JP3460413B2 - 正極活物質、その製造方法およびそれを用いた非水溶媒系二次電池 - Google Patents

正極活物質、その製造方法およびそれを用いた非水溶媒系二次電池

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JP3460413B2 JP28881995A JP28881995A JP3460413B2 JP 3460413 B2 JP3460413 B2 JP 3460413B2 JP 28881995 A JP28881995 A JP 28881995A JP 28881995 A JP28881995 A JP 28881995A JP 3460413 B2 JP3460413 B2 JP 3460413B2
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    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、正極活物質、およ
びその製造方法、およびかかる正極活物質を用いた非水
溶媒系二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ビデオカメラやノート型パソコン
等のポータブル機器の普及に伴い、小型高容量の二次電
池に対する需要が高まっている。現在使用されている二
次電池のほとんどはアルカリ電解液を用いたニッケル−
カドミウム電池であるが、電池電圧が約1.2Vと低
く、エネルギ−密度の向上は困難である。そのため、比
重が0.534と固体の単体中最も軽いうえ、電位が極
めて卑であり、単位重量当たりの電流容量も金属負極材
料中最大であるリチウム金属を使用するリチウム二次電
池が検討された。
【0003】しかし、リチウム金属を負極に使用する二
次電池では、放電時に負極の表面に樹枝状のリチウム
(デンドライト)が再結晶し、充放電サイクルによって
これが成長する。このデンドライトの成長は、二次電池
のサイクル特性を劣化させるばかりではなく、最悪の場
合には正極と負極が接触しないように配置された隔膜
(セパレータ)を突き破って、正極と電気的に短絡、発
火して電池を破壊してしまう。そこで、例えば、特開昭
62−90863号公報に示されているように、コ−ク
ス等の炭素質材料を負極とし、アルカリ金属イオンをド
−ピング、脱ド−ピングすることにより充放電を繰り返
す二次電池が提案された。これによって、上述したよう
な充放電の繰り返しにおける負極の劣化問題を回避でき
ることが分かった。また、このような各種炭素質材料
は、アニオンをドーピングして正極として用いることも
可能である。上記の炭素質材料へのリチウムイオンある
いはアニオンのドーピングを基本原理とする電極を利用
した二次電池としては、特開昭57−208079号公
報、特開昭58−93176号公報、特開昭58−19
2266号公報、特開昭62−90863号公報、特開
昭62−122066号公報、特開平3−66856号
公報等が公知である。
【0004】このような炭素質材料としては、粉末の形
状のもの、炭素繊維(長繊維状、短繊維状)あるいは炭
素繊維構造体など、いずれの形態で用いてもよい。
【0005】さらに、最近では、高エネルギー密度化の
要求に応えるべく、電池電圧が4V前後を示すものが現
れ、注目を浴びている。電池電圧の高電圧化は、正極に
高電位を示す活物質の探索、開発によって進められ、ア
ルカリ金属を含む遷移金属酸化物や遷移金属カルコゲン
などの無機化合物が知られている。なかでも、LiX
oO2 (0<x≦1.0)、LiX NiO2 (0<x≦
1.0)などが、高電位、安定性、長寿命という点から
最も有望であると考えている。このなかでも、LiNi
2 は、LiCoO2 に比べて、原料がコスト安であ
り、かつ、供給が安定していること、さらには、4V級
の活物質ではあるが、充電電位が幾分低いことから電解
液の分解が抑制される、などという利点から、特に精力
的に研究が進められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、LiN
iO2 は、100mAh/g程度の比較的低い放電容量
で充放電を繰り返した場合は、サイクル寿命特性には特
に問題がないが、100mAh/g程度以上の放電容量
で充放電を繰り返した場合は、著しい容量劣化を起こ
し、実用上使用不可能であるという課題があった。
【0007】ここで、本発明者らが、LiNiO2 を正
極活物質に用いたリチウム二次電池の充放電サイクルに
よる放電容量の劣化の原因について検討した結果、次の
2つの理由によってサイクル劣化が著しく起こるのでは
ないかとの結論を得た。すなわち、(1)ニッケルと酸
素との共有結合が弱く、充電時リチウムをデインターカ
レーションした時、層状構造を維持できず、部分的に構
造が破壊され、その後の放電時にリチウムがインターカ
レーションする場所が減少することにより放電容量の劣
化を起こす、(2)LiCoO2 の場合、充電時にリチ
ウムのデインターカレーションに伴って生じた4価のコ
バルトが、3d軌道(t2g)に不対電子を有するため、
充電中に電子伝導性が増加するのに対して、LiNiO
2 の場合、充電時に生じた4価のニッケルは、3d軌道
(t2g)が6個の電子で満たされており不対電子が存在
しないために充電中に電子伝導性が低下し、その結果、
放電初期に大きな過電圧を生じて放電容量の劣化を起こ
す、と考えられる。
【0008】LiNiO2 の場合は、(1)と(2)が
同時に起こるため、充放電サイクルに伴って、著しいサ
イクル劣化を引き起こすと考えられる。そのため、
(1)と(2)の両方を解決しないと実用上のサイクル
寿命特性の改善にはならない。そこで、以前から、特に
(1)に関して、特開平5−299092(LiNi
1-XMnX 2 )、特開平6−150929(LiX
Y NiO2 ;MはNa、Kのうち少なくとも1つ)、特
開平5−325966など幾つかの改善が提案されてき
た。特開平6−150929は、リチウムの一部をナト
リウムまたはカリウムに置換することによって、充電時
リチウムをデインターカレーションした時、層状構造を
維持しようとするものであるが、この場合、リチウム層
のナトリウムまたはカリウムがリチウムイオンの拡散を
阻害してしまい、放電容量を低下させてしまうという欠
点がある。特開平5−299092および特開平5−3
25966は、ニッケルの一部をマンガンあるいはコバ
ルトに置換することによって、充電時リチウムをデイン
ターカレーションした時、層状構造を維持しようとする
ものであるが、少なくとも百回以上のサイクル特性を要
求される実用上のサイクル劣化改善には不十分である。
【0009】更に、特開平4−171659号公報に
は、コバルト酸リチウム等の複合酸化物におけるリチウ
ムの一部をアルカリ土類金属であるマグネシウムに置換
した化合物についての記載がある。しかしながら、コバ
ルト酸リチウムに比べ、より高容量化が期待されるニッ
ケル酸リチウムにおいてこの手法を適用した場合の効果
についての具体的記載はなく、本発明者らがニッケル酸
リチウムおよびニッケル・コバルト複合酸リチウムにお
いて10%以上のリチウムをアルカリ土類金属と置換し
たところ、著しく容量が低下するという結果を得た。サ
イクル劣化改善の傾向は見られるものの、本来これらの
酸化物に期待されている高容量という特徴を考慮する
と、実用上不十分であると言わざるを得ない。
【0010】また、(2)に関しても、特開昭62−9
0863号公報、特開平6−124707など幾つかの
改善が提案されてきた。特開昭62−90863号公報
(AX Y Z 2 ;Aはアルカリ金属、Mは遷移金
属、NはAl、In、Snの少なくとも1種)は、ニッ
ケルの一部をアルミなどに置換することによって、電子
伝導性を付与しようとするものであるが、放電電圧が低
下する傾向があり、本来リチウム電池に期待されている
高電圧、高エネルギー密度という特徴を損なってしまう
という欠点がある。特開平6−124707(LiY
1-X MeX 2;MeはCu、Zn、Agのいずれ
か)は、ニッケルの一部を銅などの遷移金属元素で置換
することによって、置換した銅などの遷移金属元素によ
って電子伝導性を付与しようとするものであるが、サイ
クル寿命特性の向上については何の記載もない。
【0011】また、特開平5−283076(LiY
1-X MeX 2 ;MeはTi、V、Mn、Feのいず
れか)は、ニッケルの一部をチタンなどの遷移金属元素
に置換することによって、充電時リチウムをデインター
カレーションした時、置換したチタンなどの遷移金属元
素によって層状構造を維持し、かつ、電子伝導性を付与
しようとするものであるが、少なくとも百回以上のサイ
クル寿命特性を要求される実用上のサイクル劣化改善に
はまだ不十分である。
【0012】一方、これらリチウム・ニッケル複合酸化
物の合成に当たっては、例えばLiNiO2 という組成
の活物質を合成する場合、リチウム源として水酸化リチ
ウム、炭酸リチウムもしくは硝酸リチウム等を、ニッケ
ル源としては水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、もしくは
酸化ニッケル等を用い、リチウム原子数が1に対して、
ニッケル原子数が1となるように混合し酸化雰囲気中で
焼成するのが一般的な方法である。合成されたLiNi
2 は六方晶系のR−3mの空間群に属しており、理想
的にはc軸方向にニッケル、酸素、リチウムの各原子か
らなる面が秩序正しく積み重なった層状構造を形成して
いる。しかしながら、微妙な焼成条件の変化により、一
部のニッケル原子が容易にリチウム原子層に入り込むた
め、生成した活物質におけるリチウムとニッケルの原子
数比は1対1にはならず、その組成式はLi1-X Ni
1+X 2 (x>0)で表される化合物になってしまう。
これは焼成時にリチウム源の余剰分が存在することを意
味し、最終的には酸化リチウムあるいは水酸化リチウム
といった強アルカリ性物質として活物質中に混入するこ
とになる。この混入した強アルカリ性物質は、活物質の
電池電極への加工性ならびに電解液等に悪影響を及ぼ
し、電池特性の低下を招くばかりでなく、その生産性や
再現性をも低下させてしまう。したがって、ニッケル原
子のリチウム原子層への混入を抑制し、再現性よく目的
組成の活物質を得る合成法の確立と、合成した活物質へ
の強アルカリ性物質の混入を抑制することがニッケル系
正極活物質を用いた二次電池を開発する上で重要な課題
といえる。
【0013】更に、炭素質材料を負極として用いた電極
では、初期の充電容量に対して放電容量が小さい(初期
容量損失が大きい)という問題を有している。初期容量
損失は、炭素体の種類にもよるが、20〜60%と非常
に大きく、数回の充放電の後にはじめて10%以下とな
ることが知られている。特に、炭素体を負極として用
い、この負極炭素体へのリチウムイオンのドーピングや
脱ドーピングを利用したリチウムイオン二次電池におい
ては、初期容量損失があることは大きな問題である。こ
のリチウムイオン二次電池では、負極炭素体へドープさ
れるリチウムイオンは、電解液を介して正極から供給さ
れる。初期容量損失に相当する余分なリチウム量の分だ
け正極も余分に入れる必要がある。このため、電池の体
積あるいは重量増加になり、エネルギー密度の点で不利
になっていた。
【0014】初期容量損失の原因としては、炭素体中の
脱ドープされにくい部分にアルカリ金属イオンがドープ
されることによる不可逆反応、炭素表面の官能基による
溶媒や電解質の分解などの副反応、といった様々な理由
が挙げられる。
【0015】本発明は、上記従来技術の欠点を解消しよ
うとするものであり、高容量で充放電サイクルに優れた
正極活物質およびそれを用いた高性能の二次電池を提供
することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために以下の構成を有するものである。
【0017】「(1)化学式Li1-X-aXNi1-Y-bY
2 (但し、Aはストロンチウムまたはバリウム、もし
くはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよび
バリウムの中から選ばれた少なくとも2種のアルカリ土
類金属元素、のいずれかであり、BはNiを除く少なく
とも1種の遷移金属元素からなり、式中X 、Y は、0<
X ≦0.10、0<Y ≦0.30、a、bは、−0.1
0≦a≦0.10、−0.15≦b≦0.15;但し、
X はA の総モル数を表し、A が2種以上のアルカリ土類
金属元素からなる場合は、X は全アルカリ土類金属元素
の総モル数であり、また、Y はBの総モル数を表し、B
が2種以上の遷移金属元素からなる場合は、Y はNiを
除く全遷移金属元素の総モル数である)で表される化合
物であることを特徴とする正極活物質、(2)リチウム
およびAを含む出発原料を、ニッケルまたはBを含む出
発原料に対して化学量論比で1.00以上、1.25以
下の割合で調合し、かつ、原料を酸化雰囲気中で焼成
後、生成したアルカリ分を除去することを特徴とする上
記(1)記載の正極活物質の製造方法、(3)リチウム
およびAを含む出発原料を、ニッケルまたはBを含む出
発原料に対して化学量論比で0.90以上、1.00未
満の割合で調合し、酸化雰囲気中で焼成することを特徴
とする上記(1)記載の正極活物質の製造方法、(4)
上記(1)記載の正極活物質を用いることを特徴とする
非水溶媒系二次電池」
【0018】
【発明の実施の態様】本発明者らは、サイクル寿命特性
の改善を鋭意検討した結果、化学式Li1-X- a X Ni
1-Y-b Y 2 (但し、Aはストロンチウムまたはバリ
ウム、もしくはマグネシウム、カルシウム、ストロンチ
ウムおよびバリウムの中から選ばれた少なくとも2種の
アルカリ土類金属元素、のいずれかであり、BはNiを
除く少なくとも1種の遷移金属元素からなり、式中X 、
Y は、0<X ≦0.10、0<Y ≦0.30、a、b
は、−0.10≦a≦0.10、−0.15≦b≦0.
15;但し、X はA の総モル数を表し、A が2種以上の
アルカリ土類金属元素からなる場合は、X は全アルカリ
土類金属元素の総モル数であり、また、Y はBの総モル
数を表し、Bが2種以上の遷移金属元素からなる場合
は、Y はNiを除く全遷移金属元素の総モル数である)
という一般的な化学式を有する正極活物質を見出すに至
ったのである。ここで、遷移金属元素としてはマンガ
ン、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、鉄、
コバルトが、それぞれ同様の効果を示した。
【0019】これは、リチウムと置換する1種以上のア
ルカリ土類金属元素の量をリチウムの10%以内と小さ
くすることによって、容量の低下を押さえつつサイクル
寿命特性の改善を達成することができ、かつ、ニッケル
と遷移金属元素を置換することによって、層状構造を維
持し、かつ、電子伝導性を付与することが可能になり、
アルカリ土類金属元素の効果と相乗的に作用しあって、
良好なサイクル寿命特性が得られたものと推測される。
【0020】また、X が0.10よりも大きくなると、
前述のとおりリチウムと置換したアルカリ土類金属元素
がリチウムイオンの拡散を阻害してしまい、逆に抵抗成
分になって放電容量を大きく低下させてしまう。放電容
量の低下を抑えるにはX は0.08よりも小さい方がよ
り好ましく、さらに好ましくは0.05より小さい方が
よい。また、Y が0.3よりも大きくなると結晶構造が
不安定になりサイクル寿命特性が悪くなってしまう。好
ましくは、Y は0.25よりも小さい方が、さらに好ま
しくはY は0.2よりも小さい方がよい。
【0021】さらに、aとbは、化学量論性からのずれ
を表す。aが−0.10よりも小さくなると、正極ペー
ストが混練中にゲル化してしまい、逆に0.10よりも
大きくなると、放電容量が減少してしまう。この点か
ら、−0.05≦a≦0.05がより好ましく、さらに
好ましくは−0.02≦a≦0.02である。また、b
が−0.15より小さくなると、放電容量が減少してし
まい、逆に0.15よりも大きくなると、正極ペースト
が混練中にゲル化してしまう。このことから、−0.0
8≦b≦0.08がより好ましく、さらに好ましくは−
0.04≦b≦0.04である。
【0022】ここで、本発明に係わるアルカリ土類金属
元素などの成分を添加、置換固溶させる場合、目的組成
に正確に調合しても、再現性よく目的組成の活物質を得
ることは非常に困難であった。これは前述したようにニ
ッケル原子のリチウム原子層への混入が主な原因と考え
られるが、それを抑制しつつ置換固溶を目的組成通りに
達成するため鋭意検討を行った結果、以下のような合成
法を見いだした。
【0023】すなわち、(1)リチウムおよびアルカリ
土類金属元素を含む出発原料を、ニッケルおよび遷移金
属元素を含む出発原料に対して過剰に調合し、焼成後、
生成した強アルカリ性物質を、例えば水洗等によって除
去した。このときリチウムイオンとアルカリ土類金属イ
オンをより均一に混合させるため、用いるリチウム源と
しては融点の低いものが好ましく、必要に応じて焼成の
際の昇温時にリチウム源の融点付近で温度を適当な時間
だけ保持してもよい。これにより再現性よく目的組成の
活物質が得られ、また水洗等によって生成した強アルカ
リ性物質を除去しているため、前述したような活物質の
電極への加工性等に対する悪影響もなく、高容量で高い
サイクル保持率を有する正極を作成することができた。
【0024】さらに、(2)水洗等による強アルカリ性
物質除去操作を行わずに、最終活物質へのその混入を防
止する方法として、原料を混合する際、ニッケルを含む
全遷移元素原子数を1とした時、リチウムとアルカリ土
類金属元素とを合わせた全原子数を1より少なくすると
いう方法も見いだした。これにより合成した活物質中に
は強アルカリ性物質が生成せず、活物質の電極への加工
性等は格段に改良できる。ところで一般に、例えばLi
NiO2 を合成する場合において、リチウム原子数をニ
ッケルのそれよりも少なくすると、ニッケル原子がリチ
ウム原子層により多く入り込み、結晶内リチウムイオン
の拡散阻害による容量低下、ならびに岩塩型結晶の生成
によるサイクル特性の低下をもたらすことが知られてい
る(R.V.Moshtev et al.,Journal of Power Sources 54
329 (1995) )。それに対し本発明のようにアルカリ土
類金属を含有するニッケル系正極活物質の場合は、該合
成法を用いてもそのような電気化学的特性の低下はほと
んど観測されなかった。すなわち本発明の正極活物質は
その高い電気化学的性能だけでなく、従来、非常に精密
な条件設定が必要とされていたニッケル系正極活物質の
合成条件を、より簡便で再現性の高いものにしたという
点でも極めて有用といえる。
【0025】次に本発明の正極活物質の製造方法につい
て述べる。原料のリチウム化合物としては、一般的な炭
酸リチウム、硝酸リチウム、硫酸リチウム、水酸化リチ
ウム、などの塩またはその水和物、または酸化リチウ
ム、過酸化リチウムなどの酸化物やヨウ化リチウムなど
が挙げられる。ニッケルについても同様の塩またはその
水和物、酸化物が挙げられ、他のアルカリ土類金属およ
び3d遷移金属についても同様の出発原料が用いられ
る。いずれの出発原料を用いても、その合成条件さえ最
適化すれば同様の正極活物質が得られる。
【0026】リチウムおよび添加元素であるアルカリ土
類金属元素を目的の化学量論比よりも1.00〜1.2
5倍多くなるように出発原料を調合する。こうして調合
した原料を十分に混合した後、必要があれば成型して固
相反応を起こしやすくした後、空気や純酸素などの酸化
雰囲気中で、通常300〜800℃で予備焼成する。そ
して、ボールミルや擂潰機などを用いて二次粒子を解砕
した後、再び酸化雰囲気中で、通常500〜900℃で
本焼成後、生成した強アルカリ性物質(リチウムあるい
はアルカリ土類金属酸化物)を除去し、次いで粉砕や分
級操作などによって、粒度調整して正極活物質とした。
この操作によって、より均質かつ再現性のある組成が得
られることを組成分析によって確認している。
【0027】強アルカリ性物質除去操作を行わない方法
については、リチウムおよび添加元素であるアルカリ土
類金属元素を全遷移金属元素よりも0.9〜1.00倍
のモル比になるように出発原料を調合し、以下同様に焼
成、次いで粉砕や分級操作を施し正極活物質とした。
【0028】本発明に用いられる負極炭素質材料として
は、特に限定されるものではなく、一般に有機物を焼成
したものが用いられる。炭素質材料の電子伝導性が集電
の目的に対して充分でない場合、導電剤を添加すること
も好ましい。
【0029】また、炭素質材料が炭素繊維の場合、用い
られる炭素繊維としては、特に限定されるものではな
く、一般に有機物を焼成したものが用いられる。具体的
には、ポリアクリロニトリル(PAN)から得られるP
AN系炭素繊維、石炭もしくは石油などのピッチから得
られるピッチ系炭素繊維、セルロースから得られるセル
ロース系炭素繊維、低分子量有機物の気体から得られる
気相成長炭素繊維などが挙げられるが、そのほかに、ポ
リビニルアルコール、リグニン、ポリ塩化ビニル、ポリ
アミド、ポリイミド、フェノール樹脂、フルフリルアル
コールなどを焼成して得られる炭素繊維でも構わない。
これらの炭素繊維の中で、炭素繊維が用いられる電極お
よび電池の特性に応じて、その特性を満たす炭素繊維が
適宜選択されることが必要となる。上記炭素繊維の中
で、アルカリ金属塩を含む非水電解液を用いた二次電池
の負極に使用する場合には、PAN系炭素繊維、ピッチ
系炭素繊維、気相成長炭素繊維が好ましい。特に、アル
カリ金属イオン、特にリチウムイオンのドーピングが良
好であるという点で、PAN系炭素繊維やピッチ系炭素
繊維が好ましく、この中でも、東レ(株)製の”トレ
カ”Tシリーズ、または、”トレカ”Mシリーズなどの
PAN系炭素繊維、メゾフェーズピッチコークスを焼成
して得られるピッチ系炭素繊維がさらに好ましく用いら
れる。
【0030】炭素繊維を電極にする際には、どのような
形態をとっても構わないが、一軸方向に配置したり、も
しくは布帛状やフェルト状の構造体にするなどが、好ま
しい形態となる。布帛状あるいはフェルト状などの構造
体としては、織物、編物、組物、レース、網、フェル
ト、紙、不織布、マットなどが挙げられるが、炭素繊維
の性質や電極特性などの点から、織物やフェルトなどが
好ましい。また、炭素繊維を銅箔などの集電体に結着剤
などで貼り付けて使用してもよく、さらに炭素粉末など
の導電剤を添加してもよい。操作性、生産性を考慮する
と、さらに好ましくは短繊維状の炭素繊維である。通常
の炭素粉末同様、導電剤、結着剤とともに電極化して用
いることができ、さらに炭素繊維特有の構造特性も有し
ている。平均長100μm 以下が取り扱いやすく、高嵩
密度化が可能なのでより好ましい。炭素質材料を負極と
して用いる場合には、正極中に、リチウムをデインター
カレートした後、その後の電気化学反応に関与しない化
学式Li2 CuO2 で表されるリチウム・銅複合酸化物
を含有させてもよい。これにより負極が有している初期
容量損失を補償し、前述の正極活物質中のリチウムを有
効利用することができる。更に、このリチウム・銅複合
酸化物の初期充電時のリチウムのデインターカレート量
は、前述の正極活物質の約2.5倍であり、このことは
電池の単位体積あたりの容量向上に大きく寄与すること
にもなる。上記リチウム・銅複合酸化物の含量は負極の
初期容量損失の大きさによって適宜変化させる。
【0031】本発明の電極を用いた二次電池の電解液と
しては、特に限定されることなく従来の非水溶媒系電解
液が用いられる。この中で、上述のアルカリ金属塩を含
む非水電解液からなる二次電池の電解液としては、プロ
ピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ- ブチ
ロラクトン、N- メチルピロリドン、アセトニトリル、
N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシ
ド、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ギ酸
メチル、スルホラン、オキサゾリドン、塩化チオニル、
1,2−ジメトキシエタン、ジエチレンカーボネート
や、これらの誘導体や混合物などが好ましく用いられ
る。電解液に含まれる電解質としては、アルカリ金属、
特にリチウムのハロゲン化物、過塩素酸塩、チオシアン
塩、ホウフッ化塩、リンフッ化塩、砒素フッ化塩、アル
ミニウムフッ化塩、トリフルオロメチル硫酸塩などが好
ましく用いられる。
【0032】本発明の電極を用いた二次電池の用途とし
ては、軽量かつ高容量で高エネルギー密度の特徴を利用
して、ビデオカメラ、ノートパソコン、ワープロ、ラジ
カセ、携帯電話などの携帯用小型電子機器に広く利用可
能である。
【0033】
【実施例】本発明の具体的実施態様を以下に実施例をも
って述べるが、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0034】実施例1〜17 本発明である化学式Li1-X-a X Ni1-Y-b Y 2
(但し、Aはストロンチウムまたはバリウム、もしくは
マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリ
ウムの中から選ばれた少なくとも2種のアルカリ土類金
属元素、のいずれかであり、BはNiを除く少なくとも
1種の遷移金属元素からなり、式中X 、Y は、0<X ≦
0.10、0<Y ≦0.30、a、bは、−0.10≦
a≦0.10、−0.15≦b≦0.15;但し、X は
A の総モル数を表し、A が2種以上のアルカリ土類金属
元素からなる場合は、X は全アルカリ土類金属元素の総
モル数であり、また、Y はBの総モル数を表し、Bが2
種以上の遷移金属元素からなる場合は、Y はNiを除く
全遷移金属元素の総モル数である)で示される化合物と
して、下記の17種類を用いた実施例を例示する。
【0035】 実施例1.Li0.98Sr0.02Ni0.90Co0.102 実施例2.Li0.95Sr0.05Ni0.90Co0.102 実施例3.Li0.90Sr0.10Ni0.90Co0.102 実施例4.Li0.98Ba0.02Ni0.90Co0.102 実施例5.Li0.95Ba0.05Ni0.90Co0.102 実施例6.Li0.90Ba0.10Ni0.90Co0.102 実施例7.Li0.98Mg0.01Ca0.01Ni0.90Co0.10
2 実施例8.Li0.98Mg0.01Ba0.01Ni0.90Co0.10
2 実施例9.Li0.98Mg0.01Sr0.01Ni0.90Co0.10
2 実施例10.Li0.98Ca0.01Sr0.01Ni0.90Co
0.102 実施例11.Li0.98Ca0.01Ba0.01Ni0.90Co
0.102 実施例12.Li0.98Ba0.01Sr0.01Ni0.90Co
0.102 実施例13.Li0.98Sr0.02Ni0.90Cu0.102 実施例14.Li0.98Sr0.02Ni0.90Ti0.102 実施例15.Li0.98Ba0.02Ni0.90Mn0.102 実施例16.Li0.98Ba0.02Ni0.80Mn0.202 実施例17.Li0.98Ba0.02Ni0.70Mn0.302 この中で、前述の実施例1において用いたLi0.98Sr
0.02Ni0.90Co0.102 の合成法について以下に詳細
に説明する。
【0036】市販の高純度試薬の硝酸リチウム(LiN
3 )、水酸化ニッケル(Ni(OH)2 )、水酸化ス
トロンチウム・8水塩(Sr(OH)2 ・8H2 O)、
水酸化コバルト(Co(OH)2 )を酸化物換算でLi
1.10Sr0.022 Ni0.90Co0.102 となるように秤量
し、自動乳鉢で十分に混合した後、アルミナ製るつぼ内
に充填して、雰囲気焼成炉を用いて純酸素気流中(流量
1リットル/分)、650℃で16時間保持し予備焼成
した。室温まで冷却した後、再び自動乳鉢で30分間粉
砕し、二次粒子の凝集を解砕した。そして、予備焼成と
同様の雰囲気下で、800℃で24時間保持して本焼成
し、室温まで冷却した後、メノウ製乳鉢で20分間粉砕
して得られた粉末を蒸留水で2時間水洗した後、真空乾
燥器を用いて150℃で4時間乾燥させ、再度自動乳鉢
で1時間粉砕して本発明の正極活物質粉末とした。得ら
れた粉末を定量組成分析したところ、Li0.98Sr
0.020Ni0.90Co0.102 の組成であることを確認し
た。
【0037】次に充放電特性評価用セルの作製方法につ
いて述べる。正極合剤は、結着剤であるポリフッ化ビニ
リデン活物質を10wt%になるように調合したN−メ
チルピロリドン(NMP)溶液に、上記活物質:導電剤
(アセチレンブラック):結着剤が89重量部:4重量
部:7重量部となるように混合し、窒素気流中自動乳鉢
で30分間混合して作製した。これを厚さ20μmのア
ルミ箔上に塗布し、乾燥器内90℃で乾燥後、裏面にも
塗布、乾燥して両面に正極を形成した後、プレスして厚
さ200μm、正極材塗布部の幅10mm,長さ20m
mの正極を作製した。
【0038】次に、このようにして作製した正極の放電
容量の評価を行った。電解液は1MLiBF4 を含むプ
ロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート(各々体
積比で1:1)で、対極および参照極には金属リチウム
箔を用いた、3極式セルで評価した。活物質当たりの電
流密度は30mA/gの定電流で、4.2V(vs.Li+/L
i) まで充電した。充電後に、充電と同じ電流密度で
3.0V(vs.Li+ /Li)まで放電した。さらに、充放電
サイクルを繰り返し、200回目の放電容量と1回目の
放電容量を比較して、次式で表される容量保持率を求め
た。
【0039】容量保持率(%)={( 200回目の放電容
量)/( 1回目の放電容量)}× 100 他の実施例につ
いても、ストロンチウムの代わりにカルシウム、バリウ
ムおよびマグネシウムを、コバルトの代わりに銅、マン
ガンあるいはチタンを用いこと以外は、同様にして正極
活物質を作製した。尚、定量組成分析についてはアルカ
リ金属元素についてはフレーム原子吸光法で、その他の
金属元素についてはICP発光分光分析法を用い、いず
れも誤差範囲内で各実施例に示した目的組成であること
を確認した。
【0040】実施例18 Li0.96Sr0.002 Ni0.90Co0.102 の合成法につ
いて以下に詳細に説明する。
【0041】市販の高純度試薬の水酸化リチウム(Li
OH)、水酸化ニッケル(Ni(OH)2 )、水酸化ス
トロンチウム・8水塩(Sr(OH)2 ・8H2 O)、
水酸化コバルト(Co(OH)2 )を酸化物換算でLi
0.97Sr0.002 Ni0.90Co0.102 となるように秤量
し、自動乳鉢で十分に混合した後、アルミナ製るつぼ内
に充填し、雰囲気焼成炉を用いて純酸素気流中(流量1
リットル/分)、600℃で10時間保持し予備焼成し
た。室温まで冷却した後、再び自動乳鉢で30分間粉砕
し、二次粒子の凝集を解砕した。そして、予備焼成と同
様の雰囲気下で、750℃で12時間保持して本焼成
し、室温まで冷却した後、メノウ製乳鉢で1時間粉砕し
て本発明の正極活物質粉末とした。得られた粉末を定量
組成分析したところ、Li0.96Sr0.002 Ni0.90Co
0.102 の組成であることを確認した。
【0042】充放電特性評価用セルの作製方法ならびに
正極の放電容量の評価については実施例1と同様に行っ
た。
【0043】ここで、各実施例の仕込み組成および定量
分析組成を表1に示した。また、各実施例の初期容量と
容量保持率を表2に示した。
【0044】さらに、以上の実施例以外に本発明の正極
活物質と炭素繊維を組み合わせて作製した二次電池につ
いても実施例19に示す。
【0045】実施例19 実施例1にて作製した正極活物質30mgを含む正極
に、市販のPAN系炭素繊維(“トレカ”T−300、
東レ(株)製)7mgを含む負極を、多孔質ポリプロピ
レンフィルム(セルガード#2500、ダイセル化学
(株)製)のセパレータを介して重ね合わせて、二次電
池を作製した。電解液は、1MLiPF6 を含むプロピ
レンカーボネート、ジメチルカーボネート(各々体積比
で1:1)を用いた。このようにして作製した二次電池
を用いて、炭素繊維重量当たりの電流密度40mA/g
の定電流で、4.10Vまで充電した。充電後、40m
A/gの定電流で放電させた。この時の初期容量(正極
活物質重量換算)と容量保持率の結果を表2に示した。
【0046】実施例20 実施例19で用いた正極活物質の10%を化学式Li2
CuO2 で表されるリチウム・銅複合酸化物に置き換え
た正極を用いて作製した電池の初期容量(正極活物質重
量換算)と容量保持率の結果を表2に示した。
【0047】
【表1】
【表2】 比較例 比較例として下記の6種類を例示する。
【0048】比較例1 第3,4成分を添加しないこと以外は実施例1と同様に
して、LiNiO2 からなる正極活物質を作製し、実施
例1と同様にして、初期容量と容量保持率とを求めた結
果を表3に示した。
【0049】比較例2 ストロンチウムの代わりにマグネシウムを、またその添
加量を20モル%としたこと以外は、実施例1と同様に
してLi0.80Mg0.20Ni0.90Co0.102 からなる正
極活物質を作製し、初期容量と容量保持率とを求めた結
果を表3に示した。
【0050】比較例3 ストロンチウムの添加量を20モル%としたこと以外
は、実施例1と同様にしてLi0.80Sr0.20Ni0.90
0.102 からなる正極活物質を作製し、実施例1と同
様にして、初期容量と容量保持率とを求めた結果を表3
に示した。
【0051】 比較例4 Li0.98Ba0.02Ni0.60Mn0.402 マンガンの添加量を40モル%としたこと以外は、 実
施例15と同様にしてLi0.98Ba0.02Ni0.60Mn
0.402 からなる正極活物質を作製し、実施例1と同様
にして、初期容量と容量保持率とを求めた結果を表3に
示した。
【0052】
【表3】 比較例5 実施例1において、仕込み量をLi0.98Sr0.02Ni
0.90Co0.102 となるように調合し、本焼成後、水洗
しないこと以外は実施例1と同様にして活物質を合成し
た。それを有機溶媒中、導電剤ならびに結着剤と混合し
ペーストを作製したところ、その混練開始から約10分
でゲル化し、集電体への塗工は不可能であった。
【0053】比較例6 二次電池 正極活物質として比較例1で作製したLiNiO2 を用
いた以外は実施例19と同様に二次電池の作製、評価を
行った。結果を表3に示した。
【0054】また、各比較例に示した正極活物質を定量
組成分析したところ、比較例1〜4は、誤差範囲内で目
的組成であることを確認した。比較例1〜4の仕込み組
成および定量分析組成を表4に示した。
【0055】表2および表3から、本発明の正極活物質
は、比較例1の未添加のLiNiO2 系と比べて、充放
電特性、特にサイクル特性が優れていることがわかる。
また、実施例1〜3と比較例2、3からは、X の値が
0.10を越えると、特に初期容量が低下することが、
また、実施例15〜17、と比較例4からは、Y の値が
0.30を越えると、特にサイクル特性が劣化すること
がわかる。この傾向が、添加元素を変えても、若干の変
動はあるものの同様であることを確認している。また、
本発明の正極活物質に、電極性能を損ねることなく、さ
らに添加元素を加えてもよい。
【0056】また比較例5で合成した活物質には強アル
カリ性物質が存在するため、導電剤および結着剤との混
合物であるペーストがゲル化し、結果として良好な正極
を作製することができなかった。比較例5と実施例1お
よび18との比較から、良好な正極を得るためには活物
質中に混入する強アルカリ性物質を除去するか、あるい
はその生成を防止するような合成法が必要であることが
分かる。さらに、実施例19と比較例6から、本発明の
正極活物質を用いれば、サイクル特性に優れた二次電池
が得られることがわかる。
【0057】さらに実施例19と実施例20の比較から
リチウム・銅複合酸化物であるLi2 CuO2 を正極中
に添加することによって正極活物質単位重量あたりの容
量が向上し、なおかつ本発明の正極活物質への充放電に
伴う負荷が軽減されることにより、サイクル容量保持率
も向上していることがわかる。
【0058】
【表4】
【0059】
【発明の効果】本発明により、高容量で充放電サイクル
に優れた正極活物質およびそれを用いた高性能の二次電
池を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−138669(JP,A) 特開 平4−22066(JP,A) 特開 平6−243869(JP,A) 特開 平5−242891(JP,A) 特開 平4−61747(JP,A) 特開 平4−82156(JP,A) 特開 平4−171659(JP,A) 特開 平6−168722(JP,A) 特開 平7−226201(JP,A) 特開 平8−31408(JP,A) 特開 平8−78009(JP,A) 特開 平6−310143(JP,A) 特開 昭63−121258(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/58 H01M 4/02 H01M 10/40

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】化学式Li1-X-aXNi1-Y-bY2 (但
    し、Aはストロンチウムまたはバリウム、もしくはマグ
    ネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウム
    の中から選ばれた少なくとも2種のアルカリ土類金属元
    素、のいずれかであり、BはNiを除く少なくとも1種
    の遷移金属元素からなり、式中X 、Yは、0<X ≦0.
    10、0<Y ≦0.30、a、bは、−0.10≦a≦
    0.10、−0.15≦b≦0.15;但し、X はA の
    総モル数を表し、A が2種以上のアルカリ土類金属元素
    からなる場合は、X は全アルカリ土類金属元素の総モル
    数であり、また、Y はBの総モル数を表し、Bが2種以
    上の遷移金属元素からなる場合は、Y はNiを除く全遷
    移金属元素の総モル数である)で表される化合物である
    ことを特徴とする正極活物質。
  2. 【請求項2】A がストロンチウムまたはバリウムである
    ことを特徴とする請求項1記載の正極活物質。
  3. 【請求項3】Aがマグネシウム、カルシウム、ストロン
    チウム、バリウムの中から選ばれた少なくとも2種以上
    のアルカリ土類金属元素であることを特徴とする請求項
    1記載の正極活物質。
  4. 【請求項4】0<X ≦0.08であることを特徴とする
    請求項1記載の正極活物質。
  5. 【請求項5】0<X ≦0.05であることを特徴とする
    請求項1記載の正極活物質。
  6. 【請求項6】0<Y ≦0.25であることを特徴とする
    請求項1記載の正極活物質。
  7. 【請求項7】0<Y ≦0.20であることを特徴とする
    請求項1記載の正極活物質。
  8. 【請求項8】−0.05≦a≦0.05であることを特
    徴とする請求項1記載の正極活物質。
  9. 【請求項9】−0.02≦a≦0.02であることを特
    徴とする請求項1記載の正極活物質。
  10. 【請求項10】−0.08≦b≦0.08であることを
    特徴とする請求項1記載の正極活物質。
  11. 【請求項11】−0.04≦b≦0.04であることを
    特徴とする請求項1記載の正極活物質。
  12. 【請求項12】リチウムおよびAを含む出発原料を、ニ
    ッケルおよびBを含む出発原料に対して化学量論比で
    1.00以上、1.25以下の割合で調合し、かつ、原
    料を酸化雰囲気中で焼成後、生成したアルカリ分を除去
    することを特徴とする請求項1記載の正極活物質の製造
    方法。
  13. 【請求項13】該アルカリ分の除去が、水洗によること
    を特徴とする請求項12記載の正極活物質の製造方法。
  14. 【請求項14】リチウムおよびAを含む出発原料を、ニ
    ッケルおよびBを含む出発原料に対して化学量論比で
    0.90以上、1.00未満の割合で調合し、酸化雰囲
    気中で焼成することを特徴とする請求項1記載の正極活
    物質の製造方法。
  15. 【請求項15】請求項1記載の正極活物質を用いること
    を特徴とする非水溶媒系二次電池。
  16. 【請求項16】負極活物質に炭素質材料を用いることを
    特徴とする請求項15記載の非水溶媒系二次電池。
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