JP3858176B2 - 膜構造材料 - Google Patents

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Description

技術分野
この発明は、ドーム球場、体育館、競技場および多目的ホール等の恒久的な膜構造建築物の屋根材等に使用される膜構造材料に関し、長期の使用に耐えうるようにセルフクリーニング機能を付与し、高い防汚性をもたせたものである。
背景技術
近年、ドーム球場、体育館、競技場および多目的ホール等の恒久的な膜構造建築物の屋根材として、ガラス繊維を主材とする織布を基布とし、この表面をフッ素樹脂層で被覆してなる膜構造材料が使用されている。この膜構造材料は、光透過性を有しながら不燃で機械的強度が高く、しかも、軽量かつ柔軟性に富むという利点を有しており、建築材料としての規模を拡大してきた。
しかしながら、この膜構造材料は、長年使用すると大気中の煤煙、ほこり、細砂等の物質が膜表面に付着して次第に汚れ、外観が悪くなるという問題点がある。この原因は、フッ素樹脂が、非粘着性を有しており離型性に優れるが、表面・体積抵抗値が極めて大きく、誘電率が小さいため風等のフラッタリング等により膜材に静電気が蓄積する。そのため、静電気により膜表面にほこりや細砂等の物質を吸着し、さらに都市部では排気ガス等の有機物(例えば油汚れ)をバインダーとし、ごみ等が付着するためである。
又、この膜構造材料を使用した膜構造建築物を製造する工場、施工現場では静電気により、施工完了前にほこりが膜表面に付着して汚れるだけでなく、作業者が膜構造材料に蓄積された静電気により感電するという問題点もあった。
この発明では、膜構造材料に付着した有機物からなる汚れを、光触媒による光酸化分解・親水化により、分解除去し、長期にわたり高い防汚性を発現する膜構造材料を提供することを目的とする。
さらなる課題として、風等のフラッタリング、物体(物質)との接触による摩擦・摩耗により発生し蓄積される静電気を抑制し、汚れの原因となるほこり、細砂等の付着を軽減する膜構造材料を提供することを目的とする。
発明の開示
この発明では、ガラス繊維を主材料とする基布の表面に、フッ素樹脂表面層を設けた膜構造材料であって、フッ素樹脂表面層に無色透明若しくは白色の光触媒粉末を坦持・露出させた膜構造材料とした。
このようにすれば、膜構造材料の表面に付着した有機物からなる汚れは光触媒による光酸化分解・親水化により分解されて洗い流される。また、無色透明若しくは白色の光触媒を使用することにより、膜構造材料に坦持・露出させても膜構造材料としての透光性に影響を及ぼすことがない。
前記に使用する光触媒は、光触媒活性の高いアナターゼ型二酸化チタンとすることが好ましい。
前記に使用するフッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体とすることが好ましい。
テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体を使用すれば、熱溶着により膜構造材料同士の接合が可能になる。
さらに、この発明では、ガラス繊維を主材料とする基布の表面に、フッ素樹脂表面層を設けた膜構造材料であって、フッ素樹脂表面層に、無色透明若しくは白色の光触媒粉末と、無色透明若しくは白色の導電作用を有する粉末を坦持・露出させた膜構造材料とした。
このようにすれば、光触媒による光酸化分解・親水化作用に加え、膜構造材料が導電作用を有するようになり、静電気が膜構造材料に蓄積されなくなる。
前記の発明において使用する光触媒は、光触媒活性の高いアナターゼ型二酸化チタンとすることが好ましい。
前記の発明において使用するフッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体とすることが好ましい。
テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体を使用すれば、熱溶着による膜構造材料同士の接合が可能になる。
導電作用を有する粉末は、二酸化錫とすることができる。
二酸化錫は、白色であり、しかも空気中で加熱しても安定しているため、膜構造材料を熱により接合しても影響がない。
導電作用を有する粉末は、アンチモンをドーピングした二酸化錫を表面に被覆したルチル型二酸化チタンとすることもできる。
さらに、導電作用を有する粉末は、アンチモンをドーピングした二酸化錫を表面に被覆したアナターゼ型二酸化チタンとすることもできる。
発明を実施するための形態
この発明は、恒久膜構造建築物の屋根材等に使用されるガラス繊維を主材料とする織布を基布とし、この表面をフッ素樹脂層で被覆してなる膜構造材料の最外層表面のフッ素樹脂中に光触媒粉末を単独に、あるいは電導体の粉末を併用したフッ素樹脂層を持つ膜構造材料である。以下、基布に前記のフッ素樹脂層を形成させるための方法について詳しく説明する。
(フッ素樹脂)
この発明に用いるフッ素樹脂としては、フッ素樹脂モノマーの重合体、例えば、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPE)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)等が挙げられる。
膜構造材料同士を接合する場合は、接合部分の防水性を保つために、膜構造材料に熱を加えてフッ素樹脂を溶かして接合する接合法を用いることが好ましく、使用するフッ素樹脂は、融点以上の温度をかけると容易に溶融するテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)を選択することが好ましい。
(光触媒)
使用する光触媒(光半導体)は、無色透明若しくは白色の粉末を使用することが好ましく、アナターゼ型二酸化チタン(TiO、バンドギャップ3.2eV、波長388nm)、酸化亜鉛(ZnO、バンドギャップ3.2eV、波長388nm)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO、バンドギャップ3.2eV、波長388nm)、三酸化タングステン(WO、バンドギャップ3.2eV、波長388nm)、ルチル型二酸化チタン(TiO、バンドギャップ3.0eV、波長414nm)、二酸化錫(SnO、バンドギャップ3.8eV、波長326nm)、等が挙げられる。これらは、光触媒のバンドギャップ以上のエネルギーを持つ波長の光を照射することにより光触媒機能を発現する物質のことである。但し、二酸化錫はバンドギャップが3.8eV(波長326nm)であり、二酸化錫が光触媒機能を発現する波長の光は地表にはほとんど到達しないため、光触媒機能を発現しない。
これら光触媒は、性能、用途により、単独又は複数用いることにより、より一層効果を発揮することがある。
(光触媒の粒子径)
光触媒の性能効率を上げるためには、粒子径の小さいものを用いることが望ましい。これは、粒子径を小さくすることにより、表面に露出する光触媒の表面積を増大させることができるためである。光触媒機能を十分に発揮させるための粒子径は、5〜50nmの範囲が好ましい。
(光触媒の形態)
この発明に使用する光触媒は、光触媒の粉末をそのまま用いるか(粉体塗料を含む)、あるいは溶液や分散体(ディスパージョン)等のコーティング剤として使用する方法がある。
コーティング剤としては、光触媒を水やアルコール類等の無機溶媒又は有機溶剤中に懸濁あるいは溶解させたディスパージョン(オルガノゾル)、樹脂を水やアルコール類等の無機溶媒あるいは有機溶剤中に懸濁させたディスパージョン、水ガラス、コロイダルシリカ、ポリオルガノシロキサン、リン酸アンモニウム等の無機物質をバインダーとしたディスパージョンを1つ以上用い、基布との密着性を考慮し、適宜選択するのがよい。
表面エネルギーの小さいフッ素樹脂のバインダーとして、基布との間にアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂等の合成樹脂を使用してもよい。
この発明では、基布との密着性を考慮し、フッ素樹脂の水系ディスパージョンと光触媒の水系ディスパージョンを使用している。
(コーティング剤の調整)
コーテイング剤の中に含まれる光触媒の量は、任意であるが、用途、性能、塗工方法により溶液の濃度、粘度を適宜調整するのがよい。製品として、熱接合性能が要求される場合、光触媒機能を十分に発揮し、尚且つ、十分な熱接合性能を得るための光触媒の配合量は、コーティング剤中に含まれる固形分濃度に対して、30〜50wt%とするのが好ましい。
製造過程において、導電性、光触媒機能増強のため、コーティング剤および粉末にはCu、Sn、Al、SbやAg、Cu、Zn、Fe、Ni、Zn、Au、Al、Pt、Pd、Rh、Ru、Os、Irなど導電性機能補助物質、光触媒機能補助物質を添加、又はドーピングすることがある。
<薄膜の作製方法>
(塗布)
光触媒を配合したコーティング剤を基布に塗布する方法としては、バーコート法、エアースプレー法、静電スプレー法、ディップコート法、印刷法、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、含浸法、刷毛塗り法、スポンジ塗り法などがあり、使用する基布やコーティング材により適した塗布方法を適宜選択するのがよい。
又、フッ素樹脂層の表面に光触媒を坦持する方法として、CVD(chemical vapor deposition)法、スパッターコーティング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、溶射法などを用いることが可能である。
(乾燥)
前記コーティング剤を塗布した後、塗膜の均一性、仕上がりを均一に保つ上で焼成温度より十分に低い温度で乾燥させるとよい。乾燥は、コーティング剤の硬化メカニズムやコーティング剤中に使用したバインダーの材質により自然乾燥(室温放置、風乾燥)あるいは装置や熱源を伴う強制乾燥をさせる方法がある。強制乾燥に用いる装置、熱源としては、加熱炉、風乾燥、赤外線加熱、遠赤外線加熱、熱風加熱等を用いると効率的に乾燥させることが可能である。
仕上がりが綺麗で均一な厚さの塗膜を得るには、自然乾燥で長時間かけて仕上げる方法、熱源装置により高温(乾燥温度は、雰囲気温度が100℃以下)で短時間で仕上げる場合には、その昇温過程を数段階に分ける方法がある。
(焼成)
上記乾燥工程を経たものは、基布との密着性向上のためフッ素樹脂の融点以上で焼成させる。ここで、焼成温度をフッ素樹脂の融点より高い温度にすると、フッ素樹脂が溶融する過程を経て塗膜が焼成されることになり、フッ素樹脂粉末及び光触媒微粒子の各粉末(粒子)間の空隙が十分に埋め尽くされるため、得られるフッ素樹脂層はほとんど孔がなく、基布と一体化されて密着性に優れたものとなる。
この発明においては、フッ素樹脂の融点より50℃程度高い温度(220〜380℃、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)を使用する場合は320℃)で焼成するのがよい。それ以上の高温にするとフッ素樹脂の融点をはるかに超えてしまい、フッ素樹脂の分解温度に達し、フッ素樹脂の分解及びそれに伴う基布の損傷を招く恐れがあるので、焼成温度には十分注意を払う必要がある。
(冷却)
上記焼成過程を経たものは、焼成過程より低い室温レベルで急速に冷やす(急冷する)のがよい。可能であれば、エアコンプレッサー等により冷風を吹き掛けるのもよい。そうすることにより、フッ素樹脂の結晶化が早く進み、結晶性高分子中における非結晶部(非晶部)の割合が増加し、塗膜のヘイズは減少し、透明で且つ緻密で強靭な塗膜を形成させることができる。
1.膜構造材料における光触媒の配合比率による防汚性と熱接合性の関係について
以下により、光触媒の配合比率の異な巻試料を作製し、膜構造材料における光触媒の配合比率による防汚性と熱接合性の関係について確認した。
(試料a)
二酸化チタン粉末(石原産業株式会社製ST01)の水系ディスパージョン(固形分28wt%)を50g、精製水100g、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)からなる水系ディスパージョン(固形分58wt%)を96.6g、シリコン系界面活性剤を2.5g(全体の1wt%)入れ、混合、攪拌し、溶液A(FEP/アナターゼ型二酸化チタン(以下、A−TiO)の比率は80/20)を調整した。
ガラス繊維からなる基布の両面をフッ素樹脂で被覆された膜構造材料の表面のフッ素樹脂をエチルアルコールを適量染み込ませたキムタオル(株式会社クレシア製の紙製ワイパー…商品名)で拭き、常温乾燥させた後、前記溶液Aをバーコート法により片面のみに塗布した。溶液Aの塗膜を常温乾燥させた後、60℃で5分間加熱乾燥し、自然冷却させた後、さらに380℃で10分間加熱焼成し、自然冷却してこの発明の試料aを作製した。
(試料b)
二酸化チタン粉末(石原産業株式会社製ST01)の水系ディスパージョン(固形分28wt%)を50g、精製水100g、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)からなる水系ディスパージョン(固形分58wt%)を56.3g、シリコン系界面活性剤を2.1g(全体の1wt%)入れ、混合、攪拌し、溶液B(FEP/A−TiOの比率は70/30)を調整した。
ガラス繊維からなる基布の両面をフッ素樹脂で被覆された膜構造材料の表面のフッ素樹脂をエチルアルコールを適量染み込ませたキムタオル(株式会社クレシア製)で拭き、常温乾燥させた後、前記溶液Bをバーコート法により片面のみに塗布した。溶液Bの塗膜を常温乾燥させた後、60℃で5分間加熱乾燥し、自然冷却させた後、さらに380℃で10分間加熱焼成し、自然冷却してこの発明の試料bを作製した。
(試料c)
二酸化チタン粉末(石原産業株式会社製ST01)の水系ディスパージョン(固形分28wt%)を50g、精製水100g、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)からなる水系ディスパージョン(固形分58wt%)を36.2g、シリコン系界面活性剤を1.7g(全体の1wt%)入れ、混合、攪拌し、溶液C(FEP/A−TiOの比率は60/40)を調整した。
ガラス繊維からなる基布の両面をフッ素樹脂で被覆された膜構造材料の表面のフッ素樹脂をエチルアルコールを適量染み込ませたキムタオル(株式会社クレシア製)で、フッ素樹脂膜構造材料の表面を拭き、常温乾燥させた後、前記溶液Cをバーコート法により片面のみ塗布した。塗膜は常温乾燥させた後、60℃で5分間加熱乾燥し、自然冷却させた後、さらに380℃で10分間加熱焼成し、自然冷却してこの発明の試料cを作製した。
(試料d)
二酸化チタン粉末(石原産業株式会社製ST01)の水系ディスパージョン(固形分28wt%)を50g、精製水100g、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)からなる水系ディスパージョン(固形分58wt%)を24.1g、シリコン系界面活性剤を1.8g(全体の1wt%)入れ、混合、攪拌し、溶液D(PEP/A−TiOの比率は50/50)を調整した。
ガラス繊維からなる基布の両面をフッ素樹脂で被覆された膜構造材料の表面のフッ素樹脂をエチルアルコールを適量染み込ませたキムタオル(株式会社クレシア製)で、フッ素樹脂膜構造材料の表面を拭き、常温乾燥させた後、前記溶液Dをバーコート法により片面のみ塗布した。塗膜は常温乾燥させた後、60℃で5分間加熱乾燥し、自然冷却させた後、さらに380℃で10分間加熱乾燥し、自然冷却してこの発明の試料dを作製した。
(試料e)
二酸化チタン粉末(石原産業株式会社製ST01)の水系ディスパージョン(固形分28wt%)を50g、精製水100g、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PEP)からなる水系ディスパージョン(固形分58wt%)を15.6g、シリコン系界面活性剤を1.7g(全体の1wt%)入れ、混合、攪拌し、溶液E(FEP/A−TiOの比率は40/60)を調整した。
ガラス繊維からなる基布の両面をフッ素樹脂で被覆された膜構造材料の表面のフッ素樹脂をエチルアルコールを適量染み込ませたキムタオル(株式会社クレシア製)で、フッ素樹脂膜構造材料の表面を拭き、常温乾燥させた後、前記溶液Eをバーコート法により片面のみ塗布した。塗膜は常温乾燥させた後、60℃で5分間加熱乾燥し、自然冷却させた後、さらに380℃で10分間加熱焼成し、自然冷却してこの発明の試料eを作製した。
(比較試料▲1▼)
試料a〜eを作製するときに用いたフッ素樹脂で被覆された膜構造材料を比較試料▲1▼とした。
<光触媒の配合比率による防汚性と熱接合性の評価>
実施例で作製した試料a〜eと比較試料▲1▼を屋外暴露試験後の汚れの評価と熱接合性評価を行った。評価の結果を表1に示す。
尚、屋外暴露試験は、太陽工業枚方工場内第1工場棟屋上(大阪府枚方市)にて屋外暴露架台を設置し、試料を45°の傾斜面に固定し、3ヶ月間暴露して実施した。
・屋外暴露試験後の汚れ評価方法
試料a〜e及び比較試料▲1▼を屋外で3ヶ月間暴露した後、試料表面の汚れ状態を確認した。ほとんど汚れが付着していないものを良好(○)、汚れ度合いが小さい又は塗膜のチョーキング傾向が認められるもの(△)、汚れが多いものを不良(×)とした。
・熱接合性評価方法
試料a〜e及び比較試料▲1▼の熱接合性評価を確認した。それらの熱接合に用いる装置は熱板とし、接合条件は、試料a〜eの母材である比較試料▲1▼の溶着条件と同一とし、溶着条件を一定とした。評価は、比較試料▲1▼の剥離強度を基準強度とし、基準強度の80%以上保持しているものを(○)、基準強度の50〜80%保持しているものを(△)、基準強度の50%以下のものを(×)とした。
【表1】
Figure 0003858176
この発明の実施例である試料a〜eは比較試料▲1▼に比べ、光触媒による防汚性が認められた。
光触媒の配合量が少ない試料aでは汚れ度合いは非常に小さいものの、若干グー色に変化していた。又、光触媒の配合量の多い試料eでは、僅かにチョーキング傾向が認められ、これら以外の試料b、試料c、試料dの防汚性は良好であった。
熱接合性評価は、光触媒の割合が50wt%以上である試料d、試料eでは熱接合性の低下が認められ、試料eにおいては、ほとんど熱接合していない状態であった。これら以外の試料a、試料b、試料cでは特に問題はなかった。
以上のことから、防汚性を高めるためには、光触媒を多く配合することにより、その性能を高めることが可能となる。しかしながら、それに伴い、基布のフッ素樹脂と光触媒を含んだコーティング材間の密着性、光触媒を含んだコーティング材を塗布したフッ素樹脂膜構造材料同士の熱接合は阻害されるようになる。これは、光触媒の融点が500℃以上と非常に高いのに対し、フッ素樹脂の融点は220〜380℃であるためである。万一、500℃以上の温度で熱接合すれば、フッ素樹脂の融点をはるかに超えてしまい、基布は損傷を受けるだけではなく、熱分解による有害なガスが多量に発生し、環境や人体へ悪影響を及ぼすことが懸念される。
そのため、膜構造材料同士を熱接合をしない場合はこの限りではないが、光触媒の防汚性と熱接合を考慮した場合はフッ素樹脂/光触媒の配合比率は70/30〜50/50が最適条件と考える。
以上の結果より、防汚性と熱接合性を考慮し、フッ素樹脂/光触媒(金属酸化物)の配合比率は60/40とすることが好ましく、以下に示す例ではフッ素樹脂/光触媒の配合比率を60/40とした。
2.光触媒を単独に、あるいは電導体を併用したフッ素樹脂コーティング剤を塗布することによる導電性について
次に、光触媒を単独に、あるいは電導体を併用したフッ素樹脂コーティング剤を塗布することによる導電性について検証した。
使用する電導体は、膜自体の色や透光性に影響を与えないように、無色透明若しくは白色の導電作用(半導体を含む)を有する粉末であることが必要であり、この実施例では、アンチモンをドーピングした二酸化錫(SbドープSnO)を表面に被覆したルチル型二酸化チタン、二酸化錫ゾルを例として使用したが、これらに限定するものではない。例えば、電導体は、酸化インジウム(In)、酸化カドニウム(CdO)、酸化亜鉛(ZnO)等から選択することもできる。
(試料f、試料g、試料h)
二酸化チタン粉末(石原産業株式会社製ST01)の水系ディスパージョン(固形分28wt%)を50g、アンチモンをドーピングしたた二酸化錫を表面に被覆したルチル型二酸化チタンの粉末(以下、SnO(Sb)−R−TiO)(石原産業株式会社製FT1000)を0.36g、精製水100g、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)からなる水系ディスパージョン(固形分54wt%)を39.9g、シリコン系界面活性剤を1.9g(全体の1wt%)混合、攪拌し、溶液F(FEP/A−TiO/SnO(Sb)−R−TiOの比率は60/39/1)を調整した。
前記同様な手順で各配合量を変え、溶液G(FEP/A−TiO/SnO(Sb)−R−TiOの比率は60/37/3)、溶液H(FEP/A−TiO/SnO(Sb)−R−TiOの比率は60/34/6)を調整した。
ガラス繊維の両面をフッ素樹脂で被覆された膜構造材料をエチルアルコールを適量染み込ませたキムタオル(株式会社クレシア製)で、フッ素樹脂膜構造材料の表面を拭き、常温乾燥させた後、前記溶液F、G、Hをバーコート法により片面のみ塗布した。塗膜は常温乾燥させた後、60℃で5分間加熱乾燥し、自然冷却させた後、さらに380℃で10分間加熱焼成し、自然冷却してこの発明の試料f、試料g、試料hを作製した。
(試料i、試料j、試料k)
二酸化チタン粉末(石原産業株式会社製ST01)の水系ディスパージョン(固形分28wt%)を50g、二酸化錫ゾル(固形分7wt%、日本化学産業株式会社製水系ディスパージョン)を5.1g、精製水100g、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)からなる水系ディスパージョン(固形分54wt%)を39.9g、シリコン系界面活性剤を2.0g(全体の1wt%)混合、攪拌し、溶液I(FEP/A−TiO/SnOの比率は60/39/1)を調整した。
前記同様な手順で各配合量を変え溶液J(FEP/A−TiO/SnOの比率は60/37/3)、溶液K(FEP/A−TiO/SnOの比率は60/34/6)を調整した。ガラス繊維の両面をフッ素樹脂で被覆された膜構造材料をエチルアルコールを適量染み込ませたキムタオル(株式会社クレシア製)で、フッ素樹脂膜構造材料の表面を拭き、常温乾燥させた後、前記溶液I、J、Kをバーコート法により片面のみ塗布した。塗膜は常温乾燥させた後、60℃で5分間加熱乾燥し、自然冷却させた後、さらに380℃で10分間加熱焼成し、自然冷却してこの発明の試料i、試料j、試料kを作製した。
(比較試料▲2▼)
前記の防汚性と熱接合性を調べるときに作製した試料c(FEP/A−TiOの比率が60/40)を比較試料▲2▼とした。
(比較試料▲3▼)
試料f〜kの基布として用いたガラス繊維の両面をフッ素樹脂で被覆された膜構造材料を比較試料▲3▼とした。(FEPのみ)
<帯電評価と結果>
実施例で作製した試料f〜k及び比較試料▲2▼▲3▼の帯電の半減期測定を行った。半減期評価結果を表2に示す。
・半減期測定
半減期測定に用いる試料は、試料f〜k及び比較試料▲2▼▲3▼は、界面活性剤の影響等を除去するために、キセノンウェザーメーター(スガ試験機株式会社製WEL−75X−LHP−B・Ec、放射照度180W/m、波長300〜400nm)で24時間照射処理した。
測定は日本スタテック株式会社製オネストメータ(S−4104)を用い、印加電圧は10KVとし、20℃−20%RHの調湿条件で行った。判定は、比較試料▲2▼(FEP/A−TiOの配合比率が60/40)および比較試料▲3▼(FEP/A−TiOの配合比率が100/0)より優れているものを(○)、比較試料▲2▼及び▲3▼の両方に劣るものを(×)とした。
【表2】
Figure 0003858176
この発明の実施例である試料f〜kは、比較試料▲2▼のアナターゼ型二酸化チタン光触媒単独に比べ、アンチモンをドーピングした二酸化錫を表面に被覆したルチル型二酸化チタン(SnO(Sb)−R−TiO)、二酸化錫を併用することによって半減期の減少が認められた。FEP/A−TiOの配合比率が100/0の比較試料▲3▼の半減期は120秒以上であり、導電性がほとんどないため電圧の減衰は極僅かしか認められない。それに対し比較試料▲2▼のようにFEP/A−TiOの配合比率が60/40/0とアナターゼ型二酸化チタン(A−TiO)が配合されると、半減期は7.5秒、120秒後の減衰率は74%と導電性効果が発現するようになる。さらに全体の光触媒と電導体の配合比率を一定とし、アナターゼ型二酸化チタン(A−TiO)の一部をSnO(Sb)−R−TiOやSnOに置き換え、アナターゼ型二酸化チタン(A−TiO)と併用することにより、初期帯電、半減期は小さくなり、120秒後の減衰率は増加することから、導電性能が向上していることが明らかとなった。
3.導電性と防汚性の関係について
次に、光触媒と電導体を併用した場合の導電性と防汚性の関係について検証した。
(試料1)
二酸化チタン粉末(石原産業株式会社製ST01)の水系ディスパージョン(固形分28wt%)を50g、精製水75g、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)からなる水系ディスパージョン(固形分58wt%)を36.2g、シリコン系界面活性剤を2g混合、攪拌し、溶液L(FEP/A−TiOの比率は60/40)を調整した。
ガラス繊維の両面をフッ素樹脂で被覆された膜構造材料をエチルアルコールを適量染み込ませたキムタオル(株式会社クレシア製)で、フッ素樹脂膜構造材料の表面を拭き、常温乾燥させた後、前記溶液Lをバーコート法により片面のみ塗布した。塗膜は常温乾燥させた後、60℃で5分間加熱乾燥し、自然冷却させた後、さらに380℃で10分間加熱焼成し、自然冷却してこの発明の試料1を作製した。
(試料m)
アンチモンをドーピングした二酸化錫を表面に被覆したルチル型二酸化チタン(SnO(Sb)−R−TiO)の粉末(石原産業株式会社製FT1000)を19.3g、精製水75g、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)からなる水系ディスパージョン(固形分58wt%)を50g、シリコン系界面活性剤を2g混合、攪拌し、溶液M(FEP/SnO(Sb)−R−TiO)の配合比率は60/40)を調整した。
ガラス繊維の両面をフッ素樹脂で被覆された膜構造材料をエチルアルコールを適量染み込ませたキムタオル(株式会社クレシア製)で、フッ素樹脂膜構造材料の表面を拭き、常温乾燥させた後、前記溶液Mをバーコート法により片面のみ塗布した。塗膜は常温乾燥させた後、60℃で5分間加熱乾燥し、自然冷却させた後、さらに380℃で10分間加熱焼成し、自然冷却してこの発明の試料mを作製した。
(試料n)
試料1作製に使用した溶液Aと同様に作製した溶液にSnO(Sb)−R−TiO粉末(石原産業株式会社製FT1000)をさらに4.3g混合、攪拌し、溶液N(FEP/A−TiO/SnO(Sb)−R−TiO)の配合比率は53/36/11)を調整した。
ガラス繊維の両面をフッ素樹脂で被覆された膜構造材料をエチルアルコールを適量染み込ませたキムタオル(株式会社クレシア製)で、フッ素樹脂膜構造材料の表面を拭き、常温乾燥させた後、前記溶液Nをバーコート法により片面のみ塗布した。塗膜は常温乾燥させた後、60℃で5分間加熱乾燥し、自然冷却させた後、さらに380℃で10分間加熱焼成し、自然冷却してこの発明の試料nを作製した。
(比較試料▲4▼)
ガラス繊維の両面をフッ素樹脂で被覆された膜構造材料をエチルアルコールを適量染み込ませキムタオル(株式会社クレシア製)で、フッ素樹脂膜構造材料の表面を拭き、常温乾燥させた後、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)からなる水系ディスパージョン(固形分58wt%)(FEP/A−TiO/R−TiOの比率は100/0/0)をバーコート法により片面のみ塗布した。塗膜は常温乾燥させた後、60℃で5分間加熱乾燥し、自然冷却させた後、さらに380℃で10分間加熱乾燥し、自然冷却してこの発明の比較試料▲4▼を作製した。
<導電性と防汚性の関係についての評価と結果>
作製した試料1〜n及び比較試料▲4▼の防汚性評価を屋外暴露試験後に色差を測定し評価した。その結果を表3に示す。
・屋外暴露試験後の汚れ評価方法
試料1〜n及び比較試料▲4▼を屋外で3ヶ月間暴露した後、色差を測定した。比較試料▲4▼より色差の小さいものは防汚効果が認められるとして(○)、比較試料▲4▼より色差が大きいものは防汚効果がないとして(×)とした。屋外暴露試験は、太陽工業枚方工場内第1工場棟屋上(大阪府枚方市)にて屋外暴露架台を設置し、試料を45°の傾斜面に固定して実施した。
【表3】
Figure 0003858176
試料1〜mはいずれも、比較試料▲4▼の従来のフッ素樹脂膜構造材料に比べて、色差が小さく防汚効果が認められた。
光触媒としての活性が小さいルチル型二酸化チタンをFEPディスパージョンに配合した試料mでも、アンチモンをドーピングした二酸化錫を表面に被覆したもの(SnO(Sb)−R−TiO)であれば防汚効果が認められた。このことは、導電性向上による汚れ付着の抑制効果によるものと考えられる。光触媒(A−TiO)による防汚効果を付与した試料1の色差は1.54と非常に良好な結果であり、この溶液にさらにSnO(Sb)−R−TiOを微量添加した試料nの色差は1.09であり、光触媒+導電性効果による著しい防汚性の向上が認められた。
4.アナターゼ型二酸化チタン(A−TiO )と光触媒機能が発現しない二酸化錫(SnO )と併用した場合の導電効果と防汚性について
次に、アナターゼ型二酸化チタン(A−TiO)と、光触媒機能が発現しない二酸化錫(SnO)と併用し、電導効果と防汚性について確認した。
(試料o)
二酸化チタン粉末(石原産業株式会社製ST01)の水系ディスパージョン(固形分28wt%)を100g、精製水150g、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)からなる水系ディスパージョン(固形分58wt%)を72.4g、シリコン系界面活性剤を3.2g混合、攪拌し、溶液O(FEP/A−TiOの配合比率は60/40)を調整した。
ガラス繊維の両面をフッ素樹脂で被覆された膜構造材料をエチルアルコールを適量染み込ませたキムタオル(株式会社クレシア製)で、フッ素樹脂膜構造材料の表面を拭き、常温乾燥させた後、前記溶液Oをバーコート法により片面のみ塗布した。塗膜は常温乾燥させた後、60℃で5分間加熱乾燥し、自然冷却させた後、さらに380℃で10分間加熱焼成し、自然冷却してこの発明の試料oを作製した。
(試料p)
二酸化錫ゾル(固形分7wt%、日本化学産業株式会社製水系ディスパージョン)を20g、精製水7.5g、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)からなる水系ディスパージョン(固形分58wt%)を3.6g、シリコン系界面活性剤を0.31g混合、攪拌し、溶液P(FEP/SnO(ゾル)の配合比率は60/40)を調整した。
ガラス繊維の両面をフッ素樹脂で被覆された膜構造材料をエチルアルコールを適量染み込ませたキムタオル(株式会社クレシア製)で、フッ素樹脂膜構造材料の表面を拭き、常温乾燥させた後、前記溶液Pをバーコート法により片面のみ塗布した。塗膜は常温乾燥させた後、60℃で5分間加熱乾燥し、自然冷却させた後、さらに380℃で10分間加熱焼成し、自然冷却してこの発明の試料pを作製した。
(試料q)
試料o作製に使用した溶液Oと同様に作製した溶液16.5gに二酸化錫ゾル(固形分7wt%、日本化学産業株式会社製水系ディスパージョン)を20gさらに添加、混合、攪拌し、溶液Q(FEP/A−TiO/SnO(ゾル)の配合比率は42/29/29)を調整した。
ガラス繊維の両面をフッ素樹脂で被覆された膜構造材料をエチルアルコールを適量染み込ませたキムタオル(株式会社クレシア製)で、フッ素樹脂膜構造材料の表面を拭き、常温乾燥させた後、前記溶液Qをバーコート法により片面のみ塗布した。塗膜は常温乾燥させた後、60℃で5分間加熱乾燥し、自然冷却させた後、さらに380℃で10分間加熱焼成し、自然冷却してこの発明の試料qを作製した。
(比較試料▲5▼)
テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)からなる水系ディスパージョン(固形分58wt%)を72.4g、精製水150g、シリコン系界面活性剤を2.2g混合、攪拌し、溶液R(FEP/A−TiO/SnO(ゾル)の配合比率は100/0/0)を調整した。
ガラス繊維の両面をフッ素樹脂で被覆された膜構造材料をエチルアルコールを適量染み込ませたキムタオル(株式会社クレシア製)で、フッ素樹脂膜構造材料の表面を拭き、常温乾燥させた後、前記溶液をバーコート法により片面のみ塗布した。塗膜は常温乾燥させた後、60℃で5分間加熱乾燥し、自然冷却させた後、さらに380℃で10分間加熱焼成し、自然冷却してこの発明の比較試料▲5▼を作製した。
<評価と結果>
作製した試料1〜n及び比較試料▲5▼の防汚性評価を屋外暴露試験後の色差および屋内暴露試験後の色差を測定した。その結果を表4に示す。
屋外暴露試験は、太陽工業枚方工場内第1工場棟屋上(大阪府枚方市)にて屋外暴露架台を設置し、試料を45°の傾斜面に固定し、屋外で4ヶ月間暴露して実施した。
屋内暴露試験は、太陽工業枚方工場内第3倉庫(大阪府枚方市)にて屋内暴露架台を設置し、試料を45°の傾斜面に固定し、屋内で4ヶ月間暴露して実施した。
・屋外暴露試験後の汚れ評価
試料o〜q及び比較試料▲5▼を屋外暴露試験後、色差を測定した。比較試料5より色差の小さいものは防汚効果が認められるとして(○)、比較試料▲5▼より色差が大きいものは防汚効果がないとして(×)とした。
・屋内暴露試験後の汚れ評価
試料o〜q及び比較試料▲5▼を屋内暴露試験後、色差を測定した。比較試料▲5▼より色差の小さいものは防汚効果が認められるとして(○)、比較試料▲5▼より色差が大きいものは防汚効果がないとして(×)とした。
【表4】
Figure 0003858176
試料o〜qはいずれも、屋外暴露試験、屋内暴露試験後の色差は、比較試料▲5▼の従来のフッ素樹脂膜構造材料に比べて小さく、防汚効果も認められた。屋外暴露試験ではアナターゼ型二酸化チタン(A−TiO)単独の光触媒を用いた場合でも十分な防汚効果が認められるが、さらに二酸化錫(SnO)を併用することにより、さらに防汚効果が向上することが認められた。この要因は、二酸化錫(SnO)のバンドギャップは3.8eV(波長326nm)であり、この光触媒を活性化させるための波長の光は、地上までほとんど到達していないため、光触媒効果によるためではなく二酸化錫(SnO)添加による導電性向上によるものと考えられる。このことは、屋内暴露試験(紫外線量が0であるため光触媒による光酸化分解作用が働かない)の結果において、比較試料▲5▼に比べ光触媒を添加した試料o〜qの防汚性が向上していることからも明らかである。
[電導体を併用した場合の導電性と防汚性の関係まとめ]
以上のように、光触媒に電導体である二酸化錫(SnO)を併用した場合、光触媒を単独で使用するときよりも導電性向上による防汚効果が増すことが確認された。
さらに、導電性金属をドーピングした光触媒活性の小さいルチル型二酸化チタン(SnO(Sb)−R−TiO)と光触媒活性の大きいアナターゼ型二酸化チタン(A−TiO)を併用した場合、二酸化錫(SnO)を使用したときよりも導電性が向上することにより防汚性が増すことが確認された。
光触媒であり活性の大きいアナターゼ型二酸化チタン(A−TiO)と光触媒機能が発現しない二酸化錫(SnO)を単独、併用した場合の防汚性を屋外、屋内で暴露試験を実施し評価した。屋内暴露試験(紫外線がゼロであるためアナターゼ型二酸化チタン(A−TiO)も光触媒機能は発現しない)では、導電性の向上により防汚性が向上していることが確認できた。さらに屋外暴露試験では光触媒機能と導電性効果による防汚性の向上が顕著に認められた。
尚、この導電性は、塗料、塗膜厚により大きく変化させることができる。導電性を重視したい場合は、塗膜厚を厚くしたり、さらには塗料中の光触媒やその他の電導体の割合を増加させることにより、これら効果を増幅させることが可能である。
このように最外層表面のフッ素樹脂中に光触媒を単独に、あるいは他の電導体を併用した層をもつ、光触媒フッ素樹脂膜構造材料は、導電性が著しく向上することにより、膜構造材料の表面に汚れが付着しにくくなる。膜構造材料の表面に付着した油分汚れ等の有機物からなる汚れは、膜構造材料の表面に太陽光があたると光触媒により汚れが光酸化分解・親水化され、有機物を含むバインダーを失った無機物からなる汚れが容易に洗い流されるため、半永久的に綺麗な外観を保てるようになる。さらに、光触媒による抗菌、消臭機能も発現するため、光触媒の近傍に存在する悪臭物質や大気汚染物質であるNO、SO等の物質を酸化分解により、除去が可能である。
以上のように、この発明の膜構造材料では、表面に光触媒を担持・露出させており、膜構造材料の表面に付着した有機物は光触媒による光酸化分解・親水化により分解されて洗い流されるため、長期にわたり高い防汚性を発現することができる。
さらに、導電作用を有する粉末を光触媒と共に併用することにより、膜構造材料が導電作用を有するようになり、静電気が膜構造材料に蓄積されなくなるので、風等のフラッタリング、物体(物質)との接触による摩擦・摩耗により発生し蓄積される静電気が抑制され、汚れの原因となるほこり、細砂等の付着を軽減するため、さらに高い防汚性を発現させることができる。
またさらに、導電作用を有する粉末を光触媒と共に併用することにより、膜構造材料の導電性が向上するため、静電気が蓄積しにくくなり、作業者の感電事故がなくなるという効果がある。

Claims (2)

  1. ガラス繊維を主材料とする基布の最外層表面に、無色透明若しくは白色の光触媒粉末と、無色透明若しくは白色の導電作用を有する粉末を坦持・露出させたフッ素樹脂表面層を設けた膜構造材料であって、前記最外層表面のフッ素樹脂表面層が、フッ素樹脂の水系ディスパージョンと、前記光触媒粉末の水系ディスパージョンと、前記導電作用を有する粉末とを懸濁させたディスパージョンを前記基布又はフッ素樹脂で被覆してなる基布表面に塗布して焼成することにより形成され、前記最外層表面のフッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体であり、前記導電作用を有する粉末が、二酸化錫、アンチモンをドーピングした二酸化錫を表面に被覆したルチル型二酸化チタン、アンチモンをドーピングした二酸化錫を表面に被覆したアナターゼ型二酸化チタンのいずれかであり、前記膜構造材料同士が熱溶着により接合可能であることを特徴とする膜構造材料。
  2. 光触媒が、アナターゼ型二酸化チタンであることを特徴とする請求項1記載の膜構造材料。
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