JP3864049B2 - ウイルスコード配列を含有していない高い効率を有するレトロウイルスベクター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は遺伝子治療のための改善されたレトロウイルスベクターに関する。詳しくは、本発明はマウス白血病ウイルス(MLV)のgag、envおよびpolコード塩基配列を完全に欠失しているMLVベースのレトロウイルスベクターに関する。本発明は、安全で且つ有効なレトロウイルス発現ベクターに関し、この発現ベクターでは、レトロウイルス遺伝子、すなわちgag.envおよびpolの全てが完全に欠失していて;非相同性イントロン、スプライスアクセプターおよび(または)非コード塩基配列が外来遺伝子のためのクローニング部位の上流位置に挿入され;非相同性内部プロモーターまたは内部リボソームエントリー部位(以下「IRES」と称する)がクローニング部位の下流位置に挿入され;そして5’LTR(ロングタームリピート)または強力な非相同性プロモーターのフルレングスU3配列が外来遺伝子の発現を調節する。
【0002】
【発明の背景・従来の技術】
レトロウイルスベクターはその他のベクターよりもさらに頻繁に遺伝子療法に使用されていて、世界的に承認された臨床プロトコールの50%を超えて使用されている(Wiley-Journal of Gene Medicine Website ; http://www.wiley, co.uk/genetherapy)。マウス白血病ウイルス(以下「MLV」と称する)ベースのベクターが主に使用されているが、臨床上の使用においてレトロウイルスベクターにはなお多くの問題がある。最も重大な問題はそれらの安全性であり、レトロウイルスベクターはウイルスベクターの一種であり、そのために細胞中で複製受容能のあるレトロウイルス(以下「RCR」と称する)に変換されることがある。結局、相同組換えによるRCR生成は重大な関心事であった。
【0003】
全ての利用可能なレトロウイルスベクターは顕著に長いウイルスコード配列を含有している。これらの配列はパッケージングされたベクターが放出されるパッケージングされた細胞のゲノム中にも存在しているので、パッケージングされたゲノム中の同一ヌクレオチド配列とベクターとの間に相同組換えが生じてRCRの生成が結果として生じ得ることが提案されていて、このことはMiller等(Miller等、Human Gene Ther., 1:5, 1990)によって報告されている。
【0004】
MLVベースのレトロウイルスベクターの二種類のタイプ、すなわちLNシリーズベクターおよびMFGベクターが遺伝子療法に最も頻繁に使用されている(MillerおよびRoseman, Biotechnigues, 7: 980-990,1989 ; Dranoff等、Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 90 : 3539-3543,1993)。LNシリーズベクター中の外来遺伝子の発現は非相同性内部プロモーターまたはLTRによって調節されるが、MFGベクター中の転写レベルはLTRのコントロール下にあり、そして外来遺伝子はゲノムRNAまたはスプライシングされたサブゲノムRNAの形態で発現される。しばしば第一世代レトロウイルスベクターと考えられているLNシリーズベクターは420−bp gagコード配列を含有している。この領域はウイルスパッケージングに重要な役割を果しているものと考えられているが、ある条件下ではgag領域はウイルスパッケージングおよび力価に対して顕著な効果を示すことなく欠失できることが開示されている(Kim等,J. Virol., 71 : 994-1004, 1998)。
【0005】
LNシリーズベクターと比較して、MFGベクターは遺伝子発現レベルをさらに安定化し、かつ高め、そしてヒト−またはマウス−由来細胞系の大部分でより高いウイルス力価を生じることが知られている(Byun等,Gene Ther., 3 : 780-788, 1996)。しかしながら、MFGベクターはさらに多くのウイルス配列、gagに対する420−bp.polに対する377−bp,およびenvに対する99−bpを含有し、LNシリーズベクターよりも高い頻度でRCRを生成する可能性が生じる。
【0006】
通常のレトロウイルスベクターに関連するこれらの不利な点を克服するべく、本発明者等はレトロウイルスベクターを構築した(韓国特許出願第97−48095号)。このベクターは以下に述べるいくつかの特徴を有していた:
【0007】
・クローニングされた遺伝子転写産物は有効にスプライシングされ、より高い発現レベルの遺伝子を生成した。
・gagおよびenv配列はウイルス力価を失うことなく完全に欠失していた。
・IRESをベクターでの二種またはそれ以上の遺伝子の同時発現のために使用した。
・マルチクローニング部位をベクター中に挿入して外来遺伝子のクローニングを容易にした。
【0008】
gagおよびenv配列がレトロウイルスベクターから欠失していたため、ベクターの安全性がその他のレトロウイルスベクターと比較して増大した。しかし、このベクターはスプライスアクセプター配列を係留する377−bp polコード配列およびenvのための284−bpリーダー(転写されるが、翻訳されない)を含むその下流配列をなお含有している。その理由はpol配列の欠失は異常な、または非能率的なスプライシングをもたらすからである。pol配列のための377−bpはまたパッケージングラインのゲノム中にも存在しているので、RCR生成を生じる非相同性組換えの可能性がベクターになお残っている。
【0009】
遺伝子発現の効率が上昇し、かつ安全性が増大した新規なレトロウイルスベクターを開発するために、本発明者等はいずれのウイルスコード配列をも含有していないレトロウイルスベクターを構築した。本発明は、MLV由来pol遺伝子が完全に欠失し、パッケージング細胞系での非相同性組み換えによるRCR生成の可能性を排除し;非相同性イントロン、スプライスアクセプターおよび(または)非コード領域が外来遺伝子のためのクローニング部位の上流位置に挿入され、遺伝子発現の効率を最大とし;5′LTRまたはヒトサイトロメガロウイルス(以下「HCMV」と称する)主要前初期プロモーター(major immediate early promoter)(MIEP:iel遺伝子のプロモーター)を外来遺伝子発現調節のためのシス−エレメントとして使用され;そして非相同性内部プロモーターまたはIRESがクローニング部位の下流位置に挿入され、二種またはそれ以上の外来遺伝子の同時発現が可能となるレトロウイルスベクターを構築することにより達成される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、より高いレベルで外来遺伝子が発現され、それ故に遺伝子療法に有効に使用し得る安全なレトロウイルスベクターを提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上述した目的は容易に達成される。
本発明は、MLV−コードgag,envおよびpol配列が完全に欠失しているMLVベースのレトロウイルスベクターを提供する。
【0012】
一つの特徴によれば、本発明のMLVベースのレトロウイルスベクターは、外来遺伝子のためのクローニング部位の上流位置に挿入されている非相同性イントロンおよび(または)非相同性スプライスアクセプターを含有し得る。
【0013】
別の特徴によれば、本発明のMLVベースのレトロウイルスベクターは、外来遺伝子のためのクローニング部位の上流位置に挿入された非相同性非コード配列を含有し得る。
さらに他の特徴によれば、MLV5′LTRのフルレングスU3配列(−419〜−1bp)を本発明のMLV−ベースのレトロウイルスベクター中で非相同性プロモーターで置換することができる。
【0014】
さらにその他の特徴によれば、本発明のMLV−ベースのレトロウイルスベクターは外来遺伝子のためのクローニング部位の下流位置に非相同性プロモーターを含有することができる。
本発明によればまた本発明のMLV−ベースレトロウイルスで形質転換されたE.coli(大腸菌)菌株が提供される。
本発明のこれ以上の特徴は以下に明らかとなる。
【0015】
【発明の実施の態様】
本発明はMLVベースのベクター、特にMONまたはMINから誘導される安全でかつ効率のよいレトロウイルスベクターを提供する。本発明のベクターにおいて、レトロウイルス遺伝子(gag,envおよびpolコード配列)は完全に欠失し;非相同性イントロン、スプライスアクセプターおよび(または)非コード配列が外来遺伝子のためのクローニング部位の上流位置に挿入され;強力な非相同性プロモーターが5′LTRに含有され;そして非相同性プロモーターまたはIRESがクローニング部位の下流位置に配置されている。
【0016】
特に、本発明のベクターにおいて、スプライスアクセプターを含むpolコード配列が完全に欠失しているので、通常のレトロウイルスベクターの不利な点とされている相同性組換えの可能性を排除することができる。
【0017】
欠失pol配列は遺伝子発現レベルの低下をもたらす。低下した発現効率およびウイルス力価を回復するために、以下の如く様々なレトロウイルスベクターが本発明で提供される:
【0018】
・本発明は、polコード配列の3′部分とオーバーラップしている欠失スプライスアクセプターを補完するために、非相同性イントロンおよび(または)スプライスアクセプターが外来遺伝子のためのクローニング部位の上流位置に挿入されているレトロウイルスベクターを提供する。既知のウイルスまたは細胞遺伝子のイントロンおよび(または)スプライスアクセプターはいずれもがこの目的に使用することができ、好ましくはHCMV iel(UL123)遺伝子、延長因子1α(以下「EF1α」と称する)遺伝子、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(以下「GAPDH」と称する)遺伝子、β−アクチン遺伝子等である。
【0019】
・本発明はまた、非相同性非コード配列がクローニング部位の上流位置に挿入されているレトロウイルスベクターを提供する。非コード配列は、翻訳効率を増進するのに使用され、そしてイントロンおよび非翻訳エキソンを包含するタンパク質に翻訳されない転写DNA配列と定義される。好ましくは、非コード配列はHCMV iel(UL123)遺伝子、EF1α遺伝子、GAPDH遺伝子およびβ−アクチン遺伝子からなる群から選択される。非相同性非コード配列の挿入により、外来遺伝子転写のスプライシングの効率化およびサブゲノムRNAの有効な翻訳が可能となる。
【0020】
・加えて、本発明は非相同性内部プロモーターまたはIRESがクローニング部位の下流位置に係留されているレトロウイルスベクターを提供する。
【0021】
・最後に、本発明は5′LTRのフルレングスU3配列または強力な非相同性プロモーターが含まれているレトロウイルスベクターを提供する。
本発明を以下に詳述する。
【0022】
1.polコード配列の欠失:ΔSA構築
安全性が改善されたレトロウイルスベクター、すなわち相同性組換え活性を有していないレトロウイルスベクターを開発するために、MONベクター(韓国特許出願第97−48095号)からスプライシング受容体を包含するpolコード配列を欠失させ、欠失変異体ベクターΔSAを構築した。さらに、レポーター遺伝子として細菌性CAT(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ)の挿入によりΔSA−CATベクターを構築した(図1参照)。次に、ΔSA−CATでトランスフェクションまたは形質導入した細胞系を調製し、そしてCATアッセイにかけた。CATアッセイにより、欠失変異体のウイルス力価は親ベクターMON−CATの力価と匹敵し得るが、遺伝子発現が低下したことが明らかになった(表1参照)。これらの結果は、スプライスアクセプターを含むpol遺伝子がベクター中の外来遺伝子発現の調節に関連していることを提示している。
【0023】
これらの結果から予想されるとおり、非相同性スプライスアクセプターおよび(または)イントロンが外来遺伝子のためのクローニング部位の上流位置に挿入してpol遺伝子に付随して欠失されるスプライシング部位を補完するようにすると、外来遺伝子の発現レベルが上昇する。しかし、スプライシングが余りに多く起こると、サブゲノムRNA対ゲノムRNAの比が増加し、高レベルの遺伝子発現にもかかわらずウイルス力価の低下をもたらす。
【0024】
従って、理想的なレトロウイルスベクターを構築するには、転写、スプライシングおよび翻訳の率がトランスフェクションまたは形質導入された細胞系で釣合がとれているようにベクターをデザインしなければならない。換言するに、外来遺伝子が豊富に転写され、そしてゲノムRNAの量がサブゲノムRNAの量と釣合がとれ、そのためにゲノムRNAがウイルス粒子中にパッケージされるように十分に生成され、またサブゲノムRNAが外来遺伝子にコードされている多くのタンパク質中に翻訳され得るようなベクターが好ましい。本発明では、ウイルスまたは細胞遺伝子から由来する様々な非コード配列が欠失変異体ベクターに挿入されているレトロウイルスベクターが提供され、それでこの挿入がウイルス力価および遺伝子発現レベルに効果を有するかどうかを検討する。
【0025】
2.スプライシングおよび翻訳効率を増進する非相同性DNA配列の挿入:
DON1.2、DON2およびDONSA1構築
スプライシング率および遺伝子発現率の釣合を保持し、またウイルスRNAの全収率を上昇させるために、MLV5′LTRのU3領域が強力なプロモーター、HCMV主要前初期プロモーターで置換され、そして非相同性非コード配列が挿入されたレトロウイルスベクターが構築された。
【0026】
好ましい態様では、HCMV iel(UL123)遺伝子の非翻訳エキソンおよびイントロンがベクターのクローニング部位の上流位置に挿入された非相同性非コード配列として使用されていた(図2参照)。HCMV iel(UL123)遺伝子のエキソンおよび(または)イントロン配列は発現ベクターに挿入されると翻訳効率を増進することが知られている。
【0027】
特に、pCMベクターは以下の如くして調製した:レトロウイルスコード配列の全てを欠失させ;5′LTRのフルレングスU3配列をHCMV主要前初期プロモーターで置換し、MLV誘導3′LTRを保持し;そして非相同性内部プロモーターとしてSV40プロモーター−ネオカセットを用いた。次に、pCMベクターにHCMV iel(UL123)遺伝子のエキソン1、イントロンAおよび(または)エキソン2を挿入することによりDON1.2、DON2およびDONSA1ベクターを構築した(図3a、図3bおよび図4a〜4cを参照)。
次に、CATレポーター遺伝子の挿入により、DON1.2−CAT、DON2−CATおよびDONSA1−CATベクターを調製した。これらのベクターでトランスフェクションまたは形質導入された細胞系をCATアッセイにかけた。CATアッセイの結果から、三種のベクターのいずれもがコントロールベクターL−CAT−SNよりも一層高いスプライシング効率および遺伝子発現を示すことが確認された(表2を参照)。
【0028】
3.スプライシングおよび遺伝子発現を促進し得る細胞DNA配列の挿入:MIN−AI、MIN−EIおよびMIN−GI構築
別の好ましい態様において、レトロウイルスベクターをさらに工夫して、スプライシング率と遺伝子発現率との釣合からウイルス力価および遺伝子発現双方の効率を一層高くするようにした。これらのベクターにおいて、ヒト遺伝子のエキソンおよび(または)イントロン配列をレトロウイルスベクター中の外来遺伝子のためのクローニング部位の上流位置に挿入した(図5を参照)。
【0029】
これらのベクターを構築するために、MINベクターを調製した。このベクターでは、レトロウイルスコード領域がすべて欠失され;MLV−由来5′および3′LTRが保持され;そしてEMCV IRES−ネオカセットを非相同性内部プロモーターとして使用した。特に、MINベクターを次の工程によって調製した:MLV5′および3′LTR領域を含むDNAフラグメントを増幅し、このフラグメントをpUC18ベクターに挿入し、そして組換えベクターにIRES−ネオカセットを挿入する(図6を参照)。ヒトβ−アクチン、EF1αまたはGAPDH遺伝子の部分イントロンおよび部分エキソン2を含むDNAフラグメントをMINベクターのクローニング部位の上流位置に挿入して、MIN−AI、MIN−EIまたはMIN−GIベクターをそれぞれ構築した。(図7a〜7c参照)。
【0030】
スプライスアクセプターとして細胞遺伝子(例えば、MIN−AI等)を用いるベクターをウイルス遺伝子(例えば、DON1.2等)を用いるベクターと比較するために、別のMLV−ベースのベクターMIN−2を調製した。具体的には、HCMV iel(UL123)遺伝子の部分イントロンAおよび部分エキソン2を含むDNA配列をMINベクターに挿入する(図7dを参照)。この挿入断片はDON2ベクターのそれと同一である。
【0031】
次に、MIN−CAT、MIN−AICAT、MIN−EICAT、MIN−GICATおよびMIN−2CATベクターを相当するベクターにCATレポーター遺伝子を挿入することにより調製した。これらのベクターでトランスフェクションまたは形質導入された細胞系をCATアッセイにかけた。CATアッセイの結果から、本発明の全てのベクターのウイルス力価はコントロールベクターLXSNおよびMFGの力価と同じであり、一方MIN−2およびMIN−EIでトランスフェクションまたは形質導入された細胞系での遺伝子発現はコントロールベクターを含む細胞系よりも一層高いことが明らかとなった(表3を参照)。
【0032】
【実施例】
本発明の実際の、現在好ましい態様を以下の実施例に示す如く例示する。
しかし、当業者は、この記載を考慮して、本発明の精神および範囲内で変形および改良とすることができることが明らかである。
【0033】
実施例1:MONベクターからのpol遺伝子の欠失
(1−1)ΔSA構築
polコード配列を欠如している5′LTR下流配列を調製するために、PRC(ポリメラーゼ連鎖反応)を行った。ここでは、MONベクター(韓国特許第97−48095号)を鋳型として使用し、また配列番号1(HHIRプライマー)および配列番号2(R523Bamプライマー)によって表わされる2種の一本鎖合成オリゴヌクレオチドをプライマーとして使用した。増幅したDNAフラグメントはMLV5′LTR〜+523bpのヌクレオチド配列に相当した(図1を参照)。この場合、+1はMLVゲノムの転写開始部位を表わし、また+212〜+523bpの配列はゲノムRNAをパッケージするのに必要な非コード領域である。
【0034】
PCR生成物をPCRII(Invitrogen.CA.USA)にサブクローニングし、次に得られたベクターからHindIII−BamHIフラグメントを調製した。MONベクターの部分HindIII−BamHIフラグメントをPCR生成物のHindIII−BamHIフラグメントで置換してΔSAベクターを構築した。このΔSAベクターを、MLV5′および3′LTR、およびスプライスアクセプター、IRES−ネオカセットおよびポリプリントラックからなる非コード配列を含有するレトロウイルスベクターの基本バックボーンとして使用し、レトロウイルスコード配列は全て欠失している(図1を参照)。
【0035】
(1−2)ΔSA−CAT構築
外来遺伝子発現およびレトロウイルスゲノムRNAのパッケージングに対する上述の遺伝子操作の効果を検討するために、細菌CAT遺伝子をレポーター遺伝子として使用した。
【0036】
CAT遺伝子をPCRにより入手し、ここではpCAT3−基本ベクター(Promega,WI,USA)を鋳型として使用し、また配列番号3(CATATENプライマー)および配列番号4(CATSTOPプライマー)によって表わされた2種の合成オリゴヌクレオチドをプライマーとして使用した。PCR生成物をpCRII(Invitrogen,CA,USA)に挿入し、そしてCAT遺伝子を含む得られたベクターのBamHIフラグメントをpC3.1(Invitrogen,CA,USA)を導入して、pC3.1−CATを調製した。ΔSA−CATベクターをΔSAベクターのHpaI部位にCAT遺伝子(C3.1−CATのクレノウ(Klenow)−処理XbaI−HindIIIフラグメント)を挿入することにより構築した(図1を参照)。
【0037】
(1−3)CATアッセイ
ΔSA−CATおよびコントロールベクター(MON−CAT)を、Gag−PolおよびEnパッケージングベクターと共に293T細胞にトランスフェクションした(DuBridge等、Mol.Cell.Biol.,7:379−387,1987)。トランスフェクションした細胞を48時間培養した後、サイトソルタンパク質を抽出してCAT活性、すなわち、外来遺伝子発現レベルの指標を測定した。一方、培地を0.45−μmフィルターで濾過して得られた細胞を含まないウイルス上澄液を用いてNIH3T3細胞(ATCC CRL 1658)を形質導入した。CAT活性のレベルは形質導入後48時間のタンパク質抽出液を用いて測定した。
【0038】
CATアッセイは以下の如くして実施した:まず、細胞を収集し、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)1mlで洗い、次に0.25M Tris緩衝剤に再懸濁した。細胞を凍結(ドライアイス中)−解凍(37℃水浴中)サイクルを6回くり返して溶解した。得られた細胞抽出液を7分間60℃に加熱してデアセチラーゼを不活性化した後、抽出液を12,000rpmで10分間遠心分離し、そして上澄液をとり出した。抽出液中のタンパク質レベルをブラッドフォード法によって定量した。標準化した抽出液を14C−クロラムフェニコール(60mCi/ミリモル、0.1mCi/ml)1μl、アセチル補酵素A2μl(40mM)および0.25M Tris(pH7.5)の適切な量と混合した。この反応混合物を適当な反応時間37℃でインキュベートした。反応後、クロラムフェニコールを酢酸エチルで抽出し、そして減圧濃縮した。ペレットを酢酸エチル15μlに再懸濁し、薄層クロマトグラフィー(TLC)プレートに充填した。TLC展開溶剤(95%クロロホルム:5%メタノール)を用いてTLCを実施した後、TLCプレートを乾燥し、次にX線フィルムに曝すか、またはホスホイメージアナライザー(phosphoimage analyzer)にかけ、その結果としてクロラムフェニコールのアセチル化レベルを測定した。試料中のCAT活性は、アセチル化クロラムフェニコール対全クロラムフェニコールの放射能比から算出することができた。
【0039】
表1は、ΔSA−CAT欠如pol遺伝子でトランスフェクションされた293T細胞系でのCAT活性はMON−CATでトランスフェクションされたコントロール系よりも低いことを示している。これは、polコード配列が遺伝子発現の調節に関連していることを示唆している。加えて、形質導入された系でのCAT活性はトランスフェクションされた系と類似のパターンを示し、パッケージング効率は遺伝子発現効率に関係していることを意味している。
【0040】
【表1】
【0041】
実施例2:プロモーターおよびHCMV iel(UL123)遺伝子のエキソンおよび(または)イントロンの挿入
スプライシング率と翻訳率との釣合を保ち、またウイルスRNAの全収率を増進させるために、以下の3種のベクターからなるMON由来のレトロウイルスベクターを構築した:
【0042】
・MLV5′LTRのフルレングスU3配列をHCMV主要前初期プロモーターで置換し;そしてMLVスプライスアクセプターをHCMV iel(UL123)遺伝子のエキソン1、イントロンAおよび部分エキソン2(開始コドンの直前に末端をもつ)を含むDNAフラグメントで置換しているDON1.2ベクター、
【0043】
・MLV5′LTRのフルレングスU3配列をHCMV主要前初期プロモーターで置換し;そしてMLVスプライスアクセプターをHCMV iel(UL123)遺伝子の部分イントロンAおよび部分エキソン2を含むDNAフラグメントで置換しているDON2ベクター、および
【0044】
・MLV5′LTRのフルレングスU3配列をHCMV主要前初期プロモーターで置換し;そしてMLVスプライスアクセプターをマウス免疫グロブリン遺伝子のスプライスアクセプターおよびHCMV iel(UL123)遺伝子のエキソン1を含むDNAフラグメントで置換しているDONSA1ベクター。
これらのベクターを構築する詳しい方法を以下に記載する(図3a,図3bおよび図4a〜4cを参照)。
【0045】
(2−1)SN−3LTRの構築
3種の変異体ベクターにおいて、SV40プロモーターネオカセットを外来遺伝子のためのクローニング部位の下流位置に挿入する(図2を参照)。これらの変異体ベクターを構築するために、SV40プロモーター−ネオカセットを含むベクターを以下の如くして調製した(図3aおよび3bを参照)。
【0046】
SV40プロモーターのコントロール下にネオ遺伝子を発現するベクターを調製するために、SV40プロモーター−ネオカセットをPRCにより生成した。PCRにおいて、pC3.1(Invitrogen,CA,USA)を鋳型として使用し、また配列番号5(SV40−5プライマー)および配列番号6(Neo−3プライマー)によって表わされる2種の合成オリゴヌクレオチドをPRCプライマーとして用いた。
【0047】
SV40プロモーター−ネオカセットをpCRII(Invitrogen,CA,USA)でサブクローニングした後、得られたベクターのBamHI−XhoIフラグメントをMONのBamHI/XhoI部位に挿入した。得られたベクターMSNをBamHIおよびEcoRI制限酵素で消化し、そしてSV40プロモーター−ネオカセットおよび3′LTRを含むBamHI−EcoRIフラグメントをSN−3LTRベクターを構築するようにpUC18のBamHI−EcoRIフラグメントと結合させた(図3aを参照)。
【0048】
(2−2)pCM構築
5′LTRを強力な非相同性プロモーターで置換したレトロウイルスベクターを調製するためにPCRを実施した。PCRでの鋳型として、MLV5′LTRのフルレングスU3配列(−419〜−1bp)をフルレングスHCMV主要前初期プロモーターで置換したキメラLTRを含むレトロウイルスベクターMCC−CAT(韓国特許願第97−48095号)を使用した。PCRプライマーは配列番号1(HHIRプライマー)および配列番号2(R523Bamプライマー)によって表わされる2種の合成オリゴヌクレオチドであった。PCR生成物はキメラ5′LTR〜+523bpのDNA配列を含有し、そしてpCRII(Invitrogen,CA,USA)にサブクローニングした。サブクローニングした配列のHindIII−BamHIフラグメントをSN−3LTRベクター(実施例2−1で得られたもの)のHindIII−BamHI部位に挿入してpCMベクターを調製した(図3bを参照)。
【0049】
pCMにおいて、レトロウイルスコード配列の全部が実施例1−1のΔSAベクターのとおりに欠失され、一方ΔSAベクターの5′LTRおよびIRES−ネオカセットはキメラLTRおよびSV40プロモーター−ネオカセットでそれぞれ置換されていた。pCMベクターを実施例2−3〜2−5に示すようにDON1.2、DON2およびDONSA1ベクターのための出発物質として使用した。
【0050】
(2−3)DON1.2およびDON1.2−CAT構築
HCMV iel(UL123)遺伝子のエキソン1、イントロンAおよびエキソン2(コドン開始まで)を含むDNAフラグメントを得るために、PCRを実施した。PCRでの鋳型は、HCMV主要前初期プロモーターからエキソン5までのDNA配列を含有するpEQ276ベクター(Biegalbe等,Virology, 183 : 381-385, 1991)であった。2種のPCRプライマーが配列番号7(RI5プライマー、エキソン1でハイブリッド形成された)および配列番号8(CMVexon2.3プライマー、エキソン2でハイブリッド形成された)にそれぞれ記載されていた。1−kb DNAフラグメントをPCRで増幅し、そしてHCMV iel(UL123)のエキソン1、イントロンAおよび部分エキソン2(開始コドン直前に末端を有する)を含有していた。
【0051】
PCR生成物をpZero−平滑ベクター(Invitrogen,CA,USA)に挿入してpZero1.2ベクターを調製した。次に、pZero1.2のEcoRIフラグメントをクレノウ酵素で処理して平滑末端とした。実施例2−2で得られたpCMベクターをBamHI酵素で消化し、そしてクレノウ酵素で処理した。平滑末端を有する2種のDNAフラグメントを結合させてDON1.2ベクターを構築した。さらに、CAT遺伝子をDON1.2のクレノウ処理HindIIIフラグメントに挿入することにより、DON1.2−CATベクターを構築した。
【0052】
(2−4)DON2およびDON2−CAT構築
実施例2−3のpZero1.2のHpaI−EcoRIフラグメントを調製した。このものはイントロンAの112−bp3′領域およびエキソン2の5′領域(+837〜+964,開始コドン直前)を含有していた。次に、このDNAフラグメントをクレノウ酵素で処理して平滑末端とした。一方で、実施例2−2で得られたpCMベクターをBamHI酵素で消化し、そしてクレノウ酵素で処置した。平滑末端を有する上述の2種のDNAフラグメントを結合させてDON2ベクターを構築した。さらには、CAT遺伝子をDON2のクレノウ処理HindIIIフラグメントに挿入することにより、DON2−CATベクターを構築した(図4bを参照)。
【0053】
(2−5)DONSA1およびDONSA1−CAT構築
マウス免疫グロブリン遺伝子のスプライスアクセプターを調製するために、一本鎖オリゴヌクレオチドを合成した。これらはそれぞれ配列番号9(SAトップオリゴマー)および配列番号10(SAボトムオリゴマー)によって表わされた。2種のオリゴマーのアニーリング反応により付着末端を有するスプライスアクセプターが生成した。pGEM4−SAベクターはフラグメントをpGEM4ベクター(Promega,WI,USA)のBamHI部位に挿入することによって調製した(図4cを参照)。
【0054】
HCMV iel(UL123)遺伝子のエキソン1を増幅するために、PCRを実施した。ここでは、実施例2−3のpEQ276ベクターを鋳型として使用し、またそれぞれ配列番号7(RI5プライマー)および配列番号11(エキソン13プライマー)により表わされた2種の合成オリゴヌクレオチドをプライマーとして使用した。
【0055】
増幅したエキソン1フラグメントをpZero−平滑ベクター(Invitrogen;CA,USA)のEcoRI部位にサブクローニングしてpZero−エキソン1ベクターを生成させた。次に、pZero−エキソン1のEcoRIフラグメントをpGEM4−SAのEcoRI部位でサブクローニングしてpGEM−SA−エキソン1ベクターを調製した。
【0056】
pGEM4−SA−エキソン1のXbaI−BamHIフラグメントをクレノウで処理して平滑末端とし、次にpCMのクレノウ処理BamHIフラグメント(実施例2−2で得られたもの)と結合させて、DONSA1ベクターを構築した。
【0057】
さらには、DONSA1のHpaI部位にCAT遺伝子を挿入することにより、DONSA1−CATベクターを構築した(図4cを参照)。
【0058】
(2−6)CATアッセイ
DON1.2−CAT、DON2−CAT、DONSA1−CATおよびL−CAT−SNベクターをパッケージング系FlyA13(Cosset等,J. Virol., 69 : 7430-7436, 1995)にトランスフェクションした。トランスフェクションした系を48時間培養した後、細胞を含まないウイルス上澄液を調製してNIH3T3細胞を形質導入した。形質導入した系を48時間培養した。トランスフェクションまたは形質導入した系でのCAT活性を実施例1−3の方法に従って測定し、これにより相対遺伝子発現レベルを分析した。
【0059】
表2に示すように、DON1.2−CATまたはDON2−CATでトランスフェクションされたFlyA13系でコントロール系(L−CAT−SNでトランスフェクションされた)より著しくより高いレベルのCAT活性が観察された。さらに、DON1.2−CATまたはDON2−CATベクターで安定に形質導入されたNIH3T3細胞はコントロール系よりも5−乃至10−倍高いCAT活性を示した。DONSA1−CATでトランスフェクションまたは形質導入された細胞系の場合、コントロールよりも少し高いCAT活性が観察された。これらの結果は、スプライシングに関連する非相同性非コード領域を発現ベクター中の外来遺伝子の上流位置に挿入すると、スプライシング効率および遺伝子発現効率が上昇し得ることを示唆していた。
【0060】
DONおよびDONSA1ベクターで形質転換された大腸菌菌株をそれぞれTOP10−DON2およびTOP10−DONSA1と称した。これらは1998年6月5日付けで韓国微生物カルチャーセンター(Korean Culture Center of Microorganism)に寄託されていた(それぞれ受託番号:KCCM−10128およびKCCM−10127)。
【0061】
【表2】
【0062】
実施例3:ヒト遺伝子のイントロンおよび(または)エキソンの挿入
この実施例では、MIN−由来レトロウイルスベクター、MIN−AI、MIN−EI、MIN−GIおよびMIN−2を構築し、その結果外来遺伝子の転写、スプライシングおよび翻訳の率が真核細胞で釣合がとれるようになった。ウイルス配列はMINベクターおよびΔSAベクターに全く含まれていないが、MINはSVプロモーター−ネオカセットの代わりにIRES−ネオカセットを含有している(図5参照)。上述した4種のベクターの特徴は以下に述べるとおりである:
【0063】
・ヒトβ−アクチン遺伝子のイントロン、スプライスアクセプターおよび部分エキソン2を含むDNAフラグメントをMIN−AIベクター中外来遺伝子の上流位置に挿入した。
【0064】
・ヒトEF1α遺伝子のイントロン、スプライスアクセプターおよび部分エキソン2を含むDNAフラグメントをMIN−EIベクター中外来遺伝子の上流位置に挿入した。
【0065】
・ヒトGAPDH遺伝子のイントロン、スプライスアクセプターおよび部分エキソン2を含むDNAフラグメントをMIN−GIベクター中外来遺伝子の上流位置に挿入した。
【0066】
これらの構築体以外に、非相同性ウイルス配列を挿入したベクターを調製した。特に、HCMV iel(UL123)のイントロン、スプライスアクセプターおよび部分エキソン2を含むDNAフラグメントをMINベクターのクローニング部位の上流位置に挿入したMIN−2ベクターを調製した。
【0067】
MINおよびMIN由来MIN−AI、MIN−EI、MIN−GIおよびMIN−2ベクターを以下の如くして構築した。
(3−1)MINの構築
MLV3′LTR領域を得るために、PCRを実施し、ここではpMLV(Shinneck等、Nature,293 : 543-548, 1981)を鋳型として使用し、また配列番号12(3LTR5プライマー)および配列番号13(3LTR3プライマー)で表わされる2種の合成オリゴヌクレオチドをプライマーとして使用した。増幅したPRC生成物は3′非翻訳領域、ポリプリントラックおよびMLVゲノムの3′LTRを含有していた。pCRIIベクター(Invitrogen,CA,USA)にサブクローニングしたPCR生成物をBamHIおよびEcoRI酵素で消化し、そして得られたフラグメントをpUC18のBamHI−EcoRI部位に挿入した(図6を参照)。
【0068】
一方、レトロウイルス5′LTRおよびスプライスドナーを含む非コード配列を得るために、PCRを実施し、ここではpMLVを鋳型として使用し、そして配列番号1(HHIRプライマー)および配列番号14(5LTR3プライマー)によって表わされる2種の合成オリゴヌクレオチドをプライマーとして使用した。増幅したPCR生成物はMLVゲノムの5′LTRから+623bpまで(gagコード配列の直前)のヌクレオチドを含有していた。PCR生成物をpCRIIベクターにサブクローニングした後、ベクターのHindIII−BamHIフラグメントをp3LTRのHindIII−BamHI部位に挿入し、p53LTRベクターを調製した(図6を参照)。
【0069】
最後に、BamHI−XhoI消化によりpCBIN(韓国特許願第97−48095号)からIRES/ネオカセットを単離し、次にp53LTRベクターのBamHI−XhoI部位に挿入してMINベクターを構築した(図6を参照)。
MIN−CATベクターを、MINベクターの発現効率を分析するために、MINベクターのBamHI部位にCAT遺伝子を挿入することによっても構築した。
【0070】
(3−2)MIN−AIの構築
MINベクターに挿入されるヒトヌクレオチド配列を調製するために、ゲノムDNAをヒトの細胞から抽出した。まず、フィコール−パキュー勾配遠心分離により、ヒトの血液から末梢血液単核細胞を分離した。一度または二度洗浄し、再び採集した後、細胞をTES(10mM Tris−Cl(pH7.0),10mM EDTA,0.7%SDS)で溶解した。細胞溶解物にプロティナーゼK(400μg/ml)を加え、そして溶解物を50−55℃で1−2時間インキュベートし、次にフェノール/クロロホルム抽出し、そしてエタノール沈殿した。
【0071】
単離したゲノムDNAをPCRで鋳型として使用し、ここでヒトβ−アクチン遺伝子のプロモーター、エキソン1、イントロンおよび部分エキソン2を含むDNAフラグメントを増幅した。PCRプライマーは配列番号15(β−アクチン5プライマー)および配列番号16(β−アクチン3プライマー)によって表わされる2種の合成オリゴヌクレオチドであった。PCR生成物をpCRIIベクターにサブクローニングし、そして次にベクターのMluI−NheIフラグメントをpC3.1ベクター(Invitrogen,CA,USA)のMluI−NheI部位に挿入してpβアクチンを調製した。
【0072】
pβアクチンのクレノウ処理BglI−BamHIフラグメント(ヒトβ−アクチン遺伝子の+717〜+849に相当)をMINベクターのT4−ポリメラーゼ処理ApaI/BamHI部位に挿入した(図7aを参照)。得られたベクターをMIN−AIと称した。
さらに、MIN−AIの発現効率を分析するためにMI−AIベクターのBamHI部位にCAT遺伝子を挿入することにより、MIN−AICATベクターを構築した。
【0073】
(3−3)MIN−EIの構築
ヒトEF1α遺伝子の非コード配列を得るために、ゲノムPCRを実施した。実施例3−2で単離したゲノムDNAをPCRで鋳型として使用し、また配列番号17(EF1α5プライマー)および配列番号18(EF1α3プライマー)で表わされる2種の合成オリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして使用した。PCR生成物はヒトEF1α遺伝子のプロモーター、エキソン1、イントロンおよび部分エキソン2を含有していた。PCR生成物をpCRIIベクターにサブクローニングし、次にベクターのMluI−NheIフラグメントをpC3.1ベクター(Invitrogen,CA,USA)のMluI−NheI部位に挿入してpEF1αを調製した。
【0074】
pEF1αのクレノウ処理XhoI−BamHIフラグメント(ヒトEF1α遺伝子の+772〜+1008に相当)をMINベクターのT4−ポリメラーゼ処理ApaI−BamHI部位に挿入した(図7bを参照)。得られたベクターをMIN−EIと称した。
【0075】
さらに、MIN−EIベクターの発現効率を分析するために、(ATカセットをMIN−EIベクターのBamHI部位に挿入することにより、MIN−EICATベクターを構築した。MIN−EICATを大腸菌(E.coli)菌株Top10に導入し、そしてE.coli形質転換細胞をMIN−EICAT(Top10)と称し、そして1999年6月2日付けで韓国微生物カルチャーセンターに寄託した(受託番号:KCCM−10163)。
【0076】
(3−4)MIN−GIの構築
ヒトGAPDH遺伝子の非コード配列を得るために、ゲノムPCRを実施した。実施例3−2で単離したゲノムDNAをPCRでの鋳型として使用し、また配列番号19(Gint5プライマー)および配列番号20(Gint3プライマー)によって表わされる2種の合成オリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして使用した。PCR生成物は、ヒトGAPDH遺伝子の+185〜+317に相当するヒトGAPDH遺伝子の部分イントロンおよび部分エキソン2を含有していた。PCR生成物をpCRIIベクターにサブクローニングし、次にベクターのMluI−BamHIフラグメントをMINベクターのMluI−BamHI部位に挿入した。得られたベクターをMIN−GIと称した(図7cを参照)。
【0077】
さらに、MIN−GIベクターの発現効率を分析するために、(AT遺伝子とMIN−GIベクターのBamHI部位に挿入することにより、MIN−GICATベクターを構築した。
【0078】
(3−5)MIN−2の構築
DON2のMluI−BamHIフラグメント(HCMV iel遺伝子の+837〜+964に相当)を調製し、これはHCMV iel(UL123)遺伝子のイントロン、スプライスアクセプターおよび部分エキソン2を含有していた。このMluI−BamHIフラグメントをMINベクターのMluI−BamHI部位に挿入した(図7dを参照)。得られたベクターをMIN−2と称した。
【0079】
さらに、MIN−2ベクターの発現効率を分析するために、CAT遺伝子をMIN−2のBamHI部位に挿入することにより、MIN−2CATベクターを構築した。MIN−2CATを大腸菌菌株Top10に導入した。E.coli形質転換細胞をMIN−2CAT(Top10)と称し、そして1999年6月2日付けで韓国微生物カルチャーセンターに寄託した(受託番号:KCCM−10164)。
【0080】
(3−6)CATアッセイ
上述の4種のベクターの外来遺伝子発現効率およびパッケージング能力を検討するために、ベクターをCATアッセイに付し、ここではCAT挿入形態の周知のレトロウイルスベクター、MFGおよびLXSN、をコントロールベクターとして使用した(Miller等、Biotechniques, 7 : 980-990, 1981 ; Ohashi等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89 : 11332-11336, 1992)。パッケージング系Phoenix(KinsellaおよびNolan, Hum. Gene. Ther. 7 : 1405-1413)をこれらのベクターでトランスフェクションし、次に48時間培養した。一方、培養した培地を0.45μmフィルターで濾過することによって得られた細胞を含まないウイルス上澄液をNIH3T3細胞(ATCC CRL1658)を形質導入するのに用いた。CAT活性のレベルを形質導入後2日にタンパク質抽出液を用いて測定した。CAT活性を各ベクターでトランスフェクションまたは形質導入した細胞系(表3での「一過性トランスフェクション」および「形質導入、一過性」の欄を参照)、および抗生物質耐性細胞集団(表3での「形質導入、安定」の欄を参照)で測定した。さらに、CAT活性を4週間継代培養した安定な細胞集団で測定した(表3での「形質導入安定(4週間)」の欄を参照)。トランスフェクションした細胞系での遺伝子発現レベルおよびウイルス力価を各ベクターでトランスフェクションまたは形質導入した系で測定したCAT活性から測定した。
【0081】
表3に示すように、全てのレトロウイルスベクターは、LXSNベクターを除いて、MINベクターよりも高いCAT活性を示した。しかし、CAT活性は挿入された非相同性配列に基づいて変化した。特に、MIN−EIおよびMIN−2は著しく高いレベルの遺伝子発現を生じた。MIN−EIまたはMIN−2で安定に形質導入された細胞は4週間継代培養した後でも一層高い遺伝子発現レベルを生じたことは極めて注目すべきことであった。
【0082】
【表3】
【0083】
【発明の効果】
前文に開示し、実証した如く、本発明は遺伝子療法等に多くの利点を有するレトロウイルスベクターを提供する。本発明のベクターは以下のような効果を有している:
【0084】
1.レトロウイルスコード配列(gag.envおよびpol配列)が全て欠失しているので、相同性組換えにより複製能力をもつレトロウイルスが生じる可能性を完全に排除することができる。
【0085】
2.非相同性イントロン、スプライスアクセプターおよび(または)非コード領域が外来遺伝子のためのクローニング部位の上流位置に挿入されているので、ベクター中の外来遺伝子を安定して、効率よく発現させることができる。
【0086】
3.5′LTR中のU3領域が特にヒト細胞で転写を強く誘起する非相同性プロモーターで置換されているので、ベクターでトランスフェクションされたヒト細胞由来のパッケージング系は一層高いレベルのRNAを生成し、それでウイルス力価の増大を示している。
【0087】
4.IRESまたは非相同性プロモーターを用いてベクター中で2種またはそれ以上の外来遺伝子を同時に発現させる。この場合、最小プロモーターを、非相同性内部プロモーターの干渉を減少させ、そして外来遺伝子を一層大きなサイズでクローニングするために、挿入非相同性プロモーターとして使用することができる。
【0088】
上記の記載で開示した概念および特定の態様を本発明の同一の目的を実施するためのその他の態様を変形または設計するための基礎として容易に利用し得ることは当業者に明白である。このような均等の態様は付属の請求の範囲に記載の発明の精神および範囲を逸脱するものではないことも当業者に明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 polコード領域をMONベクターから欠失させてΔSAベクターを構築し、次にCAT遺伝子をΔSAベクターに挿入してΔSA−CATベクターを生成する手順を示す図。
【図2】 HCMV iel(UL123)遺伝子のイントロンおよび(または)エキソンを含有するレトロウイルスベクターの構造を図式で示す図。
【図3a】 SV40最小プロモーター−ネオカセットでIRES−ネオカセットを置換してMSNベクターを得て、次にSN−3LTRベクターがSV40最小プロモーターおよびMLV3′LTRを含むフラグメントをpUC18に挿入することにより構築される手順を示す図。
【図3b】 HCMV主要前初期プロモーターを含有するキメラLTRをSN−3LTRベクターに挿入する手順を示す図。
【図4a】 HCMV iel(UL123)遺伝子のエキソン1、イントロンAおよび部分エキソン2を含有するDNAフラグメントをpCMベクターに挿入してDON1.2ベクターを構築し、次に細菌性CAT遺伝子をDON1.2に挿入してDON1.2−CATを生成させる手順を示す図。
【図4b】 HCMV iel(UL123)遺伝子の部分イントロンAおよび部分エキソン2を含有するDNAフラグメントをpCMベクターに挿入してDON2ベクターを構築し、次に細菌性CAT遺伝子をDON2に挿入してDON2−CATを生成させる手順を示す図。
【図4c】 マウス免疫グロブリン遺伝子のスプライスアクセプターおよびHCMV iel(UL123)遺伝子のエキソン1をpCMベクターに挿入してDONSA1ベクターを構築し、次に細菌性CAT遺伝子をDONSA1に挿入してDONSA1−CATを生成させる手順を示す図。
【図5】 ヒト遺伝子のイントロンおよびエキソンを含有するレトロウイルスベクターの構造を図式で示す図。
【図6】 MLV5′および3′LTRを含有するDNAフラグメントを調製し、そしてpUC18に挿入してp53LTRベクターとし、次にpCBINから単離したIRES−ネオカセットをp53LTRに挿入することによりMINベクターを構築する手順を示す図。
【図7a】 ヒトβ−アクチン遺伝子含有ゲノムPCR生成物が得られ、次にヒトEF1α遺伝子の部分イントロン1、スプライスアクセプターおよび部分エキソン2を含有するDNAフラグメントをMINベクターに挿入する手順を示す図。
【図7b】 ヒトEF1α遺伝子を含有するゲノムPCR生成物が得られ、次にヒトEF1α遺伝子の部分イントロン1、スプライスアクセプターおよび部分エキソン2を含むDNAフラグメントをMINベクターに挿入するMIN−EI構築の手順を示す図。
【図7c】 ヒトGAPDH遺伝子の部分イントロン1、スプライスアクセプターおよび部分エキソン2を含有するDNAフラグメントがゲノムPCRによって得られ、次にMINベクターに挿入されるMIN−GI構築の手順を示す図。
【図7d】 HCMV iel(UL123)遺伝子の部分イントロンA、スプライスアクセプターおよび部分エキソン2を含有するDNAフラグメントがMINベクターに挿入されるMIN−2構築の手順を示す図。
【配列表】
Claims (16)
- マウス白血病ウイルス(MLV)のgag、envおよびpolコード塩基配列を完全に欠失しているMLVベースのレトロウイルスベクター。
- 外来遺伝子の挿入位置及びその上流位置に挿入された非相同性非コード塩基配列を含む請求項1記載のMLVベースのレトロウイルスベクター。
- 非相同性非コード塩基配列が、イントロン、スプライスアクセプターおよびエキソン2の開始コドン直前までの塩基配列からなる群から選ばれる2種以上の非コード塩基配列を含む請求項2記載のMLVベースのレトロウイルスベクター。
- 非相同性非コード塩基配列がヒトサイトメガロウイルス(HCMV) iel遺伝子、延長因子lα遺伝子、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子、β−アクチン遺伝子およびマウス免疫グロブリン遺伝子の非コード塩基配列からなる群から選ばれる請求項2記載のMLVベースのレトロウイルスベクター。
- MLV5’LTRのフルレングスU3配列(−419〜−1bp)が非相同性プロモーターで置換されている請求項1記載のMLVベースのレトロウイルスベクター。
- 非相同性プロモーターがHCMV主要前初期プロモーターである請求項5記載のMLVベースのレトロウイルスベクター。
- 外来遺伝子のためのクローニング部位の上流位置に挿入された非相同性プロモーターを含有する請求項1記載のMLVベースのレトロウイルスベクター。
- 非相同性プロモーターがSV40最小プロモーターである請求項7記載のMLVベースのレトロウイルスベクター。
- ベクターが外来遺伝子のためのクローニング部位の上流にマウス免疫グロブリン遺伝子のスプライスアクセプターおよびHCMV iel遺伝子のエキソン1を含み、MLV5’LTRのフルレングスU3配列(−419〜−1bp)がHCMV ielプロモーターで置換され,外来遺伝子のためのクローニング部位の下流にSV40最小プロモターが挿入されているレトロウイルスベクターである請求項2記載のMLVベースのレトロウイルスベクター。
- ベクターが外来遺伝子のためのクローニング部位の上流にHCMV iel遺伝子のイントロンA領域の3’末端方向112bpとエキソン2の解読開始コドン直前までの塩基配列を含み、MLVの5’LTRのフルレングスU3配列(−419〜−1bp)がHCMV ielプロモーターで置換され,外来遺伝子のためのクローニング部位の下流にSV40最小プロモターが挿入されているレトロウイルスベクターである請求項2記載のMLVベースのレトロウイルスベクター。
- ベクターが外来遺伝子のためのクローニング部位の上流にヒト延長因子1α遺伝子のイントロン領域の3’末端部位からエキソン2の解読開始コドン直前までの塩基配列(+772〜+1008bp)を含むレトロウイルスベクターである請求項1記載のMLVベースのレトロウイルスベクター。
- ベクターが外来遺伝子のためのクローニング部位の上流にHCMViel遺伝子のイントロンA領域の3’末端方向112bpとエキソン2の解読開始コドン直前までの塩基配列(+837〜+964bp)を含むレトロウイルスベクターである請求項1記載のMLVベースのレトロウイルスベクター。
- 請求項9記載のベクターで形質転換された大腸菌株Top10−DONSA1(受託番号:KCCM−10127)。
- 請求項10記載のベクターで形質転換された大腸菌株Top10−DON2(受託番号:KCCM−10128)。
- 請求項11記載のベクターのクローニング部位に細菌クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子を含むベクターで形質転換された大腸菌株MIN−EICAT(Top10)(受託番号:KCCM−10163)。
- 請求項12記載のベクターのクローニング部位に細菌クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子を含むベクターで形質転換された大腸菌株MIN−2CAT(Top10)(受託番号:KCCM−10164)。
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