JP3856932B2 - 昇降式ゲートの開閉装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水路、河川、ダム等に設けられるローラゲート、スライドゲート等の昇降式ゲートの開閉装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、水路等の取水口を開閉するように上流側に取水口を横切って設けられ、かつピア(水門提体、水路側壁上に立設された柱体、壁体等をも含む)の左右対向面に設けた戸溝に案内されて昇降する昇降式ゲート例えばローラゲートは、前記ピアの天端上に設置された巻上機によりワイヤロープを介して開閉されるようになっている。また、昇降式スライドゲート等においては、ピアの天端上に設けたスピンドル式開閉装置によりゲート扉体を昇降させるようにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、環境保全が提唱されて久しいが、従来のようにピア天端に巻上機やスピンドル式開閉装置を設置すると、修景(景観)を損ねるという問題がある。本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ビア(水門提体、水路側壁上に立設された柱体、壁体等を含む)上方に機械類が露出することがなく、修景を損ねることのない昇降式ゲートの開閉装置を提供するにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記目的を達成するために、次の手段を講じている。
即ち、本発明は、ピアに設けた対向案内部に沿って昇降するようにかつ水路等を横切って設けられる昇降式ゲートの開閉装置であって、ゲート扉体の前面又は背面側に、回転駆動手段により駆動されるトルクシャフトが水平軸心回りに回動可能に配設され、該トルクシャフトにゲート開閉駆動アームの基端が固着され、該アームの先端が前記ピアに設けた連杆又は索体に連係されていることを特徴としている。
【0005】
したがって、ゲート扉体が下降して水路等の呑口を閉塞しているときは、回転駆動手段及びトルクシャフトとこれに連結されたゲート開閉駆動アームの基端側が水面よりも下方に位置しており、ピア上方及び四周に機械類が露出しない。
そこで、ゲート扉体を上昇させて水路等の取水口を開放するときは、回転駆動手段によりトルクシャフトを駆動すると、前記アームの先端側が下方に回動し、前記連杆又は索体を介して前記アーム先端がゲート扉体から離れるので、ゲート扉体が上昇する。そして、トルクシャフトと共に前記アームが180度回転して下向きになると、ゲート扉体が全開状態となる。なお、ゲート扉体を下降させて水路等を閉塞するときは、前記駆動手段によりトルクシャフトを逆回転させて前記アーム先端を上向きに回動させることにより、ゲート扉体が下降する。
【0006】
また、本発明は、前記連杆がピアの上部に、前記トルクシャフトと平行なピンを介して前後方向揺動可能に吊設され、該連杆の下端が前記駆動アームの先端にトルクシャフトと平行なピンを介して相対回動可能に連結されたものとすることができる。
【0007】
そして、本発明は、前記連杆の先端が前方又は後方に突出するようにその基端が前記ピアの左右両端部に互いに平行に固定され、前記駆動アームの先端にトルクシャフトと平行な連結軸を介して支持ローラが回転自在に設けられ、該支持ローラが前記連杆上にこれを案内として前後移動可能に支持されたものとすることができる。この場合連結軸は上下流方向(即ち前後方向)に直線的に移動し、連杆は固定式のガイドレールとして作用する。
【0008】
さらに、本発明は、前記索体がワイヤローブ、ローラチェーン又は犬鎖からなり、その上端が前記ピア上端部に係着され、下端が駆動アームの先端に連結されたものとすることができる。
そして、また、本発明は、前記駆動手段がゲート扉体の左右方向中央に配設され、該駆動手段の左右両側にトルクシャフトが配設され、該トルクシャフトの扉体側端側にそれぞれ駆動アームの基端が固着されたものとすることができ、動作を円滑かつ確実にしてしかも安定よくゲート扉体を開閉させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1、図2は、本発明の第一の実施形態を示し、昇降式ゲートの1つであるローラゲート(1)は、水路(2)の取水口(2A)の上流側に該取水口(2A)を横切って設けられ、四方水密構造とされると共に、水路側壁(3)及びピア(4)の対向案内部である戸溝(5)に沿って昇降されるようになっている。前記ピア(4)は、水路(2)天端上に一体的に構成された壁状で、左右両側及び上端の一部が前方(上流側)に突出され、左右突出部(4A)、(4B)の対向面に、水路側壁(3)から続く戸溝(5)が設けられている。そして、ピア(4)の上端突出部(4C)、(4D)の下面には、ゲート吊下用のブラケット(6)が固着されている。
【0010】
前記ゲート(1)の扉体(1A)には、背面側四周に水密ゴム(7)が装着され、左右両側面にローラ(8)がそれぞれ回転自在に取り付けられ、前記戸溝(5)を案内として転動するようになっている。そして、前記水密ゴム(7)は、取水口(2A)の上流側端面及び下面に離接自在に当接され、止水機能を発揮する。
【0011】
また、前記ゲート扉体(1A)の前面(上流側)には、水中仕様のモーター(9)及び減速機(10)からなる回転駆動手段が左右方向中央部に設けられ、前記減速機(10)の水平軸心をもつ左右の出力軸(図示省略)に、それぞれトルクシャフト(11)の内端が軸接手(12)を介して連結されている。該トルクシャフト(11)の外端部は、ゲート扉体(1A)の前面に取り付けられた軸受(13)により軸支されると共に、各外端が軸受(13)からそれぞれ外側に突出されている。
【0012】
前記両トルクシャフト(11)の外端には、ゲート開閉駆動アーム(14)の基端が固着連結されている。
前記ブラケット(6)の下面には、軸支ブラケット(15)が下向きに取り付けられ、該ブラケット(15)にトルクシャフト(11)と平行なピン(16)によりゲート吊下用連杆(17)の上端が前後方向揺動可能に連結されている。そして、該連杆(17)の下端は、前記駆動アーム(14)の先端とトルクシャフト(11)と平行なピン(18)を介して相対回動可能に連結されている。
【0013】
前記ゲート開閉駆動アーム(14)とゲート吊下用連杆(17)は、ゲート(1)の下降限(取水口(2A)全閉状態)において、略直線状となるように構成され、ゲート(1)の上昇限(取水口全開状態)において、前記アーム(14)が略水平状となるように構成されている。
なお、図1、図2において(19)は、モーター(9)への電源供給ケーブルで、ピア(4)に貫通状に設けた挿通孔(20)に挿通されている。該挿通孔(20)の前端は蓋(21)により密閉されている。
【0014】
上記第一実施形態において、ゲート扉体(1A)を上昇させて取水口(2A)を開く場合は、モーター(9)によりトルクシャフト(11)を回転駆動し、ゲート開閉駆動アーム(14)を図2に矢印(イ)で示すように、その先端側がゲート扉体(1A)から遠ざかる方向に(下向き)に回動させることで、ゲート吊下連杆(17)の下端側が同時に矢印(ロ)方向に回動して、ゲート扉体(1A)が上昇する。そして、前記アーム(14)が90度回動して該アーム(14)及び連杆(17)が図2に2点鎖線(141)、(171)で示す状態になったとき、ゲート扉体が全開状態(図2に2点鎖線(101A)で示す)となる。
【0015】
次に、ゲート(1)を図2に2点鎖線(101A)で示す状態から実線(1A)で示す全閉状態とする場合は、前記アーム(14)を図2に矢印(ハ)で示す方向に回動させることにより、ゲート扉体(1A)が下降すると共にゲート吊下用連杆(17)が図2に矢印(ニ)で示すように90度回動し、前記アーム(14)及び連杆(17)が一直線状となり、ゲート扉体(1A)が取水口(2A)を閉塞する。
【0016】
図3、図4は、本発明の第二の実施形態を示し、第一の実施形態と異なるところは、連杆(22)の基端がピア(4)の左右両端部前面に、その先端が前方に突出するように水平にかつ互いに平行に突設され、前記両駆動アーム(14)の先端にトルクシャフト(11)と平行な連結軸(23)が連結されると共に、連結軸(23)の両端に支持ローラ(24)が回転自在に設けられ、該支持ローラ(24)が前記連杆(22)上にこれを案内として前後移動可能に支持されている点である。
【0017】
また、前記連杆(22)は、固定式のガイドレールとして機能するように構成され、水路側壁(3)天端上に立設した支持部材(25)により支持されており、強度及び適正姿勢が保持されるようになっている。
なお、第二実施形態においても、上記以外の構成は第一実施形態と同じであるから、図1、図2と同符号を付し、重複説明は省略する。
【0018】
そして、第二実施形態において、ゲート扉体(1A)の昇降動作は、第一実施形態と同様に、モーター(9)を起動して、ゲート開閉駆動アーム(14)を図4に矢印(イ)、(ハ)で示す方向に90度回動させることにより行われ、前記アーム(14)が連杆(22)と平行になったとき、ゲート扉体(1A)が図4中2点鎖線(101A)で示すように全開状態になり、第一実施形態と同等の作用効果が期待できる。
【0019】
図5〜図7は、本発明の第三の実施形態を示し、第一実施形態と異なるところは、ゲート吊下用連杆(17)に代えてゲート吊下用の索体(26)を採用した点であり、第一実施形態と同等の作用効果を期待することができる。
即ち、前記索体(26)の上端は、前記軸支ブラケット(15)に吊環(27)及びピン(16)を介して連結され、索体(26)の下端は、ゲート開閉駆動アーム(14)の先端に、吊環(28)及びピン(18)を介して連結されている。
【0020】
第三実施形態では、ゲート扉体(1A)を上昇させて全開状態とする場合、ゲート開閉駆動アーム(14)を図7に矢印(イ)で示す方向に、90度回動させて水平状態(図7に2点鎖線(141)で示す)とし、さらに前記アーム(14)を90度同じ方向に回動させて垂直状態(図7に2点鎖線(142)で示す)にすることにより、ゲート扉体(1A)が上昇限(図7に2点鎖線(201A)で示す)に至り、取水口(2A)が全開する。そして、ゲート扉体(1A)を下降させて全閉状態にするときは、前記アーム(14)を図7に矢印(ハ)で示す方向に180度回動させればよい。
【0021】
前記索体(26)は、図8(a)に示すワイヤロープ(26A)、図8(b)に示すローラチェーン(26B)、或いは図8(c)に示す犬鎖(26C)(一般的なチェーン)のいずれかを採用することができる。
上記各実施形態において、前記アーム(14)は、図9に例示するように、水路側壁(3)に設けた収納凹所(29)に納め、カバー(30)により該凹所(29)の側部開口を塞いで、前記アーム(14)にごみ等が掛からないようにすることができる。
【0022】
本発明は、上記各実施例に限定されるものではなく、例えば、三方水密式のゲート、即ち、水路(2)の取水口(2A)天端が開放され、左右水路側壁(3)上にそれぞれピア(4)が立設された水門にも採用でき、この場合、本発明に係る開閉装置は、ゲート扉体(1A)の前面(上流側)又は背面(下流側)のいずれか一方に設けることができる。また、ゲート開閉駆動アーム(14)及び連杆(17)又は索体(26)は、ゲート左右方向中央に1セットのみ設けることができる。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、上述のように、ピアに設けた対向案内部に沿って昇降するようにかつ水路等を横切って設けられる昇降式ゲートの開閉装置であって、ゲート扉体の前面又は背面側に、回転駆動手段により駆動されるトルクシャフトが水平軸心回りに回動可能に配設され、該トルクシャフトにゲート開閉駆動アームの基端が固着され、該アームの先端が前記ピアに設けた連杆又は索体に連係されていることを特徴とするものであるから、ピア上方に機械類が露出することがなく、修景を損ねることはないほか、ゲート開閉動作を円滑かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態を示す一部破断正面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】本発明の第二実施形態を示す一部破断正面図である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】本発明の第三実施形態を示す一部破断正面図である。
【図6】図5のC−C線断面図である。
【図7】同第三実施形態における作用説明図である。
【図8】第三実施形態における索体を例示するもので、(a)はワイヤロープ、(b)はローラチェーン、(c)は犬鎖である。
【図9】第一乃至第三実施形態におけるゲート開閉駆動アームの収納状態の一例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 ゲート
1A ゲート扉体
2 水路
2A 取水口
4 ピア
5 戸溝(対向案内部)
9 モーター
10 減速機
11 トルクシャフト
14 ゲート開閉駆動アーム
16 ピン
17 連杆
18 ピン
22 連杆
23 連結軸
24 支持ローラ
26 索体
Claims (5)
- ピアに設けた対向案内部に沿って昇降するようにかつ水路等を横切って設けられる昇降式ゲートの開閉装置であって、ゲート扉体の前面又は背面側に、回転駆動手段により駆動されるトルクシャフトが水平軸心回りに回動可能に配設され、該トルクシャフトにゲート開閉駆動アームの基端が固着され、該アームの先端が前記ピアに設けた連杆又は索体に連係されていることを特徴とする昇降式ゲートの開閉装置。
- 前記連杆がピアの上部に、前記トルクシャフトと平行なピンを介して前後方向揺動可能に吊設され、該連杆の下端が前記駆動アームの先端にトルクシャフトと平行なピンを介して相対回動可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の昇降式ゲートの開閉装置。
- 前記連杆の先端が前方又は後方に突出するようにその基端が前記ピアの左右両端部に互いに平行に固定され、前記駆動アームの先端にトルクシャフトと平行な連結軸を介して支持ローラが回転自在に設けられ、該支持ローラが前記連杆上にこれを案内として前後移動可能に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の昇降式ゲートの開閉装置。
- 前記索体がワイヤロープ、ローラチェーン又は犬鎖からなり、その上端が前記ピア上端部に係着され、下端が駆動アームの先端に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の昇降式ゲートの開閉装置。
- 前記駆動手段がゲート扉体の左右方向中央に配設され、該駆動手段の左右両側にトルクシャフトが配設され、該トルクシャフトの扉体側端側にそれぞれ駆動アームの基端が固着されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の昇降式ゲートの開閉装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP36243797A JP3856932B2 (ja) | 1997-11-21 | 1997-11-21 | 昇降式ゲートの開閉装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP36243797A JP3856932B2 (ja) | 1997-11-21 | 1997-11-21 | 昇降式ゲートの開閉装置 |
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ID=18476850
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP36243797A Expired - Lifetime JP3856932B2 (ja) | 1997-11-21 | 1997-11-21 | 昇降式ゲートの開閉装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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-
1997
- 1997-11-21 JP JP36243797A patent/JP3856932B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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