JP3861244B2 - 画像処理装置 - Google Patents
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Description
本発明は、イメージセンサによって撮影された画像における所定の輝度部分を強調する画像処理装置に関する。
背景技術
一般に、車両前方を撮影して道路上の白線検出を行うに際してトンネル内(外)からトンネル出口(入口)を撮影するような場合や、溶接、レーザ加工、プラズマ加工、溶射などの作業状況の監視を行う場合のように、非常に明るい部分(ハイライト部)とその周辺の暗い部分(シャドウ部)とが存在する被写体を撮影する場合には、特にダイナミックレンジの広いイメージセンサが要求される。
第27図は金属表面におけるレーザ溶接部分の状態を示しており、レーザ光の照射を受けて高温の溶融状態になったキーホールおよび溶融池と、その溶融池の背後に形成される溶融金属が凝固したビード部とからなっている。溶接の良否を判断するためには、そのうちの高輝度のキーホールと低輝度のビード部との状態を同一の画面上で監視する必要があり、輝度に対するダイナミックレンジの広いイメージセンサが要求されている。
従来、CMOS型のイメージセンサにあって、ダイナミックレンジを拡大するべく、第1図に示すように、入射光Lsの光量に応じたセンサ電流を生ずるフォトダイオードPDと、その寄生容量Cの充放電を行わせるためのトランジスタQ1と、フォトダイオードPDの端子電圧Vpdを増幅するトランジスタQ2と、画信号読出し信号Vsのパルスタイミングでもって画信号Voを出力するトランジスタQ3とからなり、トランジスタQ1のゲート電圧VGをオーバフロードレインとして機能させるためのレベルに固定して、フォトダイオードPDに流れるセンサ電流を弱反転状態で対数出力特性をもって電圧信号に変換させるようにした光センサ回路を画素単位に用いたものが開発されている(特開2000−329616号公報参照)。
このようなイメージセンサにあっては、第3図に示すように、その光センサ回路が、入射光量に応じてフォトダイオードPDに流れるセンサ電流が多いときには対数出力特性を示すが、センサ電流が少ないときにはフォトダイオードPDの寄生容量Cの充放電に応答遅れを生じて線形応答による非対数出力特性を示すものになっている。図中、WAは非対数応答領域を、WBは対数応答領域をそれぞれ示している。
また、従来、第1図に示す光センサ回路を画素単位に用いたイメージセンサにあって、入射光量が少ないときの非対数出力特性を改善して全領域にわたって対数特性が得られるようにしたり、情報量を低減して多階調サンプリングなどの後処理を簡単にするために、そのセンサ出力をルックアップテーブルを用いて所定の出力特性に変換するようにしている(特開平11−211565号公報参照)。
このようなダイナミックレンジを拡大するために対数出力特性をもたせた光センサ回路を画素単位に用いたイメージセンサでは、非常に明るい部分から暗い部分までカバーした撮影が可能になる反面、輝度が対数圧縮されているためにコントラストが不足してしまうという問題がある。
発明の開示
本発明による画像処理装置は、イメージセンサによって撮影された画像における所定の輝度部分を強調するに際して、ダイナミックレンジを拡大するために対数出力特性をもたせたイメージセンサによって撮影した画像における任意の輝度領域の各画像部分のコントラストを強調できるようにするべく、イメージセンサの出力特性の変換テーブルを用いて、任意の複数の輝度領域におけるイメージセンサの出力を強調してとり出す手段を設けるようにしている。
発明を実施するための最良の形態
本発明に係るイメージセンサは、基本的に、前述した第1図に示す光センサ回路を画素単位に用いている。
その光センサ回路では、フォトダイオードPDに充分な光量をもって入射光Lsが当たっているときには、トランジスタQ1には充分なセンサ電流が流れることになり、そのトランジスタQ1の抵抗値もさほど大きくないことから、イメージセンサとして残像を生ずることがないような充分な応答速度をもって光信号の検出を行わせることができる。
しかし、フォトダイオードPDの入射光Lsの光量が少なくなってトランジスタQ1に流れる電流が小さくなると、トランジスタQ1はそれに流れる電流が1桁小さくなるとその抵抗値が1桁大きくなるように動作するように設定されていることから、トランジスタQ1の抵抗値が増大し、フォトダイオードPDの寄生容量Cとの時定数が大きくなってその寄生容量Cに蓄積された電荷を放出するのに時間がかかるようになる。そのため、入射光Lsの光量が少なくなるにしたがって、残像が長時間にわたって観測されることになる。
その際、例えば、フォトダイオードPDへの入射光Lsの光量が少ない1E−12A程度のセンサ電流では、1/30secごとに画信号Voを出力させるようにする場合、その時間内では電圧信号Vpdが飽和しない。
したがって、フォトダイオードPDの入射光Lsの光量が少ないときのセンサ電流に応じた電圧信号Vpdの飽和時間が長くなるため、第26図に示すような画信号読出し信号Vsのパルスタイミングで画信号Voの読み出しを行うと、当初ほど大きなレベルの出力が残像となってあらわれる。なお、第26図中、Vpd′は増幅用のトランジスタQ2によって反転増幅された電圧信号を示している。
このような光センサ回路にあって、ここでは、光信号を検出する際にMOS型トランジスタQ1のドレイン電圧VDを所定時間だけ定常値よりも低く設定して、フォトダイオードPDの寄生容量Cに蓄積された電荷を放出させて初期化することにより、センサ電流に急激な変化が生じても即座にそのときの入射光量に応じた電圧信号が得られるようにして、入射光Lsの光量が少ない場合でも残像を生ずることがないようにしている。
第2図は、そのときの光センサ回路における各部信号のタイムチャートを示している。ここで、t1は初期化のタイミングを、t2は光信号検出のタイミングを示している。トランジスタQ1のドレイン電圧VDを定常値(ハイレベルH)から低い電圧(ローレベルL)に切り換える所定時間tmとしては、例えば1画素分の読出し速度が100nsec程度の場合に5μsec程度に設定される。図中、Tは寄生容量Cにおける電荷の蓄積期間を示しており、その蓄積期間TはNTSC信号の場合1/30sec(または1/60sec)程度となる。
このようなものにあって、初期化時にMOSトランジスタQ1のドレイン電圧VDがローレベルLに切り換えられると、そのときのゲート電圧VGとドレイン電圧VDとの間の電位差がトランジスタQ1のしきい値よりも大きければトランジスタQ1が低抵抗状態になる。それにより、そのときのソース側の電位がドレイン電圧VDと同じになり(n−MOSトランジスタではソース電圧=ドレイン電圧となる)、フォトダイオードPDの接合容量Cに蓄積された電荷が放出状態になる。
第4図は、初期化時におけるトランジスタQ1の電荷qの流れによる動作状態を模擬的に示している。
そして、tm時間の経過後にそのドレイン電圧VDが定常のハイレベルHに切り換えられて光信号の検出が行われると、ソース側の電位がドレイン電圧VDよりも低くなって、そのときのゲート電圧VGとドレイン電圧VDとの間の電位差がしきい値よりも大期ければMOSトランジスタQ1が低抵抗状態になり、フォトダイオードPDの接合容量Cが電荷の蓄積状態になる。
第5図は、光信号検出時におけるトランジスタQ1の電荷qの流れによる動作状態を模擬的に示している。
このように光信号の検出に先がけてフォトダイオードPDの接合容量Cの残留電荷を放出させて初期化したのちにその接合容量Cに電荷を注入させるようにすると、その初期化のタイミングから一定の時間経過した時点での出力電圧(フォトダイオードPDの端子電圧)Vpdは入射光Lsの光量に応じた値となる。すなわち、初期化後には入射光Lsの光量の変化に追随した一定の時定数による放電特性が得られるようになる。
その際、長時間放置すればドレイン電圧VDからトランジスタQ1を通して供給される電流とフォトダイオードPDを流れる電流とは同じになるが、残留電荷がなければ常に同じ放電特性が得られるので残像が生ずることがなくなる。
したがって、初期化してから一定の時間を定めて光信号を検出するようにすれば、入射光Lsの光量に応じた残像のない画信号Voを得ることができるようになる。
第6図は、入射光Lsの強弱による電圧信号Vpdの立上りの差の特性を示している。
第7図は、1/30secのタイミングで光信号の読み出しをくり返し行わせたときの電圧信号Vpdの増幅信号の特性を示している。これによれば、1/30secごとに得られる信号特性はフォトトダイオードPDへの入射光Lsの光量に応じたセンサ電流に即したものとなり、残像の影響がないことがわかる。
第8図は、フォトダイオードPDへの入射光量に応じたセンサ電流を変化させたときの画素信号Voの出力特性を示している。これによれば、フォトダイオードPDのセンサ電流が1E−13A以上では完全に対数出力特性となっていることがわかる。また、センサ電流が1E−13A以下の領域では対数特性から外れるものの、残像のない出力が得られることがわかる。
また、トランジスタQ1のドレイン電圧VDを低下させるときのローレベルLの値を調整すると、完全にトランジスタQ1を低抵抗状態にできるまで電圧を下げれば第8図中(a)で示すような出力特性が得られる。しかし、その制御電圧VDをゲート電圧VGと同一になるように設定すると、第8図中(b)で示すような通常の対数出力特性が得られることになる。
第8図中(a)で示す出力特性の場合には、残像はないが、光量が少ないときに感度が小さくなる。第8図中(b)で示す対数出力特性の場合には、光量が少ないときでも感度は大きいが、残像が顕著になる。すなわち、感度と残像との間にはトレードオフの関係が成立する。
したがって、第8図中(a)で示す出力特性と第8図中(b)で示す対数出力特性との中間の領域に出力特性がくるようにトランジスタQ1のドレイン電圧VDを調整することにより、残像を問題にしない用途では感度を優先するような設定とし、残像が問題となる用途では残像をなくすことを優先とするような設定とすることができるようになる。実際には、用途に応じて問題にならない残像の程度に応じてドレイン電圧VDを調整して、感度を可能な限り大きく設定するようにすることが考えられる。
第9図は、このような光センサ回路を画素単位として、画素をマトリクス状に複数配設して、各画信号の時系列的な読出し走査を行わせるようにしたイメージセンサにあって、各画信号の読出し走査に応じた適切なタイミングをもって各画素の初期化を行わせることができるように構築したときの一構成例を示している。
そのイメージセンサは、その基本的な構成が、例えば、D11〜D44からなる4×4の画素をマトリクス状に配設して、各1ライン分の画素列を画素列選択回路1から順次出力される選択信号LS1〜LS4によって選択し、その選択された画素列における各画素を、画素選択回路2から順次出力される選択信号DS1〜DS4によってスイッチ群3における各対応するスイッチSW1〜SW4が逐次オン状態にされることによって各画信号Voが時系列的に読み出されるようになっている。図中、4は各画素における前記トランジスタQ1のゲート電圧VG用電源であり、6はドレイン電圧VD用電源である。
そして、このようなイメージセンサにあって、各1ライン分の画素列の選択に際して、その選択された画素列における各画素の前記トランジスタQ1のドレイン電圧VDを所定のタイミングをもって定常時のハイレベルHおよび初期化時のローレベルLに切り換える電圧切換回路5が設けられている。
このように構成された本発明によるイメージセンサの動作について、第10図に示す各部信号のタイムチャートとともに、以下説明をする。
まず、画素列選択信号LS1がハイレベルHになると、それに対応するD11,D12,D13,D14からなる第1の画素列が選択される。そして、LS1がハイレベルHになっている一定期間T1のあいだ画素選択信号DS1〜DS4が順次ハイレベルHになって、各画素D11,D12,D13,D14の画信号Voが順次読み出される。
次いで、画素列選択信号LS1がローレベルLになった時点で次のLS2がハイレベルHになると、それに対応するD21,D22,D23,D24からなる第2の画素列が選択される。そして、LS2がハイレベルHになっている一定期間T1のあいだ画素選択信号DS1〜DS4が順次ハイレベルHになって、各画素D21,D22,D23,D24の画信号Voが順次読み出される。
以下同様に、画素列選択信号LS3およびLS4が連続的にハイレベルHになって各対応する第3および第4の画素列が順次選択され、LS3およびLS4がそれぞれハイレベルHになっている一定期間T1のあいだ画素選択信号DS1〜DS4が順次ハイレベルHになって、各画素D31,D32,D33,D34およびD41,D42,D43,D44の画信号Voが順次読み出される。
また、画素列選択信号LS1がT1期間後にローレベルLに立ち下がった時点で、そのとき選択されている第1の画素列における各画素D11,D12,D13,D14のドレイン電圧VD1をそれまでのハイレベルHからローレベルLに所定時間T2のあいだ切り換えることによって各画素の初期化が行われ、1サイクル期間T3の径過後に行われる次サイクルにおける画信号の読出しにそなえる。
次いで、画素列選択信号LS2がT1期間後にローレベルLに立ち下がった時点で、そのとき選択されている第2の画素列における各画素D21,D22,D23,D24のドレイン電圧VD1をそれまでのハイレベルHからローレベルLに所定時間T2のあいだ切り換えることによって各画素の初期化が行われ、1サイクル期間T3の径過後に行われる次サイクルにおける画信号の読出しにそなえる。
以下同様に、画素列選択信号LS3およびLS4がそれぞれT1期間後にローレベルLに立ち下がった時点で、そのとき選択されている第3および第4の画素列にそれぞれ対応するドレイン電圧VD3をローレベルLに切り換えて各画素の初期化が行われ、1サイクル期間T3の径過後に行われる次サイクルにおける画信号の読出しにそなえる。
なお、ここでは画素列選択信号LSX(X=1〜4)がT1期間後にローレベルLに立ち下がった時点でドレイン電圧VDXをローレベルLに切り換えて初期化を行わせるようにしているが、その初期化のタイミングは画素列選択信号LSXがローレベルL状態にある画素列選択の休止期間T4中であればよい。
以上のような各部信号の発生のタイミングは、図示しないECUの制御下で画素列選択回路1、画素選択回路2および電圧切換回路5の駆動を行わせることによって決定されるようになっている。
このように、各画信号の読出し走査に応じた適切なタイミングをもって各画素の初期化を行わせることによって、イメージセンサ全体としての蓄積時間の過不足を低減できるようになる。
しかして、このような構成によれば、残像がなく、ダイナミックレンジの広い対数出力特性をもったイメージセンサを実現できるようになる。
本発明による画像処理装置は、以上のように構成されたイメージセンサにあって、その撮影した画像のコントラストを任意に強調できるように、イメージセンサの出力特性の変換テーブルを用いて、所定の輝度領域における出力を強調してとり出すことができるようにしている。
第11図は、本発明による画像処理装置の一実施例を示している。
それは、イメージセンサ7から時系列的に出力される画信号(アナログ信号)VoをAD変換器8によってデジタル画信号DD1に変換したうえで、そのデジタル画信号DD1に応じて予め任意の出力変換テーブルが設定されているルックアップテーブル9から所定に変換されたデジタル画信号DD2を出力するように構成されている。
しかして、このような構成によれば、イメージセンサ7がどのような出力特性を有していても、ルックアップテーブル9を用いることによって、任意の出力特性に変換することが可能になる。
例えば、第12図は、同図(a)に示すように、センサ面照度が大きいときには対数出力特性を示すが、センサ面照度が小さいときには対数出力特性が失われて線形出力を示すイメージセンサ7の画信号Vo出力を、ルックアップテーブル9を用いることによって、同図(b)に示すように、変換された画信号Vo′が全領域にわたって対数出力特性を示すように変換する場合を示している。その変換された画信号Vo′によれば、明部から暗部にわたって充分に広大されたダイナミックレンジを得ることができるようになる。
また、第13図は、同図(a)に示すようなイメージセンサ7の画信号Vo出力を、ルックアップテーブル9を用いることによって、同図(b)に示すように、センサ面照度がしきい値Sより小さい場合に図中aで示す対数出力特性を示し、センサ面照度がしきい値S以上の場合に図中bで示す対数出力特性を示すように変換する場合を示している。
第14図は、同図(a)に示すようなイメージセンサ7の画信号Vo出力を、ルックアップテーブル9を用いることによって、同図(b)に示すように、センサ面照度がS1〜S3の範囲にある場合に図中cで示す対数出力特性を示し、センサ面照度がS2〜S4の範囲にある場合に図中dで示す対数出力特性を示すように変換する場合を示している。
このようなイメージセンサ7から出力する画信号Voの特性をセンサ面照度のしきい値をもって、あるいはセンサ面照度の範囲をもって2つの同一レンジによる出力特性に変換することによって、例えば、後処理として多階調のサンプリングを行わせる際に少ない情報量をもって簡単に行わせることができるようになる。
このような画像処理装置にあって、本発明では、イメージセンサ7によって撮影された画像における輝度の低い(暗い)領域の画信号と輝度の高い(明るい)領域の画信号とを強調してとり出して、それ以外の画信号を零レベルとすることにより、暗部と明部とのコントラストが強調されて画像に変換させるようにしている。
第15図は、トンネル内の路面およびその周辺の輝度分布Kaと、晴天時の路面およびその周辺の輝度分布Kbとを示している。
いま、イメージセンサ7を車両に搭載して前方の道路を撮影して、その画像から路面の白線を認識しながら、その白線にならうように自動走行するような場合、トンネル内のみを撮影するときには0.1〜1cd/m2の輝度分布Kaの領域における画信号を必要とし、トンネル外のみを撮影するときには1E3〜1E5cd/m2の輝度分布Kbの領域における画信号を必要とすることがわかる。
すなわち、イメージセンサ7が第15図中直線で示す出力特性Aを有していれば、0.1cd/m2以下の領域、1cd/m2〜1E3cd/m2の領域および1E5cd/m2以上の領域については必要な画情報がないことになる。つまり、イメージセンサ7の出力レンジに無駄な部分が生じていることになる。
したがって、イメージセンサ7によって撮影された画像のなかから白線を抽出するための処理を行うに際しては、0.1〜1cd/m2の輝度分布Kaの領域および1E3〜1E5cd/m2の輝度分布Kbの領域における画信号のみをとり出して白線抽出のための処理を行うようにすれば、余計な画情報による処理が省かれて、白線抽出の処理を容易かつ迅速に行わせることができるようになる。
具体的には、ルックアップテーブル9を用いて、第15図に示すイメージセンサ7の出力特性Aのうち、0.1〜1cd/m2の輝度分布Kaの領域の出力特性部分が第16図中の出力特性Bになるように、また1E3〜1E5cd/m2の輝度分布Kbの領域の出力特性部分が第16図中の出力特性Cになるように、それぞれ変換する。
このようなイメージセンサ7の出力特性の変換を行わせることにより、イメージセンサ7によって撮影された画像のなかから必要な画情報のコントラストを強調することができる。そのため、同一の画像内でトンネル内の暗い部分、晴天下の明るい部分といった輝度領域の違いの影響を受けることなく、白線抽出の処理を一律に行わせることが可能になる。
なお、イメージセンサ7の変換された出力特性Bおよび出力特性Cは同一画像上のものとして扱う以外に、出力特性Bまたは出力特性Cのみの画像として扱うようにすることも可能である。
第17図は、ルックアップテーブル9によるイメージセンサ7の出力特性の他の変換を示している。この場合には、輝度の低い0.1〜1cd/m2の輝度分布Kaの領域と領域輝度の高い1E3〜1E5cd/m2の輝度分布Kbの領域との間の中間領域におけるイメージセンサ7の出力を一定のしきい値THに固定した出力特性Dに変換するようにしている。
このようなイメージセンサ7の出力特性の変換を行わせることにより、同一画像内で、トンネル内の暗い部分と晴天下の明るい部分とのコントラストを大きくすることができるとともに、しきい値THを境いにしてトンネルの内外を判定することができるようになる。
以上のことはトンネル内(外)からトンネル外(内)を撮影する場合以外にも、イメージセンサ7によって撮影された画像によってレーザ溶接などの作業状況の監視を行うような場合に、溶融池とビードおよび開先の溶接部分を撮影した画像にあって、その溶接部分のコントラストを強調させることが可能になる。
以上のように、本発明によれば、ルックアップテーブル9を用いてイメージセンサ7の出力特性の変換を行わせることによって、対数出力特性をもたせることによってダイナミックレンジを拡大したイメージセンサ7によって撮影された画像のなかから、暗部(ハイライト部分)と明部(シャドウ部分)とのコントラストが強調された画像を得ることができる。
なお、その際、NDフィルターおよび絞りにより、コントラストを強調するレンジを適宜選択できるようにすることも可能である。
また、第18図および第19図は、ルックアップテーブル9によるイメージセンサ7の出力特性のさらに他の変換を示している。この場合には、第18図に示すイメージセンサ7の出力特性Aのなかから任意の輝度分布Kcの領域の出力を強調してとり出すことができるように、第19図中の出力特性Eになるように変換している。
イメージセンサ7に用いられる光センサ回路としては、第1図に示すものに限らず、その他に第20図0〜第22図に示すようなものが用いられる。
第20図に示す光センサ回路は、第1図に示す光センサ回路にあって特にシャッタ機能(サンプルアンドホールド機能)をもたせるために、フォトダイオードPDの端子電圧Vpdを画信号として蓄積するためのコンデンサC1およびフォトダイオードPDの寄生容量Cの電荷をコンデンサC1へ転送するためのMOS型トランジスタQ4を設けるようにしている。
そして、このような構成にあって、第23図に示すように、各部駆動の制御信号を与えることにより、シャッタの開閉制御を行わせて、シャッタの開放時間に応じた画信号出力が得られるようにしている。
すなわち、タイミングt1〜t2において駆動電圧V1をハイレベルにすることによってトランジスタQ1をオン状態にし、フォトダイオードPDの寄生容量Cに電荷を注入する。そして、タイミングt2〜t3において、寄生容量Cに注入された電荷は、フォトダイオードPDに光が入射することによって流れるセンサ電流に比例して電荷が放出される。
この間のタイミングt1〜t3(シャッタ開放期間)ではトランジスタQ4もオン状態になっており、寄生容量Cの端子電圧VcとコンデンサC1の端子電圧Vc1とが同一になっている。
そして、タイミングt3におけるトランジスタQ4のオフによってコンデンサC1の端子電圧Vc1は保持状態になる。
次に、タイミングt4〜t5においてトランジスタQ3をオンにすると、抵抗Rを介して画信号Voが出力される。
なお、この光センサ回路の構成にあっては、タイミングt3以後にトランジスタQ4がオフ状態になるとコンデンサC1の電荷が保持されることになり、次にトランジスタQ4をオンにすることによって寄生容量Cの電荷をコンデンサC1に転送するまではコンデンサC1の電荷は一定となる。つまり、トランジスタQ4がオフの期間(コンデンサC1の保持期間)は、寄生容量Cの端子電圧Vcが変化しても画信号Voとしては同じ出力が得られることになる。
したがって、第20図に示す光センサ回路を第23図に示す制御タイミングで動作させることによって、再現性の良い画信号Voを出力することができるようになる。
また、第21図に示す光センサ回路にあっては、第20図に示すシャッタ機能をもたせたものにあって、特にトランジスタQ1のドレイン電圧VDを低下させてフォトダイオードPDの寄生容量Cの残留電荷を放出させて初期化を行わせるための電圧切換回路51を設けて、前述したように、入射光Lsの光量が少ない場合の残像の発生を抑制するようにしている。
第24図は、その光センサ回路における各部制御信号のタイムチャートを示している。
また、第22図はシャッタ機能を有する光センサ回路の他の構成を示しており、ここでは特に、コンデンサC1の電荷を充放電するためのトランジスタQ5を設けて、コンデンサC1の電荷をトランジスタQ5によって放出可能にして、寄生容量Cの電荷が再現性良くコンデンサC1に転送されるようにしている。
このように構成された光センサ回路にあっても、第20図に示すものと同様に動作するが、この場合は特に、第25図に示すように、タイミングt6〜t7においてトランジスタQ5をオンにすると、コンデンサC1の電荷が放出されて画素信号が初期化されるようになっている。
産業上の利用可能性
本発明による画像処理装置は、イメージセンサによって撮影された画像における所定の輝度部分を強調するに際して、イメージセンサの出力特性の変換テーブルを用いて、任意の複数の輝度領域におけるイメージセンサの出力を強調してとり出すようにしたもので、特にダイナミックレンジを拡大するために対数出力特性をもたせたイメージセンサによって撮影した画像における任意の輝度領域の各画像部分のコントラストを強調することができ、レーザ溶接の作業状況を監視する場合などに最適となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、イメージセンサにおける1画素分の光センサ回路の一構成例を示す電気回路図である。
第2図は、光センサ回路における各部信号のタイムチャートである。
第3図は、光センサ回路における入射光量に対する画信号の出力特性を示す図である。
第4図は、光センサ回路の初期化時におけるトランジスタQ1の電荷qの流れによる動作状態を模擬的に示す図である。
第5図は、光センサ回路の光信号検出時におけるトランジスタQ1の電荷qの流れによる動作状態を模擬的に示す図である。
第6図は、光センサ回路における入射光の強弱による電圧信号Vpdの立上りの差を示す特性図である。
第7図は、光センサ回路において所定のタイミングで光信号の読み出しをくり返し行わせたときの電圧信号Vpdの増幅信号の特性を示す図である。
第8図は、光センサ回路においてフォトダイオードPDへの入射光量に応じたセンサ電流を変化させたときの画素信号Voの出力特性を示す図である。
第9図は、光センサ回路を画素単位として構築されたイメージセンサの構成例を示すブロック図である。
第10図は、そのイメージセンサにおける各部信号のタイムチャートである。
第11図は、本発明による画像処理装置の一構成例を示すブロック図である。
第12図は、ルックアップテーブルを用いたイメージセンサの出力特性の変換の一態様を示す特性図である。
第13図は、ルックアップテーブルを用いたイメージセンサの出力特性の変換の他の態様を示す特性図である。
第14図は、ルックアップテーブルを用いたイメージセンサの出力特性の変換のさらに他の態様を示す特性図である。
第15図は、イメージセンサの出力特性に対するトンネル内外の路面の輝度分布状態との関係を示す特性図である。
第16図は、第15図に示す出力特性をもったイメージセンサの輝度分布領域に応じた出力変換特性の一例を示す特性図である。
第17図は、第15図に示す出力特性をもったイメージセンサの輝度分布領域に応じた出力変換特性の他の例を示す特性図である。
第18図は、イメージセンサの出力特性に対する任意の輝度分布領域との関係を示す特性図である。
第19図は、第18図に示す出力特性をもったイメージセンサの輝度分布領域に応じた出力変換特性の一例を示す特性図である。
第20図は、光センサ回路の他の構成例を示す電気回路図である。
第21図は、光センサ回路のさらに他の構成例を示す電気回路図である。
第22図は、光センサ回路のさらに他の構成例を示す電気回路図である。
第23図は、第17図に示す光センサ回路における各部制御信号のタイムチャートである。
第24図は、第18図に示す光センサ回路における各部制御信号のタイムチャートである。
第25図は、第19図に示す光センサ回路における各部制御信号のタイムチャートである。
第26図は、光センサ回路の初期化を行わない場合における入射光量が少ないときの画信号の読出しのタイミングを示す特性図である。
第27図は、金属表面におけるレーザ溶接部分の状態を示す図である。
Claims (5)
- イメージセンサによって撮影された画像における所定の輝度部分を強調する画像処理装置であって、イメージセンサの出力特性の変換テーブルを用いて、任意の複数の輝度領域におけるイメージセンサの出力を強調してとり出して、各輝度領域における画像部分のコントラストを高めるようにしたうえで、出力が強調される各輝度領域以外の輝度領域におけるイメージセンサの出力を零または一定値に固定するようにしたことを特徴とする画像処理装置。
- イメージセンサの画素単位となる光センサ回路が、対数出力特性を有していることを特徴とする請求項1の記載による画像処理装置。
- イメージセンサの画素単位となる光センサ回路が、フォトダイオードに流れるセンサ電流を弱反転状態で対数特性をもって電圧信号に変換するMOSトランジスタからなることを特徴とする請求項2の記載による画像処理装置。
- イメージセンサの画素単位となる光センサ回路が、フォトダイオードに流れるセンサ電流を弱反転状態で対数特性をもって電圧信号に変換するMOSトランジスタからなり、前以ってそのMOSトランジスタのドレイン電圧を変化させてフォトダイオードの寄生容量の残留電荷を放出させる制御手段を有することを特徴とする請求項2の記載による画像処理装置。
- イメージセンサの画素単位となる光センサ回路が、シャッタ機能を有していることを特徴とする請求項2の記載による画像処理装置。
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