JP2003211324A - 電解加工用電極およびそれを用いた電解加工方法 - Google Patents

電解加工用電極およびそれを用いた電解加工方法

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JP2003211324A JP2002011072A JP2002011072A JP2003211324A JP 2003211324 A JP2003211324 A JP 2003211324A JP 2002011072 A JP2002011072 A JP 2002011072A JP 2002011072 A JP2002011072 A JP 2002011072A JP 2003211324 A JP2003211324 A JP 2003211324A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所定の加工形状を高精度に安定して維持でき
る電解加工用電極およびそれを用いた電解加工方法を提
供する。 【解決手段】 電極工具21を構成する金属製母材11
の被加工物に対向する露出面を、銅よりもイオン化傾向
の小さい金属およびニッケル,クロムのような電解液に
対して耐食性の高い金属、あるいはこれらを主成分とす
る合金からなる導電性被膜1で被覆する。この構成によ
り、酸化による被膜等が導電部1a表面上に形成される
ことが抑制され、所定の加工量と加工精度を長期間にわ
たり維持することができる。また、電極工具21を用い
た電解加工は、耐食性の高い導電部1aを有する電極工
具21を使用して加工行うことにより、電極工具21表
面の酸化等の反応を抑制することができる。従って、電
極工具21の寿命を延ばすことができるうえ、被加工物
の加工形状不良の削減を達成することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長期間安定して所
定の加工形状を維持できる電解加工用電極およびそれを
用いた電解加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属の表面加工に用いられる電解加工法
は、食塩水や硝酸ナトリウム水溶液等の電解液中に、加
工形状に対応した形状の導電部を有する電極(以下、電
極工具と記述する)を被加工物の表面に近接して対向配
置し、この電極工具と被加工物との間に電流を流すこと
により、被加工物表面を電気化学的に溶解させて、電極
工具の導電部形状(加工パターン)に対応した彫り込み
形状を形成する加工方法である。
【0003】電解加工は、近年、特開平9−19293
2号および特開平10−86020号等に公知のよう
に、電極工具と被加工物を所定の間隔で固定し、電解液
を循環させながら、あらかじめ設定された印加総電気量
を目標値として電流を流し加工を行うことで、微細なパ
ターンの加工に多用されるようになってきている。
【0004】図5に、従来の電解加工装置の全体構成を
模式的に示す。被加工物Wは、加工対象面に電極(電極
工具)31を所定の距離をおいて対向させた状態で加工
槽41内に配置される。加工槽41には、電解液槽42
と通じる液流入管42aと液排出管42bが配置されて
おり、ポンプ43の駆動により、被加工物Wと電極工具
31の間(加工すき間50)に電解液が流れるようにな
っている。被加工物Wには加工用電源44の正極が接続
される一方、電極工具31には同じく加工用電源44の
負極が接続され、これらの被加工物Wと電極工具31の
間に電解液を流した状態で、例えばパルス状の電流が流
される。電極工具31の被加工物Wとの対向面には、所
要の加工パターンの露出面(導電部)11aが形成され
ており、電解液を介在させた状態で、加工用電源44か
らの電流が、露出面11aと被加工物Wとの間に流れる
ことで、電気化学反応により露出面11aに対向する部
位の被加工物Wが溶出し、被加工物Wの表面に露出面1
1aと同等パターンの彫り込み形状が転写形成されるこ
とになる。
【0005】このような電解加工に用いられる電極工具
は、金属製の母材を用い、所要の加工パターンのもとに
母材表面の一部が露出するように、加工パターン以外の
領域を非導電性材料(絶縁体)で被覆した構造のもので
ある。
【0006】図6に、電解加工に用いられる従来の電極
工具の構成例を模式的に示す。電極工具の構成として
は、図6(a)に示すような、母材11の表面に非導電
性材料からなる一様なレジスト膜を形成した後、フォト
リソグラフィの技術を用いて加工パターン部分を除去し
て絶縁体2を形成し、母材11の露出面11aを導電部
として用いる構造の電極工具31か、あるいは、図6
(b)に示すような、母材11表面の加工パターンを除
く領域をエッチング等によって削り落とし、その凹部1
1bに非導電性材料を埋め込んで絶縁体3を形成し、母
材11の露出面11aを導電部として用いる構造の電極
工具32、が知られている。
【0007】このような電極工具の母材に用いられる材
料の主な必要特性としては、 1)電気伝導度および熱伝導率が高いこと 2)電解液に対する耐食性があること 3)電極工具形状を形作るための機械加工性が良いこと 4)加工パターン以外の領域に形成する絶縁体との密着
性が良いこと などが挙げられる。特に耐食性は重要で、電極工具は加
工中および加工準備中も電解液に晒されているため、そ
の露出面(導電部)の耐食性を考慮して材料選定が行わ
れる。
【0008】一般に、電極工具の母材用の材料として、
銅系あるいは鉄系合金が主に用いられてきている。しか
し、電極工具の母材に銅合金として真鍮を用いた場合、
機械加工性は良いが、電解液に対する耐食性が低いとい
う欠点を持っている。また、鉄系合金としてオーステナ
イト系ステンレス合金を用いた場合、電解液に対する耐
食性は高いが、機械加工は難しいという欠点がある。こ
のように、従来から電極工具の母材に用いられている材
料は、電解液に対する耐食性と機械加工性を両立させる
ことが困難であり、その選択範囲は限定されたものとな
っていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、以上のよう
な電極工具において、所要パターンに形成された導電部
は電気化学反応により、その表面が酸化物の被膜等によ
り覆われてしまうという問題があった。このような酸化
物の被膜が厚くなると、導電部の電気抵抗が上昇するこ
とにより、被加工物との間に流れる電流が徐々に低下
し、所定の加工量(彫り込み深度)と形状精度を維持で
きなくなってしまう。
【0010】特に、ハードディスク装置等の高速・高精
度の回転が要求される回転機構に用いられる動圧軸受装
置の動圧溝を上記電解加工にて形成する場合、その深さ
等の形状を±0.5μm程度の高精度とすることが要求
されることから、高精度加工を安定して連続的に行える
電極工具が必要となる。
【0011】本発明は、上記するような課題に対処する
ためになされたもので、所定の加工形状を高精度に安定
して維持できる電解加工用電極およびそれを用いた電解
加工方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明は、電解液中で対向配置さ
れた被加工物との間に電流を流すことによって、その被
加工物に電解加工を施すための電極であって、金属母材
の少なくも被加工物に対向する導電部分の表面が、銅よ
りもイオン化傾向の小さい金属、またはニッケルもしく
はクロム、またはこれらを主成分とする合金からなる導
電性被膜で覆われていることを特徴とする。
【0013】また、請求項2に記載の発明は、被加工物
における所定パターンが形成されるべき面と、前記導電
性被膜により所要の導電パターンが形成された請求項1
に記載の電極の表面とを、電解液中に対向させて浸漬す
るとともに、この電解液を被加工物と当該電極との間に
流動させつつ、これら被加工物と電極とを加工用電源の
正極および負極にそれぞれ接続して電流を流すことによ
って加工することを特徴とする。
【0014】本発明は、電極(電極工具)の被加工物に
対向する導電部分を、電解液に対して耐食性の高い金属
材料あるいはその合金からなる導電性被膜で形成するこ
とで、所期の目的を達成しようとするものである。
【0015】すなわち、本発明においては、金属製母材
の少なくも被加工物に対向する露出面(導電部分)を、
銅よりもイオン化傾向の小さい金属、またはニッケルも
しくはクロム、またはこれらを主成分とする合金からな
る導電性材料で被覆する。銅よりもイオン化傾向の小さ
い金属の代表例として、白金,金等が挙げられる。これ
らの金属、またはニッケル,クロムのような電解液に対
して耐食性の高い金属あるいはその合金を使用して、母
材の導電部分を覆うように新たな導電性被膜を形成する
ことにより、母材の導電部分は直接電解液に触れること
がなくなる。また同時に、露出面上に新たに形成された
導電性被膜は、電解液に対して耐食性が高い材料で形成
されているため、その表面の酸化等の化学反応が抑制さ
れることとなる。従って、導電性被膜からなる導電部の
表面には、酸化物の被膜等が形成されることがなく、被
加工物との間に流れる加工電流の低下が防止されること
により、所定の加工量(加工深度)と加工精度を長期間
にわたり維持することが可能となる。
【0016】なお、上記導電性被膜が実用的な耐食性を
備えるためには、0.1μm以上の膜厚とするのが好ま
しい。また、膜厚の上限については、応力集中による剥
離が生じ易い乾式被膜(例えば、PVD、CVD等で形
成したもの)は、これを抑制するために5μm以下とす
るのが好ましい。一方、乾式以外の被膜(例えばめっ
き、溶射等で形成したもの)は、上限について特に技術
的考慮の必要はない。
【0017】また更に、耐食性の高い金属あるいはその
合金による被膜は、表面に酸化物等の反応生成物が付着
しても、酸・アルカリで洗浄することにより容易に除去
することができるという利点もある。
【0018】そして、本発明の電極工具は、母材の材料
の耐食性を考慮する必要がないことから、機械加工性に
富んだ安価な材料や、加工パターン以外の領域を覆う絶
縁体との密着性を考慮した材料等を使用することがで
き、母材の材料選択の自由度を向上させることができ
る。
【0019】一方、本発明の電解加工方法は、所定の導
電部パターンに対応した加工形状を長期間にわたり精度
良く加工できる方法であり、加工を行う際、前記導電性
被膜により所要の導電パターンが形成された電極工具の
表面と、被加工物とを、対向させて電解液中に浸漬する
とともに、この電解液を電極工具と被加工物との間に流
した状態で、これら被加工物と電極工具とを加工用電源
の正極および負極にそれぞれ接続して電流を流す。
【0020】すなわち、電解加工に本発明の電極工具を
用いることによって、導電部表面は酸化物による被膜等
の形成が防止され、電極工具を長期間使用することがで
きるうえ、被加工物の加工形状の不良も削減することが
可能となる。従って、電解加工全体としてのコストの低
減を達成することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下図面を参照しつつ本発明の実
施の形態について説明する。図1は本発明の第1の実施
の形態における電極工具の構成を示す断面模式図であ
り、図2はその電極工具を用いた電解加工装置の全体構
成を示す模式図である。なお、電解加工の対象となる被
加工物は、導電部のある図示下方に電極工具と所定の間
隔をおいて、対向配置されることとなる。また、図5お
よび図6に示した従来例と同様の機能を有する構成部材
には、同じ符号を付記する。
【0022】本実施の形態における電極工具21も、従
来と同様に金属製の母材11を用い、被加工物と対向す
る面における加工パターン以外の領域を、非導電性材料
で被覆した構造のものである。電極工具21の形成は、
まず母材11の被加工物と対向する面を覆うように、表
面処理法によって導電性被膜1を形成する。その後、従
来の電極工具31と同様の工程で、導電性被膜1の表面
に非導電性材料からなる一様なレジスト膜を形成した
後、フォトリソグラフィの技術を用いて加工パターン部
分を除去して絶縁体2を形成することで、非導電性被膜
1の露出面を導電部1aとして用いる構造の電極工具2
1が得られる。
【0023】導電性被膜1の材料は、銅よりもイオン化
傾向の小さい金属、またはニッケルもしくはクロム、ま
たはこれらを主成分とする合金の中から選択することが
可能である。電解液に対する耐食性の高さを優先させる
ならば白金,金等が、あるいは、絶縁体に対する密着性
の良さやコスト低減を優先させるならばニッケルまたは
クロムが好適に採用される。また、導電性被膜1を形成
する方法には、めっき等が好適に使用される。
【0024】この電極工具21の特徴は、被加工物の加
工に関与する導電部1aが、電解液に対して耐食性の高
い金属材料あるいはその合金からなる導電性被膜1で形
成されている点である。このような構成により、導電部
1aの表面に酸化物の被膜等が形成されることがなく、
被加工物に対する電流が低下しないことで、所定の加工
量(加工深度)と加工精度を長期間にわたり維持するこ
とができる。
【0025】なお、ハードディスク装置等の回転機構に
用いられる動圧軸受装置の動圧溝を電解加工にて形成す
る場合、上記導電性被膜をクロムを用いて形成し、その
膜厚を0.2μm以上とすることで、量産に好適な電極
工具を得ることができた。
【0026】次に、上記の電極工具21を用いた電解加
工方法について説明する。図2に示す本発明の電解加工
装置も、従来と同様の基本構成を有する。被加工物W
は、所定の加工対象面に、電極工具21の導電部1aが
形成された面を0.05〜0.1mm程度の間隙をおい
て対向させた状態で、加工槽41内に配置される。加工
槽41には電解液槽42と通じる液流入管42aと液排
出管2bが配置されており、ポンプ43の駆動により、
被加工物Wと電極工具21の間(加工すき間50)に電
解液が流れるようになっている。使用される電解液の種
類は、特に限定されるものではないが、この例では硝酸
ナトリウム(NaNO3)20重量%の水溶液が使用さ
れる。
【0027】被加工物Wには加工用電源44の正極が接
続される一方、電極工具21には同じく加工用電源44
の負極が接続され、これらの被加工物Wと電極工具21
の間に電解液を流した状態で電流が流される。加工用電
源44にはパルス電源が好適に採用され、100A/c
2程度の電流密度のパルス状電流を複数回印加するこ
とで、総印加電気量を制御しながら加工が行われる。そ
して、電解液を介在させた状態で加工電流が導電部1a
と被加工物Wとの間に流れることで、電気化学反応によ
り導電部1aに対向する部位の被加工物Wが溶出し、被
加工物Wの表面に電極工具21の導電部1aパターンと
同等パターンの彫り込み形状が形成されることになる。
【0028】本実施の形態における電解加工方法の特徴
は、導電部1a表面に酸化物による被膜等が形成される
ことがない点である。このことにより、本実施の形態に
おける電解加工方法は、加工を継続しても、被加工物W
との間の加工電流や加工すき間50の電解液の流れが阻
害されず、加工形状を高精度に維持維持することができ
る。従って、同じ電極工具21を長期間にわたり使用す
ることが可能になる。
【0029】次に、本発明の第2に実施の形態について
記述する。図3は、第2の実施の形態における電極工具
の構成を示す断面模式図である。本実施の形態における
電極工具22も、従来と同様に金属製の母材11を用
い、被加工物と対向する面における加工パターン以外の
領域を、絶縁体で被覆した構造のものである。第1の実
施の形態と異なる点は、絶縁体3が、導電性被膜1上の
加工パターンを除く領域に形成された凹部1bを埋め込
むようにして形成されている点である。
【0030】電極工具22の形成は、まず母材11の被
加工物に対向する面を覆うように、表面処理によって導
電性被膜1を形成する。その後、従来の電極工具32と
同様の工程で、導電性被膜1表面の加工パターンを除く
領域をエッチング等によって削り落とし、その凹部1b
に非導電性材料を埋め込んで絶縁体3を形成すること
で、表面が略平坦な電極工具22が得られる。
【0031】導電性被膜1の材料は、銅よりもイオン化
傾向の小さい金属、またはニッケルもしくはクロム、ま
たはこれらを主成分とする合金の中から選択することが
できる。本実施の形態においてはニッケルが好適に採用
され、めっき等を用いて導電性被膜1が形成される。ま
た、凹部1bの形成方法には、上記したエッチングに限
らず、電解加工,機械加工,レーザー加工,放電加工,
またはショットブラスト等の方法を用いることが可能で
ある。このような構成により、第1の実施の形態と同じ
理由で、電極工具22は、導電部1aの表面に酸化物の
被膜等が形成されることがないことにより、所定の加工
量(加工深度)と加工精度を長期間にわたり維持するこ
とができる。
【0032】また、本実施の形態における電解加工は、
電極工具22を用いて第1の実施の形態で記述した方法
により行われる。この電解加工方法は、導電部1a表面
が電解液により酸化されることなく、しかも電極工具2
2の表面形状が略平坦であることと相俟って、電極工具
22表面への反応生成物の表面への付着あるいは堆積等
をより抑制することができる。従って、本実施の形態に
おける電解加工方法は、加工を継続しても、被加工物と
の間の加工電流や加工すき間の電解液の流れが阻害され
ず、加工形状を高精度に維持することができる。
【0033】また、電極工具22の表面形状が略平坦で
あることから、絶縁体3は電解液の流れに伴うせん断力
を受けにくく、その剥離を防止する効果も併せて奏する
ことができる。従って、本実施の形態における電解加工
方法は、同じ電極工具22を長期間にわたり使用するこ
とが可能となる。
【0034】次に、本発明の第3の実施の形態について
説明する。図4は、第3の実施の形態における電極工具
の構成を示す断面模式図である。本実施の形態における
電極工具23も、従来と同様に金属製の母材11を用
い、被加工物に対向する面における加工パターン以外の
領域を、非導電性材料で被覆した構造のものである。第
1,第2の実施の形態と異なる点は、導電性被膜4が、
絶縁体2の間に形成された母材露出面11aを埋め込む
ようにして形成されている点である。
【0035】電極工具23の形成は、予め、母材11の
被加工物に対向する面における加工パターン以外の領域
に、従来の電極工具31と同様の工程を用いて非導電性
材料からなる一様なレジスト膜を形成し、フォトリソグ
ラフィの技術を用いて加工パターン部分を除去して絶縁
体2を形成する。その後、絶縁体2をレジスト(例え
ば、めっきレジストあるいは絶縁レジスト等)として利
用しながら、めっきや蒸着等を用いて母材11の露出面
11aを覆うように導電性被膜4を形成する方法によっ
て、表面が略平坦で絶縁体2の間に導電部4aを有する
電極工具23を得ることができる。
【0036】導電性被膜4の材料は、銅よりもイオン化
傾向の小さい金属、またはニッケルもしくはクロム、ま
たはこれらを主成分とする合金の中から選択することが
可能である。本実施の形態においては、白金,金等が好
適に採用される。このような構成により、第1の実施の
形態と同じ理由で、電極工具23は、導電部4aの表面
に酸化物の被膜等が形成されることがなく、被加工物に
対する電流が低下しないことで、所定の加工量(加工深
度)と加工精度を長期間にわたり維持することができ
る。
【0037】また、本実施の形態における電解加工は、
電極工具23を用いて第1の実施の形態で記述した方法
により行われる。この電解加工方法は、導電部4a表面
が電解液により酸化されることなく、しかも電極工具2
3の表面形状が略平坦であることと相俟って、第1,第
2の実施の形態と同様、反応生成物の表面への付着ある
いは堆積等を抑制することができる。このことにより、
本実施の形態における電解加工方法は、加工を継続して
も、被加工物との間の加工電流や加工すき間の電解液の
流れが阻害されず、加工形状を高精度に維持することが
できる。
【0038】また、電極工具23の表面形状が略平坦で
あることから、第2の実施の形態と同様に、絶縁体2は
電解液の流れに伴うせん断力を受けにくく、その剥離を
防止する効果を発揮することができる。従って、本実施
の形態における電解加工方法は、同じ電極工具23を長
期間にわたり使用することが可能となる。
【0039】なお、以上の実施の形態において、導電性
被膜を形成するのに用いた方法は特に限定されるもので
はなく、めっき,蒸着の他にも、溶射等の表面皮膜を形
成できる手法であればどのような方法を採用しても良
い。
【0040】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、電極工
具を構成する金属製母材の被加工物に対向する露出面
を、銅よりもイオン化傾向の小さい金属およびニッケ
ル,クロムのような電解液に対して耐食性の高い金属、
あるいはこれらを主成分とする合金からなる導電性材料
で被覆することにより、この導電性被膜による導電部の
表面に酸化物等の反応生成物の被膜が形成されるのを抑
制することができる。このことにより、被加工物との間
に流れる加工電流の低下が防止され、所定の加工量(加
工深度)と加工精度を長期間にわたり維持することがで
きる。
【0041】また、この構造により、電極工具を構成す
る母材の露出面は、直接電解液に触れることがないこと
から、母材の材料の耐食性を考慮する必要がなくなる。
このことにより、機械加工性に富んだ鉄系材料や、絶縁
体との密着性を考慮した材料等の中から自由に材料を選
択することができ、ひいては電極工具を任意の形状にか
つ容易に作製することが可能になる。
【0042】そして、本発明の電極工具を用いた電解加
工方法は、耐食性の高い導電性被膜からなる導電部を有
する電極工具を使用して加工行うことにより、電極工具
表面の酸化等の反応を抑制することができる。従って、
電極工具の寿命を延ばすことができるうえ、被加工物の
加工形状の不良も削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における電解加工用
電極工具の構成を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における電解加工装置の全
体構成を示す模式図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態における電解加工用
電極工具の構成を示す模式的断面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態における電解加工用
電極工具の構成を示す模式的断面図である。
【図5】電解加工に用いられる従来の電解加工装置の全
体構成を示す模式図である。
【図6】電解加工に用いられる従来の電極工具の構成例
を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1,4 導電性被膜 1a,4a 導電部 1b 凹部 2,3 絶縁体 11 母材 11a 露出面(導電部) 11b 凹部 21,22,23 電極工具 31,32 電極工具 41 加工槽 42 電解液槽 42a 液流入管 42b 液排出管 43 ポンプ 44 加工用電源 50 加工すき間 W 被加工物.

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解液中で対向配置された被加工物との
    間に電流を流すことによって、その被加工物に電解加工
    を施すための電極であって、 金属母材の少なくも被加工物に対向する導電部分の表面
    が、銅よりもイオン化傾向の小さい金属、またはニッケ
    ルもしくはクロム、またはこれらを主成分とする合金か
    らなる導電性被膜で覆われていることを特徴とする電解
    加工用電極。
  2. 【請求項2】 被加工物における所定パターンが形成さ
    れるべき面と、前記導電性被膜により所要の導電パター
    ンが形成された請求項1に記載の電極の表面とを、電解
    液中に対向させて浸漬するとともに、この電解液を被加
    工物と当該電極との間に流動させつつ、これら被加工物
    と電極とを加工用電源の正極および負極にそれぞれ接続
    して電流を流すことによって加工することを特徴とする
    電解加工方法。
JP2002011072A 2002-01-21 2002-01-21 電解加工用電極およびそれを用いた電解加工方法と電解加工用電極の製造方法 Expired - Fee Related JP3861011B2 (ja)

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