JP3858642B2 - 操作スイッチ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、操作スイッチ装置、特に触覚を通じて情報を提供できる装置の構造及びその装置の利用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自走車や自動二輪車などの車両用搭載機器における操作スイッチとしては、シンプルな押しボタン型やシーソー型、スライド型のスイッチが使用されており、その操作は目視していなくてもできるほど比較的単純であった。しかし、近年においては、車両本体の機器のみならず、エアコン、オーディオなどの付加的な搭載機器もそれぞれ高機能化し、そのため車両全体におけるスイッチ数が増える傾向にある。あるいは、一つの操作スイッチに種々の機能が割り付けられている。このため、スイッチの操作自体が複雑になってきており、これらの機器類の操作スイッチを運転しながら操作することは、容易でなくなってきており、場合によっては目視による確認を要する場合がある。更に、カーナビゲーションシステムのような情報処理装置まで車載されるようになり、運転中に視線が前方から離れる機会が増える傾向にある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、現在においては、ドライバが操作することで機器類に与える情報、更に機器類から受ける情報の量は、ますます増える傾向にあるが、その多くは視覚を通じて受け取るものであり、ドライバの視力へ与える負担は多大である。従って、ドライバの視覚に頼らずに他の手段で情報を提供できるような装置が望まれる。
【0004】
本発明は以上のような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、視覚に頼ることなく触覚を通じて操作者に種々の情報を提供することのできる操作スイッチ装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以上のような目的を達成するために、本発明に係る操作スイッチ装置は、基台部材と、操作者が接触する接触部位と、前記基台部材に対して相対的に可動可能に取り付けられるとともに、前記接触部位が取り付けられる可動部材と、操作者の入力操作に応じて前記可動部材を変位することによって前記接触部位を一次元又は二次元方向に駆動する接触部位駆動制御手段とを有し、前記接触部位駆動制御手段は、カーナビゲーションシステムの入力装置として用いられる場合、カーナビゲーションシステムにおける地図の移動距離入力指示の相対移動距離に応じた変位パターンを生成することによって操作者の触覚を通じて前記相対移動距離を知らせることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明に係る操作スイッチ装置の一実施の形態を示した平面図である。図2は、図1に示した操作スイッチ装置の側面図である。また、図3には、本実施の形態における操作スイッチを自動車のステアリング装置に配設したときの概念図が示されている。本実施の形態は、図2から明らかなように、固定部10と可動部20、そして可動部20に固着されたスイッチ部30から構成されている。固定部10は、操作スイッチの取付箇所、すなわち、本実施の形態においては、ステアリングに固定される基台11と、基台11上に極性が交互になるように配設された磁石12,13,14,15を有している。磁石12〜15は、基台11の厚さ方向に分極されており、隣接した磁石間で磁界が発生するようにしている。また、基台11の中心部分には、開口部16が設けられており、開口部16の下方に配設した位置センサ17によって可動部20、ひいてはスイッチ31の移動量を検出している。
【0013】
可動部20は、コイル21,22,23,24と、各コイル21〜24を取り付けるフレーム25から構成される。フレミングの左手の法則に従い、磁界中をX軸方向に並設したコイル21,23に対して電流を所定方向に流すことによって可動部20をY軸方向に沿って駆動する。同様にY軸方向に並設したコイル22,24に対して電流を所定方向に流すことによって可動部20をX軸方向に沿って駆動する。従って、上記コイルの組のいずれか一方のみに電流を流せば一次元方向に、双方に電流を流せば各一次元方向のベクトル和により表される二次元方向に、可動部20を駆動することができる。このように、可動部20は、固定部10の基台11に対して可動可能に取り付けられており、操作者に提供する情報に基づきコイル21〜24へ電流を流す制御を行う手段(図示せず)並びに固定部10に設けた磁石12〜15と可動部20に設けたコイル21〜24を有する操作部位駆動制御手段によって駆動される。そして、スイッチ部30は、可動部20に固定されているので、可動部20を駆動し、変位することによってスイッチ部30の位置を変位することができる。
【0014】
本実施の形態におけるスイッチ部30は、押しボタン型のスイッチ31を有している。従って、操作者は、スイッチ31を押下することで何らかの情報を操作スイッチ装置を介して車両側に入力することになる。なお、押しボタン型スイッチとして本来持つ構成は、本実施の形態の特徴ではないので図から省略している。本実施の形態においては、操作者がスイッチ31を押下したとき、あるいは操作者が運転中にスイッチ31に指先を触れた状態でいるときにスイッチ31を変位させることで、スイッチ31に触れた状態の操作者の指先を通じて操作者に何らかの情報を提供することを特徴としている。
【0015】
本実施の形態においては、スイッチ31の全コイル21〜24に電流を流していないニュートラルな基準位置に対して、電流を流すことによって可動部20を介してスイッチ31を変位させることができる。従って、操作部位駆動制御手段は、操作者に伝えたい情報の内容を得ると、その内容に応じた変位パターンで可動部20を駆動する。各変位パターンは、情報の内容毎に予め決められているので、操作者は、その変位パターンに基づくスイッチ31の変位を指先で感じることにより情報を得ることができる。なお、基準位置は、全コイル21〜24に一定の電流を常時流すことによって負荷を可動部20に与え続けるようにしてもよい。これにより、押しボタン型のスイッチ31の位置ずれを防止することができる。
【0016】
ここで、本実施の形態の適用例について説明する。上記構成の操作スイッチを、図3に示したようにドライバが運転中に把持する位置近傍、例えば、ステアリング装置のアーム部2に本実施の形態における操作スイッチ4を配設する。そして、ドライバの指先は、常時操作スイッチを触れている。そして、ドライバは、操作スイッチを操作することで、車両搭載機器に何らかの指示を出すことができる。その一方、操作スイッチを接続する機器は、次のようにして操作者に情報を提供する。
【0017】
例えば、この車両にはナビゲーションシステムが搭載されており、操作部位駆動制御手段は、ナビゲーションシステムと連動して、操作スイッチの駆動制御を行うものとする。そして、ナビゲーションシステムは、ドライバによる指示に応じてある目的地まで誘導しており、その目的地に到着するには、200m先方の交差点を左折する必要があるものとする。このとき、ナビゲーションシステムは、通常、ディスプレイ上に左折する交差点を表示することによってドライバへその旨を知らせようとする。
【0018】
しかしながら、視覚を前方から外せない状況においては、ドライバはその情報を得ることはできない。そこで、本実施の形態では、左折する交差点前方200mに達したときに予め決められている変位パターン、例えば操作している手の指先が触れているスイッチを1回振動させる。なお、可動部20の変位方向を瞬時に反転させ、またこれを繰り返すことにとってスイッチ31を振動させることができる。これにより、ドライバに触覚を通じて200m先で左折する必要があることを知らせることができる。そして、50m前方に達したときには前回と異なる振動パターン、例えばスイッチを2回振動させる。更に、交差点進入直前にスイッチを連続して振動させることによって左折すべき交差点を知らせる。なお、仮に左折する交差点を通り過ぎてしまったときには、更に異なるパターンでスイッチ31を振動させることで、その旨を知らせる。
【0019】
本実施の形態によれば、走行している現在位置と目的位置との位置関係に応じた変位パターン、上記例では1回、2回若しくは連続した振動パターンを生成することによって操作者の触覚を通じて交差点との位置関係を確実に知らせることができる。このように、本実施の形態では、交差点を左折する必要があることや左折する交差点位置という外部の環境から得られる情報を、触覚刺激により情報を伝達しているので、ドライバは、情報を得る際に視覚を前方から一切外す必要がない。
【0020】
なお、上記例のように操作者による入力が不要の場合は、スイッチ部30は不要である。この場合は、スイッチ部30をなくして操作者が直接可動部20に直接触れるような構成とするか、あるいはスイッチ部30を単なる操作者による接触部位として構成してもよい。
【0021】
また、上記例では、振動回数を変更することで伝えるべき情報の内容を判別できるようにしたが、スイッチの変位方向や振動時間、強弱等が異なるパターンによって判別できるようにしてもよい。
【0022】
また、本実施の形態における操作スイッチは、構造上、二次元方向へスイッチ部30を変位させることはできるが、上下方向には変位させないように推力を可動部20に常時与えておくことによって左右の一次元方向のみへ変位させることも可能である。
【0023】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、二次元方向に変位可能な操作スイッチを示したが、本実施の形態においては、構成を単純化して一次元方向のみ変位する操作スイッチを提供するものである。
【0024】
図4は、本発明に係る操作スイッチ装置の他の実施の形態を示した平面図である。図5は、図4に示した操作スイッチ装置の側面図である。また、図6には、本実施の形態における操作スイッチを採用したナビゲーションシステムの操作パネル部分の概念図が示されている。本実施の形態においても構成は、固定部、可動部及びスイッチ部に大別することができる。固定部は、操作スイッチの取付箇所、すなわち、本実施の形態においては、ナビゲーションシステムのディスプレイの下方の操作パネルに埋設される基台41と、基台41の上に載置される磁石42,43とを有している。磁石42,43は、基台41上に極性が異なるように、かつ基台11の厚さ方向に分極されている。基台41の可動部材が摺動する一次元方向には、壁44,45が立設されている。
【0025】
可動部材は、壁44,45の間で磁石42,43の上を摺動可能に載置されたコイル46を有している。コイル46は、摺動方向を弾性支持部材47,48によって支持されている。弾性支持部材47,48の他端は、壁44,45の内側に当接している。なお、壁44,45及び弾性支持部材47,48は、スイッチに割り当てられる機能によっては、いずれか一方側のみに配設されていればよい。本実施の形態においては、弾性支持部材47,48として図示したようにコイルばねを用いるが、これに限定されるものではない。本実施の形態におけるスイッチ部30は、スイッチ49を有しており、機能的にはスライド型のスイッチを提供する。
【0026】
可動部は、固定部の基台41に対して一次元方向に摺動可能に取り付けられており、固定部の磁石42,43と可動部のコイル46、更に操作者に提供する情報に基づきコイル46へ所定方向の電流を流す制御手段(図示せず)によって構成された操作部位駆動制御手段によって駆動される。スイッチ49は、操作者の操作に応じて壁44,45の間において図4の左右方向に摺動する。更に、スイッチ49は、操作部位駆動制御手段によって所定のパターンで変位される。特に、本実施の形態においては、後述するようにスイッチ49に触れている指先に所定の負荷をかけることを特徴としている。
【0027】
以下に本実施の形態の適用例について説明する。上記構成の操作スイッチ50を、図6に示したようにナビゲーションシステムに採用したとする。なお、操作スイッチ51は、従来型である。ナビゲーションシステムは、一般に運転席と助手席との間のインストルメンツパネル(インパネ)部分に配設されるため、ドライバは、ナビゲーションシステムのボタン50,51を操作する際には、前方から視線を外す必要が生じてくる。
【0028】
ここで、現在表示されている地図を300m右にずらしたいとき、ドライバは、従来であれば右カーソルを操作して地図の表示位置をずらし、300mずれたことを目視にて確認すると操作をやめる。しかし、その場合、300mずれたことを確認するために前方から目を離す必要が生じる。そこで、本実施の形態においては、操作スイッチ50を以下のように作用させている。
【0029】
すなわち、ドライバは、スイッチ49を右側にスライドするように操作し、その指先を維持する。つまり、スイッチ49に触れたままの状態である。操作部位駆動制御手段は、ナビゲーションシステムと連動して50m表示が移動されたことを認識すると、可動部に対して所定の変位を与える。例えば、単なる振動でもよいし、いわゆる「カチッ」という軽い衝撃感でもよい。ドライバは、表示が50m移動する度に触覚刺激が伝わってくることを知っている。例えば、その触覚刺激が振動である場合、スイッチ49を右側にスライドさせるような操作をしてから指先に6回の振動を受けると、ドライバは、300m右に地図が移動したことを触覚を通じて認識することができる。これにより、操作スイッチ50への操作をやめる。
【0030】
本実施の形態によれば、ドライバは、以上のように操作スイッチ50を操作することで地図の表示が300m右に移動したことを触覚を通じて知ることができるので、表示地図の移動を目視にて確認する必要はない。
【0031】
なお、上記説明においては、本実施の形態における操作スイッチをナビゲーションシステムに適用した場合を例にしたが、振動等の変位パターン、あるいは振動方向に対する反力(抵抗感)等をスイッチ49に与えることによって、音量ボリューム等他の機器の操作スイッチとしても適用することができる。
【0032】
実施の形態3.
上記実施の形態2では、図4,5に示した操作スイッチをナビゲーションシステムに適用し、地図の移動距離を知らせる場合を説明したが、本実施の形態では、他の情報を提供する場合の例を示す。
【0033】
例えば、サイドブレーキが完全に解放されていない場合やドアが完全に閉じられていない、いわゆる半ドア状態などの警告情報は、通常、運転席前のインパネ部分の表示警告灯を点灯させてドライバに知らせようとしているが、ドライバが表示警告灯へ視線を向けない限りはその警告を知らせることができない。そこで、本実施の形態においては、図3に示したように操作スイッチをステアリング装置のドライバが通常指先を置く部分に配設し、ドライバに常時触れさせておくことで、上記警告等の自動車の状態に関する情報を触覚刺激により知らせることができる。
【0034】
図7には、操作部位駆動制御手段による電流制御によってスイッチに伝えられる変位パターンの波形例が示されているが、ドライバに知らせるスイッチの変位パターンは、この図7(a)又は(b)で示したように、パルス波形を警告という情報の種類に割り付け、警告の数だけパルス波形を生じさせるようにする。あるいは、警告の種類によって異なるパターンを設定してもよい。
【0035】
実施の形態4.
上記実施の形態3では、ドライバの指先へ1回又は2回の衝撃を与えるようなパルス波形に基づくものであったが、本実施の形態では、文字、記号等種々のパターンを発生することで、ドライバがワーニングの種別をより細かく特定できるようにした。
【0036】
図8は、実施の形態1に示した操作スイッチを利用して指先を誘導するパターンの例を示した図である。図8には、(a)横触れや(b)サークル、(c)花びら、(d)振動サークル等の各種変位パターンがあり、更に(e)「A」や(f)「X」のような文字、(g)「8」のような数字が示されている。これらを使って、それぞれのパターンに意味付けをすることも可能である。例えば、ナビゲーションシステムを使って駐車場を探しているときに、駐車場に近づいたときには実施の形態1と同様にスイッチを振動させるが、本実施の形態では、その振動パターンとして(d)の振動サークルを用いる。駐車場までの距離に応じてその数を変更する。駐車場が進行方向の左手にある場合には左側の操作スイッチのみを(b)のサークルパターンでスイッチを変位させる。
【0037】
あるいは、ドライバが一方通行の出口であるため進入禁止の道に左折して走行しようとした場合には否定を表す(a)の横触れパターンでスイッチを変位させる。また、文字や数字で端的に表せる情報については、そのまま英数文字にて知らせることもできる。このように、本実施の形態においては、種々のパターンによって種々の情報を触覚を通じてドライバに提供することができる。
【0038】
なお、「A」のように一筆書きができない文字の場合、文字を構成する線分部分を相対的にゆっくり移動させ、文字を形成しない線分、つまり通常は指先を浮かせて移動させる部分を相対的に速く移動させることで文字の構成部分と単なる移動とを判別させる。なお、指先の移動部分であっても本実施の形態ではタッチパネルに触れた状態のままである。
【0039】
実施の形態5.
本実施の形態では、種々のパターンの負荷を発生することによって、スイッチを操作する操作者の指先に抵抗感を与えることのできるスライド型の操作スイッチについて説明する。
【0040】
図9は、本実施の形態における操作スイッチ装置の外観図であり、図10は、装置筐体内部に設けられ、移動量を電圧に換算する回路の構成図である。操作者は、操作部位に相当する操作つまみ53を開口部52に沿ってスライドすることで音量や室温等設定したい情報を入力する。操作つまみ53は、装置筐体内部から延出した可動部材であるアーム54に取り付けられているが、このアーム54の反対側に取り付けられたブラシ56は、回路の抵抗体58に常時接しており、ブラシ56が移動されることによって出力値を連続的に変化させることができる。また、このような接触式以外にも操作つまみの位置をリニアエンコーダにて計測する方式もある。
【0041】
図11は、操作スイッチ装置において操作つまみを駆動する本実施の形態において特徴的な駆動機構を示した図である。この駆動機構が操作部位駆動制御手段に相当する。アーム54は、装置筐体の内部において回転ベルト60に締結されている。回転ベルト60は、操作つまみ53の移動範囲の両端側に配設されたモータ62のモータ軸に取り付けた駆動プーリー64と従動プーリー66との間に張架されている。操作部位駆動制御手段は、操作者に提供する情報の内容に従いモータ62の動作を制御することによって操作つまみ53に触れている操作者に当該情報を提供する。本実施の形態では、情報の内容に従いモータ62に予め決められた回転速度や回転トルクを発生させることで、操作つまみ53に種々の抵抗感を生じさせ、操作者に対してスイッチ感覚等を感じさせることを特徴としている。
【0042】
以下に、本実施の形態の動作例について説明する。図12は、本実施の形態における操作スイッチが発生する抵抗感を表した波形の例を示した図である。図12(a)には、操作者がスライド操作しようとする作用に応じて初期位置から正比例に負荷をかけ、ピーク前では更に大きな負荷をかけ、ピーク値に達した時点で一気に負荷を取り除くという形状の波形Cが示されている。この波形Cに従った駆動制御を行うとすると、操作者は、操作つまみ53をスライドさせようとする指先にかなりの抵抗感を感じ、更にスライドさせようとすることでピーク値に達すると、一気に抵抗感がなくなり軽くなった感触を得る。この感触によりスイッチがオン又はオフされたということを操作者に知らせることができる。この波形Cは、ちょうどガスコンロの回転スイッチをひねって自動点火させるときの「カチッ」という感触や、圧電方式のライタを着火するときの感触に類似させている。このような波形Cに基づく駆動制御を行うことで操作スイッチをONにしたという触覚刺激を与えることができる。
【0043】
また、図12(b)には、定量間隔で抵抗感を感じたり、感じなかったりする感覚を再現している。つまり、この波形Dでは、例えば車載空調装置の風量調整スイッチのように風量レベルが切り替わる感覚を与えることができる。図12(b)においては、スイッチオフの状態から操作つまみ53をスライドさせようとすると、抵抗感が感じるが、更にスライドさせようとすることで抵抗感がなくなる。これで、操作者には、オフから風量がレベル1に設定されたことを感じさせる。更に、操作つまみ53をスライドさせようとすることにより、同様な感触を受けることによって風量がレベル1からレベル2へ、レベル2からレベル3へと切り替わったことを感じさせる。このように、感じている抵抗感を感じ、そしてなくなったという感触によりスイッチがオン/オフ、又はレベル設定がされたということを操作者に知らせることができる。
【0044】
本実施の形態によれば、上記波形C,Dで例示したような変位パターンによって操作者に対して所定の抵抗感を与えることができる。以上のスイッチ感覚は、いずれもスライド型スイッチをスライドさせようとする操作により得られるもので、「カチッ」というような感触を物理的な構成に基づき与えるものではない。上記発生させる波形の形状次第、つまり発生させる負荷の調整次第では、スイッチを実際にほとんどスライドさせなくてもスイッチ感覚を与えることができる。本実施の形態では、スライド型のスイッチで例示したが、実施の形態1,2に示した押しボタン型のスイッチにおいてもスライド型のスイッチ感覚を操作者に与えることができる。更に、回転型のスイッチ等にも適用することができる。
【0045】
本実施の形態においては、操作者の入力操作に応じて抵抗感を与えるように操作部位を変位させているが、抵抗感という感触ではなく、問合せに対して応答するように作用することも可能である。
【0046】
ところで、上記各実施の形態は、本実施の形態と異なり、操作者の入力操作の有無に関係なく操作部位を主導的に変位させ、その変位パターンにより情報を提供するという装置であった。換言すると、上記各実施の形態は、入力操作が不要なことから、入力操作を行える操作部位の代わりに入力を受け付けず情報を提供するためだけに操作者が接触する接触部位を設け、その接触部位を通じて情報を操作者に提供することになる。但し、操作者が接触する部位が操作部位であろうと接触部位であろうと、振動パターンによっては、操作部位等の移動が基台に対して相対的にずれた位置で終了する場合がある。この偏った位置から次の振動パターンに従い移動を開始すると、構造上、操作部位等の移動可能な上下又は左右方向の限界を超えてしまい、その結果、振動パターンを正確に呈示できない可能性が生じる。そこで、一の振動パターンに基づき操作部位等を移動させた直後、あるいは移動終了してから所定時間経過後、あるいは次の振動パターンに基づく移動開始直前、あるいは画面表示や入力モードの遷移時などの所定にタイミングで、操作部位等の位置を必要に応じて初期位置、すなわちニュートラルな基準位置に戻すように制御することが望ましい。この基準となる初期位置に戻すというイニシャライズ動作を行う際には、予め決められたイニシャライズパターンに基づく振動動作の呈示を行うことで、イニシャライズ動作を実施したことを操作者に知らせるようにしてもよい。このように、イニシャライズ動作であることを明示することで、他のパターンとの誤認を防止することができる。
【0047】
以上のように、本発明の特徴的な構成を、各実施の形態において説明したが、実施の形態において示した構成は、適宜組み合わせて使用するようにしてもよい。また、上記例では、車載用電子機器に用いた場合で例示したが、車載用以外の電子機器にも適用することはできる。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、視覚に頼ることなく様々な情報を操作者の触覚を通じて提供することができる。また、多種にわたるパターンに基づき接触部位を変位させることができるので、本発明に係る操作スイッチ装置を搭載することにより操作スイッチの数を削減することができる。
【0049】
また、操作者の操作に応じて種々の抵抗感を与えることができる。これにより、抵抗感を与える変位パターンを種々生成しておくことにより、一の操作スイッチ装置で複数のスイッチを設けたように作用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る操作スイッチ装置の一実施の形態を示した平面図である。
【図2】 図1に示した操作スイッチ装置の側面図である。
【図3】 実施の形態1における操作スイッチを自動車のステアリング装置に配設したときの概念図である。
【図4】 本発明に係る操作スイッチ装置の他の実施の形態を示した平面図である。
【図5】 図4に示した操作スイッチ装置の側面図である。
【図6】 実施の形態2における操作スイッチを有するナビゲーションシステムの操作パネル部分の概念図である。
【図7】 実施の形態3においてスイッチに伝えられる変位パターンの波形例を示した図である。
【図8】 実施の形態4において操作者の指先を誘導するパターンの例を示した図である。
【図9】 実施の形態5における操作スイッチ装置の外観図である。
【図10】 実施の形態5において移動量を電圧に換算する回路の構成図である。
【図11】 実施の形態5における操作スイッチの駆動機構を示した図である。
【図12】 実施の形態5における操作スイッチが発生する抵抗感を表した波形の例を示した図である。
【符号の説明】
4,50,51 操作スイッチ、10 固定部、11,41 基台、12,13,14,15,42,43 磁石、16 開口部、17 位置センサ、20 可動部、21,22,23,24,46 コイル、25 フレーム、30 スイッチ部、31 スイッチ、44,45 壁、47,48 弾性支持部材、52 開口部、53 操作つまみ、54 アーム、56 ブラシ、58 抵抗体、60回転ベルト、62 モータ、54 駆動プーリー、66 従動プーリー。
Claims (1)
- 基台部材と、
操作者が接触する接触部位と、
前記基台部材に対して相対的に可動可能に取り付けられるとともに、前記接触部位が取り付けられる可動部材と、
操作者の入力操作に応じて前記可動部材を変位することによって前記接触部位を一次元又は二次元方向に駆動する接触部位駆動制御手段と、
を有し、
前記接触部位駆動制御手段は、カーナビゲーションシステムの入力装置として用いられる場合、カーナビゲーションシステムにおける地図の移動距離入力指示の相対移動距離に応じた変位パターンを生成することによって操作者の触覚を通じて前記相対移動距離を知らせることを特徴とする操作スイッチ装置。
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