JP3855310B2 - リチウム・遷移金属複合酸化物、その製造方法、およびそれを用いた非水溶媒系二次電池 - Google Patents

リチウム・遷移金属複合酸化物、その製造方法、およびそれを用いた非水溶媒系二次電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム・遷移金属複合酸化物、およびそれを用いた非水溶媒系二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ビデオカメラやノート型パソコン等のポ−タブル機器の普及に伴い、小型高容量の二次電池に対する需要が高まっている。現在使用されている二次電池のほとんどはアルカリ電解液を用いたニッケル−カドミウム電池であるが、電池電圧が約1.2Vと低く、エネルギー密度の向上は困難である。そのため、比重が0.534と固体の単体中最も軽いうえ、電位が極めて卑であり、単位重量当たりの電流容量も金属負極材料中最大であるリチウム金属を使用するリチウム二次電池が検討された。
【0003】
しかし、リチウム金属を負極に使用する二次電池では、放電時に負極の表面に樹枝状のリチウム(デンドライト)が析出し、充放電サイクルによってこれが成長する。このデンドライトの成長は、二次電池のサイクル特性を劣化させるばかりではなく、最悪の場合には正極と負極が接触しないように配置された隔膜(セパレータ)を突き破って、正極と電気的に短絡、発火して電池を破壊してしまう。そこで、例えば、特開昭62−90863号公報に示されているように、コ−クス等の炭素質材料を負極とし、アルカリ金属イオンをド−ピング、脱ド−ピングすることにより充放電を繰り返す二次電池が提案された。これによって、上述したような充放電の繰り返しにおける負極の劣化問題を回避できることが分かった。また、このような各種炭素質材料は、アニオンをドーピングして正極として用いることも可能である。上記の炭素質材料へのリチウムイオンあるいはアニオンのドーピングを基本原理とする電極を利用した二次電池としては、特開昭57−208079号公報、特開昭58−93176号公報、特開昭58−192266号公報、特開昭62−90863号公報、特開昭62−122066号公報、特開平3−66856号公報等が公知である。
【0004】
一方、正極活物質としては高電位を示す活物質の探索、開発によって、電池電圧が4V前後を示すものが現れ、注目を浴びている。それらの活物質としては、アルカリ金属を含む遷移金属酸化物や遷移金属カルコゲンなどの無機化合物が知られている。なかでも、LiX CoO2 (0<x≦1.0)、LiX NiO2 (0<x≦1.0)などが、高電位、安定性、長寿命という点から最も有望である。このなかでも、LiNiO2 は、LiCoO2 に比べて、原料がコスト安であり、かつ、供給が安定していること、さらには、4V級の活物質ではあるが、充電電位が幾分低いことから電解液の分解が抑制される、などという利点から、特に精力的に研究が進められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの正極活物質を用いて、130mAh/g(活物質当たり)程度以上の高容量で充放電を繰り返した場合、容量劣化を起こし、電池寿命が短かくなってしまうという課題があった。
【0006】
本発明は、上記従来技術の欠点を解消しようとするものであり、高容量で充放電サイクルに優れたリチウム・遷移金属複合酸化物およびそれを用いた高性能の二次電池を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために以下の構成を有するものである。
【0008】
「(1)X線回折線から、 ( β cos θ ) /λ=1/ D 2 η (sin θ ) /λの式(βは回折線幅の広がり、θはブラッグ角、λは測定波長、 D は結晶子の大きさである)で算出される、結晶子の不均一歪をηとしたとき、ηの値が0.18%以上、1.00%以下であり、化学式Li - - Ni - - (但し、Aはストロンチウムまたはバリウムであり、Bは少なくとも1種の遷移金属元素からなり、式中X、Yは、0<X≦0.10、0<Y≦0.30、a、bは、−0.10≦a≦0.10、−0.15≦b≦0.15;但し、Xはストロンチウムまたはバリウムの総モル数であり、Bが2種以上の遷移金属元素からなる場合は、YはNi以外の全遷移金属元素の総モル数である)で表される化合物であることを特徴とするリチウム・遷移金属複合酸化物、
【0009】
(2)X線回折線から、 ( β cos θ ) /λ=1/ D 2 η (sin θ ) /λの式(βは回折線幅の広がり、θはブラッグ角、λは測定波長、 D は結晶子の大きさである)で算出される、結晶子の不均一歪をηとしたとき、ηの値が0.18%以上、1.00%以下であり、化学式Li - - Ni - - (但し、Aは少なくとも2種以上のアルカリ土類金属元素であり、Bは少なくとも1種の遷移金属元素からなり、式中X、Yは、0<X≦0.10、0<Y≦0.30、a、bは、−0.10≦a≦0.10、−0.15≦b≦0.15;但し、Xはアルカリ土類金属元素の総モル数であり、Bが2種以上の遷移金属元素からなる場合は、YはNi以外の全遷移金属元素の総モル数である)で表される化合物であることを特徴とするリチウム・遷移金属複合酸化物。
【0010】
(3)(1)記載のリチウム・遷移金属複合酸化物を用いたことを特徴とする非水溶媒系二次電池。」
【0011】
【発明の実施の形態】
ここで、リチウム・遷移金属複合酸化物は一般的に酸化還元電位が高いため、正極活物質として用いられることが好ましいが、例えばMn系やV系など比較的酸化還元電位が低いものは、さらに高い活物質と組み合わせて、負極活物質として用いることも可能である。本発明者らは、高い放電容量および優れたサイクル特性を有する正極活物質を鋭意検討した結果、正極活物質の結晶子の不均一歪みηが、0.18%以上、1.00%以下、より好ましくは、0.25%以上、0.50%以下、さらに好ましくは、0.25%以上、0.33%以下である正極活物質が高い放電容量、および優れたサイクル特性を示すことを見出した。一方、ηの値が0.18%未満の場合、初期の容量は高いもののサイクル特性が悪くなり、ηの値が1.00%を越えると充分な容量を得ることができなかった。この原因としては次のように考えている。ηの値が0.18%未満の場合、すなわち結晶化度が高い場合、結晶構造のわずかな崩壊によってイオンの拡散が大きく阻害されることになり、このことは、初期の容量は高いものの、充放電サイクルによって、わずかでも結晶構造が破壊されると、その容量は大きく低下することを意味する。一方、ηの値が1.00%を越えると、歪みが大きすぎ、結晶内でのイオンの拡散や電子伝導が阻害されるため、充分な容量を得ることができないのではないかと考えられる。
【0012】
ここで、本発明の結晶子の不均一歪ηは、X線回折線から算出する。
【0013】
結晶子の不均一歪ηとそれに基づくX線回折線の積分幅βj との間には、Stokes Wilson の法則により次の関係がある。
【0014】
βj =2 ηtan θ (1)
(ここでθはブラッグ角である)
また、結晶子の大きさD とηの両方による回折線幅の広がりβは、Hallの法則により、
β=βi+βj (2)
で表される。
【0015】
さらに結晶子の大きさD はScherrerの法則により、
D =λ/( βi cosθ) (3)
であるから、これらの式から最終的に次の関係式が導かれる。
【0016】
( β cosθ) /λ=1/D +2 η(sinθ) /λ (4)
ここでλは測定波長である。
【0017】
この関係から、各回折線の積分幅を測定して( β cosθ) /λの値を(sinθ) /λに対してプロットすることによって、その直線の傾きから歪みηを求める。
次に本発明の正極活物質の製造方法について述べる。原料の化合物としては、一般的な炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、水酸化物などの塩またはその水和物、または酸化物、過酸化物やヨウ化物などが挙げられる。
【0018】
本発明の正極活物質は、化学式Li - - Ni - - (但し、Aはストロンチウムまたはバリウムであり、Bは少なくとも1種以上の遷移金属元素からなり、式中X、Yは、0<X≦0.10、0<Y≦0.30、a、bは、−0.10≦a≦0.10、−0.15≦b≦0.15;但し、Xはストロンチウムまたはバリウムの総モル数であり、Bが2種以上の遷移金属元素からなる場合は、YはNi以外の全遷移金属元素の総モル数である)で表される化合物であることが必要でありあるいは化学式Li - - Ni - - (但し、Aは少なくとも2種以上のアルカリ土類金属元素であり、Bは少なくとも1種以上の遷移金属元素からなり、式中X、Yは、0<X≦0.10、0<Y≦0.30、a、bは、−0.10≦a≦0.10、−0.15≦b≦0.15;但し、Xはアルカリ土類金属元素の総モル数であり、Bが2種以上の遷移金属元素からなる場合は、YはNi以外の全遷移金属元素の総モル数である)で表される化合物xであることが必要である
【0019】
ここで、リチウムと置換する1種以上のアルカリ土類金属元素の量をリチウムの10%以内と小さくすることによって、容量の低下を押さえつつサイクル特性の改善を達成することができ、かつ、ニッケルと遷移金属元素を置換することによって、層状構造を維持し、かつ、電子伝導性を付与することが可能になり、アルカリ土類金属元素の効果と相乗的に作用しあって、良好なサイクル特性が得られるものと推測される。
【0020】
また、X が0.10よりも大きくなると、リチウムと置換したアルカリ土類金属元素がリチウムイオンの拡散を阻害してしまい、逆に抵抗成分になって放電容量を大きく低下させてしまう傾向がある。放電容量の低下を抑えるにはX は0.08よりも小さい方がより好ましく、さらに好ましくは0.05より小さい方がよい。
【0021】
また、Y が0.3よりも大きくなると結晶構造が不安定になりサイクル特性が悪くなる傾向がある。好ましくは、Y は0.25よりも小さい方が、さらに好ましくはY は0.2よりも小さい方がよい。
【0022】
さらに、aとbは、化学量論性からのずれを表す。aが−0.10よりも小さくなると、正極ペーストが混練中にゲル化し、逆に0.10よりも大きくなると、放電容量が減少する場合がある。この点から、−0.05≦a≦0.05がより好ましく、さらに好ましくは−0.02≦a≦0.02である。また、bが−0.15より小さくなると、放電容量が減少してしまい、逆に0.15よりも大きくなると、正極ペーストが混練中にゲル化してしまう。このことから、−0.08≦b≦0.08がより好ましく、さらに好ましくは−0.04≦b≦0.04である。
【0023】
残留アルカリ分の影響で正極ペーストが混練中にゲル化を起こしてしまうため、本発明では、アルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素を0.1〜10モル%程度不足になるように出発原料を調合する。即ち、リチウムおよびAを含む出発原料を、ニッケルおよびBを含む出発原料に対して化学量論比で0.90以上、1.00未満の割合で調合する。こうして調合した原料を十分に混合した後、必要があれば成型して固相反応を起こしやすくした後、空気や純酸素などの酸化雰囲気中で、300〜800℃で予備焼成する(このとき、例えば炭酸ガスを除去した雰囲気中で焼成しても良い)。そして、ボールミルや擂潰機などを用いて二次粒子を解砕した後、再び同様の酸化雰囲気中で、通常500〜950℃で本焼成後、必要があれば、生成した強アルカリ性物質(リチウムあるいはアルカリ土類金属酸化物)を除去し、次いで粉砕や分級操作などによって、粒度調整して正極活物質とすることができる。この操作によって、より均質かつ再現性のある組成が得られることを組成分析によって確認している。なお、以下に示す本発明の実施例中では、アルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素を0.1〜10モル%程度不足になるように出発原料を調合する方法で、本発明の正極活物質を得る方法を示したが、作製方法によらず結晶子の不均一歪ηの値が0.18以上1.00以下であれば、本発明で示した高容量化とサイクル特性改善の効果が期待できる。
【0024】
本発明において、金属複合酸化物は、平均粒径0.01〜5.0μmである一次粒子の凝集体(二次粒子)を形成していることが好ましく、さらに、該二次粒子の平均粒径が5.0〜50μmであることが好ましい。一次粒子の粒径が0.01μm未満の粒子は合成が困難である傾向があり、また、セパレータの目詰まりの原因となる場合がある。又、5.0μmを越える粒子は、凝集しにくく、又、充放電時に生じる活物質の膨張、収縮が大きくなり、活物質と導電剤、集電体との密着性が悪くなってしまったり、活物質中のイオン移動特性が阻害され、電池の容量が減少する場合がある。又、二次粒子の粒径が5.0μm未満であると、正極作成時にプレスする時に剥離し、又、活物質の表面積が増えるために、導電剤や結着剤の添加量を増やさねばならず、単位重量あたりのエネルギー密度が小さくなってしまう傾向がある。二次粒子の粒径が50μmを越えると、粒子がセパレータを貫通し、短絡を引き起こす傾向がある。
【0025】
本発明のリチウム・遷移金属複合酸化物は、前記の通り正極として好適に用いられるが、その場合負極としては、とくに限定されるものではなく、炭素質材料、金属Li、Li合金(Li-Al など)、金属酸化物(SnO など) 、金属窒化物(Li3 Nなど)等が用いられる。
【0026】
炭素質材料としては、特に限定されるものではなく、一般に有機物を焼成したものが用いられる。炭素質材料の電子伝導性が集電の目的に対して充分でない場合、導電剤を添加することも好ましい。
【0027】
また、炭素質材料としては炭素繊維が好ましく用いられるが、炭素繊維としては、特に限定されるものではなく、一般に有機物を焼成したものが用いられる。具体的には、ポリアクリロニトリル(PAN)から得られるPAN系炭素繊維、石炭もしくは石油などのピッチから得られるピッチ系炭素繊維、セルロースから得られるセルロース系炭素繊維、低分子量有機物の気体から得られる気相成長炭素繊維などが挙げられるが、そのほかに、ポリビニルアルコール、リグニン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、フェノール樹脂、フルフリルアルコールなどを焼成して得られる炭素繊維でも構わない。これらの炭素繊維の中で、炭素繊維が用いられる電極および電池の特性に応じて、その特性を満たす炭素繊維が適宜選択される。上記炭素繊維の中で、アルカリ金属塩を含む非水電解液を用いた二次電池の負極に使用する場合には、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維が好ましい。特に、アルカリ金属イオン、特にリチウムイオンのドーピングが良好であるという点で、PAN系炭素繊維やピッチ系炭素繊維が好ましく、この中でも、東レ(株)製の”トレカ”Tシリーズ、または、”トレカ”MシリーズなどのPAN系炭素繊維、メソフェーズピッチコークスを焼成して得られるピッチ系炭素繊維がさらに好ましく用いられる。炭素繊維を電極にする際には、どのような形態をとっても構わないが、一軸方向に配置したり、もしくは布帛状やフェルト状の構造体にするなどが、好ましい形態となる。布帛状あるいはフェルト状などの構造体としては、織物、編物、組物、レース、網、フェルト、紙、不織布、マットなどが挙げられるが、炭素繊維の性質や電極特性などの点から、織物やフェルトなどが好ましい。また、炭素繊維を銅箔などの集電体に結着剤などで貼り付けて使用してもよく、さらに炭素粉末などの導電剤を添加してもよい。操作性、生産性を考慮すると、さらに好ましくは短繊維状の炭素繊維である。通常の炭素粉末同様、導電剤、結着剤とともに電極化して用いることができ、さらに炭素繊維特有の構造特性も有している。平均長30μm 以下が取り扱いやすく、高嵩密度化が可能なのでより好ましい。
【0028】
本発明の電極を用いた二次電池の電解液としては、特に限定されることなく従来の非水溶媒系電解液が用いられる。この中で、上述のアルカリ金属塩を含む非水電解液からなる二次電池の電解液としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ- ブチロラクトン、N- メチルピロリドン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ギ酸メチル、スルホラン、オキサゾリドン、塩化チオニル、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレンカーボネートや、これらの誘導体や混合物などが好ましく用いられる。
【0029】
電解液に含まれる電解質としては、アルカリ金属、特にリチウムのハロゲン化物、過塩素酸塩、チオシアン塩、ホウフッ化塩、リンフッ化塩、砒素フッ化塩、アルミニウムフッ化塩、トリフルオロメチル硫酸塩などが好ましく用いられる。本発明のリチウム・遷移金属複合酸化物を用いた二次電池の用途としては、軽量かつ高容量で高エネルギー密度の特徴を利用して、ビデオカメラ、ノートパソコン、ワープロ、ラジカセ、携帯電話などの携帯用小型電子機器に広く利用可能である。
【0030】
【実施例】
本発明の具体的実施態様を以下に実施例をもって述べるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
実施例1
市販の高純度試薬の水酸化リチウム(Li(OH))、水酸化ニッケル(Ni(OH)2 )、水酸化ストロンチウム・8水塩(Sr(OH)2 ・8H2 O)、水酸化コバルト(Co(OH)2 )を酸化物換算でLi0.99Sr0.02Ni0.90Co0.102 となるように秤量し、自動乳鉢で十分に混合した後、アルミナ製るつぼ内に充填して、雰囲気焼成炉を用いて純酸素気流中(流量1リットル/分)、650℃で16時間保持し予備焼成した。室温まで冷却した後、再び自動乳鉢で30分間粉砕し、二次粒子の凝集を解砕した。そして、予備焼成と同様の雰囲気下で、750℃で8時間保持して本焼成し、室温まで冷却した後、再度自動乳鉢で粉砕して、本発明の正極活物質粉末とした。得られた粉末について、アルカリ金属元素についてはフレーム原子吸光法で、その他の金属元素についてはICP発光分光分析法を用い、定量組成分析したところ、Li1.02Sr0.0019Ni0.89Co0.112 の組成であることを確認した。また、SEM観察によって測定した一次粒子径は0.1μm、島津製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置(湿式)SALD−2000Aを用いて、水で分散して測定した二次粒子径は22μmであった。
【0032】
この活物質の結晶子の不均一歪η(%)を広角X線回折法により測定したデータより算出した。X線源としてCuKα線を用い、出力は40kV、100mAとした。
【0033】
次に充放電特性評価用セルの作製方法について述べる。正極合剤は、結着剤であるポリフッ化ビニリデン活物質を10wt%になるように調合したN−メチルピロリドン(NMP)溶液に、上記活物質:導電剤(アセチレンブラック):結着剤が89重量部:4重量部:7重量部となるように混合し、窒素気流中自動乳鉢で30分間混合して作製した。これを厚さ13μmのアルミ箔上に塗布し、乾燥器内90℃で乾燥後、裏面にも塗布、乾燥して両面に正極を形成した後、プレスして厚さ180μm、正極材塗布部の幅10mm,長さ20mmの正極を作製した。
【0034】
次に、このようにして作製した正極の放電容量の評価を行った。電解液は1MLiBF4 を含むプロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート(各々体積比で1:1)で、対極および参照極には金属リチウム箔を用いた3極式セルで評価した。活物質当たりの電流密度は130mA/gの定電流で、4.2V(vs.Li+ /Li) まで充電し,4.2Vで定電位充電を行い、総充電時間が5時間になるまで充電を続けた。充電後に、電流密度30mA/gで3.0V(vs.Li+ /Li) まで放電して初期容量を求めた。さらに、充電時間を3時間として同様の充電を行い、充電後に充電と同じ電流密度で3.0V(vs.Li+ /Li) まで定電流放電する充放電サイクルを繰り返し、電流密度130mA/gで充放電サイクルした300回目の放電容量と同1回目の放電容量を比較して、次式で表される容量保持率を求めた。結晶子の不均一歪みη、初期容量、容量保持率を表1に示した。
【0035】
容量保持率(%)={( 300回目の放電容量)/( 1回目の放電容量)}× 100実施例2
ストロンチウムの代わりにバリウムを用いた以外は実施例1と同様にして、正極活物質粉末を作製し、結晶子の不均一歪η、初期容量と容量保持率を求めた結果を表1に示した。なお、定量分析で求めた組成は、Li1.01Ba0.02Ni0.90Co0.102 で、一次粒子径は0.2μm、二次粒子径は24μmであった。
【0036】
実施例3
市販の高純度試薬の水酸化リチウム(Li(OH))、水酸化ニッケル(Ni(OH)2 )、水酸化ストロンチウム・8水塩(Sr(OH)2 ・8H2 O)、水酸化バリウム・8水塩(Ba(OH)2 ・8H2 O)、水酸化コバルト(Co(OH)2 )を酸化物換算でLi0.99Sr0.01Ba0.01Ni0.90Co0.102 となるように秤量した以外は実施例1と同様にして、正極活物質粉末3種類を作製し、結晶子の不均一歪η、初期容量と容量保持率を求めた結果を表1に示した。なお、定量分析で求めた組成は、Li1.01Sr0.01Ba0.01Ni0.90Co0.102 で、一次粒子径は0.1μm、二次粒子径は24μmであった。
【0037】
比較例1
市販の高純度試薬の水酸化リチウム(Li(OH))、水酸化ニッケル(Ni(OH)2 )を酸化物換算でLi0.99NiO2 となるように秤量した以外は実施例1と同様にして正極活物質粉末を作製し、結晶子の不均一歪η、初期容量と容量保持率を求めた結果を表1に示した。
【0038】
【表1】
Figure 0003855310
実施例4
市販のPAN系炭素繊維(“トレカ”T−300、東レ(株)製)を平均長15μmになるようにハンマーミルとローラーミルで粉砕し、窒素気流中で1200℃で4時間熱処理したミルド繊維を負極活物質とした。負極合剤は、結着剤であるポリフッ化ビニリデン活物質を10wt%になるように調合したN−メチルピロリドン(NMP)溶液に、上記活物質:導電剤(アセチレンブラック):結着剤が80重量部:5重量部:15重量部となるように混合し、窒素気流中自動乳鉢で30分間混合して作製した。これを厚さ10μmの銅箔上に塗布し、乾燥器内90℃で乾燥後、裏面にも塗布、乾燥して両面に銅極を形成した後、プレスして厚さ180μmの負極を作製した。この負極に、実施例1にて作製したのと同様の方法で作製した電池用正極(正極活物質の二次粒子の平均粒子径22μm)を、多孔質ポリエチレンフィルム(25S、三菱化学(株)製)のセパレータを介して重ね合わせて電池缶に収納した後、電解液を注入、封口して、18650サイズの円筒型二次電池を作製した。電解液は、1MLiPF6 を含むプロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート(各々体積比で1:1)を用いた。このようにして作製した二次電池を用いて、電流1A、充電カットオフ電圧4.10Vで、定電流/ 定電位充電(総充電時間3時間)した後、1Aの定電流で放電カットオフ電圧2.5Vで放電させた。この時の初期容量と容量保持率の結果を結晶子の不均一歪ηとともに表2に示した。
【0039】
比較例2
正極活物質として比較例1で作製した活物質粉末を用いた以外は実施例4と同様に二次電池の作製、評価を行い、結晶子の不均一歪η、初期容量と容量保持率を求めた結果を表2に示した。
【0040】
【表2】
Figure 0003855310
【0041】
【発明の効果】
本発明により、高容量で充放電サイクルに優れリチウム・遷移金属複合酸化物およびそれを用いた高性能の二次電池を提供することができる。

Claims (9)

  1. リチウムイオンの放出・吸蔵可能なリチウム・遷移金属複合酸化物において、X線回折線から、 ( β cos θ ) /λ=1/ D 2 η (sin θ ) /λの式(βは回折線幅の広がり、θはブラッグ角、λは測定波長、 D は結晶子の大きさである)で算出される、その結晶子の不均一歪をηとしたとき、ηの値が0.18%以上、1.00%以下であり、化学式Li - - Ni - - (但し、Aはストロンチウムまたはバリウムであり、Bは少なくとも1種の遷移金属元素からなり、式中X、Yは、0<X≦0.10、0<Y≦0.30、a、bは、−0.10≦a≦0.10、−0.15≦b≦0.15;但し、Xはストロンチウムまたはバリウムの総モル数であり、Bが2種以上の遷移金属元素からなる場合は、YはNi以外の全遷移金属元素の総モル数である)で表される化合物であることを特徴とするリチウム・遷移金属複合酸化物。
  2. リチウムイオンの放出・吸蔵可能なリチウム・遷移金属複合酸化物において、X線回折線から、 ( β cos θ ) /λ=1/ D 2 η (sin θ ) /λの式(βは回折線幅の広がり、θはブラッグ角、λは測定波長、 D は結晶子の大きさである)で算出される、その結晶子の不均一歪をηとしたとき、ηの値が0.18%以上、1.00%以下であり、化学式Li - - Ni - - (但し、Aは少なくとも2種以上のアルカリ土類金属元素であり、Bは少なくとも1種の遷移金属元素からなり、式中X、Yは、0<X≦0.10、0<Y≦0.30、a、bは、−0.10≦a≦0.10、−0.15≦b≦0.15;但し、Xはアルカリ土類金属元素の総モル数であり、Bが2種以上の遷移金属元素からなる場合は、YはNi以外の全遷移金属元素の総モル数である)で表される化合物であることを特徴とするリチウム・遷移金属複合酸化物。
  3. 該不均一歪ηが0.25%以上、0.50%以下であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のリチウム・遷移金属複合酸化物。
  4. 該不均一歪ηが0.25%以上、0.33%以下であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のリチウム・遷移金属複合酸化物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のリチウム・遷移金属複合酸化物を用いたことを特徴とする非水溶媒系二次電池。
  6. 該リチウム・遷移金属複合酸化物を正極に用い、炭素質材料を負極に用いたことを特徴とする請求項記載の非水溶媒系二次電池。
  7. 該炭素質材料が、炭素繊維であることを特徴とする請求項記載の非水溶媒系二次電池。
  8. 該炭素繊維が平均長30μm 以下の短繊維状であることを特徴とする請求項記載の非水溶媒系二次電池。
  9. 放電容量が130mAh/g以上であることを特徴とする請求項のいずれかに記載の非水溶媒系二次電池。
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