JP3866156B2 - 収納装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓋部を有する収納装置に関し、特に蓋部などに衝撃が加えられた場合にも蓋部を閉じた状態に保持可能な収納装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の収納装置として、たとえば車両の室内に設定されて小物などを入れる収納部を、開閉する蓋部で覆った収納装置があり、特に開閉操作を行うために、蓋部を閉じた時には蓋部に設けられた爪部を収納部にかみ合わせて蓋部が開かないようにし、蓋部を開く時にはかみ合わせを解くように爪部を直接操作するものがある。
【0003】
図6は従来の収納装置である車載収納装置の側断面図であり、収納装置100は、収納部101を蓋部102で覆っており、蓋部102は一方の端部102aが回動可能に軸支されて、他方の端部102bに爪部としてノブ103が設けられている。そして蓋部102が閉じた状態では、収納部101に設けられた突起部104とノブ103の一方の端部103aが係合することで、蓋部102を収納部101から容易に外れないようにしている。
【0004】
そして、ノブ103の他方の端部103bを外部から操作することで、ノブ103の端部103aと突起部104との係合を外し、蓋部102を軸支された端部102aの回動軸を中心に回転して収納部101を開くことができる。
【0005】
また収納装置は、外部から衝撃が加えられたときに本体表面から突出する部分にものなどが当たって破損しにくいように、収納装置の突出部分を少なくすることが望ましく、外部から衝撃が加えられたときに蓋部も、開かないようにすることが望ましい。
【0006】
したがって、従来の収納装置も、爪部であるノブ103の材質や形状を変えることで、ノブ103が変形または変位して突起部104との係合が外れにくいようにし、外部から衝撃が加えられても蓋部102が収納部101から開きにくくしていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の収納装置において、外部からより強い衝撃が加えられても蓋部を開きにくくするためには、爪部の材質や形状をより変形または変位しにくい強固なものとする必要があるが、この場合に、外部から加えられた衝撃を逃がすことができないという問題があった。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、外部から蓋部へ衝撃などが加えられても蓋部を閉じた状態に固定可能にするとともに、外部から加えられた衝撃を逃がすことができる収納装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、本発明の収納装置は、収納部と、前記収納部を覆う蓋部と、前記収納部または前記蓋部に設けられて、前記収納部を前記蓋部で閉じた状態に固定するとともに、前記収納部から前記蓋部が開く状態に前記固定を解除する爪部と、前記収納部または前記蓋部に設けられた操作部と、前記操作部と前記爪部とを接続して連動させるとともに、前記蓋部または前記操作部に所定以上の力が作用したときに前記操作部と前記爪部との接続を外して前記操作部と前記爪部とが連動することを阻止する操作伝達部とを備えた構成とした。したがって、前記操作部を操作したときに前記操作伝達部を介して前記爪部が連動するので前記蓋部の開閉操作が行え、外部からの衝撃などで前記蓋部または前記操作部に所定以上の力が作用した場合には、前記操作部と前記爪部との接続が外れることで衝撃を逃がすとともに、前記爪部が変形または変位することなく前記収納部が閉じた状態に前記蓋部を固定することができる。
【0010】
また、本発明の収納装置は、前記操作伝達部が、前記爪部と前記操作部のうち一方に設けた接続軸と、前記爪部と前記操作部のうち他方に設けられ前記接続軸と係合する溝部を備えた構成とした。したがって、前記操作部を操作したときに前記操作伝達部を介して前記爪部が連動するので前記蓋部の通常の開閉操作が容易となり、前記操作部または前記蓋部に前記所定以上の力が作用した場合には、前記接続軸と前記溝部との係合が外れて衝撃を逃がすとともに、前記爪部が変形または変位することなく前記収納部が閉じた状態に前記蓋部を固定することができる。
【0011】
また、本発明の収納装置は、前記操作伝達部が、前記操作部を操作する方向と、前記爪部を前記収納部から前記蓋部が開く状態に解除する方向とが異なる方向に、前記操作部と前記爪部とを接続させる構成とした。したがって、前記操作部を操作したときに前記操作伝達部を介して前記爪部が連動するので前記蓋部の通常の開閉操作が容易となり、前記操作部に前記所定以上の力が作用しても、前記操作部と前記爪部の可動方向が異なるので、前記爪部の変形または変位がより生じにくく、前記収納部が閉じた状態に前記蓋部を固定することができる。
【0012】
また、本発明の収納装置は、前記操作部を操作する方向と異なる方向の所定以上の力が前記操作部に作用した場合に、前記操作部と前記爪部との接続を外して前記操作部と前記爪部とが連動することを阻止する構成とした。したがって、前記操作部を操作したときに前記操作伝達部を介して前記爪部が連動するので前記蓋部の通常の開閉操作が容易となり、前記操作部を操作する方向とは異なる方向に衝撃などで前記蓋部または前記操作部に所定以上の力が作用した場合に、前記操作部と前記爪部との接続が外れて衝撃を逃がすとともに、前記爪部が変形または変位することなく、前記収納部が閉じた状態に前記蓋部を固定することができる。
【0013】
また、本発明の収納装置は、前記爪部が、前記蓋部を前記収納部に固定する方向に付勢する爪弾性部を備えた構成とした。したがって、前記操作部を操作しない場合、および前記操作部または前記蓋部に前記所定以上の力が作用した場合に、前記爪弾性部が、前記爪部をより固定する方向に作用し、前記収納部が閉じた状態に前記蓋部を固定することができる。
【0014】
また、本発明の収納装置は、前記蓋部は、前記蓋部が前記収納部から開く方向へ前記蓋部を付勢する蓋弾性部を備えた構成とした。したがって、前記操作部と操作して、前記収納部から前記蓋部が開く状態に前記爪部を解除したときに、前記蓋弾性部が前記蓋部を開く方向に作用して、前記蓋部を容易に開けることができる。
【0015】
また、本発明の収納装置は、前記収納部が車両に設けられた構成とした。したがって、車両の急発進や急停車、または事故などによって、前記蓋部または前記操作部に衝撃などが加えられて所定以上の力が作用した場合に、前記操作部と前記爪部との接続が外れて衝撃を逃がすとともに、前記蓋部が突出することなく前記収納部が閉じた状態に前記蓋部を固定することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明をする。
【0017】
図1は本発明の実施の形態の収納装置の側断面図を示す。ここで、図1の収納装置1は、車両のセンターパネル上に設けられる収納装置であって、図1に向かって左側にフロントウィンドウに続く車両のダッシュボード(図示せず)があり、右側に運転席や助手席などの座席(図示せず)があり、左下側が車両のコンソールパネル(図示せず)に続いている。
【0018】
そして収納装置1は、収納物を収納するために上面(図1の上側)が開口している収納部2を有する。また収納部2の開口部分には、閉じて覆うとともに、開いて収納部2から収納物の収納または取り出しを可能とするための開閉可能な蓋部3が設けられている。
【0019】
ここで蓋部3は、閉じたときに収納装置1の外側に位置するリッドアウター4と、リッドアウター4に対向して閉じたときに収納装置1の内側に位置するリッドインナー5とで構成されている。そして、リッドアウター4およびリッドインナー5で構成された蓋部3の一方の端部3aは、収納部2に固定された回動軸6によって回動可能に軸支されており、蓋部3が回動軸6を中心に回動することによって、蓋部3の開閉動作が行われる。さらに、蓋部3には、蓋部3を開く方向(図1に向かって左回り)に付勢する蓋弾性部である開閉スプリング7が設けられており、ここで開閉スプリング7は、一方の端部7aがリッドアウター4に取り付けられて、他方の端部7bが収納部2に当接している。また、リッドアウター4には、蓋部3の開閉角度を制限するための開閉角度制限部4aが設けられており、収納部2に設けられた接触部(図示せず)を超える角度に蓋部3が開かないように規制されている。なお、本実施の形態では、開閉スプリング7の端部7aが、リッドアウター4の開閉角度制限部4aに取り付けられた例を示している。
【0020】
一方、蓋部3の他方の端部3bは、収納部2を蓋部3が覆って閉じた状態を保持するように固定するとともに、収納部2から蓋部3が開く状態となるように解除するロック機構10が設けられている。
【0021】
このロック機構10は、操作部であるロックアッパー13と、ロックアッパー13の回動中心となるロックピン14と、爪部であるロックロアー15と、ロックロアー15の回動中心となるロックロアー固定ピン16と、ロックロアー15を、ロックロアー固定ピン16を中心に固定方向(図面に向かって左回り)に付勢する爪弾性部であるロックロアースプリング17とで構成されている。
【0022】
さらに、ロックアッパー13とロックロアー15は、ロックロアー15に設けられた接続軸15aと、ロックアッパー13に設けられた溝部13aとを係合することで連動可能に接続されていて、接続軸15aと溝部13aによって操作伝達部20が形成されている。そして、所定の強い力が接続軸15aまたは溝部13aに加えられた場合に、接続軸15aが溝部13aから外れる、または接続軸15aが折れることによって、接続軸15aと溝部13aとが係合しなくなってロックアッパー13とロックロアー15の連動が阻止される。
【0023】
そして、収納部2に設けられたボックスピン28とロックロアー15の端部15bが係合することで蓋部3が収納部2に固定されて閉じた状態となり、ボックスピン28とロックロアー15との係合が外れると、蓋部3は開閉スプリング7の弾性力によって、開閉角度制限部4aで制限される角度まで開くことができる。
【0024】
なおロックアッパー13は、図2の本実施の形態のリッドアウターの分解斜視図に示すように、リッドアウター4にロックピン14を介して回動可能に取り付けられている。
【0025】
また、ロックロアー15は、図3の本実施の形態のリッドインナーの分解斜視図に示すように、リッドインナー5にロックロアー固定ピン16を介して回動可能に取り付けられる。さらに、ロックロアースプリング17は、一方の端部17aがロックロアー15に取り付けられるとともに、他方の端部17bがリッドインナー5に取り付けられていて、ロックロアースプリング17の弾性力によってロックロアー15に、ロックロアー15の端部15bとボックスピン28とを係合する方向へ回転する力が働く。
【0026】
次に、蓋部3を収納部2から開くときの、ロック機構10の操作について、本発明の実施の形態の収納装置のロック機構10の拡大図である図4および図5を用いて説明する。
【0027】
ここで、図4は蓋部3が閉じていて、ロックアッパー13を操作する前のロック機構の拡大図であり、図5は蓋部3を開くために、ロックアッパー13を操作したときのロック機構10の拡大図である。
【0028】
まずロックアッパー13を操作するときには、ロックアッパー13の指かけ部13bを手前(図4および図5の右下側)へ引くことによって、ロックアッパー13がロックピン14を中心に回転して、図4に示すロックアッパー13の位置から図5に示すロックアッパー13の位置に変化する。
【0029】
このときに、ロックアッパー13の溝部13aも、ロックピン14を中心に回転してほぼ上方(図3および図5の上側)に位置が変化する。そして、溝部13aと係合するロックロアー15の接続軸15aも上方に引かれるので、ロックロアー15が、ロックロアースプリング17の弾性力に反発して、ロックロアー固定ピン16を中心に回転する。したがって、ロックロアー15が、図4に示すロックロアー15の位置から図5に示すロックロアー15の位置に変化してロックロアー15の端部15bがボックスピン28と離れて、ロックロアー15とボックスピン28との係合が外れる。
【0030】
そして、ロックロアー15とボックスピン28との係合が外れると、開閉スプリング7の弾性力によって収納部2から蓋部3が開く。したがって、ロックアッパー13を操作することで蓋部3を容易に開閉することができる。
【0031】
なお、ロックアッパー13とロックロアー15の回動中心が異なるために、ロックアッパー13を操作時において、接続軸15aが移動する軌道と、溝部13aが移動する軌道は異なるが、溝部13aが接続軸15aより大きくなっているので、接続軸15aが溝部13aと接する位置が変化しながらロックロアー15が回動することができる。
【0032】
また、蓋部3が閉じた状態で、リッドアウター4またはロックアッパー13において、収納装置1が目視可能な外側に位置する表面に、たとえば図1の右上から左下の斜めの方向に衝撃が加えられたときに、リッドアウター4とロックアッパー13とを回動可能に固定するロックピン14にも力が加わって、ボックスピン28との相対位置が変化し、たとえばロックピン14が図1に示される位置から図1の左下の斜めの方向に移動する。
【0033】
そして、ロックアッパー13とロックロアー15を連動可能に接続している接続軸15aと溝部13aにおいても、溝部13aには力が加わって位置が変化するが、ロックロアー15はロックロアー固定ピン16によってリッドインナー5に回動可能に固定されているので、接続軸15aが溝部13aから外れる、または接続軸15aが折れることによって、ロックロアー15とロックアッパー13とは連動せずにロックロアー15に力が伝達されず、ロックロアー15はボックスピン28と相対位置が変わらない。そして、ロックロアー15の端部15bとボックスピン28との係合が外れずに、蓋部3が開かずに閉まった状態を保持することができる。
【0034】
したがって、ロックロアー15などを含むロック機構10の材質や形状を強固なものに変更せずとも、衝撃が加えられた時に蓋部3を閉めた状態に保持することができるとともに、加えられた衝撃を接続軸15aが溝部13aから外れることで逃がすことができ、ロック機構10の材質や構造などを強固にすることによって、構造が複雑になる、重量が増加する、コストが増大するなどの問題も生じることがなく、蓋部3の開閉操作を困難にすることもない。なお、ロックアッパー13は、操作する方向が手前に引く方向とされているので、ロックアッパー13を操作する方向と外部から衝撃が加えられる方向とが異なる方向となりやすく、衝撃によってロックアッパー13が手前方向に動かされることもほとんどない。
【0035】
なお、本発明の実施の形態では、爪部および操作部を蓋部に設けたものを示したが、爪部および操作部を収納部に設けてもよい。また操作伝達部は、爪部に設けた接続軸と、操作部に設けられた溝部で構成したものを示したが、操作部に接続軸を設けて、爪部に溝部を設けてもよく、さらに操作部と爪部の間に他部材を介在させて接続してもよい。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、外部から蓋部へ衝撃などが加えられても外部から加えられた衝撃を逃がすことができるとともに、操作部に所定以上の力が作用しても、操作部と爪部の可動方向が異なるので、爪部の変形または変位がより生じにくく、操作部または蓋部に所定以上の力が作用した場合に、爪弾性部が爪部をより固定する方向に作用し、蓋部を閉じた状態に固定可能にするという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の収納装置の側断面図
【図2】本発明の実施の形態の収納装置のリッドアウターの分解斜視図
【図3】本発明の実施の形態の収納装置のリッドロアーの分解斜視図
【図4】本発明の実施の形態の収納装置のロック機構の拡大図
【図5】本発明の実施の形態の収納装置のロック機構の拡大図
【図6】従来の収納装置の側断面図
【符号の説明】
1 収納装置
2 収納部
3 蓋部
4 リッドアウター
5 リッドインナー
6 回動軸
7 開閉スプリング
10 ロック機構
13 ロックアッパー
13a 溝部
14 ロックピン
15 ロックロアー
15a 接続軸
16 ロックロアー固定ピン
17 ロックロアースプリング
20 操作伝達部
28 ボックスピン
Claims (4)
- 収納部と、前記収納部を覆う蓋部と、前記収納部または前記蓋部に設けられて、前記収納部を前記蓋部で閉じた状態に固定するとともに、前記収納部から前記蓋部が開く状態に前記固定を解除する爪部と、前記収納部または前記蓋部に設けられた操作部と、前記爪部と前記操作部のうち一方に設けた接続軸と、前記爪部と前記操作部のうち他方に設けられ前記接続軸と係合する溝部とを有し、前記接続軸に前記溝部が係合して前記操作部と前記爪部とを連動させる操作伝達部とを備え、前記爪部は、前記蓋部を前記収納部に固定する方向に付勢する爪弾性部を備え、前記操作伝達部は、前記操作部を操作する方向と、前記爪部を前記収納部から前記蓋部が開く状態に解除する方向とが異なる方向に、前記操作部と前記爪部とを接続させ、前記操作部または前記蓋部に前記所定以上の力が作用した場合に前記接続軸と前記溝部との係合が外れることを特徴とする収納装置。
- 前記操作伝達部は、前記操作部を操作する方向と異なる方向の所定以上の力が前記操作部に作用した場合に、前記接続軸と前記溝部との係合が外れることを特徴とする請求項1に記載の収納装置。
- 前記蓋部は、前記蓋部が前記収納部から開く方向へ前記蓋部を付勢する蓋弾性部を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の収納装置。
- 前記収納部が車両に設けられたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の収納装置。
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2002
- 2002-05-17 JP JP2002143744A patent/JP3866156B2/ja not_active Expired - Fee Related
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