【図10】 前側供給搬送装置付近の概略平面図。
【図11】 同側面図。
【図12】 穂先側搬送装置と株元側引継搬送装置と前側供給搬送装置との配置の実施例で前側供給搬送装置を上下させた状態の説明図。
【図13】 前側供給搬送装置の上下機構の他の実施例図。
【図14】 前側供給搬送装置の上下機構の他の実施例図。
【図15】 入口漏斗の他の実施例図。
【図16】 同斜視図。
【図17】 同作用状態図。
【図18】 挟持用案内ガイドの側面図。
【図19】 カバーの縦断正面図。
【図20】 同上方位置の側面図。
【図21】 同下方位置の側面図。
【符号の説明】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取前処理装置、5…分草体、6…引起装置、7…スターホイル、8…掻込装置、9…刈刃、10…株元側搬送装置、11…穂先側搬送装置、12…刈取フレーム、13…縦支持フレーム、14…横伝動筒、15…支持架台、16…刈取上下シリンダ、17…扱深さ調節装置、18…穀稈供給搬送装置、19…株元側引継搬送装置、20…扱深さ調節用アクチュエータ、21…ポテンショメータ、23…案内ローラ、24…引継搬送用アクチュエータ、25…主供給搬送装置、26…前側供給搬送装置、27…挾扼杆、28…搬送供給チエン、29…上部カバー、30…チエン案内レール、31…前側受動輪体、32…後側受動輪体、33…始端側供給装置、34…終端側供給装置、35…案内レール、36…前側歯車、37…後側歯車、38…チエン、39…取付軸、40…前側歯車、41…後側歯車、42…チエン、45…支持体、44…縦軸、46…支持部材、47…回動アーム、48…回転軸、50…ギヤボックス、51…歯車、52…入力軸、53…入力歯車、54…入力プーリ、55…出力プーリ、56…ベルト、57…刈取部入力プーリ、58…取付部材、60…筒部材、61…歯車、62…入口漏斗、64…ボス、65…ブリーザ孔、66…回動アーム、67…縦杆、68…ボルト、69…横杆、70…取付体、71…ボルト、72…ロッド、73…アクチュエータ、74…アーム、75…弾性搬送案内体、76…係合部、76a…ワイヤ、77…扱深さセンサ、80…可動部、81…長孔、81a…係合軸、82、82a…挟持用案内ガイド、83…回動アーム、84…軸、85…バネ、86…取付杆、88…取付フレーム、89…ロッド、87…軸、90…カバー、91…送風唐箕カバー、92…ボルト。
Claims (5)
- 刈取前処理装置(4)側には、脱穀装置(3)に穀稈を供給する穀稈供給搬送装置(18)に刈取穀稈を引き継ぐ引継搬送装置(19)を設け、前記穀稈供給搬送装置(18)は、前記引継搬送装置(19)から刈取穀稈を受取る前側供給搬送装置(26)と、該前側供給搬送装置(26)から前記刈取穀稈を受け取って機体後方に搬送する主供給搬送装置(25)とに分割形成し、前記前側供給搬送装置(26)は、前記主供給搬送装置(25)の前方に主供給搬送装置(25)と略同一直線状に始端側供給装置(33)を設け、該始端側供給装置(33)の終端側部と前記主供給搬送装置(25)の始端側部の夫々に側面視において略重なる終端側供給装置(34)を始端側供給装置(33)および前記主供給搬送装置(25)の内側に設けて構成し、前記前側供給搬送装置(26)は前記引継搬送装置(19)と同一搬送速度にするとともに、走行速度と同調して変速するように構成し、前記前側供給搬送装置(26)の内側にギヤボックス(50)を設け、該ギヤボックス(50)は脱穀装置(3)の穀稈供給口(63)に穀稈を案内する入口漏斗(62)の下方に位置させ、前記前側供給搬送装置(26)は、前記始端側供給装置(33)の先端を回動自在に構成して、始端側供給装置(33)の刈取前処理装置(4)側が高く、始端側供給装置(33)の脱穀装置(3)側が低く傾斜させられるように構成すると共に、前記終端側供給装置(34)の終端部を、前記主供給搬送装置(25)の始端側と略同じ高さにし、前記入口漏斗(62)は、前記刈取前処理装置(4)側が高く、前記脱穀装置(3)側が低くなるように傾斜させ、前記入口漏斗(62)の前記刈取前処理装置(4)側に、前記刈取前処理装置(4)側が高く、前記脱穀装置(3)側が低くなるように傾斜させた弾性搬送案内体(75)を設けたコンバインの穀稈供給搬送装置。
- 請求項1において、前記刈取前処理装置(4)側に設けた刈取穀稈を搬送する搬送装置(11)のうちの穂先側搬送装置(11a)の終端側は、前記引継搬送装置(19)が搬送する穀稈の穂先側を搬送するように構成し、前記始端側供給装置(33)の前側歯車(36)の高さ位置と、前記引継搬送装置(19)の終端部と平面視重なる前記穂先側搬送装置(11a)の搬送ラグ(43)が搬送穀稈から離れる略作用終了域の高さ位置と、前記引継搬送装置(19)の終端の高さ位置とが、正面視において、穀稈搬送姿勢が略直線状になるように配置したコンバインの穀稈供給搬送装置。
- 請求項1または請求項2において、前記始端側供給装置(33)のチエン(38)と終端側供給装置(34)のチエン(42)は、夫々独立して緊張させ得るようにしたコンバインの穀稈供給搬送装置。
- 請求項1または請求項2または請求項3において、前記前側供給搬送装置(26)の始端側供給装置(33)のチエン(38)の上方には、穀稈を弾力的に押し付ける挟持用案内ガイド(82)を設けたコンバインの穀稈供給搬送装置。
- 請求項1または請求項2または請求項3または請求項4において、前記前側供給搬送装置(26)の終端側供給装置(34)のチエン(42)の上方には、穀稈を弾力的に押し付ける挟持用案内ガイド(82a)を設けたコンバインの穀稈供給搬送装置。
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