JP3862849B2 - 両面焼き用グリル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は加熱庫内で被調理物を加熱する両面焼き用グリルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ガステーブルこんろにおいては、魚等の被調理物を加熱中に裏返す手間なく調理ができる両面焼き用グリルを備えたものがある。
このような両面焼きグリルは、グリル内の加熱庫内中段に被調理物を載せる焼網が設けられ、焼網の上段左右から被調理物を加熱する上バーナと下段左右から加熱する下バーナとからなるグリルバーナを備えて、被調理物の表裏を同時に焼き上げている。
【0003】
また、グリルバーナの火力を調節する火力調節部が設けられ、火力調節つまみを操作することにより、図7に示すように、上バーナと下バーナの火力が同時に調節される。
従って、魚を加熱調理する場合に、魚の大きさとか数が異なっても、この火力調節により表裏に適度な焦げを付けることができると共に、好みの焼け具合にすることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、こうした両面焼き用グリルでは、魚を加熱調理できるもののオーブン料理や、ピザ、グラタン料理が調理し難い問題があった。
例えば、魚料理では表裏均等に焦げを付けて加熱調理をするために、上バーナおよび下バーナによって加熱する必要があるが、ピザ、グラタン料理では、上だけに焦げを付けて加熱調理をするために、下からそれほど加熱する必要がない。
そのため、このような両面焼き用グリルでピザ、グラタン料理を行う場合には、焼網の上に調理プレートと呼ばれる鉄板を載せて下バーナからの加熱を遮ることにより、グラタンの上面だけに焦げが付くようにしている。
このため、ピザ、グラタン料理を行う度に予め調理プレートを準備する必要があり大変面倒であった。
また、上バーナと下バーナの火力を個々に調節できる火力調節部を設けた両面焼き用グリルも知られているが、この場合には、加熱調理を行う度に上バーナと下バーナの火力を各々調節しなければならず、却って各々の火力を適切にし難い。
そこで、本発明の両面焼き用グリルは上記課題を解決し、簡便な操作によって火力調節が行え、被調理物に応じた火力で加熱調理ができるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の請求項1記載の両面焼き用グリルは、
被調理物を収納して加熱調理するための加熱庫と、
上記加熱庫内の上段で燃料ガスを燃焼させて被調理物を加熱する上バーナと、
上記加熱庫内の下段で燃料ガスを燃焼させて被調理物を加熱する下バーナと、
手動操作により上記上バーナおよび上記下バーナへのガス流路開度を変えて火力を調節する1つの火力調節部とを備えた両面焼き用グリルにおいて、
上記火力調節部は、最大火力位置から中間位置までの火力調節範囲で、上記上バーナおよび上記下バーナの火力を同時に可変し、上記中間位置から最小火力までの火力調節範囲で上記上バーナの火力を一定又は消火状態にしたまま上記下バーナだけの火力を更に絞る火力調節手段を備えたことを要旨とする。
【0006】
上記構成を有する本発明の請求項1記載の両面焼き用グリルは、1つの火力調節部が手動操作されることにより、火力調節手段が上バーナおよび下バーナの火力を次のように調節する。
火力調節部は、最大火力位置から中間位置までの火力調節範囲で、上バーナおよび下バーナの火力を同時に可変することができ、例えば、魚を加熱調理する場合に、表裏に適度な焦げを付けて加熱調理ができる。
また、中間位置から最小火力までの火力調節範囲で上バーナの火力を一定又は消火状態にしたまま下バーナだけの火力を更に絞ることができ、例えば、ピザ、グラタン料理を加熱調理する場合に、上面だけに焦げを付けて加熱調理ができる。
従って、一つの火力調節部を手動操作するだけで、上バーナおよび下バーナの火力を被調理物に応じて適切にすることができる。
尚、中間位置とは、最大、最小の真ん中に限定した意味で用いるのではなく、その間であればどこであっても良い。
【0007】
【発明の実施形態】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明確にするために、以下、本発明の両面焼き用グリルの好適な実施例について説明する。
図5は両面焼き用グリルを備えたテーブルコンロの外観図を示している。
このテーブルコンロ30には、左右に2組のバーナ31a、31bが設けられ、正面中央に被調理物を加熱調理するグリル28が設けられる。
そして、前面には、それぞれのバーナ31a、31bまたは後述するグリルバーナに点火・消火操作をする点火ボタン32a、32b、32cが設けられる。
また、バーナ31a、31b、グリルバーナにそれぞれ対応して、回動スライド操作によって火力を調整する火力調節つまみ27a、27b、27cが、各々の点火ボタン32a、32b、32cの上方に設けられる。
【0008】
図6は、グリルの断面図を示したものである。
両面焼グリルは、燃料ガスを燃焼させて被調理物29を左右上方から加熱する上バーナ22a、22b(以下、左右の区別をしないときは単に「上バーナ22」と呼ぶ)と、左右下方から加熱する下バーナ23a、23b(以下、左右の区別をしないときは同様に「下バーナ23」と呼ぶ)とからなるグリルバーナと、被調理物29を載せる焼網40と、焼網40を載せたまま手前にスライドさせて引き出す受け皿50と、これらを収める加熱庫20とから構成される。
上バーナ22は、多孔質セラミックスの平面プレートに多数の小炎口を貫通させた燃焼面を有する全1次空気式のバーナで、加熱庫20の左右壁に設けられ、互いに対向している。
下バーナ23は、互いに炎口が向い合う下バーナ23a、23bの両者間に火移りさせる火移りバーナ23cを備え、これら下バーナ23a、23b、23cはU字形に一体形成される。
また、左側の上バーナ22aと下バーナ23aとの間には、加熱調理中燃焼し続け、上バーナ22aおよび下バーナ23aに炎を火移りさせる火移りパイロットバーナ21aと、点火操作時に火移りパイロットバーナ21aに着火する電極42とが設けられる。
また、右側の下バーナ23bと上バーナ22bとの間には、下バーナ23bから上バーナ22bに火移りさせる火移りパイロットバーナ21bと、燃焼熱により熱起電力を発生して燃焼状態を検出する熱電対41とが設けられる。
尚、下バーナ23、火移りパイロットバーナ21a、21bは、二次空気を必要とするいわゆるブンゼン式のバーナである。
【0009】
グリルバーナへのガス供給経路は、図1に示すように、上流側より、点火操作時に点火ボタン32cによる押圧力にて開弁され、熱電対41の熱起電力によって開弁保持されるマグネット式安全弁18と、点火ボタン32cと連動して点火操作時にガス通路を開き、消火操作時に閉じる器具栓19と、回動スライド操作される火力調節つまみ27cに連動して、グリルバーナへの流路開度を可変するニードル部1とが設けられ、このニードル部1から上バーナ22と下バーナ23へ分岐する流路17、12が形成される。
【0010】
また、ニードル部1には、火力調節つまみ27cが操作されすることにより回動する火力調節レバー26が設けられ、この火力調節レバー26の回動に連動して上下動し、その火力調節位置に応じた開度になってガス流量を調節するニードル弁2が設けられる。
このニードル弁2の上部には、中心軸に直交する方向に挿通する係止ピン24が固定される。この係止ピン24は、火力調節レバー26に設けた斜め長孔(図略)に移動可能に挿通され、固定される固定板25に形成される長孔(図略)に挿通される。
そして、火力調節レバー26を左右に回動することにより、係止ピン24は火力調節レバー26の斜め長孔と固定板25の長孔とに案内されて、ニードル弁2が上下に移動する。
従って、ニードル弁2は、火力調節つまみ27cによる回動スライド操作によって、その火力調節位置に応じた開度になってガス量、即ち、火力が調節される。
【0011】
このニードル弁2が組込まれるニードル本体10には、流路上流の奥方から口元に向けて(図の下から上方向に)、ガス流路に環状段部が形成され、小径部14、中径部15、大径部16が形成される。
そして、器具栓19からのガス流路11と小径部14との段部には、テーパ状の固定弁座13を形成する。
また、小径部14に、下バーナ23へ通じる流路12が開口し、中径部15に、固定弁座13上流から分岐する分岐流路10が開口し、大径部16に、上バーナ22へ通じる流路17が開口する。
大径部16の奥には、テーパ状のシート面を上面に形成した円環状の可動弁座8が軸方向に摺動自在に設けられる。
また、可動弁座8を上方に付勢するばね9が設けられ、大径部16と中径部15との段部に、ばね9端が係止される。
また、大径部16の中間位置には溝が形成され、この溝にリング7が装着され、可動弁座8が飛出さないようにリング7で係止される。
【0012】
ニードル弁2には、先端のテーパ面にOリングを装着して固定弁座13と接離する第1シート面3aが形成される。また、ニードル弁2の外周面には段部が形成され、先端から順に、外周面にOリングを装着して上バーナ22への流路17と下バーナ23への流路12とを遮断する小径円筒部4と、上バーナ22へのガス流路となる連通路2bが開口する中径円筒部5と、外周面にOリングが装着されて外気と遮断される大径円筒部6とが形成される。
また、中径円筒部5と大径円筒部6との外周面段部に、可動弁座8と接離するテーパ状の第2シート面3bが形成される。
この第2シート面3b近傍の大径円筒部6に、上バーナ22へのガス流路となる上貫通孔2aが軸に直交して設けられる。また、この上貫通孔2aには、ニードル弁2の軸中心を下方に延び、中径円筒部5の外周面に開口し、上バーナ22へのガス流路を形成する連通路2bが設けられる。
また、第1シート面3a近傍の小径円筒部4には、下バーナ23へのガス流路となる下貫通孔2dが軸に直交して設けられ、この下貫通孔2dと直交するニードル弁2の軸上には、ニードル弁2先端から下貫通孔2dに通じる連通孔2cが設けられる。
尚、ニードル弁2の小径円筒部4、中径円筒部5、大径円筒部6の外径と、対応するニードル本体10の小径部14、中径部15、大径部16の内径との間には、Oリング装着部を除いて燃料ガスの通過できる隙間が設けられている。
【0013】
次に、図1〜図4に基づいて、各動作を説明する。
火力調節つまみ27cが右方向に回動スライド操作されると、火力調節レバー26と連動してニードル弁2が下方に移動し、左方向に回動スライド操作されると、ニードル弁2が上方向に移動する。
図4では、火力調節つまみ27cの調節位置におけるグリルバーナの火力を示し、Aは最大火力位置、Bは中間位置、Cは最小火力位置を示している。
そして、火力調節つまみ27cが「魚焼き料理」(A〜B間)のゾーンに調節されると、ニードル弁2は、図3の位置関係に移動する。
この場合に、下バーナ23への燃料ガスは、第1シート面3aと固定弁座13との隙間を通過し、小径円筒部4外形と小径部14内径との隙間を通過して下バーナ23へ流れる流路と、連通孔2cから下貫通孔2dを通過して、下バーナ23へ流れる固定流路とに分れて流れる。
また、上バーナ22への燃料ガスは、上流の流路から分岐流路10を経て、中径円筒部5外形と中径部15内径との隙間を通過してから2方向に分れ、可動弁座8と第2シート面3bの隙間から上バーナ22へ流れる可動流路と、連通路2bから上貫通孔2aを通過して上バーナ22へ流れる固定流路とに分れて流れる。
そして、火力調節つまみ27cがA→Bに調節されてニードル弁2が下方に移動するにつれて、第1シート面3aと固定弁座13との隙間が小さくなると共に、第2シート面3bと可動弁座8との隙間が小さくなっていく。
このようにして、「魚焼き料理」(A〜B間)ゾーンでは、上バーナ22の火力が1000kcalから800kcalまで絞られると共に、下バーナ23の火力が15000kcalから900kcalまで同時に絞られる。
【0014】
更に、火力調節つまみ27cが右方向に回動スライド操作され「オーブン料理」(図4のB〜C間)のゾーンに調節されると、連動するニードル弁2は下方に移動し、図2に示す位置関係になる。
この場合に、ニードル弁2の移動によって、第2シート面3bが可動弁座8に当接して可動弁座8と第2シート面3bの隙間が閉じられる。
そして、上バーナ22への流路は、連通路2bから上貫通孔2aを通過する一定開度の固定流路だけとなる。
尚、この場合の上火バーナの火力は、上貫通孔2aの孔面積により、800kcal/hとなるように予め設定されている。
更に、火力調節つまみ27cが操作されてニードル弁2が下方に移動すると、第1シート面3aと固定弁座13との隙間が小さくなり、下バーナ23への燃料ガス量が絞られる。
また、火力調節つまみ27cが「オーブン料理」ゾーンの終端まで右方向に回動スライド操作されると、図1に示すように、第1シート面3aと固定弁座13とが当接してその隙間が閉じられる。
そのため、下バーナ23への流路は、連通孔2cから下貫通孔2dを通過して、下バーナ23へ流れる一定開度の固定流路だけとなる。
そして、予め設定された貫通孔2dの孔面積により、下火バーナの火力は700kcal/hとなる。
従って、「オーブン料理」(B〜C間)のゾーンでは、上バーナ22の火力が800kcalと一定にされたまま、下バーナ23の火力だけが900kcalから700kcalまで絞られる。
【0015】
以上説明した実施例によれば、火力調節つまみ27cを「魚焼き料理」(A〜B間)のゾーンにして火力調節すると、上バーナ22の火力を1000〜800kcalにすると共に、下バーナの火力を15000〜900kcalにすることができ、魚の大きさとか魚の数に合せて火力調節ができ、魚の両面に焦げを付けて良好に焼き上げることができる。
また、「オーブン料理」(B〜C間)のゾーンに火力調節すると、上バーナ22の火力を800kcalの一定火力にして、下バーナ23の火力だけを900〜700kcalに調節することができる。
従って、グラタン等の上面にだけ焦げを付けることができると共に、グラタンの厚みによって下バーナの火力を調節し、上面にだけ焦げを付けて中まで十分に火を通したりすることができる。
その結果、本実施例の両面焼き用グリルは、被調理物の調理に合った加熱調理を行うことができる。
【0016】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
例えば、本実施例では、「オーブン料理」(B〜C間)のゾーンに火力調節した場合に、上バーナ22を800kcal/hの一定火力にしたまま、下バーナ23を700kcal/hまで絞る構成としたが、ニードル弁2に連通孔2cを設けないで、下バーナ23を消火するまで絞る構成にしても良い。
【0017】
また、ニードル弁2のリフトとグリルバーナ火力との関係は、図4に示すように、リフトに応じて直線的に変化させることに限定されず、第1シート面3aと固定弁座13の面を曲面状等に形成して、「オーブン料理」のゾーンで急激に下バーナ23の燃料ガス量を絞るようにしても良い。
【0018】
また、上バーナおよび下バーナの火力は、実施例に示した数値に限定されず、他の値であっても良い。
【0019】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の両面焼き用グリルによれば、火力調節部による調節範囲に、上バーナおよび下バーナの火力を同時に調節する範囲と、下バーナの火力だけを調節する範囲とを設けたので、被調理物の両面に焦げを付けたり、上面にだけ焦げを付けたりすることができる。
その結果、被調理物に応じて適切に加熱調理ができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】グリルの火力調節を示す概略図である(「オーブン料理」最小火力の場合)。
【図2】グリルの火力調節を示す概略図である(「オーブン料理」火力調節の場合)。
【図3】グリルの火力調節を示す概略図である(「魚焼き料理」火力調節の場合)。
【図4】本発明の実施例に係るグリルバーナの火力を示すグラフである。
【図5】テーブルコンロの外観図である。
【図6】グリルの断面図である。
【図7】従来のグリルバーナの火力を示すグラフである。
【符号の説明】
2 ニードル弁
3a 第1シート面
3b 第2シート面
4 小径円筒部
5 中径円筒部
6 大径円筒部
8 可動弁座
10 ニードル本体
13 固定弁座
14 小径部
15 中径部
16 大径部
20 加熱庫
22 上バーナ
23 下バーナ
27c 火力調節つまみ
29 被調理物

Claims (1)

  1. 被調理物を収納して加熱調理するための加熱庫と、
    上記加熱庫内の上段で燃料ガスを燃焼させて被調理物を加熱する上バーナと、
    上記加熱庫内の下段で燃料ガスを燃焼させて被調理物を加熱する下バーナと、
    手動操作により上記上バーナおよび上記下バーナへのガス流路開度を変えて火力を調節する1つの火力調節部とを備えた両面焼き用グリルにおいて、
    上記火力調節部は、最大火力位置から中間位置までの火力調節範囲で、上記上バーナおよび上記下バーナの火力を同時に可変し、上記中間位置から最小火力までの火力調節範囲で上記上バーナの火力を一定又は消火状態にしたまま上記下バーナだけの火力を更に絞る火力調節手段を備えたことを特徴とする両面焼き用グリル。
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