JP2004353236A - 防水扉装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】防水扉を収容凹部体と干渉を避けて起倒でき、防水扉を確実にパッキン部材に圧着できる簡易な防水扉装置を提供することである。
【解決手段】枢支リンク11を収納凹部体2と防水扉3の枢支部13とに枢着する。作動リンク32の一端を枢支リンク11に連結し、他端のカムフォロア37を回転カム31のカム溝31aに嵌合する。防水扉3の起立時には、回転カム31により作動リンク32を介して枢支リンク11が揺動され、前壁2bに対して防水扉3が起立初期には遠ざかり、起立終期には近づくようにしたので、防水扉3と収納凹部体2との干渉を避けることができる。また、回転カム31が枢支リンク11、作動リンク32を介して防水扉3の基部3bを収納凹部体2に向けて押付けるのでパッキン部材6,8に確実に圧着できる。
【選択図】 図3
【解決手段】枢支リンク11を収納凹部体2と防水扉3の枢支部13とに枢着する。作動リンク32の一端を枢支リンク11に連結し、他端のカムフォロア37を回転カム31のカム溝31aに嵌合する。防水扉3の起立時には、回転カム31により作動リンク32を介して枢支リンク11が揺動され、前壁2bに対して防水扉3が起立初期には遠ざかり、起立終期には近づくようにしたので、防水扉3と収納凹部体2との干渉を避けることができる。また、回転カム31が枢支リンク11、作動リンク32を介して防水扉3の基部3bを収納凹部体2に向けて押付けるのでパッキン部材6,8に確実に圧着できる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に建物や駐車場等の出入口からの浸水を防止する防水扉装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から建物や駐車場等の構造物の出入口の通路には、水害時に浸水を防止するために防水扉装置が備えられており、防水扉を起倒装置により通路部下面に設置した収容凹部体の開口を塞ぐ通常の傾倒位置から浸水防止時に起立位置として水浸入を防止するようになっている。特許文献1に記載のものは、ケース(収容凹部体)と防水扉の基部との間に設けられた隙間を塞ぐ補助扉と補助蓋とが設けらており、扉本体(防水扉)を傾倒位置から起立位置とすると、補助扉が起立することで補助蓋も押し上げられヒンジばねによって補助蓋が全開し、起立時の扉本体の基部と収納凹部体との干渉が避けられるようになっている。
【0003】
特許文献2に記載のものでは、防水扉の基部側が蝶番により枢動自在に支持されており、その蝶番は、固定側プレートの頂部のガイドピンを防水扉の可動側プレート(枢支部)の屈曲ガイド溝孔に挿入し、固定側プレートの下部と可動側プレートの上部とをリンクで連結してある。扉開閉機構による防水扉の起立時には、ガイドピンが屈曲ガイド溝孔に案内されつつ枢動されて、防水扉の可動側プレートが起立初期に防水扉の先端側(後方側)へ移動されて収納凹部体の防水扉基部側壁面から後退した後、起立終期に起倒装置に押されて収納凹部体の防水扉基部側壁面に近づき防水扉がパッキン部材に圧着する。特許文献3に記載のものでは、防水扉は、その基部側がヒンジ装置により枢支されており、そのヒンジ装置は、固定ベースに設けたフック状のガイド孔に防水扉に設けた可動ベース(枢支部)の下端部のガイドロッドを係合し、固定ベース下方と可動ベース上部とをリンクで連結して構成されている。起立初期には、防水扉はガイドロッドがガイド孔に案内されることによってベースフレーム(収納凹部体)の防水扉基部側壁面から後退し、起立終期には起倒装置に押されることによって前進してパッキン部材に密着する。
【0004】
特許文献4に記載のものでは、防水扉を回動支持機構で枢着しており、回動支持機構は、一端が防水扉の突部(枢支部)に、他端がピット側(収納凹部体側)に枢着される枢動リンクと揺動リンクとから構成され、防水扉の起立初期には、枢動リンクと揺動リンクとにより、防水扉の突部をピットの側壁部から遠ざけ、起立後期には、突部が起倒装置に押されることによって側壁部に近づき、防水扉がパッキン部材に密着する。特許文献5に記載のものでは、防水扉をヒンジ部で枢支しており、ヒンジ部は一端がピット側(収納凹部体側)に、他端が防水扉の被支持体(枢支部)に枢支される揺動可能なリンクプレートを備え、防水扉の起立初期には防水扉が後方へ揺動されているリンクプレートと防水扉との枢支部分で回転して防水扉とピットとの干渉を防止し、起立終期には防水扉が起倒装置に押されることによってリンクプレートを前方へ移動させ、防水扉がピットに近づいてパッキン部材に密着する。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−269242号公報
【特許文献2】
特公平7−11210号公報
【特許文献3】
特開平10−18678号公報
【特許文献4】
特開平11−256913号公報
【特許文献5】
特開2001−254563号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1のものでは、防水扉の基部と収容凹部体との干渉が防水扉の基部と収容凹部体との隙間により避けられるが、隙間を閉鎖する補助扉と補助蓋及びこれらの開閉機構を必要とし、防水扉装置の構成が複雑になり、防水扉のみで収納凹部体の開口を塞ぐことができない。また、特許文献2〜5のものでは、ガイド孔やリンクによって、起立初期には、防水扉の枢支部が収納凹部体の防水扉基部側壁面から後方へ後退移動することで防水扉の基部と収容凹部体との干渉が避けられ、起立終期には起倒装置(扉開閉機構)に押されることでもって前進移動して防水扉がパッキン部材に密着するが、前進移動は防水扉に連結された起倒装置に依存し、起倒装置の押付力でもって防水扉の基部が前方へ移動するものであるので、防水扉の基部を大きな力で前進移動させることが困難で防水扉とパッキン部材の圧着力が小さくなり、大型の起倒装置が要求されることになる。また、起倒装置を防水扉の中央部に連結して防水扉の中央部分を押圧する必要があるので、防水扉を起立させるときに大きな力を必要とし、この点でも、大型の起倒装置を必要とする。しかも、特許文献2〜5では、起倒装置が防水扉の中心部から先端側へ外れた部分で防水扉を押圧する場合には、防水扉の枢支部が前後方向に移動可能であるから、起倒装置で防水扉を起立状態で強く押付けると、防水扉の枢支部が収容凹部体の側壁部から離れることになり、防水扉の基部側部分のパッキン部材への押圧力が弱まり水密性が低下する恐れがある。
本願の課題は、防水扉を収容凹部体と干渉することなく起倒でき、起立位置の防水扉を確実にパッキン部材に圧着できる簡易な防水扉装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題解決のため本願発明では、構造物の水侵入可能な通路部下面に設置する収納凹部体と収納凹部体の開口を塞ぐ防水扉を備え、収納凹部体に防水扉の基部下面に突設した枢支部を枢着し、収納凹部体内に設けた起倒装置により防水扉を傾倒位置から起立位置に回動させて水侵入を防止するようにした防水扉装置において、収納凹部体の防水扉基部側位置に枢支リンクの下部をその上部が収納凹部体の防水扉基部側壁面に対して遠近移動可能に連結し、枢支リンクの上部に防水扉の枢支部を枢着し、枢支リンクを防水扉の起倒動作に関連して揺動可能な回転カムを収納凹部体内に設け、防水扉の起立初期に枢支部を収納凹部体の防水扉基部側壁面から遠ざけ起立終期に枢支部を収納凹部体の防水扉基部側壁面に近づけるようにした(請求項1)。これによれば、起立の際の収納凹部体との干渉を避けながら防水扉を収納凹部体の防水扉基部側壁面に近づけて配置でき、収納凹部体の開口を防水扉でほとんど隙間なく塞ぐことができる。また、防水扉が起立終期に防水扉基部側壁面に近づけるようにしたのでパッキン部材に確実に圧着する。また、防水扉の枢支部を回転カムによって移動させるようにしたので、防水扉を簡易な機構で強く押すことができる。
【0008】
前記枢支リンクに作動リンクの一端部を連結し、作動リンクの他端部を支持リンクで支えると共に作動リンクにカムフォロアを設け、収納凹部体内に防水扉の起倒装置と関連して回転可能な回転カムを設け、回転カムのカム溝にカムフォロアを嵌合させて成る(請求項2)。これによれば、枢支リンクを回転カムのカム溝によって作動リンクを介して壁面側に確実にかつ円滑に移動させることができ、防水扉が起立位置にあるときには作動リンクが枢支リンクを突っ張ることになり防水扉の基部側のパッキン部材への圧着が弱まることがない。
【0009】
前記収納凹部体の防水扉基部側とは反対側の位置に起倒装置の駆動軸を回転可能に設け、その駆動軸に枢支リンクを揺動させる回転カムを装着した(請求項3)。これによれば、全体の構成を簡易にできると共に、防水扉の起倒動作と枢支部移動を安定させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
実施の形態について図面を参照して説明する。図1〜3に示す防水扉装置1は、建物や駐車場等の出入口の通路部の床面(下面)Fに埋設された収納凹部体2に防水扉3を配設し、その防水扉3を収納凹部体2の開口を閉塞する傾倒位置(図2)と前記出入口を閉塞する起立位置(図8)とに後述の起倒装置により傾倒可能となっている。前記収納凹部体2は上方を開口した箱型形状であって、出入口の床面Fに形成された収納凹部4に設置されている。収納凹部4は、大きな長方形状に形成された大凹部4aと、大凹部4aの後方側中央部に形成された小さな長方形状の小凹部4bとから構成されている。収納凹部4に沿って縁材5が取り付けられ、縁材5の下面を収納凹部体2の上端面2aに当接させてある。収納凹部体2の前板2b側(防水扉基部3b側)にはパッキン部材6を備えた扉枠7が左、右に一対立設されている。また、収納凹部体2の前板2bには水平方向のパッキン部材8が取り付けてあり、そのパッキン部材8の両端を、扉枠7の垂直方向のパッキン部材6下端側と連続させてある。尚、パッキン部材6は、パッキン部材6と対応する防水扉3の基部3b側両端部分に形成された切り欠き部を通過し、傾倒位置にある防水扉3と干渉しないようになっている。前記小凹部4bに設けた収納凹部体2の小収納体2Qには蓋部材9が開閉可能に備えてある。この収納凹部体2には図示しない配管が連結され、その配管を通って収納凹部体2内に侵入してきた水を排水するようにしてある。また、縁材5は収納凹部体2の各側板の一部を構成するもので、各側板(前板2B等)を収納凹部4の上端まで延ばして縁材5を省略しても良い。
【0011】
収納凹部体2の底板2dには、前板2b側の左、右に夫々第1ブラケット10が固定的に設置されている。その第1ブラケット10には、上部11aが前後に揺動するように枢支リンク11の下部11bがピン部材12を介して連結されている。防水扉3は収納凹部体2の開口部分を塞ぐように形成されたものであって、その防水扉3の基部3b下面には前記第1ブラケット10に対峙するように枢支部13が突設されている。両枢支部13に備えた枢軸14は前記枢支リンク11の上部11aと枢支部13の下部とを枢着している。よって、防水扉3は枢支リンク11を介してピン部材12を中心に前板2bの防水扉基部側壁面に対して前後方向に遠近移動すると共に、枢軸14を中心に防水扉3の先端部3aが上下方向(起倒方向)に揺動するようになっている。また、防水扉3の下方(傾倒方向)への揺動は、収納凹部体2の後板2cに固着された断面L字状の支持材15によって規制されている。その断面L字状の支持材15は、防水扉3が傾倒位置に位置し、防水扉3の先端部3aが当接した時に、防水扉3の上面が床面Fと面一となるように取り付けられている。
【0012】
次に、起倒装置について説明する。収納凹部体2の底板2dには、後板2c側の中央部に駆動モータ16が設置されている。駆動モータ16の回転軸16aには、図4に示すようにウォーム部17aを備えた操作軸17が連結されている。その操作軸17のウォーム部17aと噛み合うウォームホイール18aを備えた回転軸18が設けられている。操作軸17の先端は小凹部4bに設けた小収納体2Q内に突出しており、その先端には図示しない手動ハンドルで操作軸17を回転可能な操作部17bが設けられている。回転軸18の両端にはカップリング部材19を介して上記枢軸14と同方向の駆動軸20が連結されている。各駆動軸20の他端は、底板2dの後板2c側の左、右に夫々設置された第2ブラケット21に支持されている。各駆動軸20の他端側には、駆動軸20を中心にして回動可能な2本の支持アーム22が間隔をあけて取り付けられている。各支持アーム22の先端部22aは防水扉3の基部3bに向くように設けられ、各先端部22aは中間軸23によって連結されている。中間軸23には、支持アーム22間の部分に中間軸23を中心にして回動可能な回動アーム24の基部24bが取り付けられている。その回動アーム24の先端部24aは防水扉3の先端部3aに向くように設けられ、先端部24aには長孔25が形成されている。尚、本実施形態では、駆動モータ16の駆動により駆動軸20を回動させるようにしてあるが、停電等により駆動モータ16が駆動しない時には、図示しない手動ハンドルによって駆動軸20を回動させることができる。
【0013】
防水扉3の先端部3aの下面には、上記駆動軸20と同方向のピン26を備えた第3ブラケット27が突設されている。そのピン26が回動アーム24の先端部24aに形成された長孔25に係合されることで、回動アーム24と防水扉3とが連結されている。尚、回動アーム24の先端部24aにピンを設け、第3ブラケット27にピンと係合する長孔を設けても良い。回動アーム24には中間軸23を中心とする回動車である第1チェーンホイール28が固着されている。駆動軸20には、支持アーム22間の部分に駆動車である第2チェーンホイール29が固着されている。第1チェーンホイール28と第2チェーンホイール29には帯状体である無端チェーン30が懸回されている。よって、駆動軸20の駆動により第2チェーンホイール29が回動されると、無端チェーン30、第1チェーンホイール28を介して回動アーム24が中間軸23を中心に回動し、回動アーム24の先端部24aに連結された防水扉3の先端部3aを上下方向に揺動させることになる。更に、回動アーム24の先端部24aが、枢軸14を中心に揺動する第3ブラケット27の移動軌跡に沿って上下方向に移動することで、回動アーム24が取り付けられた支持アーム22の先端部22aが駆動軸20を中心に上下方向に揺動されることになる。本実施形態では、回動アーム24が支持アーム22に対して略直線状となるように回動したときに、防水扉3が略垂直に起立するように回動アーム24と支持アーム22の長さL1,L2が設定されている。尚、回動車や駆動車をタイミングプーリで構成し、帯状体をタイミングベルトで構成しても良い。
【0014】
支持アーム22の基部22b間における駆動軸20には回転カム31が固着されている。その回転カム31には図3に示すようにカム溝31aが形成されている。収納凹部体2と防水扉3とを連結する枢支リンク11には、作動リンク32の一端部32aがピン部材33を介して連結されている。作動リンク32の他端部32bには、ピン部材34を介して支持リンク35の上部35aが連結されている。支持リンク35の下部35bはピン部材36を介して第2ブラケット21に連結されている。作動リンク32の他端部32bには前記カム溝31aに嵌合するカムフォロア37が取り付けてある。よって、回転カム31を回転させるとカム溝31aに沿って作動リンク32が前後に移動することで、作動リンク32の一端部32aが連結された枢支リンク11の上部11aが前後方向に揺動するようになっている。回転カム31のカム溝31aは、枢軸14を中心にして防水扉3の先端部3aが上方向へ揺動し始める起立初期に、防水扉3の枢軸14を後板2c側(後方側)へ移動させて前板2bから遠ざけて防水扉3の基部3b端面が縁材5に接触しないようにし、防水扉3が起立し終わる起立終期に、防水扉3の枢軸14を前板2b側(前方側)へ近づけるように移動させて防水扉3の基部3bを扉枠7のパッキン部材6、収納凹部体2のパッキン部材8に押し付けるように形成されている。
【0015】
次に、上記のように構成した防水扉装置1の作動について説明する。建物や駐車場等の出入口の床面Fに設置される防水扉装置1は、通常、防水扉3を収納凹部体2の開口を閉塞する傾倒位置としてある(図1の状態)。このとき防水扉3の基部3b端面が前板2bに近づいて配置されており、収納凹部体2の開口を防水扉3が殆ど隙間なく塞いでいる。また、支持材15を介して防水扉3の上面を床面Fと面一としてあるので、歩行者や自動車等の通行の障害となることがない。大雨によって建物や駐車場等の出入口に浸水が生じる恐れが発生した場合には起倒装置を起動し、駆動モータ16により駆動軸20を駆動して、第2チェーンホイール29を図1の状態から逆回転(反時計回り)させると、回転カム31も起倒装置と関連して駆動軸20により反時計回りに回転する。回転カム31が図5〜7に示す起立初期において回転すると、作動リンク32を介して枢支リンク11の上部11a(枢軸14)が収納凹部体2の後板2cに向けて揺動され、防水扉3の枢支部13が前板2bから遠ざかるように移動するので、防水扉3の基部3bも遠ざかりながら枢軸14を中心として下方に回転する。第2チェーンホイール29が図5〜7に示すように回転すると、無端チェーン30、第1チェーンホイール28を介して回動アーム24の先端部24aが中間軸23を中心に上方向に回転されるので、防水扉3の先端部3aが枢軸14中心に上方向に押し上げられると共に、支持アーム22の先端部22aが駆動軸20を中心に上方向に上昇する。この場合、回動アーム24の先端部24aが防水扉3の中央部分より先端に近い防水扉3の先端部3aに連結されているので、防水扉3を小さい力で起立させることができる。
【0016】
更に第2チェーンホイール29と回転カム31が回転し起立初期から図8に示す起立位置に向けて防水扉3が起立動作する起立終期では、回転カム31により作動リンク32を介して枢支リンク11の上部11aが前板2bに向けて揺動され、枢支部13を前板2bに近づけるので、防水扉3の基部3bが前壁2bに近づく。その後、回転カム31と第2チェーンホイール29が図8に示す起立位置まで回転し、回動アーム24が支持アーム22に対して略直線状となった時に駆動モータ16が停止され、防水扉3の上面が扉枠7のパッキン部材6、収納凹部体2のパッキン部材8に当接した状態となる。この起立した防水扉3によって出入口を閉塞することで、出入口からの浸水が防止されることになる。
【0017】
このことから、駆動モータ16の駆動により第2チェーンホイール29、無端チェーン30、第1チェーンホイール28を介して回動アーム24の先端部24aを上方向に回転させると共に基部24bを上方向に上昇させることで、回動アーム24の先端部24aと連結された防水扉3を収納凹部体2の開口を閉塞する状態から出入口を閉塞する状態に起立させることが可能となる。従って、収納凹部体2内に砂、埃等が堆積しても、防水扉3に連結した回動アーム24を上昇しながら回動させるだけで確実に防水扉3を押し上げて起立させることができる。また、回転カム31により作動リンク32を介して枢支リンク11を揺動させ枢支部13を前壁2bから起立初期には遠ざけ、起立終期には近づけることで、防水扉3を基部3b端面と前壁2bとの干渉を避けて起倒動作でき、起立位置ではパッキン部材6,8に圧着させることができる。また、起立位置では防水扉3と回転カム31間で作動リンク32が突っ張った状態で基部3bを前壁2bに向けて押付けるので、基部3bをパッキン部材6,8に強く確実に圧着できる。そして、防水扉3と収納凹部体2との起倒時の干渉が避けられるので、防水扉3によって収納凹部体2の開口を閉塞する傾倒位置(図2の状態)で、防水扉3の基部3bと収納凹部体2の前板2b又は収納凹部4の前側面との間を極めて近づけて配置でき、殆ど隙間なく塞ぐので、歩行者等に対する安全性を高め、また、収納凹部4へのゴミの侵入を防止できる。また、防水扉3によって再び収納凹部体2の開口を閉塞する場合には、駆動軸20を図8の状態から正回転(時計回り)させることで、上記と逆に作動して防水扉3の先端部3aが下方向へ移動して収納凹部体の開口が閉塞される。
【0018】
【発明の効果】
請求項1の発明は、収納凹部体の防水扉基部側位置に枢支リンクの下部をその上部が収納凹部体の防水扉基部側壁面に対して遠近移動可能に連結し、枢支リンクの上部に防水扉の枢支部を枢着し、枢支リンクを防水扉の起倒動作に関連して揺動可能な回転カムを収納凹部体内に設け、防水扉の起立初期に枢支部を収納凹部体の防水扉基部側壁面から遠ざけ起立終期に枢支部を収納凹部体の防水扉基部側壁面に近づけるようにしたので、起立の際の収納凹部体との干渉を避けながら防水扉を収納凹部体の防水扉基部側壁面に近づけて配置でき、収納凹部体の開口を防水扉でほとんど隙間なく塞いで通路部下面を安全にかつきれいに利用できる。また、起立終期に防水扉の枢支部を収納凹部体の防水扉基部側壁面に近づけるようにしたので、起立位置の防水扉を収納凹部体の壁面に設けたパッキン部材に確実に圧着させることができ、防水扉の水密性能を良くでき、しかも起倒装置を防水扉の先端部に連絡して防水扉を小さい力で起立させることができ、起倒装置の小型化を図ることができる。また、防水扉の枢着部を回転カムによって移動させるようにしたので、枢支部を簡易な機構で強く押すことができ、長期に亘って性能維持できると共にコストを低くできる。
【0019】
請求項2の発明は、枢支リンクに作動リンクの一端部を連結し、作動リンクの他端部を支持リンクで支えると共に作動リンクにカムフォロアを設け、収納凹部体内に防水扉の起倒装置と関連して回転可能な回転カムを設け、回転カムのカム溝にカムフォロアを嵌合させたので、枢支リンクを回転カムのカム溝によって作動リンクを介して壁面側へ確実にかつ円滑に移動させることができる。
【0020】
請求項3の発明は、収納凹部体の防水扉基部側とは反対側の位置に起倒装置の駆動軸を回転可能に設け、その駆動軸に枢支リンクを揺動させる回転カムを装着したので、全体の構成を簡易にできると共に、防水扉の起倒動作と枢支部移動を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防水扉装置であって、防水扉の下面から下方を見た図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図1のX部拡大部分断面図である。
【図5】駆動軸の回動により駆動車と回転カムとが回転した状態を示す図である。
【図6】駆動軸の回動により駆動車と回転カムとが回転した状態を示す図である。
【図7】駆動軸の回動により駆動車と回転カムとが回転した状態を示す図である。
【図8】防水扉によって出入口を閉塞した状態を示す図である。
【符号の説明】
1 防水扉装置
2 収納凹部体
3 防水扉
3b 基部
11 枢支リンク
13 枢支部
20 駆動軸
31 回転カム
31a カム溝
32 作動リンク
35 支持リンク
37 カムフォロア
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に建物や駐車場等の出入口からの浸水を防止する防水扉装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から建物や駐車場等の構造物の出入口の通路には、水害時に浸水を防止するために防水扉装置が備えられており、防水扉を起倒装置により通路部下面に設置した収容凹部体の開口を塞ぐ通常の傾倒位置から浸水防止時に起立位置として水浸入を防止するようになっている。特許文献1に記載のものは、ケース(収容凹部体)と防水扉の基部との間に設けられた隙間を塞ぐ補助扉と補助蓋とが設けらており、扉本体(防水扉)を傾倒位置から起立位置とすると、補助扉が起立することで補助蓋も押し上げられヒンジばねによって補助蓋が全開し、起立時の扉本体の基部と収納凹部体との干渉が避けられるようになっている。
【0003】
特許文献2に記載のものでは、防水扉の基部側が蝶番により枢動自在に支持されており、その蝶番は、固定側プレートの頂部のガイドピンを防水扉の可動側プレート(枢支部)の屈曲ガイド溝孔に挿入し、固定側プレートの下部と可動側プレートの上部とをリンクで連結してある。扉開閉機構による防水扉の起立時には、ガイドピンが屈曲ガイド溝孔に案内されつつ枢動されて、防水扉の可動側プレートが起立初期に防水扉の先端側(後方側)へ移動されて収納凹部体の防水扉基部側壁面から後退した後、起立終期に起倒装置に押されて収納凹部体の防水扉基部側壁面に近づき防水扉がパッキン部材に圧着する。特許文献3に記載のものでは、防水扉は、その基部側がヒンジ装置により枢支されており、そのヒンジ装置は、固定ベースに設けたフック状のガイド孔に防水扉に設けた可動ベース(枢支部)の下端部のガイドロッドを係合し、固定ベース下方と可動ベース上部とをリンクで連結して構成されている。起立初期には、防水扉はガイドロッドがガイド孔に案内されることによってベースフレーム(収納凹部体)の防水扉基部側壁面から後退し、起立終期には起倒装置に押されることによって前進してパッキン部材に密着する。
【0004】
特許文献4に記載のものでは、防水扉を回動支持機構で枢着しており、回動支持機構は、一端が防水扉の突部(枢支部)に、他端がピット側(収納凹部体側)に枢着される枢動リンクと揺動リンクとから構成され、防水扉の起立初期には、枢動リンクと揺動リンクとにより、防水扉の突部をピットの側壁部から遠ざけ、起立後期には、突部が起倒装置に押されることによって側壁部に近づき、防水扉がパッキン部材に密着する。特許文献5に記載のものでは、防水扉をヒンジ部で枢支しており、ヒンジ部は一端がピット側(収納凹部体側)に、他端が防水扉の被支持体(枢支部)に枢支される揺動可能なリンクプレートを備え、防水扉の起立初期には防水扉が後方へ揺動されているリンクプレートと防水扉との枢支部分で回転して防水扉とピットとの干渉を防止し、起立終期には防水扉が起倒装置に押されることによってリンクプレートを前方へ移動させ、防水扉がピットに近づいてパッキン部材に密着する。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−269242号公報
【特許文献2】
特公平7−11210号公報
【特許文献3】
特開平10−18678号公報
【特許文献4】
特開平11−256913号公報
【特許文献5】
特開2001−254563号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1のものでは、防水扉の基部と収容凹部体との干渉が防水扉の基部と収容凹部体との隙間により避けられるが、隙間を閉鎖する補助扉と補助蓋及びこれらの開閉機構を必要とし、防水扉装置の構成が複雑になり、防水扉のみで収納凹部体の開口を塞ぐことができない。また、特許文献2〜5のものでは、ガイド孔やリンクによって、起立初期には、防水扉の枢支部が収納凹部体の防水扉基部側壁面から後方へ後退移動することで防水扉の基部と収容凹部体との干渉が避けられ、起立終期には起倒装置(扉開閉機構)に押されることでもって前進移動して防水扉がパッキン部材に密着するが、前進移動は防水扉に連結された起倒装置に依存し、起倒装置の押付力でもって防水扉の基部が前方へ移動するものであるので、防水扉の基部を大きな力で前進移動させることが困難で防水扉とパッキン部材の圧着力が小さくなり、大型の起倒装置が要求されることになる。また、起倒装置を防水扉の中央部に連結して防水扉の中央部分を押圧する必要があるので、防水扉を起立させるときに大きな力を必要とし、この点でも、大型の起倒装置を必要とする。しかも、特許文献2〜5では、起倒装置が防水扉の中心部から先端側へ外れた部分で防水扉を押圧する場合には、防水扉の枢支部が前後方向に移動可能であるから、起倒装置で防水扉を起立状態で強く押付けると、防水扉の枢支部が収容凹部体の側壁部から離れることになり、防水扉の基部側部分のパッキン部材への押圧力が弱まり水密性が低下する恐れがある。
本願の課題は、防水扉を収容凹部体と干渉することなく起倒でき、起立位置の防水扉を確実にパッキン部材に圧着できる簡易な防水扉装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題解決のため本願発明では、構造物の水侵入可能な通路部下面に設置する収納凹部体と収納凹部体の開口を塞ぐ防水扉を備え、収納凹部体に防水扉の基部下面に突設した枢支部を枢着し、収納凹部体内に設けた起倒装置により防水扉を傾倒位置から起立位置に回動させて水侵入を防止するようにした防水扉装置において、収納凹部体の防水扉基部側位置に枢支リンクの下部をその上部が収納凹部体の防水扉基部側壁面に対して遠近移動可能に連結し、枢支リンクの上部に防水扉の枢支部を枢着し、枢支リンクを防水扉の起倒動作に関連して揺動可能な回転カムを収納凹部体内に設け、防水扉の起立初期に枢支部を収納凹部体の防水扉基部側壁面から遠ざけ起立終期に枢支部を収納凹部体の防水扉基部側壁面に近づけるようにした(請求項1)。これによれば、起立の際の収納凹部体との干渉を避けながら防水扉を収納凹部体の防水扉基部側壁面に近づけて配置でき、収納凹部体の開口を防水扉でほとんど隙間なく塞ぐことができる。また、防水扉が起立終期に防水扉基部側壁面に近づけるようにしたのでパッキン部材に確実に圧着する。また、防水扉の枢支部を回転カムによって移動させるようにしたので、防水扉を簡易な機構で強く押すことができる。
【0008】
前記枢支リンクに作動リンクの一端部を連結し、作動リンクの他端部を支持リンクで支えると共に作動リンクにカムフォロアを設け、収納凹部体内に防水扉の起倒装置と関連して回転可能な回転カムを設け、回転カムのカム溝にカムフォロアを嵌合させて成る(請求項2)。これによれば、枢支リンクを回転カムのカム溝によって作動リンクを介して壁面側に確実にかつ円滑に移動させることができ、防水扉が起立位置にあるときには作動リンクが枢支リンクを突っ張ることになり防水扉の基部側のパッキン部材への圧着が弱まることがない。
【0009】
前記収納凹部体の防水扉基部側とは反対側の位置に起倒装置の駆動軸を回転可能に設け、その駆動軸に枢支リンクを揺動させる回転カムを装着した(請求項3)。これによれば、全体の構成を簡易にできると共に、防水扉の起倒動作と枢支部移動を安定させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
実施の形態について図面を参照して説明する。図1〜3に示す防水扉装置1は、建物や駐車場等の出入口の通路部の床面(下面)Fに埋設された収納凹部体2に防水扉3を配設し、その防水扉3を収納凹部体2の開口を閉塞する傾倒位置(図2)と前記出入口を閉塞する起立位置(図8)とに後述の起倒装置により傾倒可能となっている。前記収納凹部体2は上方を開口した箱型形状であって、出入口の床面Fに形成された収納凹部4に設置されている。収納凹部4は、大きな長方形状に形成された大凹部4aと、大凹部4aの後方側中央部に形成された小さな長方形状の小凹部4bとから構成されている。収納凹部4に沿って縁材5が取り付けられ、縁材5の下面を収納凹部体2の上端面2aに当接させてある。収納凹部体2の前板2b側(防水扉基部3b側)にはパッキン部材6を備えた扉枠7が左、右に一対立設されている。また、収納凹部体2の前板2bには水平方向のパッキン部材8が取り付けてあり、そのパッキン部材8の両端を、扉枠7の垂直方向のパッキン部材6下端側と連続させてある。尚、パッキン部材6は、パッキン部材6と対応する防水扉3の基部3b側両端部分に形成された切り欠き部を通過し、傾倒位置にある防水扉3と干渉しないようになっている。前記小凹部4bに設けた収納凹部体2の小収納体2Qには蓋部材9が開閉可能に備えてある。この収納凹部体2には図示しない配管が連結され、その配管を通って収納凹部体2内に侵入してきた水を排水するようにしてある。また、縁材5は収納凹部体2の各側板の一部を構成するもので、各側板(前板2B等)を収納凹部4の上端まで延ばして縁材5を省略しても良い。
【0011】
収納凹部体2の底板2dには、前板2b側の左、右に夫々第1ブラケット10が固定的に設置されている。その第1ブラケット10には、上部11aが前後に揺動するように枢支リンク11の下部11bがピン部材12を介して連結されている。防水扉3は収納凹部体2の開口部分を塞ぐように形成されたものであって、その防水扉3の基部3b下面には前記第1ブラケット10に対峙するように枢支部13が突設されている。両枢支部13に備えた枢軸14は前記枢支リンク11の上部11aと枢支部13の下部とを枢着している。よって、防水扉3は枢支リンク11を介してピン部材12を中心に前板2bの防水扉基部側壁面に対して前後方向に遠近移動すると共に、枢軸14を中心に防水扉3の先端部3aが上下方向(起倒方向)に揺動するようになっている。また、防水扉3の下方(傾倒方向)への揺動は、収納凹部体2の後板2cに固着された断面L字状の支持材15によって規制されている。その断面L字状の支持材15は、防水扉3が傾倒位置に位置し、防水扉3の先端部3aが当接した時に、防水扉3の上面が床面Fと面一となるように取り付けられている。
【0012】
次に、起倒装置について説明する。収納凹部体2の底板2dには、後板2c側の中央部に駆動モータ16が設置されている。駆動モータ16の回転軸16aには、図4に示すようにウォーム部17aを備えた操作軸17が連結されている。その操作軸17のウォーム部17aと噛み合うウォームホイール18aを備えた回転軸18が設けられている。操作軸17の先端は小凹部4bに設けた小収納体2Q内に突出しており、その先端には図示しない手動ハンドルで操作軸17を回転可能な操作部17bが設けられている。回転軸18の両端にはカップリング部材19を介して上記枢軸14と同方向の駆動軸20が連結されている。各駆動軸20の他端は、底板2dの後板2c側の左、右に夫々設置された第2ブラケット21に支持されている。各駆動軸20の他端側には、駆動軸20を中心にして回動可能な2本の支持アーム22が間隔をあけて取り付けられている。各支持アーム22の先端部22aは防水扉3の基部3bに向くように設けられ、各先端部22aは中間軸23によって連結されている。中間軸23には、支持アーム22間の部分に中間軸23を中心にして回動可能な回動アーム24の基部24bが取り付けられている。その回動アーム24の先端部24aは防水扉3の先端部3aに向くように設けられ、先端部24aには長孔25が形成されている。尚、本実施形態では、駆動モータ16の駆動により駆動軸20を回動させるようにしてあるが、停電等により駆動モータ16が駆動しない時には、図示しない手動ハンドルによって駆動軸20を回動させることができる。
【0013】
防水扉3の先端部3aの下面には、上記駆動軸20と同方向のピン26を備えた第3ブラケット27が突設されている。そのピン26が回動アーム24の先端部24aに形成された長孔25に係合されることで、回動アーム24と防水扉3とが連結されている。尚、回動アーム24の先端部24aにピンを設け、第3ブラケット27にピンと係合する長孔を設けても良い。回動アーム24には中間軸23を中心とする回動車である第1チェーンホイール28が固着されている。駆動軸20には、支持アーム22間の部分に駆動車である第2チェーンホイール29が固着されている。第1チェーンホイール28と第2チェーンホイール29には帯状体である無端チェーン30が懸回されている。よって、駆動軸20の駆動により第2チェーンホイール29が回動されると、無端チェーン30、第1チェーンホイール28を介して回動アーム24が中間軸23を中心に回動し、回動アーム24の先端部24aに連結された防水扉3の先端部3aを上下方向に揺動させることになる。更に、回動アーム24の先端部24aが、枢軸14を中心に揺動する第3ブラケット27の移動軌跡に沿って上下方向に移動することで、回動アーム24が取り付けられた支持アーム22の先端部22aが駆動軸20を中心に上下方向に揺動されることになる。本実施形態では、回動アーム24が支持アーム22に対して略直線状となるように回動したときに、防水扉3が略垂直に起立するように回動アーム24と支持アーム22の長さL1,L2が設定されている。尚、回動車や駆動車をタイミングプーリで構成し、帯状体をタイミングベルトで構成しても良い。
【0014】
支持アーム22の基部22b間における駆動軸20には回転カム31が固着されている。その回転カム31には図3に示すようにカム溝31aが形成されている。収納凹部体2と防水扉3とを連結する枢支リンク11には、作動リンク32の一端部32aがピン部材33を介して連結されている。作動リンク32の他端部32bには、ピン部材34を介して支持リンク35の上部35aが連結されている。支持リンク35の下部35bはピン部材36を介して第2ブラケット21に連結されている。作動リンク32の他端部32bには前記カム溝31aに嵌合するカムフォロア37が取り付けてある。よって、回転カム31を回転させるとカム溝31aに沿って作動リンク32が前後に移動することで、作動リンク32の一端部32aが連結された枢支リンク11の上部11aが前後方向に揺動するようになっている。回転カム31のカム溝31aは、枢軸14を中心にして防水扉3の先端部3aが上方向へ揺動し始める起立初期に、防水扉3の枢軸14を後板2c側(後方側)へ移動させて前板2bから遠ざけて防水扉3の基部3b端面が縁材5に接触しないようにし、防水扉3が起立し終わる起立終期に、防水扉3の枢軸14を前板2b側(前方側)へ近づけるように移動させて防水扉3の基部3bを扉枠7のパッキン部材6、収納凹部体2のパッキン部材8に押し付けるように形成されている。
【0015】
次に、上記のように構成した防水扉装置1の作動について説明する。建物や駐車場等の出入口の床面Fに設置される防水扉装置1は、通常、防水扉3を収納凹部体2の開口を閉塞する傾倒位置としてある(図1の状態)。このとき防水扉3の基部3b端面が前板2bに近づいて配置されており、収納凹部体2の開口を防水扉3が殆ど隙間なく塞いでいる。また、支持材15を介して防水扉3の上面を床面Fと面一としてあるので、歩行者や自動車等の通行の障害となることがない。大雨によって建物や駐車場等の出入口に浸水が生じる恐れが発生した場合には起倒装置を起動し、駆動モータ16により駆動軸20を駆動して、第2チェーンホイール29を図1の状態から逆回転(反時計回り)させると、回転カム31も起倒装置と関連して駆動軸20により反時計回りに回転する。回転カム31が図5〜7に示す起立初期において回転すると、作動リンク32を介して枢支リンク11の上部11a(枢軸14)が収納凹部体2の後板2cに向けて揺動され、防水扉3の枢支部13が前板2bから遠ざかるように移動するので、防水扉3の基部3bも遠ざかりながら枢軸14を中心として下方に回転する。第2チェーンホイール29が図5〜7に示すように回転すると、無端チェーン30、第1チェーンホイール28を介して回動アーム24の先端部24aが中間軸23を中心に上方向に回転されるので、防水扉3の先端部3aが枢軸14中心に上方向に押し上げられると共に、支持アーム22の先端部22aが駆動軸20を中心に上方向に上昇する。この場合、回動アーム24の先端部24aが防水扉3の中央部分より先端に近い防水扉3の先端部3aに連結されているので、防水扉3を小さい力で起立させることができる。
【0016】
更に第2チェーンホイール29と回転カム31が回転し起立初期から図8に示す起立位置に向けて防水扉3が起立動作する起立終期では、回転カム31により作動リンク32を介して枢支リンク11の上部11aが前板2bに向けて揺動され、枢支部13を前板2bに近づけるので、防水扉3の基部3bが前壁2bに近づく。その後、回転カム31と第2チェーンホイール29が図8に示す起立位置まで回転し、回動アーム24が支持アーム22に対して略直線状となった時に駆動モータ16が停止され、防水扉3の上面が扉枠7のパッキン部材6、収納凹部体2のパッキン部材8に当接した状態となる。この起立した防水扉3によって出入口を閉塞することで、出入口からの浸水が防止されることになる。
【0017】
このことから、駆動モータ16の駆動により第2チェーンホイール29、無端チェーン30、第1チェーンホイール28を介して回動アーム24の先端部24aを上方向に回転させると共に基部24bを上方向に上昇させることで、回動アーム24の先端部24aと連結された防水扉3を収納凹部体2の開口を閉塞する状態から出入口を閉塞する状態に起立させることが可能となる。従って、収納凹部体2内に砂、埃等が堆積しても、防水扉3に連結した回動アーム24を上昇しながら回動させるだけで確実に防水扉3を押し上げて起立させることができる。また、回転カム31により作動リンク32を介して枢支リンク11を揺動させ枢支部13を前壁2bから起立初期には遠ざけ、起立終期には近づけることで、防水扉3を基部3b端面と前壁2bとの干渉を避けて起倒動作でき、起立位置ではパッキン部材6,8に圧着させることができる。また、起立位置では防水扉3と回転カム31間で作動リンク32が突っ張った状態で基部3bを前壁2bに向けて押付けるので、基部3bをパッキン部材6,8に強く確実に圧着できる。そして、防水扉3と収納凹部体2との起倒時の干渉が避けられるので、防水扉3によって収納凹部体2の開口を閉塞する傾倒位置(図2の状態)で、防水扉3の基部3bと収納凹部体2の前板2b又は収納凹部4の前側面との間を極めて近づけて配置でき、殆ど隙間なく塞ぐので、歩行者等に対する安全性を高め、また、収納凹部4へのゴミの侵入を防止できる。また、防水扉3によって再び収納凹部体2の開口を閉塞する場合には、駆動軸20を図8の状態から正回転(時計回り)させることで、上記と逆に作動して防水扉3の先端部3aが下方向へ移動して収納凹部体の開口が閉塞される。
【0018】
【発明の効果】
請求項1の発明は、収納凹部体の防水扉基部側位置に枢支リンクの下部をその上部が収納凹部体の防水扉基部側壁面に対して遠近移動可能に連結し、枢支リンクの上部に防水扉の枢支部を枢着し、枢支リンクを防水扉の起倒動作に関連して揺動可能な回転カムを収納凹部体内に設け、防水扉の起立初期に枢支部を収納凹部体の防水扉基部側壁面から遠ざけ起立終期に枢支部を収納凹部体の防水扉基部側壁面に近づけるようにしたので、起立の際の収納凹部体との干渉を避けながら防水扉を収納凹部体の防水扉基部側壁面に近づけて配置でき、収納凹部体の開口を防水扉でほとんど隙間なく塞いで通路部下面を安全にかつきれいに利用できる。また、起立終期に防水扉の枢支部を収納凹部体の防水扉基部側壁面に近づけるようにしたので、起立位置の防水扉を収納凹部体の壁面に設けたパッキン部材に確実に圧着させることができ、防水扉の水密性能を良くでき、しかも起倒装置を防水扉の先端部に連絡して防水扉を小さい力で起立させることができ、起倒装置の小型化を図ることができる。また、防水扉の枢着部を回転カムによって移動させるようにしたので、枢支部を簡易な機構で強く押すことができ、長期に亘って性能維持できると共にコストを低くできる。
【0019】
請求項2の発明は、枢支リンクに作動リンクの一端部を連結し、作動リンクの他端部を支持リンクで支えると共に作動リンクにカムフォロアを設け、収納凹部体内に防水扉の起倒装置と関連して回転可能な回転カムを設け、回転カムのカム溝にカムフォロアを嵌合させたので、枢支リンクを回転カムのカム溝によって作動リンクを介して壁面側へ確実にかつ円滑に移動させることができる。
【0020】
請求項3の発明は、収納凹部体の防水扉基部側とは反対側の位置に起倒装置の駆動軸を回転可能に設け、その駆動軸に枢支リンクを揺動させる回転カムを装着したので、全体の構成を簡易にできると共に、防水扉の起倒動作と枢支部移動を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防水扉装置であって、防水扉の下面から下方を見た図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図1のX部拡大部分断面図である。
【図5】駆動軸の回動により駆動車と回転カムとが回転した状態を示す図である。
【図6】駆動軸の回動により駆動車と回転カムとが回転した状態を示す図である。
【図7】駆動軸の回動により駆動車と回転カムとが回転した状態を示す図である。
【図8】防水扉によって出入口を閉塞した状態を示す図である。
【符号の説明】
1 防水扉装置
2 収納凹部体
3 防水扉
3b 基部
11 枢支リンク
13 枢支部
20 駆動軸
31 回転カム
31a カム溝
32 作動リンク
35 支持リンク
37 カムフォロア
Claims (3)
- 構造物の水侵入可能な通路部下面に設置する収納凹部体と収納凹部体の開口を塞ぐ防水扉を備え、収納凹部体に防水扉の基部下面に突設した枢支部を枢着し、収納凹部体内に設けた起倒装置により防水扉を傾倒位置から起立位置に回動させて水侵入を防止するようにした防水扉装置において、収納凹部体の防水扉基部側位置に枢支リンクの下部をその上部が収納凹部体の防水扉基部側壁面に対して遠近移動可能に連結し、枢支リンクの上部に防水扉の枢支部を枢着し、枢支リンクを防水扉の起倒動作に関連して揺動可能な回転カムを収納凹部体内に設け、防水扉の起立初期に枢支部を収納凹部体の防水扉基部側壁面から遠ざけ起立終期に枢支部を収納凹部体の防水扉基部側壁面に近づけるようにした防水扉装置。
- 枢支リンクに作動リンクの一端部を連結し、作動リンクの他端部を支持リンクで支えると共に作動リンクにカムフォロアを設け、収納凹部体内に防水扉の起倒装置と関連して回転可能な回転カムを設け、回転カムのカム溝にカムフォロアを嵌合させて成る請求項1記載の防水扉装置。
- 収納凹部体の防水扉基部側とは反対側の位置に起倒装置の駆動軸を回転可能に設け、その駆動軸に枢支リンクを揺動させる回転カムを装着した請求項1乃至3の何れかに記載の防水扉装置。
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