JP3856412B2 - パターン形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な感光性樹脂組成物を用いたパターン形成方法に関し、特に、高感度で、保存安定性が良く、解像性がよいパターン形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、カラーブラウン管などのブラックマトリックスや蛍光体パターンなどの形成に用いられるネガ型ホトレジストとしては、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーと重クロム酸塩とからなるレジスト(PVA−ADC系レジストという)が使用されているが、この種のホトレジストは、重クロム酸塩を含むため環境汚染防止の目的から特別の処理設備が必要となるという基本的な問題を有する。
【0003】
一方、このような問題のないホトレジストとしては、光架橋剤としての水溶性ジアジド、例えば、4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸ナトリウム(以下、DASと略す)と、これにより光架橋可能な水溶性ポリマーとを組み合わせた感光性組成物が知られている。例えば、光架橋可能な水溶性ポリマーとして、ビニルアルコール−マレイン酸共重合体もしくはこれらの塩を用いたもの(特開昭48−97602号公報)、ビニルアルコール−アクリルアミドの共重合体を用いたもの(特開昭48−97603号)、水溶性ポリビニルブチラールを用いたもの(特開昭48−98905号公報)が提案されているが、これらは低感度のため、現実的には使用できない。また、現実に使用できる感度を有するものとしては、ポリビニルピロリドン(以下、PVPと略す)に水溶性ビスアジドを添加したもの(以下、PVP−DAS系レジストという;例えば、特開昭48−90185号公報)、アクリルアミド−ジアセトンアクリルアミド共重合体(以下、PADと略す)に水溶性ビスアジドを添加したもの(以下、PAD−DAS系レジストという;例えば、特公昭52−20225号公報)などが知られている。
【0004】
ここで、カラーブラウン管用ブラックマトリックスの形成に用いた場合を考えてみると、PVA−ADC系レジストは、上述した公害問題の他に、酸素透過性が低く、相反則不軌特性がないため、解像度が悪いという問題がある。また、PVP−DAS系レジストは、酸素透過性が高過ぎるため、適当な感度を得るためには塗布膜厚を厚くする必要があり、それによって解像性が低下するという問題がある。また、PAD−DAS系レジストは、感度及び解像性は良好だが、レジストパターン形成し、グラファイトを塗布した後のエッチング性が良好でなく、グラファイトの種類によってはエッチングできないという問題がある。
【0005】
また、蛍光体パターンの形成の用途について考えてみると、PVA−ADC系レジストは、公害問題の他、感度の点でも十分でなく、また、焼成により酸化クロムが残留するので蛍光体の輝度を低下させるという問題がある。なお、PVP−DAS系レジスト及びPAD−DAS系レジストは感度の点で問題があり、使用することができない。
【0006】
一方、特に蛍光体パターン形成の用途でのノンクロムのレジストとしては、感光性ユニットとして、ポリビニルアルコールにスチリルピリジウム塩化合物又はスチリルキノリウム塩化合物などの第4級アンモニウム塩を縮合反応させた感光性樹脂を含有するものが知られている(特公昭56−5761号公報、特公昭56−5762号公報、特開昭56−11906号公報)。しかしながら、これらのレジストも解像性の点で満足できるものではない。
【0007】
また、カラーブラウン管用カラーフィルターの形成方法としては、特開平5−266795号、特開平8−87962号公報、特開平8−185799号公報等が提案されているが、何れも架橋剤として重クロム酸塩を使用するための環境汚染、低感度、または複雑なプロセス等の問題があり、満足できるものではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来のホトレジストは、公害問題、感度、解像性の全ての点で満足できるものはないので、高感度で、基板に対する接着性が高く、塗布性及び保存安定性に優れた組成物を用いたパターン形成方法の出現が望まれている。特に、水溶性ポリマー及び水溶性アジドを用いた場合の相反則不軌性等のメリットを維持しながら、高感度で、基板に対する接着性、塗布性、保存安定性などが優れた感光性組成物を用いたパターン形成方法の出現が熱望されている。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑み、公害問題の心配もなく、高解像性で、感度の点でも十分で、基板に対する接着性、塗布性、保存安定性等の優れた感光性樹脂組成物を用いたパターン形成方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明のパターン形成方法は、下記一般式で示される構成単位を有する感光性樹脂及び水溶性ポリマーを含む感光性樹脂組成物を基板上に塗工して感光性組成物塗膜を形成する塗膜形成ステップと、この感光性組成物塗膜に所望のパターン露光を施す露光ステップと、このパターン露光した感光性組成物塗膜を水又は水系現像液にて現像して光硬化パターンを形成する現像ステップとを有することを特徴するパターン形成方法にある。
【0011】
【化3】
【0012】
ここで、nは1,2又は3である。また、Arは下記から選択され、下記Xは、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、モノアルキルアンモニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアルキルアンモニウム、又はテトラアルキルアンモニウムを表す。
【0013】
【化4】
【0015】
また、前記感光性樹脂組成物は、例えば、さらに、水溶性アジド化合物を含んでもよい。
【0016】
また、前記基板は、例えば、カラーブラウン管のフェースプレート内面である。
【0017】
また、さらに、前記現像ステップの後、前記光硬化パターン全面に黒鉛のスラリーを塗布して乾燥して黒鉛塗膜を形成するステップと、前記光硬化パターンを剥離液により除去してブラックマトリックスを形成するステップとを具備してもよい。
【0018】
また、例えば、前記感光性樹脂組成物が蛍光体をさらに含み、前記現像ステップにより蛍光体パターンを形成してもよい。
【0019】
また、前記感光性樹脂組成物が顔料をさらに含み、前記現像ステップによりカラーフィルターを形成してもよい。
【0020】
本発明者らは上述した課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特殊な長波長アジドを有する感光基を導入したポリ酢酸ビニルけん化物を用いることにより、上述した課題を達成できることを知見し、本発明を完成させた。
【0021】
本発明で用いる上記一般式(I)で示される感光性樹脂は、下記式(1)で示される感光性化合物を、ポリ酢酸ビニルけん化物と酸触媒存在下で反応させることにより得ることができる。
【0022】
【化5】
【0023】
ここで、RはC6までのアルキル基,および二つのRが一緒になって形成する−(CH2)m−(mは2または3)から選択される。また、nは1,2又は3である。なお、ArおよびXは、上述した通りである。
【0024】
かかる感光性化合物は、下記式(2)で示されるロダニン化合物と、下記(3)で示されるアジド基を有する芳香環を具備するアルデヒド化合物とを縮合することにより得ることができる。
【0025】
【化6】
【0026】
かかるロダニン化合物は、例えば、アミノ基を有するアセタール化合物を、アンモニア、トリエチルアミン、NaOH、KOH等の塩基存在下で二硫化炭素とさせて、ジチオカルバミン酸塩を合成し、続いて、クロル酢酸エチルと反応させることにより得ることができる。この場合の反応溶媒は、使用するアミン化合物により、水、エーテル、DMF等を選択して使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0027】
また、このロダニン化合物と縮合可能なアジド基を有する芳香族アルデヒド、又はアジド基を有する芳香環を具備するアルデヒド化合物は、下記式(3)で示される。
【0028】
【化7】
【0029】
ここで、式(3)において、Arは上述した通りである。
【0030】
また、本発明で用いられるポリ酢酸ビニルけん化物とは、ポリビニルアルコール、又はビニルアルコールと他のビニル化合物との水溶性共重合体をいい、例えば、親水基変性、疎水基変性、アニオン変性、カチオン変性、アミド基変性、又はアセトアセチル基のような反応基変性などの変性酢酸ビニルけん化物を含むものである。
【0031】
ここで用いられるポリビニルアルコールは、例えば、平均重合度200〜5000、けん化度60〜100%のものが好適である。平均重合度が200より小さい場合には、十分な感度が得られ難く、また、平均重合度が5000より大きい場合には、感光性樹脂の溶液の粘度が高くなり、塗布性が悪くなるという不具合が発生し易く、さらに、粘度を下げるために濃度を低くすると、所望の塗布膜厚を得るのが困難となる。また、けん化度が60%より低いと十分な水溶性及び水現像性が得られ難い。
【0032】
一方、ビニルアルコールと他のビニル化合物との共重合体としては、例えば、平均重合度200〜5000のものが使用できる。なお、ビニルアルコールと共重合され得るビニルモノマーとしては、例えば、N−ビニルピロリドン、アクリルアミド等を挙げることができる。
【0033】
このようなポリ酢酸ビニルけん化物類と、上記式(1)で示される感光性化合物とを酸触媒存在下で反応させて、上記式(I)で示される感光性樹脂を得る場合、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド等の脂肪族アルデヒド類、ベンスアルデヒド、スルホン酸塩、ベンズアルデヒドージスルホン酸塩、ソジウム 4−アジド−2−スルホベンズアルデヒド、カルボキシベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ホルミルスチリルピリジニウム塩等の芳香族アルデヒド類又はこれらのアセタール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類を同時に反応させることもできる。
【0034】
ポリ酢酸ビニルけん化物類に対する式(1)の感光性化合物の導入率は、モノマー単位当たり、0.3〜50モル%程度が好ましい。
【0035】
本発明のパターン形成方法は、上述した一般式(I)の感光性樹脂を含む感光性樹脂組成物を用いて行う。
【0036】
また、感光性樹脂は、上述したように水溶性ポリマーと共に用いてもよいが、かかる水溶性ポリマーとしては、ポリ酢酸ビニルケン化物、ゼラチン、セルロース誘導体、カゼイン等の天然物ポリマーや、水溶性ビニルモノマーからなるポリマー又は共重合体である。ここで、水溶性ビニルモノマーとしては、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、ビニルピロリドン、アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ビニルピリジン、メタアクリルアミド、アリルチオ尿素などを挙げることができる。全水溶性ポリマーに対する式(1)の樹脂の含有量は、0.5%以上が好ましい。
【0037】
また、感光性樹脂は、上述したように水溶性アジド化合物と共に用いてもよい。かかる水溶性アジド化合物としては、例えば、4,4’−ジアジドスチルベン2,2’−ジスルホン酸、4,4’−ジアジドベンザルアセトフェノン−2−スルホン酸、4,4’−ジアジドスチルベン−α−カルボン酸及びこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩などを挙げることができる。さらに、特公昭50−27404号公報、特開昭50−141403号公報、特開平2−204750号公報、特開平4−26849号公報、特開平5−11442号公報、特開平5−113661号公報、特開平6−239930号公報などに記載の水溶性アジド化合物を好適に使用することができる。
【0038】
本発明で用いる感光性樹脂組成物には、塗布特性及び保湿特性の改良のために必要に応じて例えばエチレングリコール、ソルビトールあるいは界面活性剤等を添加することができる。本発明の感光性組成物には、基板への接着性の改良のため必要に応じて接着促進剤であるいわゆるシランカップリング材を添加することができる。これらの接着促進剤は、例えば、N−β(アミノエチル)−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等の水溶性を持つ接着促進剤が用いられる。
【0039】
本発明で用いる感光性樹脂組成物には、必要に応じて、例えば防腐剤、消泡剤、pH調整剤を添加することもできる。
【0040】
また、本発明で用いる感光性樹脂組成物には、必要に応じて、例えば膜強度、耐水性、種々の基板への接着性の改良等のために疎水性高分子エマルジョンを添加することができる。ここで、疎水性エマルジョンとしては、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、ポリアクリル酸エステルエマルジョン、ウレタンエマルジョン等が例示される。疎水性高分子エマルジョンを含む組成物を用いるパターン形成は、例えば、スクリーン印刷版に好適に用いることができる。
【0041】
更に、露光によるハレーションの防止、又は着色画像を得るために本発明で用いる感光性樹脂組成物に顔料、染料等の着色剤を添加することもできる。
【0042】
特に、本発明で用いる感光性樹脂組成物に顔料を分散させて得られる着色画像は、例えば液晶ディスプレー用カラーフィルター、カラーブラウン管用カラーフィルター、プラズマディスプレー用カラーフィルター、印刷用カラープルーフ、第二原図等に応用できる。
【0043】
以上説明した感光性樹脂組成物を用いたパターン形成方法は、例えば、基板上に塗工して感光性組成物塗膜を形成するステップと、この感光性組成物塗膜に所望のパターン露光を施すステップと、このパターン露光した感光性組成物塗膜を水又は水系現像液にて現像するステップとを有する。
【0044】
また、前記基板としては、カラーブラウン管のフェースプレート内面を挙げることができる。したがって、具体的には、カラーブラウン管のブラックマトリックス、蛍光体パターン、及びカラーフィルターなどを形成することができる。
【0045】
以下、本発明によるパターン形成方法についてさらに説明する。
【0046】
(1)基板上に感光性組成物の塗膜を形成する工程
基板としては本発明の感光性組成物が接着しうるすべての基板が使用できる。本発明に使用される基板として以下に具体例を挙げるが、本発明において使用できる基板はこれらに限定されるものではない。すなわち、上記基板の具体例としては、例えばガラス、SiO2処理ガラス、ITO着きガラス等のガラス類、ポリエステル系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム等の各種プラスチックフィルム類及び板、各種金属基板、金属を積層したプラスチック板及びプラスチックフィルム、メッシュ、シリコンウエハー等が例示される。
【0047】
本発明の感光性組成物の塗布方法としては、従来から使用されている回転塗布法、ロールコター法、カーテンコート法、アプリケーター法等が例示される。また、塗布後、常法による所定の温度で乾燥することにより塗膜が得られる。
【0048】
(2)パターン露光工程
上記感光性組成物の塗膜の露光光源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、ケミカルランプ等用いられる本発明に用いられる式(1)の感光性樹脂が感光する波長の光を出す一般的な光源はすべて使用できる。また、露光方式としては、縮小投影露光法、コンタクト露光法、プルキシミティー露光法等一般的な露光方式はすべて使用できる。
【0049】
(3)現像工程
上記パターン露光された感光性組成物の塗膜は水、水−水溶性溶媒の混合溶媒、酸、アルカリ、pH調整剤、界面活性剤等を溶解した水溶液等により現像できる。上記現像方式としては、スプレー現像、デッピング現像、パドル現像等一般的な方式で現像できる。
【0050】
本発明のパターン形成方法は、上述したように、特に、カラーブラウン管のフェースプレートの内面に適用するのが好適である。上記カラーブラウン管のフェースプレートの内面に、上述した本発明のパターンの形成方法を適用すると、高感度、高解像であるので生産性が良い。
【0051】
例えば、カラーブラウン管用ブラックマトリックスを形成する場合には、上記パターン形成後、グラファイトを塗布し、剥離液で処理する(エッチング)。この場合、本発明により形成したパターンはエッチングが良好にできるのできれいなブラックマトリックスが形成できる。
【0052】
ここで、剥離液としては、例えば、過ヨウ素酸、過酸化水素などの酸化性化合物、硫酸、スルファミン酸、硝酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などの酸類、またはこれらの混合物などの水溶液を挙げることができる。
【0053】
また、蛍光体パターンを形成する場合には、蛍光体を含む本発明の感光性組成物を、蛍光体パターンを形成する対象物、例えば、カラーブラウン管のフェースプレート内面の上記ブラックマトリックス上に均一に塗布して乾燥する。所定のパターンのマスクを通してこれに紫外線を露光した後、水現像によって露光した部分のみを残す。赤色(R),緑色(G),青色(B)の3種類の蛍光体を用いる場合は、前記工程を3回繰り返すことにより、蛍光面を完成させることができる。
【0054】
また、カラーブラウン管のカラーフィルターを形成する場合には、例えば、顔料を含む本発明の感光性組成物をカラーフィルターを形成する対象面、カラーブラウン管のブラックマトリックスが形成されたフェースプレート上に、均一に塗布して乾燥する。所定のパターンのマスクを通してこれに紫外線を露光した後、水現像によって露光した部分のみを残す。赤色(R),緑色(G),青色(B)の3種類の無機顔料を用いる場合は、前記工程を3回繰り返すことにより、カラーフィルターを完成させることができる。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を各実施例に基づいて詳細に説明する。
【0056】
(感光性樹脂の製造例1)
(1)[3−(2’,2’−ジメトキシエチル)ロダニンの水分散液の調製]
アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール53g、水酸化ナトリウム20gを水200gに分散溶解し、10℃に冷却した。撹拌下に二硫化炭素38gを30分かけて滴下し、その後、20℃で24時間反応した。次に、クロル酢酸エチル81gを15分で滴下し、その後、室温下で24時間反応し、下記式に示す目的物の水分散液を得た。
【0057】
【化8】
【0058】
(2)[5−(ソジウム 4’−アジド−2’−スルホベンジリデン)−3−(2'',2''−ジメトキシエチル)ロダニンの合成]
ソジウム 4−アジド−2−スルホベンズアルデヒド120g、水酸化ナトリウム30gを水2500gに溶解した水溶液を調製し、これを10℃に冷却した後、これを、(1)の水分散液にゆっくりと加えた。反応するに従い、目的物が析出してくるが、そのまま撹拌を続け、24時間反応した。NaClを150g添加し、更に5時間撹拌し、目的物を濾別し、アセトンにて洗浄した。
【0059】
下記式で示される生成物は、液体クロマトグラフィー純度95%であった。また、吸収極大は、388nmであった。
【0060】
【化9】
【0061】
(3)[感光性樹脂の合成]
ポリビニルアルコール(GH−17、日本合成製)100gを水900gに溶解し、これに、(2)で合成した化合物を13g、燐酸3gを加え、80℃で24時間反応した。アセタール化率は、90%であった。燐酸をイオン交換処理により除去し、感光基がPVAに対し1.3モル%導入された感光液を調製した。その後、イオン交換水を加え、固形分6%に調整した。
【0062】
(感光性樹脂製造例2)
(1)[3−(4’,4’−ジメトキシブチル)ロダニンの水分散液の調製]
アミノブチルアルデヒドジメチルアセタール67g、アンモニア水60gを水200gに分散溶解し、10℃に冷却した。撹拌下に二硫化炭素38gを30分かけて滴下し、その後、20℃で24時間反応した。次に、クロル酢酸エチル81gを15分で滴下し、その後、室温下で24時間反応し、下記式で示される目的物の水分散液を得た。
【0063】
【化10】
【0064】
(2)[5−(ソジウム 4’−アジド−2’−スルホベンジリデン)−3−(4'',4''−ジメトキシブチル)ロダニンの合成]
ソジウム 4−アジド−2−スルホベンズアルデヒド120g、水酸化ナトリウム30gを水2500gに溶解した水溶液を10℃に冷却し、これを(1)の水分散液にゆっくりと加えた。反応するに従い目的物が析出してくるが、そのまま撹拌を続け、24時間反応した。NaClを150g添加し、更に5時間撹拌し、目的物を濾別し、アセトンにて洗浄した。
【0065】
下記式で示される生成物は、液体クロマトグラフィー純度95%であった。また、吸収極大は、388nmであった。
【0066】
【化11】
【0067】
(3)[感光性樹脂の合成]
ポリビニルアルコール(GH−17、日本合成化学工業製)100gを水900gに溶解した。(2)の化合物を15g、燐酸3gを加え、60℃で24時間反応した。アセタール化率は、90%であった。燐酸をイオン交換処理により除去し、感光基がPVAに1.3モル%導入された感光液を調製した。その後、イオン交換水を加え、固形分6%に調整した。
【0068】
(感光性樹脂の製造例3)
ポリビニルアルコール(EG−05、日本合成化学工業製)100gを水1800gに溶解し、これに上述した感光性樹脂製造例2の(2)の化合物を103g、燐酸5gを加え、60℃で24時間反応した。燐酸をイオン交換樹脂により除去し、感光基がPVAに10.0モル%導入された感光液を調製した。イオン交換水を加え、固形分6%に調整した。
【0069】
(実施例1):感度曲線
代表的な感光液の感度曲線を以下の方法で測定した。
【0070】
【0071】
感光液A、Bを25cm2のガラス板に塗布し、60℃で5分乾燥し、1μmの感光膜を得た。超高圧水銀灯にて、0.15mW/cm2(350nmの照度)で2秒〜50秒の間の露光をし、1分間水現像して乾燥した。硬化膜の膜厚を測定し、残膜率を出した。結果を以下の表とグラフに示す。
【0072】
【表1】
【0073】
さらに、感光液Aを使用し、同様に1μmの感光膜を得、超高圧水銀灯3mW/cm2(350nmの照度)にて、クロムマスクを通して、2秒パターン露光、水現像により10μmのきれいなパターンが形成された。
【0074】
(実施例2)
上記製造例1で得た6%感光液20gと、固形分6%のポリビニルピロリドン水溶液100gと、6%水溶液の4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸ナトリウム[以下、DASと略す]10gとを混合した。この混合液を3%に希釈した後、1.0μmのメンブランフィルターで濾過した。
【0075】
この感光液を、カラーブラウン管フェイスプレート内面に、乾燥塗膜が0.5μmの厚さとなるように、回転塗布し、50℃で5分間乾燥して塗膜とした。
【0076】
次いで、シャドウマスクを用い、超高圧水銀灯にて、0.10mW/cm2(350nmの照度)で12秒間露光した。
【0077】
次いで、40℃の温水で30秒間水現像することにより、形の良好なパターンのドットを得た。
【0078】
なお、用いた感光性樹脂組成物は、相反則不軌性を示した。
【0079】
次に、カーボン懸濁液をドット上に塗布し、剥離液でドットとその上のカーボンを除去し、きれいなブラックマトリックスを形成した。
【0080】
(実施例3)
製造例1で得られた感光液の代わりに、製造例2で得られた感光液を用いた以外は実施例2と同様にしてブラックマトリックスを形成した。
【0081】
(実施例4)
上記製造例3で得た6%感光液5g、固形分6%のポリビニルピロリドン水溶液100gと、6%水溶液のDAS10gとを混合した。さらにKBM−603(信越化学社製シランカップリング剤)0.07gを添加した。この混合液を3%に希釈した後、1.0μmのメンプランフィルターで濾過し、感光液を調製した。
【0082】
これを用い、実施例2と同様の方法にて、きれいなブラックマトリクスを形成した。
【0083】
(実施例5)
上記製造例1で得た6%感光液30g、固形分6%のポリビニルピロリドン水溶液70gとを混合した。さらにKBM−603(信越化学社製シランカップリング剤)0.05gを添加した。この混合液を3%に希釈した後、1.0μmのメンプランフィルターで濾過し感光液を調製した。
【0084】
この感光液を用い、実施例2と同様の方法にて、きれいなブラックマトリクスを形成した。
【0085】
(実施例6)
以下に示すような処方の感光性組成物を調製した。
【0086】
【0087】
上記処方の感光性組成物を、10cm×10cmのソーダガラス上にスピンコート法により塗布し、乾燥し、1.0μmの塗膜を得た。次に、ピッチ間0.28mmのシャドウマスクとガラス板との距離1cm、シャドウマスクと超高圧水銀灯の距離30cm、ガラス板面での350nmの照度0.20(mW/cm2)の露光照度にて赤に相当する位置に30秒間露光した。
【0088】
続いて、温水でスプレー現像を行った(ノズル:スプレーイングシステム社製No.3、水圧:2.0kg/cm2、温度:40℃、距離15cm)。
【0089】
得られたパターンを顕微鏡で観察すると、シャドウマスクに忠実な赤色顔料層のパターンが得られた。
【0090】
(実施例7)
実施例2の方法でブラックマトリクスを形成したカラーブラウン管フェイスプレイト内面に、0.1%ポリビニルアルコール水溶液をコートし、乾燥後、下記処方の蛍光体スラリーを塗布・乾燥することにより、10〜12μmの塗膜を得た。続いて、0.28mmピッチのシャドーマスクを用い、超高圧水銀灯にて、0.12mW/cm2(350nmの照度)で25秒間露光した。次いで、40℃の温水で30秒間水現像することにより、緑色蛍光体の十分充填された蛍光体パターンを形成した。
【0091】
【0092】
(実施例8)
実施例2の方法にてブラックマトリクスを形成したカラーブラウン管フェイスプレイト内面に、0.1%ポリビニルアルコール水溶液をコートし、乾燥後、下記処方の蛍光体スラリーを塗布・乾燥し、上記実施例6と同様にして蛍光体パターンを形成した。
【0093】
【0094】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明方法によれば、公害問題の心配もなく、高解像性で、感度の点でも十分で、基板に対する接着性、塗布性、保存安定性等の優れた感光性樹脂組成物を用い、高解像度で形成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の結果を示すグラフである。
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