JP3858546B2 - 高炭素熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
高炭素熱延鋼板の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3858546B2 JP3858546B2 JP2000008057A JP2000008057A JP3858546B2 JP 3858546 B2 JP3858546 B2 JP 3858546B2 JP 2000008057 A JP2000008057 A JP 2000008057A JP 2000008057 A JP2000008057 A JP 2000008057A JP 3858546 B2 JP3858546 B2 JP 3858546B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- temperature
- hot
- steel sheet
- rolled steel
- hardness
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炭素鋼板の製造方法に関し、特に熱間圧延後の球状化焼鈍を省略し、生産性良く加工性に優れた高炭素熱延鋼板を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高炭素鋼板は通常、加工性を向上させるため、熱延コイルを焼鈍し、炭化物を球状化させる。しかし、このような球状化焼鈍は、一旦、常温まで冷却したコイルを再度加熱し、極めて長い時間(全工程約4日)を要する。そこで、熱延後の熱処理で球状化焼鈍を行う技術が提案されている。
【0003】
特公昭55−37575号公報は、熱延後50〜90%のオーステナイトが層状パーライトに変態する状態にまで冷却して巻取り、コイル状態で徐冷ボックスに装入し、20℃/hr以下で冷却する技術である。復熱を利用して球状化処理を行なうため巻取温度が600℃未満のような場合、徐冷カバー内の温度が低く、球状化が十分なされず硬度低下が十分でない。
【0004】
特開昭63−183129号公報には、熱間圧延後、冷却速度20℃/S以上の急冷を行ない、変態点以上650℃以下で停止し、オーステナイトからパーライトへの変態が50%終了する以前に巻取り、保温カバー内に入れて600℃まで20℃〜200℃/hrで冷却する技術が提案されている。
しかし、この技術では、保温カバー内に入れてから600℃までの冷却速度が20〜200℃/hrと速く、フェライトの粒成長が十分なされず、通常の球状化焼鈍(バッチ焼鈍)ほど硬度が低下せず、十分な加工性が得られない。
【0005】
特公昭55−17087号公報には、熱間圧延後、500〜650℃の温度となっている巻取り直後の熱間圧延鋼帯を660℃以上Ac1変態点以下に再加熱し、600℃に達するまでを1.0℃/min以下の冷却速度で徐冷する技術が提案されている。この技術の場合、復熱を利用せず、かつ巻取温度が600〜650℃と低いため、再加熱に大きなエネルギーを必要とし生産コストが上昇する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、特別な加熱設備によらず、熱延鋼板の保有熱を利用し、ミクロ組織を制御することで、低コストで生産性良く、熱延ままでも球状化焼鈍材と同等の低硬度で、加工性に優れる高炭素熱延鋼板の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、高炭素熱延鋼板の軟質化に及ぼす製造条件の影響について詳細に検討した。その結果、圧延条件、徐冷カバーにおける冷却条件を適正に制御した場合、球状化焼鈍を省略しても、同等の低硬度が得られ、加工性に優れた高炭素熱延鋼板が得られることを見出した。本発明はこれら知見を基にさらに検討を加えてなされたものである。
【0008】
1.質量%で、Cを0.2%以上1.0%以下含有する高炭素鋼を熱間圧延後、650℃超〜720℃で巻取り、巻取り後20分以内に徐冷カバーに装入し、600〜720℃で少なくとも15hr滞留させることを特徴とする高炭素熱延鋼鈑の製造方法。
【0009】
なお、上記製造方法において、熱間圧延後、ランナウトテーブル上での鋼板温度(中間温度)を650℃以上とすることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
[化学成分]
C量:0.2%以上1.0%以下
C量は強度を確保するため、0.2%以上含有する。一方、1.0%を越えると網目状炭化物が顕著となり、軟質化し難く、またその効果も小さいため、1.0%以下とすることが望ましい。尚、0.2%未満の場合、球状化焼鈍が要求されることはなく、軟質化の効果も小さい。
【0011】
[製造条件]
1.仕上げ熱延後の中間温度:650℃以上
仕上げ熱延後のランナウトテーブル上での鋼板温度(以後、中間温度)は、熱延後のフェライト粒径を変化させ、硬度に大きな影響を及ぼす。板面硬度(HRB)を90以下とし、安定して軟質化する場合、仕上げ熱延後、中間温度を650℃以上とする。
【0012】
図1に熱延板の硬度およびフェライト粒径と中間温度の関係を示す。S50C相当の鋼の鋳造スラブを加熱後、熱間圧延において820℃で仕上げ圧延を終了し、冷却速度の調整により中間温度を種々変化させ、655℃で巻取り後、直ちに(20min以内)徐冷カバーに装入し、冷却した。このとき600℃までの滞留時間は20hrで、板厚は3.2mmである。
【0013】
得られた鋼板は、コイルM部からサンプルを切りだし、板面硬度測定(HRB)およびフェライト粒径を測定した。その結果、中間温度の上昇とともに、フェライト粒径の粗大化により、硬度が低下し、中間温度が650℃以上で板面硬度(HRB):90以下となり、安定して軟質化する。
【0014】
2.巻取温度:650℃超〜720℃
巻取温度は、その後の徐冷カバー内での炭化物の球状化に大きな影響を及ぼし、軟質化の重要な条件である。650℃を超えると球状化率が上昇し、硬度が低下する。720℃を超えると球状化率が低下し、硬度が上昇するので650℃超〜720℃とする。
【0015】
図2に、熱延後の硬度および炭化物の球状化率と巻取温度の関係を示す。
【0016】
S50C相当の鋼(C:0.50%,Si:0.2%,Mn:0.75%,P:0.018%,S:0.004%,Al:0.03%)の鋳造スラブを加熱後熱間圧延において、820℃で仕上げ圧延を終了し、中間温度700℃とし、その後の冷却帯で冷却速度を調節し、巻取温度を種々変化させ、巻取り後、直ちに(20分以内)徐冷カバーに装入し、冷却した。このとき、600℃までの滞留時間は20hrである。熱延板の板厚はいずれも3.2mmとした。得られた鋼板のコイルM部からサンプルを採取し、板面硬度測定(HRB),炭化物球状化率を測定した。
【0017】
その結果、巻取温度の上昇とともに球状化率が上昇し、特に巻取温度が650℃を超えると顕著となり、硬度が低下しているが、720℃を超えると球状化率が低下し、硬度が上昇している。Ar1変態点以上で徐冷カバーに装入されたためパーライトが著しく粗大化し、その後の徐冷中においても球状化焼鈍されなかったものと考えられる。
【0018】
尚、本発明では仕上熱延後、放冷により、中間温度、巻取温度が規定した温度を満足するようにすることが望ましい。
【0019】
3.徐冷カバーまでのコイル搬送時間:20分以内
コイルの搬送時間が20分を超えて長くなると、コイル温度が低下し、徐冷カバー内で600℃以上15hr以上の滞留時間が得られず、軟質化が達成できないため、20分以内とする。
【0020】
4.徐冷カバー冷却条件:600〜720℃で少なくとも15hr
徐冷カバー装入後の熱延コイル冷却条件は、炭化物の球状化およびフェライトの粒成長に大きな影響を及ぼし、適正に制御すべき重要な要件である。
【0021】
徐冷カバー内におけるコイルの滞留温度(軟質化温度)が600℃未満の場合、炭化物の球状化に時間を要し、フェライト粒の成長も得られない。一方、720℃を超える場合、粗大パーライトが生成し、球状化の進行が極めて遅くなるため600〜720℃とする。
【0022】
滞留時間は軟質化の観点から長時間が好ましい。15hr未満の場合、炭化物の球状化が得られても、その後の炭化物のオストワルド成長によるフェライト粒の成長が十分でなく、球状化焼鈍材と同水準の軟質化が得られないため、少なくとも15hrとする。尚、冷却終了は、生産性の観点から短時間が好ましく、滞留温度(軟質化温度)より低く、かつスケール変態終了後とするため400℃以下とする。
【0023】
本発明に係る鋼板の製造方法では、スラブ加熱後圧延する方法、連続鋳造後加熱処理を施して、あるいは該加熱工程を省略して、直ちに圧延する方法のいずれでもよい。粗圧延の際に、複数(2本以上)のスラブを接合して熱間圧延してもよい。また、熱間圧延中、バーヒータにより加熱を行なってもよい。鋼板の仕上圧延機出側温度は、材質確保の点からAr3点以上が好ましい。さらに、徐冷カバーの形態は、特に規定されるものでなく、巻取り時にそのまま保熱することが可能なコイルボックスでもよい。また、徐冷カバー内の雰囲気は、大気などの酸化雰囲気、不活性ガス、還元ガスなどの非酸化雰囲気のいずれでもよい。また、本発明による熱延鋼板を、その後、冷間圧延し、冷延鋼板とすることができる。
【0024】
【実施例】
本発明の効果を実施例を用いて詳細に説明する。
【0025】
表1に示す化学成分の供試鋼を連続鋳造にて鋳片とし、粗圧延後、A鋼は860℃、B鋼は820℃にて仕上圧延を終了した後、ランナウトテーブル上で制御冷却を行ない、中間温度(MT)および巻取温度を種々変化させた。
【0026】
巻取り後、徐冷カバーへ装入し、400℃まで種々の冷却速度で冷却し、その後、徐冷カバーを外し大気中にて放冷した。比較材として700℃×40hrの条件による球状化焼鈍材も製造した。熱延板の板厚はいずれも3.2mmとした。
【0027】
得られた鋼板のコイルのM部からサンプルを切り出し、板面硬度(HRB)測定および光学顕微鏡による炭化物の球状化率、フェライト粒径を測定した。
【0028】
表2に製造条件を、表3に測定結果を示す。表2の製造条件において、鋼No.A3、B3は,コイル搬送条件、徐冷カバー内の滞留条件が本発明の範囲外で請求項1,2記載の発明の比較例であり、鋼No.A4,A6,B4,B6は,巻取温度が本発明の範囲外で請求項1,2記載の発明の比較例となっている。
【0029】
鋼No. A5,B5はランナウトテーブル上における中間温度が本発明の好ましい温度範囲(650℃以上)の範囲外であるが、本発明の範囲である。表3から明らかのように、本発明例では球状化焼鈍材とほぼ同等の軟質化が得られているのに対し、比較例では軟質化が十分でない。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、特別な加熱設備も必要とせず、熱延ままで球状化とともにフェライト粒成長がなされ、球状化焼鈍材と同等の低硬度が得られることから、従来の熱延後、球状化焼鈍材より低コストで、かつ短時間で加工性の優れた高炭素熱延鋼板を製造することが可能となり、又,その後冷延した場合、冷間圧延負荷が低減し、産業上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】高炭素熱延鋼板(S50C)のフェライト粒径および硬度に及ぼす中間温度の影響を示す図
【図2】高炭素熱延鋼板(S50C)の炭化物球状化率および硬度に及ぼす巻取温度の影響を示す図
Claims (1)
- 質量%で、Cを0.2%以上1.0%以下含有する高炭素鋼を熱間圧延後、650℃超〜720℃で巻取り、巻取り後20分以内に徐冷カバーに装入し、600〜720℃で少なくとも15hr滞留させることを特徴とする高炭素熱延鋼鈑の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000008057A JP3858546B2 (ja) | 2000-01-17 | 2000-01-17 | 高炭素熱延鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000008057A JP3858546B2 (ja) | 2000-01-17 | 2000-01-17 | 高炭素熱延鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001200315A JP2001200315A (ja) | 2001-07-24 |
JP3858546B2 true JP3858546B2 (ja) | 2006-12-13 |
Family
ID=18536394
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000008057A Expired - Fee Related JP3858546B2 (ja) | 2000-01-17 | 2000-01-17 | 高炭素熱延鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3858546B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6256184B2 (ja) * | 2014-05-12 | 2018-01-10 | Jfeスチール株式会社 | 高強度鋼板の製造方法 |
-
2000
- 2000-01-17 JP JP2000008057A patent/JP3858546B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001200315A (ja) | 2001-07-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2009185386A (ja) | 無方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2001152250A (ja) | 磁気特性に優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP6950723B2 (ja) | 方向性電磁鋼板の製造方法 | |
US4116729A (en) | Method for treating continuously cast steel slabs | |
HU177279B (en) | Process for producing boron-doped silicon steel having goss-texture | |
JP3823653B2 (ja) | 高炭素熱延鋼板の製造方法 | |
JP3858546B2 (ja) | 高炭素熱延鋼板の製造方法 | |
JP2006265604A (ja) | 伸びフランジ性に優れた軟質高加工性高炭素熱延鋼板の製造方法 | |
US5637157A (en) | Method for making non-oriented magnetic steel sheet | |
JPH055126A (ja) | 無方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH08143964A (ja) | 方向性けい素鋼板の製造方法 | |
JPS5974222A (ja) | 電磁特性の優れた無方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH01162725A (ja) | 磁気特性の良好な珪素鋼板の製造方法 | |
JPH08157963A (ja) | 一方向性けい素鋼板の製造方法 | |
JP4240590B2 (ja) | 低炭素鋼冷延板の製造方法 | |
JPS5913030A (ja) | 深絞り性の優れたAlキルド冷延鋼板の製造法 | |
JP2985730B2 (ja) | 高炭素冷延鋼帯の製造方法 | |
JP3613015B2 (ja) | 高延性および高焼入れ性を有する高炭素鋼板の製造方法 | |
JPH10259422A (ja) | 鉄損特性の良好な方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH07300619A (ja) | 無方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPS59113121A (ja) | 低炭素熱延鋼板の製造法 | |
KR100817156B1 (ko) | 자기적 성질이 뛰어난 방향성 전기강판의 제조방법 | |
JPS59205417A (ja) | 球状化組織を有する中高炭素鋼鋼板の製造方法 | |
JPH05279742A (ja) | 高い磁束密度を有する珪素鋼板の製造方法 | |
JPH0353022A (ja) | 低鉄損・高磁束密度無方向性電磁鋼板の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060110 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060309 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060606 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060804 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060829 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060911 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090929 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100929 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100929 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110929 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110929 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120929 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120929 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130929 Year of fee payment: 7 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |