JP3865607B2 - スパウト付き収容体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば合成樹脂製の収容体の開口部に、収容物の出し入れを行なうスパウトを取着したスパウト付き収容体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成樹脂シートのような比較的柔軟な材質で形成された収容体に、その内部の収容物を取り出すべく、スパウトを取着したスパウト付き収容体が知られている。このスパウトは、通常、合成樹脂等によって一体成形されており、上記した合成樹脂シート間に配置し、熱溶着することで挟着されている。このようなスパウト付き収容体は、様々な分野で用いられており、それに応じて、スパウトは多様な構成が開発されている。
【0003】
例えば、スパウト付き収容体の使用態様として、スパウトの口部に吸出し用の針を刺し込んで収容物を注出し、これを必要個所に供給するものがある。この場合、スパウトの口部には、収容物を封止すると共に、複数回の使用が可能となるように、針を刺し込む弾性体(ゴム)が封入されている。
【0004】
ところで、このような構成では、弾性体は、針が刺し込まれる中心領域に向かって、かなり強い押圧力を有していなければならない。すなわち、この押圧力が弱いと、刺し込まれた針と弾性体との間に隙間が生じたり、或いは、針が引き抜かれた後に、その針の跡がそのまま残って通路が生じてしまい、内容物が漏れ出しやすくなってしまうからである。
【0005】
このような問題を解決するために、特開平7−187201号には、スパウトの口部に封入される弾性体に対して、効果的に押圧力を付与するように構成したスパウトが開示されている。このスパウトは、口部に円板状の弾性体を封入すると共に、この口部に、弾性体を押圧する押圧部が形成された冠体を装着するように構成されており、冠体を口部に装着することで弾性体を押圧して口部の内周壁に付勢し、これにより中心方向に向かう押圧力を与えるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した公知技術によれば、比較的簡単な構成で、弾性体に対して中心に向かう押圧力を付与したスパウトが得られる。
【0007】
しかし、上記した公知技術は、収容体の上端から突出するスパウトの口部に、弾性体を封入するための収容部を形成する構成であるため、必然的にスパウトが高さ方向に大型化してしまう。また、本体部分に対して、弾性体押圧用の冠体を装着する構成であるため、スパウトが2ピース構造にならざるを得ず、好ましくない(経済性等を考慮すると、1ピース構造で構成できることが好ましい)。
【0008】
この発明は、上記した問題に基づいて成されたものであり、弾性体を封入したスパウト付き収容体において、スパウトを高さ方向に小型化することができ、かつスパウトを1ピース構造にすることを可能にした、スパウト付き収容体を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明に係るスパウト付き収容体は、複数のシート材によって収容体を形成し、前記複数のシート材の間にスパウトを溶着した構成において、前記スパウトは、口部と、前記シート材が溶着される溶着面を具備した溶着部と、前記収容体の内部空間に収容された収容物を取り出す連通孔とを備え、前記溶着部内の前記連通孔が通る位置に、弾性体を収容する収容部を形成したことを特徴としている。
【0010】
上記した構成によれば、収容体内の収容物を取り出すための針を突き刺す弾性体は、シート材が溶着される溶着部の内部に形成された収容部に封入された状態となっている。すなわち、シート材が溶着される溶着部内に弾性体を収容する構成になることから、収容体からの突出部分に弾性体を収容するための収容部を形成する必要が無くなって、スパウトを高さ方向に小型化することが可能となる。また、口部に弾性体を押圧するための冠体を装着しなくても済むため、1ピース構造とすることが可能となる。そして、収容体内に収容された収容物は、口部から貫通孔に沿って針を刺し込み、溶着部内に封入されている弾性体を貫くことで注出される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図1乃至図5を参照して具体的に説明する。なお、これらの図において、図1は、スパウト付き収容体の構成を示す図、図2は、スパウトの斜視図、図3は、スパウトの側面図、図4は、図3のA−A線に沿った断面図、そして、図5は、図3のB−B線に沿った断面図である。
【0012】
本実施形態に係るスパウト付き収容体1は、シート材2a、例えば、比較的安価な材料である柔軟な合成樹脂シートを複数枚準備し、これを対向配置して斜線で示す領域を熱溶着することで作成された収容体2と、その上端部分においてシート材間に挟着(熱溶着)されたスパウト10とを備えて構成されている。
【0013】
前記スパウト10は、シート材2aが溶着される溶着面12aを具備した溶着部12と、この溶着部12の上方、すなわち収容体2の上端から上方に突出する口部13とを備えており、口部13から溶着部12に亘って、収容体2の内部空間に収容された収容物を取り出すための連通孔15が延出している。前記溶着部12は、その溶着面12aが断面舟型形状となるように形成されており、シート材2aを溶着し易いようにしている。
【0014】
前記溶着部12内には、前記連通孔15が通る位置に収容部17が形成されている。この場合、本実施形態では、収容部17は空洞の円筒形状を成しており、その部分に、円柱状の弾性体(ゴム)50が封入されるようになっている。
【0015】
このように、溶着面12aを有する溶着部12内に弾性体50を封入するように構成することで、収容体2から突出する口部13部分に弾性体を配設する必要がなくなって、スパウト自体を高さ方向に小型化することが可能となる。なお、本実施形態では、弾性体50を容易に封入できるように、上記した溶着部12は以下のように構成されている。
【0016】
前記溶着部12は、図2及び図5に示すように、ヒンジ20を介して2部材に分割されており、前記連通孔15の直径と略一致するように開閉可能に形成されている。ここでは、溶着部12の内、口部13が存在する側を本体部22と定義し、開閉される部分を分割部23と定義する。
【0017】
本体部22と分割部23は、互いに面接するように平坦面22a,23aを具備している。各平坦面には、半円柱状にくり抜かれた凹所22b,23bが形成されており、分割部23を本体部22に対して閉じることで、両凹所によって前記収容部17が形成されるようになっている。すなわち、図に示すように、弾性体50をいずれかの凹所に配置し、分割部23を本体部22に対して閉じることで、円柱状の弾性体50が封入された溶着部12を形成することが可能となる。
【0018】
各凹所22b,23bには、分割部23を本体部22に閉じた際、収容される弾性体50を中心側に向けて押圧するように、押圧部25が形成されており、本実施形態では、各凹所の内周壁の円周方向に連続して盛り上がった断面半円形状の突出部として形成されている。
【0019】
そして、上記のような溶着部12を本体部と分割部の2部材とした構成では、分割部23を本体部22に閉じた際に、両者を仮止めできるような係止手段を形成しておくことが好ましい。すなわち、このような係止手段を形成しておくことにより、弾性体50を各凹所に収容し、分割部23を本体部22に閉じた際、すなわちシート材2aを溶着する前に、分割部23が開くことが防止できる。
【0020】
本実施形態の係止手段は、本体部22及び分割部23の各平坦面22a,23aに形成された円柱状の突起27、及びこの突起が嵌入される穴28によって形成されており、突起の径を穴の径よりも若干大きくなるように形成している。また、突起と穴は、図2に示すように、仮止め状態が安定するように、本体部22及び分割部23の夫々に形成されており、各突起と穴は、凹所22b,23bを挟むようにして形成されている。
【0021】
以上のように構成された溶着部によれば、分割部23を開くことで、容易に弾性体50を封入することができ、弾性体を封入した後は、分割部23を閉じ、そして、この状態で、溶着部12の溶着面12aにシート材2aを溶着することでスパウト付き収容体が形成される。この場合、シート材を溶着するにあたり、分割部23と本体部22は、上記した突起27と穴28により仮止め状態となっているため、分割部23が不用意に開くことはなく、不良品の発生を防止することができる。
【0022】
また、上記した構成のスパウト10は、それ自体をワンピースとして型成形することができるため、コストを低減することができると共に、取扱い性も向上する。
【0023】
なお、収容体2内に収容される収容物は、重ね合わせたシート材2aのいずれかの端部を未溶着にしてその部分から充填されるのであり、その後、未溶着部分を溶着することで、最終製品となるスパウト付き収容体が完成される。或いは、中身が入っていないスパウト付き収容体に対し、弾性体50に充填針を刺し込んで収容物を充填することで、最終製品となるスパウト付き収容体が完成される。そして、所定の供給装置にセットした後は、口部13から注出用の針が刺し込まれ、収容体2内に収容された収容物が注出される。この際、弾性体50は、押圧部25によって、針が刺し込まれる中心領域に向かって押圧力が付与されているため、刺し込まれた針と弾性体50との間に隙間が生じることは無く、また、針が引き抜かれた後においても、その通路を塞ぐような押圧力が作用するため、収容物の漏れが防止される。
【0024】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態以外にも、例えば、以下のように種々変形することが可能である。
【0025】
図6に示すように、前記連通孔15に、収容部17内に収容された弾性体50を封止するための封止壁40を形成しても良い。このような封止壁を形成することで、収容物と弾性体が接触することが防止でき、また、弾性体50を外部から見えない(露出しない)ようにしておくことができる。なお、図に示した構成では、封止壁は、弾性体の上下方向の夫々に形成されているが、いずれか一方であっても良い
上記した口部13の形状は、設置される装置の構成によって種々変形することが可能であり、また、口部には、別途、キャップを取り付けたり、アルミシート等を取着しておいても良い。
【0026】
上記した押圧部25は、封入された弾性体を、針が刺し込まれる中心方向に向けて押圧する構成であれば良く、その形状、配置個所については限定されることはない。また、封入される弾性体についても、円柱形状以外にも、球形状にする等、適宜変形することが可能である。
【0027】
さらに、溶着部12については、全体形状及び溶着面の断面形状、本体部に対する分割部の分割方法、分割部を閉じた際の仮止めを行なう係止手段等の構成については、種々変形することが可能である。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、弾性体を封入したスパウト付き収容体において、スパウトを高さ方向に小型化することができ、また、スパウトを、1ピース構造とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スパウト付き収容体の一実施形態を示す図。
【図2】スパウトの斜視図。
【図3】スパウトの側面図。
【図4】図3のA−A線に沿った断面図。
【図5】図3のB−B線に沿った断面図。
【図6】スパウト付き収容体の別の実施形態を示す図。
【符号の説明】
1 スパウト付き収容体
2 収容体
2a シート材
10 スパウト
12 溶着部
12a 溶着面
13 口部
15 連通孔
17 収容部
50 弾性体
Claims (4)
- 複数のシート材によって収容体を形成し、前記複数のシート材の間にスパウトを溶着したスパウト付き収容体において、
前記スパウトは、口部と、前記シート材が溶着される溶着面を具備した溶着部と、前記収容体の内部空間に収容された収容物を取り出す連通孔とを備え、
前記溶着部内の前記連通孔が通る位置に、弾性体を収容する収容部を形成したことを特徴とするスパウト付き収容体。 - 前記溶着部は、ヒンジを介して本体部と分割部とに開閉可能であり、前記収容部は分割部を本体部に閉じた際に形成されると共に、前記収容部には分割部を本体部に閉じた際、収容部に収容される弾性体を中心側に向けて押圧する押圧部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスパウト付き収容体。
- 前記本体部と分割部には、分割部を本体部に閉じた際に、仮止めを行なう係止手段が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のスパウト付き収容体。
- 前記連通孔には、前記収容部に収容された弾性体を封止する封止壁が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスパウト付き収容体。
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