JP3863696B2 - シーリング剤用プラスチック製カートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプラスチック製カートリッジとりわけシーリング剤で代表される湿気硬化型組成物などに好適なプラスチック製カートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
シーリング剤類の収容容器として、プラスチック製の胴部の上端に吐出口を有する天蓋を一体形成し、シーリング剤類を充填した後、胴部下端開口にプランジャを装填したプラスチック製カートリッジが知られている。
前記胴部と天蓋は、通常、材質的にはポリエチレンが採用され、胴部の肉厚は必要強度、重量、経済性等を考慮して一般に1.2〜1.3mm程度とされているが、材質特性、成形時のピンホールなどによって若干の通気性があり、外気遮断性が不完全であった。
【0003】
このため、充填するシーリング剤がアクリル系、油性系のシーリング剤である場合はあまり問題がないが、シリコン系、変性シリコン系、ポリウレタン系など湿気硬化型のシーリング剤の容器に適用した場合に外気の浸透を避けられず、胴部の内壁面に接触している部分およびプランジャの周辺部分において、シーリング剤類が硬化を起し、そのため保存性が悪く、不良品発生率が高くなったり、プランジャによる押出しができなくなったりするトラブルが発生していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記のような問題点を解消するために創案されたもので、その目的とするところは、容器胴部の肉厚を変更することなく簡単な構成により完全なバリアー性を有し、速硬化性のシーリング剤を硬化させることがないシーリング剤用プラスチック製カートリッジを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、プラスチック成形体からなる筒状胴部の頂部に天蓋部を一体に形成し、底部側には充填したシーリング剤を押し出すためのプランジャーを内挿したシーリング剤用カートリッジの前記天蓋部の下面全体にガスバリア性の天側メンブランを熱接着し、カートリッジ本体のプランジャーよりも下方の胴部下端開口をアルミニウム膜を有する複合フイルムからなるガスバリア性底側メンブランで封止し、前記ガスバリア性底側メンブランの周縁の立上り壁を前記胴部外面に熱接着するとともに、カートリッジ本体の前記胴部外周に、アルミニウム膜を有する複合フイルムからなるガスバリア性外装フィルムを巻着し、該ガスバリア性外装フィルムで前記ガスバリア性底側メンブランの周縁の立上り壁を被覆していることを特徴としている。
【0006】
【発明の実施の態様】
以下本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。
図1ないし図4は本発明によるシーリング剤用プラスチック製カートリッジの第1実施例を示している。
1はカートリッジ本体であり、プラスチック成形体からなり所要の外径を有する筒状の胴部1aの上端に天蓋部1bを一体に形成している。この天蓋部1bは中央部に吐出用筒部10を一体に有しており、吐出用筒部10の内径側は胴部内に通じる吐出口100となっている。
2はシーランド剤Aを充填後の前記胴部1aの下端開口に内嵌されたプランジャーである。
【0007】
以上のような構成は従来のこの種のカートリッジと同様であるが、本発明においては、前記胴部1aの外周にガスバリア性外装フイルム3を施している。このガスバリア性外装フイルム3は、図3(a)のように、透明なプラスチック膜3aとアルミニウム膜3bとの複合フイルムからなっている。
すなわち、詳しくは、プラスチック膜3aはポリプロピレン、ポリエチレンなどの熱可塑性合成樹脂が用いられ、これの一面にアルミニウム箔を貼着するかまたは真空蒸着させた構成からなっている。
【0008】
プラスチック膜3aの厚さは20〜50μm程度、アルミニウム膜3bの厚さは7〜15μm程度とすることが好ましい。アルミニウム膜厚の下限を7μmとしたのは、これ以下では、ピンホールが多くなり、確実なガスバリア性が得られなくなるためである。上限を15μmとしたのは、これ以上の厚さは柔軟性が減殺されるからである。
そして、プラスチック膜3aの表面には、当該シーリング剤の品名、製造年月日、製造元などの所要の表示部30が印刷的手法により施されている。
前記アルミニウム膜3bの幅方向両端縁には、図4のように幅5〜13mm程度の接着剤帯31,31’を設けている。前記各接着剤帯31,31’は、溶融した熱可塑性プラスチック液を塗布し、固化層としたホットメルト形式のものが好適である。
【0009】
前記ガスバリア性外装フイルム3は胴部1aの上端から下端をカバーする縦寸法を有し、胴部1aのプラスチック面に接着剤帯31’をもって接着され、この状態で胴部1aに緊密に巻き付けられた後、始端縁部と終端縁部が重ねられ、図1と図2(b)のように接着剤帯31がプラスチック膜3aとが接着されている。32は接着部である。
【0010】
4は前記プランジャー2の背後の胴部1a下端開口領域を封止したガスバリア性の底側メンブランであり、図3(b)のようにプラスチック膜4aとアルミニウム膜4bとの複合フイルムからなっている。
詳しくは、複合フイルムは厚さが20〜40μm程度のアルミニウム箔の一面または両面にポリエチレンなどの熱可塑性合成樹脂をたとえば厚さ20〜40μmで層着させた構成からなっている。
底側メンブラン4は周縁に立上り壁40を有しており、この実施例では立上り壁40が胴部1aに外嵌され、プラスチック膜4aが胴部壁外面と熱接着されている。この接着側のプラスチック膜はホットメルトによって構成されていてもよい。
この例では底側メンブラン4の立上り壁40の外面が前記ガスバリア性外装フイルム3によって被覆され、これにより2重のガスバリア性を得ている。
【0011】
5は前記天蓋部1bの下面に張設され、吐出口100を閉止するガスバリア性の天側メンブランであり、図3(c)のようにプラスチック膜5aとアルミニウム膜5bとの複合フイルムからなっている。この複合フイルムの構成は前記底側メンブラン4の場合と同じであり、かかる天側メンブラン5は天蓋部1bの下面全体に熱接着されている。
【0012】
図5は本発明の第2実施例を示している。
この例ではガスバリア性の底側メンブラン4の立上り壁40が胴部1aに内嵌され、プラスチック膜4aが胴部1aの内壁面と熱接着されている。その他は前記第1実施例と同じである。
6は前記吐出用筒部10に着脱可能に取り付けられたノズルである。
【0013】
【実施例の作用】
本発明によるシーリング剤用プラスチック製カートリッジの作用を説明すると、通常、この種のプラスチック製カートリッジにおいては、充填物の内容表示をするため容器胴部外周に商品名や製造番号などを印刷した厚さ50μm程度の透明プラスチックフィルムを巻着しているが、このプラスチックフィルムによっては外気遮断性期待することは困難である。
【0014】
しかし、本発明においては、外装フイルム3がプラスチック膜3aとアルミニウム膜3bとの複合フイルムからなっており、アルミニウム膜3bにより良好なガスバリア性が実現されるため外気の浸透が遮断され、胴部1aの壁を通して湿気が内部に侵入することを完全に遮断することができる。このため、比較的長期間保存しておいても、胴部1aの内壁面に接しあるいはこれに近い部分にあるシーリング剤aの湿気と反応による硬化が完全に防止される。
したがって、胴部1aの肉厚を増加させる必要がなく、従来と同じかあるいはそれよりも薄い肉厚で足りることになる。
【0015】
さらに本発明では、胴部1aの下端開口をガスバリア性の底側メンブラン4で封止している。このため、胴部下端開放口からプランジャー2の摺動のための微小な隙間を通して外気が侵入することも完全に防止することが可能となる。
使用に当たっては、底側メンブラン4を鋭利な工具類で突き破るかあるいは周縁から剥がし、天側メンブラン5をノズル6または鋭利な工具で突き破り、押出し具に装着して従来と同じように押し出せばよい。
使用後はそれぞれの部材に分離して廃棄処理することができる。
【0016】
次に本発明のシーリング剤カートリッジを実地に適用した結果を示す。
カートリッジ本体は、胴部厚さが1.3mmのポリエチレン製のものである。
ガスバリア性外装フィルム3としては厚さ50μmの透明な配向性ポリプロピレンフイルムに厚さ9μmのアルミニウム箔を貼着し、アルミニウム箔側の両側縁部に幅10mmの帯状ホットメルト接着剤を設け、始端のホットメルト接着剤を胴部に接着し、胴部に巻き付けた後、終端のホットメルト接着剤部分を透明ポリエチレンフイルムに重ねて接着した。
また、胴部の下端開口に、厚さ30μmのアルミニウム箔の一面に厚さ30μmのポリエチレンフィルムを貼着させたメンブランの立上り壁を外嵌し、熱接着した。
比較例として、前記カートリッジ本体の胴部に、外装として厚さ50μmのポリエチレンフイルムを巻着したものを用意した。
【0017】
本発明品と比較品を建築用シリコン系シーリング剤と速硬化性シリコン系シーノング剤のカートリッジに適用し、70℃、湿度100%の室内に2週間放置し、シーリング剤の硬化の発生具合を測定した。その結果を下記表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
この表1から本発明はすぐれた品質保持性能を有していることがわかる。これは、ガスバリア性外装フィルムを巻着したことと、底側メンブランで胴部下端開口を封止したことによるものである。
【0020】
【発明の効果】
以上説明した本発明の請求項1によるときには、プラスチック成形体からなる筒状胴部1aの頂部に天蓋部1bを一体に形成し、底部側には充填したシーリング剤Aを押し出すためのプランジャー2を内挿したシーリング剤用カートリッジの前記天蓋部1bの下面全体にガスバリア性の天側メンブラン5を熱接着し、また、前記胴部外周に、アルミニウム膜3bを有する複合フイルムからなるガスバリア性外装フィルム3を巻着したので、胴部の厚さを増加したり構造の大幅な変更を要さずに外部から胴部壁を通して浸透する外気に対するすぐれた遮断性を発揮させることができ、さらに、カートリッジ本体1のプランジャー2よりも下方の胴部下端開口をアルミニウム膜4bを有する複合フイルムからなるガスバリア性底側メンブラン4で封止し、前記ガスバリア性底側メンブラン4の周縁の立上り壁40を胴部外面に熱接着するとともに、前記ガスバリア性底側メンブラン4の周縁の立上り壁40を前記ガスバリア性外装フィルム3で被覆し、これにより2重のガスバリア性を得ているので、プランジャーと胴部壁との隙間からの外気の侵入も防止することができ、完全な硬化防止性能のシーリング剤用プラスチック製カートリッジとすることができるというすぐれた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるシーリング剤用プラスチック製カートリッジの第1実施例を示す部分切欠斜視図である。
【図2】(a)は第1実施例の縦断側面図、(b)は同じく横断面図である。
【図3】(a)は第1実施例の胴部壁の拡大図、(b)は胴部下端部分の拡大図、(c)は天蓋部分の拡大図である。
【図4】(a)は外装フイルムを単体の状態で示す斜視図、(b)は(a)のX−X線に沿う断面図である。
【図5】(a)は本発明の第2実施例を示す部分的断面図、(b)は同じくその拡大図である。
【符号の説明】
1 カートリッジ本体
1a 胴部
1b 天蓋部
2 プランジャー
3 ガスバリア性外装フイルム
4 底側メンブラン
Claims (1)
- プラスチック成形体からなる筒状胴部1aの頂部に天蓋部1bを一体に形成し、底部側には充填したシーリング剤Aを押し出すためのプランジャー2を内挿したシーリング剤用カートリッジの前記天蓋部1bの下面全体にガスバリア性の天側メンブラン5を熱接着し、カートリッジ本体1のプランジャー2よりも下方の胴部下端開口をアルミニウム膜4bを有する複合フイルムからなるガスバリア性底側メンブラン4で封止し、前記ガスバリア性底側メンブラン4の周縁の立上り壁40を前記胴部外面に熱接着するとともに、カートリッジ本体1の前記胴部外周に、アルミニウム膜3bを有する複合フイルムからなるガスバリア性外装フィルム3を巻着し、該ガスバリア性外装フィルム3で前記ガスバリア性底側メンブラン4の周縁の立上り壁40を被覆していることを特徴とするシーリング剤用プラスチック製カートリッジ。
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