JP3859871B2 - コネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、同軸フラットケーブル用のコネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、実開平4−8285号公報に示されているような、フラットケーブル接続用のコネクタが知られている。
このコネクタは、モールドの上面に金属カバーを設け、該カバーとモールド内のコンタクトピンとの間にフラットケーブルを挿入して挟持し、コンタクトピンとフラットケーブルとを接続する構造のものである。
【0003】
通常、このようなフラットケーブル用のコネクタには、平坦なフラットケーブルの特徴を十分に生かすために、低背化を図ることが強く望まれている。また、モールドおよびコンタクトピンを、例えば、プリント基板上に固定しておき、このモールドにフラットケーブルを簡単に取り付けることができることも要求されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の要求を満たすフラットケーブル用のコネクタは、上記刊行物のように提案されているが、フラットケーブルの各導体ごとに外部導体を有する、いわゆる同軸フラットケーブル用のコネクタであって、上記要求を満たすものは、まだ提案されていない。なお、この明細書中において、同軸フラットケーブルというときは、一体的な絶縁被覆を有するもののほか、個別の絶縁被覆を有するバラの同軸ケーブルを部分的にフラットに束ねたものも含むものとする。本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、十分な低背性を有しかつ接続作業を容易に行うことができる同軸フラットケーブル用のコネクタを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、同軸フラットケーブル用のコネクタであって、絶縁被覆を剥ぐことにより外部導体および中心導体をそれぞれ露出させた前記同軸フラットケーブルの厚さ方向の両面に配置され、前記外部導体の全てに密接させられた状態で前記同軸フラットケーブルを挟持するとともに前記外部導体を接地させる導体プレートと、該導体プレートの前記厚み方向の一側に取り付けられる絶縁カバーと、前記中心導体に接触させられる複数のコンタクトを収容し、前記厚み方向の他側から前記カバーとの間に前記導体プレートを厚み方向に挟持するように前記絶縁カバーに組み付けられる絶縁ハウジングとを具備し、該絶縁カバーに、前記中心導体を前記コンタクトに向けて付勢する付勢手段が設けられているコネクタを提案している。
【0006】
上記コネクタにおいて、絶縁ハウジングに、接地されたグランド用ラッチが取り付けられ、該グランド用ラッチが、前記導体プレートに取り付けた絶縁カバーが前記絶縁ハウジングに組み付けられるときに、弾発力によって前記導体プレートに接触させられるばね接触部を具備することとしてもよい。
また、前記付勢手段が、前記中心導体を個別に付勢する相互に独立したばね部からなることとしてもよく、前記絶縁カバーが、絶縁皮膜コーティングされた金属板からなることとしてもよい。
【0007】
【作用】
本発明に係るコネクタによれば、絶縁被覆を剥いで外部導体および中心導体をそれぞれ露出させた同軸フラットケーブルが、導体プレートによって厚さ方向に挟持されると、該導体プレートが同軸フラットケーブルの外部導体の全てに密接状態に配される。これにより、導体プレートを接地するだけで、全ての外部導体が接地されることになる。
【0008】
このように同軸フラットケーブルを挟持した状態の導体プレートを絶縁カバーに取り付け、この絶縁カバーを、複数のコンタクトを収容した絶縁ハウジングとの間に導体プレートを挟むように、該絶縁ハウジングにフラットケーブルの厚さ方向に組み付けることにより、フラットケーブルとコンタクトとを電気的かつ機械的に接続することができる。
この場合に、絶縁カバーに設けられた付勢手段が、フラットケーブルの中心導体をコンタクトに向けて付勢するので、中心導体とコンタクトとの適正な接触圧力が達成され、確実な接続を行うことが可能となる。
【0009】
また、上記コネクタにおいて、絶縁ハウジングにグランド用ラッチを取り付けておくことにより、フラットケーブルを挟んだ導体プレートを取り付けた絶縁カバーを、絶縁ハウジングに組み付けることにより、接地されたグランド用ラッチに導体プレートが接触させられて、導体プレート、ひいては全ての外部導体が接地されることになる。この場合に、グランド用ラッチにばね接触部を設けておけば、絶縁カバーの絶縁ハウジングへの組付時に、このばね接触部を弾性変形させることによる弾発力によって適正な接触圧力が達成され、確実な接地を行うことが可能となる。
【0010】
さらに、中心導体を個別に付勢する相互に独立したばね部により付勢手段を構成することとすれば、各中心導体ごとにコンタクトとの安定した接触を達成することが可能となる。また、絶縁カバーを、絶縁皮膜コーティングされた金属板からなることとすれば、付勢手段の付勢力を高く維持しながら、絶縁カバーの薄肉化を図ることが可能となり、低背性をより一層向上することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係るコネクタの一実施形態について、図1〜図10を参照して、以下に説明する。
本実施形態に係るコネクタ1は、複数のコンタクト2を収容し、例えば、プリント基板(図示略)等に固定される、低背ブロック状の絶縁ハウジング3と、該絶縁ハウジング3の上面から組み付けられる絶縁カバー4と、該絶縁カバー4に組み付けられる導体プレート5とを具備している。
【0012】
前記絶縁ハウジング3は、例えば、図2に示されるように、例えば、プラスチックのような絶縁性樹脂材料を成形してなるハウジング本体6と、該ハウジング本体6内に上方に露出された状態で収容される導体からなる複数のコンタクト2と、前記ハウジング本体6の左右にそれぞれ取り付けられる導体からなる2つのグランド用ラッチ7と、ハウジング本体6に取り付けられる止め金具8とから構成されている。
【0013】
前記コンタクト2は、例えば、スプリングコンタクトであり、後述するように中心導体によって上方から押圧されると、弾性変形させられて該中心導体に圧接させられるようになっている。
【0014】
前記グランド用ラッチ7は、それぞれ、一枚の板金を折曲形成することにより、例えば、前記ハウジング本体6に嵌合する嵌合部7aと、後述する導体プレート5に弾発的に接触させられるばね接触部7bとを具備している。前記止め金具8は、前記グランド用ラッチ7が前記ハウジング本体6に嵌合させられた後に、グランド用ラッチ7の挿入方向後方から、該ハウジング本体6に取り付けられ、後述する絶縁カバー4の係合部4bと、グランド用ラッチ7との係合を解除する機能を有している。
【0015】
前記絶縁カバー4は、図10に示されるように、例えば、金属板Pの表面にプラスチックのような絶縁性の材料Cをコーティングしてなり、図6〜図9に示されるように、同軸フラットケーブル9を挟持した後述する導体プレート5を保持する導体プレート保持部4aと、前記絶縁ハウジング3に組み合わせたときに前記グランド用ラッチ7に係合して組合せ状態に保持する係合部4bと、前記導体プレート保持部4aに導体プレート5を保持させたときに、該導体プレート5に挟持された同軸フラットケーブル9の中心導体9aを、前記絶縁ハウジング3への挿入方向に付勢する付勢手段10とを具備している。
【0016】
前記付勢手段10は、同軸フラットケーブル9の全ての中心導体9aに対して、それぞれ一つずつ設けられている。この付勢手段10は、複数のばね部10aからなり、図6に示す例では、中心導体の長手方向に間隔をあけて2列、並列方向に1本おきに設けられている。これにより、中心導体9aの間隔が小さい場合でも、絶縁カバー4の強度を低下させることなく、中心導体9aの各々に対してばね部10aを形成することができる。
【0017】
前記導体プレート5は、図5に示されるように、それぞれ2つの窓部5aを有する2枚の平板であり、その一部において、同軸フラットケーブル9の全ての外部導体9bに接触させられるようになっている。窓部5aの間の連結板部分5bは、前記絶縁ハウジング3に組み合わせられたときに、前記グランド用ラッチ7のばね接触部7bに接触させられるようになっている。
なお、2枚の導体プレート5は、相互に接続された一体的な構造のものでもよい。
【0018】
前記同軸フラットケーブル9は、例えば、図4に示されるように、絶縁被覆9c,9dを剥がされて、外部導体9bおよび中心導体9aがそれぞれ露出させられるようになっている。この中心導体9aの露出位置は、前記導体プレート5の2つの窓部5aにそれぞれ一致している。また、外部導体9bの露出位置は、前記導体プレート5に接触させられる位置に一致しており、図5に示されるように、領域Aにおいて導体プレート5に一括して半田付けされるようになっている。
【0019】
このように構成された同軸フラットケーブル9用のコネクタ1の作用について、以下に説明する。
絶縁ハウジング3は、ハウジング本体6に、コンタクト2、グランド用ラッチ7および止め金具8を取り付けることにより、図2に示されるように構成される。このとき、前記コンタクト2および前記グランド用ラッチ7のばね接触部7bは、前記ハウジング本体6の上面から突出させられた状態に配される。
【0020】
この絶縁ハウジング3を、例えばプリント基板(図示略)に取り付けるときには、各コンタクト2を、プリント基板上のそれぞれの信号用パターン(図示略)に半田付けし、グランド用ラッチ7をグランドパターン(図示略)に半田付けする。絶縁ハウジング3は、例えばネジ止めなどによりプリント基板に固定することにしてもよい。
【0021】
また、図4に示されるように絶縁被覆9c,9dを剥がされた同軸フラットケーブル9は、図8に示されるように2枚の導体プレート5間に挟まれる。これにより、同軸フラットケーブル9の外部導体9bが、導体プレート5に接触させられ、A部の半田付けにより導体プレートに固着される。この状態で、導体プレート5を、図8に示されるように絶縁カバー4の導体プレート保持部4aに取り付けると、導体プレート5による同軸フラットケーブル9の挟持状態が保持されたまま、絶縁カバー4のばね部10aによって、同軸フラットケーブル9の中心導体9aが、押圧状態に配されることになる。
【0022】
このようにして導体プレート5および同軸フラットケーブル9を組み付けた絶縁カバー4を、前記絶縁ハウジング3の上方から該絶縁ハウジング3に組み合わせる。これにより、前記コンタクト2は、それぞれ対応する同軸フラットケーブル9の中心導体9aに接触させられ、前記導体プレート5の連結板部分5bはグランド用ラッチ7のばね接触部7bに接触させられる。
【0023】
この状態で絶縁カバー4を絶縁ハウジング3の方向にさらに押し続けると、各コンタクト2およびグランド用ラッチ7のばね接触部7bが弾性変形させられていき、絶縁カバー4の係合部4bがグランド用ラッチ7に係合させられることにより両者が一体的に結合されることになる。
このとき、導体プレート5は前記グランド用ラッチ7のばね接触部7bの弾発力によって、適正な接触圧力で接触させられ、これにより、同軸フラットケーブル9の外部導体9bの安定した接地を達成することができる。
【0024】
また、このとき、同軸フラットケーブル9の各中心導体9aは、コンタクト2の弾発力によって、一定の接触圧力を得ることができるが、本実施形態では、さらに、絶縁カバー4にばね部10aが設けられているので、図10に示されるように、このばね部10aの付勢力によって、中心導体9aがコンタクト2に向けて付勢され、より安定した接触状態を達成することができる。この場合において、本実施形態に係るコネクタ1によれば、絶縁カバー4が、図10に示されるように、金属板Pの表面に絶縁コーティングCを施したものから構成されているので、比較的薄肉の絶縁カバー4であっても、十分な強度とばね部10aの十分な弾発力を得ることができる。
【0025】
このように、本実施形態に係るコネクタ1によれば、絶縁ハウジング3に対して、同軸フラットケーブル9を取り付けた絶縁カバー4を上方から組み付ける構造であるため、コネクタ1全体の低背性を確保することができるという利点がある。また、絶縁カバー4を薄肉のものとしてさらに低背性を高めることができる。その結果、同軸フラットケーブル9という平坦なケーブル用のコネクタ1として、該ケーブルの特性を損なうことがない。
【0026】
また、絶縁カバー4に、同軸フラットケーブル9を挟持状態に取り付けた導体プレート5を取り付け、この導体プレート5を接地させる構成とすることにより、極めて簡単な操作で、信号用の中心導体9aおよび接地用の外部導体9bの接続作業を行うことができる。
なお、上記、絶縁カバー4は、金属板Pの表面に絶縁コーティングCを施したものとしたが、これに代えて、絶縁性樹脂材料のみからなるものとしてもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明に係るコネクタによれば、コンタクトを収容した絶縁ハウジングに対して同軸フラットケーブルの厚さ方向に絶縁カバーを組み付ける構造を採用しているので、接続作業を極めて簡易なものとすることができる。また、同軸フラットケーブルを挟持した導体プレートを絶縁カバーに取り付けた状態で、絶縁カバーを絶縁ハウジングに接続するだけで、中心導体をコンタクトに接続し、かつ、外部導体を接地することができる。
【0028】
さらに、絶縁カバーに設けたばね部によって中心導体をコンタクトに片側から押し付ける構造を採用しているため、フラットケーブルの厚さ方向のコネクタの低背化を図ることができるという効果を奏する。
【0029】
フラットケーブルの厚さ方向に絶縁カバーを組み付ける構造を採用しているので、プリント基板上には、絶縁ハウジング3が取り付けられるだけの面積のみが必要で、取り付けのためのスペースを最小限に抑えて、プリント基板の専有面積を小さくすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るコネクタの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】 図1のコネクタの絶縁ハウジングを示す斜視図である。
【図3】 図2の絶縁ハウジングの構成部品を示す分解斜視図である。
【図4】 図1のコネクタにより接続する同軸フラットケーブルの絶縁被覆を剥がした状態を示す図である。
【図5】 図1のコネクタの導体プレートを示す平面図である。
【図6】 図1のコネクタの絶縁カバーを示す平面図である。
【図7】 図6の絶縁カバーのばね部を示す縦断面図である。
【図8】 図6の絶縁カバーに、図4の同軸フラットケーブルを挟持した図5の導体プレートを組み付けた状態を示す正面図である。
【図9】 図8の絶縁カバーを示す側面図である。
【図10】 図2の絶縁ハウジングに図8の絶縁カバーを組み付けた状態の一部を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 コネクタ
2 コンタクト
3 絶縁ハウジング
4 絶縁カバー
5 導体プレート
7 グランド用ラッチ
7b ばね接触部
8 止め金具
9 同軸フラットケーブル
9a 中心導体
9b 外部導体
9c,9d 絶縁被覆
10 付勢手段
10a ばね部
Claims (4)
- 同軸フラットケーブル用のコネクタであって、
絶縁被覆を剥ぐことにより外部導体および中心導体をそれぞれ露出させた前記同軸フラットケーブルの厚さ方向の両面に配置され、前記外部導体の全てに密接させられた状態で前記同軸フラットケーブルを挟持するとともに前記外部導体を接地させる導体プレートと、
該導体プレートの前記厚み方向の一側に取り付けられる絶縁カバーと、
前記中心導体に接触させられる複数のコンタクトを収容し、前記厚み方向の他側から前記絶縁カバーとの間に前記導体プレートを厚み方向に挟持するように前記絶縁カバーに組み付けられる絶縁ハウジングとを具備し、
該絶縁カバーに、前記中心導体を前記コンタクトに向けて付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とするコネクタ。 - 前記絶縁ハウジングに、接地されたグランド用ラッチが取り付けられ、
該グランド用ラッチは、前記導体プレートに取り付けた絶縁カバーが前記絶縁ハウジングに組み付けられるときに、弾発力によって前記導体プレートに接触させられるばね接触部を具備することを特徴とする請求項1記載のコネクタ。 - 前記付勢手段が、前記中心導体を個別に付勢する相互に独立したばね部からなることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコネクタ。
- 前記絶縁カバーが、絶縁皮膜コーティングされた金属板からなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のコネクタ。
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