JP3653561B2 - 多重管形蛍光ランプおよび照明装置 - Google Patents

多重管形蛍光ランプおよび照明装置 Download PDF

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  • Vessels And Coating Films For Discharge Lamps (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は発光管の周囲にガラス外管を配設した多重管形蛍光ランプに関する。
【0002】
【従来の技術】
図9は、従来の2重管形蛍光ランプの断面図である。
【0003】
上記従来技術は、実公平4−52932号公報に記載されているものである。図において、101はガラス製の外管、104はガラス製の気密封止された封体管であり、これら外管101および封体管104と後述の保持材106、106により二重管構造が構成される。外管101の内壁と封体管104の外壁との間に1〜10mm程度の間隔で封体管104の外壁を囲む空隙Sが形成されるよう外管101は封体管104を囲繞し、これら両者はそれぞれの両端部において断熱性の保持材106、106により保持されている。また、封体管104の端部141、141がそれそぞれ保持材106、106に埋設固定されるとともにこれらの保持材106、106がそれぞれ外管101の端部111、111に気密に嵌着されて外管101が気密封止され、封体管104と外管101と保持材106、106により二重管構造が構成されている。前記空隙Sは好ましくは減圧されて真空にされ、この場合には封体管104と外管101との断熱性の一層の向上を図ることができると述べられている。前記封体管104の内壁面には蛍光膜142が設けられており、ランプの全長Lが120mm以下、消費電力が2W以下であり、かつ封体管104の外径dが6mm以下である。外管101の外径Dは好ましくは20mm以下とされている。この二重管形蛍光ランプは液晶バックライトなどに用いられる。
【0004】
なお、図中102はフィラメント電極、103はリード線、105は水銀含浸合金である。
【0005】
上述した従来技術によれば、消費電力が2W以下であっても、二重管であるから、比較的低温雰囲気においても始動時に所要の温度上昇が得られるために、光束立ち上がりは外管を有さない蛍光ランプに比べて優れている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術においては、封体管104と外管101との両端部を断熱性の保持材106により、気密に封止しようとするものであるが、断熱性にして気密性が良好であり、しかもガラスに対する濡れ性の良好な材料を工業的規模において、比較的安価に得ることが困難である。
【0007】
したがって、従来技術においては長期間にわたって外管と封体管との間の気密性を維持することが困難であり、さらに製造工数も多く安価に提供することができないという問題がある。
【0008】
本発明は、発光管の両端部にガラス外管の両端部を簡単な構造で固定することができ、しかも両者間の気密性が良好で、かつガラス外管の発光管への溶着時に発光管およびガラス外管が不所望に位置ずれおよび変形しない、特に液晶バックライトなどコンパクトな照明装置用として好適な多重管形蛍光ランプおよびこれを用いた照明装置を提供することを主な目的とする。
【0009】
【課題を達成するための手段】
請求項1の発明の多重管形蛍光ランプは、細長い気密なガラスバルブ、ガラスバルブの両端部に封装された一対の電極、ガラスバルブの内面側に形成された蛍光体層およびガラスバルブ内に封入された放電媒体を備えてなる発光管と;発光管をその周囲に空間を形成して包囲しかつ少なくとも一端が発光管のガラスバルブの端部とはんだガラスにより封着されて一体化されたガラス外管と;を具備していることを特徴としている。
【0010】
本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
【0011】
まず、発光管について説明する。
【0012】
ガラスバルブについて
ガラスバルブは、ソーダライムガラス、鉛ガラスなどの軟質ガラスが好適であるが、要すればホウ珪酸ガラスなどの硬質ガラスであってもよい。また、断面形状は、通常円形にするが、要すれば非円形たとえば楕円形その他任意の断面形状であることを許容する。さらに、長手方向の形状は、直管はもとより、環形、半円形、L字形、U字形、W字形など所望の形状にすることができる。
【0013】
本発明の多重管形蛍光ランプは、どのような用途の蛍光ランプにも適用してその期待する作用効果を発揮することができるので、用途は限定されない。したがって、発光管を構成するガラスバルブの外径および全長は任意に設定することができる。しかし、本発明は液晶表示装置などのバックライト、OA機器の読取および車載計器照明などに用いられる比較的細長でコンパクトな蛍光ランプにおいて格別顕著な作用効果を発揮する。そして、このような比較的細長でコンパクトな蛍光ランプの場合、本発明においては、発光管は、一般的には外径6mm以下好ましくは4mm以下、最適には3mm以下である。また、肉厚は一般的に1mm以下、好ましくは0.1〜0.7mm、最適には0.3mm程度である。さらに、全長は、一般的には任意長さとすればよいが、好ましくは30〜300mm、最適には50〜250mmである。
【0014】
電極について
電極は、上述のように蛍光ランプとしての用途が限定されないから、用途に応じて冷陰極および熱陰極のいずれか適当な方式の電極を選定することができる。しかし、比較的細長でコンパクトな蛍光ランプに本発明を適用する場合は、一般的に冷陰極を用いるのがよいが、本発明の性質から熱陰極を除外するものではないことを理解できるであろう。
【0015】
蛍光体層について
蛍光体層は、ガラスバルブの内面に直接形成してもよいし、たとえば保護膜などを介して間接的に形成してもよい。また、使用する蛍光体はその用途に応じて任意所望のものを用いればよいが、たとえば読取用の蛍光ランプの場合は、希土類のりん酸塩蛍光体(LaPO4:Ce3 +、Tb3 +)のような単色発光蛍光体またはこれを含んだ蛍光体、バックライトおよび車載計器照明用の多重管形蛍光ランプの場合は、3波長発光形蛍光体またはハロりん酸塩蛍光体などの白色系の発光色の蛍光体を用いることができる。
【0016】
放電媒体について
放電媒体は、水銀および希ガスたとえばアルゴンが多くの場合に使用されるが、水銀を用いないで希ガスとしてキセノンガスのみを用いて、キセノンガス放電による紫外線発光によって蛍光体を励起させるようにすることができる。この場合、低温時の光束立ち上がりの問題は殆どないが、発光管の機械的保護のために本発明の多重管蛍光ランプは効果的である。
【0017】
また、キセノンガスおよび水銀を封入してキセノンガス放電および水銀蒸気放電の両者を生起させることによって、それぞれの波長をもった紫外線を発生させてもよい。この場合は、低温時の光束立ち上がりの問題はそれなりに改善されるが、さらに本発明の多重管形蛍光ランプによる光束立ち上がり改善効果を発揮するとともに、機械的強度向上の作用効果も加わる。
【0018】
さらにまた、水銀とともに封入される希ガスとしてはアルゴン、ネオンもしくはクリプトンの単体、またはアルゴンおよびネオン、アルゴン、ネオンおよびヘリウムのそれぞれの混合ガスを用いれば、ペニング効果による始動性の改善も得られる。
【0019】
水銀は、純水銀を直接封入してもよいし、アマルガムの形で封入してもよい。
【0020】
次に、ガラス外管について説明する。
【0021】
ガラス外管は、ガラスバルブと同一材質のガラスが好ましいが、熱膨張率が大きく相違していないで、しかもガラスバルブとの間の加工性に支障がなければ、異なったガラス材料を用いてもよい。
【0022】
発光管の説明において述べたように本発明は特定用途に限定されないから、ガラス外管も蛍光ランプの用途に応じて所望の寸法に設定することができるが、特に細長でコンパクトな蛍光ランプにおいては、ガラス外管は、一般的には外径8mm以下、好ましくは6mm以下、最適には4mm以下である。また、肉厚は、一般的には1mm以下、好ましくは0.1〜0.7mm、最適には0.3mm程度である。さらに、全長は、一般的には任意長さとすればよいが、好ましくは30〜300mm、最適には50〜250mmである。
【0023】
ガラス外管は、発光管に対して一般的には同心的位置関係において溶着されるが、発光管の周囲にガラス外管によって空隙が形成されていればよく、したがって偏心していても差し支えない。極端な場合、発光管の周面の一部がガラス外管に接触していても基本的には所期の作用効果が得られるので、これも許容される。なお、ガラス外管によって発光管の周囲に形成される間隙はその存在がわずかに分かる程度に小さくても所期の作用効果を奏する。
【0024】
また、本発明においては、ガラス外管は任意数をたとえば同心的に用いることができる。
【0025】
さらに、ガラス外管内は排気して減圧雰囲気にしてもよいし、真空度を高くして100Pa以下のいわゆる高真空にすることができる。
【0026】
さらにまた、ガラス外管内にアルゴン、クリプトン、キセノン、ネオンなどの希ガス、水銀および水蒸気などを単体または任意に組み合わせて封入することもできる。
【0027】
さらに、ガラス外管と発光管との封着について説明する。
【0028】
ガラス外管と発光管のガラスバルブとのはんだガラスによる封着とは、両者の間に溶融し、固化したはんだガラスが介在していることによって、発光管とガラス外管とが気密に封着されていることである。この場合、ガラス外管および発光管ははんだガラスと溶着していてもよいが、変形していないことが好ましい。しかし、蛍光ランプとしての特性に影響を与えない程度の変形は止むを得ないし、また不所望でない変形は問題にならないから許容される。
【0029】
はんだガラスは、低融点ガラスで、いわゆるフリットガラスを含む概念であり、被封着材料であるガラス外管および発光管と熱膨張係数がよく合っていて、封着温度が被封着材料であるガラス外管および発光管の耐熱温度より低いガラスである。
【0030】
また、はんだガラスには非晶質のものと結晶性のものとがあるが、本発明においてはそのいずれも適合する。
【0031】
はんだガラスによる封着は、ガラス外管の両端に形成するだけでなく、一端のみでもよい。この場合、他端はたとえばガラス外管および発光管のいずれか一方または両方を直接溶融させて気密に封着すればよい。
【0032】
はんだガラスによって発光管およびガラス外管の端部を封着する方法は任意であるが、たとえば以下の方法によることができる。
【0033】
すなわち、まず発光管およびガラス外管の端部を挿入し得る銅製の金型を予め用意して、金型内にはんだガラスの粉末を所定量を入れる。
【0034】
次に、発光管をガラス外管の内部に挿入した状態で真空チャンバー内に吊持するとともに、上記の状態の金型も真空チャンバー内に収容する。
【0035】
次に、真空チャンバー内を真空してから、金型を電気加熱してはんだガラスを溶融状態にする。
【0036】
そうして、はんだガラスが溶融したら、発光管およびガラス外管を金型内に挿入すると、ガラス外管と発光管との端部において、両者の間の空間にはんだガラスが侵入するので、徐冷後に真空チャンバーから取り出す。このようにして、ガラス外管と発光管との一端部をはんだガラスによって、位置ずれを生じることなく確実に封着することができる。
【0037】
次に、発光管とガラスガラス外管との封着位置について説明する。
【0038】
ガラス外管の発光管への封着位置を発光管の封着部の先端より後退した位置にすることができる。この構成は、ガラス外管と発光管とを最初に封着する側の端部に適用するのに適している。
【0039】
すなわち、封着しようとする端部をはんだガラスを用いて最初に封着する場合には、ガラス外管内を真空中でこれを行うので、発光管が軟化すると、発光管が膨れてガラス外管の内面に接触してしまう。
【0040】
上記とは反対に、ガラス外管を大気中で直接加熱して封着する場合、発光管が軟化すると、発光管は吸い込まれて内部リード線や電極に接触しやすく、これにより、発光管がクラックしやすい。
【0041】
これに対して、前記のようにガラス外管を発光管の封着部の先端より後退した位置において発光管と封着させると、発光管が膨れたり、吸い込まれるようなことは少ない。
【0042】
また、ガラス外管の発光管への封着位置を発光管の封着部より中央側の部分にすることもできる。この構成は、最後に封着する側の端部に適用するのに適している。
【0043】
すなわち、封着しようとする端部を最後に封着する場合、ガラス外管内は排気して真空にするか、所要により希ガスなどを極めて低い圧力で封入しているので、たとえ発光管が軟化していてもガラス外管の溶着部が大気圧によって発光管側へ押されるため、ガラス外管および発光管が膨れることはない。
【0044】
この場合、ガラス外管の発光管への封着部の後端は、発光管の封着部に対向する位置にあってもよいし、発光管の封着部より中央側に位置していてもよい。
【0045】
さらに、ガラス外管の発光管への封着位置を発光管の封着部と揃えてもよい。
【0046】
次に、本発明の作用について説明する。
【0047】
ガラスバルブおよびガラス外管の端部を、はんだガラスにより封着して一体化したことにより、両者を不所望に位置ずれおよび変形させることなく、所定の位置関係を確実に保持しながら十分気密に封止することができる。
【0048】
しかも、発光管およびガラス外管の接続部は、はんだガラスを介しての封着によって機械的強度が向上するから、相対的に肉薄のガラスバルブを用いることもできる。
【0049】
また、ガラス外管内をたとえ排気しなくてもガラス外管を有することにより、発光管の熱放散はかなり少なくなり、保温作用によって低温雰囲気中における始動時の光束立ち上がりは良好になる。もちろん、ガラス外管内を減圧ないし真空にすることにより、ガラス外管内の気体による対流作用が大幅に減少するか、なくなるので、より良好な光束立ち上がり特性にすることができる。
【0050】
請求項2の発明の多重管形蛍光ランプは、請求項1記載の多重管形蛍光ランプにおいて、発光管およびガラス外管は、それらの両端がはんだガラスにより封着されていることを特徴としている。
【0051】
請求項1において説明したように一端部をはんだガラスによって封着した後、他端側を同様に封着するには、真空チャンバーから取り出したら、ガラス外管および発光管を倒立させて、再び上記と同様にすればよい。この場合、一つの真空チャンバー内に最初に封着するワークと最後に封着するワークとを混在させてもよい。
【0052】
このようにして、得られた多重管形蛍光ランプは、ガラス外管と発光管との間の空間は真空チャンバー内と同一の真空状態である。
【0053】
ガラス外管内を所望の圧力にするには、ガラス外管および発光管の他端部を溶融はんだガラス内に挿入する前に真空チャンバー内を適当な圧力にすればよい。
【0054】
請求項3の発明の多重管形蛍光ランプは、請求項1記載の多重管形蛍光ランプにおいて、発光管およびガラス外管は、それらの一端がはんだガラスにより封着され、他端が発光管およびガラス外管のいずれか一方または両方のガラス溶着により封着されていることを特徴としている。
【0055】
本発明においては、ガラス外管の他端部を簡単な方法で発光管の他端部に封着することができる。
【0056】
すなわち、ガラス外管および発光管の一端部を封着した後、ガラス外管内を排気して真空状態にしておいて、またはガラス外管内に所望の気体を大気圧より低い圧力で封入してから、ガラス外管を仮封止する。
【0057】
次に、ガラス外管の発光管の端部に対向する部分を外側から加熱すると、やがてガラス外管が軟化する。ガラス外管内は圧力が大気圧より低いから、軟化するにしたがって大気圧に押されて発光管に押し付けられ、さらに加熱すると、溶融して発光管に封着される。
【0058】
そうして、本発明においては、はんだガラスによって封着する一端を最初に形成するのに適している。
【0059】
すなわち、ガラス外管および発光管をはんだガラスを用いて最初に封着することにより、ガラス外管と発光管とを位置ずれなく固定できるので、他端を直接溶融して封着しても位置ずれが生じにくい。
【0060】
請求項4の発明の多重管形蛍光ランプは、請求項1ないし3のいずれか一記載の多重管形蛍光ランプにおいて、発光管は、そのガラスバルブがはんだガラスにより封着されていることを特徴としている。
【0061】
本発明においては、発光管をはんだガラスを用いて封着しているので、発光管の封着時における不所望な電極の位置ずれを防止することができる。
【0062】
請求項5の発明の多重管形蛍光ランプは、請求項1ないし4のいずれか一記載の多重管形蛍光ランプにおいて、発光管およびガラス外管の間の空間は、発光管の内部より圧力が小さいことを特徴としている。
【0063】
ガラス外管と発光管との間の空間の圧力を上記のように構成することにより、発光管をガラス外管によって断熱的に包囲することができ、これにより低温時の光束立ち上がり特性を改善する。
【0064】
ガラス外管内の圧力を、発光管内の圧力より低いという条件の中で適当な圧力に設定することにより、上記のように低温時の光束立ち上がり特性を改善するとともに、発光管の温度過昇を防止して光束の飽和を抑制することができる。
【0065】
請求項6の発明の多重管形蛍光ランプは、請求項1ないし5のいずれか一記載の多重管形蛍光ランプにおいて、発光管は、外径が6mm以下、肉厚1mm以下であり;ガラス外管は、外径が8mm以下、肉厚1mm以下である;ことを特徴としている。
【0066】
本発明は、液晶などのバックライト、読取および車載計器照明などの用途として用いられるような細長くてコンパクトな蛍光ランプとして一般的な発光管およびガラス外管のサイズを規定している。
【0067】
請求項7の発明の多重管形蛍光ランプは、請求項1ないし6のいずれか一記載の多重管形蛍光ランプにおいて、発光管は、外径が4mm以下、肉厚が0.1〜0.7mm、全長が30〜300mmであり;ガラス外管は、外径が6mm以下、肉厚が0.1〜0.7mm、全長が30〜300mmである;ことを特徴としている。
【0068】
本発明は、請求項6に比較してさらに好ましい範囲を規定している。
【0069】
請求項8の発明は、照明装置本体と;照明装置本体に配設された請求項1ないし7のいずれか一記載の多重管形蛍光ランプと;を具備していることを特徴としている。
【0070】
本発明の照明装置は、既述のように先行する請求項の多重管形蛍光ランプが用途を限定されないのと同様な理由により、用途は限定されない。たとえば一般照明用の照明器具などを含む。しかし、細長くてコンパクトな多重管形蛍光ランプを用いる場合は、一般照明用の照明器具であってもよいが、液晶表示装置などのバックライト装置、画像形成装置の画像読取装置および車載用計器の照明装置などに適応する。
【0071】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0072】
図1は、本発明の多重管形蛍光ランプの第1の実施形態を示す一部切欠拡大断面図である。
【0073】
図において、1は発光管、2はガラス外管、3ははんだガラスである。
【0074】
発光管1は、細長い気密なガラスバルブ1a、ガラスバルブ1aの両端部に封装された冷陰極形の一対の電極1b、電極1bからガラスバルブ1aの封着部1eを貫通して導出されたリード線1c、ガラスバルブ1aの内面に形成された蛍光体層1dならびにガラスバルブ1a内に封入した放電媒体として水銀およびアルゴンを主体とする希ガスからなる。発光管1は、ガラスバルブ1aが外径2.4mm、肉厚0.3mmである。
【0075】
ガラス外管2は、外径3.6mm、肉厚0.3mmであり、発光管1aと同心的な位置関係においてその両端部が発光管1のガラスバルブ1aの両端部にはんだガラス3によって発光管1の両端部に封着されている。
【0076】
そうして、得た多重管蛍光ランプの全長は200mmである。
【0077】
図2は、本発明の多重管形蛍光ランプの第2の実施形態を示す一部切欠拡大断面図である。
【0078】
図において、図1と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0079】
本実施形態は、ガラス外管2の図における左側の一端部がはんだガラス3により発光管1と封着され、右側の他端部がガラス外管2を溶融させて直接発光管1と封着した点において第1の実施形態と異なる。
【0080】
図3は、図2に示す本発明の多重管形蛍光ランプの第2の実施形態の製造方法を示す断面図である。
【0081】
まず、発光管1およびガラス外管2の図において下側の端部をはんだガラス2aによって、図示しない真空チャンバー中で最初に封着する。
【0082】
次に、図の(A)に示すように最初に封着した端部を下にしてガラス外管2内を排気し、その後キセノンを約100Paになるようにガラス外管2内に封入する。
【0083】
次に、図の(B)に示すように、はんだガラス4によってガラス外管2のやや上方の部分を仮封止する。
【0084】
最後に、ガラス外管2の発光管1の他端部に対向する部分を外側からガスバーナで加熱して、図の(C)に示すように、ガラス外管2を発光管1の他端部に直接ガラス溶着により封着して、多重管形蛍光ランプ5を完成する。
【0085】
図4は、本発明の多重管形蛍光ランプの第3の実施形態を示す要部拡大断面である。
【0086】
図において、図1と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0087】
本実施形態は、発光管1をはんだガラス6で封着している点において図1と異なる。
【0088】
発光管1を封着するはんだガラス6は、相対的に溶融温度が高く、ガラス外管2を発光管1にガラス溶着するはんだガラス3は相対的に溶融温度が低いものを用いることにより、ガラス外管2のガラス溶着中に発光管1の気密性が阻害されないようにすることができる。
【0089】
なお、1eはビードステムである。
【0090】
図5は、本発明の多重管形蛍光ランプの第4の実施形態を示す要部拡大断面図である。
【0091】
図において、図1と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0092】
本実施形態は、ガラス外管2と発光管1との封着部すなわちはんだガラス3の先端3aが発光管1の封着部1eの先端1e1より後退した位置にある点において図1と異なる。
【0093】
そうして、本実施形態によれば、ガラス外管2と発光管1との封着時に発光管1の変形が少なくなる。したがって、真空中または大気中で右右着しても発光管1の変形を少なくすることができる。
【0094】
図6は、本発明の多重管形蛍光ランプの第5の実施形態を示す要部拡大断面図である。
【0095】
図において、図1と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0096】
本実施形態は、ガラス外管2と発光管1との封着部sの先端s1が発光管1の封着部1eの先端1e1より中央側に位置している点が異なる。
【0097】
そうして、本実施形態はガラス外管2の最後に封着する方の端部に適用すると都合がよい。すなわち、ガラス外管2内の圧力が真空または発光管1内の圧力とほぼ同じ程度にしておけば、加熱し過ぎて発光管1が膨らんでも大気圧によってガラス外管2とともに押し戻されるから、不所望な変形とはならない。
【0098】
図7は、本発明の照明装置の第1の実施形態を示す車載計器用の液晶表示装置の分解斜視図である。
【0099】
図において、7はバックライトユニット、8は液晶表示部、9は液晶表示装置である。
【0100】
バックライトユニット7は、透明アクリル樹脂製の導光体7a、導光体7aの側方に配設した多重管形蛍光ランプ7b、多重管蛍光ランプ7bを支持するとともに、包囲する反射板7cなどから構成されている。
【0101】
液晶表示部8は、バックライトユニット7の前面に配設される。
【0102】
そうして、バックライトユニット7および表示部8は車載計器用の液晶表示装置9を構成している。
【0103】
バックライトユニット7の作用については、多重管形蛍光ランプ7bを光源としていても本質的に変わらないし、またバックライトユニット7の作用は周知なので説明は省略する。
【0104】
図8は、本発明の照明装置の第2の実施形態を示す読取装置の概念的断面図である。
【0105】
図において、10は読取装置、10aは多重管形蛍光ランプ、10bは受光手段、10cは信号処理装置、10dは原稿載置面、10eは以上の各構成要素を収納するケース、10fは反射鏡である。
【0106】
読取装置は、複写機、イメージスキャナおよびファクシミリなどのOA機器などに適応する。
【0107】
読取装置の作用については、多重管蛍光ランプ10aを光源としていても単管の蛍光ランプと本質的に変わらないし、また読取装置の作用は周知なので説明は省略する。
【0108】
【発明の効果】
請求項1ないし5の各発明によれば、ガラス外管および発光管の少なくとも一方の端部をはんだガラスによって封着することにより、ガラス外管および発光管の封着時の不所望な位置ずれおよび変形を少なくすることができるとともに、ガラス外管の両端部を簡単な構造で発光管に固定することができて、しかも両者間の気密性が良好であるから、長期間にわたって低温雰囲気中での始動時における光束立ち上げが良好な特に液晶バックライトユニットなどコンパクトな照明装置用として好適な多重管形蛍光ランプを提供することができる。
【0109】
請求項2の発明によれば、加えてガラス外管の両端をはんだガラスによって発光管の両端に封着したことにより、両端部における不所望な位置ずれおよび変形を少なくするとともに、最初側の封着のワークと最後側の封着のワークとを同時に真空チャンバー内で封着できる多重管形蛍光ランプを提供することができる。
【0110】
請求項3の発明によれば、加えてガラス外管の一端がはんだガラスにより封着され、他端が直接ガラス溶着によって封着されていることにより、一端を最初にはんだガラスで封着して位置ずれを少なくして他端側のガラス溶着を容易にして製造不良の少ない多重管形蛍光ランプを提供することができる。
【0111】
請求項4の発明によれば、加えて発光管の封着をはんだガラスによって封着することにより、電極の位置ずれを少なくした多重管形蛍光ランプを提供することができる。
【0112】
請求項5の発明によれば、加えてガラス外管内の圧力を発光管内の圧力より小さくしたことにより、低温時の光束立ち上がり特性を改善した多重管形蛍光ランプを提供することができる。
【0113】
請求項6の発明によれば、細長くてコンパクトな照明装置用として一般的な多重管形蛍光ランプを提供することができる。
【0114】
請求項7の発明によれば、加えて細長くてコンパクトな照明装置用として好ましい多重管形蛍光ランプを提供することができる。
【0115】
請求項8の発明によれば、請求項1ないし7の効果を有する照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多重管形蛍光ランプの第1の実施形態を示す一部切欠拡大断面図
【図2】本発明の多重管形蛍光ランプの第2の実施形態を示す一部切欠拡大断面図
【図3】図2に示す本発明の多重管形蛍光ランプの第2の実施形態の製造方法を示す断面図
【図4】本発明の多重管形蛍光ランプの第3の実施形態を示す要部拡大断面図
【図5】本発明の多重管形蛍光ランプの第4の実施形態を示す要部拡大断面図
【図6】本発明の多重管形蛍光ランプの第5の実施形態を示す要部拡大断面図
【図7】本発明の照明装置の第1の実施形態を示す車載計器用の液晶表示装置の分解斜視図
【図8】本発明の照明装置の第2の実施形態を示す読取装置の分解斜視図
【図9】縦来の2重管形蛍光ランプの断面図
【符号の説明】
1…発光管
1a…ガラスバルブ
1b…電極
1c…リード線
1d…蛍光体層
1e…封着部
2…ガラス外管
3…はんだガラス

Claims (8)

  1. 細長い気密なガラスバルブ、ガラスバルブの両端部に封装された一対の電極、ガラスバルブの内面側に形成された蛍光体層およびガラスバルブ内に封入された放電媒体を備えてなる発光管と;
    発光管をその周囲に間隙を形成して包囲しかつ少なくとも一端が発光管のガラスバルブの一端部とはんだガラスにより封着されたガラス外管と;
    を具備していることを特徴とする多重管形蛍光ランプ。
  2. 発光管およびガラス外管は、それらの両端がはんだガラスにより封着されていることを特徴とする請求項1記載の多重管形蛍光ランプ。
  3. 発光管およびガラス外管は、それらの一端がはんだガラスにより封着され、他端が発光管およびガラス外管のいずれか一方または両方のガラス溶着により封着されていることを特徴とする請求項1記載の多重管形蛍光ランプ。
  4. 発光管は、そのガラスバルブがはんだガラスにより封着されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の多重管形蛍光ランプ。
  5. 発光管およびガラス外管の間の空間は、発光管の内部より圧力が小さいことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の多重管形蛍光ランプ。
  6. 発光管は、外径が6mm以下、肉厚1mm以下であり;
    ガラス外管は、外径が8mm以下、肉厚1mm以下である;
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載の多重管形蛍光ランプ。
  7. 発光管は、外径が4mm以下、肉厚が0.1〜0.7mm、全長が30〜300mmであり;
    ガラス外管は、外径が6mm以下、肉厚が0.1〜0.7mm、全長が30〜300mmである;
    ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一記載の多重管形蛍光ランプ。
  8. 照明装置本体と;
    照明装置本体に配設された請求項1ないし7のいずれか一記載の多重管形蛍光ランプと;
    を具備していることを特徴とする照明装置。
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