JP6993505B2 - プッシュスイッチ - Google Patents

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Description

本発明は、プッシュスイッチに関する。
従来、各種電子機器に用いられる操作装置において、操作者に対して触覚を呈示することが可能な技術が知られている。
例えば、下記特許文献1には、操作面に対する接触操作が可能な触覚呈示装置において、操作面の接触位置を検出するタッチセンサを、操作面に対して水平方向に振動させる技術が開示されている。
また、下記特許文献2には、電子装置が備えるボタンメカニズムにおいて、ユーザがプレス部材を第1の方向に押したとき、移動部材を第1の方向とは反対の第2の方向へ移動させることにより、プレス部材に衝撃を与える技術が開示されている。
特開2013-127687号公報 特開2017-063030号公報
しかしながら、従来技術では、押下操作が可能な操作部を備えるプッシュスイッチにおいて、押下操作を行った操作者に対して、多様な触覚を効率的に呈示することができない。そこで、比較的簡易な構成により、押下操作を行った操作者に対して、多様な触覚を効率的に呈示することが可能なプッシュスイッチが求められている。
一実施形態のプッシュスイッチは、第1の方向への押下操作が可能な操作部と、操作部を第1の方向と交差する第2の方向に沿って振動可能に保持する弾性保持部材と、弾性保持部材を第2の方向に振動可能に保持するフレーム部材と、弾性保持部材に設けられ、第2の方向への振動を発生させる振動体とを備える。
一実施形態によれば、比較的簡易な構成により、押下操作を行った操作者に対して、多様な触覚を効率的に呈示することが可能なプッシュスイッチを実現することができる。
一実施形態に係るプッシュスイッチの外観斜視図である。 一実施形態に係るプッシュスイッチの外観斜視図である。 一実施形態に係るプッシュスイッチの平面図である。 一実施形態に係るプッシュスイッチの正面図である。 一実施形態に係るプッシュスイッチの側面図である。 一実施形態に係るプッシュスイッチの分解斜視図である。 一実施形態に係るフレーム部材の外観斜視図である。 一実施形態に係る振動ユニットの外観斜視図である。 一実施形態に係る振動ユニットの分解斜視図である。 一実施形態に係るフレーム部材および振動ユニットの結合状態を示す外観斜視図である。 図10に示すフレーム部材および振動ユニットのA-A断面図である。 一実施形態に係るコイルの動作を説明するための図である。 一実施形態に係るコイルの動作を説明するための図である。 一実施形態に係るプッシュスイッチのYZ平面による断面図である。 図13に示すプッシュスイッチの一部拡大図である。 一実施形態に係るプッシュスイッチにおける一対の爪部によるボビンの固定構造を示す一部拡大図である。
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。なお、以降の説明では、便宜上、図中Z軸方向を、上下方向とし、図中X軸方向を、前後方向とし、図中Y軸方向を、左右方向とする。
(プッシュスイッチ100の概要)
図1および図2は、一実施形態に係るプッシュスイッチ100の外観斜視図である。図3は、一実施形態に係るプッシュスイッチ100の平面図である。図4は、一実施形態に係るプッシュスイッチ100の正面図である。図5は、一実施形態に係るプッシュスイッチ100の側面図である。
なお、図1では、筐体110については、その一部(開口部110Aが形成されている平板状の上面部分)を表している。筐体110の全体形状は、プッシュスイッチ100の設置対象とする電子機器、プッシュスイッチ100の設置場所等に応じて、多様な形状が採用され得る。また、図2~図5では、筐体110を取り除いた状態のプッシュスイッチ100を表している。
図1に示すプッシュスイッチ100は、各種電子機器に用いられるスイッチである。例えば、プッシュスイッチ100は、自動車の車内におけるコンソールパネルに設けられ、自動車に実装された電子機器をオン状態とオフ状態との間で切り替えるためのスイッチとして用いられる。
図1に示すように、プッシュスイッチ100は、筐体110および押ボタン120を有しており、筐体110の上面に形成された開口部110Aから、押下操作可能な押ボタン120が上方に突出して設けられている。プッシュスイッチ100は、押ボタン120が下方(図中Z軸負方向、「第1の方向」の一例)に押下されることにより、オフ状態からオン状態に切り替わることができる。
具体的には、プッシュスイッチ100において、押ボタン120は、弾性保持部材132の上部に取り付けられている。また、弾性保持部材132の底面には、第1の可動接点131Aおよび第2の可動接点131B(図4参照)が設けられている。また、弾性保持部材132の下側には、ブラケット160が設けられている。ブラケット160の上面には、FPC(Flexible Printed Circuits)162が設けられている。FPC162は、第1の固定接点162Aおよび第2の固定接点162B(図4参照)を有する。第1の固定接点162Aは、第1の可動接点131Aと対向する位置に設けられている。また、第2の固定接点162Bは、第2の可動接点131Bと対向する位置に設けられている。
このように構成されたプッシュスイッチ100は、押ボタン120が押下されていない状態において、第1の可動接点131Aが、第1の固定接点162Aから離間しており、第2の可動接点131Bが、第2の固定接点162Bから離間している。このため、第1の固定接点162Aと第2の固定接点162Bとが非導通状態となり、すなわち、プッシュスイッチ100は、オフ状態となる。
一方、押ボタン120が下方へ押下されると、押ボタン120からの押圧力によって、弾性保持部材132が下方へ撓む。これにより、第1の可動接点131Aが、第1の固定接点162Aに接触するとともに、第2の可動接点131Bが、第2の固定接点162Bに接触する。その結果、第1の固定接点162Aと第2の固定接点162Bとが、弾性保持部材132を介して導通状態となり、よって、プッシュスイッチ100は、オン状態となる。
なお、プッシュスイッチ100は、押ボタン120の押下操作から解放されると、弾性保持部材132の弾性復帰力により、弾性保持部材132の下方へ撓みが解消する。これにより、第1の固定接点162Aと第2の固定接点162Bとが再び非導通状態となり、よって、プッシュスイッチ100は、自動的にオフ状態に復帰する。
また、プッシュスイッチ100は、押ボタン120を前後方向(図中X軸方向、「第2の方向」の一例)に振動させることができるようになっている。具体的には、弾性保持部材132には、「振動体」の一例として、コイル136(図4参照)が設けられている。コイル136は、外部のコントローラ(図示省略)からFPC138を介して通電されることにより、弾性保持部材132を弾性変形させつつ、前後方向に振動する。これにより、弾性保持部材132に取り付けられた押ボタン120が、前後方向に振動することとなる。
例えば、外部のコントローラは、操作者の指によって押ボタン120が押下され、プッシュスイッチ100がオン状態に切り替わったことを検知すると、コイル136に交流電流を供給することにより、コイル136を前後方向に振動させる。これにより、プッシュスイッチ100は、押ボタン120が前後方向に振動し、当該振動により、操作者の指に触覚を呈示することができる。その結果、操作者は、プッシュスイッチ100がオン状態に切り替わったことを触覚的に把握することができる。なお、プッシュスイッチ100は、コイル136を振動させるための交流電流を、外部のコントローラから制御することにより、コイル136の振動周波数、振幅、振動タイミング、振動期間等を制御することができ、これにより、操作者による押下操作に対して多様な触覚を効率的に呈示することが可能である。
特に、プッシュスイッチ100は、押ボタン120のストローク量(すなわち、弾性保持部材132の撓み量)が極めて僅かであるが、押ボタン120に前後方向の振動を生じさせることにより、あたかも押ボタン120のストローク量が大きいかの如く、操作者に触覚を呈示することが可能である。また、プッシュスイッチ100は、押ボタン120に前後方向の振動を生じさせることにより、例えば、あたかも物理的なクリック感呈示機構が存在するかの如く、操作者にクリック感を呈示することも可能である。
(プッシュスイッチ100の構成)
図6は、一実施形態に係るプッシュスイッチ100の分解斜視図である。図6に示すように、プッシュスイッチ100は、上方から順に、押ボタン120、振動ユニット130、フレーム部材150、およびブラケット160を備えて構成されている。
押ボタン120は、「操作部」の一例である。押ボタン120は、下方(図中Z軸負方向)への押下操作がなされる部材である。押ボタン120は、振動ユニット130が備える弾性保持部材132の上部に取り付けられる。押ボタン120は、上方からの平面視において、左右方向(図中Y軸方向)を長手方向とする長方形状を有する。例えば、押ボタン120は、樹脂(例えば、ABS樹脂)、金属等の比較的硬質な素材が用いられて形成される。
振動ユニット130は、押ボタン120を押下操作可能に保持する。具体的には、振動ユニット130は、弾性保持部材132を有しており、当該弾性保持部材132の上部に、押ボタン120が固定的に取り付けられる。弾性保持部材132の底面には、第1の可動接点131Aおよび第2の可動接点131Bが設けられている。弾性保持部材132は、押ボタン120が下方へ押下されると、下方へ撓むことによって、第1の可動接点131Aおよび第2の可動接点131Bを、FPC162に設けられた第1の固定接点162Aおよび第2の固定接点162Bと接触させることができる。これにより、第1の固定接点162Aおよび第2の固定接点162Bは、弾性保持部材132を介して互いに導通状態となり、よって、プッシュスイッチ100は、オン状態に切り替わる。
また、振動ユニット130は、押ボタン120を前後方向(図中X軸方向)に振動させることができる。具体的には、振動ユニット130は、ボビン134に巻設されたコイル136を有している。コイル136は、弾性保持部材132によって前後方向に振動可能に保持されている。コイル136を形成する電線の両端は、FPC138に接続されている。コイル136は、外部のコントローラからFPC138を介して通電されることにより、弾性保持部材132を弾性変形させつつ、前後方向に振動する。これにより、弾性保持部材132の上部に取り付けられた押ボタン120は、前後方向に振動することとなる。なお、振動ユニット130の詳細については、図8および図9を用いて後述する。
フレーム部材150は、筐体110に固定的に取り付けられ、弾性保持部材132を前後方向に振動可能に保持する。フレーム部材150には、弾性保持部材132に設けられたコイル136を振動させるための、永久磁石152およびヨーク154が設けられている。なお、フレーム部材150の詳細については、図7を用いて後述する。
ブラケット160は、フレーム部材150の下側に設けられる平板状の部材である。ブラケット160は、上方からの平面視において左右方向(図中Y軸方向)を長手方向とする長方形状を有する。例えば、ブラケット160は、樹脂、金属等の比較的硬質な素材が用いられて形成される。ブラケットの上面には、FPC162が設けられている。FPC162の表面には、金属膜からなる第1の固定接点162Aおよび第2の固定接点162Bが形成されている。第1の固定接点162Aは、弾性保持部材132に設けられた第1の可動接点131Aと対向する位置に設けられている。第2の固定接点162Bは、弾性保持部材132に設けられた第2の可動接点131Bと対向する位置に設けられている。押ボタン120が押下されたとき、第1の固定接点162Aは、第1の可動接点131Aと接触し、第2の固定接点162Bは、第2の可動接点131Bと接触する。これにより、第1の固定接点162Aおよび第2の固定接点162Bは、弾性保持部材132を介して互いに導通状態となる。第1の固定接点162Aおよび第2の固定接点162Bは、配線等を介して、操作対象機器へ接続される。これにより、プッシュスイッチ100は、押ボタン120が押下されて、第1の固定接点162Aと第2の固定接点162Bとが導通状態となることにより、操作対象機器をオン状態に切り替えることが可能となる。
(フレーム部材150の構成)
図7は、一実施形態に係るフレーム部材150の外観斜視図である。フレーム部材150は、一枚の金属板が加工(例えば、切断加工、折り曲げ加工等)されることによって形成される部材である。例えば、フレーム部材150には、導電性を有する金属素材(例えば、ステンレス板、鋼板等)が用いられる。
図7に示すように、フレーム部材150は、金属板が折り曲げられることにより形成される、コの字断面状の被覆部150Aを有する。また、フレーム部材150において、被覆部150Aに囲まれた空間内には、永久磁石152およびヨーク154が、前後方向(図中X軸方向)に並べて配置されている。永久磁石152およびヨーク154は、いずれも左右方向(図中Y軸方向)に延在する角柱状の部材である。永久磁石152の一方の側面(図中X軸負側の側面)は、被覆部150Aを構成する垂直な壁面に接着される。また、永久磁石152の他方の側面(図中X軸正の側面)は、ヨーク154の側面に接着される。
また、フレーム部材150の左右方向(図中Y軸方向)における両端部には、金属板が上方に折り曲げられることにより形成される、垂直な壁面状の保持部150Bが設けられている。保持部150Bは、弾性保持部材132が有する弾性腕部133(図8~図10参照)の先端部を保持する。フレーム部材150は、弾性保持部材132が4本の弾性腕部133を有するのに伴って、これら4本の弾性腕部133の各々を保持するための、4つの保持部150Bが設けられている。
(振動ユニット130の構成)
図8は、一実施形態に係る振動ユニット130の外観斜視図である。図9は、一実施形態に係る振動ユニット130の分解斜視図である。図8および図9に示すように、振動ユニット130は、弾性保持部材132、ボビン134、コイル136、およびFPC138を有する。
弾性保持部材132は、一枚の金属板が加工(例えば、切断加工、折り曲げ加工等)されることによって形成される部材である。例えば、フレーム部材150には、導電性を有する金属素材(例えば、ステンレス板、鋼板等)が用いられる。
弾性保持部材132は、振動体保持部132A、弾性腕部133、連結部132C、および下側壁部132Dを有する。
振動体保持部132Aは、左右方向(図中Y軸方向)に直線状に延伸する、細長い板状の部分である。振動体保持部132Aは、その内側表面(図中X軸負側の表面)にボビン134が取り付けられることにより、ボビン134およびコイル136を保持する。なお、振動体保持部132Aは、コの字断面形状を有することにより、強度が高められている。
弾性腕部133は、振動体保持部132Aの左右方向(図中Y軸方向)における両外側において、左右方向(図中Y軸方向、「第3の方向」の一例)に直線状に延伸する、細長い板状の部分である。弾性腕部133は、いわゆる板バネとして機能する部分であり、先端部分がフレーム部材150に固定されることにより、先端以外の部分が前後方向(図中X軸方向)に弾性変形し、これにより、振動体保持部132Aに保持されたコイル136を、前後方向(図中X軸方向)へ振動させることが可能である。
本実施形態の弾性保持部材132は、振動体保持部132Aの左右方向(図中Y軸方向)における両外側の各々に、2本の弾性腕部133が互いに平行に設けられている。具体的には、弾性保持部材132は、振動体保持部132Aから、左右方向における正方向(図中Y軸正方向)に延在する弾性腕部133と、左右方向における負方向(図中Y軸負方向)に延在する弾性腕部133とを、一対の弾性腕部133とし、当該一対の弾性腕部133が、2組設けられている。これに限らず、弾性保持部材132は、一対の弾性腕部133が1組または3組以上設けられているものであってもよい。
弾性腕部133は、上下方向(図中Z軸方向)の幅が比較的短く、且つ、左右方向(図中Y軸方向)の長さが比較的長くなっており、すなわち、十分な弾性有効長を有しているため、前後方向(図中X軸方向)に大きく撓むことができるようになっている。これにより、本実施形態のプッシュスイッチ100は、振動体保持部132Aに保持されたコイル136を、前後方向(図中X軸方向)に十分に振動させることができるようになっている。
連結部132Cは、互いに平行な2つの弾性腕部133の上縁部を連結する平板状の部分である。下側壁部132Dは、互いに平行な2つの弾性腕部133のうちの一方の弾性腕部133(図中X軸正側の弾性腕部133であって、振動体保持部132Aから延長して設けられた弾性腕部133)の下縁部に接続された、連結部132Cと平行な平板状の部分である。
ボビン134は、左右方向(図中Y軸方向)に直線状に延伸する、細長い棒状の(すなわち、長手形状を有する)部材である。ボビン134は、振動体保持部132Aの内側表面(図中X軸負側の表面)に取り付けられる。ボビン134の表面(永久磁石152と対向する表面)には、当該表面に対して垂直に立設された、一対の柱部134Aが、左右方向(図中Y軸方向)に並べて設けられている。ボビン134は、一対の柱部134Aに亘って電線が巻設されることにより、コイル136が形成されると同時に、一対の柱部134Aによってコイル136を支持する。ボビン134の左右方向(図中Y軸方向)における、一方の端面および他方の端面の各々には、当該端面に対して垂直に立設された柱部134B(「第1の柱部」および「第2の柱部」の一例)が設けられている。柱部134Bには、コイル136を形成する電線の端部が巻きつけられる。例えば、ボビン134は、樹脂(例えば、液晶ポリマー樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂等)等の比較的硬質な素材が用いられて形成される。
コイル136は、ボビン134に設けられた一対の柱部134Aに亘って、電線が多重に巻かれることによって形成される。コイル136を形成する電線は、電気抵抗が比較的小さい素材を用いることが好ましく、例えば、絶縁体で被覆された銅線が好適に用いられる。コイル136を形成する電線の一端は、ボビン134の一方の柱部134Bに巻きつけられた状態で、FPC138に設けられた電極端子138A(「第1の電極端子」の一例)に対して、半田付け等によって接続される。コイル136を形成する電線の他端は、ボビン134の他方の柱部134Bに巻きつけられた状態で、FPC138に設けられた電極端子138B(「第2の電極端子」の一例)に対して、半田付け等によって接続される。コイル136は、FPC138を介して、外部のコントローラから交流電流が供給されることにより、当該コイル136の周囲に交番磁界を発生させる。これにより、コイル136は、前後方向(図中X軸方向)における一方の端部と他方の端部とが、互いに異なる磁極に磁化されつつ、一方の端部および他方の端部の各々が、N極とS極とに交互に磁化されることとなる。
FPC138は、帯状且つ可撓性を有する配線部材である。FPC138は、コイル136に交流電流を供給するために、コイル136と外部のコントローラとを接続する。FPC138は、金属膜からなる配線を、ポリイミド等の樹脂材料からなる絶縁層により挟んだ構造を有する。FPC138には、金属膜からなる2つの電極端子138A,138Bが形成されている。電極端子138Aは、半田付け等によってコイル136を形成する電線の一端に接続される。電極端子138Bは、半田付け等によってコイル136を形成する電線の他端に接続される。FPC138は、電極端子138A,138Bが形成されている部分において、絶縁層の幅を部分的に拡大する拡大部138Cを有する。拡大部138Cは、コイル136側(図中X軸負側)に直角に折り曲げられることにより、電極端子138A,138Bの上方(図中Z軸正方向)および下方(図中Z軸負方向)を保護する保護壁となり、電極端子138A,138Bに半田付けされたコイル136の端部が、金属素材からなる弾性保持部材132(連結部132Cおよび下側壁部132D)と短絡しないようにすることができる。
FPC138は、振動体保持部132Aおよび一の弾性腕部133の内側表面(図中X軸負側の表面)に沿って直線状に敷設され、一の弾性腕部133の先端から、弾性保持部材132の外部へ引き出される。FPC138の一部は、振動体保持部132Aにボビン134が取り付けられることにより、振動体保持部132Aとボビン134との間に挟持される。これにより、FPC138は、撓み、折れ曲がり、他の部材への干渉等が生じることなく、振動体保持部132Aに沿って直線状に敷設された状態を、安定的に維持できるようになっている。なお、FPC138の上下方向の幅は、振動体保持部132Aおよび弾性腕部133の上下方向の幅よりも短くなっている。これにより、FPC138は、振動体保持部132Aおよび弾性腕部133から上下方向にはみ出すことなく、振動体保持部132Aおよび弾性腕部133に沿って敷設可能となっている。
(フレーム部材150および振動ユニット130の結合状態)
図10は、一実施形態に係るフレーム部材150および振動ユニット130の結合状態を示す外観斜視図である。図11は、図10に示すフレーム部材150および振動ユニット130のA-A断面図である。
図10に示すように、フレーム部材150に設けられた4つの保持部150Bの各々に対し、弾性保持部材132が有する4本の弾性腕部133の各々の先端部が接着される。これにより、フレーム部材150は、弾性保持部材132を前後方向(図中X軸方向)に振動可能に保持する。
また、図11に示すように、振動体保持部132Aによってボビン134とともに保持されたコイル136は、フレーム部材150が有するコの字断面状の被覆部150Aに囲まれた空間内に配置される。これにより、コイル136は、上方および下方が被覆部150Aの上壁部および下壁部によって覆われた状態となる。
また、被覆部150Aに囲まれた空間内には、永久磁石152およびヨーク154(「第1のヨーク」の一例)が、前後方向(図中X軸方向)に並べて設けられている。被覆部150Aに囲まれた空間内にコイル136が配置されることにより、永久磁石152およびヨーク154は、コイル136に囲まれた空間内に配置されることとなる。
被覆部150Aは、永久磁石152と磁気的に接続されているため、コイル136の上方および下方を覆う「第2のヨーク」として機能する。すなわち、コイル136は、ヨーク154(第1のヨーク)と被覆部150A(第2のヨーク)との間に挟まれた状態となる。これにより、本実施形態のプッシュスイッチ100は、コイル136の内側に設けられた第1のヨーク(ヨーク154)と、コイル136の外側に設けられた第2のヨーク(被覆部150A)との間に、上下方向に磁束を生じさせることができ、当該磁束を遮るようにコイル136が配置されることで、永久磁石152とコイル136との間における磁気効率を高めることができるようになっている。
(コイル136の動作)
図12Aおよび図12Bは、一実施形態に係るコイル136の動作を説明するための図である。図12Aおよび図12Bでは、コイル136、永久磁石152、ヨーク154、および被覆部150Aの断面を、簡略的に表している。
図12Aおよび図12Bに示すように、永久磁石152は、前後方向(図中X軸方向)に着磁されている。図12Aおよび図12Bに示す例では、永久磁石152のX軸負側が、N極(「第2の磁極」の一例)に着磁されており、永久磁石152のX軸正側が、S極(「第1の磁極」の一例)に着磁されている。
本実施形態のプッシュスイッチ100は、コイル136に交流電流を流し、コイル136の周囲に交番磁界を発生させることにより、前後方向(図中X軸方向)にローレンツ力が発生する。
例えば、図12Aに示すように、コイル136に対して一の方向に電流を流した場合、永久磁石152と各ヨークとによって形成された磁界により、フレミングの左手の法則に従い、コイル136にはX軸正側へローレンツ力が発生する。これにより、コイル136は、弾性保持部材132を弾性変形させつつ、X軸正方向(図中矢印D1方向)へ移動する。
一方、図12Bに示すように、コイル136に対して他の方向に電流を流した場合、永久磁石152と各ヨークとによって形成された磁界により、フレミングの左手の法則に従い、コイル136にはX軸負側へローレンツ力が発生する。これにより、コイル136は、弾性保持部材132を弾性変形させつつ、X軸負方向(図中矢印D2方向)へ移動する。
このように、本実施形態のプッシュスイッチ100においては、コイル136に電流を流す方向に応じて、コイル136の移動方向が決定づけられる。従って、本実施形態のプッシュスイッチ100は、コイル136に交流電流を供給して、コイル136の移動方向を交互に切り替えることにより、コイル136を前後方向に振動させることができるようになっている。
ここで、コイル136は、弾性保持部材132によって支持されており、第1の固有振動数により、前後方向(図中X軸方向)に沿って振動する。第1の固有振動数は、弾性保持部材132に固有の弾性係数、コイル136の質量等に応じて定まるものである。すなわち、本実施形態のプッシュスイッチ100は、コイル136に供給する交流電流の周波数を外部回路から制御して、第1の固有振動数と同じ周波数の交番磁界を、コイル136に発生させることにより、コイル136を前後方向(図中X軸方向)に十分に振動させることができるようになっている。
(プッシュスイッチ100の各部の構成)
図13は、一実施形態に係るプッシュスイッチ100のYZ平面による断面図である。図14は、図13に示すプッシュスイッチ100の一部拡大図である。なお、図14では、プッシュスイッチ100における、押ボタン120の一端部(図中Y軸負側の端部)の近傍を拡大して示しているが、プッシュスイッチ100は、左右対称構造を有しているため、押ボタン120の他端部(図中Y軸正側の端部)の近傍も、同様の構成を有する。
図13および図14に示すように、押ボタン120は、左右方向(図中Y軸方向)における両端部に、下方へ延在する爪部122が設けられている。押ボタン120は、2つの爪部122の各々が、弾性保持部材132が有する2つの連結部132Cの各々の縁部に係合することにより、弾性保持部材132に固定的に取り付けられる。
また、図13に示すように、弾性保持部材132は、振動体保持部132Aの左右方向(図中Y軸方向)における両外側の各々に、互いに平行な連結部132Cおよび下側壁部132Dを有する。一方(図中Y軸負側)の下側壁部132Dの底面には、第1の可動接点131Aが下方へ突出して設けられている。同様に、他方(図中Y軸正側)の下側壁部132Dの底面には、第2の可動接点131Bが下方へ突出して設けられている。第1の可動接点131Aは、FPC162に設けられた第1の固定接点162Aと対向する位置に設けられている。第2の可動接点131Bは、FPC162に設けられた第2の固定接点162Bと対向する位置に設けられている。
図14に示すように、押ボタン120が押下されていない状態において、第1の可動接点131Aは、第1の固定接点162Aから離間している。同様に、第2の可動接点131Bは、第2の固定接点162Bから離間している。このため、第1の固定接点162Aと第2の固定接点162Bとが非導通状態となり、すなわち、プッシュスイッチ100は、オフ状態となる。
一方、押ボタン120が下方へ押下されると、押ボタン120からの押圧力によって、弾性保持部材132が下方へ撓む。これにより、第1の可動接点131Aが、第1の固定接点162Aに接触するとともに、第2の可動接点131Bが、第2の固定接点162Bに接触する。その結果、第1の固定接点162Aと第2の固定接点162Bとが、弾性保持部材132を介して導通状態となり、よって、プッシュスイッチ100は、オン状態となる。
押ボタン120の底面において、フレーム部材150の被覆部150Aの上壁部と対向する部分には、下方に突出した2つの突起部124が設けられている。突起部124は、弾性保持部材132の撓み量を規制する「規制部」の一例である。図14に示すように、突起部124は、押ボタン120が押下されていないとき、被覆部150Aの上壁部との間に一定の間隔I1を有している。そして、突起部124は、押ボタン120が下方へ押下されたとき、被覆部150Aの上壁部に当接することにより、押ボタン120の下方への移動を係止する。すなわち、突起部124は、押ボタン120の押し込み量を、上記間隔I1に制限するものである。これにより、突起部124は、押ボタン120が必要以上に下方へ押し込まれて、弾性保持部材132が撓み過ぎてしまうことを防止することができる。
また、ボビン134の左右方向(図中Y軸方向)における両端面には、円柱状の柱部134Bが設けられている。一方(図中Y軸負側)の柱部134Bは、FPC138に設けられた電極端子138Aと対向する位置に設けられており、コイル136を形成する電線の一端が巻きつけられる。他方の(図中Y軸正側)の柱部134Bは、FPC138に設けられた電極端子138Bと対向する位置に設けられており、コイル136を形成する電線の他端が巻きつけられる。これにより、2つの柱部134Bは、コイル136を形成する電線の両端部を支持するとともに、電極端子138A,138Bに対する当該両端部の接触面積を拡大し、当該両端部の半田付けによる接合強度を高めることができるようになっている。
また、FPC138は、電極端子138A,138Bが設けられている部分に、FPC138の絶縁層の幅を部分的に拡大する拡大部138Cが設けられており、当該拡大部138Cにより、柱部134Bの上方および下方を保護し、柱部134Bに巻きつけられたコイル136を形成する電線の端部が、金属素材からなる弾性保持部材132(連結部132Cおよび下側壁部132D)と短絡しないようにすることが可能となっている。
また、連結部132Cおよび下側壁部132Dには、コイル136側に向って突出した、平板状の上下一対の爪部132Eが設けられている。一対の爪部132Eは、各々が内側に折り曲げられて両者の間隔が狭められることにより、当該一対の爪部132Eの各々の破断面がボビン134の表面と当接して、ボビン134を振動体保持部132Aに固定することができる。
図15は、一実施形態に係るプッシュスイッチ100における一対の爪部132Eによるボビン134の固定構造を示す一部拡大図である。図15に示すように、一対の爪部132Eの各々の破断面(ボビン134の側面と対向する破断面)は、その先端側に向って徐々にボビン134の表面からの離間量が増加するように、ボビン134の表面に対して傾斜している。これにより、一対の爪部132Eの各々は、内側への折り曲げ量を調整することによって、ボビン134の表面との当接位置を調節することができるようになっている。すなわち、一対の爪部132Eは、ボビン134の製造寸法に個体差が生じている場合であっても、内側への折り曲げ量を調整することにより、実際のボビン134の製造寸法に応じた当接位置で、ボビン134を固定することができる。
以上説明したように、本実施形態のプッシュスイッチ100は、下方への押下操作が可能な押ボタン120と、押ボタン120を前後方向に振動可能に保持する弾性保持部材132と、弾性保持部材132を前後方向に振動可能に保持するフレーム部材150と、弾性保持部材132に設けられ、前後方向への振動を発生させるコイル136とを備える。これにより、本実施形態のプッシュスイッチ100は、コイル136に振動を発生させることにより、コイル136と一体的に、押ボタン120を前後方向に振動させることができる。また、本実施形態のプッシュスイッチ100は、コイル136に供給する電流を制御することにより、多様な振動を押ボタン120に生じさせることができる。したがって、本実施形態のプッシュスイッチ100によれば、比較的簡易な構成により、押下操作を行った操作者に対して、多様な触覚を効率的に呈示することが可能なプッシュスイッチを実現することができる。
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、フレーム部材150に、永久磁石152を設け、弾性保持部材132に、「振動体」としてコイル136を設けるようにしているが、これに限らない。例えば、フレーム部材150に、コイル136を設け、弾性保持部材132に、「振動体」として永久磁石152を設けるようにしてもよい。
本国際出願は、2018年5月23日に出願した日本国特許出願第2018-098721号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容を本国際出願に援用する。
100 プッシュスイッチ
110 筐体
120 押ボタン
124 突起部(規制部)
130 振動ユニット
131A 第1の可動接点
131B 第2の可動接点
132 弾性保持部材
133 弾性腕部
134 ボビン
136 コイル
138 FPC
150 フレーム部材
150A 被覆部(第2のヨーク)
152 永久磁石
154 ヨーク(第1のヨーク)
160 ブラケット
162 FPC
162A 第1の固定接点
162B 第2の固定接点

Claims (11)

  1. 第1の方向への押下操作が可能な操作部と、
    前記操作部を前記第1の方向と交差する第2の方向に振動可能に保持する弾性保持部材と、
    前記弾性保持部材を前記第2の方向に振動可能に保持するフレーム部材と、
    前記弾性保持部材に設けられ、前記第2の方向への振動を発生させる振動体とを備え、
    前記フレーム部材に固定的に設けられた永久磁石をさらに備え、
    前記振動体は、通電されることによって前記永久磁石との間に磁界を形成することにより、前記第2の方向への振動を発生させるコイルを有し、
    前記永久磁石は、
    前記コイルに囲まれた空間内に設けられている
    ことを特徴とするプッシュスイッチ。
  2. 前記永久磁石の第1の磁極に磁気的に接続され、且つ、前記コイルに囲まれた空間内に配置される第1のヨークと、
    前記永久磁石の第2の磁極に磁気的に接続され、且つ、前記コイルの外周面を覆うように配置される第2のヨークと
    を有することを特徴とする請求項に記載のプッシュスイッチ。
  3. 前記第2のヨークは、
    前記フレーム部材に一体的に形成されている
    ことを特徴とする請求項に記載のプッシュスイッチ。
  4. 第1の方向への押下操作が可能な操作部と、
    前記操作部を前記第1の方向と交差する第2の方向に振動可能に保持する弾性保持部材と、
    前記弾性保持部材を前記第2の方向に振動可能に保持するフレーム部材と、
    前記弾性保持部材に設けられ、前記第2の方向への振動を発生させる振動体とを備え、
    前記フレーム部材に固定的に設けられた永久磁石をさらに備え、
    前記振動体は、通電されることによって前記永久磁石との間に磁界を形成することにより、前記第2の方向への振動を発生させるコイルを有し、
    前記コイルを支持する長手形状のボビンと、
    前記コイルを形成する電線に接続される帯状の配線部材と
    をさらに備え、
    前記弾性保持部材は、前記ボビンが取り付けられる取り付け面を有し、
    前記配線部材は、前記ボビンの長手形状に沿って敷設され、且つ、前記ボビンと前記取り付け面との間で挟持される
    ことを特徴とするプッシュスイッチ。
  5. 前記ボビンは、
    前記長手形状における一端側に設けられ、前記電線の一端が巻きつけられる第1の柱部と、
    前記長手形状における他端側に設けられ、前記電線の他端が巻きつけられる第2の柱部とを有し、
    前記配線部材は、
    前記第1の柱部と対向する位置に設けられ、前記電線の一端に接続される第1の電極端子と、
    前記第2の柱部と対向する位置に設けられ、前記電線の他端に接続される第2の電極端子とを有する
    ことを特徴とする請求項に記載のプッシュスイッチ。
  6. 前記配線部材は、
    前記第1の電極端子を有する部分と、前記第2の電極端子を有する部分との各々に、当該配線部材の帯幅を部分的に拡大する拡大部を有する
    ことを特徴とする請求項に記載のプッシュスイッチ。
  7. 前記弾性保持部材は、
    前記ボビンの表面と対向する破断面によって、前記ボビンの表面を前記取り付け面の方向に押さえつけることにより、前記ボビンを固定することが可能な爪部を有し、
    前記爪部は、
    前記ボビンの表面に対して水平方向に折り曲げ可能であり、
    前記破断面は、
    前記ボビンの表面に対して傾斜しており、前記爪部の折り曲げ量に応じて、前記ボビンの表面と当接する高さ位置が可変である
    ことを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載のプッシュスイッチ。
  8. 第1の方向への押下操作が可能な操作部と、
    前記操作部を前記第1の方向と交差する第2の方向に振動可能に保持する弾性保持部材と、
    前記弾性保持部材を前記第2の方向に振動可能に保持するフレーム部材と、
    前記弾性保持部材に設けられ、前記第2の方向への振動を発生させる振動体とを備え、
    前記弾性保持部材は、
    前記振動体を保持する振動体保持部と、
    前記振動体保持部から、前記第1の方向および第2の方向の各々と交差する第3の方向に沿って、当該第3の方向における正方向および負方向の各々に延在し、各々の先端部が前記フレーム部材に固定される、一対の弾性腕部と
    を有することを特徴とするプッシュスイッチ。
  9. 前記弾性保持部材は、
    前記一対の弾性腕部を、複数有する
    ことを特徴とする請求項に記載のプッシュスイッチ。
  10. 第1の方向への押下操作が可能な操作部と、
    前記操作部を前記第1の方向と交差する第2の方向に振動可能に保持する弾性保持部材と、
    前記弾性保持部材を前記第2の方向に振動可能に保持するフレーム部材と、
    前記弾性保持部材に設けられ、前記第2の方向への振動を発生させる振動体とを備え、
    前記弾性保持部材の底面に設けられ、前記押下操作によって前記弾性保持部材が前記第1の方向へ撓むことにより、前記第1の方向へ移動可能な可動接点と、
    前記可動接点と対向して設けられ、前記可動接点の前記第1の方向への移動により、前記可動接点と接触する固定接点と
    をさらに備えることを特徴とするプッシュスイッチ。
  11. 前記操作部は、
    前記第1の方向に突出して設けられ、前記押下操作がなされたときに、前記フレーム部材と当接することにより、前記弾性保持部材の前記第1の方向への撓み量を規制する規制部を有する
    ことを特徴とする請求項10に記載のプッシュスイッチ。
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