JP3861011B2 - 電解加工用電極およびそれを用いた電解加工方法と電解加工用電極の製造方法 - Google Patents

電解加工用電極およびそれを用いた電解加工方法と電解加工用電極の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、長期間安定して所定の加工形状を維持できる電解加工用電極およびそれを用いた電解加工方法と、電解加工用電極の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属の表面加工に用いられる電解加工法は、食塩水や硝酸ナトリウム水溶液等の電解液中に、加工形状に対応した形状の導電部を有する電極(以下、電極工具と記述する)を被加工物の表面に近接して対向配置し、この電極工具と被加工物との間に電流を流すことにより、被加工物表面を電気化学的に溶解させて、電極工具の導電部形状(加工パターン)に対応した彫り込み形状を形成する加工方法である。
【0003】
電解加工は、近年、特開平9−192932号および特開平10−86020号等に公知のように、電極工具と被加工物を所定の間隔で固定し、電解液を循環させながら、あらかじめ設定された印加総電気量を目標値として電流を流し加工を行うことで、微細なパターンの加工に多用されるようになってきている。
【0004】
に、従来の電解加工装置の全体構成を模式的に示す。
被加工物Wは、加工対象面に電極(電極工具)31を所定の距離をおいて対向させた状態で加工槽41内に配置される。加工槽41には、電解液槽42と通じる液流入管42aと液排出管42bが配置されており、ポンプ43の駆動により、被加工物Wと電極工具31の間(加工すき間50)に電解液が流れるようになっている。被加工物Wには加工用電源44の正極が接続される一方、電極工具31には同じく加工用電源44の負極が接続され、これらの被加工物Wと電極工具31の間に電解液を流した状態で、例えばパルス状の電流が流される。電極工具31の被加工物Wとの対向面には、所要の加工パターンの露出面(導電部)11aが形成されており、電解液を介在させた状態で、加工用電源44からの電流が、露出面11aと被加工物Wとの間に流れることで、電気化学反応により露出面11aに対向する部位の被加工物Wが溶出し、被加工物Wの表面に露出面11aと同等パターンの彫り込み形状が転写形成されることになる。
【0005】
このような電解加工に用いられる電極工具は、金属製の母材を用い、所要の加工パターンのもとに母材表面の一部が露出するように、加工パターン以外の領域を非導電性材料(絶縁体)で被覆した構造のものである。
【0006】
に、電解加工に用いられる従来の電極工具の構成例を模式的に示す。
電極工具の構成としては、図(a)に示すような、母材11の表面に非導電性材料からなる一様な絶縁体膜を形成した後、フォトリソグラフィの技術を用いて加工パターン部分を除去して絶縁体2を形成し、母材11の露出面11aを導電部として用いる構造の電極工具31か、あるいは、図(b)に示すような、母材11表面の加工パターンを除く領域をエッチング等によって削り落とし、その凹部11bに非導電性材料を埋め込んで絶縁体3を形成し、母材11の露出面11aを導電部として用いる構造の電極工具32、が知られている。
【0007】
このような電極工具の母材に用いられる材料の主な必要特性としては、
1)電気伝導度および熱伝導率が高いこと
2)電解液に対する耐食性があること
3)電極工具形状を形作るための機械加工性が良いこと
4)加工パターン以外の領域に形成する絶縁体との密着性が良いこと
などが挙げられる。特に耐食性は重要で、電極工具は加工中および加工準備中も電解液に晒されているため、その露出面(導電部)の耐食性を考慮して材料選定が行われる。
【0008】
一般に、電極工具の母材用の材料として、銅系あるいは鉄系合金が主に用いられてきている。しかし、電極工具の母材に銅合金として真鍮を用いた場合、機械加工性は良いが、電解液に対する耐食性が低いという欠点を持っている。また、鉄系合金としてオーステナイト系ステンレス合金を用いた場合、電解液に対する耐食性は高いが、機械加工は難しいという欠点がある。このように、従来から電極工具の母材に用いられている材料は、電解液に対する耐食性と機械加工性を両立させることが困難であり、その選択範囲は限定されたものとなっていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上のような電極工具において、所要パターンに形成された導電部は電気化学反応により、その表面が酸化物の被膜等により覆われてしまうという問題があった。このような酸化物の被膜が厚くなると、導電部の電気抵抗が上昇することにより、被加工物との間に流れる電流が徐々に低下し、所定の加工量(彫り込み深度)と形状精度を維持できなくなってしまう。
【0010】
特に、ハードディスク装置等の高速・高精度の回転が要求される回転機構に用いられる動圧軸受装置の動圧溝を上記電解加工にて形成する場合、その深さ等の形状を±0.5μm程度の高精度とすることが要求されることから、高精度加工を安定して連続的に行える電極工具が必要となる。
【0011】
本発明は、上記するような課題に対処するためになされたもので、所定の加工形状を高精度に安定して維持できる電解加工用電極およびそれを用いた電解加工方法と電解加工用電極の製造方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、金属製の母材の一表面に所要の加工パターンの導電部が形成され、この導電部と電解液中で対向配置された被加工物との間に電流を流すことによって、その被加工物に電解加工を施す電極であって、前記金属母材における被加工物に対向する面全体が、銅よりもイオン化傾向の小さい金属、またはニッケルもしくはクロム、またはこれらを主成分とする合金からなる導電性被膜で覆われ、この導電性被膜の被加工物に対向する面における前記加工パターン以外の領域に凹部が設けられ、該凹部が非導電性材料からなる絶縁体で覆われて、これら導電性被膜と絶縁体とからなる被加工物に対向する面が平坦に形成されていることを特徴とする。
【0013】
【0014】
また、同じ目的を達成するために、請求項に記載の発明は、金属製の母材の一表面に所要の加工パターンの導電部が形成され、この導電部と電解液中で対向配置された被加工物との間に電流を流すことによって、その被加工物に電解加工を施す電極であって、少なくとも前記導電部の表面が、銅よりもイオン化傾向の小さい金属、またはニッケルもしくはクロム、またはこれらを主成分とする合金からなる導電性被膜で覆われ、この導電部に隣接する前記加工パターン以外の領域が、非導電性材料からなる絶縁体で覆われて、これら導電性被膜と絶縁体とからなる被加工物に対向する面が平坦に形成されているとともに、前記隣接する導電性被膜と絶縁体との間の界面が、前記金属母材の表面に対して垂直に形成されていることを特徴とする。
【0015】
次に、請求項に記載の発明は、被加工物における所定パターンが形成されるべき面と、前記導電性被膜と前記絶縁体により所要の導電パターンが形成された請求項1または2のいずれかに記載の電極の表面とを、電解液中に対向させて浸漬するとともに、この電解液を被加工物と当該電極との間に流動させつつ、これら被加工物と電極とを加工用電源の正極および負極にそれぞれ接続して電流を流すことによって加工することを特徴とする電解加工方法である。
【0016】
本発明は、電極(電極工具)の被加工物に対向する導電部分を、電解液に対して耐食性の高い金属材料あるいはその合金からなる導電性被膜で形成するとともに、この被加工物に対向する面を平坦な形状に形成することで、所期の目的を達成しようとするものである。
【0017】
すなわち、本発明においては、金属製母材の少なくも被加工物に対向する露出面(導電部分)を、銅よりもイオン化傾向の小さい金属、またはニッケルもしくはクロム、またはこれらを主成分とする合金からなる導電性材料で被覆する。銅よりもイオン化傾向の小さい金属の代表例として、白金,金等が挙げられる。これらの金属、またはニッケル,クロムのような電解液に対して耐食性の高い金属あるいはその合金を使用して、母材の導電部分を覆うように新たな導電性被膜を形成することにより、母材の導電部分は直接電解液に触れることがなくなる。また同時に、露出面上に新たに形成された導電性被膜は、電解液に対して耐食性が高い材料で形成されているため、その表面の酸化等の化学反応が抑制されることとなる。従って、導電性被膜からなる導電部の表面には、酸化物の被膜等が形成されることがなく、被加工物との間に流れる加工電流の低下が防止されることにより、所定の加工量(加工深度)と加工精度を長期間にわたり維持することが可能となる。
【0018】
なお、上記導電性被膜が実用的な耐食性を備えるためには、0.1μm以上の膜厚とするのが好ましい。また、膜厚の上限については、応力集中による剥離が生じ易い乾式被膜(例えば、PVD、CVD等で形成したもの)は、これを抑制するために5μm以下とするのが好ましい。一方、乾式以外の被膜(例えばめっき、溶射等で形成したもの)は、上限について特に技術的考慮の必要はない。
【0019】
また更に、耐食性の高い金属あるいはその合金による被膜は、表面に酸化物等の反応生成物が付着しても、酸・アルカリで洗浄することにより容易に除去することができるという利点もある。
【0020】
そして、本発明の電極工具は、母材の材料の耐食性を考慮する必要がないことから、機械加工性に富んだ安価な材料や、加工パターン以外の領域を覆う絶縁体との密着性を考慮した材料等を使用することができ、母材の材料選択の自由度を向上させることができる。
【0021】
なお、本発明の電極工具は、導電性被膜と絶縁体とからなる被加工物に対向する面平坦に形成されていることから、電極工具表面への反応生成物の付着あるいは堆積等抑制される
【0022】
一方、本発明の電解加工方法は、所定の導電部パターンに対応した加工形状を長期間にわたり精度良く加工できる方法であり、加工を行う際、前記導電性被膜により所要の導電パターンが形成された電極工具の表面と、被加工物とを、対向させて電解液中に浸漬するとともに、この電解液を電極工具と被加工物との間に流した状態で、これら被加工物と電極工具とを加工用電源の正極および負極にそれぞれ接続して電流を流す。
【0023】
すなわち、電解加工に本発明の電極工具を用いることによって、導電部表面は酸化物による被膜等の形成が防止され、電極工具を長期間使用することができるうえ、被加工物の加工形状の不良も削減することが可能となる。従って、電解加工全体としてのコストの低減を達成することができる。
【0024】
なお、本発明の請求項1に係る電解加工用電極は請求項に記載の方法を用いて、請求項2に係る電解加工用電極は請求項に記載の方法を用いて、それぞれ容易に製造することが可能である。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態における電極工具の構成を示す断面模式図であり、図2はその電極工具を用いた電解加工装置の全体構成を示す模式図である。なお、電解加工の対象となる被加工物は、導電部のある図示下方に電極工具と所定の間隔をおいて、対向配置されることとなる。また、図および図に示した従来例と同様の機能を有する構成部材には、同じ符号を付記する。
【0026】
本実施の形態における電極工具22も、従来と同様に金属製の母材11を用い、被加工物と対向する面における加工パターン以外の領域を、非導電性材料で被覆した構造のものである。電極工具22の形成は、まず母材11の被加工物と対向する面を覆うように、表面処理法によって導電性被膜1を形成する。その後、従来の電極工具32と同様の工程で、導電性被膜1の表面の加工パターンを除く領域をエッチング等によって削り落とし、その凹部1bに非導電性材料を埋め込んで絶縁体3を形成することで、表面が略平坦な電極工具22が得られる。
【0027】
導電性被膜1の材料は、銅よりもイオン化傾向の小さい金属、またはニッケルもしくはクロム、またはこれらを主成分とする合金の中から選択することが可能である。電解液に対する耐食性の高さを優先させるならば白金,金等が、あるいは、絶縁体に対する密着性の良さやコスト低減を優先させるならばニッケルまたはクロムが好適に採用される。また、導電性被膜1を形成する方法には、めっき等が好適に使用される。また、凹部1bの形成方法には、上記したエッチングに限らず、電解加工,機械加工,レーザー加工,放電加工,またはショットブラスト等の方法を用いることが可能である。
【0028】
この電極工具22の特徴は、被加工物の加工に関与する導電部1aが、電解液に対して耐食性の高い金属材料あるいはその合金からなる導電性被膜1で形成されている点である。このような構成により、導電部1aの表面に酸化物の被膜等が形成されることがなく、被加工物に対する電流が低下しないことで、所定の加工量(加工深度)と加工精度を長期間にわたり維持することができる。
【0029】
【0030】
次に、上記の電極工具22を用いた電解加工方法について説明する。
図2に示す本発明の電解加工装置も、従来と同様の基本構成を有する。被加工物Wは、所定の加工対象面に、電極工具22の導電部1aが形成された面を0.05〜0.1mm程度の間隙をおいて対向させた状態で、加工槽41内に配置される。加工槽41には電解液槽42と通じる液流入管42aと液排出管2bが配置されており、ポンプ43の駆動により、被加工物Wと電極工具22の間(加工すき間50)に電解液が流れるようになっている。使用される電解液の種類は、特に限定されるものではないが、この例では硝酸ナトリウム(NaNO)20重量%の水溶液が使用される。
【0031】
被加工物Wには加工用電源44の正極が接続される一方、電極工具22には同じく加工用電源44の負極が接続され、これらの被加工物Wと電極工具22の間に電解液を流した状態で電流が流される。加工用電源44にはパルス電源が好適に採用され、100A/cm程度の電流密度のパルス状電流を複数回印加することで、総印加電気量を制御しながら加工が行われる。そして、電解液を介在させた状態で加工電流が導電部1aと被加工物Wとの間に流れることで、電気化学反応により導電部1aに対向する部位の被加工物Wが溶出し、被加工物Wの表面に電極工具22の導電部1aパターンと同等パターンの彫り込み形状が形成されることになる。
【0032】
本実施の形態における電解加工方法の特徴は、導電部1a表面に酸化物による被膜等が形成されることがない点である。しかも、電極工具22の表面形状が略平坦であることと相俟って、電極工具22表面への反応生成物の付着あるいは堆積等が抑制される。このことにより、本実施の形態における電解加工方法は、加工を継続しても、被加工物Wとの間の加工電流や加工すき間50の電解液の流れが阻害されず、加工形状を高精度に維持維持することができる。また、電極工具22の表面形状が略平坦であることから、絶縁体3は電解液の流れに伴うせん断力を受けにくく、その剥離を防止する効果も併せて奏すること ができる。従って、本実施の形態における電解加工方法は、同じ電極工具22を長期間にわたり使用することが可能となる。
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
次に、本発明の第の実施の形態について説明する。
は、第の実施の形態における電極工具の構成を示す断面模式図である。本実施の形態における電極工具23も、従来と同様に金属製の母材11を用い、被加工物に対向する面における加工パターン以外の領域を、非導電性材料で被覆した構造のものである。第1,第2の実施の形態と異なる点は、導電性被膜4が、絶縁体2の間に形成された母材露出面11aを埋め込むようにして形成されている点である。
【0039】
電極工具23の形成は、予め、母材11の被加工物に対向する面における加工パターン以外の領域に、従来の電極工具31と同様の工程を用いて非導電性材料からなる一様な絶縁体膜を形成し、フォトリソグラフィの技術を用いて加工パターン部分を除去して絶縁体2を形成する。その後、絶縁体2をレジスト(例えば、めっきレジストあるいは絶縁レジスト等)として利用しながら、めっきや蒸着等を用いて母材11の露出面11aを覆うように導電性被膜4を形成する方法によって、表面が略平坦で絶縁体2の間に導電部4aを有する電極工具23を得ることができる。
【0040】
導電性被膜4の材料は、銅よりもイオン化傾向の小さい金属、またはニッケルもしくはクロム、またはこれらを主成分とする合金の中から選択することが可能である。本実施の形態においては、白金,金等が好適に採用される。このような構成により、第1の実施の形態と同じ理由で、電極工具23は、導電部4aの表面に酸化物の被膜等が形成されることがなく、被加工物に対する電流が低下しないことで、所定の加工量(加工深度)と加工精度を長期間にわたり維持することができる。
【0041】
また、本実施の形態における電解加工は、電極工具23を用いて第1の実施の形態で記述した方法により行われる。この電解加工方法は、導電部4a表面が電解液により酸化されることなく、しかも電極工具23の表面形状が略平坦であることと相俟って、第1の実施の形態と同様、反応生成物の表面への付着あるいは堆積等を抑制することができる。このことにより、本実施の形態における電解加工方法は、加工を継続しても、被加工物との間の加工電流や加工すき間の電解液の流れが阻害されず、加工形状を高精度に維持することができる。
【0042】
また、電極工具23の表面形状が略平坦であることから、絶縁体2は電解液の流れに伴うせん断力を受けにくく、その剥離を防止する効果を発揮することができる。従って、本実施の形態における電解加工方法は、同じ電極工具23を長期間にわたり使用することが可能となる。
【0043】
なお、以上の実施の形態において、導電性被膜を形成するのに用いた方法は特に限定されるものではなく、めっき,蒸着の他にも、溶射等の表面皮膜を形成できる手法であればどのような方法を採用しても良い。
【0044】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、電極工具を構成する金属製母材の被加工物に対向する露出面を、銅よりもイオン化傾向の小さい金属およびニッケル,クロムのような電解液に対して耐食性の高い金属、あるいはこれらを主成分とする合金からなる導電性材料で被覆することにより、この導電性被膜による導電部の表面に酸化物等の反応生成物の被膜が形成されるのを抑制することができる。このことにより、被加工物との間に流れる加工電流の低下が防止され、所定の加工量(加工深度)と加工精度を長期間にわたり維持することができる。
【0045】
また、この構造により、電極工具を構成する母材の露出面は、直接電解液に触れることがないことから、母材の材料の耐食性を考慮する必要がなくなる。このことにより、機械加工性に富んだ鉄系材料や、絶縁体との密着性を考慮した材料等の中から自由に材料を選択することができ、ひいては電極工具を任意の形状にかつ容易に作製することが可能になる。
【0046】
そして、本発明の電極工具を用いた電解加工方法は、耐食性の高い導電性被膜からなる導電部を有する電極工具を使用して加工行うことにより、電極工具表面の酸化等の反応を抑制することができる。従って、電極工具の寿命を延ばすことができるうえ、被加工物の加工形状の不良も削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態における電解加工用電極工具の構成を示す模式的断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態における電解加工装置の全体構成を示す模式図である。
【図3】 本発明の第2の実施の形態における電解加工用電極工具の構成を示す模式的断面図である。
【図4】 電解加工に用いられる従来の電解加工装置の全体構成を示す模式図である。
【図5】 電解加工に用いられる従来の電極工具の構成例を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1,4 導電性被膜
1a,4a 導電部
1b 凹部
2,3 絶縁体
11 母材
11a 露出面(導電部)
11b 凹部
2,23 電極工具
31,32 電極工具
41 加工槽
42 電解液槽
42a 液流入管
42b 液排出管
43 ポンプ
44 加工用電源
50 加工すき間
W 被加工物

Claims (5)

  1. 金属製の母材の一表面に所要の加工パターンの導電部が形成され、この導電部と電解液中で対向配置された被加工物との間に電流を流すことによって、その被加工物に電解加工を施す電極であって、
    前記金属母材における被加工物に対向する面全体が、銅よりもイオン化傾向の小さい金属、またはニッケルもしくはクロム、またはこれらを主成分とする合金からなる導電性被膜で覆われ、この導電性被膜の被加工物に対向する面における前記加工パターン以外の領域に凹部が設けられ、該凹部が非導電性材料からなる絶縁体で覆われて、これら導電性被膜と絶縁体とからなる被加工物に対向する面が平坦に形成されていることを特徴とする電解加工用電極。
  2. 金属製の母材の一表面に所要の加工パターンの導電部が形成され、この導電部と電解液中で対向配置された被加工物との間に電流を流すことによって、その被加工物に電解加工を施す電極であって、
    少なくとも前記導電部の表面が、銅よりもイオン化傾向の小さい金属、またはニッケルもしくはクロム、またはこれらを主成分とする合金からなる導電性被膜で覆われ、この導電部に隣接する前記加工パターン以外の領域が、非導電性材料からなる絶縁体で覆われて、これら導電性被膜と絶縁体とからなる被加工物に対向する面が平坦に形成されているとともに、
    前記隣接する導電性被膜と絶縁体との間の界面が、前記金属母材の表面に対して垂直に形成されていることを特徴とする電解加工用電極。
  3. 被加工物における所定パターンが形成されるべき面と、前記導電性被膜と前記絶縁体により所要の導電パターンが形成された請求項1または2に記載の電極の表面とを、電解液中に対向させて浸漬するとともに、この電解液を被加工物と当該電極との間に流動させつつ、これら被加工物と電極とを加工用電源の正極および負極にそれぞれ接続して電流を流すことによって加工することを特徴とする電解加工方法。
  4. 金属製の母材の被加工物に対向する面全体に、銅よりもイオン化傾向の小さい金属、またはニッケルもしくはクロム、またはこれらを主成分とする合金からなる導電性被膜を形成し、この導電性被膜における電解加工に所要の加工パターン部分を除く領域に凹部を形成した後、この凹部に非導電性材料からなる絶縁体を埋め込み、これら導電性被膜と絶縁体とからなる被加工物に対向する面を平坦に形成したことを特徴とする電解加工用電極の製造方法。
  5. 金属製の母材の被加工物に対向する面全体に、非導電性材料からなる絶縁体膜を形成し、フォトリソグラフィを用いて電解加工に所要の加工パターン部分の前記絶縁体膜を除去した後、この加工パターン部分に、銅よりもイオン化傾向の小さい金属、またはニッケルもしくはクロム、またはこれらを主成分とする合金からなる導電性被膜を形成し、これら導電性被膜と絶縁体とからなる被加工物に対向する面を平坦に形成したことを特徴とする電解加工用電極の製造方法。
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