JP3855515B2 - 多点測光システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数個の測光センサを備え、各測光センサを互いに異なる位置に配置することにより略同時に多数点の測光が可能な多点測光システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばプロジェクタでは投影スクリーン上での照度分布や色分布(色ムラ)を測定してその性能評価が行われ、その照度分布や色分布の時間変化を測定して光源の安定性の評価が行われている。また、建築照明分野においては、照明エリアの照度分布を測定してその照明効果の評価が行われ、その照度分布の時間変化を測定して窓際での昼光の影響の評価が行われている。そして、このような照度分布や色分布の測定では、従来、1台の照度計や色彩計等の測光機器を複数の測定点に順次、移動させて照度や色彩を測定するか(一点測定を繰り返す方法)、あるいは測定点の数だけ測光機器を用意し、それらを各測定点に配置して照度や色彩を一度に測定する方法(多点測定方法)が採られている。
【0003】
また、従来、照度計や色彩計等の測光機器には測光を行う受光部とこの受光部の動作制御及び測光データの表示等を行う本体部とが分離可能になされ、受光部と本体部とを専用のケーブルで接続することにより測定点から離れた位置で照度や色彩等の測定を行うことのできるものが知られ、商品化がなされている。
【0004】
更には多点測定を可能にするべく本体部に測定データを出力する出力端子が設けられた測光機器が知られ、商品化もなされている。このような測光機器を用いた場合は、各測定点に複数の測光機器を配置し、各測光機器の出力端子をGPIB(General Purpose Interface Bus)等の汎用バスラインや専用のバスラインを介してパーソナルコンピュータ(電子情報処理装置)を接続し、測定データをバスラインを介してパーソナルコンピュータに出力することにより当該パーソナルコンピュータで多点測定処理が可能となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、照度分布や色分布などの測定においては、測定の迅速性、容易性、同時性(同一条件下での測定)等を考慮すると、多点測定方法で測定することが好ましい。しかし、従来の多点測光可能な測光機器は受光部と本体部とが分離可能なものであってもこれらを一体とした独立の測光機器を複数個用いて多点測定を行うとの考え方に基づいて設計されており、例えば複数個の受光部のみを各測定点に配置し、これらの受光部を1個の本体部にカスケード接続して多点測定を行うことはできないようになっている。このため、測定点が多いと、各測定点に測光機器を1台ずつ配置する必要があり、多点測光系が煩雑になるとともに、測定機器に要するコストが増大するという問題がある。
【0006】
一方、近年、USB(Universal Serial Bus)と呼ばれるバスラインシステムが提唱され、複数の測定器をUSBを介してパーソナルコンピュータ(以下、PCと略称する。)に縦列に接続(カスケード接続)し、各測定データをPCにシリアル転送して当該PCで複数の測定データの処理を行わせる技術が広く利用されつつあるが、複数個の受光部を1個の本体部にカスケード接続して多点測光することのできる測光機器は未だ提案されておらず、商品化もなされていない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされものであり、複数の受光部と1個の本体部とをカスケード接続してなる多点測光システムを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、光を受光し、当該受光光に関する所定の測光データを算出する複数個の受光手段と、上記受光手段の測光動作を制御するとともに、当該受光手段で算出された測光データを表示部に表示する1個の本体制御手段と、上記複数個の受光手段にそれぞれ着脱可能に装着される複数個の第1のインターフェースと、上記本体制御手段に着脱可能に装着された1個の第2のインターフェースと、隣リ合う上記第1のインターフェースの間及び一方端の第1のインターフェースと上記第2のインターフェースとの間をそれぞれ接続する複数本の通信ケーブルとからなり、上記本体制御手段は上記第1,第2のインターフェース及び上記通信ケーブルを介して全ての受光手段若しくはいずれか1の受光手段とデータ通信を行い、当該受光手段から送信される測光データを上記表示部に表示するものである(請求項1)。
【0009】
上記構成によれば、複数個の受光手段のそれぞれに第1のインターフェースが装着されるとともに1個の本体制御手段に第2のインターフェースが装着され、更に隣り合う第1のインターフェースの間が通信ケーブルで接続されるとともに、この接続された一群の第1のインターフェースの先頭の第1のインターフェースと第2のインターフェースとの間が通信ケーブルで接続されて、1個の本体制御手段に複数個の受光手段がカスケード接続されてなる多点測光システムが構成される。
【0010】
本体制御手段は第2のインターフェース、通信ケーブル及び第1のインターフェースを介して全ての受光手段若しくはいずれか1の受光手段とデータ通信を行い、各受光手段からその受光手段で算出される受光光に関する所定の測光データ(例えば受光光の受光量や色彩のデータ)を取り込み、表示部に表示する。従って、複数個の受光手段を位置の異なる複数の測定点にそれぞれ配置し、各受光手段から順次、測光データを取り込み、表示部に表示させることにより複数の測定点の測光が可能になる。
【0011】
なお、上記多点測光システムにおいて、各受光手段の第1のインターフェースが装着される装着部は本体制御手段の第2のインターフェースが装着される装着部に装着可能になされ、各受光手段は、本体制御手段に直接、装着されたときは単独の測光機器を構成し得るようにするとよい(請求項2)。
【0012】
上記構成によれば、各受光手段は、第1のインターフェースが装着される装着部を本体制御手段の第2のインターフェースが装着される装着部に直接、装着することにより、当該受光手段と本体制御手段とからなる単独の測光機器が構成される。従って、多点測光システムの本体制御手段と任意の1の受光手段とを組合わせることにより単独の測光機器として使用することが可能となる。
【0013】
また、本発明は、上記多点測光システムにおいて、上記第1のインターフェースは、当該第1のインターフェースが装着される上記受光手段の識別番号を設定する番号設定手段を備え、上記本体制御手段は、上記識別番号を指定することにより当該識別番号を有する受光手段との間でデータ通信を行うものである(請求項3)。
【0014】
上記構成によれば、本体制御手段から識別番号を指定して全ての受光手段にデータが送信される。各受光手段では受信したデータから識別番号が抽出され、その識別番号が当該受光手段に設定された識別番号であるか否かが判別され、識別番号の一致した受光手段から本体制御手段に応答データが送信される。従って、結果的に本体制御手段と識別番号を有する受光手段との間でデータ通信が行われる。
【0015】
また、本発明は、請求項3記載の多点測光システムにおいて、上記本体制御手段は、各受光手段に設定された識別番号を確認することにより接続された受光手段の総数を自動判別するものである(請求項4)。
【0016】
上記構成によれば、本体制御手段で各受光手段に設定された識別番号を確認することにより接続された受光手段の総数(すなわち、測定点の数)が自動的に判別される。例えば予め設定可能な識別番号の範囲(すなわち、接続可能な数N)を決定しておき、本体制御手段は、各受光手段とのデータ通信によりその範囲内の識別番号のうち、受光手段で使用されてない識別番号の数nをカウントすることにより接続されている受光手段の総数N′(=N−n)を算出する。
【0017】
また、本発明は、請求項3又は4記載の多点測光システムにおいて、上記本体制御手段は、上記受光手段から送信された測光データを当該受光手段に対応する識別番号に対応付けて上記表示部に表示するものである(請求項5)。
【0018】
上記構成によれば、本体制御手段は識別番号を指定して受光手段とデータ通信し、当該識別番号を有する受光手段から本体制御手段に取り込まれた測光データが識別番号とともに表示部に表示される。これにより操作者は表示された測光データがどの測定点のものであるかを識別することができる。
【0019】
なお、上記多点測光システムにおいて、上記本体制御手段は、上記複数個の受光手段から取り込まれた測光データのうち、最大値及び/又は最小値並びにこれらの値を有する識別番号を算出する算出手段を備え、この算出手段の算出結果を上記表示部に表示するとよい(請求項6)。更に、上記多点測光システムにおいて、上記本体制御手段は、上記複数個の受光手段から送信された複数個の測光データの平均値を演算する平均値演算手段を備え、この平均値演算手段で算出された平均値を上記表示部に表示するとよい(請求項7)。
【0020】
上記構成によれば、本体制御手段は識別番号を指定して複数個の受光手段とデータ通信し、各受光手段から本体制御手段に取り込まれた複数個の測光データのうち、最大値及び/又は最小値並びにこれらの値を有する識別番号が抽出され、測光データの最大値及び/又は最小値がそれぞれ識別番号とともに表示部に表示される。更に、複数個の測光データの平均値が算出され、その算出結果が表示部に表示される。
【0021】
また、本発明は、多点測光システムにおいて、各受光手段は、受光時の応答速度が第1の応答速度とこの第1の応答速度よりも遅い第2の応答速度とに切換可能になされ、上記本体制御手段は、上記受光手段の受光時の応答速度を切り換える切換手段を備えているものである(請求項8)。
【0022】
上記構成によれば、受光手段の受光光量が脈動し、第1の応答速度では正確な測光データが得られないとき、本体制御手段に設けられた切換手段で応答速度を第1の応答速度から第2の応答速度に切り換えることにより測光データの精度低下が防止される。そして、応答速度の切換手段の設定位置を本体制御手段に一元化することで、操作者の切換操作が容易となる。
【0023】
また、本発明は、上記多点測光システムにおいて、各受光手段は、電源異常を検出する電源異常検出手段を備え、上記本体制御手段は、各受光手段から当該受光手段の電源異常検出手段の検出結果を取り込み、測光システムの電源異常を判別するものである(請求項9)。なお、上記多点測光システムにおいて、上記本体制御手段は、少なくとも1個の上記受光手段に電源異常があるときは、所定の警告表示を行うとよい(請求項10)。
【0024】
上記構成によれば、データ通信により本体制御手段から各受光手段に電源異常のチェックが指令されると、各受光手段は電源異常検出手段を介して電源異常をチェックし、そのチェック結果が本体制御手段に応答され、この応答内容に基づき本体制御手段で測光システムの電源異常が判別される。そして、例えば接続された複数個の受光手段のうち、少なくとも1個に電源の異常があるときは、表示部に測光システムに電源異常があることを示す所定の警告表示がなされる。
【0025】
また、本発明は、光を受光し、当該受光光に関する所定の測光データを算出する複数個の受光手段と、上記受光手段の測光動作を制御するとともに、当該受光手段で算出された測光データを表示部に表示する1個の本体制御手段と、上記複数個の受光手段にそれぞれ着脱可能に装着される複数個の第1のインターフェースと、上記本体制御手段に着脱可能に装着された1個の第2のインターフェースと、隣リ合う上記第1のインターフェースの間をそれぞれ接続する複数本の第1の通信ケーブルと、接続された複数個の第1のインターフェースの一方端の第1のインターフェースと上記第2のインターフェースとにそれぞれ第2の通信ケーブルを介して通信可能に接続され、通信データを無線信号に変換して互いに送受する第3のインターフェースとを備え、上記本体制御手段は上記第1〜第3のインターフェース及び上記第1、第2の通信ケーブルを介して全ての受光手段若しくはいずれか1の受光手段とデータ通信を行い、当該受光手段から送信される測光データを上記表示部に表示するものである(請求項11)。なお、上記多点測光システムにおいて、無線信号は、電波信号にするとよい(請求項12)。
【0026】
上記構成によれば、複数個の受光手段のそれぞれに第1のインターフェースが装着され、隣り合う第1のインターフェースの間が第1の通信ケーブルで接続されるとともに、この接続された一群の第1のインターフェースの先頭の第1のインターフェースに第2の通信ケーブルを介して第3のインターフェースが接続される一方、1個の本体制御手段に第2のインターフェースが装着され、更にこの第2のインターフェースに第2の通信ケーブルを介して第3のインターフェースが接続されて多点測光システムが構成される。
【0027】
本体制御手段と各受光手段との間で交信されるデータはそれぞれ第3のインターフェースで無線信号に変換され、第3のインターフェース間で無線通信される。例えば電波を用いた場合は、送信側の第3のインターフェースで送信すべきデータで変調してなる電波信号に変換されて放射され、受信側の第3のインターフェースでこの電波信号が受信され、送信すべきデータに復調された後、通信ケーブルを介して各受光手段若しくは本体制御手段に伝送される。
【0028】
また、本発明は、請求項11又は12記載の多点測光システムにおいて、上記本体制御手段と上記受光手段との間のデータ通信では同一のデータが少なくとも2回交信されるものである(請求項13)。
【0029】
上記構成によれば、本体制御手段と受光手段との間でデータが交信される際、同一のデータが少なくとも2回、交信される。これにより1回だけ交信される場合に比して無線通信区間での通信誤りが低減される。
【0030】
また、本発明は、請求項13記載の多点測光システムにおいて、上記本体制御手段は、送信データに対する上記受光手段からの応答遅れを検出する検出手段を備え、この検出手段の検出結果に基づいて測光システムがワイヤレス方式であるか否かを自動判別するものである(請求項14)。
【0031】
上記構成によれば、本体制御手段が受光手段に送信したデータに対する応答を当該受光手段から受信すると、その応答遅れ時間が検出され、その結果に基づいて測光システムがワイヤレス方式であるか否かが自動的に判別される。無線通信路を有するワイヤレス方式においては、同一のデータが少なくとも2回交信されるので、本体制御手段から送信されたデータに対する受光手段からの応答は、同一のデータを1回しか交信しないワイヤード方式の場合よりも遅くなる。従って、応答遅れ時間が所定の閾値を超えている場合は、ワイヤレス方式であると自動的に判別される。
【0032】
また、本発明は、上記多点測光システムにおいて、上記本体制御手段は、電子情報処理装置が外部接続可能な接続端子と、上記受光手段との間でデータ通信を行う通信線路を上記接続端子側に切り換える線路切換手段と、上記線路切換手段の切換を制御する切換制御手段とを備え、上記電子情報処理装置が上記本体制御手段と上記第1,第2のインターフェース及び上記通信ケーブル若しくは上記第1〜第3のインターフェース及び上記第1,第2の通信ケーブルとを介して全ての受光手段若しくはいずれか1の受光手段と直接、データ通信を行うことで、当該電子情報処理装置により多点測光処理が可能になされているものである(請求項15)。
【0033】
上記構成によれば、接続端子に電子情報処理装置が外部接続された状態で本体制御手段内の通信線路が接続端子側に接続されると、電子情報処理装置が本体制御手段に代えて、ワイヤード方式の場合は本体制御手段と第1,第2のインターフェース及び通信ケーブルを介して、また、ワイヤレス方式の場合は、本体制御手段と第1〜第3のインターフェース及び第1,第2の通信ケーブルとを介して受光手段とデータ通信が可能となる。従って、電子情報処理装置が各受光手段と直接、データ通信を行うことで、当該電子情報処理装置により多点測光処理が可能となる。すなわち、電子情報処理装置は各受光手段から測光データを取り込み、各測定点の測光データが識別番号に対応づけて電子情報処理装置の表示部に表示される。また、複数個の測光データの最大値及び/又は最小値が算出され、その算出結果が識別番号とともに電子情報処理装置の表示部に表示され、平均値が算出され、その算出結果が電子情報処理装置の表示部に表示される。
【0034】
なお、上記多点測光システムにおいて、上記線路切換手段により通信線路が電子情報処理装置に接続されているとき、上記本体制御手段は、上記測光データに代えて電子情報処理装置が接続されていることを示す所定の表示を行うようにするとよい(請求項16)。
【0035】
上記構成によれば、電子情報処理装置に多点測光処理が行われているときは、本体制御手段の表示部にその旨を示す所定の表示が行われ、これにより操作者は多点測光システムの構成を簡単に確認することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明に係る多点測光システムについて、多点照度測定を例に説明する。なお、本発明は照度測定に限定されるものではなく、赤外線強度計、紫外線強度計、光パワーメータ、色彩計、フラッシュメータ、露出計、色温度計等の測光機器を用いた多点測光システムについても適用することができる。従って、以下の説明では、受光部で算出される受光光に関する測光データは主として受光量に関するものであるが、色彩計や色温度計等では、色度データ等の色彩に関するデータや色温度値等の色温度に関するデータも測光データに含まれるものである。
【0037】
図1は本発明に係る多点測光システムに適用される照度計の正面図、図2は同照度計の右側面図、図3は照度計の受光部と本体部とを分離した状態を示す正面図である。
【0038】
照度計1は、図1及び図3に示すように、本体部2とこの本体部2の上面に着脱可能に装着される受光部3とから構成されている。受光部3の下面の略中央に接続部3aが突設されるとともに、本体部2の上面の略中央部に接続部2a(図4)が設けられ、受光部3は接続部3aを本体部2の接続部2aに嵌入装着させて当該本体部2に取り付けられる。接続部2a、3aにはそれぞれ複数個の接続端子(図7の接続部3aの構造を参照)が設けられ、受光部3を本体部2に取り付けると、これらの接続部2a,3aを介して受光部3と本体部2とが互いに通信可能に接続される。
【0039】
本体部2の正面の上部には測定結果や所定の文字情報がデジタル表示される表示パネル21が設けられている。なお、この実施形態では、表示パネル21は液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロケミカルディスプレイ(ECD)、電気泳動ディスプレイ(EPID)などのパッシブ型表示素子で構成されているが、発光ダイオード(LED)やプラズマディスプレイを用いてもよい。
【0040】
表示パネル21の下部には第1操作部221と第2操作部222とがこの順に設けられている。本実施の形態に係る照度計1は「通常モード」、「相対照度モード」及び「積算照度モード」の3種類の測定モードを有し、第1操作部221はこれらの測定モードを切換設定するための操作キー221a,221b,221cで構成されている。
【0041】
通常モードは通常の照度値L〔lx〕を測定するモードであり、操作キー221a(以下、ノーマルキー221aという。)により設定される。なお、測定モードにおいては、通常モードが初期設定され、測定開始時に後述する簡易ゼロ点校正方法によりゼロキャリブレーション(以下、ゼロCALと略称する。)が行われた後、所定の周期(例えば1秒毎)で照度値Lが繰り返し測定され、その測定結果が表示パネル21に表示される。
【0042】
相対照度モードは測定された照度値L〔lx〕から当該照度値Lと予め設定された基準の照度値Lrとの相対照度値ΔL(=L−Lr)〔lx〕又はそのパーセント値ΔL%(=(L−Lr)・100/Lr)〔%〕を算出し、その算出結果を表示パネル21に表示するモードであり、操作キー221b(以下、Δキー221bという。)により設定される。Δキー221bが操作されると、下記表1に示すように、表示パネル21に相対照度値ΔL〔lx〕が表示され、更にΔキー221bが操作されると、表示パネル21に相対照度値ΔLのパーセント表示ΔL〔%〕が表示され、以下、Δキー221bが操作される毎に表示パネル21にΔLとΔL%とが交互に表示される。
【0043】
積算照度モードは測定開始からの各照度値に基づいて積算照度値Lsum(=L(照度値)×ΣT(積算測定時間))〔lx・h〕や照度の時間平均値Lave(=Lsum(積算照度値)/ΣT(積算測定時間))〔lx〕を算出し、その算出結果を表示パネル21に表示するモードであり、操作キー221c(以下、Σキー221cという。)により設定される。Σキー221cが操作されると、下記表1に示すように、表示パネル21に積算照度値Lsum〔lx・h〕が表示され、更にΣキー221cが操作されると、表示パネル21に積算測定時間ΣT〔h〕が表示され、更にΣキー221cが操作されると、表示パネル21に時間平均値Lave〔lx〕が表示され、以下、Σキー221cが操作される毎に表示パネル21に積算照度値Lsum、積算測定時間ΣT及び時間平均値Laveがサイクリックに表示される。
【0044】
【表1】
【0045】
第2操作部222はメモリへのデータ入力及びデータ読出を行うための操作部材で、操作キー222a〜222fから構成されている。これらの操作キー222a〜222fは、通常、照度測定時に使用されることは少ないので、誤操作されないように上下に移動可能な蓋体23でカバーされるようになっている。
【0046】
操作キー222aは相対照度モードにおける基準照度値Lrや積算照度モードにおける積算照度リミット値Elimや積算時間リミット値Tlim等のデータを設定するための操作キー(以下、SETキーという。)である。また、操作キー222bはメモリに記憶された基準照度LrやCCF(Color Compensating Factor)値等のデータを呼び出すための操作キー(以下、CALLキーという。)である。照度計の分光応答度特性は、標準比視感度特性に完全に一致しているのが理想であるが、実際の照度計では、標準比視感度特性からのズレ(誤差)が存在する。従って、照度計を校正する標準光源と異なる分光特性を持つ光源による照度を測定すると、測定に誤差が生じることになる。CCF値とはこの誤差を補正するために、測定値に乗ずる補正係数のことである。CCF値とは本来、このような分光応答度特性の誤差を補正するためのものであるが、その一方、複数の照度計間の器差を合わせ込むための補正係数しても応用される。また、操作キー222cは、測定値にCCF値を乗ずるか否かを切り換えたり、あるいはCCF値を設定・変更するときに操作するキーである。
【0047】
また、操作キー222d,222eはメモリへのデータの入力の際にデータを検索するための操作キーである。操作キー222dはデータを上昇方向に検索するための操作キー(以下、アップキーという。)であり、操作キー222eはデータを下降方向に検索するための操作キー(以下、ダウンキーという。)である。また、操作キー222fはメモリにデータを入力する際に数値の桁送りをするための操作キー(以下、シフトキーという。)である。
【0048】
なお、後述するようにアダプタ6,7(図6参照)を介して本体部2に複数個の受光部3を通信可能にカスケード接続して多点測光システムが構成された場合も本体部2と任意の受光部3との間で通信を行うことにより本体部2と当該受光部3とで照度計が構成され、その受光部3で測定された照度値が本体部2の表示パネル12に表示される。
【0049】
本実施の形態では1個の本体部2に対して受光部3が最大30個までカスケード接続可能になされており、本体部2にカスケード接続される受光部3はそれぞれ受光部識別用の番号M(0〜29までの番号。以下、受光部番号Mという。)が設定されるようなっている。従って、後述するように各受光部3との間で受光部番号Mの確認を行うことにより接続されている受光部3の個数及び使用されている受光部番号Mが判別され、受光部3が2個以上カスケード接続されていると判別されると、多点測光の処理が行われる。なお、本体部2に接続可能な数Nは30個に限定されるものでは、適宜の数に設定することができる。
【0050】
多点測光においては、下記表2に示すように表示パネル12に多点測光であることを示す「MULTI」の文字が表示される。また、多点測光においても測定が行われている受光部3については通常モード、相対照度モード及び積算照度モードの各モードにおける照度測定が可能で、この場合は測定されている受光部3の受光部番号Mが表示される。例えば表示パネル12に「MULTI 12」が表示されていると、表示されている測定値は多点測光における受光部番号12の受光部3の測定値であることを示している。
【0051】
また、多点測光においては、測光対象の受光部3を順次、変更することにより複数個の測光値が得られるので、これらの測光値の最大値、最小値及び平均値も算出され、表示パネル12に表示可能になっている。なお、最大値及び最小値の表示では受光部番号Mも表示されるが、平均値の表示では受光部番号Mは表示されない(表2の通常モード表示参照)。
【0052】
【表2】
【0053】
多点測光における測光対象の受光部3の選択はアップキー222d及びダウンキー222eにより行われる。表示パネル12に表示される受光部番号Mはアップキー222dを操作する毎に昇順方向に変化し、ダウンキー222eを操作する毎に降順方向に変化するので、これらのキー222d,222eを操作して表示パネル12に表示される受光部番号Mを選択することにより測光対象の受光部3が選択される。また、ある受光部3が選択されている場合、表2に示すようにノーマルキー221aが押されると、通常モードが設定され、Δキー221bが押されると、相対照度モードが設定され、Σキー221cが押されると、積算照度モードが設定され、設定されたモードの測光値が表示パネル12に表示される。
【0054】
更に任意のモード表示において、シフトキー222fが操作されると、キーが押される毎に表示パネル12の表示が最大値→最小値→平均値の順にサイクリックに変更され、いずれかのモード設定用のキー221a〜221cが操作されると、表示パネル12の表示は操作されたモードに対応する表示に復帰される(表2の通常モード表示参照)。
【0055】
本体部2の右側面には、略中央部にメインスイッチ24が設けられ、このメインスイッチ24の上方位置の適所にホールド釦25と受光部分離釦26とがこの順に設けられている。メインスイッチ24は照度計1の電源を投入するためのスイッチである。メインスイッチ24はスライドスイッチからなり、上方位置に設定すると、オンになり、下方位置に設定するとオフになる。また、ホールド釦25は表示パネル21に表示されている照度値Lをホールドするための操作釦である。後述するように各受光部3では所定の時間間隔(本実施の形態では500ms)て測光が繰り返され、最新の測光値が表示パネル12に更新表示されるようになっている。ホールド釦25を操作する毎にホールド状態とホールド解除状態とが交互に指示され、ホールド指示では表示パネル12の表示値がホールド釦25の操作時の表示値にロックされる。
【0056】
受光部分離釦26は本体部2と受光部3とのロック状態を解除し、受光部3を分離可能にするための操作釦である。受光部分離釦26を押し込むと、本体部2と受光部3の結合部分を係止する機構(図7の受光部3の底面に突設された一対の係合部材3bを係止する機構)が外れ、本体部2から受光部3を分離することができる。
【0057】
また、本体部2の左側面には、略中央部にデジタルインターフェース端子27が設けられ、このデジタルインターフェース端子27の上方位置の適所にDC電源端子28と応答速度切換スイッチ29とがこの順に設けられている。
【0058】
デジタルインターフェース端子27はPC等の電子情報処理装置を接続するためのものであり、デジタルインターフェース端子27にPCを接続することにより当該PCで所望のデータ処理を行うことができるようになっている。特に多点測光を行う場合は、全測定点の測光データをPCで一括処理することができ、便利である。
【0059】
DC電源端子28はACアダプタ(図9参照)からDC電源を供給するためのものである。また、応答速度切換スイッチ29は照度測定における応答速度を切り換えるものである。応答速度切換スイッチ29はスライドスイッチからなり、上方位置に設定すると、通常の応答速度(通常測定時の速度)となり、下方位置に設定すると、通常の応答速度より応答速度が遅くなる。応答速度切換スイッチ29はリップル光のように照度がAC的に変化する場合、応答速度を遅くして安定かつ正確な測定ができるようにするものである。後述するように照度測定における応答速度の切換回路は受光部3内に設けられているので、応答速度切換スイッチ29を受光部3側に設けるようにしてもよい。
【0060】
しかし、本実施の形態では、受光部3を本体部2から切り離し、複数個の受光部3を1個の本体部2にカスケード接続して多点測光システムを構成できるようにしているので、多点測光システムにおいて、各受光部3の応答速度を本体部2で一括して切換設定できるようにするため、本体部2側に設けている。すなわち、多点測光においては、通常は共通の照明光源からの光束を異なる測定地点で評価するので、各受光部3の応答速度はその光源に対して全て一致しているべきである。応答速度切換スイッチ29を受光部3側に設けると、多点測定の場合は全ての受光部3に対して応答速度切換スイッチ29を切り換える必要があり、大変煩わしい作業となるので、本体部2側に応答速度切換スイッチ29を設け、操作者の手元で遠隔地に配置された各受光部3の測光速度を一括して切換制御できるようにしている。
【0061】
受光部3は前面に円形の受光窓31が設けられ、その外周には内側に傾斜した枠体311が設けられている。また、受光窓31の後方位置にはSPD(Silicon Photo Diode)等からなる受光素子が配設され、この受光素子は半球状の拡散板312で覆われている。さらに、受光部3の左側面には、受光素子によって受光された受光量に相当するアナログ信号が出力されるアナログ出力端子32が設けられている。
【0062】
また、受光部3の底面には、図7に示すように略中央に背面側に寄せて接続部3aが突設され、両端部に前面側に寄せてキノコ形のピン部材からなる一対の係合部材3bが突設されている。接続部3aはコ字形の保護枠を有し、その保護枠の内側面に接続端子(プラグタイプ)が配設されている。本体部2の上面適所には接続部材3aと係合部材3bとがそれぞれ嵌入される接続部材2a(レセプタクルタイプ)と被係合部材とが設けられ、接続部材3aが接続部材2aに嵌入装着されると、接続端子が接続部材2aに設けられている接続端子に電気的に接続される。また、係合部材3bが被係合部材に嵌入装着されると、係止片が係合部材3bに係止して受光部3が離脱不能に本体部2にロックされる。
【0063】
図4は、照度計1のブロック構成図である。以下、同図を参照しながら、本体部2の電気的構成について説明する。
本体部2では、中央演算部(CPU)411、ROM412及びRAM413を備え、本体部2全体を制御する本体側制御部41が設けられている。このROM412は照度測定の処理プログラムや所要の初期データが記憶されたメモリであり、RAM413はCPU411が処理プログラムに従って照度測定の演算処理を行うためのメモリである。そして、このように構成された本体側制御部41は、操作ユニット42、表示ユニット43及び通信インターフェース44と電気的に直接接続されるとともに、切換スイッチ部45及び接続部2a,3aを介して受光部3側の制御部57と電気的に接続されており、操作ユニット42を介して入力される外部指令に応じて照度測定を行い、その測定結果を表示ユニット43の表示パネル21上に表示する。
【0064】
すなわち、操作ユニット42は照度測定を行うために必要な外部操作を入力するための構成であり、上述したメインスイッチ24、応答速度切換スイッチ29、ホールド釦25等のスイッチ・釦群と、ノーマルキー221a〜Σキー221c,SETキー222a〜シフトキー222f等の操作キー群とで構成されている。
【0065】
また、表示ユニット43は上述した表示パネル21を備えており、本体側制御部41からのデータを表示ドライバ(図示省略)を介して表示パネル21に与えて種々の情報を表示パネル21上に表示する。また、本実施の形態では、表示パネル21をパッシブ型表示素子によって構成しているため、必要に応じて表示パネル21を照明して表示内容を明るくして視認性を向上させるべく、表示パネル21の裏面側にバックライト431を配置し、本体側制御部41からの駆動指令をバックライト駆動回路432に与えてバックライト431の点灯/消灯を制御する。
【0066】
また、通信インターフェース44はデジタルインターフェース端子27と電気的に接続されており、デジタルインターフェース端子27にPCやプリンタ等の外部機器を接続することで、通信インターフェース44を介して本体側制御部41との間で測定データなどを双方向に通信することができるようになっており、照度計1の汎用性を高めている。例えばデジタルインターフェース端子27にPC9(図6参照)を外部接続した場合、PC9から本体側制御部41に接続切換のコマンドを送信すると、切換スイッチ45が本体側制御部41を介して通信インターフェース44側(同図の上側ノード)に接続され、PC9が通信インターフェース44を介して受光側制御部57に直接、通信可能に接続される。すなわち、等価的にPC9と各受光部3との間で多点測光システムを構成することができる。
【0067】
なお、同図中の符号「46」は、本体側の電源回路であり、この電源回路46から本体部2の各部に電力が供給されている。また、この電源回路46はバッテリチェック回路47を介して本体側制御部41に電気的に接続されている。バッテリチェック回路47は電源回路46の異常(動作不能、出力電圧異常等)を検出する回路であり、本体制御部41の指示に従って電源回路46の動作状態を判別し、その判別結果を本体側制御部41に入力する。
【0068】
図5は、受光部3の電気的構成の一例を示す図である。以下、図4及び図5を参照しつつ、受光部3の電気的構成を詳述する。
受光部3では、光電変換手段として機能する受光素子51が受光窓31(図1など)の後方位置に設けられ、受光した光エネルギーを電気エネルギーに変換して出力し、開閉回路52を介してI/V変換回路53に入力される。
【0069】
この開閉回路52は、簡易にゼロCALを行う際に受光素子51とI/V変換回路53との電気的接続を制御するための電子スイッチである。より具体的には、開閉回路52は、図5に示すように、3つのトランジスタTr1〜Tr3により構成されている。これらのうちpnp形トランジスタTr2は受光素子51に並列に接続される一方、電解効果型トランジスタTr3は受光素子51のカソードとI/V変換回路53を構成するオペアンプ531の反転入力端子との間に介設されている。そして、電解効果型トランジスタTr3のゲートとトランジスタTr2のベースとは抵抗を介してオペアンプ531の正転入力端子に接続されている。また、残りのトランジスタ、つまりnpn形トランジスタTr1については、そのコレクタはトランジスタTr2のベースに接続されるとともに、そのエミッタは接地されている。
【0070】
簡易なゼロCAL方法(以下、簡易ゼロ点校正方法という。)とはゼロ基準を受光素子51の受光面ではなくI/V変換回路53の入力端にしたもので、電気的に受光素子51とI/V変換回路53とを切断してゼロCALを行う方法である。簡易ゼロ点校正方法によるゼロCALはメインスイッチ24がオンになり、照度計1が起動したときや測定レンジが切り換えられたときに自動的に行われる。
【0071】
受光側制御部57からトランジスタTr1のベースにハイレベルの制御信号が入力されると、トランジスタTr1がオンになり、トランジスタTr2のベース及び電解効果型トランジスタTr3のゲートがローレベルとなってトランジスタTr2がオンになる一方、トランジスタTr3がオフになる。これにより受光素子51はI/V変換回路53から電気的に切り離されるとともに、トランジスタTr2との間で閉回路が構成され、簡易ゼロ点校正方法によるゼロCALが可能になる。
【0072】
一方、トランジスタTr1のベースにローレベルの制御信号が入力されると、トランジスタTr1がオフになり、トランジスタTr2のベース及び電解効果型トランジスタTr3のゲートがハイレベルとなってトランジスタTr2がオフになる一方、電解効果型トランジスタTr3がオンになる。これによりトランジスタTr2は受光素子51から切り離され、受光素子51はI/V変換回路53に電気的に接続されて照度測定が可能になる。
【0073】
なお、本実施の形態では、3つのトランジスタTr1〜Tr3によって受光素子51とI/V変換回路53との電気的な接続及び切断を行う開閉回路52を構成しているが、その構成はこれに限定されるものではなく、これら受光素子51とI/V変換回路53との電気的な接続及び切断を制御できる構成であれば、どのような構成を採用してもよい。
【0074】
I/V変換回路53はオペアンプ531を用いた反転増幅回路からなり、受光素子51から出力される光電流を電圧に変換するとともに、その電圧を増幅し、受光量に相当するアナログ信号を出力するものである。より具体的には、オペアンプ531の反転入力端子と出力端との間には5個の抵抗R1〜R5が並列接続されている。そして、このうち抵抗R2〜R5はアナログスイッチSW1〜SW4を介して並列接続されており、これらのアナログスイッチSW1〜SW4を制御することによりI/V変換回路53の増幅率を5段階に切換可能になっている。すなわち、照度計1は5個の測定レンジを有し、受光量に応じて測定レンジを切り換えることにより広い範囲の照度測定が可能になっている。このように、本実施の形態では、4つのアナログスイッチSW1〜SW4によりレンジ切換回路532が構成されており、受光側制御部57からの制御指令に応じてスイッチSW1〜SW4のオン/オフ状態が切り換って測定レンジが設定されるようになっている。
【0075】
ここで、簡易ゼロ点校正方法によるゼロCALについて、起動時のゼロCALを例に簡単に説明する。
【0076】
メインスイッチ24がオンになり、照度計1が起動すると、まず、操作ボタン又は操作キーの操作状態がチェックされた後、キャリブレーションモードに移行し、ゼロCAL処理が行われる。ゼロCAL処理においては、受光部3の電源回路59aが起動され、受光素子51をI/V変換回路53から切り離した状態で、5つの測定レンジを順次、切り換えて各測定レンジ毎にゼロ点測定が行われる。
【0077】
すなわち、開閉回路52をオフにして受光素子51がI/V変換回路53から切り離される。この状態では受光素子51が遮光されているか否かに関係なくその出力電流の大部分はトランジスタTr2に流れ、I/V変換回路53のオペアンプ531に入力される電流は無視し得るほど小さい。
【0078】
具体的にはスイッチSW1〜SW4を全てオンにしてオペアンプ531の帰還抵抗をR1〜R5の並列抵抗値のみとした状態で(すなわち、測定レンジ1について)、A/D変換回路56を駆動して照度測定処理が行われる。この測定処理で得られる照度値Loff1はI/V変換回路53が無入力の状態におけるものであるから、ゼロ点校正用のオフセット量である。このオフセット量Loff1は測定レンジ1に対応付けてRAM573に記憶される。
【0079】
測定レンジ1に対するオフセット量Loff1の測定が終了すると、続いてスイッチSW4のみをオフにしてオペアンプ531の帰還抵抗をR1〜R4の並列抵抗値のみとした状態で(すなわち、測定レンジ2について)、A/D変換回路56を駆動して照度測定処理が行われ、測定レンジ2に対するオフセット量Loff2が算出され、測定レンジ2に対応付けてRAM573に記憶される。
【0080】
以下、スイッチSW3〜SW1を順次、オフにして測定レンジがレンジ3からレンジ5に順次、切り換えられ、各測定レンジ毎にA/D変換回路56を駆動して照度測定処理が行われ、測定レンジ3〜測定レンジ5に対するオフセット量Loff3〜Loff5が算出される。オフセット量Loff3〜Loff5はそれぞれ測定レンジ3〜測定レンジ5に対応付けてRAM573に記憶される。
【0081】
そして、全ての測定レンジに対してゼロCALが終了すると、電源回路59aがオフにされ、自動的にキャリブレーションモードから測定モードに切り換えられ、通常の照度測定が開始される。
【0082】
I/V変換回路53において設定された測定レンジで求められるアナログ信号は応答速度切換回路54を介してバッファ回路55に与えられるとともに、アナログ出力回路58(図4参照)を介してアナログ出力端子32に与えられる。
【0083】
なお、この応答速度切換回路54は抵抗とコンデンサとを並列接続してなる平滑回路からなり、I/V変換回路53から出力される電圧(直流電圧)の脈動を抑制するものである。コンデンサとアース間にアナログスイッチSW5が設けられ、このアナログスイッチSW5のオン/オフを制御することにより応答速度切換回路54の平滑動作が制御されるようになっている。すなわち、受光側制御部57によりアナログスイッチSW5がオフにされると、応答速度切換回路54では平滑動作が行われず(すなわち、通常の応答速度(通常測定時の速度)で測光され)、等価的にI/V変換回路53からの出力電圧がアナログ出力回路58とバッファ回路55を介してA/D変換回路56とに入力される。また、受光側制御部57によりアナログスイッチSW5がオンにされると、応答速度切換回路54で平滑動作が行われ(すなわち、通常の応答速度より遅い速度で測光され)、I/V変換回路53からの出力電圧を平滑した電圧(脈動を平均化した電圧)がアナログ出力回路58とバッファ回路55を介してA/D変換回路56とに入力される。
【0084】
バッファ回路55はオペアンプ551とpnp型トランジスタTr4からなるレベル変換回路とからなり、I/V変換回路53とA/D変換回路56との整合をとるものである。
【0085】
また、A/D変換回路56はI/V変換回路53から応答速度切換回路54及びバッファ回路55を介して出力される電気信号(アナログ信号)をデジタルの電気信号に変換するものである。A/D変換回路56は2個のオペアンプ561,562を用いた二重積分回路で構成されている。オペアンプ561の反転入力端子とこの反転入力端子に接続された放電回路563とオペアンプ561の出力端子から反転入力端子への帰還回路とにそれぞれアナログスイッチSW6〜SW8が設けられ、これらのアナログスイッチSW6〜SW8のオン/オフを制御することによりA/D変換動作(すなわち、照度測定動作)が制御される。
【0086】
アナログスイッチSW6〜SW8の制御は受光側制御部57により行われる。スイッチSW8をオンにしてオペアンプ561からなる積分回路をリセットした後、スイッチSW7,SW8をオフにするとともに、スイッチSW6をオンにすると、抵抗R6を介して入力される電圧が積分される。積分開始後、所定時間の経過後にスイッチSW6をオフにするとともに、スイッチSW7をオンにすると、コンデンサCに充電された電荷が放電回路563を介して放電され、オペアンプ562からは放電開始タイミングと放電完了タイミングの検出信号が出力される。これらの検出信号は受光側制御部57に入力され、当該検出信号に基づき受光側制御部57のタイマ574を用いて放電時間Tが計測される。この放電時間Tは受光素子51で受光された光量に比例するから、受光側制御部57で放電時間Tを単位時間当りの受光量に変換することにより照度が算出される。
【0087】
なお、上記のようにI/V変換回路53、応答速度切換回路54及びA/D変換回路56を制御する受光側制御部57は、図5に示すように、中央演算部(CPU)571、ROM572、RAM573及びタイマ574を備え、受光部3全体を制御する。
【0088】
受光側制御部57は本体側制御部41からのコマンドに従って測光動作を制御するとともに、測光値を用いて各測定モードに応じた測光結果(相対照度モードにおける相対照度値ΔL、相対照度値の%値ΔL%や積算照度モードにおける積算照度値Lsum、時間平均値Lave等)を演算する。また、本体側制御部41からのコマンドに従って測光動作以外の受光部3の状態に関する所定の制御(バッテリチェック、アナログ信号の出力、本体側制御部2から送信される基準照度値Lr、リミット値Tlim,Elim等のデータの記憶等)を行う。
【0089】
また、図4における符号「59a」は受光部側の電源回路であり、この電源回路59aから受光部3の各部に電力が供給されている。また、この電源回路59aはバッテリチェック回路59bを介して受光側制御部57と電気的に接続されている。バッテリチェック回路59bは電源回路59aの異常(動作不能、出力電圧異常等)を検出する回路であり、受光側制御部57の指示に従って電源回路46の動作状態を判別し、その判別結果を受光側制御部57に入力する。
【0090】
本実施の形態に係る照度計1は、本体部2と受光部3とを分離し、複数個の受光部3を1個の本体部2にカスケード接続して多点測光システムを構成できるようにしているので、多点測光システムを構成した場合にも本体部2で各受光部3の電源異常を監視できるようにするため、本体部2内だけでなく受光部3内にもバッテリチェック回路59bを設けている。本体部2は各受光部3にバッテリチェックを行わせ、そのチェック結果を受け取ることによりシステム全体の電源状態を監視し、異常が発生した場合は表示パネル12に警告表示をすることで操作者に電源異常を報知する。このバッテリチェック処理については後述する。
【0091】
図6は、照度計1の本体部2に複数個の同照度計1の受光部3をカスケード接続してなる多点測光システムの構成を示す図である。また、図7は、同多点測光システムの構成を示す斜視図である。
【0092】
図6,図7に示す多点測光システムはワイヤード方式によりシステムを構成したもので、本体部2の先端にアダプタ6(以下、本体側アダプタ6という。)を装着するとともに、N個の受光部3の下端にそれぞれにアダプタ7(以下、受光側アダプタ7という。)を装着し、本体側アダプタ6とN個の受光側アダプタ7とを相互に通信ケーブル8で接続したものである。
【0093】
なお、図6ではPC9で多点測光処理ができるように、PC9の本体91が通信ケーブル10を介して本体部2のデジタルインターフェース端子27に接続されている。PC9により多点測光処理が制御される場合は、各受光部3の測光結果(測光結果の演算により得られるデータを含む)がCRT(Cathode Ray Tube)等の表示装置92に表示される。また、図6に示すPC9は本体91と表示装置92とを組み合わせた構成であるが、このPC9には所定の演算プログラムに従って測光処理が可能な携帯型パーソナルコンピュータやコンピュータ機能を有するその他の電子機器も含まれる。
【0094】
本体側アダプタ6の上側面及び下側面にはそれぞれ接続部6a,6bが設けられている。接続部6bは受光部3の下面に設けられた接続部3aと同一の構造を有している。接続部6bを本体部2の接続部2aに嵌入装着させて本体側アダプタ6が本体部2に取り付けられている。
【0095】
また、受光側アダプタ7は横長長方形の一方長辺を含む両角を切り落してなる六角形の正面形状を有し、その斜辺を含む両側面と上側面とにそれぞれ接続部7a,7bと接続部7c(図9参照)とが設けられ、接続部7aと接続部7bとの間の下側面に凹部74が形成され、その凹部74の底面に当該受光側アダプタ7の受光部番号Mを設定するための2個のロータリスイッチ731,732が設けられている。左側のロータリスイッチ731は受光部番号Mの10の桁の数値を設定するもので、図8に示すように「0」〜「2」の数値が設定可能になっている。また、右側のロータリスイッチ732で受光部番号Mの1の桁の数値を設定するもので、同図に示すように「0」〜「9」の数値が設定可能になっている。従って、同図に示すようにロータリスイッチ731を「0」に設定し、ロータリスイッチ732を「3」に設定すると、当該受光側アダプタ7が装着される受光部3の受光部番号Mは「3」に設定される。
【0096】
なお、受光部番号Mの設定部材はロータリスイッチに限定されるものではなく、例えばディップスイッチ等の他のスイッチであってもよい。また、受光部番号Mは複数個の受光部3を識別するものであるから、数字に限定されるものではなく、アルファベット等の記号やその記号と数字との組合わせなどでもよい。例えばA0〜A9,B0〜B9,C0〜C9により30個の受光部3を識別するようにしてもよい。この場合は、図8におけるロータリスイッチ731の設定位置「0」〜「2」は「A」〜「C」となる。
【0097】
接続部7cは本体部2の上端面に設けられた接続部2aと同一の構造を有している。また、接続部7a,7bは本体側アダプタ6の接続部6aと同一の構造を有し、これらの接続部6a,7a,7bには専用の通信ケーブル8の両端に設けられた接続部8aが接続可能になっている。
【0098】
そして、接続部7cを受光部3の接続部3aに嵌入装着させて受光側アダプタ7が受光部3に取り付けられ、本体側アダプタ6の接続部6aと1番目の受光側アダプタ7の接続部7aとを通信ケーブル8で接続するとともに、隣り合う受光側アダプタ7の前側のアダプタ7の接続部7bと後側のアダプタ7の接続部7aとを通信ケーブル8で接続して各受光部3が本体部2にカスケードに接続されている。
【0099】
図9は、ワイヤード方式による多点測光システムに適用されるアダプタの内部構成を示すブロック図である。
【0100】
同図に示すように、本体側アダプタ6内にはRS−485方式によるデータのシリアル通信を制御するインターフェース回路61とこのインターフェース回路61に電源を供給するための電源回路62とが設けられている。一方、受光側アダプタ7内にはRS−485方式によるシリアル通信を制御するインターフェース回路71とこのインターフェース回路71に電源を供給するための電源回路72と受光部番号Mを設定する受光部設定回路73とが設けられている。
【0101】
なお、図9の受光側アダプタ7のブロック回路に示すように、接続部7aと接続部7bとは電気的に全く等価な構成となっている。従って、各受光部3をカスケードに接続配線する場合、オペレータは通信ケーブル8の接続に当って接続部7aと接続部7bの区別をする必要がなく、無作為的に接続して簡単に多点測光システムを構築することができる。
【0102】
本体側アダプタ6内の電源回路61及び受光側アダプタ7内の電源回路71は本体部2内の電源回路46から通信ケーブル8を介して電源が供給され、この電源を所要の電圧電源に変換してそれぞれインターフェース回路61とインターフェース回路71とに供給する。また、インターフェース回路61及びインターフェース回路71はRS−485方式に準拠してデジタルデータの送受を行い、本体側制御部41若しくはPC9と受光側制御部57とのデータ通信を可能にする。
【0103】
また、受光部番号設定回路73は2個のロータリスイッチ731,732により設定された受光部番号M(10進数)を10の桁2ビットと1の桁4ビット(合計6ビット)のバイナリコードに変換し、受光側制御部57に入力するものである。なお、受光部番号Mが記号や記号と数字との組合わせで構成される場合は各受光部番号Mに所定のバイナリーコードに割り付け、受光部番号設定回路73で対応するバイナリーコードに変換するようにすればよい。
【0104】
このように多点測光システムでは各受光部3に固有の受光部番号Mを設定可能にしているので、受光部番号Mにより測定点が特定でき、測定位置と測光結果との対応付けを簡単に行うことができる。従って、カスケード接続において各受光部3の接続順を考慮する必要がなく、簡単に多点測光システムを構成することができる。また、本体部2若しくはPC9による受光部3の測光制御も受光部番号Mで測定対象の受光部3を指定することにより容易かつ正確に行うことができるようになっている。
【0105】
なお、本実施の形態に係る照度計1は、図10に示すようにワイヤレス方式により多点測光システムを構成することもできるようになっている。
【0106】
図10に示す多点測光システムは、図6において、本体部2に装着された本体側アダプタ6と1番目の受光部3に装着された受光側アダプタ7とを接続する通信ケーブル8を除去し、当該本体側アダプタ6と当該受光側アダプタ7とにそれぞれ電波をデータの送受信媒体(キャリア)とするアダプタ11(以下、無線アダプタ11という。)を装着したものである。
【0107】
無線アダプタ11は、図11に示すようにその内部にRS−485方式に準拠したインターフェース回路111と送受信回路113とこれらのインターフェース回路111及び送受信回路113に電源を供給する電源回路112とが設けられている。インターフェース回路111は図9に示したインターフェース回路61,71と同一の機能を果たす回路である。送受信回路113はインターフェース回路111から出力される送信データを送信信号に変換してアンテナ114から出力するとともに、アンテナ114で受信した受信信号を復調し、受信データに変換してインターフェース回路111に入力する回路である。
【0108】
また、電源回路112も図9に示した電源回路62,72と同一の機能を果たす回路であるが、受光部3、受光側アダプタ7及び受光部側の無線アダプタ11には本体部2からメインの電源は供給できないので、図略の電源によりメインの電源が供給される。また、長時間の連続測定に対応できるように、無線アダプタ11にはACアダプタ(図略)の接続端子115が設けられており、ACアダプタから電源回路112を通じて各受光部3に電力を供給することができるようになっている。
【0109】
なお、本実施の形態では電波をキャリアとしてワイヤレス方式の多点測光システムを構成しているが、ワイヤレス方式のキャリアとして赤外線や可視光線等の光を用いてもよい。光をキャリアとすると、光の直進性により障害物で通信範囲が限定されるので、好ましくは電波を利用する方がよい。
【0110】
また、図10では無線アダプタ11を1組だけ設け、無線通信路を1本にしているが、無線通信路を複数本にしてもよい。すなわち、複数個の受光部3を複数のグループに分け、グループ毎にそのグループに属する複数個の受光部3を受光側アダプタ7及び通信ケーブル8によりカスケード接続するとともに、先頭の受光側アダプタ7に無線アダプタ11を接続するようにしてもよい。この場合、全無線通信路のキャリア周波数を共通にしてもよいが、グループ毎にキャリア周波数を異ならせるようにしてもよい。
【0111】
次に、多点測光システムの測光処理について説明する。
本実施の形態に係る多点測光システムにおいては、本体部2の本体側制御部41若しくはPC本体91内の制御部と各受光部3の受光側制御部57との間でデータ交信を行って各測定点の測光が行われる。具体的には本体側制御部41から測光すべき受光部3の受光側制御部57にコマンドデータが送信され、受光側制御部57がそのコマンドに従って測光、測光値の演算(各種の表示形式に対応した測光値の演算)等の処理やその他の処理(本体制御部41から送信されたデータの保存やバッテリチェック等の処理)を行い、その測光結果や処理結果が本体制御部41に返送され、表示パネル12に表示されることにより、当該受光部3の配置された測定点の測光が行われる。
【0112】
図12は、本体部2若しくはPC9と受光部3との通信における伝文フォーマットである。
【0113】
同図において、「STX」及び「ETX」はそれぞれ伝文の最初と最後とを示すデータであり、「BCC」はパリティチェック用データである。同図に示すように、伝文内容は受光部番号M,コマンドNo.及びコマンドに付随するデータDからなり、受光部3を特定してコマンドとそれに付随するデータDとが送受されるようになっている。
【0114】
本体部2若しくはPC9から受光部3への通信においては、通信ケーブル8及び受光側アダプタ7を介して全受光部3に伝文が送信されるが、各受光部3で伝文内の受光部番号Mが確認され、指定された受光部番号Mを有する受光部3のみでコマンドNo.に対する処理が行われる。そして、必要に応じて当該受光部3から本体部2若しくはPC9にコマンドの処理結果が返送される。この処理結果の返送も図11に示すフォーマットの伝文で行われる。
【0115】
受光部3から本体部2若しくはPC9に伝文が送信されると、本体部2若しくはPC9で受信した伝文から受光部番号M及びコマンドNo.が確認され、その確認結果に基づいて受信したデータDの処理(データDの表示やRAM413への記憶等の処理)が行われる。
【0116】
なお、コマンドNo.はコマンド内容を数値コードで示したもので、例えば本体側制御部41若しくはPC9から受光側制御部57に送信されるコマンドとして、下記表3のようなコマンドNo.が定義されている。
【0117】
【表3】
【0118】
表3において、「一般測定値の読込み」や「基準照度値Lrの読込み」等のデータの読込み命令は、受光部3の有するデータ(メモリに記憶されているデータや測光によって得られるデータ等)を本体部2に送信することを指令するものである。また、「基準照度値Lrの設定」や「積算リミット値Elimの設定」等のデータの設定命令は、本体部2から送信するデータを受光部3のメモリに記憶させる命令である。
【0119】
コマンドNo.51の「アンサタイムラグの設定」は、図13に示すように受光部3が本体部2からのコマンドを受信してからそのコマンドに対する応答を行うまでの遅延時間τ(この遅延時間τをアンサタイムラグτという。)を各受光部3に設定するためのコマンドである。アンサタイムラグτの設定は本体部2からのコマンドに対する各受光部3の応答時間を設定することにより本体部2と各受光部3との通信を円滑に行うため、多点測光システムの起動後、直ちに行われる。
【0120】
また、多点測光システムの起動時(電源電池挿入時を含む)における各受光部番号Mの受光部3の接続/非接続の確認においては、その確認のための通信における各受光部3のアンサタイムラグτを計時し、その計時結果に基づいて受光部番号Mの受光部3の有無、受光部番号Mの受光部3が接続されている場合はワイヤード方式/ワイヤレス方式のいずれで測光システムが構成されているかが判別されるようになっている。この判別のための閾値には長短2種類のτ1とτ2(>τ1)とがあり、τ2<τではその受光部番号Mの受光部3は非接続と判別され、τ1<τ≦τ2では測光システムがワイヤレス方式で構成されていると判別され、τ≦τ1では測光システムがワイヤード方式で構成されていると判別される。
【0121】
なお、測光システムの判別を上述のようにしているのは、図10に示すようにワイヤレス方式がワイヤード方式の構成に無線アダプタ11を追加して構成され、無線アダプタ11が介在している分、ワイヤード方式に比べて応答時間が遅くなるとともに、ワイヤレス方式の通信シーケンスをワイヤード方式のそれと異ならせていることに基づくものである。
【0122】
すなわち、本実施の形態では、ワイヤード方式においては、本体部2から受光部3にコマンドは1回しか送信されないが、ワイヤレス方式においては、電波による通信区間での交信信頼度を確保するため、本体側の無線アダプタ11と受光部側の無線アダプタ11との間で同一の通信を複数回(少なくとも2回で、例えば3回)交信している。従って、本体部2側から見た交信シーケンスはワイヤード方式の場合とワイヤレス方式の場合とで異なっている。つまり、ワイヤレス方式における受光部3の応答時間はワイヤード方式のそれよりも遅延するので、τ<τ1ではワイヤード方式、τ1<τ≦τ2ではワイヤレス方式となる。なお、τ1はワイヤレス方式では応答できないが、ワイヤード方式では応答可能な最長応答時間(例えば50ms)であり、τ2はワイヤレス方式における最長応答時間(例えば150ms)である。
【0123】
また、表3において、コマンドNo.52の「低消費電力モードに移行」は受光部3の駆動を節電モードに変更する命令である。低消費電力モードとは、上述したようにワイヤード方式では本体部2の電源回路46から各受光部3の電源回路59aに電源が供給されるので、例えば各受光部3に周期的に測光動作(例えば500ms毎の測光動作)を行わせてその測光結果を逐次、表示パネル12に表示させる場合、測光をしていない期間は電源回路59aの駆動を停止させて受光部3での電力消費を低減させるモードである。また、コマンドNo.54の「接続モード切換え」はPC9から本体側制御部41に送信されるコマンドで、受光部3が接続された本体部2をPC9に切り換えるためのコマンドである。
【0124】
本実施の形態に係る照度計の場合、積算照度モードを備えているので、各受光部3は本体部2側から交信相手として選択されていないときでも所定の時間間隔で並行して測定を継続をしている。このため、低消費電力モードが適用できるのは測光動作間の僅かの時間である。しかし、積算照度モードを備えていない照度計や色彩計等の場合は本体部2側から選択されていない受光部3はその間ずっと低消費電力モードに入ることができるので、大幅な省電ができる。
【0125】
次に、図14〜図21に示すフローチャートを用いて、具体的な測光処理について説明する。
【0126】
なお、上述したようにワイヤレス方式では通信の確実性を確保するため、本体部2若しくはPC1と受光部3との間で同一データが複数回(少なくとも3回)交信される点がワイヤード方式と異なるが、通信手順はワイヤード方式もワイヤレス方式も共通で、図14〜図21のフローチャートに従って通信処理が行われる。
【0127】
図14,図15は、多点測光システムの測光処理を示すメインフローチャートである。
【0128】
多点測光システムで複数点の照度を測定する場合、測定者は予め受光側アダプタ7のロータリスイッチ731,732により各受光部3の受光部番号Mを設定し、各受光部3を所定の測定点に配置した後、本体部2のメインスイッチ24をオンにすることで測定が開始される。
【0129】
図14,図15において、「RESET」からの処理手順は本体部2に電源電池が装填されたときのものであり、「POW SW ON」からの処理手順は本体部2のメインスイッチ24がオンにされたときのものである。また、「TM−B(10ms経過)」からの処理手順は10ms毎にタイマ割込みを掛け、第1操作部221、第2操作部222のキー入力又はその他の操作部材を検知し、いずれかの入力があったとき、その入力内容に従って処理する場合のものである。
【0130】
従って、メインスイッチ24による起動では本体側制御部41のI/Oポートが起動時の初期値に設定され、RAM413の一部領域がクリアされた後(#5)、ステップ#9に移行する。また、10ms毎の入力検知処理では、本体側制御部41内のタイマB(図略)のカウントを開始した後(メインフローのステップ#19)、入力の検知タイミングが検出されると(#7)、ステップ#21に移行し、入力の有無が判別される。
【0131】
「RESET」からの処理手順においては、本体部2に電源電池が装填されると、まず、本体側制御部41のI/Oポートの初期化が行われるとともに、RAM413の内容が全てクリアされ(#1)、表示パネル12のLCDセグメントが2秒間全点灯される(#3)。この全セグメント表示は表示パネル12の異常をチェックするためのものである。
【0132】
続いて、表示パネル12に初期表示が行われ(#9)、全受光部3の電源回路59aに電源が供給されて受光側制御部57が起動される(#11)。受光側制御部57は、起動すると、受光側アダプタ7から設定された受光部番号Mのデータを取り込み、そのデータをEEPROM60に記憶する。
【0133】
続いて、図16,図17に示す「機種設定、接続受光部の登録」のフローチャートに移行し、本体部2にカスケード接続されている受光部3の受光部番号Mの登録や多点測光システムの方式(ワイヤード方式又はワイヤレス方式)の設定等が行われる(#13)。
【0134】
「機種設定、接続受光部の登録」のフローに移行すると、まず、表示パネル12に「CAL」の文字が表示される(#41)。この「CAL」表示は多点測光構成において初期通信処理を行っていることを示すものである。続いて、初期通信処理において接続受光部を確認するために最初に送信すべきデータが設定される(#43)。
【0135】
接続受光部の確認は、本体部2から全受光部3に設定可能な受光部番号I(=0〜29)を順次、送信し、送信した受光部番号Iと同一の受光部番号を有する受光部3から応答を受けることにより行われる。本実施の形態では設定可能な受光部番号Iの使用状況を「0」から「29」の昇順方向に確認するようにしているので、接続受光部の確認において送信されるデータには受光部番号Iのデータが含まれ、その初期値には「0」が設定される。
【0136】
また、接続が確認された受光部3には当該受光部3の受光部番号Rより小さい既に接続が確認された受光部番号の中の最大値Rmaxが設定されるようなっている。このように各受光部3に受光部番号Rmaxを設定するのは、本体部2から全受光部3にデータ要求コマンドが送信され、受光部番号の小さい順に各受光部3から本体部2に要求データが返送される場合、使用されている受光部番号が不連続であっても各受光部3は当該受光部3の受光部番号Rより小さい隣りの受光部番号Rmaxの受光部3から本体部2に要求データが送信されたことを確認することで、直ちに自己の要求データを本体部2に送信することができるにするためである。すなわち、欠番の受光部番号についてはスキップして本体部2が各受光部3から連続的に要求データを取り込むことができるようにすることにより多点測光システムにおける通信時間をできるだけ短縮できるようにするものである。
【0137】
接続受光部の確認において送信されるデータには受光部番号Iより小さい既に接続が確認されている受光部番号Rmaxのデータも含まれるが、最初に送信される場合は、受光部番号Rmaxは存在しないので、ディフォルト値して設定可能な受光部番号の最大値(Mmax+1)(本実施の形態では「30」)が設定される。従って、ステップ#43では最初に送信すべきデータとしてI=0,J=Mmax+1が設定される。
【0138】
なお、本実施の形態では受光部番号Iの小さい方から大きい方に順次、受光部番号の有無を確認するようにしているので、接続受光部確認用の送信データの初期値(I,Mmax)を(00,30)に設定しているが、受光部番号Iの大きい方から小さい方に順次、受光部番号の有無を確認するようにしてもよい。
【0139】
続いて、受光部3の応答の遅れ時間τによりワイヤレス方式であるか、ワイヤード方式であるかの判別を行うための閾値τrとしてワイヤレス方式のアンサタイムラグτ2(例えば150ms)が設定される(#45)。続いて、送信データのフォーム(図12参照)が設定され(#47)、この送信データの受光部番号M及びコマンドNo.の部分に確認すべき受光部番号I(=00)と受光部接続調査のコマンド番号「52」(表3参照)とがそれぞれセットされ(#49)、更にデータDの部分に既に接続が確認された最大の受光部番号Rmaxがセットされた後(#51)、その送信データが全受光部3に送信される(#53)。
【0140】
各受光部3では受信したデータから受光部番号Iと受光部番号Rmaxとが抽出されるとともに、EEPROM60から受光部番号Mが読み出され、その受光部番号Mが受光部番号Iと一致するか否かが判別される。そして、両者が一致していれば、受光部番号Rmaxが受光側制御部57内のRAM(図略)に記憶され、受光部番号Mが本体部3に返送される。一方、受光部番号Mと受光部番号Iとが一致しない受光部3では受信したコマンドが無視され、本体部2にコマンドに対する応答は行われない。
【0141】
続いて、いずれかの受光部3から送信した受光部番号Iと同一の受光部番号Mが返送されたか否かが判別され(#55)、所定の時間τ2内にいずれの受光部3からも応答がなければ(#55でタイムオーバー)、当該受光部番号Iは使用されなかった(すなわち、受光部番号Iの受光部3は存在しない)ものとしてステップ#69に移行する。一方、所定の時間τ2内にいずれかの受光部3から応答があれば(#55で受信完了)、その応答時のアンサタイムラグτが取り込まれ(#57)、このアンサタイムラグτがワイヤード方式のアンサタイムラグτ1(例えば50ms)を超えているか否かが判別される(#59)。そして、τ≦τ1であれば(#59でYES)、閾値τrがアンサタイムラグτ1に変更され(#61)、τ1<τ≦τ2であれば(#59でNO)、ステップ#61はスキップされる。
【0142】
続いて、受信データから接続が確認された受光部3の機種の適合性が判別される(#63)。本実施の形態では本体部2に接続される受光部3はこれまで、1種類で説明してきた。しかし、同一形状の本体部2及び受光部3を用いて全く別機種の照度計や色彩計を本体部と受光部間の交信を共通の設計で作ることが可能である。このとき、本体部2に対して異機種の受光部3が機構的に結合可能であるため、信号処理で正規の組合わせかどうかを判定してやる必要がある。ステップ#63の判別はこの判定を行うものである。
【0143】
ステップ#63で受光部3が不適合であるときは(#63でNO)、エラーフラグをセットしてリターンし(#65)、受光部3が適合していれば(#63でYES)、当該接続が確認された受光部3の受光部番号Mが本体側制御部41のRAM413に登録される(#67)。従って、最初の受光部確認で応答があれば、受光部番号M=00がRAM413に記録される。
【0144】
続いて、確認すべき受光部番号Iの値が1だけインクリメントされ(#69)、この受光部番号Iが接続可能な受光部数N(=30)以上になったか否かが判別される(#71)。I<Nであれば(#71でYES)、ステップ#47に戻り、上述した手順で次の受光部番号(I+1)について受光部3の接続が確認される(#47〜#71)。
【0145】
そして、全ての受光部番号Iについて受光部3の有無が確認されると(#71でNO)、閾値τrの設定内容からワイヤード方式かワイヤレス方式かの判別が行われ(#73)、ワイヤード方式であれば(すなわち、τr=τ1であれば)、ワイヤードフラグがセットされ(#77)、ワイヤレス方式であれば(すなわち、τr=τ2であれば)、ワイヤレスフラグがセットされ(#77)、メインフローにリターンする。
【0146】
図14のメインフローに戻り、接続受光部の登録が終了すると、エラーフラグの設定状態に基づいて不適合受光部の有無が確認され(#15)、受光部が不適合である(すなわち、エラーフラグがセットされている)ときは(#15で不適合)、表示パネル12にその旨を示す「Err」の文字が表示され(#17)、ウォッチモードに移行する。このウォッチモードは不適合な受光部3を除去してメインスイッチ24をオンにすると、解消され、「POW SW ON」から処理が開始される。
【0147】
一方、受光部3が適合している(すなわち、エラーフラグがセットされていない)ときは(#15で適合)、10ms毎にタイマ割込みを掛けてキー入力及びその他の操作スイッチの入力をチェックするためのタイマBのカウントを開始した後(#19)、第1操作部221又は第2操作部222のキー入力及びその他の操作スイッチのチェックが行われる(#21)。ここで、いずれかの入力があれば、ステップ#23以降の処理に移行し、いずれの入力もなければ、タイマBのカウントが積算され(#7)、10ms経過すると、再度、第1操作部221又は第2操作部222の入力のチェックが行われる(#21)。
【0148】
そして、いずれかの入力が検出されると、その操作がメインスイッチ24をオフからオンにするものであるか否かが判別され(#23)、メインスイッチ24をオンからオフにするものであれば(#23でOFF)、ステップ#37,#39に移行し、電源オフの処理(データの退避等)が行われる。
【0149】
また、メインスイッチ24をオフからオンにするものであれば(#23でON)、入力された操作に応じた所定が処理が行われる(#25,#27)。例えばアップキー222d又はダウンキー222fにより受光部3が指定され、ノーマルキー221aによりその受光部3について一般測定が指示されると、本体側制御部41は指定された受光部3の受光部番号Mと一般測定のコマンドNo.10のデータを伝文フォーマットにセットして受光部3に送信する(#25)。
【0150】
受光部番号Mの受光部3の受光側制御部57は本体側制御部41からのコマンドを受信すると、電源回路59aを起動し、受光素子51〜A/D変換回路56の駆動を制御して測光するとともに、その測光結果を用いて照度値L,相対照度値ΔL,ΔL%、積算照度値Lsum、時間平均値Lave等を演算し、その演算結果を本体側制御41に送信する。本体側制御部41は照度の測定結果を受信すると、一旦RAM413に記憶し、指示された表示内容の測光値を表示パネル12に表示する(#27)。
【0151】
続いて、キー操作により表示パネル12の表示内容を測定値以外の内容に書き換える要求がなされているか否か、あるいは他の表示内容の測光値に書き換える要求がなされているか否かが判別され(#29,#33)、書換要求がなければ(#29又は#33でNO)、測光値の表示パネル12への表示を保持してスタンバイモードに移行する。一方、書換要求があれば(#29及び#31でYES)。その要求のあった内容に表示パネル12の表示が変更されて(#31,#35)、スタンバイモードに移行する。
【0152】
上述の図14,図15に示すフローチャートは1回の測光処理を示したもので、実際の測定では所定の間隔(例えば500ms間隔)で測光処理が繰り返され、各測光結果が更新的に表示パネル12に表示されるようになっている。スタンバイモードとは次の測光処理が行われるまで(すなわち、次の測光処理の割込みが掛かるまで)の間の本体側制御部41及び受光側制御部57の処理モード(具体的には測光待機状態のモード)で、例えば受光部3が低消費電力モードに設定されている場合は、スタンバイモードに移行すると、測光待機中は電源回路59aの駆動を停止して節電が図られる。
【0153】
図18は、500msの間隔で測光処理の割込みを掛けるためのタイマ割込みの処理手順を示すフローチャートである。
【0154】
本体側制御部41にタイマA(図略)によるタイマ割込みが掛かると、受光部3に再度、測光をさせるべく送信データの準備が行われ(#81)、データの送信中を示すフラグがセットされる(#83)。そして、タイマD(図略)が起動され、このタイマDからシリアル通信用の基準クロック(例えばクロック周波数19.2kHz)が本体側制御部41に入力される(#85)。基準クロックは送受信データをビット単位で送受するための同期信号であり、通信期間だけ基準クロックが起動されて本体側制御部41に入力されるものである。また、基準クロックはPC9と受光部3との通信を行う際にも使用される。
【0155】
図19は、基準クロックに基づきデータの送受信を行う通信手順のフローチャートである。
【0156】
タイマDの割込みにより基準クロックが入力されると、データの送信であるか、データの受信であるかが判別され(#91)、データの送信であるときは、タイマDにより52.08μs(19.2kHzの周期)がカウントされる毎に送信データの先頭から1ビットずつ全受光部3に送信され(#91,#93,#95のループ)、全ビットが送信され、送信データの送信が終了すると(#95で送信終了)、所定の送信終了処理が行われるとともに、送信中のフラグ(図18のステップ#83参照)がリセットされ(#97)、タイマDの駆動が停止されて割込み処理は終了する(#99)。
【0157】
一方、データの受信であるときは、タイマDにより52.08μsがカウントされる毎に受光部3から送信されるデータを先頭から1ビットずつ受信して受信バッファ(図略)に格納し(#91,#101,#103のループ)、全ビットを受信し、受信データの受信が終了すると(#103で受信終了)、所定の受信終了処理が行われるとともに、受信中のフラグ(図20のステップ#115及び図21のステップ#125を参照)がリセットされ(#105)、表示パネル12の表示内容の書換要求フラグがセットされた後(#107)、タイマDの駆動が停止されて割込み処理は終了する(#109)。
【0158】
図20は、各受光部3からの割込みに対する本体部2の割込み処理を示すフローチャートである。
【0159】
受光部3からの割込み(以下、この割込みを「INT−0割込み」という。)が入ると、割込み時に他の受光部3にデータの送信中であるか、あるいはPC9と通信中であるか否かが判別され(#111,#113)、他の受光部3にデータ送信中であるか、あるいはPC9と通信中であれば(#111又は#113でYES)、INT−0割込みを禁止するべく割込み処理を終了する。一方、データ送信又はPC9との通信のいずれでもなければ(#111でNO,#113でNO)、受信中のフラグがセットされるとともに(#115)、他の受光部3からのINT−0割込みが禁止され(#117)、受光部3からの送信データを受信するべくタイマDを起動して基準クロックが生成される(#119)。そして、この後は図19のフローチャートに従って基準クロックに基づき受光部3からのデータが受信される。
【0160】
図21は、PC9により多点測光処理を行うべく当該PC9から本体側制御部41に割込みが入った場合の割込み処理を示すフローチャートである。
【0161】
PC9からの割込み(以下、この割込みを「INT−1割込み」という。)が入ると、現在、他の受光部3にデータの送信中であるか、あるいはINT−0割込みの処理中であるか否かが判別され(#121,#123)、他の受光部3にデータ送信中であるか、あるいはINT−0割込みの処理中であれば(#121又は#123でYES)、INT−1割込みを禁止するべく割込み処理を終了する。一方、データ送信及びNT−0割込み処理のいずれでもなければ(#121でNO,#123でNO)、受信中のフラグがセットされるとともに(#125)、INT−1割込みが禁止され(#127)、PC9からのデータを受信するべくタイマDを起動して基準クロックが生成される(#119)。そして、この後は図19のフローチャートに従って基準クロックに基づきPC9からのデータが受信される。
【0162】
なお、PC9により多点測光処理が行われる場合は、図21に示す「INT−1割込み」の割込み処理によりPC9から本体側制御部41にコマンドNo.54のデータが送信され、本体制御部41を介して切換スイッチ45のコモン端子の接続点が本体側制御部41側から通信インターフェース回路44側に切り換えられる。これによりPC9が通信インターフェース回路44及び切換スイッチ45を介して各受光部3の受光側制御部57に接続され、各受光側制御部57はPC9からのコマンドに基づいて測光処理を行うことになる。
【0163】
本体側制御部41はPC9からコマンドNo.54を受信すると、切換スイッチ45の接続を切り換えるとともに、表示パネル12の表示をPCによる制御であることを示す「PC」の文字表示に切り換え、制御主体がPC9に切り換えられていることを操作者に報知する。PC9により多点測光が行われる場合も各受光部3との通信プロトコルは本体部2との通信プロトコルと同様である。PC9は図12に示す伝文フォーマットのデータを各受光部3との間で交信して測光データを収集し、その収集データを予め設定された所定のプログラムに従って適宜、加工し、所定の表示形式で表示装置92に表示する。
【0164】
次に、多点測光システムにおけるバッテリチェックについて、図22のフローチャートに従って説明する。
【0165】
上述したように、本体部2と各受光部3とにそれぞれ独立に電源回路46と電源回路59aとが設けられ、各電源回路46,59aはバッテリチェック回路47とバッテリチェック回路59bとによりそれぞれチェックされるようにしているので、本体側制御部41は、図22に示す処理手順に従ってバッテリチェック回路47で電源回路46の状態をチェックするとともに(#131)、受光側制御部57を介してバッテリチェック回路59bで電源回路59aの状態をチェックさせ(#133)、そのチェック結果に応じた所定の警告表示を表示パネル12に行う(#133〜#137)。
【0166】
すなわち、本体側の電源回路46のバッテリチェックを行い、電源回路46が正常であれば(#131でOK)、表示パネル12に通常表示を行い(測光値の表示を行い)、電源異常を示す所定のバッテリマーク(絵文字)は表示しない(#133)。一方、本体側の電源回路46が不良であれば(#131でNG)、表示パネル12にバッテリマークのみを点滅表示する(#137)。
【0167】
また、本体側の電源回路46の出力が警告領域であれば(#131でAlarm)、更に各受光部3の受光側制御部57を介して当該受光部3の電源回路59aのバッテリチェックを行い、受光部3の電源回路59aが全て良好であれば(#133でALL OK)、表示パネル12に通常表示を行うとともに、バッテリマークの点滅表示を行う(#135)。すなわち、この場合は電源電池の消耗であると考えられるので、オペレータに電池交換を報知するため、通常表示に加えてバッテリマークの点滅表示が行われる。
【0168】
一方、1個でも受光部3の電源回路59aが不良であれば(#133でNG)、本体側の電源回路46の不良の場合と同様に表示パネル12にバッテリマークのみを点滅表示する(#137)。すなわち、本体部2及び受光部3のいずれかの電源回路46,59aに異常が発生すると、バッテリマークのみが点滅表示される。
【0169】
従って、操作者は表示パネル12のバッテリマークの表示態様によって電源異常の内容を知ることができ、その内容に従って容易に適切な措置を採ることができる。
【0170】
上記のように、本体側アダプタ6、受光側アダプタ7及び通信ケーブル8を用いて1台の本体部2に複数個の受光部3をカスケード接続可能にしているので、単体の照度計1を複数個カスケード接続する場合に比べて簡単な構成で多点測光システムを構成することができる。特に、照度計1の本体部2と受光部3とを分離可能にしているので、照度計1が1台あれば、測定点の数Nに対して(N−1)個の受光部3、1個の本体側アダプタ6、N個の受光側アダプタ7及びN本の通信ケーブル8を用意すれば、多点測光システムを構成することができ、多点測光システムの構成コストを低減することができる。
【0171】
また、本体部2とカスケード接続される複数個の受光部3とを無線通信により結合してシステムを構成できるようにしているので、測定点が遠隔地や空中であっても簡単に多点測光システムを構成することができる。また、信号線の引き回しによる測定系の煩雑さも軽減され、信号線を引っ掛けて接触不良や断線等が生じることも防止することができる。
【0172】
また、本体部2にPC9を外部接続可能にするとともに、PC9からのコマンドで本体部2にカスケード接続されている受光部3をPC9に切換接続できるようにしているので、PC9を用いた多点測光システムも簡単に構成することができ、PC9の強力なデータ処理機能、表示機能を活用して多点の測定データを同時的、多元的に処理することができる。
【0173】
なお、本実施の形態では各受光部3が本体部2に直接装着可能になされ、単独の照度計1を構成し得るものについて説明したが、単独の照度計1を構成しない複数個の受光部3と1個の本体部2とを組み合わせ、複数個のアダプタ6,7及び通信ケーブル8を用いて多点測光システムを構成するようにしてもよい。この場合は、本体部2と受光部3とのデータ通信による測光処理が共通である限り、機種の異なる照度計1の受光部3が含まれることになっても多点測光システムを構築できる利点がある。
【0174】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数個の受光手段をそれぞれ第1のインターフェースと通信ケーブルとを介して接続するとともに、この接続された第1のインターフェースの一方端の第1のインターフェースを通信ケーブルで第2のインターフェースに接続して複数個の受光手段を1個の本体制御手段に接続して多点測光システムを構成したので、単独の測光機器をカスケード接続してなる多点測光システムに比べて構成が簡素かつ小型になるとともに、コストメリットも向上する。
【0175】
また、各受光手段を本体制御手段に直接、装着可能にし、単独の測光機器を構成可能にしたので、受光手段と本体制御手段とが互いに分離可能な単独の測光機器の構成要素を用いて多点測光システムを構築でき、コストメリットがより向上する。
【0176】
また、第1のインターフェースに複数個の受光手段を識別する識別番号を設定可能にし、本体制御手段が識別番号を指定して各受光手段とデータ通信できるようにしたので、複数個の受光手段を接続する際、各受光手段を任意の順番で縦続接続することができる。また、多点測光において、操作者は所望の受光手段を任意に選択して簡単に測光データを得ることができ、操作性が向上する。
【0177】
特に、各受光手段に設定された識別信号を確認することにより接続された受光手段の総数を自動判別するようにしたので、操作者が測定点の数を手動入力する手間が省け、操作性が向上する。また、各受光手段の測光データを当該受光手段の識別番号に対応づけて表示するようにしているので、操作者は測光データと測定点との関係を容易に把握することができる。また、複数個の測光データに対して最大値、最小値及び平均値を算出して表示するようにしているので、多点測光特有の代表的な測光データを簡単に得ることができる。
【0178】
また、各受光手段の受光時の応答速度を本体制御手段側で切換可能にしたので、受光光の脈動状態に応じて受光応答速度を高/低、2段階のいずれかに切り換える必要がある場合にも全ての受光手段の受光時の応答速度を本体制御手段側で一度に切換設定ができ、操作者の切換操作が容易となる。
【0179】
また、各受光手段に電源異常検出手段を設け、各受光手段からその検出結果を取り込んで、本体制御手段で測光システムの電源異常を判別するようにしたので、いずれかの測定点に電源異常に基づく不適切な測光データが含まれる場合もそれを検出することができ、信頼性の高い多点測光が可能となる。更に、電源異常が検出されたときは、所定の警告表示をするようにしたので、操作者は異常原因に応じた適切な措置を簡単に講じることができる。
【0180】
また、互いに接続された第1のインターフェースの一方端の第1のインターフェースと第2のインターフェースとにそれぞれデータを無線信号に変換して互いに送受する第3のインターフェースを設け、多点測光システムの通信経路の一部に無線通信路を形成するようにしたので、測定点が広範囲に亘る場合や遠隔地にある場合でも簡単に多点測光系を構成することができる。特に、電波により無線通信を行うようにしたので、多少の障害物がある場合にもその障害物の影響を受けることなく多点測光系を構成することができる。また、比較的狭い範囲に多数個の測定点が設けられる場合にも無線通信方式(ワイヤレス方式)とすることで測定系が整理され、複数本の通信ケーブルが煩雑に配線されることに起因する測定事故も防止することができる。
【0181】
また、ワイヤレス方式により多点測光システムを構成したときは、本体制御手段と受光手段とのデータ通信で同一のデータを少なくとも2回以上交信するようにしたので、無線通信による送信エラーを低減することができる。更に、ワイヤレス方式では、本体制御手段からの送信データに対する受光手段からの応答遅延時間を検出し、この遅延時間に基づいて多点測光システムがワイヤレス方式であるか否かを自動判別するようにしたので、操作者はワイヤレス方式とワイヤード方式とを区別することなく簡単に多点測光システムを構成することができる。
【0182】
また、本体制御手段に電子情報処理装置を外部接続可能にするとともに、本体制御手段に代えて電子情報処理装置と各受光手段との間でデータ通信可能にしたので、電子情報処理装置により多数点の測光データを同時的、多元的に処理でき、多点測光の処理能力を広範囲に向上させることができる。そして、電子情報処理装置により測光処理が制御されているときは、本体制御手段にその旨の所定の表示をさせるようにしているので、操作者は多点測光システムの制御主体を簡単に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多点測光システムに適用される照度計の一例を示す正面図である。
【図2】本発明に係る多点測光システムに適用される照度計の一例を示す右側面図である。
【図3】本発明に係る多点測光システムに適用される照度計の本体部と受光部とを分離した状態を示す正面図である。
【図4】本発明に係る多点測光システムに適用される照度計の内部構成を示すブロック図である。
【図5】受光部の回路構成の一例を示す図である。
【図6】本発明に係るワイヤード方式による多点測光システムの構成を示す図である。
【図7】本発明に係るワイヤード方式による多点測光システムの構成を示す斜視図である。
【図8】受光部番号設定用のロータリスイッチの切換表示を示す図である。
【図9】ワイヤード方式による多点測光システムに適用されるアダプタの内部構成を示すブロック図である。
【図10】本発明に係るワイヤレス方式による多点測光システムの構成を示す図である。
【図11】ワイヤレス方式による多点測光システムに適用されるアダプタの内部構成を示すブロック図である。
【図12】本体部若しくはPCと受光部との通信における伝文フォーマットを示す図である。
【図13】アンサタイムラグを説明するための図である。
【図14】本発明に係る多点測光システムの測光処理を示すメインフローチャートである。
【図15】本発明に係る多点測光システムの測光処理を示すメインフローチャートである。
【図16】本体部に接続されている受光部の確認及び設定を行う「機種設定、接続受光部の登録」のフローチャートである。
【図17】本体部に接続されている受光部の確認及び設定を行う「機種設定、接続受光部の登録」のフローチャートである。
【図18】500msの間隔で測光処理の割込みを掛けるためのタイマ割込みの処理手順を示すフローチャートである。
【図19】基準クロックに基づきデータの送受信を行う通信手順のフローチャートである。
【図20】各受光部からの割込みに対する本体部の割込み処理を示すフローチャートである。
【図21】PCにより多点測光処理を行うべく当該PCから本体側制御部に割込みが入ったときの割込み処理を示すフローチャートである。
【図22】多点測光システムにおけるバッテリチェックの処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 照度計
2 本体部(本体制御手段)
2a 接続部(装着部)
21 表示パネル(表示部)
221 第1操作部
222 第2操作部
23 蓋体
24 メインスイッチ
25 ホールド釦
26 受光部分離釦
27 デジタルインターフェース端子(接続端子)
28 DC電源端子
29 応答速度切換スイッチ(切換手段)
3 受光部(受光手段)
3a 接続部(装着部)
31 受光窓
32 アナログ出力端子
41 本体側制御部(最大値/最小値の算出手段,平均値演算手段,応答遅れの検出手段,切換制御手段)
42 操作ユニット
43 表示ユニット
44 通信インターフェース
45 切換スイッチ部(線路切換手段)
46 電源回路
47 バッテリチェック回路
51 受光素子
52 開閉回路
53 I/V変換回路
54 応答速度切換回路
55 バッファ回路
56 A/D変換回路
57 受光側制御部
58 アナログ出力回路
59a 電源回路
59b バッテリチェック回路(電源異常検出手段)
6 アダプタ(第2のインターフェース)
7 アダプタ(第1のインターフェース)
73 受光番号設定回路(番号設定手段)
731,732 ロータりスイッチ(番号設定手段)
11 アダプタ(第3のインターフェース)
8,10 通信ケーブル
9 PC(電子情報処理装置)
Claims (16)
- 光を受光し、当該受光光に関する所定の測光データを算出する複数個の受光手段と、
上記受光手段の測光動作を制御するとともに、当該受光手段で算出された測光データを表示部に表示する1個の本体制御手段と、
上記複数個の受光手段にそれぞれ着脱可能に装着される複数個の第1のインターフェースと、
上記本体制御手段に着脱可能に装着された1個の第2のインターフェースと、
隣リ合う上記第1のインターフェースの間及び一方端の第1のインターフェースと上記第2のインターフェースとの間をそれぞれ接続する複数本の通信ケーブルとからなり、
上記本体制御手段は上記第1,第2のインターフェース及び上記通信ケーブルを介して全ての受光手段若しくはいずれか1の受光手段とデータ通信を行い、当該受光手段から送信される測光データを上記表示部に表示するものであることを特徴とする多点測光システム。 - 請求項1記載の多点測光システムにおいて、
各受光手段の第1のインターフェースが装着される装着部は本体制御手段の第2のインターフェースが装着される装着部に装着可能になされ、各受光手段は、本体制御手段に直接、装着されたときは単独の測光機器を構成し得るものであることを特徴とする多点測光システム。 - 請求項1又は2記載の多点測光システムにおいて、
上記第1のインターフェースは、当該第1のインターフェースが装着される上記受光手段の識別番号を設定する番号設定手段を備え、
上記本体制御手段は、上記識別番号を指定することにより当該識別番号を有する受光手段との間でデータ通信を行うものであることを特徴とする多点測光システム。 - 請求項3記載の多点測光システムにおいて、
上記本体制御手段は、各受光手段に設定された識別番号を確認することにより接続された受光手段の総数を自動判別することを特徴とする多点測光システム。 - 請求項3又は4記載の多点測光システムにおいて、
上記本体制御手段は、上記受光手段から送信された測光データを当該受光手段に対応する識別番号に対応付けて上記表示部に表示するものであることを特徴とする多点測光システム。 - 請求項5記載の多点測光システムにおいて、
上記本体制御手段は、上記複数個の受光手段から取り込まれた測光データのうち、最大値及び/又は最小値並びにこれらの値を有する識別番号を算出する算出手段を備え、この算出手段の算出結果を上記表示部に表示するものであることを特徴とする多点測光システム。 - 請求項5又は6記載の多点測光システムにおいて、
上記本体制御手段は、上記複数個の受光手段から送信された複数個の測光データの平均値を演算する平均値演算手段を備え、この平均値演算手段で算出された平均値を上記表示部に表示するものであることを特徴とする多点測光システム。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の多点測光システムにおいて、
各受光手段は、受光時の応答速度が第1の応答速度とこの第1の応答速度よりも遅い第2の応答速度とに切換可能になされ、
上記本体制御手段は、上記受光手段の受光時の応答速度を切り換える切換手段を備えていることを特徴とする多点測光システム。 - 請求項1〜8のいずれかに記載の多点測光システムにおいて、
各受光手段は、電源異常を検出する電源異常検出手段を備え、
上記本体制御手段は、各受光手段から当該受光手段の電源異常検出手段の検出結果を取り込み、測光システムの電源異常を判別することを特徴とする多点測光システム。 - 請求項9記載の多点測光システムにおいて、
上記本体制御手段は、少なくとも1個の上記受光手段に電源異常があるときは、所定の警告表示を行うものであることを特徴とする多点測光システム。 - 光を受光し、当該受光光に関する所定の測光データを算出する複数個の受光手段と、
上記受光手段の測光動作を制御するとともに、当該受光手段で算出された測光データを表示部に表示する1個の本体制御手段と、
上記複数個の受光手段にそれぞれ着脱可能に装着される複数個の第1のインターフェースと、
上記本体制御手段に着脱可能に装着された1個の第2のインターフェースと、隣リ合う上記第1のインターフェースの間をそれぞれ接続する複数本の第1の通信ケーブルと、
接続された複数個の第1のインターフェースの一方端の第1のインターフェースと上記第2のインターフェースとにそれぞれ第2の通信ケーブルを介して通信可能に接続され、通信データを無線信号に変換して互いに送受する第3のインターフェースとを備え、
上記本体制御手段は上記第1〜第3のインターフェース及び上記第1、第2の通信ケーブルを介して全ての受光手段若しくはいずれか1の受光手段とデータ通信を行い、当該受光手段から送信される測光データを上記表示部に表示するものであることを特徴とする多点測光システム。 - 請求項11記載の多点測光システムにおいて、
無線信号は、電波信号であることを特徴とする多点測光システム。 - 請求項11又は12記載の多点測光システムにおいて、
上記本体制御手段と上記受光手段との間のデータ通信では同一のデータが少なくとも2回交信されることを特徴とする多点測光システム。 - 請求項13記載の多点測光システムにおいて、
上記本体制御手段は、送信データに対する上記受光手段からの応答遅れを検出する検出手段を備え、この検出手段の検出結果に基づいて測光システムがワイヤレス方式であるか否かを自動判別することを特徴とする多点測光システム。 - 請求項1〜14のいずれかに記載の多点測光システムにおいて、
上記本体制御手段は、電子情報処理装置が外部接続可能な接続端子と、上記受光手段との間でデータ通信を行う通信線路を上記接続端子側に切り換える線路切換手段と、上記線路切換手段の切換を制御する切換制御手段とを備え、
上記電子情報処理装置が上記本体制御手段と上記第1,第2のインターフェース及び上記通信ケーブル若しくは上記第1〜第3のインターフェース及び上記第1,第2の通信ケーブルとを介して全ての受光手段若しくはいずれか1の受光手段と直接、データ通信を行うことで、当該電子情報処理装置により多点測光処理が可能になされていることを特徴とする多点測光システム。 - 請求項15記載の多点測光システムにおいて、
上記線路切換手段により通信線路が電子情報処理装置に接続されているとき、上記本体制御手段は、上記測光データに代えて上記電子情報処理装置が接続されていることを示す所定の表示を行うものであることを特徴とする多点測光システム。
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