JP3865181B2 - 自動変速機のオイルクーラ配管構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は自動変速機のオイルクーラ配管構造に係り、特に、近接配設される内燃機関の機関マウントブラケットとのクリアランスを大にし得て、振動による振れやたるみを無くし得て、機関マウントブラケットとの干渉を防止し得る自動変速機のオイルクーラ配管構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両に搭載される内燃機関には、自動変速機を連結して設け、この自動変速機の変速機オイルを冷却するオイルクーラを設けたものがある。自動変速機とオイルクーラとは、オイルクーラ配管により連絡して設け、このオイルクーラ配管により変速機オイルを自動変速機とオイルクーラとの間で循環させている。
【0003】
従来の自動変速機のオイルクーラ配管構造としては、図9・図10に示すものがある。図9・図10において、102は内燃機関、104はシリンダブロック、106はオイルパンである。この内燃機関102は、シリンダブロック104を図示しない車両の車体フレーム108に機関マウントブラケット110により取付け、傾斜して搭載している。
【0004】
この内燃機関102は、クランク軸線L方向一側にラジエータ112を配設している。内燃機関102とラジエータ112とは、冷却水配管114である冷却水導入ホース部114Aと冷却水導出ホース部114Bとにより連絡して設け、冷却水を循環させている。
【0005】
前記内燃機関102には、クランク軸線L方向他側に自動変速機116を連結している。自動変速機116は、変速機オイルを冷却するオイルクーラ118を前記冷却水配管114の冷却水導入ホース部114Aの途中に介装して設けている。自動変速機116とオイルクーラ118とは、オイルクーラ配管120であるオイル導入ホース部120Aとオイル導出ホース部120Bとにより連絡して設けている。
【0006】
自動変速機116の昇温した変速機オイルは、オイル導入ホース部120Aによりオイルクーラ118に導入され、冷却水と熱交換されて冷却される。オイルクーラ118において冷却された変速機オイルは、オイル導出ホース部120Bにより自動変速機116に戻される。
【0007】
このような自動変速機のオイルクーラ配管構造としては、特開平9−195764号公報に開示されるものがある。この公報に開示されるオイルクーラ配管構造は、液冷式エンジンを備えた車両において、変速機の潤滑液サンプ内に変速機潤滑液−エンジン冷却液熱交換器を設け、この変速機潤滑液−エンジン冷却液熱交換器をエンジンの強制冷却装置と直列に接続し、ラジエータで冷却されたエンジン冷却液により変速機潤滑液を冷却するものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記図9・図10に示す自動変速機116のオイルクーラ配管構造においては、内燃機関102のクランク軸線L方向他側に連結される自動変速機116側からクランク軸線L方向一側に配設されるラジエータ112側に指向させて、オイルクーラ配管120であるオイル導入ホース部12Aとオイル導出ホース部120Bとを配設している。
【0009】
これにより、オイル導入ホース部120Aとオイル導出ホース部120Bとは、オイルパン106と機関マウントブラケット110との間を通り、自動変速機116とオイルクーラ118とを連絡している。
【0010】
ところが、内燃機関102を傾斜して搭載している場合には、オイルパン106と機関マウントブラケット110との間が狭いため、オイル導入ホース部120Aとオイル導出ホース部120Bとが機関マウントブラケット110に近接配設される問題がある。
【0011】
このため、オイル導入ホース部120Aとオイル導出ホース部120Bとは、機関マウントブラケット110との間のクリアランスCが小さくなる不都合がある。また、このような小さなクリアランスCでオイル導入ホース部120Aとオイル導出ホース部120Bとを配設した場合には、車両や内燃機関102の振動により遊動して振れたりたるんでしまい、機関マウントブラケット110と干渉する不都合がある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明は、上述不都合を除去するために、車両に傾斜して搭載される内燃機関とこの内燃機関のクランク軸線方向で前側に配設されたラジエータとを冷却水配管により連絡して設け、前記ラジエータと前記内燃機関との間に自動変速機のオイルクーラを配設し、このオイルクーラを前記冷却水配管の途中に介装して設け、前記自動変速機とオイルクーラとをクランク軸線方向に延出するオイルクーラ配管により連絡して設けた自動変速機のオイルクーラ配管構造において、前記内燃機関のオイルパンの上面をこの上面の上端が下端より高くなるように傾斜させて配設し、前記内燃機関のシリンダブロックの下部の上面と前記内燃機関の外側に配設される車体フレームの下面とを連結する機関マウントブラケットを前記オイルパンの上面に対峙させて設け、前記オイルクーラ配管を前記オイルパンの上面に沿って配索するとともに前記機関マウントブラケットの下側を通過させ、前記オイルクーラ配管の前記機関マウントブラケットに対峙する部位を金属素材により形成してオイル管部を設け、前記機関マウントブラケットのシリンダブロック側と車体フレーム側とを連結する部位に対峙する箇所で前記オイル管部を前記オイルパンの上面に固定した取付ブラケットと前記オイルパンの上面とで挟持したことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
この発明の自動変速機のオイルクーラ配管構造は、変速機オイルが同圧力・同流量下では従来のオイルクーラ配管であるオイルホース部よりも外径を小さくすることができ、また、オイル管部を機関マウントブラケットと対峙するオイルパンに取付けて設けたことにより、内燃機関の振動によって振れやたるみを生じることがない。
【0014】
【実施例】
以下図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。図1・図2は、この発明の第1実施例を示すものである。図1・図2において、2は内燃機関、4はシリンダブロック、6はオイルパンである。この内燃機関2は、シリンダブロック4に図示しないシリンダヘッド及びオイルパン6を取付け、シリンダブロック4を図示しない車両の車体フレーム8に機関マウントブラケット10により取付け、傾斜して搭載している。
【0015】
この内燃機関2は、クランク軸線L方向一側にラジエータ12を配設している。内燃機関2とラジエータ12とは、冷却水配管である冷却水導入ホース部14Aと冷却水導出ホース部14Bとにより連絡して設け、冷却水を循環させている。
【0016】
前記内燃機関2には、クランク軸線L方向他側に自動変速機16を連結している。この自動変速機16は、変速機オイルを冷却するオイルクーラ18を設けている。オイルクーラ18は、前記冷却水配管14の冷却水導入ホース部14Aの途中に介装して設けている。自動変速機16とオイルクーラ18とは、オイルクーラ配管20であるオイル導入ホース部20Aとオイル導出ホース部20Bとにより連絡して設けている。
【0017】
前記オイルクーラ配管20であるオイル導入ホース部20Aとオイル導出ホース部20Bとの、内燃機関2の周辺部品である機関マウントブラケット10と近接配設される部位には、金属素材により形成されるオイル管部22を設けている。
【0018】
オイル管部22は、オイルクーラ18に変速機オイルを導入するオイル導入管部22Aと自動変速機16に変速機オイルを送給するオイル導出管部22Bとからなる。
【0019】
これにより、オイル導入ホース部20Aは、自動変速機16側の変速機側オイル導入ホース部20A−1及びオイルクーラ18側のクーラ側オイル導入ホース部20A−2に形成され、オイル導入管部22Aにより接続される。
【0020】
また、オイル導出ホース部20Bは、オイルクーラ18側のクーラ側オイル導出ホース部20B−1及び自動変速機16側の変速機側オイル導出ホース部20B−2に形成され、オイル導出管部22Bにより接続される。
【0021】
前記オイル導入管部22Aとオイル導出管部22Bとは、取付ブラケット24により一体的に連結して設けている。前記機関マウントブラケット10と対峙する機関構成部材であるオイルパン6の上面26には、取付ボス部28を設けている。取付ブラケット24は、オイル導入管部22Aとオイル導出管部22Bとを取付ボス部28の下方に位置させて、取付ボルト30により取付ボス部28に取付けている。
【0022】
これにより、オイル導入管部22Aとオイル導出管部22Bとからなるオイル管部22は、車両に傾斜して搭載される内燃機関2のクランク軸線L方向他側から一側に指向させて配設される。
【0023】
次に作用を説明する。
【0024】
この自動変速機16は、変速機オイルを冷却するオイルクーラ18を冷却水配管14の冷却水導入ホース部14Aの途中に介装して設けている。自動変速機16とオイルクーラ18とは、オイルクーラ配管20であるオイル導入ホース部20Aとオイル導出ホース部20Bとにより連絡して設けている。
【0025】
自動変速機16の昇温した変速機オイルは、オイル導入ホース部20Aによりオイルクーラ18に導入され、冷却水と熱交換されて冷却される。オイルクーラ18において冷却された変速機オイルは、オイル導出ホース部20により自動変速機116に戻される。
【0026】
オイル導入ホース部20Aとオイル導出ホース部20Bとの、内燃機関2の周辺部品である機関マウントブラケット10と近接配設される部位には、金属素材により形成されるオイル管部22を設けている。
【0027】
オイル管部22は、オイルクーラ18に変速機オイルを導入するオイル導入管部22Aと自動変速機16に変速機オイルを送給するオイル導出管部22Bとからなり、取付ブラケット24により一体的に連結して設けている。
【0028】
取付ブラケット24により一体的に連結されたオイル導入管部22Aとオイル導出管部22Bとは、車両に傾斜して搭載される内燃機関2のクランク軸線L方向他側から一側に指向させて機関マウントブラケット10とオイルパン6との間に配設され、機関マウントブラケット10と対峙するオイルパン6の上面26の取付ボス部28に取付ブラケット24を取付ボルト30により取付けている。
【0029】
このように、この自動変速機16のオイルクーラ配管20は、内燃機関2の周辺部品である機関マウントブラケット10と近接配設される部位に金属素材により形成されるオイル管部22を設けたことにより、変速機オイルが同圧力・同流量下では従来のオイルクーラ配管であるオイルホース部よりも外径を小さくすることができる。
【0030】
また、このオイルクーラ配管20は、金属製のオイル導入管部22Aとオイル導出管部22Bとを機関マウントブラケット10と対峙するオイルパン6に取付け、オイル導入管部22Aにより変速機側オイル導入ホース部20A−1及びクーラ側オイル導入ホース部20A−2を接続するとともに、オイル導出管部22Bによりクーラ側オイル導出ホース部20B−1及び変速機側オイル導出ホース部20B−2を接続している。
【0031】
これにより、このオイルクーラ配管20は、車両や内燃機関2の振動によってオイルクーラ配管20であるオイル導入ホース部20Aとオイル導出ホース部20Bとに振れやたるみを生じることがない。
【0032】
このため、このオイルクーラ配管構造は、外径を小としたオイル管部22を配設していることにより、近接配設される機関マウントブラケット10とのクリアランスCを大にすることができ、また、車体フレーム8に機関マウントブラケット10によって堅固に支持される内燃機関2のオイルパン6にオイル管部22を取付けてオイル導入ホース部20Aとオイル導出ホース部20Bとを接続していることにより、振動による振れやたるみを無くすことができ、機関マウントブラケット10との干渉を防止することができる。
【0033】
また、このオイルクーラ配管は、内燃機関2と車体フレーム8との間が狭い場合にも、金属素材により形成される外径の小さなオイル管部22を通すことができ、オイル管部22の干渉を防止することができる。
【0034】
図3〜図6は、この発明の第2実施例を示すものである。第2実施例のオイルクーラ配管構造は、オイル導入管部22Aとオイル導出管部22Bとを、オイルパン6の上面26の取付ボス部28に対して、上方に位置させて取付けたものである。
【0035】
このように、オイル導入管部22Aとオイル導出管部22Bとを、取付ボス部28に対して上方に位置させて取付けた場合には、オイルパン6が剛性の高いシリンダブロック4に取付けられていることから、この剛性の高いシリンダブロック4に近接するオイルパン6の振動を抑制された部位に取付けられることになり、内燃機関2からの振動の伝達を抑制して、機関マウントブラケット10との干渉を防止することができる。
【0036】
図7は、この発明の第3実施例を示すものである。第3実施例のオイルクーラ配管構造は、オイル導入管部22Aとオイル導出管部22Bとを、取付ボス部28の両側に振り分けて取付けたものである。
【0037】
このように、オイル導入管部22Aとオイル導出管部22Bとを、取付ボス部28の両側に振り分けて取付けた場合には、オイル導入管部22Aとオイル導出管部22Bとが離間されることにより、オイル導入管部22Aを流れる昇温した変速機オイルとオイル導出管部22Bを流れる冷却された変速機オイルとの熱交換を防止することができる。
【0038】
図8は、この発明の第4実施例を示すものである。第4実施例のオイルクーラ配管構造は、オイル導入管部22Aとオイル導出管部22Bとを、オイルパン6の側面32に取付けたものである。
【0039】
このように、オイル導入管部22Aとオイル導出管部22Bとを、オイルパン6の側面32に取付けた場合には、機関マウントブラケット10とのクリアランスCをさらに大にすることができ、機関マウントブラケット10との干渉を確実に防止することができる。
【0040】
なお、上述実施例においては、オイル管部22のオイル導入管部22Aとオイル導出管部22Bとを金属製として取付ブラケット24により一体的に連結して設けたが、オイル管部22のオイル導入管部22Aとオイル導出管部22Bと取付ブラケット24とを剛性の高いプラスチック(例えば、エンジニアリングプラスチック)により一体的に連結して形成することもできる。
【0041】
【発明の効果】
このように、この発明の自動変速機のオイルクーラ配管構造は、変速機オイルが同圧力・同流量下では従来のオイルクーラ配管であるオイルホース部よりも外径を小さくすることができ、これにより配管スペースを小さくすることができ、また、オイル管部を機関マウントブラケットと対峙するオイルパンに取付けて設けたことにより、内燃機関の振動によって遊動することがなく、振れやたるみを生じることがない。
【0042】
このため、このオイルクーラ配管構造は、近接配設される内燃機関の機関マウントブラケットとのクリアランスを大にし得て、振動による振れやたるみを無くし得て、機関マウントブラケットの干渉を防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例を示すオイルクーラ配管構造の概略側面図である。
【図2】図1の矢印IIによる概略背面図である。
【図3】第2実施例を示すオイルクーラ配管構造の詳細側面図である。
【図4】(A)はオイル管部の平面図、(B)はオイル管部の側面図である。
【図5】図3の矢印Vによる底面図である。
【図6】図3の矢印VIによる概略背面図である。
【図7】第3実施例を示すオイルクーラ配管構造の概略背面図である。
【図8】第4実施例を示すオイルクーラ配管構造の概略背面図である。
【図9】従来例を示すオイルクーラ配管構造の概略側面図である。
【図10】図9の矢印Xによる概略背面図である。
【符号の説明】
2 内燃機関
4 シリンダブロック
6 オイルパン
8 車体フレーム
10 機関マウントブラケット
12 ラジエータ
14A 冷却水導入ホース部
14B 冷却水導出ホース部
16 自動変速機
18 オイルクーラ
20 オイルクーラ配管
20A オイル導入ホース部
20B オイル導出ホース部
22 オイル管部
22A オイル導入管部
22B オイル導出管部
24 取付ブラケット
26 上面
28 取付ボス部
30 取付ボルト
Claims (3)
- 車両に傾斜して搭載される内燃機関とこの内燃機関のクランク軸線方向で前側に配設されたラジエータとを冷却水配管により連絡して設け、前記ラジエータと前記内燃機関との間に自動変速機のオイルクーラを配設し、このオイルクーラを前記冷却水配管の途中に介装して設け、前記自動変速機とオイルクーラとをクランク軸線方向に延出するオイルクーラ配管により連絡して設けた自動変速機のオイルクーラ配管構造において、前記内燃機関のオイルパンの上面をこの上面の上端が下端より高くなるように傾斜させて配設し、前記内燃機関のシリンダブロックの下部の上面と前記内燃機関の外側に配設される車体フレームの下面とを連結する機関マウントブラケットを前記オイルパンの上面に対峙させて設け、前記オイルクーラ配管を前記オイルパンの上面に沿って配索するとともに前記機関マウントブラケットの下側を通過させ、前記オイルクーラ配管の前記機関マウントブラケットに対峙する部位を金属素材により形成してオイル管部を設け、前記機関マウントブラケットのシリンダブロック側と車体フレーム側とを連結する部位に対峙する箇所で前記オイル管部を前記オイルパンの上面に固定した取付ブラケットと前記オイルパンの上面とで挟持したことを特徴とする自動変速機のオイルクーラ配管構造。
- 前記オイルパンの上面に前記取付ブラケットが固定される取付ボス部を設け、この取付ボス部に対して上方に位置させて前記オイル管部を取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機のオイルクーラ配管構造。
- 前記オイルパンの上面に前記取付ブラケットが固定される取付ボス部を設け、この取付ボス部に対して下方に位置させて前記オイル管部を取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機のオイルクーラ配管構造。
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