JP3856710B2 - 電子式交流電流計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、サンプリングA/D変換を用いて交流電流を計測する電子式交流電流計に係わり、さらに詳しくは、計測対象の電流がゼロのときにA/D変換器等の電子回路のオフセット電圧の影響を排除できる電子式交流電流計に関する。
【0002】
【従来の技術】
図11は、例えば特開平6−194191号公報に示された従来の電子式交流電流計の構成を示すブロック図である。
図において、1は被計測電路、2は被計測電路1を流れる交流電流(即ち、被計測電流)に比例した二次出力をする計器用変流器である。
3は計器用変流器2の二次出力を増幅し、電圧信号に変換する変換部、4は被計測電路1を流れる交流電流に比例する電圧信号(即ち、変換部3の出力信号)をサンプリングしてデジタル信号に変換すると共に、被計測電路1の交流電流の実効値を演算して出力するA/D変換演算部である。
5は計測結果を表示する表示部であり、この表示部5は計測値(即ち、A/D変換演算部4によって演算された被計測電路1の交流電流の実効値)を数値表示するデジタル値表示部6と、計器用変流器2の変成比等による表示値の単位を示す単位表示部7と、該計測値をその値の大きさに対応した長さで表示(アナログ表示)するバーグラフ表示部8と、バーグラフ表示部8の目盛値を示す目盛数値9で構成される。
【0003】
なお、バーグラフ表示部8は複数個の液晶セグメントを直列に並べて一端からの連続点灯数でバーの長さにして表示するものであり、図に示したような円環状に複数個の液晶セグメントを配置したものの他に、直線状(棒状)に配置したものであってもよい。
10は計測値(即ち、A/D変換演算部4の出力値)の出力値に対応してバーグラフ表示部8が点灯する液晶セグメント数を制御するバーグラフ表示制御部、11はスケーリング演算部であり、A/D変換された計測信号(即ち、A/D変換演算部4によって演算された被計測電路1の交流電流の実効値)を後述の単位表示に整合するように演算処理する。
12はスケーリング演算部11で演算処理された計測信号をデジタル値表示部6へ数値表示させるデジタル表示制御部である。
【0004】
21は最高目盛値設定部であり、被計測電路1を流れる電流値予測から計測最高範囲のフルスケール値や計器用変流器2の変成比等を外部から初期設定する。22は設定された計測最高範囲のフルスケール値、計器用変流器2の変成比等からバーグラフ表示部8の中間分割した各目盛数値9を演算設定する目盛数字演算部、23は目盛数字演算部22で設定された数値を各目盛数値表示9へ表示させる目盛数字表示制御部である。
24は計器用変流器2の変成比等からフルスケール値の単位(例えば、A,KA,MA)を選択する単位演算部、25は選択された単位にあわせて単位表示部7の点灯セグメントを設定する単位表示制御部である。
【0005】
次に、従来の電子式交流電流計の動作について説明する。
計器用変流器2を介して電子式交流電流計を被計測電路1へ接続して、定格計測電流、延長目盛り倍数、変成比等の計測パラメータを最高目盛値設定部21から設定入力する。
これにより、単位表示部7と目盛数値9のフルスケール値および各中間分割目盛数値が所要セグメントの点灯により表示される。
一方、バーグラフ表示制御部10は、A/D変換演算部4により実効値演算された被計測電路1の計測電流値に対応させてバーグラフ表示部8の液晶セグメントを点灯させ、デジタル表示制御部12は演算処理された計測電流値をデジタル値表示部6への数値表示させる。
【0006】
計測表示する被計測電路1の交流電流の実効値Iは、計測周期の1サイクルをn個のサンプリングをして得た電流の瞬時値i1、i2、・・・inから、次式により演算して求める。
実効値I = [{(i1)2+(i2)2+・・・・(in)2}/n]1/2
そして、数値表示とバーグラフ表示の計測電流値には計測周期毎に直前の計測周期の演算結果を表示するようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電子式交流電流計は以上のように構成されているので、変換部3の増幅回路やA/D変換演算部4のA/D変換器等の電子回路によってオフセット電圧が発生する。
このため、被計測電路1の交流電流が皆無(ゼロ)であり、本来“ゼロ表示”されるべきところを、直流成分のオフセット電圧値が計測値として出力表示されるため、電流計の監視者に誤った判断を与えることがあった。
【0008】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、オフセット電圧の影響を受けず、被計測電路1に電流が流れていない場合には確実にゼロ表示をさせることのできる電子式交流電流計を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る電子式交流電流計は、被計測交流電流をサンプリングA/D変換して電流実効値を演算し、その演算結果を計測電流値として表示部に表示させる電子式交流電流計において、正弦波1周期を所定サンプリング数により分割演算した各正弦値を記憶させた擬似交流電圧テーブルと、被計測交流電流の少なくとも1周期を所定サンプリング数によりサンプリングして得る被計測交流電流の各瞬時値と、擬似交流電圧テーブルに記憶された被計測交流電流の各瞬時値と対応するサンプリングタイムの正弦値とを乗算して疑似電力を求める擬似電力演算部とを備え、擬似電力演算部により演算される疑似電力が所定の値より小さいときは、演算される被計測交流電流の電流実効値に代えて強制的に表示部にゼロ表示させるものである。
【0010】
また、この発明に係る電子式交流電流計は、擬似交流電圧テーブルの乗算順位を位相角90度に相当するサンプル順数ずらせて、被計測交流電流の各瞬時値と乗算して無効電力を演算する無効電力演算部を備え、擬似電力演算部による疑似電力の演算結果が第1の所定の値より小さく、かつ、無効電力演算部による無効電力の演算結果が第2の所定の値より小さいときは、演算される被計測交流電流の電流実効値に代えて強制的に表示部にゼロ表示させるものである。
【0011】
また、この発明に係る電子式交流電流計の擬似交流電圧テーブルは、被計測電流の1周期のサンプリング数を2分割して、一方をプラス値に、他方を該プラス値と絶対値が同一のマイナス値にしたものである。
【0012】
また、この発明に係る電子式交流電流計は、擬似交流電圧テーブルのサンプリング数を制御電源の周波数から設定するようにしたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、図において、従来と同一符号は従来のものと同一あるいは相当のものを表す。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による電子式交流電流計の構成をブロック図である。
図1において、1は被計測電路、2は計器用変流器、3は変換部、4はA/D変換演算部、5は表示部、6はデジタル値表示部、7は単位表示部、8はバーグラフ表示部、9は目盛数値、10はバーグラフ表示制御部、11はスケーリング演算部、12はデジタル表示制御部である。
また、21は最高目盛値設定部、22は目盛数字演算部、23は目盛数字表示制御部、24は単位演算部、25は単位表示制御部である。
なお、符号1〜12および符号21〜25は、図11に示した従来の電子式交流電流計のものと同様のものである。
【0014】
13は擬似交流電圧テーブル(図中では、擬似電圧テーブルと略す)であり、正弦波1周期をn等分し、該当する各位相角度毎の正弦値を関数計算より求め、格納(記憶)している。
14は擬似電力演算部であり、A/D変換演算部4で求められたサンプリング毎の電流値(瞬時値)と、擬似交流電圧テーブル13に格納された正弦値とから疑似電力を演算する。
15はゼロ表示判定部であり、A/D変換演算部4で演算された計測対象の電流値(即ち、被計測電路1を流れる交流電流)の実効値が入力されるとともに、擬似電力演算部14で演算された疑似電力の演算結果に基づいて、表示部(即ち、バーグラフ表示制御部8とデジタル表示制御部12)に対して、ゼロ表示させるか、あるいは計測電流値(即ち、A/D変換演算部4で演算された被計測電路を流れる交流電流の実効値)を表示するかを指示する。
【0015】
擬似電力演算部14での演算結果の疑似電力Wが、W>0であれば計測電流値(即ち、電流実効値)を表示させ、W≒0(所定の値より小)のときは表示をゼロ表示にする。
16は外部の交流電源30から電子式交流電流計の作動電力(制御電源)を作り出す制御電源部であり、例えば、交流110Vから液晶表示電力、CPU作動用の直流5Vを生成する。
また、17は外部の交流電源30の周波数を検知するためのゼロクロス検出部、18はゼロクロス検出部17の周波数検知を用いないで人為的に被計測電路1の周波数(即ち、50Hzあるいは60Hz)を選択設定する周波数設定部である。
【0016】
次に、図2〜図5を用いて、本実施の形態による電子式交流電流計の動作原理を説明する。
図2は、擬似交流電圧テーブル13における交流電圧波形を示すもので、イメージとしては正弦波の交番波形そのものである。
また、図3は、擬似交流電圧テーブル13の内部を示すもので、サンプリング進行数(即ち、サンプリングタイムn)に対応する角度進行の各タイミングでのそれぞれ正弦値が記憶してある。
また、図4は、計測電流のオフセットを含むA/D変換後波形を示しており、図5は、オフセット成分だけのときの電力演算結果波形を示している。
【0017】
いま、被計測電路1を流れる交流電流の実効値を求めるのに必要な1周期をサンプリングする数をnとする。
被計測電路1の交流電流の周波数は50Hzと60Hzが存在するが、一般に電子式交流電流計の制御電源は被計測電路1と同一周波数の交流電源に接続されることから、ゼロクロス検出部17で周波数を検知してCPUのクロック分周比を変化させて、50Hzと60Hzを問わず1周期のサンプリング数はnに固定できる。
また、制御入力電源が直流とか別電源のときは周波数設定部18から50Hzあるいは60Hzを選択して入力する。
従って、擬似交流電圧テーブル13の分割もこのサンプリング数nに設定している。
なお、図2、図3の波線部分は、後述する実施の形態2による電子式交流電流計の説明用のものである。
【0018】
説明の都合上、被計測交流電流のサンプリング開始位置と擬似交流電圧テーブル13の位相を同一にする。
いま、サンプリングタイム1、2、・・・nに対応して、被計測電路1を流れる交流電流のサンプリング瞬時値をi1、i2、・・・in、擬似交流電圧テーブル13のサンプリング順瞬時値(即ち、擬似交流電圧テーブル13に記憶された各正弦値)をv1、v2、・・・vn、変換部3の増幅回路やA/D変換演算部4のA/D変換器のオフセット成分をΔdとすると、
疑似電力Wの演算は、
W = v1(i1+Δd)+v2(i2+Δd)・・・+vn(in+Δd)
となる。
この演算された疑似電力Wは、被計測交流電流(即ち、被計測電路1を流れる交流電流)iと擬似交流電圧vのサンプリング数差が位相差π/2(n/4)以外では|W|≠0となる。
【0019】
また、被計測交流電流の入力が無いときは、図5に示すようにオフセットΔdだけとなり、疑似電力Wは、
W = v1(Δd)+v2(Δd)・・・+vn(Δd)
となる。
ここで、擬似交流電圧テーブルの後半(π〜2π)の値は負数であるため、各積の総計は相殺されて疑似電力はW=0となる(実際にはサンプリング期間内のオフセットΔdの変動等による僅かの差が残るのでW≒0)。
【0020】
上記の理論により、被計測交流電流(即ち、被計測電路1を流れる交流電流)の入力が皆無(ゼロ)であることの判定が可能となる。
図6は、本実施の形態による電子式交流電流計におけるゼロ表示処理を説明するためのフローチャートであり、図6を用いて、計測電流値を表示するか、ゼロ表示させるかの処理フローを説明する。
A/D変換演算部4において、入力電流信号の1サイクル分(数サイクルに渡る計測周期にしてサンプリングを均等間引きずらしして計測周期終了に1サイクル相当のサンプリング数を得てもよい)をサンプリングして計測電流の実効値Iを求める実効値演算を行う(ステップ61)。
【0021】
次に、入力電流信号のサンプリング毎の瞬時値と、擬似交流電圧テーブル13内の該当サンプリングタイミング番号のテーブル値(即ち、正弦値)とを乗算したものを累計した疑似電力Wの演算を実行する(ステップ62)。
次に、1サイクル該当の計測周期の電流実効値演算と疑似電力演算が終了したところで、疑似電力演算結果Wの値を判定する(ステップ63、64)。
そして、疑似電力演算結果の絶対値|W|が|W|>eのときは、ステップ61で求めた電流計測実効値Iをバーグラフ表示制御部8とデジタル表示制御部12へ表示させる(ステップ66)。
【0022】
また、|W|<eの場合には、強制的にバーグラフ表示制御部8とデジタル表示制御部12へはゼロ表示させる(ステップ65)。
なお、“e”は適宜設定する誤差許容値であり、図6に示したフローチャートのステップ64には、「|W|≒0」と記載しているが、これは誤差許容値eが「≒0」の意味である。
理論的にはW=0のときがゼロ表示指示となるが、上述のように計測周期内のオフセット出力の変動を補償するため誤差許容値eを設けている。
また、判定に疑似電力演算結果の絶対値|W|を用いるのは、乗算する入力電流信号と擬似交流電圧テーブルの位相が逆相の場合は乗算結果が負数となるからである。
【0023】
以上説明したように、本実施の形態による電子式交流電流計は、被計測交流電流をサンプリングA/D変換して実効値を演算し、その演算結果を計測電流値としてバーグラフおよびデジタル数値またはいずれか一方を表示する電子式交流電流計において、正弦波1周期を所定サンプリング数により分割演算された各正弦値を記憶させた擬似交流電圧テーブルと、被計測電流を少なくとも1周期をサンプリングして得る電流各瞬時値と擬似交流電圧テーブルの対応するサンプリングタイムの各正弦値とを乗算して擬似電力を求め、この擬似電力演算結果が略ゼロのときにはゼロ表示させるので、変換部の電子回路やA/D変換演算部のA/D変換器のオフセット電圧の影響を受けず、被計測電路に電流が流れていない場合には確実にゼロ表示をさせることがきる。
【0024】
実施の形態2.
上述した実施の形態1による電子式交流電流計では、計測周期内の被計測電流(即ち、被計測電路を流れる交流電流)と擬似交流電圧テーブルの位相が90度ずれると、疑似電力Wの演算結果はW≒0となる。
従って、被計測電路1に電流が存在していてもW≒0の状態となり、電流計測表示がゼロとなる不具合が発生することがある。
特に、この状況は、コンデンサ負荷の進相電流だけの場合に発生しやすい。
本実施の形態による電子式交流電流計は、このような不具合な状態の発生を防止することができる。
【0025】
図7は、実施の形態2による電子式交流電流計のゼロ表示処理を説明するためのフローチャートである。
なお、実施の形態2による電子式交流電流計の基本的な構成は、図1に示した実施の形態1による電子式交流電流計と同様であるが、さらに、擬似電力演算部14に図示しない無効電力演算部を付加すると共に、擬似交流電圧テーブル13には図2、図3の破線部に示す位相角で90度延長した部分を保有させたものである。
図7に基づいて、本実施の形態による電子式交流電流計の動作を説明する。
ここで、ステップ61〜66での処理は、前述の実施の形態1による電子式交流電流計の場合と同様である。
図において、ステップ67における無効電力演算は、
Var=vR1(i1+Δd)+vR2(i2+Δd)・・+vRn(in+Δd)
の演算で求められる。
なお、vRi(i = 1,2・・・n)は擬似交流電圧テーブル13のvi(i = 1,2・・・n)から位相角で90度相当のサンプル順数(n/4個)をずらせた位置の値(余弦値に相当)となっている。
このため、擬似交流電圧テーブル13に、図2、図3の破線部に示す延長部分を保有させている。
【0026】
そして、1サイクル該当の計測周期の電流実効値Iの演算(ステップ61)、疑似電力Wの演算(ステップ62)および無効電力Varの演算(ステップ67)が終了したところ(ステップ63)で、まず、疑似電力の演算結果Wの値を判定する(ステップ64)。
疑似電力の演算結果Wの値が、W≒0でなければ、即ち、適宜設定した所定の誤差許容値e以上であれば、ゼロ表示判定部15はバーグラフ表示制御部8とデジタル表示制御部12に対してA/D変換演算部4が演算して求めた被計測電流(即ち、被計測電路1を流れる交流電流)の実効値Iを表示させる。
また、疑似電力の演算結果Wの値が、W≒0(即ち、Wの値が適宜設定した所定の誤差許容値e以内)であれば、更に、ステップ67で求めた無効電力Varの絶対値|Var|が≒0(即ち、|Var|の値が適宜設定した所定の誤差許容値k以内)であるかどうかを判定する。
【0027】
そして、|Var|≒0(即ち、|Var|が誤差許容値k以内)であれば、ゼロ表示判定部15はバーグラフ表示制御部8とデジタル表示制御部12に対して強制的にゼロ表示させる。
また、|Var|≒0でなければ、即ち、|Var|が適宜設定した所定の誤差許容値k以上であれば、ゼロ表示判定部15はバーグラフ表示制御部8とデジタル表示制御部12に対してA/D変換演算部4が演算して求めた被計測交流電流(即ち、被計測電路1を流れる交流電流)の実効値Iを表示させる。
【0028】
以上説明したように、本実施の形態による電子式交流電流計は、実施の形態1による電子式交流電流計において、疑似電力演算における擬似交流電圧テーブルの乗算順位をπ/2相当回数ずらせて電流各瞬時値と乗算する無効電力演算手段を備え、疑似電力演算結果が略ゼロであり、かつ、無効電力演算結果も略ゼロのときに、バーグラフおよびデジタル数値表示をゼロ表示させるので、「被計測電路に電流が存在していてもW≒0の状態となり、電流計測表示がゼロとなる」という不具合を防止することができる。
【0029】
実施の形態3.
図8は実施の形態3による電子式交流電流計の構成を示すブロック図、図9は実施の形態3による電子式交流電流計の動作を説明するためのフローチャートである。
なお、図8における符号1〜12、14〜18、21〜25は、前述の従来の電子式交流電流計(図11)あるいは実施の形態1による電子式交流電流計(図1)のものと同様のものであり、説明は省略する。
図8において、19は極性テーブルであり、図10は極性テープル19の内容を模式的に示した図である。
【0030】
本実施の形態においては、ゼロクロス検出部17で被計測電路1と同系統の制御電源周波数の1周期にA/D変換時のサンプリング数nを計数検知する。
そして、極性テーブル19にはこのサンプリング数nのうち1〜n/2の間にはプラス値(例えば、「+1」)を、(n/2)+1〜nには該プラス値と絶対値が同一のマイナス値(例えば、「−1」)を設定する。
また、周波数設定部18から直接に被計測電路1の周波数を指示することでサンプリング数nを設定してもよい。
即ち、極性テーブル19は、被計測電流の1周期のサンプリング数を2分割して、例えば、一方を「+1」に、他方を「−1」に設定した疑似交流電圧テーブルである。
この極性テーブル19の内容は、図10に示すように矩形交流電圧とみなすことができる。
【0031】
本実施の形態による電子式交流電流計の、ゼロ表示処理を図9のフローチャートを用いて説明する。
図9において、テップ91〜94はイニシャル処理のステップであって、制御電源部16を経由して入力される被計測電路1の周波数から計数検知した1サイクル(1周期)の間に、A/D変換時のサンプリング数nと極性テーブル19内のプラスとマイナスの分岐数n/2を設定する。
以下、ステップ61〜66における処理は、前述の実施の形態あるいは実施の形態2の場合と同様である。
ステップ94において電流計測が開始されると、まず、ステップ61において被計測電路1を流れる交流電流の1計測周期の電流実効値Iが演算される。
【0032】
次に、1計測周期の電流実効値演算とともに疑似電力演算に相当する積総和演算を実施する(ステップ95)。
この積総和演算の演算式は
S = i1(1)+i2(1)+・・in/2(1)+in/2+1(−1)・・+in(−1)
で示される。
この積総和Sは、電流計測入力波形は前半がプラス、後半はマイナスの極性であるので、その積は必ずプラスとなりS>0となる。
そして、電流計測入力が皆無(ゼロ)で、オフセット成分Δdだけのときは、 S=Δd1(1)+Δd2(1)・・Δdn/2(1)+Δdn/2+1(−1)・・Δdn(−1)となる。
【0033】
オフセット成分Δdが1計測周期にわたって同じレベルなら、プラスとマイナスが相殺されてS=0となる。
本実施の形態では、オフセット成分Δdの変動許容差を見込んでS≒0のときに、ゼロ表示判定部15はバーグラフ表示制御部8とデジタル表示制御部12に対して強制的にゼロ表示させる(ステップ65)。
S>0のときは、ゼロ表示判定部15はバーグラフ表示制御部8とデジタル表示制御部12に対して電流計測実効値Iを表示させる(ステップ66)。
【0034】
以上説明したように、本実施の形態による電子式交流電流計は、実施の形態1あるいは2で説明した疑似交流電圧テーブルに代えて図10に示したような極性テーブル(即ち、サンプリング数nのうち1〜n/2の間にはプラス値を設定し、(n/2)+1〜nの間には該プラス値と絶対値が同一のマイナス値を設定したテーブル)を用いることによって、回路構成が簡素になると共に、被計測電路の周波数に左右されずに電流計測ができる。
【0035】
【発明の効果】
この発明による電子式交流電流計は、被計測交流電流をサンプリングA/D変換して電流実効値を演算し、その演算結果を計測電流値として表示部に表示させる電子式交流電流計において、正弦波1周期を所定サンプリング数により分割演算された各正弦値を記憶させた擬似交流電圧テーブルと、被計測交流電流の少なくとも1周期を所定サンプリング数によりサンプリングして得る被計測交流電流の各瞬時値と、擬似交流電圧テーブルに記憶された被計測交流電流の各瞬時値と対応するサンプリングタイムの正弦値とを乗算して疑似電力を求める擬似電力演算部とを備え、擬似電力演算部により演算される疑似電力が所定の値より小さいときは、演算される被計測交流電流の電流実効値に代えて強制的に表示部にゼロ表示させるので、オフセット電圧の影響を受けことなく、被計測電路に電流が流れていない場合には、確実にゼロ表示をさせることがきる高品位な電子式交流電流計を実現できる。
【0036】
また、この発明による電子式交流電流計は、擬似交流電圧テーブルの乗算順位を位相角90度に相当するサンプル順数ずらせて、被計測交流電流の各瞬時値と乗算して無効電力を演算する無効電力演算部を備え、擬似電力演算部による疑似電力の演算結果が第1の所定の値より小さく、かつ、無効電力演算部による無効電力の演算結果が第2の所定の値より小さいときは、演算される被計測交流電流の電流実効値に代えて強制的に表示部にゼロ表示させるので、「被計測電路に交流電流が流れていても演算される疑似電力Wが≒0の状態となって電流計測表示がゼロとなる」という不具合も防止することが可能となり、さらに高品位な電子式交流電流計を実現できる。
【0037】
また、この発明による電子式交流電流計の擬似交流電圧テーブルは、被計測電流の1周期のサンプリング数を2分割して、一方をプラス値に、他方を該プラス値と絶対値が同一のマイナス値にしたので、擬似交流電圧テーブルの回路構成が簡素になると共に、被計測電路の周波数に左右されずに電流計測ができる。
【0038】
また、この発明に係る電子式交流電流計は、擬似交流電圧テーブルのサンプリング数を制御電源の周波数から設定するようにしたので、被計測電路と制御電源の周波数は同じであり、ゼロクロス検出でサンプリング数を把握することが可能となり、疑似電圧テープルの作成が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1による電子式交流電流計の構成を示すブロック図である。
【図2】 実施の形態1による電子式交流電流計に用いられる擬似交流電圧テーブルの波形を示す図である。
【図3】 擬似交流電圧テーブルの内部を示す図である。
【図4】 被計測交流電流のオフセットを含むA/D変換後の波形を示す図である。
【図5】 オフセット成分だけのときの電力演算結果波形を示す図である。
【図6】 実施の形態1による電子式交流電流計の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】 実施の形態2による電子式交流電流計の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】 実施の形態3による電子式交流電流計の構成を示すブロック図である。
【図9】 実施の形態3による電子式交流電流計の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】 実施の形態3による電子式交流電流計に用いられる極性テーブルの模式図である。
【図11】 従来の電子式交流電流計の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 被計測電路 2 計器用変流器
3 変換部 4 A/D変換演算部
5 表示部 6 デジタル値表示部
7 単位表示部 8 バーグラフ表示部
9 目盛数値 10 バーグラフ表示制御部
11 スケーリング演算部 12 デジタル表示制御部
13 擬似交流電圧テーブル 14 擬似電力演算部、
15 ゼロ表示判定部 17 ゼロクロス検出部
18 周波数設定部 19 極性テーブル
21 最高目盛値設定部 22 目盛数字演算部
23 目盛数字表示制御部 24 単位演算部
25 単位表示制御部である。 30 交流電源
Claims (4)
- 被計測交流電流をサンプリングA/D変換して電流実効値を演算し、その演算結果を計測電流値として表示部に表示させる電子式交流電流計において、
正弦波1周期を所定サンプリング数により分割演算した各正弦値を記憶させた擬似交流電圧テーブルと、
上記被計測交流電流の少なくとも1周期を上記所定サンプリング数によりサンプリングして得る上記被計測交流電流の各瞬時値と、上記擬似交流電圧テーブルに記憶され、上記被計測交流電流の各瞬時値と対応するサンプリングタイムの正弦値とを乗算して疑似電力を求める擬似電力演算部とを備え、
上記擬似電力演算部により演算される疑似電力が所定の値より小さいときは、被計測交流電流の電流実効値に代えて強制的に上記表示部にゼロ表示させることを特徴とする電子式交流電流計。 - 上記擬似交流電圧テーブルの乗算順位を位相角90度に相当するサンプル順数ずらせて、上記被計測交流電流の各瞬時値と乗算して無効電力を演算する無効電力演算部を備え、
上記擬似電力演算部による疑似電力の演算結果が第1の所定の値より小さく、かつ、上記無効電力演算部による無効電力の演算結果が第2の所定の値より小さいときは、演算される被計測交流電流の電流実効値に代えて強制的に上記表示部にゼロ表示させることを特徴とする請求項1に記載の電子式交流電流計。 - 上記擬似交流電圧テーブルは、被計測電流の1周期のサンプリング数を2分割して、一方をプラス値に、他方を上記プラス値と絶対値が同一のマイナス値にしたことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の電子式交流電流計。
- 上記擬似交流電圧テーブルの上記サンプリング数を制御電源の周波数から設定するようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子式交流電流計。
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