JP3866369B2 - 多重管形蛍光ランプおよび照明装置 - Google Patents

多重管形蛍光ランプおよび照明装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は発光管の周囲にガラス外管を配設した多重管形蛍光ランプおよびこれを用いた照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図12は、従来の2重管形蛍光ランプの断面図である。
【0003】
上記従来技術は、実公平4−52932号公報に記載されているものである。図において、101はガラス製の外管、104はガラス製の気密封止された封体管であり、これら外管101および封体管104と後述の保持材106、106により二重管構造が構成される。外管101の内壁と封体管104の外壁との間に1〜10mm程度の間隔で封体管104の外壁を囲む空隙Sが形成されるよう外管101は封体管104を囲繞し、これら両者はそれぞれの両端部において断熱性の保持材106、106により保持されている。また、封体管104の端部141、141がそれぞれ保持材106、106に埋設固定されるとともにこれらの保持材106、106がそれぞれ外管101の端部111、111に気密に嵌着されて外管101が気密封止され、封体管104と外管101と保持材106、106により二重管構造が構成されている。前記空隙Sは好ましくは減圧されて真空にされ、この場合には封体管104と外管101との断熱性の一層の向上を図ることができると述べられている。前記封体管104の内壁面には蛍光膜142が設けられており、ランプの全長Lが120mm以下、消費電力が2W以下であり、かつ封体管104の外径dが6mm以下である。外管101の外径Dは好ましくは20mm以下とされている。この二重管形蛍光ランプは液晶バックライトなどに用いられる。
【0004】
なお、図中102はフィラメント電極、103はリード線、105は水銀含浸合金である。
【0005】
上述した従来技術によれば、消費電力が2W以下であっても、二重管であるから、比較的低温雰囲気においても始動時に所要の温度上昇が得られるために、光束立ち上がりは外管を有さない蛍光ランプに比べて優れている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術においては長期間にわたって外管と封体管との間の気密性を維持することが困難であるために、断熱性を所要に制御して発光特性を長期間にわたって所望に制御することができない。
【0007】
たとえ気密性を維持できたとしても、外管内にH2O、O、H2などの不純ガスが残存すると、外管内が設計どおりの圧力にならない。
【0008】
また、外管の内面または封体管の外面に不純ガスが吸着されていると、寿命中にこれらの不純ガスが徐々に放出され、外管内の圧力が寿命中に変化することになる。
【0009】
外管内の圧力が所定値から外れると、外管内の断熱性が変化するために、発光特性が変化する。製造時に外管内の圧力がばらつくと、初期発光特性がばらつくという問題がある。
【0010】
また、外管内の圧力が寿命中に徐々に変化すると、発光特性が経時変化する。いずれにおいても、これらは蛍光ランプの品質に重大な問題を提起する。
【0011】
本発明は、初期発光特性のばらつきが少なくて、発光特性の経時変化を低減した多重管形蛍光ランプおよびこれを用いた照明装置を提供することにある。
【0012】
【課題を達成するための手段】
請求項1の発明の多重管形蛍光ランプは、細長い気密なガラスバルブ、ガラスバルブの両端部に封装された一対の電極、ガラスバルブの内面側に形成された蛍光体層およびガラスバルブ内に封入された放電媒体を備えてなる発光管と;発光管をその周囲に空間を形成して包囲しかつ両端が発光管のガラスバルブの両端部に封着されたガラス外管と;ガラス外管の内面および発光管の外面の少なくとも一方のほぼ全体に形成された粒径0.4〜0.5μm程度の金属酸化物微粒子からなる透明質のゲッターと;を具備していることを特徴としている。
【0013】
本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
【0014】
まず、ガラスバルブについて説明する。
【0015】
ガラスバルブは、ホウ珪酸ガラスなどの硬質ガラスまたは半硬質ガラスが好適であるが、要すればソーダライムガラス、鉛ガラスなどの軟質ガラスであってもよい。また、断面形状は、通常円形にするが、要すれば非円形たとえば楕円形その他任意の断面形状であることを許容する。さらに、長手方向の形状は、直管はもとより、環形、半円形、L字形、U字形、W字形など所望の形状にすることができる。
【0016】
本発明の多重管形蛍光ランプは、どのような用途の蛍光ランプにも適用してその期待する作用効果を発揮することができるので、用途は限定されない。したがって、発光管を構成するガラスバルブの外径および全長は任意に設定することができる。しかし、本発明は液晶などのバックライト、OA機器の読取および車載計器照明などに用いられる比較的細長でコンパクトな蛍光ランプにおいて格別顕著な作用効果を発揮する。そして、このような比較的細長でコンパクトな蛍光ランプの場合、本発明においては、発光管は、一般的には外径6mm以下好ましくは4mm以下、最適には3mm以下である。また、肉厚は一般的に1mm以下、好ましくは0.1〜0.7mm、最適には0.3mm程度である。さらに、全長は、一般的には任意長さとすればよいが、好ましくは30〜300mm、最適には50〜250mmである。
【0017】
次に、電極について説明する。
【0018】
電極は、上述のように蛍光ランプとしての用途が限定されないから、用途に応じて冷陰極および熱陰極のいずれか適当な方式の電極を選定することができる。しかし、比較的細長でコンパクトな蛍光ランプに本発明を適用する場合は、一般的に冷陰極を用いるのがよいが、本発明の性質から熱陰極を除外するものではないことを理解できるであろう。
【0019】
蛍光体層について説明する。
【0020】
蛍光体層は、ガラスバルブの内面に直接形成してもよいし、たとえば保護膜などを介して間接的に形成してもよい。また、使用する蛍光体はその用途に応じて任意所望のものを用いればよいが、たとえば読取用の蛍光ランプの場合は、希土類のリン酸塩蛍光体(LaPO4:Ce3+、Tb3+)のような単色発光蛍光体またはこれを含んだ蛍光体、バックライトおよび車載計器照明用の多重管形蛍光ランプの場合は、3波長発光形蛍光体またはハロリン酸塩蛍光体などの白色系の発光色の蛍光体を用いることができる。
【0021】
放電媒体について説明する。
【0022】
放電媒体は、水銀および希ガスたとえばネオンまたはアルゴンを主成分とする希ガスが多くの場合に使用される。
【0023】
また、キセノンガスおよび水銀を封入してキセノンガス放電および水銀蒸気放電の両者を生起させることによって、それぞれの波長をもった紫外線を発生させてもよい。この場合は、低温時の光束立ち上がりの問題はそれなりに改善されるが、さらに本発明の多重管形蛍光ランプによる光束立ち上がり改善効果を発揮するとともに、機械的強度向上の作用効果も加わる。さらにまた、水銀とともに封入される希ガスとしてはアルゴン、ネオンもしくはクリプトンの単体、またはアルゴンおよびネオン、アルゴン、ネオンおよびヘリウムのそれぞれの混合ガスを用いれば、ペニング効果による始動性の改善も得られる。
【0024】
水銀は、純水銀を直接封入してもよいし、アマルガムの形で封入してもよい。
【0025】
ガラス外管について説明する。
【0026】
ガラス外管は、ガラスバルブと同一材質のガラスを用いれば、熱膨張率は等しいが、熱膨張率が大きく相違していないで、しかもガラスバルブとの間の加工性に支障がなければ、異なったガラス材料を用いることができる。
【0027】
発光管の説明において述べたように、本発明は特定用途に限定されないから、ガラス外管も蛍光ランプの用途に応じて所望の寸法に設定することができるが、特に細長でコンパクトな蛍光ランプにおいては、ガラス外管は、一般的には外径8mm以下、好ましくは6mm以下、最適には4mm以下である。また、肉厚は、一般的には1mm以下、好ましくは0.1〜0.7mm、最適には0.3mm程度である。さらに、全長は、一般的には任意長さとすればよいが、好ましくは30〜300mm、最適には50〜250mmである。
【0028】
ガラス外管は、発光管に対して一般的には同心的位置関係において溶着されるが、発光管の周囲にガラス外管によって空隙が形成されていればよく、したがって偏心していても差し支えない。極端な場合、発光管の周面の一部がガラス外管に接触していても基本的には所期の作用効果が得られるので、これも許容される。なお、ガラス外管によって発光管の周囲に形成される間隙はその存在がわずかに分かる程度に小さくても所期の作用効果を奏する。
【0029】
また、本発明においては、ガラス外管は任意数をたとえば同心的に用いることができる。さらに、ガラス外管内は排気して減圧雰囲気にしてもよいし、真空度を高くして100Pa以下のいわゆる高真空にすることができる。
【0030】
ガラス外管と発光管のガラスバルブとの封着とは、両者のガラスの双方または一方が溶融して気密に固着することの他に、両者の熱膨張率とほぼ同じか、それらの中間の値を有する溶着用のガラス材料を介在させることによって気密に固着させてもよく、さらに他の部材を介在させて気密に固着させてもよい。
【0031】
さらに、ガラス外管は、一端が発光管の封着部に封着され、他端が発光管の封着部より中央側に封着されていることを許容する。
【0032】
上記において、ガラス外管が発光管の封着部に封着されているとは、ガラス外管の発光管への封着が発光管の封着部においてのみなされていることである。したがって、ガラス外管の発光管への封着部の軸方向における長さは、発光管の封着部の軸方向の長さより短い。
【0033】
また、ガラス外管が発光管の封着部より中央側に封着されているとは、ガラス外管が発光管の封着部とこれより中央側の部分とに跨って封着されているか、発光管の中央側においてのみ封着されていることである。前者の場合には、ガラス外管の封着部の軸方向における長さは、発光管の封着部の軸方向の長さより大きい。後者の場合には、ガラス外管の封着部の軸方向における長さは、発光管のそれより長いときと、短いときとがある。
【0034】
上記の構成は、ガラス外管を発光管の封着部に封着する構成は最初に封着する場合に好適であり、発光管の封着部より中央側に封着する構成は最後に封着する場合に好適である。
【0035】
さらに、ゲッターについて説明する。
【0036】
本発明においては、ゲッターは、発光管の外面およびガラス外管の内面の少なくとも一方のほぼ全体に形成されて、ガラス外管内の不純ガスを吸着するものである。
【0037】
ゲッターとしては、アルミナなどの金属酸化物微粒子、ジルコニウム、チタン、タンタルなどの固相の金属、液相の水銀などの各種ゲッターがあるが、本発明においては粒径0.4〜0.5μm程度の金属酸化物微粒子を用いるものである。
【0038】
粒径0.4〜0.5μm程度の金属酸化物微粒子を用いることにより、ガラス外管の内面および発光管の外面のいずれか一方または両方に透明性の良好なゲッター膜を形成することができる。ただし、ゲッターはガラス外管の内面と発光管の外面の両方に被着していることを許容するものである。
【0039】
また、ガラス外管の内面または発光管の外面に主としてアルミナおよびまたは酸化チタンなどの金属酸化物粒子からなる反射膜を、管軸に沿った光導出用のスリットを除いて形成した場合には、上記反射膜をゲッターとしても作用させることができる。この場合、反射膜を備えることにより、集光効果によってスリット部分の管面輝度を約倍にすることができる。
【0040】
ここで、2重管形蛍光ランプの製造方法の一例を説明する。
【0041】
まず、発光管を常法により製造する。
【0042】
次に、ガラス外管内に発光管を挿入し、両者の一端部を支持する。そして、ガラス外管の他端部をガスバーナ、電気ヒータなどで加熱すると、やがてガラス外管が軟化するので、発光管およびガラス外管の他端部を封着することができる。
【0043】
この場合、ガラス外管を発光管の封着部に封着する、すなわち発光管の封着長より、ガラス外管の発光管への封着長を短くなるようにすると、一層良好な封着を容易に行うことができる。
【0044】
なぜなら、最初に発光管の他端部にガラス外管の他端部を封着する際に、真空チャンバー内で封着する場合で説明すると、ガラス外管を発光管の封着部より中央側に少なくとも一部が跨って封着しようとすると、当該部分を生焼けしないようにするには加熱しなければならないから、当該部分を加熱すると、発光管内の圧力が相対的に高いから、発光管が膨れて封着不良を生じやすい。
【0045】
また、発光管内より圧力の高い減圧された不活性雰囲気内または大気中で封着しようとすると、この場合にも、発光管の封着部より中央側を加熱すると、発光管内が相対的に圧力が高いから、発光管が吸い込まれて変形し、発光管のガラスバルブがリード線や電極に接触してクラックの原因になる。
【0046】
さて、ガラス溶着により封着した他端を支持して、ガラス外管の一端部を排気装置に接続し、上記と同様にガラス外管全体を加熱しながら排気して、不純ガスを放出させる。
【0047】
最後に、排気を継続しながら一端部を加熱して他端部と同様にすると、発光管の外側に発光管を包囲するガラス外管を封着することができる。
【0048】
一般的には上記の方法で多重管形蛍光ランプを製造することができるが、さらにガラス外管と発光管との封着工程を簡素化する製造方法を次に説明する。
【0049】
すなわち、発光管の一端に電極を封着して他端の電極を封着する前の発光管の他端が開放状態のまま、発光管の一端とガラス外管の一端とをガラス溶着により封着する。
【0050】
次に、発光管およびガラス外管のそれぞれの他端をそれぞれ別に排気装置に接続して排気する。発光管内の所定位置には電極を支持しておくものとする。
【0051】
次に、発光管内には、水銀とネオンおよびアルゴンなどの希ガスとからなる放電媒体を充填し、一方ガラス外管内は10-1Pa程度の高真空状態にするか、またはたとえばキセノンを100Pa程度封入して、ガラス外管の他端部を外側からガスバーナで加熱して発光管およびガラス外管を封着する。なお、水銀はアマルガムとして予め電極の筒内に担持させておくことができる。
【0052】
ガラス外管内が発光管内より圧力が低い場合、ガスバーナで加熱してガラスが軟化し溶融すると、ガラス外管は大気圧に押されて内側へ吸い込まれる。
【0053】
これに対して、発光管はガラス外管より圧力が高いので、外側へ膨らみながら溶融する。
【0054】
その結果、ガラス外管と発光管とが最初にガラス溶着により封着する。
【0055】
ガラス外管と発光管とが封着すると、発光管内は大気圧より低圧なので、発光管は大気圧に押されて吸い込まれて封着される。
【0056】
以上説明した各製造方法において、ガラス外管内にキセノンを充填したのは、発光管のリード線を酸化しないため、および発光管への熱伝導を行わせるためである。したがって、この場合の充填ガスとしては、キセノンなどの希ガスのほかに窒素であってもよい。
【0057】
また、最後に封着する一端部側においては、ガラス外管を発光管の封着部より中央側にまで跨って封着するか、中央側の部分において封着すると、一層良好な封着を行いやすい。
【0058】
なぜなら、ガラス外管が発光管に封着する際に、発光管内の圧力がガラス外管内の圧力より高いので、発光管が軟化したときに外側へ膨らみ、ガラス外管との溶着を確実にするからである。ガラス外管および発光管を同時に封着する場合においても、最後に封着する端部においてガラス外管を発光管の封着部より中央側に封着することにより、ガラス外管と発光管との封着を確実にすることができる。しかも、発光管が封着されるときには、発光管の膨れは大気圧に押されてなくなるか、少なくなる。
【0059】
次に、本発明の作用について説明する。
【0060】
そうして、ガラスバルブの両端部とガラス外管の両端部とを封着したことにより、両者を従来技術のように格別異質の部材を用いることなく所定の位置関係を確実に保持しながら十分気密に封着することができ、構造が簡素化される。しかも、発光管およびガラス外管の相乗作用によって機械的強度が向上するから、相対的に肉薄のガラスバルブを用いることもできる。
【0061】
ガラス外管内を真空または希ガスなどの減圧雰囲気にすると、ガラス外管内の気体による対流作用が大幅に減少するか、なくなり、断熱作用によって低温時における始動時の光束立ち上がりは良好になる。
【0062】
に、ゲッター膜によるデガッシング作用について説明する。
【0063】
本発明におけるゲッター膜は、粒径が0.4〜0.5μm程度の金属酸化物微粒子からなるので、形成されるゲッター膜の透明性が良好であり、したがってガラス外管や発光管の光透過率を不所望に低下させることのないゲッター膜として好適である。なお、金属酸化物微粒子からなるゲッター膜は、ファン・デル・ワールスの分子間吸着力による物理吸着作用によってゲッター作用を行う。
【0064】
また、本発明において、上記ゲッター膜は、ガラス外管の内面および発光管の外面の少なくとも一方のほぼ全体に形成された発光管およびまたはガラス外管に吸着されていたH2O、H2、O2などの不純物が蛍光ランプの点灯による温度上昇により、ガラス外管内へ不純ガスとして放出されると、これを吸着してデガッシングを行う。このため、ガラス外管内は、不純ガスによって圧力が変化することがなくなる。
【0065】
したがって、ガラス管内は点灯の初期から寿命中を通じて常に設計のとおりの圧力を維持することができ、このため常に働程特性が良好になる。
【0066】
また、ゲッターは、上記のようにガラス外管の内面および発光管の外面の少なくとも一方のほぼ全体に形成されているものの透明質なので、ゲッターがガラス外管の光透過率を不所望に低下させることがない。
【0067】
さらに、ガラス外管内の製造過程における排気中においてもゲッター作用によりデガッシングを行わせることができるから、ガラス管の真空度を高めることができる。このため、製造のばらつきを低減し、排気時間を短縮することができる。
【0068】
さらにまた、蛍光ランプ製造過程においてデガッシングを効果的に行うには、ガラス外管の一端を発光管に封着後ガラス外管の他端を排気装置に接続して排気後、希ガスを適当な圧力たとえば大気圧ないし10Pa程度でガラス外管内に充填してから、排気炉に入れて加熱する。すると、ガラス外管だけでなく希ガスの熱伝導作用によって発光管も良好に温度上昇するから、ガラス外管内面および発光管外面のデガッシングが良好に行われる。
【0069】
これに対して、ガラス外管内を排気したのみの状態では、ガラス外管内が10−1Pa程度まで高真空になっているため、ガラス外管内の空間が断熱作用を行い、発光管外面の温度が所望に上昇しないので、デガッシングばかりでなく、発光管とガラス外管とのガラス溶着による封着にも支障を来す。
【0070】
さらにまた、より効果的にデガッシングを行わせるには、排気炉中で希ガスを最低1回ガラス外管内に充填するのがよい。この場合は、封入希ガスと発光管外面の温度差からウオッシング効果により、一層良好なデガッシングを行わせることができる。
【0071】
請求項の発明の多重管形蛍光ランプは、請求項1記載の多重管形蛍光ランプにおいて、発光管は、外径が6mm以下、肉厚1mm以下であり;ガラス外管は、外径が8mm以下、肉厚1mm以下である;ことを特徴としている。
【0072】
本発明は、液晶などのバックライト、読取および車載計器照明などの用途として用いられるような細長くてコンパクトな蛍光ランプとして一般的な発光管およびガラス外管のサイズを規定している。
【0073】
なお、好ましくは、発光管は、外径が4mm以下、肉厚が0.1〜0.7mm、全長が30〜300mmである。また、ガラス外管は、外径が6mm以下、肉厚が0.1〜0.7mm、全長が30〜300mmである。
【0074】
請求項の発明は、照明装置本体と;照明装置本体に配設された請求項1または2記載の多重管形蛍光ランプと;を具備していることを特徴としている。
【0075】
本発明の照明装置は、既述のように先行する請求項の多重管形蛍光ランプが用途を限定されないのと同様な理由により、用途は限定されない。たとえば一般照明用の照明器具などを含む。しかし、細長くてコンパクトな多重管形蛍光ランプを用いる場合は、一般照明用の照明器具であってもよいが、液晶などのバックライト装置、画像形成装置の画像読取装置および車載用計器の照明装置などに適応する。
【0076】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0077】
図1は、本発明の多重管形蛍光ランプの第1の実施形態を示す一部切欠概略正面図である。
【0078】
図2は、同じく要部拡大断面図である。
【0079】
図において、1は発光管、2はガラス外管、3はゲッターである。
【0080】
発光管1は、細長い気密なガラスバルブ1a、ガラスバルブ1aの両端内部に封装された冷陰極形の一対の電極1b、電極1bを支持していてガラスバルブ1aの端部を貫通して導出されたリード線1c、ガラスバルブ1aの内面に形成された蛍光体層1dならびにガラスバルブ1a内に封入した放電媒体として水銀およびアルゴンを主体とする希ガスからなる。発光管1は、ガラスバルブ1aが外径2.4mm、肉厚0.3mmである。
【0081】
ガラス外管2は、外径3.6mm、肉厚0.3mmであり、発光管1aと同心的な位置関係においてその両端部が発光管1のガラスバルブ1aの両端部にガラス溶着により封着されている。
【0082】
ゲッター3は、アルミナ微粒子の透明性薄膜からなり、ガラス外管2の内面のほぼ全体に形成されている。
【0083】
そうして、得た多重管蛍光ランプの全長は200mmである。
【0084】
図3は、本発明の多重管形蛍光ランプの第2の実施形態を示す要部拡大断面図である。
【0085】
図において、図2と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0086】
本実施形態は、ゲッター3を発光管1の外面のほぼ全体に形成している点において本発明の多重管形蛍光ランプの第1の実施形態と異なる。
【0087】
図4は、本発明の多重管形蛍光ランプの第3の実施形態を示す要部拡大断面図である。
【0088】
図において、図2と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0089】
本実施形態は、ゲッター3を発光管1の外面およびガラス外管の内面のそれぞれほぼ全体に形成している点において本発明の多重管形蛍光ランプの第1の実施形態と異なる。
【0090】
図5は、本発明の多重管形蛍光ランプの第4の実施形態を示す一部切欠拡大断面図である。
【0091】
図において、図2と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
【0092】
本実施形態は、ガラス外管の発光管への封着部の構成を、一端部と他端部とでそれぞれ異ならせた点が特徴である。
【0093】
ガラス外管2の図の左側の端部の封着部Aは、発光管1の封着部1eに形成されている。したがって、封着部Aの管軸方向の長さは、発光管1の封着部1eの長さより短い。
【0094】
反対に、ガラス外管2の図の右側の封着部Bは、発光管1の封着部1eから中央側まで封着されている。したがって、封着部Bの管軸方向の長さは、発光管1の封着部1eの長さより大きい。
【0095】
本発明は、封着部Aを最初に封着し、封着部Bを最後に封着する場合に好適である。
【0096】
図6は、本発明の多重管形蛍光ランプの第5の実施形態の製造過程を示す排気装置の概念図である。
【0097】
図において、図2と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
【0098】
4は排気ヘッド、5、6、7、8はそれぞれ弁、9はロータリポンプ、10は拡散ポンプ、11はガスボンベ、12は配管である。
【0099】
発光管1は予め製作されており、さらに発光管1の一端にガラス外管2の一端がガラス溶着により封着されている。ガラス外管2の他端は排気ヘッド4に接続された状態で封着するために延長部2aを備えている。
【0100】
排気ヘッド4は、ガラス外管2の延長部2aに接続されている。最初は弁5および7を開き、弁6および8を閉じ、排気ヘッド4をロータリポンプ9に接続して、ガラス外管2内を10-1Pa程度の圧力まで排気する。さらに、高真空にする場合には、弁7を閉じ、弁6を開いてロータリポンプ9から拡散ポンプ10に切り換えてさらに排気する。
【0101】
次に、弁5ないし7を閉じた状態で弁8を開き、ガスボンベ11から配管12を経てキセノンをガラス外管2内に100Pa程度の圧力になるように充填する。
【0102】
そうしたら、今度は図7に示す排気炉に入れる。
【0103】
図7は、本発明の多重管形蛍光ランプの第5の実施形態の製造過程を示す排気炉の概念図である。
【0104】
図において、図6と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0105】
13は排気炉で、加熱しながら排気できるように構成されている。
【0106】
そうして、図6においてキセノンを充填した状態でガラス外管2を排気炉13に入れ、炉内の温度を上げると、ガラス外管が加熱されて温度が上昇するとともに、キセノンガスを熱が伝導して発光管1も加熱されて温度が上昇する。
【0107】
このため、ガラス外管2の内面および発光管1の外面に吸着されていた不純ガスが放出される。放出された不純ガスはゲッター3に吸着されるとともに、排気ヘッド4を経て排気することで、十分なデガッシングを行うことができる。
【0108】
しかし、一層のデガッシングを望むならば、排気炉13中において、キセノンを排気後再度キセノンを最低1回充填する。これにより、ウオッシング作用によってデガッシングをさらに促進することができる。
【0109】
図8は、本発明の多重管形蛍光ランプの第6の実施形態の製造過程を示す排気装置の概念図である。
【0110】
図において、図6と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0111】
本実施形態は、発光管1およびガラス外管2の他端を同時に封着する点において図6に示す本発明の多重管形蛍光ランプの第5の実施形態と異なる。
【0112】
発光管1およびガラス外管2はそれぞれ一端側を予めガラス溶着により封着しておき、かつ他端に延長部1fを設けて開放しておく。発光管1の他端の延長部1fを排気ヘッド4aに接続し、ガラス外管2の他端延長部2aを排気ヘッド4bに接続する。
【0113】
排気ヘッド4aは、配管12a、弁15および弁7を介してポンプ14に接続し、かつ配管12aおよび弁16を介してガスボンベ17に接続している。ガスボンベ17には、アルゴンなどの放電媒体としての希ガスが収納されている。なお、ポンプ14は、ロータリポンプおよび拡散ポンプを切り換え可能な構成となっている。
【0114】
排気ヘッド4bは、配管12b、弁5および7を介してポンプ14に接続し、かつ配管12bおよび弁8を介してガスボンベ11に接続している。
【0115】
そうして、発光管1およびガラス外管2をそれぞれ封着するに当たっては、弁5、7および15を開いて発光管1およびガラス外管2内をポンプ14によって所要に排気する。
【0116】
排気後、弁15を閉じて弁16を開き、アルゴンなどの放電媒体用の希ガスを所定圧力で充填する。なお、水銀はアマルガムの形で電極1bの筒内に予め収納されている。
【0117】
一方、ガラス外管2に対しては、弁5を閉じ、弁8を開いてガスボンベ11からキセノンを所定圧力で充填する。
【0118】
ガラス外管2内のキセノン圧は、発光管1内のガス圧より低いものとする。
【0119】
次に、他端封着予定位置において、ガスバーナを矢印G方向に当ててガラス外管2および発光管1の他端部を加熱して封着する。さらに、その詳細を図8に基づいて説明する。
【0120】
図9は、本発明の多重管形蛍光ランプの第6の実施形態における封着工程を示す要部拡大断面図である。
【0121】
図において、図2と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
【0122】
電極1bは、ビードステム1eに封着されており、図示しない支持具によって吊り下げられている。ビードステム1eと発光管1のガラスバルブ1aの内面との間には排気およびガス充填に必要な間隙が形成されるように構成されている。
【0123】
そうして、図8において説明したように、発光管1およびガラス外管2内にそれぞれのガスを充填している状態において、図9の(A)に示すように、ビードステム1eに対向する位置で、ガラス外管2の外側からガスバーナを矢印G方向に向けてガラス外管2を加熱する。
【0124】
ガスバーナで加熱すると、ガラス外管2が温度上昇するとともに、キセノンを介した熱伝導により、発光管1も温度上昇する。
【0125】
やがて、ガラス外管2および発光管1が軟化し、溶融してくる。
【0126】
すると、図9の(B)に示すように、ガラス外管2の溶融部分は、大気圧に押されて吸い込まれる。
【0127】
一方、発光管1の溶融部分は、発光管1内がガラス外管1内より圧力が高いから、膨れる。
【0128】
その結果、ガラス外管2および発光管1の溶融部分は、互いに融着する。
【0129】
ガラス外管2および発光管1が融着すると、図9の(C)に示すように、大気圧と発光管内の圧力との差により、発光管1は大気圧によって押されて吸い込まれて、発光管1の他端は封着される。封着したら、発光管1およびガラス外管2の延長部分1fおよび2aをガスバーナで溶断し、徐冷すれば、ガラス溶着による封着が完了する。
【0130】
図10は、本発明の照明装置の第1の実施形態を示す車載計器用の液晶表示装置の分解斜視図である。
【0131】
図において、18はバックライトユニット、19は液晶表示部、20は表示装置である。
【0132】
バックライトユニット18は、アクリル樹脂製の導光体18a、導光体18aの側方に配設した多重管形蛍光ランプ18b、多重管形蛍光ランプ18bを支持するとともに、包囲する反射板18cなどから構成されている。
【0133】
液晶表示部19は、バックライトユニット18の前面に配設される。
【0134】
そうして、バックライトユニット18および液晶表示部19は、車載計器用の液晶表示装置20を構成している。
【0135】
バックライトユニット18および液晶表示装置20の作用については、多重管形蛍光ランプ4bを光源としていても単管の蛍光ランプを用いるバックライトユニットと本質的に変わらないし、またこれらの作用は周知なので説明は省略する。
【0136】
図11は、本発明の照明装置の第2の実施形態を示す読取装置の概念的断面図である。
【0137】
図において、21は読取装置で、多重管形蛍光ランプ21a、受光手段21b、信号処理装置21c、原稿載置面21d、反射鏡21eおよび以上の各構成要素を収納するケース21fなどから構成されている。
【0138】
読取装置は、複写機、イメージスキャナおよびファクシミリなどのOA機器などに適応する。
【0139】
読取装置の作用については、多重管形蛍光ランプ21aを光源としていても単管の蛍光ランプを用いる読取装置と本質的に変わらないし、また読取装置の作用は周知なので説明は省略する。
【0140】
【発明の効果】
請求項1および2の各発明によれば、発光管を包囲するガラス外管の両端部を発光管の両端部に封着するとともに、ガラス外管の内面および発光管の外面の少なくとも一方のほぼ全体に粒径0.4〜0.5μm程度の金属酸化物微粒子からなる透明質のゲッターを形成したことにより、初期発光特性のばらつきを少なくし、およびまたは発光特性の経時変化を低減するとともに、ゲッターの透明性が良好になるので、ガラス外管の光透過率を不所望に低下させることのない多重管形蛍光ランプを提供することができる。
【0141】
請求項の発明によれば、加えて細長くてコンパクトな照明装置用として、一般的な発光管およびガラス外管のサイズを規定した多重管形蛍光ランプを提供することができる。
【0142】
請求項の発明によれば、請求項1および2の効果を有する照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の多重管形蛍光ランプの第1の実施形態を示す一部切欠概略正面図
【図2】 同じく要部拡大断面図
【図3】 本発明の多重管形蛍光ランプの第2の実施形態を示す要部拡大断面図
【図4】 本発明の多重管形蛍光ランプの第3の実施形態を示す要部拡大断面図
【図5】 本発明の多重管形蛍光ランプの第4の実施形態を示す一部切欠拡大断面図
【図6】 本発明の多重管形蛍光ランプの第5の実施形態の製造過程を示す排気装置の概念図
【図7】 本発明の多重管形蛍光ランプの第5の実施形態の製造過程を示す排気炉の概念図
【図8】 本発明の多重管形蛍光ランプの第6の実施形態の製造過程を示す排気装置の概念図
【図9】 本発明の多重管形蛍光ランプの第6の実施形態における封着工程を示す要部拡大断面図
【図10】 本発明の照明装置の第1の実施形態を示す車載計器用の液晶表示装置の分解斜視図
【図11】 本発明の照明装置の第2の実施形態を示す読取装置の概念的断面図
【図12】 従来の2重管形蛍光ランプの断面図
【符号の説明】
1…発光管
1a…ガラスバルブ
1b…電極
1c…リード線
1d…蛍光体層
2…ガラス外管
3…ゲッター

Claims (3)

  1. 細長い気密なガラスバルブ、ガラスバルブの両端部に封装された一対の電極、ガラスバルブの内面側に形成された蛍光体層およびガラスバルブ内に封入された放電媒体を備えてなる発光管と;
    発光管をその周囲に間隙を形成して包囲しかつ両端が発光管のガラスバルブの両端部に封着されたガラス外管と;
    ガラス外管の内面および発光管の外面の少なくとも一方のほぼ全体に形成された粒径0.4〜0.5μm程度の金属酸化物微粒子からなる透明質のゲッターと;
    を具備していることを特徴とする多重管形蛍光ランプ。
  2. 発光管は、外径が6mm以下、肉厚1mm以下であり;
    ガラス外管は、外径が8mm以下、肉厚1mm以下である;
    ことを特徴とする請求項1記載の多重管形蛍光ランプ。
  3. 照明装置本体と;
    照明装置本体に配設された請求項1または2記載の多重管形蛍光ランプと;
    を具備していることを特徴とする照明装置。
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