JP3866854B2 - 表面処理装置および方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、ダイヤモンド、CBN等の機能性多結晶薄膜を基板上に成膜するなど、基板を表面処理する装置および方法に関し、特に、高成膜速度で高品質の膜を成膜することができる装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来より、トーチで発生させたアーク放電の熱エネルギーにより、原料ガスをプラズマ化し、これをノズルを介して、プラズマジェットとして基板に噴射させることにより、基板上にダイヤモンド薄膜を気相合成により成膜するなどの表面処理を行う装置が、成膜加工などの分野で採用されている。この種の技術として特開昭64−33096号公報に記載されたものがある。
【0003】
すなわち、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、ダイヤモンド、CBN等の機能性多結晶薄膜を成膜するには、直流アーク放電によりアーク放電経路を生成し、このアーク放電経路で発生する熱エネルギーを、原料ガス(メタンガスなど)および水素、酸素、ハロゲンガス、不活性ガスなどの放電ガス(プラズマ形成用のガス)に与えることで、原料ガスの分解した中性ラジカルおよびプラズマ形成用ガスの分解した原子状ガスを生成するようにしている。
【0004】
そして、これらアーク放電により励起された原料ガスおよびプラズマ形成用ガスが、ノズルを介して基板上まで到達され、基板上でダイヤモンド薄膜などが成膜される。
【0005】
この場合に、アーク放電により励起された原料ガスおよびプラズマ形成用ガスの活性化状態を維持して基板上まで到達させることが、高成膜速度で高品質の薄膜を成膜する上で必要となる。
【0006】
ここで、原料ガスの活性化率は、温度のみならず、圧力も関係している。
【0007】
たとえば、ダイヤモンド薄膜を成膜する場合を想定する。
【0008】
この場合、原料ガスであるCH4(メタン)がCH3ラジカルと原子状水素Hに分解されるが、この分解によって生成されたCH3ラジカルが成膜に寄与する。したがって、CH3ラジカルの濃度を高くすれば、成膜が高速で品質よく行われる。反応が進行し過ぎてCH3ラジカルが更に分解されると、成膜に寄与するCH3ラジカルが減り、成膜が高速で品質よく行われなくなる。
【0009】
結局、反応がCH3ラジカルとHの分解にとどまり、CH3ラジカル濃度が高くなり、成膜が高速で品質よく行われるという温度範囲、圧力範囲が存在し、それは図3に示される。
【0010】
図3は、温度と圧力によって変化するCH3ラジカル濃度を示している。ただし、CH4とH2が体積比でそれぞれ5%、95%となっている場合である。
【0011】
この図3からもわかるように、概ね2900K〜3200KでCH3ラジカル濃度は最大となり、圧力を100torrから760torr(1気圧)へと高くするほど、CH3ラジカル濃度を高くすることができる。
【0012】
しかし、従来の直流アーク放電により原料ガスの活性化を行う技術によれば、原料ガスを活性化に適した温度にまで上昇させることはできるものの、さらに活性化率を高めるために原料ガスの圧力を高くすることはできない。
【0013】
これは、原料ガスの圧力を高くすると、アーク放電自体が困難となったり、電極の消耗が激しくなるからである。また、圧力上昇によって、活性化できる領域が非常に狭くなってしまうという問題もある。
【0014】
また、アーク放電による方法は、原料ガスの使用量が多く、電気エネルギーを投入したガスをチャンバ外に排出しているため、原料ガスの利用効率および電気エネルギーの利用効率が悪いという問題もある。
【0015】
また、マイクロ波を原料ガスに投入して原料ガスを活性化する方法において原料ガスの圧力を高くする試みがなされているが、圧力を高くするほど活性化できる領域が狭くなってしまい、高速で高品質の成膜を行うことは難しい。
【0016】
また、熱フィラメントにより原料ガスを加熱して活性化する方法において原料ガスの圧力を高くした場合には、熱フィラメントの消耗が激しくなるので、これを採用することはできない。
【0017】
本発明は、こうした実状に鑑みてなされたものであり、原料ガスを高圧にしても電極、熱フィラメント等の部品が消耗したり、活性化領域が狭くなったりするなどの不都合をなくして、成膜等各種表面処理に高速かつ高品質で行うとともに、高い原料ガス利用効率、高いエネルギー効率を達成することができる表面処理装置および表面処理方法を提供することを解決課題とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段および効果】
そこで、本発明の第1発明では、上記解決課題を達成するために、
自身の分解によって少なくともCH 3 を発生させる原料ガスを所定の温度範囲でかつ所定の圧力範囲となる条件で活性化して、この活性化したガスを基板に供給することにより、当該基板を前記原料ガスにより表面処理しダイヤモンドを成膜する表面処理装置において、
前記原料ガスをシリンダ内に密閉して、ピストンを下死点から上死点まで作動させることにより前記シリンダ内の原料ガスを断熱圧縮して、前記ピストンの上死点側に配置された基板に、前記原料ガスを供給するようにしている。
【0019】
第1発明では、図1に示されるように、原料ガス6がシリンダ1内に密閉され、ピストン2が下死点2aから上死点2bまで作動されることによってシリンダ1内の原料ガス6が断熱圧縮される。これによって、原料ガス6が活性化に適した高い温度範囲であって高い圧力にされ、成膜に寄与する活性種である中性ラジカルの濃度が高められる。しかも、断熱圧縮によりシリンダ1内に密閉された原料ガス6が隅々まで活性化され、従来のように活性化領域が狭くなることはない。さらに、断熱圧縮による方法をとっており電極、熱フィラメント等を必要としないので、従来のようにこれらの部品が消耗することはない。
【0020】
こうして断熱圧縮により、高い濃度の中性ラジカルが得られ、この多量の原料ガス6の中性ラジカルが、ピストン2の上死点2b側に配置された基板10に供給されることで、成膜が高速かつ高品質に行われる。さらに、断熱圧縮によりエネルギーを原料ガス6に与えており、原料ガスの利用効率およびエネルギーの利用効率を高めることができる。
【0021】
また、第2発明では、第1発明において、前記ピストンが上死点まで作動されたときに前記原料ガスが活性化に適した温度となるように、前記ピストンが下死点にあるときに前記シリンダ内の原料ガスを予め所定の温度まで上昇させておく予備加熱手段を、さらに具えるようにしている。
【0022】
第2発明によれば、予備加熱手段11により、ピストン2が下死点2aにあるときにシリンダ1内の原料ガス6が予め所定の温度まで上昇されておかれ、ピストン2が上死点2bまで作動されたときに原料ガス6が活性化に適した温度にされる。
【0023】
また、第3発明では、第1発明において、
前記ピストンが上死点まで作動されたときにスキッシュ流となって、前記原料ガスが前記基板上に供給されるように、前記シリンダと前記ピストンとの間にスキッシュエリアを形成するようにしている。
【0024】
第3発明によれば、図2に示すように、シリンダ1とピストン2との間にスキッシュエリア20が形成されており、ピストン2が上死点2bまで作動されたときにスキッシュ流21となって、原料ガス6の中性ラジカルが基板10上に供給される。このスキッシュ流21は、流速の大きいジェット流であり、渦を発生するスワール流である。
【0025】
よって、スキッシュ流21によって、きわめて速い流速で原料ガス6の中性ラジカルが基板10に到達する。また、原料ガス6がスワール流となることによって原料ガス6全体の温度が均一になるとともに、基板全体にわたって均一に原料ガス6の中性ラジカルが到達する。また、スキッシュエリア20から噴出されるジェット流によって、シリンダ1とピストン2との間に存在する全ての原料ガス6を隅々に至るまで、基板10上に搬送することができ、原料ガス6の利用効率がさらに高められる。
【0026】
また、第4発明では、自身の分解によって少なくともCH 3 を発生させる原料ガスを所定の温度範囲でかつ所定の圧力範囲となる条件で活性化して、この活性化したガスを基板に供給することにより、当該基板を前記原料ガスにより表面処理しダイヤモンドを成膜する表面処理方法において、
前記原料ガスをシリンダ内に密閉する密閉行程と、
前記ピストンを下死点から上死点まで作動させることにより前記シリンダ内の原料ガスを断熱圧縮する断熱圧縮行程と、
前記ピストンが上死点まで作動された際に、前記ピストンによって断熱圧縮された前記原料ガスを、上死点側に配置された基板に、供給するガス供給行程と
を具えている。
【0027】
第4発明の方法によれば、第1発明の装置と同様の効果が得られる。
【0028】
また、第5発明では、第4発明において、
前記ピストンが上死点まで作動されたときに前記原料ガスが活性化に適した温度となるように、前記ピストンが下死点にあるときに前記シリンダ内の原料ガスを予め所定の温度まで上昇させておく予備加熱行程を、
前記断熱圧縮行程の前に実行するようにしている。
【0029】
第5発明の方法によれば、第2発明の装置の同様の効果が得られる。
【0030】
また、第6発明では、自身の分解によって少なくともCH 3 を発生させる原料ガスを所定の温度範囲でかつ所定の圧力範囲となる条件で活性化して、この活性化したガスを基板に供給することにより、当該基板を前記原料ガスにより表面処理しダイヤモンドを成膜する表面処理方法において、
前記原料ガスをシリンダ内に密閉する密閉行程と、
前記ピストンを下死点から上死点まで作動させることにより前記シリンダ内の原料ガスを断熱圧縮する断熱圧縮行程と、
前記ピストンが上死点まで作動された際に、前記ピストンによって断熱圧縮された前記原料ガスを、スキッシュ流にして、上死点側に配置された基板に、供給するガス供給行程と
を具えるようにしている。
【0031】
第6発明の方法によれば、第3発明の装置と同様の効果が得られる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る表面処理装置および方法の実施の形態について説明する。
【0033】
なお、本実施形態では、表面処理として、ダイヤモンド薄膜を成膜する場合を想定している。
【0034】
図1は、実施形態の全体構成図であり、ダイヤモンド薄膜を気相成長させる装置を示している。図2は、スキッシュ流発生の様子を示す図であり、図1の一部を取り出して示したものである。
【0035】
本実施形態装置は、図1、図2に示すように、大きくは、原料ガス6が密閉されているシリンダ1と、下死点2aから上死点2bまで作動されることによりシリンダ1内の原料ガス6を断熱圧縮するピストン2と、ピストン2の上死点2b側に配置され、ピストン2により圧縮された原料ガス6が供給される基板10とから構成されている。
【0036】
ピストン2は、油圧プレス3を駆動源として、下死点2aから上死点2bまでの方向Aに向けてシリンダ1内を摺動しつつ下降移動されるとともに、上死点2bから下死点2aまでの方向Bに向けてシリンダ1内を摺動しつつ上昇移動される。ここで、ピストン2がA方向に下降移動し、さらにB方向に上昇移動することで元の位置に復帰するまでの行程を、この実施形態では1行程と呼ぶ。この明細書では、油圧プレス3に最も近くなるピストン2の位置を下死点2aと呼び、油圧プレス3から最も遠くなるピストン2の位置を上死点2bと呼ぶ。
【0037】
なお、油圧プレス3以外の駆動源を使用してもよい。
【0038】
シリンダ1内は、シリンダ径の大きい予備加熱室8と、基板10が配置された、シリンダ径の小さい成膜室9とに分かれている。
【0039】
これらシリンダ1とピストン2による圧縮比は、たとえば16に設定される。
【0040】
シリンダ1内には、ガス供給路4を介して、原料ガス6と希釈用ガス7が供給される。この実施形態では、原料ガス6は、CH4(メタン)ガスが使用される。また、この原料ガス6を希釈するための希釈用ガス7は、H2(水素)ガスが使用される。
【0041】
水素ガス7に対するメタンガス6の体積比は、1気圧下で、CH4/H2=5/95の比とする。
【0042】
このような体積比の原料ガス6および希釈用ガス7は、ガス供給路4に設けられたバルブ5が開かれることによりシリンダ1の予備加熱室8に導入される。
【0043】
シリンダ1には、予備加熱室8内に導入された原料ガス6および希釈用ガス7を、予め所定の温度、たとえば500°C程度まで上昇させておくヒータ11が配設されている。すなわち、ヒータ11は、ヒータ用電源12を電源として作動され、予備加熱室温度コントローラ13によって制御される。予備加熱室温度コントローラ13は、温度センサである熱電対14で検出された予備加熱室8内の温度検出信号をフィードバック信号として、予備加熱室8内の温度をフィードバック制御する。つまり、予備加熱室温度コントローラ13からヒータ11に対して駆動制御信号が出力されることで予備加熱室8内の温度が上記所定の温度まで上昇され、この所定の温度に維持される。
【0044】
また、基板10の下方には、この基板10の温度を所定の温度に調整するための基板加熱用ヒータ15が配設されている。すなわち、基板加熱用ヒータ15は、基板加熱用ヒータ電源17を電源として作動され、基板用温度コントローラ18によって制御される。基板用温度コントローラ18は、温度センサである熱電対16で検出された基板10の温度検出信号をフィードバック信号として、基板10の温度をフィードバック制御する。つまり、基板用温度コントローラ18から基板加熱用ヒータ15に対して駆動制御信号が出力されることで基板10の温度が、ダイヤモンド薄膜生成のために適正な反応温度、たとえば500°C〜1200°Cの適正温度範囲内に保持される。なお、ピストン2が上死点2bまで下降され、成膜がなされるときには、600°C〜1200°Cの温度範囲内に保持される。
【0045】
なお、ヒータ15以外に、冷却水を基板10の下面に向けて噴射することで基板10を冷却する冷却装置を設けて、上記温度制御を行うようにしてもよい。
【0046】
また、ピストン2の上昇下降の行程が数行程がなされると、上記CH4/H2の体積比が5/95からずれてくることがある。そこで、数工程が繰り返されたなら、排気管路19を介して予備加熱室8内のガスを排気して、体積比を調整してもよい。なお、この排気管路19は排気時以外は、シリンダ1内のガスが排出されないように排気管路19は閉じられているものとする。
【0047】
また、上記ピストン2は下降移動によって断熱圧縮を行うものであり、シリンダ1の壁は断熱材料で構成されている。ただし、基板10の下方に向かう方向には熱が逃げられるようにしておく。
【0048】
また、図2に示すように、シリンダ1とピストン2との間には、スキッシュエリア20が形成されている。すなわち、シリンダ1の予備加熱室8の径に対して成膜室9の径が小さくなっており、これによりスキッシュエリア20が形成される。スキッシュエリア20は、ピストン2が上死点2bに位置されたときにシリンダ1とピストン2との間に形成されるごく狭いすきまのことである。
【0049】
ピストン2が上死点2bまで圧縮されると、スキッシュエリア20から基板10に向けてスキッシュ流21が発生する。スキッシュ流21は、流速の大きいジェット流であり、渦を発生するスワール流である。
【0050】
つぎに、図1に示す装置を用いて行われる成膜処理の手順について説明する。
【0051】
(行程1)原料ガス6および希釈ガス7の導入
まず、バルブ5が開かれ、ガス供給路4を介して、水素ガス7に対するメタンガス6の体積比が、1気圧下で、CH4/H2=5/95の比となるように、これら原料ガス6および希釈用ガス7が、シリンダ1の予備加熱室8内に導入される。ガス導入後は、バルブ5が閉じられる。
【0052】
(行程2)予備加熱および基板温度調整
つぎに、予備加熱室温度コントローラ13によりヒータ11が制御され、シリンダ1の予備加熱室8内に導入された原料ガス6および希釈用ガス7の温度が、予め500°C程度まで上昇され、この温度に保持される。
【0053】
また、基板用温度コントローラ18により基板加熱用ヒータ15が制御され、基板10の温度が、ダイヤモンド薄膜生成のために適正な反応温度、たとえば500°C〜1200°Cの適正温度範囲内に保持される。なお、ピストン2が上死点2bまで下降され、成膜がなされるときには、600°C〜1200°Cの温度範囲内に保持される。
【0054】
なお、つぎの断熱圧縮行程で、ピストン2が上死点2bに到達したときに原料ガス6を活性化に適した温度範囲(1500°C〜3500°C)まで上昇させることができるのであれば、上記予備加熱の処理を省略する実施も可能である。
【0055】
(行程3)断熱圧縮行程
つぎに、油圧プレス3が駆動されることにより、ピストン2が下死点2aから上死点2bまで矢印A方向に下降移動され、これによりシリンダ1内の原料ガス6および希釈用ガス7が断熱圧縮される。これによって、原料ガスであるCH4が活性化に適した高い温度範囲、たとえば1500°C〜3500°Cまで上昇されるとともに、活性化率の高い大きな圧力まで上昇される。このため、CH4の分解反応は、CH4→CH3+Hにとどまり、成膜に寄与する中性ラジカルCH3の濃度が高められる。
【0056】
しかも、断熱圧縮によってシリンダ1内に密閉された原料ガス6が隅々まで活性化され、従来のように活性化領域が狭くなることはない。さらに、断熱圧縮による方法をとっており電極、熱フィラメント等を必要としないので、従来のようにこれらの部品が消耗することはない。
【0057】
こうして断熱圧縮により、高い濃度の中性ラジカルCH3が得られ、この多量の中性ラジカルCH3が、ピストン2の上死点2b側に配置された基板10に供給されることで、成膜が高速かつ高品質に行われる。さらに、断熱圧縮によりエネルギーを原料ガス6に与えているので、原料ガス6の利用効率およびエネルギーの利用効率を高めることができる。
【0058】
しかも、本実施形態によれば、シリンダ1とピストン2との間にスキッシュエリア20が形成されており、ピストン2が上死点2bまで作動されたときにスキッシュ流21となって、原料ガス6の中性ラジカルCH3が基板10上にきわめて速い流速で到達する。
【0059】
また、原料ガス6がスワール流となることによって原料ガス6全体の温度が均一になるとともに、基板10の全体にわたって均一に原料ガス6の中性ラジカルCH3が到達する。また、スキッシュエリア20から噴出されるジェット流によって、シリンダ1とピストン2との間に存在する全ての原料ガス6を隅々に至るまで、基板10上に搬送することができ、原料ガス6の利用効率がさらに高められる。
【0060】
このようにしてスキッシュエリア20を設けることによって、さらに成膜の速度、成膜の品質を高めることができる。
【0061】
(行程4)ピストン保持
ピストン2は、上死点2b位置に、0〜数分保持される。保持時間は、成膜の種類等に応じて決定される。
【0062】
(行程5)ピストン上昇
その後、油圧プレス3が駆動されることにより、ピストン2が下死点2aまで上昇移動される。そして、基板10上のダイヤモンド成膜で消費された分の炭素(C)を補充するために、バルブ5が開かれ、原料ガスであるメタン(CH4)がガス供給路4からシリンダ1の予備加熱室8内に、補充に必要な分だけ導入される。
【0063】
以上が1行程である。以後、手順は行程2に移行され、同様の処理が繰り返し実行される。
【0064】
なお、数行程がなされると、上記CH4/H2の体積比が理想の体積比5/95からずれてくることがある。そこで、数行程が繰り返されたなら、排気管路19を開き、予備加熱室8内のガスを排気して、体積比を調整してもよい。なお、この排気処理が不要であるならば、排気管路19の配設を省略する実施も可能である。
【0065】
以上説明した実施形態では、ダイヤモンド薄膜を成膜加工する場合を想定しているが、本発明としては、原料ガスを基板に到達させることで表面処理を行うものであれば、エッチング、酸化、窒化等の各種表面処理に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施形態装置の構成を示す図である。
【図2】図2は図1に示す装置でスキッシュ流が発生する様子を示す図である。
【図3】図3は温度と圧力によって変化するラジカル濃度を示す図である。
【符号の説明】
1 シリンダ
2 ピストン
4 ガス供給路
6 原料ガス
7 希釈用ガス
8 予備加熱室
9 成膜室
10 基板
11 ヒータ
13 予備加熱室温度コントローラ
15 基板加熱用ヒータ
18 基板用温度コントローラ
20 スキッシュエリア
21 スキッシュ流
Claims (6)
- 自身の分解によって少なくともCH 3 を発生させる原料ガスを所定の温度範囲でかつ所定の圧力範囲となる条件で活性化して、この活性化したガスを基板に供給することにより、当該基板を前記原料ガスにより表面処理しダイヤモンドを成膜する表面処理装置において、
前記原料ガスをシリンダ内に密閉して、ピストンを下死点から上死点まで作動させることにより前記シリンダ内の原料ガスを断熱圧縮して、前記ピストンの上死点側に配置された基板に、前記原料ガスを供給するようにした
表面処理装置。 - 前記ピストンが上死点まで作動されたときに前記原料ガスが活性化に適した温度となるように、前記ピストンが下死点にあるときに前記シリンダ内の原料ガスを予め所定の温度まで上昇させておく予備加熱手段を、さらに具えるようにした請求項1記載の表面処理装置。
- 前記ピストンが上死点まで作動されたときにスキッシュ流となって、前記原料ガスが前記基板上に供給されるように、前記シリンダと前記ピストンとの間にスキッシュエリアを形成するようにした請求項1記載の表面処理装置。
- 自身の分解によって少なくともCH 3 を発生させる原料ガスを所定の温度範囲でかつ所定の圧力範囲となる条件で活性化して、この活性化したガスを基板に供給することにより、当該基板を前記原料ガスにより表面処理しダイヤモンドを成膜する表面処理方法において、
前記原料ガスをシリンダ内に密閉する密閉行程と、
前記ピストンを下死点から上死点まで作動させることにより前記シリンダ内の原料ガスを断熱圧縮する断熱圧縮行程と、
前記ピストンが上死点まで作動された際に、前記ピストンによって断熱圧縮された前記原料ガスを、上死点側に配置された基板に、供給するガス供給行程と
を具えた表面処理方法。 - 前記ピストンが上死点まで作動されたときに前記原料ガスが活性化に適した温度となるように、前記ピストンが下死点にあるときに前記シリンダ内の原料ガスを予め所定の温度まで上昇させておく予備加熱行程を、
前記断熱圧縮行程の前に実行するようにした請求項4記載の表面処理装置。 - 自身の分解によって少なくともCH 3 を発生させる原料ガスを所定の温度範囲でかつ所定の圧力範囲となる条件で活性化して、この活性化したガスを基板に供給することにより、当該基板を前記原料ガスにより表面処理しダイヤモンドを成膜する表面処理方法において、
前記原料ガスをシリンダ内に密閉する密閉行程と、
前記ピストンを下死点から上死点まで作動させることにより前記シリンダ内の原料ガスを断熱圧縮する断熱圧縮行程と、
前記ピストンが上死点まで作動された際に、前記ピストンによって断熱圧縮された前記原料ガスを、スキッシュ流にして、上死点側に配置された基板に、供給するガス供給行程と
を具えた表面処理方法。
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