JP2006281333A - 電解加工用電極工具及びその製造方法 - Google Patents

電解加工用電極工具及びその製造方法 Download PDF

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Abstract


【課題】
複雑で微細な表面形状の電解加工においても精度よく被加工物の表面加工を行えると共に長時間使用しても、絶縁材と電極基材との界面に電解液が浸透せず、長期に亘って高い精度を維持することが出来る上、製作が容易な電解加工用電極工具及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
電極基材の表面に均一に設けられた蒸着重合樹脂若しくは蒸着樹脂による絶縁薄膜と、当該絶縁薄膜の一部を除去して電極基材の表面を露出させることによって形成される導電パターンとから成ることを特徴とする電解加工用電極工具。
【選択図】 図9

Description

本発明は、電解加工に使用される電解加工用電極及びその製造方法に関し、更に詳しくは流体動圧軸受に用いる動圧溝の電解加工を、高精度且つ長期間に亘って行うことができる、精度の高い電解加工用電極工具及び製造工程の少ない該電極工具の製造方法に関する。
ハードディスク駆動装置等に用いられる流体動圧軸受の典型的な構造として、例えば、フランジ付き回転軸と、その回転軸が嵌合される内周面にラジアル動圧溝を形成し、フランジの一端面と対向する端面にスラスト動圧溝を形成した中空円筒状のスリーブと、フランジの他端面と対向する内側端面にスラスト動圧溝を形成し、スリーブの一方の開口部を閉塞する円板状のスラストプレートと、回転軸の外周面とスリーブの内周面とスラストプレートの内側端面との間の微小隙間に充填された潤滑油とで構成されたものが挙げられる。
このような流体動圧軸受のスリーブにラジアル動圧溝とスラスト動圧溝を同時加工する従来の電解加工は、例えば、図1に示すような方法により行う。すなわち、一端側が拡径された内径を有するスリーブ1の他端側外周を、図示しないエアーチャック等で保持し、拡径された内径側からスリーブ1の内径に電解加工用電極工具2を挿入する。電極工具2は小径部2cと大径部2dを有し、ウレタン樹脂製のストッパー3と一体に上下する。小径部2cの外周面および、小径部2cと大径部2dの間の段部には、それぞれラジアル動圧溝に対応する導電パターン2aおよびスラスト動圧溝に対応する導電パターン2bが形成されている。ストッパー3の端面をスリーブ1の端面に緊密に押し当てることにより、スリーブ1に対する電極工具2の軸方向位置決めが行われ、電極工具2の外面、ストッパー3の内面およびスリーブ1の内面の間の隙間によって電解液4の流路5が形成される。電解液4はストッパー3の上部から供給され、流路5を通ってスリーブ1の下端面から排出される。電解液4を供給しながら、電解液4を介してスリーブ1の内面と電極工具2の導電パターン2a、2bの表面との間に直流パルス電流を所定時間流すと、スリーブ1の内面の、導電パターンの表面に対向する限られた表面だけが電気化学的に溶解され、スリーブ1の内面にはそれぞれ、ラジアル動圧溝1aと、スラスト動圧溝1bとが形成される。これら動圧溝の一般的な最小溝幅は40〜50μmである。
なお、図2に示すように、流体動圧軸受のスラストプレート10にスラスト動圧溝10aを形成する電解加工も、ストッパー12をスラストプレート10に押し当てて、スラスト動圧溝10aに対応する導電パターン11aを有する電極工具11の位置決めを行った上で、同様にして行うことができる。いずれの場合においても、導電パターン以外の表面を非導電性樹脂などによって完全に絶縁する必要がある。局所的に絶縁が失われている場合はそこから迷走電流が発生し、絶縁膜が薄かったりして全体的に絶縁が充分でない場合は、広い範囲で透過電流が発生し、所望の領域以外の表面まで溶解され、電解加工される動圧溝の精度が悪化してしまう。
上記の電解加工に用いられる従来の動圧溝加工用の電極工具は、図3の模式図で示すように、以下の方法で製作される。
1)まず最初に、電極基材30に対して刃径0.1〜1.0mmのマイクロエンドミルによる深彫り加工を行い、導電パターン面31を残して、幅40〜200μm程度、高さ0.1〜0.5mm程度の凸部32を形成する(パターン彫り加工)。
2)絶縁材充填冶具33内に電極基材30を入れて、絶縁材34(熱硬化性エポキシ系樹脂)を充填し、その後真空引きし、充填した絶縁材34内の気泡を除去し、熱硬化させる。
3)使い捨ての充填冶具33を除去し、余分の絶縁材34も粗加工して除去する。
4)仕上げ研削加工により、導電パターン面31とそれ以外の電極表面35が面一となるように仕上げ加工する。
上記の製造方法は、工程数が多く、充填冶具も使い捨てであるため、電極工具の製造コストを引き上げる一因となっていた。また、上記の製造方法による電極工具は、電極基材と絶縁材との密着力が充分でないため、電極基材と絶縁材との界面が電解液により侵食されて弱くなり、絶縁材が電極基材から剥離して、長期に亘って高い精度を維持することができなかった。また、電極基材と絶縁材との間に充分な密着面積を確保するために、絶縁材を埋め込む凸部間の溝の深さはあまり浅くすることはできず、0.1〜0.5mm程度の深さにする必要があった。さらに、凸部を形成するパターン彫り加工においては、刃径0.1〜1.0mm程度のマイクロエンドミルを使用するのが一般的であるが、凸部間の溝幅や導電パターンの輪郭形状の内側円弧部の直径はマイクロエンドミルの刃径よりも大きく設定する必要があった。ところが、流体動圧軸受の小型化に伴い、動圧溝を加工する電極工具の導電パターンは微細化する傾向にあり、凸部幅、凸部間の溝幅や輪郭の内側円弧部の直径を従来よりも小さくすることが求められている。しかしながら、従来の製造方法では、凸部間の溝幅や輪郭の内側円弧部の直径はマイクロエンドミルの刃径寸法によって制限されているため、導電パターンの微細化を実現することは困難である。さらに、極小刃径のマイクロエンドミルを用いたパターン彫り加工においては、切削抵抗によるエンドミルの折損が起き易くなるため、加工条件を上げることができず、加工時間が長くなる。また、微細化された凸部は非常に薄い立壁形状となるので、パターン彫り加工中の負荷によって凸部の変形や倒れが起き易くなり、電極基材に正確な導電パターンを作れない場合が生じる。また、一般的なマイクロエンドミルは、加工に必要な工具の剛性を確保するために、切刃部分の直径と軸方向長さが刃径値と等しく、切刃が無い部分(シャンク部)は刃径よりも太い形状となっているので、刃径値よりも深く切り込むことができない。従って、従来の製造方法では、マイクロエンドミルの刃径が小さくなると切削可能な切込み深さも小さくなり、必然的に凸部の高さが低くなり、電極基材と絶縁材との間の密着面積が減って、絶縁材の密着力がさらに弱くなってしまう、という問題もある。
そこで、被加工物表面に電極工具の導電部の露出パターンに対応した形状の動圧溝を形成する動圧溝加工装置の従来技術として、電極基材の表面に樹脂微粒子を付着させて、焼き付けてなる絶縁樹脂の層によって、上記所定パターン以外の領域を被覆した電解加工用電極工具を用いたものが知られている。さらに、電極基材の表面に、加工すべき動圧溝パターンの孔があらかじめ形成され、樹脂シートを固定してなる構造の電解加工用電極工具を用いたものが記載され、樹脂微粒子を基体表面に付着させて焼き付けてなる樹脂層を非導電性材料として用いること、あるいは、あらかじめ所要形状にパターニングした樹脂シートを用いることにより、従来のレジスト膜の形成や樹脂の埋め込みに比して、基体に対する密着力を大幅に向上させることができ、樹脂微粒子の材質としては、高い絶縁性を有する通常のポリイミド樹脂等を好適に採用することができる旨記載されている(特許文献1)。
しかしながら、微細な表面形状の電解加工に用いられる電解加工用電極工具においては、加工パターン以外の領域の絶縁被膜も微細になるため、これに用いられる非導電材料である絶縁樹脂の基体に対する密着力が弱くなり易く、電解加工中に流れる電解液の影響により、この絶縁被膜が剥離してしまうという問題がある。従来、このような絶縁被膜に用いられる非導電性材料樹脂は、紫外線あるいは熱等により硬化を行うものが多く、電極工具に用いられる導電性基体との密着性は一般的に低い。更にまた、このような微細な表面形状の電解加工は、電極工具と被加工物との加工間隙を狭く設定して行われることから、間隙の壁面に形成されている絶縁被膜が電解液の流動から受けるせん断方向の力も大きい。このような絶縁被膜の剥離が発生すると、正確な加工パターンを被加工物に転写することができなくなる上、絶縁被膜の剥離片が電極工具と被加工物との加工間隙を詰まらせてしまうという問題も発生する。この剥離片の詰まりは、電解液の流れを部分的に阻害し、その部分の加工形状の不良を引き起こして、この被加工物を部材として使用している最終製品、つまり動圧軸受等の歩留まりを左右することとなる。また、この剥離片の詰まりは、最悪の場合、何らかの形で電気的短絡を引き起こし、電極工具と被加工物の両者に損傷を生じさせ、これらの交換作業を余儀なくされることもある。
これらの問題を解決するために、電極工具の表面の導電部以外の領域に凹部を形成し、その凹部を覆う絶縁被膜として、電着塗装膜が形成されていることを特徴とする電解加工用電極工具が記載され、電着塗装に用いられる樹脂(電着塗料)としては、電解加工における耐電圧および電解液に対する耐食性を考慮して、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂あるいはポリイミド系樹脂が好適に採用されること、電着塗装による被膜を用いることにより、基体と絶縁被膜との密着力を向上させることができ、また、これらの密着面は、電解液が浸透し難く、剥離等の損傷の発生が抑えられることから、電極工具表面の加工パターンを長期にわたり維持できることが記載されている(特許文献2)。
また、好ましくは、その後、電着塗装膜上面に、別の非導電性材料樹脂からなる被膜が形成される。この場合に使用される非導電性材料樹脂は特に限定されないが、その樹脂は、先に形成されている電着塗装膜との密着性(なじみ)を考慮して選択されることが望ましいこと、そして、表面に非導電性材料膜が形成された基体は、研磨加工等により、表面の導電部上の非導電性材料膜と電着塗装膜を取り去り、基体表面の加工パターンを露出させることで、導電部と絶縁被膜とからなる表面が面一となった電極工具を得ることができる旨記載されている(特許文献2)。
しかしながら、上記の電極工具を製作するためには、絶縁被膜を形成する工程の前に電極の表面の導電部以外の領域に凹部を形成する工程が必要であるため、電極工具の製作工程が長くなって時間が掛かり、導電パターンの変更に対して迅速に対応できない。また、電着塗装では塗装膜厚さが電着塗装槽内の電着塗料の濃度分布と電流密度に左右されるため、塗装膜厚の管理が難しく、コーナー部や微細な導電パターンなどにおいて均一な厚さの塗装膜を形成するのが困難である。従って、電極工具の絶縁被膜が局所的に薄くなって、充分な絶縁性能が得られない虞がある。さらに、環境への負荷を軽減するために、電着塗装後の大掛かりな排水処理設備が必要とされ、工場への新規導入が難しい。
電極工具の被加工物に対向する部分のうち、動圧溝に対応しない部分に凹部を形成し、被加工物と対向する全体部分に非導電性材料を被膜した後に、電極露出部の表面が露出して非導電性材料の表面と面一となるように加工を施すことによって形成された電解加工用電極工具に関して、代表的な従来技術がさらにある(特許文献3)。この電解加工用電極工具を用いた動圧溝の電解加工方法においては、電極露出部の表面が非導電性材料の表面に対して面一にされて電解加工が行われることから、転写精度を向上すべく加工間隙が狭くされても、加工により生じた電解生成物や温度上昇をした電解液の滞留がなされなくなって電解条件が所望に保たれると共に、非導電性材料に対する電解生成物の衝突に起因して発生する非導電性材料の剥離片による詰まりがなくされて電解液の流速低下が防止され、このように流速低下が防止されることによって電流密度の低下が防止されて被加工物の加工表面の面粗さが向上されるばかりではなく、電解加工速度も高められるようになるとしている。さらに、凹部をエッチング工法や切削工法によって形成し、エポキシ樹脂等の非導電性材料を印刷等によって被加工物に対向する面全体に被膜した後、研磨加工に従って電極部を露出させることによって、この露出した電極露出部と凹部に被膜されている非導電性材料の表面とが面一なる旨記載されている。しかしながら、絶縁被膜を形成する工程の前に電極の表面の導電部以外の領域に凹部を形成する工程が必要であるため、電極工具の製作工程が長くなって時間が掛かり、導電パターンの変更に対して迅速に対応できない。また、エポキシ樹脂等を印刷等によって被膜する製造方法では、前述したように、電極基材とエポキシ樹脂等との密着力が充分でないため、電極基材と非導電性材料との界面が電解液により侵食されて弱くなり、非導電性材料が電極基材から剥離して、長期に亘って高い精度を維持することができない虞がある。さらに、導電パターンを微細化する課題について何も示唆が与えられていない。
動圧溝をはじめとする微細な溝を、長期に亘って安定して高精度に加工することのできる微細溝加工方法においては、電解加工用電極工具として、電極基体の一面をPVDもしくはCVDによりセラミックス若しくはDLCからなる絶縁膜で被覆し、ショットブラスト処理により、導電パターンに対応する領域の絶縁膜を除去することにより、電極基体の表面に導電パターンを露出させたことを特徴とする電解加工用電極工具が記載され、絶縁膜の厚さを5μm以下とすることが望ましいこと、これにより、導電パターンと被加工物との間隙を小さくすることができ、高精度の加工が可能となるとする従来技術がある(特許文献4)。ここではさらに、セラミックス膜やDLC膜は基体に対する密着性が大幅に良く、セラミックスやDLCの成膜に際しては、必要に応じて基体の間に他の材料からなる膜を介在させることによって、熱膨張率の差があっても熱変形等の影響を小さくすることができ、電極工具の長寿命化を達成することができる旨記載されている。しかしながら、DLC膜やセラミックス膜は非常に硬度が高く、耐食性も高いことから、エッチング、レーザー加工やマイクロエンドミルなどで微細化された導電パターンを高精度に電極表面に形成するのは困難である。また、金属との熱膨張率の差が大きく弾性が小さいDLCやセラミックスを用いた場合においては、繰り返し受ける熱変形による被膜の劣化も懸念される。さらに、電極工具の絶縁材として一般的に用いられているポリイミド系樹脂やエポキシ系樹脂の電気抵抗率が1014〜1018Ωm程度であるのに対してDLCやセラミックスは10〜1012Ωm程度と、千分の一以下であり、ここで適用されている膜厚も5μm以下と、非常に薄くできるとしているが、従来と同等の絶縁性能を有するとは言い難い。
また、電解液中で対向配置された被加工物との間に電流を流すことによって、その被加工物に電解加工を施すための電極であって、金属母材の少なくも被加工物に対向する導電部分の表面が、銅よりもイオン化傾向の小さい金属、またはニッケルもしくはクロム、またはこれらを主成分とする合金からなる導電性被膜で覆われていることを特徴とする電解加工用電極が知られている(特許文献5)。ここでは、銅よりもイオン化傾向の小さい金属の代表例として、白金、金等が挙げられる。
しかも、ここでは白金、金等の貴金属は、ニッケルもしくはクロムと同様に、あくまでも金属母材の被加工物に対向する導電部分の表面に酸化物の被膜が形成されないため所定の加工量(加工深度)と加工精度を長期間にわたり維持できるとしている。しかし、ここでは電気絶縁性の被膜として、レジスト膜(フォトレジスト膜)が用いられており、通常レジスト膜は、スプレー等による被膜形成を行うので、基材との密着性は優れたものとは言えず、電解加工用電極としての寿命は長くはない。さらにまた、レジスト膜は硬くて強靭でないため、複雑で微細な導電パターンを高精度で実現するには不向きであった。
特開2002−79425号公報 特開2003−340648号公報 日本国特許3339792号 特開2003−27297号公報 特開2003−211324号公報
本発明の課題は、絶縁材と電極基材との密着性が非常に高く、長時間使用しても絶縁材と電極基材との界面に電解液が浸透せず、長期に亘って高い精度を維持することができる上、複雑で微細な導電パターンでも高精度かつ少ない工程で容易に製作できる電解加工用電極工具及びその製造方法を提供することである。
上記目的を達成する為に、本発明者は鋭意研究したところ、蒸着重合された樹脂若しくは、蒸着された樹脂を用いれば、電極基材との密着性が非常に高く、長期間に亘って電極基材との界面に電解液が浸透しない絶縁薄膜が形成できることを見出し、その結果、長期に亘って高い精度を維持することができる電解加工用電極工具及び効率的な電解加工用電極工具の製造方法を発明するに至った。
すなわち、本発明は、電極基材の表面に均一に設けられた蒸着重合樹脂若しくは蒸着樹脂による絶縁薄膜と、当該絶縁薄膜の一部を除去して電極基材の表面を露出させることによって形成される導電パターンとから成ることを特徴とする電解加工用電極工具である。
また、本発明は、均一に設けられた絶縁薄膜の厚さを5〜50μmとすることができる。
また、本発明は、絶縁薄膜を、蒸着重合されたポリイミド系樹脂、蒸着された四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体、蒸着された四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体から選ばれる1種とすることができる。
さらに、本発明は、電解加工用電極工具の電極基材を、銅、真鍮、燐青銅、鉄−銅系合金、コバルト合金、チタン合金若しくはオーステナイト系、マルテンサイト系及びフェライト系等のステンレス鋼から選ばれる1種とすることができる。
また、本発明は、絶縁薄膜の一部を除去して露出させた電極基材の表面に金属を被覆させ、絶縁薄膜の厚さ以下の厚さで金属被膜を形成させることができる。
金属被膜は、少なくともPt、Au、Ag、Pd、Ni、Cr、Rh、Ruから選ばれる金属の1種若しくは2種以上を含むことを特徴とすることができる。
また、金属被膜は、複数の金属層を積層して形成することができる。
本発明は、電極基材の表面に絶縁樹脂を蒸着若しくは蒸着重合させることにより、厚さ5〜50μmの絶縁薄膜を形成し、次いで当該絶縁薄膜の一部を化学的除去法若しくは機械的除去法を用いて所定箇所を除去することにより、電極基材を露出させて導電パターンを形成することを特徴とする電解加工用電極工具の製造方法でもある。
また、本発明においては、化学的除去法がエッチングであり、機械的除去法が切削加工、レーザー加工、精密ブラスト加工から選ばれる一つであることを特徴とする。
さらに、本発明は、絶縁樹脂を蒸着若しくは蒸着重合させることにより、電極基材の表面に厚さ5〜50μmの絶縁薄膜を形成し、絶縁薄膜を化学的除去法若しくは機械的除去法を用いて所定箇所のみ除去することにより、電極基材を露出させて導電パターンを形成し、次いで少なくともPt、Au、Ag、Pd、Ni、Cr、Rh、Ruから選ばれる金属の1種若しくは2種以上含む金属被膜を、蒸着若しくはメッキにより、絶縁薄膜の厚さ以下の厚さで設けることができる。
本発明の電解加工用電極工具によれば、たとえ微細な導電パターンであっても、1本の工具で、導電パターンに対応する動圧溝パターンが再現性良く正確に加工された被加工物(ワーク)を30万個以上作れることがわかった。
また、本発明の電解加工用電極工具の製造方法によれば、使い捨ての樹脂充填冶具を必要とせず、製造工程も少なくなるため、大幅に製作時間を短縮することができ、電極工具のコストダウンのみならず、新製品や改良品のための導電パターンの設計変更に対して迅速に対応することができる。また、蒸着又は蒸着重合による絶縁薄膜は電極基材との密着力が強いので、平坦な電極表面であっても強固に密着し、エッチング、レーザー加工、精密ブラストなどの除去法を用いれば、マイクロエンドミルの刃径寸法に制限されることなく導電パターンを容易に微細化することができる。また、マイクロエンドミルで絶縁薄膜の除去加工を行う場合でも、金属を切削する場合よりも大幅に切削抵抗が少なくなり、切り込み深さも浅いので、マイクロエンドミルの折損が抑えられ、加工時間が大幅に短縮される。
本発明において用いる絶縁樹脂は、NaNO3 (硝酸ナトリウム)に代表される電解液に対して耐薬品性が高い材料であり、電極基材に対して密着力が良く、蒸着できるものであれば、どのようなものでも良いが、代表的には蒸着重合されたポリイミド系樹脂、蒸着された四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体、蒸着された四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体から選ばれる1種であり、とくに蒸着重合されたポリイミド系樹脂が好ましく用いられる。
これらの蒸着若しくは蒸着重合された樹脂の被膜は、樹脂が微小単位で基材に付着することができるため、基材の角部にもほぼ均一に被膜を形成でき、電解加工用電極工具の精密性をより高めることが解った。
本発明で用いることが出来るポリイミド系樹脂は、原料であるカルボン酸系化合物としては、図4に示したようなテトラカルボン酸無水物、ポリイソシアネート化合物、カルボン酸ハロゲン化物を挙げることができ、とくに、テトラカルボン酸無水物を好適に用いることが出来る。また、もうひとつの原料であるアミン系化合物としては、図5に示したようなアミン化合物を挙げることができる。
ポリイミド系樹脂の蒸着重合の典型的な例としては、図6の模式図に示すように、気相状態のカルボン酸無水物モノマー61とジアミンのモノマー62を、真空反応装置65のそれぞれ導入口66および導入口67から、電極基材60が静置された(静置台図示せず)温度約200℃の真空反応装置65内に別々に導き、気相状態で重合反応を行わせ、電極基材60の表面にポリアミド酸の薄膜63を均一かつ所望の厚さで生成させるのである。未反応モノマー64は排気口68から真空反応装置外へ排気される。薄膜63の厚さは重合反応時間で決定されるので、膜厚管理が容易である。次いで、電極基材60を真空反応装置65から取り出し、この薄膜63をさらに約300℃程度に加熱し、脱水反応を促進してポリアミド酸をポリイミドに変換する。このようにして得られるポリイミド薄膜は、絶縁性に優れ、非常に強力に電極基材60に密着し、また、ナノ構造で薄膜状にポリマーが形成されるため、ポリイミド薄膜自体が強い強度を有し、電極基材60の角部にもほぼ均一に被膜を形成でき、ピンホールも発生しないことを確かめている。
従来のように、ポリアミド酸溶液を電極基材に塗布し、加熱してポリイミドに変換する非蒸着重合の被膜生成法や、電着成分が被膜として電極基材表面に析出する量が溶液(水性電着塗料)の濃度分布や電流密度に依存する従来の電着塗装による被膜生成方法においては、膜厚制御が容易ではなく、本願のように、ピンホールが存在せず、均一な厚さで非常に強力に電極基材に密着する絶縁薄膜を生成することは困難である。
本発明の蒸着重合樹脂若しくは蒸着樹脂による絶縁薄膜に用いる代表的な樹脂を図7に示す。蒸着重合樹脂としてはポリイミドであり、蒸着樹脂としてはPFA系樹脂(4フッ化エチレン・パーフロロプロピルビニルエーテル)又はFEP系樹脂(4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合体)を挙げることができる。
本発明の代表的な電極工具としては、図8aに示す形状のスリーブ用電極工具50と図8bに示す形状のスラストプレート用電極工具51が挙げられる。これら電極工具の製造方法を図9の模式図にて示す。ブランク加工した銅、真鍮、燐青銅、オーステナイト系、マルテンサイト系及びフェライト系等のステンレス鋼などの電極基材60の所定の表面全体に、所定厚さの絶縁薄膜71を、蒸着重合樹脂若しくは蒸着樹脂により、均一に形成する。次いで、化学除去法研削若しくは機械的除去法を用いて絶縁薄膜71を導電パターンに相当する形状どおりに除去して、凹部70に電極基材の表面を露出させ、導電パターンを形成する。絶縁薄膜71の厚さは、5〜50μmであることが望ましい。絶縁薄膜71の厚さが5μmを下回ると、全体的に充分な絶縁がなされず、透過電流が発生して電解加工の加工精度が悪くなり、また、絶縁薄膜71の厚さが50μmを超えると、蒸着重合または蒸着による薄膜生成が難しくなり、絶縁薄膜71の生成時間も長くなって、コスト的に見合わなくなるためである。絶縁薄膜71を導電パターンの形状どおりに除去する方法としては、以下のようなものがある。
イ) 微細エッチング加工による除去加工
ロ) レーザー加工機による除去加工
ハ) 精密ブラスト加工による除去加工
ニ) マイクロエンドミルを使用した切削による除去加工
絶縁薄膜71は、連続使用温度200℃に耐え、電解液に侵されず、加工中に透過電流が発生しないように体積抵抗率は25℃において1012Ωcm以上を示す材料であることが好ましい。これを実現する樹脂材料なら何でも良いが、身近にあるものとしては、ポリイミド樹脂、PFA系樹脂、FEP系樹脂が適している。表1に、その特性値を示す。
Figure 2006281333
電解加工用電極工具製造プロセスの各工程を、本発明と従来例とについて示すと、図10のようになる。従来技術では、11工程必要であったが、本発明ではわずか3工程で製造できる。
さらに、本発明において用いる電解加工用電極工具の電極基材は、銅系合金あるいは鉄系合金が挙げられるが、銅系合金としては銅、真鍮、燐青銅、鉄系合金としては鉄−銅系合金若しくはオーステナイト系(SUS303,304等)、マルテンサイト系及びフェライト系等ステンレス鋼が挙げられる。
また、本発明においては、マイクロエンドミルによるパターン彫り加工が困難なため避けられていたコバルト合金やチタン合金などの難削材も電極基材として適用できる。チタン合金は耐食性が良いため、アルカリ性、酸性を問わずに幅広い種類の電解液に好適である。
また、本発明のもうひとつの特徴は、図8aに示すような、立体的な電極基材に対しても均一な絶縁薄膜を形成させることができ、エッチングやレーザー加工、精密ブラスト加工、マイクロエンドミル加工により、所定部分の絶縁薄膜を除去するだけで容易に導電パターンが形成できることである。
さらに、本発明においては図11aおよび図11bに示すように、絶縁薄膜71の厚さ以下で、蒸着やメッキ等により、凹部70に露出させた電極基材の表面に化学的特性および電気特性の優れた金属を被覆させて金属被膜80を形成させることができる。被覆させる金属は、合金であっても良い。さらに、図11bに示すように、金属層81および金属層82などの複数の異なる金属層を積層させて金属被膜80を形成することができる。また、メッキは、電気メッキまたは無電解メッキのいずれをも用いることができる。金属被膜80は、Pt、Au、Ag、Pd、Ni、Cr、Rh、Ruから選ばれる金属の1種若しくは2種以上を含むことができるが、特にPt、Rhおよび/またはAuを主要成分とする金属被膜が好適である。このような、電極基材よりも化学的特性および電気特性の優れた金属被膜80は、電流密度分布と電流効率が改善されることによる加工精度と加工効率の向上が認められる上、耐食性の改善による電極工具の長寿命化などの効果を奏することができる。
例えば、化学的に安定で耐熱性が良く、優れた電気特性を有する白金メッキを電極工具の導電パターンに施すと、電解加工による微細溝の加工において、電流密度がより効果的に集中するので、加工される溝の幅方向への意図しない広がりを減少させると共に、深さ方向の加工速度を高める効果が得られ、従来よりも高精度かつ高速な電解加工が可能となる。それに加えて、チタン合金製電極工具の導電パターン表面に白金メッキを施したものは特に耐食性に優れ、どのような電解液に対しても好適である。ロジウムメッキは白金メッキ同様の優れた化学的特性および電気特性に加え、硬度がHv800〜1000とクロムメッキ並みの硬さを有するので、長期に亘って初期の表面状態が保たれる。金めっきも、高い導電率、低接触抵抗、耐食性などの優れた特性を示す。
また、複数の金属を用いて凹部70に露出させた電極基材の表面に金属被膜を形成させると、異なる特性を持つ金属の組合せにより、より好適な金属被膜を得ることができる。例えば、優れた特性を示す純金メッキの上に、純金メッキよりも硬い白金メッキを施すことができる。或いは、純金に銀、銅、ニッケル、コバルト、インジウムを微量加えることにより、硬度を高めた硬質合金金メッキを施すことができる。さらに、例えば、導電率が最も高いが化学変化により変色しやすい銀メッキの上に、1μm以下の厚さのロジウムメッキを変色防止のために施すことができる。
また、本発明は次のような利点を有する。
イ) 凹凸部を形成しない電極基材の表面全体に絶縁薄膜を設け、次いで、エッチング等で導電パターンに相当する表面部を覆っている絶縁薄膜のみを除去することにより、手間がかかるマイクロエンドミルによるパターン彫り工程を省略することが出来る。
ロ) 電極基材の表面全体を絶縁樹脂の蒸着または蒸着重合による絶縁薄膜で覆うため、従来の製作方法で必要であった絶縁樹脂の充填工程が必要なくなり、余分な絶縁樹脂を除去する粗加工も省略でき、充填治具も必要なくなる。
ハ) 導電パターンに相当する表面部を覆っている絶縁薄膜を除去するパターン形成工程が最終工程となるので、最終工程の変更のみでパターン形状の変更ができる。
ニ) 導電パターンの形状が異なる電極工具であっても、パターン形成工程の前までは共通ロットで加工を進める事が出来るので、生産性が向上する。
ホ) 上記対応を実施することにより、電極の製作工程が削減され、必要な冶工具も削減され、生産性も上がるので、電極工具の納期とコストが大幅に向上する。
ヘ) 絶縁樹脂の薄膜を蒸着または蒸着重合により成形するので、従来の方法で発生していた絶縁樹脂の熱硬化時における気泡やピンホールが無くなり、結果的に電解加工時の迷走電流の発生を押さえることができ、その電極工具で形成される動圧溝の品質向上につながる。
ト)絶縁樹脂の薄膜を蒸着または蒸着重合により成形するので、電極基材に対する絶縁薄膜の密着性が向上し、絶縁薄膜の剥離が抑制され、電極工具の長寿命化を実現できる。
本発明の電解加工用電極工具は、図8aおよび図8bに示された形状に限定されるものではなく、凹凸部を形成しない電極基材の表面に均一に設けられた蒸着重合樹脂若しくは蒸着樹脂による絶縁薄膜と、その絶縁薄膜を除去して電極基材の表面を露出させることによって形成される導電パターンとから成る構成の電極工具であれば、どのような形状であっても良い。また、スリーブ用とスラストプレート用のみならず、回転軸の外周面や回転軸のフランジ部の端面など、いずれの流体動圧軸受部材に動圧溝を加工する電解加工用電極工具に適用されても良いものである。
(電解加工用電極工具の作成例1)
図9に示す手順により、電解加工用電極工具を作成した。
電極基材60として、ステンレス鋼の一つであるSUS304を用いた。
素材をブランク加工し、所定の形状にした電極基材60を、図6に示す真空反応装置65内に静置させる。モノマーとしてテトラカルボン酸無水物及び芳香族ジアミンの組み合わせを選択し、真空反応装置65内の温度を200℃にし、気相状態のモノマーを供給する。モノマーは、気相中で重合しポリアミド酸ポリマーを形成し、電極基材60の表面に薄膜63として均一に付着する。所望の厚さのポリアミド酸ポリマー薄膜63が付着するまで反応を続ける。
電極基材60の表面に所望の厚さのポリアミド酸ポリマー薄膜63を形成させたのち、真空反応装置65から薄膜63が形成された電極基材60を取り出し、約300℃に加熱し、ポリアミド酸ポリマーを脱水し、ポリイミド絶縁薄膜71に変換させる。ポリイミド絶縁薄膜71の膜厚は15μmで均一に生成されていた。
次いで、所定箇所のポリイミド絶縁薄膜71をエッチングで除去して電極基材の表面を露出させることにより、導電パターンを形成した。その結果得られた電解加工用電極工具の導電パターンの拡大写真を図12に示す。ポリイミド絶縁薄膜が鮮明な輪郭で除去され、高精度な導電パターンが形成されたことが認められる。
(電解加工用電極工具の作成例2)
実施例1で得られた電解加工用電極工具を、ヘキサヒドロキソ白金酸を適量含有する高アルカリ性白金メッキ液に浸漬し、浴温80℃、電流密度1.5A/dmの条件で導電パターンに相当する電極基材の表面に10μmの白金被膜を設けた。尚、無電解白金メッキを用いれば、1.0μm程度の薄い白金被膜で電極基材表面を被覆することも可能である。
(電解加工用電極工具の作成例3)
図9に示す手順により、実施例1と同じ形状の電解加工用電極工具を作成した。但し、電極基材として、銅系合金である真鍮を用いた。実施例1と同じ方法で電極基材の表面に膜厚15μmのポリイミド絶縁薄膜を均一に生成した。次いで、所定箇所のポリイミド絶縁薄膜をエッチングで除去して電極基材の表面を露出させることにより、実施例1と同じ導電パターンを形成した。
実施例1、2、3で作製した電解加工用電極工具を用いて、燐青銅製の被加工物(ワーク)に動圧溝を形成して転写精度を比較した。
電解質としてNaNO3 (硝酸ナトリウム)を15重量%含有する電解液を用いて、電解加工用電極工具のハウジング内へ電解液を供給した。電解加工部における電解液の流速は、8〜12m/sec、加工隙間は0.05mmとなるように設定した。さらに、直流パルス電源13の正極および負極に被加工物(ワーク)と電解加工用電極工具とをそれぞれ接続して、電圧6〜18Vで電流を1〜5秒間流した。
真鍮製ワークを60個用意して、各電極工具ごとに20個のワークに対して同一条件で電解加工を行い、動圧溝を加工した。電極工具の導電パターンの幅は一定ではないため、パターン幅が200μmの箇所に対応して加工された動圧溝の幅を測定した。図13は、幅200μmの導電パターンに対応して加工された動圧溝の幅寸法を比較したグラフである。白金メッキを施した電極工具を用いた電解加工では、パターン幅200μmに対応して加工された動圧溝の平均幅が440μmであるが、その他の電極の場合は約840μmである。すなわち、白金メッキを施した電極工具は、白金メッキ無しの電極工具と比較して、加工される動圧溝の幅方向の広がりが1/2程度に減少された。従って、白金メッキを施した電極工具(実施例2)が、他に比して優れた転写精度を有していることが明らかである。
この結果は、微細な動圧溝を加工する上において大きな意味を持つ。導電パターンが動圧溝の幅方向に広がって転写されることを考慮すると、幅20μmの動圧溝を得るためには、白金メッキ無しの電極工具では幅5μmの導電パターンが必要であるのに対して、白金メッキを施した場合は幅10μmの導電パターンで充分となるため、電極工具の製作が容易となるからである。
図14は、一定時間内にワークに形成された動圧溝の深さを示すグラフであり、白金メッキを施した電極工具(実施例2)を用いた加工では、他に比して単位時間当たりの加工深さが2倍程度になっており、図13の結果を考慮すれば、白金メッキを施した電極工具は、動圧溝幅の広がりを1/2に抑え、単位時間当たりの加工深さを2倍に伸ばすことができ、電解加工の転写精度の向上と加工時間の短縮を同時に図ることが出来ることを示している。
本発明の電解加工用電極工具は、長時間使用しても、絶縁材と電極基材との界面に電解液が浸透しない、長期に亘って高い精度を維持することが出来る上、微細な導電パターンも製作が容易な電解加工用電極工具であり、より精度の高い小型の流体動圧軸受の迅速な開発に寄与することが出来る点において画期的なものであり、産業上の利用可能性は高いものがある。
従来の電解加工装置の説明図(スリーブ加工) 従来の電解加工装置の説明図(カウンタープレート加工) 電解加工電極の従来の製造プロセス ポリイミド原料(ポリカルボン酸)の例 ポリイミド原料(ポリアミン)の例 真空反応装置の一例 本発明の典型例としての樹脂の説明図 本発明の代表的な電解加工用電極工具の説明図 一般的な本発明の電解加工電極の製造プロセス 従来の製造プロセスと本発明の製造プロセスの比較図 金属被覆を設けた本発明の電極工具の例 実施例により得られた電解加工電極の導電パターンの拡大写真 異なる電極工具による動圧溝幅の比較 異なる電極工具による動圧溝の単位時間当たり加工深さの比較
符号の説明
1スリーブ
2電極工具
2a導電パターン(ラジアル)
2b導電パターン(スラスト)
2c小径部
2d大径部
3ストッパー
30従来の製造技術説明図における電極基材
31従来の製造技術説明図における導電パターン面
32従来の製造技術説明図における凸部
33従来の製造技術説明図における絶縁材充填冶具
34従来の製造技術説明図における絶縁材
35従来の製造技術説明図における電極表面
4電解液
5流路
50スリーブ用電極工具
51スラストプレート用電極工具

6真空反応装置細部
60電極基材
61カルボン酸無水物モノマー
62ジアミンモノマー
63ポリアミド酸被膜
64未反応モノマー
65真空反応装置
66カルボン酸無水物モノマー導入口
67ジアミンモノマー導入口
68排気口
70電極工具凹部
71絶縁被膜
80金属被膜
81金属層
82金属層
10従来の製造技術説明図における流体動圧軸受スラストプレート
10a従来の製造技術説明図における流体動圧軸受スラスト動圧溝
11従来の製造技術説明図における電極工具
11a従来の製造技術説明図における電極工具の導電パターン
12従来の製造技術説明図における流体動圧軸受ストッパー









Claims (10)

  1. 電極基材の表面に均一に設けられた蒸着重合樹脂若しくは蒸着樹脂による絶縁薄膜と、当該絶縁薄膜の一部を除去して電極基材の表面を露出させることによって形成される導電パターンとから成ることを特徴とする電解加工用電極工具。
  2. 均一に設けられた絶縁薄膜の厚さが5〜50μmであることを特徴とする請求項1に記載の電解加工用電極工具。
  3. 絶縁薄膜が、蒸着重合されたポリイミド系樹脂、蒸着された四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体、蒸着された四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体から選ばれる1種であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電解加工用電極工具。
  4. 電解加工用電極工具の電極基材が、銅、真鍮、燐青銅、鉄−銅系合金、コバルト合金、チタン合金若しくはステンレス鋼から選ばれる1種であることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の電解加工用電極工具。
  5. 絶縁薄膜の一部を除去して露出させた電極基材の表面に金属を被覆させ、絶縁薄膜の厚さ以下の厚さで金属被膜を形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電解加工用電極工具。
  6. 金属被膜が、少なくともPt、Au、Ag、Pd、Ni、Cr、Rh、Ruから選ばれる金属の1種若しくは2種以上を含むことを特徴とする請求項5に記載の電解加工用電極工具。
  7. 金属被膜が、複数の金属層を積層して形成されていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の電解加工用電極工具。
  8. 電極基材の表面に絶縁樹脂を蒸着若しくは蒸着重合させることにより、厚さ5〜50μmの絶縁薄膜を形成し、次いで絶縁薄膜を化学的除去法若しくは機械的除去法を用いて所定箇所のみ除去することにより、電極基材を露出させて導電パターンを形成することを特徴とする電解加工用電極工具の製造方法。
  9. 化学的除去法がエッチングであり、機械的除去法が切削加工、レーザー加工、精密ブラスト加工から選ばれる一つであることを特徴とする請求項8に記載した電解加工用電極工具の製造方法。
  10. 絶縁樹脂を蒸着若しくは蒸着重合させることにより、電極基材の表面に厚さ5〜50μmの絶縁薄膜を形成し、当該絶縁薄膜の一部を化学的除去法若しくは機械的除去法を用いて所定箇所を除去することにより、電極基材を露出させて導電パターンを形成し、次いで、絶縁薄膜を除去して露出させた電極基材の表面に、少なくともPt、Au、Ag、Pd、Ni、Cr、Rh、Ruから選ばれる金属の1種若しくは2種以上を含む金属被膜を、蒸着若しくはメッキにより、絶縁薄膜の厚さ以下の厚さで設けることを特徴とする電解加工用電極工具の製造方法。

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