JP3855032B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば複写機、LDプリンタ、LEDプリンタ等に使用される電子写真感光体、及び、新規なフタロシアニン化合物、に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真感光体は、一般に導電性支持体上に感光層を形成して成る構造を有する。感光層構成としては、感光層が1層の単層型と、電荷発生層と電荷輸送層とに機能分離した複数層の積層型との種類がある。
【0003】
電子写真感光体は、通常以下に示す特性全般を満足することが望まれている。
(1)暗所において適当な電位に帯電できるだけの帯電能を有する。
(2)暗所における電荷の保持能力が大きい。
(3)光照射によって、速やかに、かつ十分に電荷を逸脱できるだけの光感度を有する。
(4)適当な面積を持つ電子写真感光体が容易に製造できる。
(5)繰り返し安定性に優れる。
(6)耐久性に優れる。
(7)安価である。
(8)無害である。
【0004】
有機光導電体(OPC)を用いた電子写真感光体は、上記諸特性を満足する機能の調整が容易なことから、積層型の電子写真感光体が一般的である。
電荷発生層の機能は、電界下で光照射を受けて電荷を発生させることにあり、電荷発生層は、一般的には、電荷発生材料とバインダー樹脂からなり、電子写真感光体の光感度を決定する重要な層である。
【0005】
その感度は、電荷発生材料で光を吸収して、電荷を発生させる効率(電荷発生効率)と電荷発生材料の量によって左右される。
【0006】
近年、様々な種類の電子写真方式を用いたプリンター、複写機が商品化されており、特に種々の機種ごとに対応する各種特性を最適化し、中でも電子写真感光体の感度を最適化することが重要である。
そこで、これら要求に応じるために、種々の機種ごとに電子写真感光体の感度を調整する必要がある。
【0007】
電子写真感光体の感度を調整するためには、導電性支持体上に種々の機種ごとに応じて適正な感度を示す電荷発生層を作製することが必要となる。
【0008】
その1つの方法には、電荷発生層の膜厚によって感度を調整する方法がある。一般的な電子写真感光体の製法である浸漬塗工法を用いた場合には、電荷発生層形成用塗料を薄膜化して感度を調整しようとすると、膜厚のむらが大きくなり、感度のばらつきが大きくなる欠点があった。
【0009】
さらにもう一つの方法には、電荷発生層中の電荷発生材料に電荷発生効率の異なる複数の材料を用いて感度を調整する方法がある。
このような、複数の材料を用いる技術としては、従来種々検討されているが、複数の材料を用いて電子写真感光体の感度を調整する技術としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
【0010】
1)特開平2−280169号公報には、(a)銅フタロシアニン、アルミニウムフタロシアニン、インジウムフタロシアニン、バナジウムフタロシアニンから成る群から選ばれるフタロシアニン、及び、(b)チタニルフタロシアニンを含有し、必要に応じて、(c)アルミニウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン(メタルフリーフタロシアニン)から成る群から選ばれるフタロシアニンを含有する混合物を電荷発生材料として用いることによって、感度を調整し得る機能分離型電子写真用感光体が得られることが開示されている。
【0011】
その実施例1では、無金属フタロシアニン(H2Pc) とアルミニウムフタロシアニン(AlClPc)を用い、全フタロシアニン10重量部に対し、無金属フタロシアニンを0、20、40、60、80、100重量%変化させた分散液で電荷発生層を形成し、無金属フタロシアニン0〜40重量%の範囲で半減露光量E50を4〜6erg/cm2 まで変化させて、感度を調整し得ることが開示されている。
【0012】
その実施例2では、インジウムフタロシアニン(InClPc)とチタニルフタロシアニン(TiOPc)の全量に対して、インジウムフタロシアニンを0、20、40、60、80、100重量%と振り、それぞれを2x10−6torrの真空下で蒸着して、蒸着層をエタノール液中に浸漬処理したものと浸漬処理しないものの電荷発生層を形成し、インジウムフタロシアニン0〜40重量%の範囲で半減露光量E50を2〜6erg/cm2 (エタノール処理)、4〜6erg/cm2 (エタノール未処理)まで変化させて、感度を調整し得ることが開示されている。
【0013】
その実施例3では、銅フタロシアニン(CuPc)とチタニルフタロシアニンを用い、これらの全量に対して銅フタロシアニンを0、20、40、60、80、100重量%と振り、それぞれを2x10-6torrの真空下で蒸着して、電荷発生層を形成し、銅フタロシアニン0〜40重量%の範囲で半減露光量E50を4〜8erg/cm2 まで変化させて、感度を調整し得ることが開示されている。
【0014】
2)特開平5−241361号公報には、オキシチタニウムフタロシアニン及びジハロゲノスズフタロシアニンを含有する感光層を設けることにより、感度を調整し得ることが開示されている。
【0015】
その実施例には、オキシチタニウムフタロシアニンとジクロロスズフタロシアニンの比率が重量比で10:90〜80:20の範囲の分散液で、静電複写紙試験装置の測定で半減露光量E1/2 が0.16〜0.36lux・秒の範囲で変化させて、感度を調整し得ることが開示されている。
【0016】
しかしながら、一般的な電子写真感光体の製法である浸漬塗工法では、1)の実施例1で見られるように、無金属フタロシアニンとアルミニウムフタロシアニンを用いた分散液での感度の調整範囲は、1.5倍、同様に2)の分散液では2倍の調整範囲である。
【0017】
さらに、特開平8−082942号公報には、特定の異性体構造を有するチタニウムフタロシアニン化合物を含有することによって、優れた感度を発現する電子写真感光体が開示されているものの、感度の調整範囲についての具体的開示はない。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、一般的な電子写真感光体の製法である浸漬塗工法において、種々の機種に対応可能な、容易に、広い範囲で感度を調整し得る電子写真感光体を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記実状に鑑みて鋭意検討したところ、特定構造を有する芳香族化合物とオキシチタニウムフタロシアニン化合物との反応生成物であるフタロシアニン化合物と、(2R,3R)−2,3−ブチレングリコラートチタニウムフタロシアニンとオキシチタニウムフタロシアニンのみから成る混晶、(2S,3S)−2,3−ブチレングリコラートチタニウムフタロシアニンとオキシチタニウムフタロシアニンのみから成る混晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のチタニウムフタロシアニン化合物とを、浸漬塗工法において電荷発生材料として併用することにより、電子写真感光体の感度を広範囲に調整することが可能であることを見い出した。
【0020】
即ち本発明は、導電性支持体上に電荷輸送層及び電荷発生層を有する電子写真感光体において、電荷発生層が、下記一般式(1)
【0021】
【化3】
【0022】
(但し、式(1)中、Ar1 及びAr2 は、それぞれ独立に置換基を有していても良いオルトフェニレン基を表し、Pcは無置換または置換のフタロシアニン残基を表す。)で表されるフタロシアニン化合物(A)と、
(2R,3R)−2,3−ブチレングリコラートチタニウムフタロシアニンとオキシチタニウムフタロシアニンのみから成る混晶、(2S,3S)−2,3−ブチレングリコラートチタニウムフタロシアニンとオキシチタニウムフタロシアニンのみから成る混晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のチタニウムフタロシアニン化合物(B)とを、
その使用割合(フタロシアニン化合物(A):チタニウムフタロシアニン化合物(B))が質量比で5:95〜80:20の範囲で含有する電荷発生材料の樹脂分散層であることを特徴とする電子写真感光体を提供する。
【0023】
中でも前記一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物が、式(1)中、Ar1 及びAr2 がオルトフェニレン基であるフタロシアニン化合物であることが好ましい。
【0024】
さらには、導電性支持体上に電荷輸送層及び電荷発生層を有する電子写真用感光体において、電荷発生層が、下記一般式(2)
【0025】
【化4】
【0026】
(但し、式(2)中、Ar1 及びAr2 は、それぞれ独立に置換基を有していても良いオルトフェニレン基を表す。)で表されるビス(ヒドロキシアリール)化合物と、オキシチタニウムフタロシアニン化合物、との反応生成物であるフタロシアニン化合物(C)と、
(2R,3R)−2,3−ブチレングリコラートチタニウムフタロシアニンとオキシチタニウムフタロシアニンのみから成る混晶、(2S,3S)−2,3−ブチレングリコラートチタニウムフタロシアニンとオキシチタニウムフタロシアニンのみから成る混晶からなる群から選ばれる少なくとも1種のチタニウムフタロシアニン化合物(B)とを、
その使用割合(フタロシアニン化合物(C):チタニウムフタロシアニン化合物(B))が質量比で5:95〜80:20の範囲で含有する電荷発生材料の樹脂分散層であることを特徴とする電子写真感光体を提供する。
【0027】
中でも前記一般式(2)で表されるビス(ヒドロキシアリール)化合物が、置換基を有していても良い2,2’−ビフェニールジオールであることが好ましい。
【0028】
以下、本発明の電子写真感光体について詳細に説明する。
【0029】
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に電荷輸送層及び電荷発生層を有し、電荷発生層が、例えば下記式(3)
【0030】
【化5】
【0031】
(但し、式(3)中、Ar1 及びAr2 は、それぞれ独立に置換基を有していても良いオルトフェニレン基を表す。)で表される環状ビスアリーラートチタニウムが、フタロシアニン残基の中心の2つの窒素原子に結合した構造を有することを特徴とするフタロシアニン化合物を含有し、かつ、(2R,3R)−2,3−ブチレングリコラートチタニウムフタロシアニンンとオキシチタニウムフタロシアニンとの混晶であるチタニウムフタロシアニン化合物、または、(2S,3S)−2,3−ブチレングリコラートチタニウムフタロシアニンとオキシチタニウムフタロシアニンとの混晶であるチタニウムフタロシアニン化合物等を含有することが好ましく、前記フタロシアニン化合物と前記チタニウムフタロシアニン化合物との使用割合(前記フタロシアニン化合物:前記チタニウムフタロシアニン化合物)が質量比で5:95〜80:20の範囲で含有する電荷発生材料の樹脂分散層であることが特に好ましい。
【0032】
前記環状ビスアリーラートチタニウムの芳香環基Ar1 及びAr2 は、それぞれ独立に置換基を有していても良いオルトフェニレン基であり、その置換基としては、例えば、塩素、臭素等のハロゲン原子、あるいはメチル基、エチル基、t−ブチル基等のアルキル基、あるいはメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、無置換もしくは置換の、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、無置換もしくは置換の、ピリジル基等の複素環基、無置換もしくは置換のアミノ基、無置換もしくは置換のチオール基等の各種官能基等を挙げることができ、導入し得る置換基数、及び置換位置は可能な限り任意に選択することができる。
【0033】
ここで、前記フタロシアニン残基とは下記式(4)
【0034】
【化6】
【0035】
で表されるものであり、本発明の電子写真感光体に含有されるフタロシアニン化合物の場合では、フタロシアニン残基のベンゼン環の水素原子が無置換、あるいは置換されていてもよく、その置換基としては塩素、臭素等のハロゲン原子、あるいはメチル基、エチル基等のアルキル基、あるいはメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基等を挙げることができる。また、ナフタロシアニン化合物の如き環拡張型フタロシアニン誘導体であっても構わない。
【0036】
本発明の電子写真感光体に含有される特定構造を有するフタロシアニン化合物の構造式の具体例としては、例えば以下のものを例示することができる。
【0037】
尚、例示式中、Meはメチル基を、Etはエチル基を、n−Prは直鎖プロピル基を、iso−Prはイソプロピル基を、t−Buはターシャリーブチル基を、Phはフェニル基を、Tolはトリル基を、Pcは置換もしくは無置換のフタロシアニン残基を、それぞれ表す。
【0038】
また、( )内の番号は本発明の電子写真感光体に含有されるフタロシアニン化合物の例示No.を表すが、本発明のフタロシアニン化合物がこれによって限定されるものではない。
【0039】
【化7】
【0040】
【化8】
【0041】
【化9】
【0042】
【化10】
【0043】
【化11】
【0044】
【化12】
【0045】
本発明の電子写真感光体に含有されるフタロシアニン化合物を得るための、オキシチタニウムフタロシアニン化合物との反応で好ましく使用することのできる、ビス(ヒドロキシアリール)化合物は、少なくとも1つ以上のヒドロキシ基を持つ芳香環基が結合した形態であればいずれでも良く、例えば下記式(2)
【0046】
【化13】
【0047】
(但し、式(2)中、Ar1 及びAr2 は、それぞれ独立に置換基を有していても良いオルトフェニレン基を表す。)で表すことができる。
【0048】
式(2)中の芳香環基Ar1 及びAr2 はそれぞれ独立に置換基を有していても良いオルトフェニレン基であり、その置換基としては、例えば、塩素、臭素等のハロゲン原子、あるいはメチル基、エチル基、t−ブチル基等のアルキル基、あるいはメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、無置換もしくは置換の、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、無置換もしくは置換の、ピリジル基等の複素環基、無置換もしくは置換のアミノ基、無置換もしくは置換のチオール基等の各種官能基等を挙げることができ、導入し得る置換基数、及び置換位置は可能な限り任意に選択することができる。
【0049】
その構造式の具体例としては、例えば以下のものを例示することができる。
【0050】
尚、例示式中、Meはメチル基を、Etはエチル基を、n−Prは直鎖プロピル基を、iso−Prはイソプロピル基を、t−Buはターシャリーブチル基を、Phはフェニル基を、Tolはトリル基を、それぞれ表す。
【0051】
また、( )内の番号は本発明の電子写真感光体に含有されるフタロシアニン化合物を得るための、オキシチタニウムフタロシアニン化合物との反応で好ましく使用することのできる、ビス(ヒドロキシアリール)化合物の例示No.を表す。
【0052】
【化14】
【0053】
【化15】
【0054】
【化16】
【0055】
【化17】
【0056】
【化18】
【0057】
【化19】
【0058】
本発明の電子写真感光体に含有されるフタロシアニン化合物を得るための、オキシチタニウムフタロシアニン化合物との反応で好ましく使用することのできる、ビス(ヒドロキシアリール)化合物がこれによって限定されるものではない。これらは、単独でも二種以上の併用でもかまわない。
【0059】
本発明の電子写真感光体は、前記フタロシアニン化合物と、(2R,3R)−2,3−ブチレングリコラートチタニウムフタロシアニンとオキシチタニウムフタロシアニンとの混晶であるチタニウムフタロシアニン化合物、あるいは、(2S,3S)−2,3−ブチレングリコラートチタニウムフタロシアニンとオキシチタニウムフタロシアニンとの混晶であるチタニウムフタロシアニン化合物とを併用し、その使用割合(前記フタロシアニン化合物:前記チタニウムフタロシアニン化合物)が質量比で5:95〜80:20の範囲で含有する電荷発生材料を樹脂中に分散させた電荷発生層とすることにより、広範囲に感度調整を行うことができるため、種々の機種に対応した適正な感度を有する電子写真感光体を得ることができる。
【0060】
なお、本発明の効果を損なわない限りにおいて、他の電荷発生材料を併用することも可能である。
【0061】
そのような電荷発生材料としては、例えばα型、β型、α、β混合型、γ型、Y型、等の結晶型あるいは非晶質型オキシチタニウムフタロシアニン化合物等、無金属フタロシアニン化合物、金属フタロシアニン化合物、或いは例えば、アゾ系顔料、アントラキノ系顔料、ペリレン系顔料、多環キノン系顔料、スクエアリウム系顔料等、(2R,3R)−2,3−ブチレングリコラートチタニウムフタロシアニン、(2S,3S)−2,3−ブチレングリコラートチタニウムフタロシアニン、(2R,3R)−1,4−ビス(ベンジロキシ)−2,3−ブチレングリコラートチタニウムフタロシアニン、(2S,3S)−1,4−ビス(ベンジロキシ)−2,3−ブチレングリコラートチタニウムフタロシアニン等のチタニウムフタロシアニン化合物等、を挙げることができる。
【0062】
本発明の電子写真感光体に含有されるフタロシアニン化合物を得るために、好ましく使用することのできるオキシチタニウムフタロシアニン化合物としては、本発明の効果を損なわない限りにおいて、置換又は無置換のフタロシアニン残基中心にオキシチタニウムを持つものであれば良く、また本発明の効果を損なわない限りにおいて、これらがいかなる結晶型であってもかまわない。
【0063】
その例として、α型、β型、α、β混合型、γ型、Y型、非晶質型等の結晶型の置換又は無置換オキシチタニウムフタロシアニン化合物を挙げることができる。また、オキシチタニウムナフタロシアニン化合物の如き環拡張型オキシチタニウムフタロシアニン誘導体であっても構わない。更に、これらは、単独でも二種以上の併用でもかまわない。
【0064】
本発明の電子写真感光体に含有される前記例示したような特定構造を有するフタロシアニン化合物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えばオキシチタニウムフタロシアニン化合物と、前記例示したような特定構造を持つビス(ヒドロキシアリール)化合物との反応により製造することができる。
【0065】
本発明で用いる前記例示したような特定構造を有するフタロシアニン化合物の、反応当量比、反応温度、反応時間、溶媒、触媒、精製方法、結晶化方法等の各製造条件は、適宜選択して採用すればよい。
【0066】
反応当量比としては、例えばオキシチタニウムフタロシアニン化合物1モル当量当たり、前記例示したような特定構造を有するビス(ヒドロキシアリール)化合物を0.3〜50モル当量の範囲から適宜選択すればよい。
【0067】
本発明の電子写真感光体に含有されるフタロシアニン化合物を得るための、オキシチタニウムフタロシアニンとビス(ヒドロキシアリール)化合物との反応は、加熱条件で行うことが好ましく、反応温度は、30〜300℃の範囲が好ましく、50〜250℃の範囲であることがより好ましい。
【0068】
勿論、上記した方法以外のその他の製造方法を用いることも可能である。そのような例として、ジクロロチタニウムフタロシアニン等のジハロチタニウムフタロシアニン化合物と、前記例示したような特定構造のビス(ヒドロキシアリール)化合物との脱ハロゲン化水素によるカップリング反応や、ビス(ヒドロキシアリール)化合物存在下での、四塩化チタニウム等のチタニウム塩と、オルトフタロジニトリル誘導体とのカップリング反応等を挙げることができる。
【0069】
反応等に際しては、必要に応じて公知慣用の各種の有機溶剤を併用することができる。その例としては、例えばベンゼン、ニトロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、α−クロロナフタレン等の芳香族系有機溶剤、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤、テトラヒドロフラン、ジメチルセロソルブ等のエーテル系有機溶剤、ブタン酸エチル、乳酸ブチル等のエステル系有機溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン系極性有機溶剤、トリクロロエタン等のハロゲン系有機溶剤、アミルアルコール、ドデカノール等の一価アルコール系有機溶剤等を挙げることができる。これらは、単独でも二種以上の併用でもかまわない。
【0070】
勿論、本発明の電子写真感光体に含有されるフタロシアニン化合物を得る際には、必要に応じて精製を行ってもよく、その例としては、例えば昇華精製等の方法が挙げられる。
【0071】
また、本発明の電子写真感光体に含有される前記(2R,3R)−2,3−ブチレングリコラートチタニウムフタロシアニンとオキシチタニウムフタロシアニンとの混晶であるチタニウムフタロシアニン化合物、あるいは、(2S,3S)−2,3−ブチレングリコラートチタニウムフタロシアニンとオキシチタニウムフタロシアニンとの混晶であるチタニウムフタロシアニン化合物等のチタニウムフタロシアニン化合物の製造方法は、例えば、オキシチタニウムフタロシアニン化合物に対して1モル当量以下の特定異性体構造を有するジオール化合物を反応させることで簡便に得ることができる。オキシチタニウムフタロシアニン化合物とジオールとの反応仕込み当量比は、前者1モル当量当たり、後者を0.3〜40モル当量でよいが、結果的にオキシチタニウムフタロシアニン化合物に対して1モル当量以下のジオール化合物を付加させるために適当な反応仕込み当量比は、0.3〜1.5モル当量が好ましい。
【0072】
本発明の電子写真感光体に使用される電荷輸送材料としては、特に限定されるものではなく、種々のものが使用可能であり、例えば、アリールアミン系、ヒドラゾン系、ピラゾリン系、オキオキサゾール系、オキサジアゾール系、スチルベン系、ブタジエン系、チアゾール系、カルバゾール系、ジフェノキノン系、アリールメタン系化合物、或いは、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン、ポリフォスファゼン等の重合性化合物を挙げることができる。
【0073】
電荷輸送材料の具体例として代表的な化合物の構造を次に示す。なお、以下の各構造式の下に記載した( )内の数字は例示化合物のNo.を表わす。
【0074】
【化20】
【0075】
【化21】
【0076】
【化22】
【0077】
【化23】
【0078】
【化24】
【0079】
【化25】
【0080】
【化26】
【0081】
【化27】
【0082】
【化28】
【0083】
電子写真感光体の形態としては種々のものが知られているが、本発明の電子写真感光体の形態は、そのいずれであってもよい。例として図1〜図3の電子写真感光体を示した。
【0084】
図1及び図2の電子写真感光体7は導電性支持体1の上に電荷発生層2と、電荷輸送層3とから成る感光層4a又は4bをそれぞれ設けたものである。図3の電子写真感光体は導電性支持体1の上に電荷発生材料5を電荷移動媒体6の中に分散せしめた感光層4cを設けたものである。
【0085】
図1及び図2の電子写真感光体の場合には、電荷発生層2に含まれる電荷発生材料が電荷を発生し、一方、電荷輸送層3は電荷の注入を受け、その輸送を行う。即ち、光減衰に必要な電荷の生成が電荷発生材料で行われ、また、電荷の輸送が電荷輸送媒体で行われる。図3の電子写真感光体では、電荷発生材料が光に対して電荷を発生し、電荷移動媒体により電荷の移動が行なわれる。
【0086】
図1の電子写真感光体は、電荷発生材料の微粒子を必要に応じて結着樹脂を溶解した溶媒中に分散して得た分散液を塗布、乾燥し、その上に電荷輸送材料を単独、あるいは必要に応じて結着樹脂を併用し溶解した溶液を塗布、乾燥することによって製造することができる。
【0087】
図2の電子写真感光体は、電荷輸送材料を単独あるいは必要に応じて結着樹脂を併用して溶解した溶液を導電性支持体上に塗布、乾燥し、その上に電荷発生材料の微粒子を溶剤又は結着樹脂溶液中に分散して得た分散液を塗布、乾燥することにより製造することができる。
【0088】
図3の電子写真感光体は電荷輸送材料を単独、あるいは必要に応じて結着樹脂を併用し溶解した溶液に電荷発生材料の微粒子を分散せしめ、これを導電性支持体上に塗布、乾燥することによって製造することができる。また、電荷輸送材料を除いて製造されても良い。
【0089】
電荷発生材料として使用する本発明のフタロシアニン化合物とチタニウムフタロシアニン化合物を、粉砕して結着樹脂溶液に分散する方法として、具体的には、一般的な攪絆装置の他に、ホモミキサー、ディスパーター、アジター、ボールミル、サンドミル、アトライター、ペイントコンディショナー等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0090】
塗布の方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、カーテンコーティング法等のコーティング法を用いることができる。
【0091】
感光層の厚さは、図1及び図2の電子写真感光体の場合には、電荷発生層の厚さは5μm以下、好ましくは0.01〜2μmであり、電荷輸送層の厚さは3〜50μm、好ましくは5〜30μmである。図3の電子写真感光体の場合には、感光層の厚さは、3〜50μm、好ましくは5〜30μmである。
【0092】
図1及び図2の電子写真感光体における電荷輸送層中の電荷輸送材料の割合は、5〜100重量%の範囲が好ましく、図1及び図2の電子写真感光体の電荷発生層中の電荷発生材料の割合は、5〜100重量%の範囲が好ましく、40〜80重量%の範囲が特に好ましい。
【0093】
図3の電子写真感光体において、感光層中の電荷輸送材料の割合は、5〜99重量%の範囲が好ましく、また電荷発生材料の割合は、1〜50重量%の範囲が好ましく、3〜20重量%の範囲が特に好ましい。
【0094】
なお、図1〜3のいずれの電子写真感光体の作製においても、結着樹脂と共に可塑剤、増感剤を用いることができる。
【0095】
本発明の電子写真感光体に用いられる導電性支持体としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、チタン、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いた金属板、金属ドラム、或は、導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着、或はラミネートした紙、プラスチックフィルム等が挙げられる。
【0096】
必要に応じて使用することのできる結着樹脂としては、疎水性で、電気絶縁性のフィルム形成可能な高分子重合体を用いるのが好ましい。このような高分子重合体としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルフォルマール、ポリスルホン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は、単独で、或は、2種類以上の混合物として用いることもできる。
【0097】
また、これらの結着樹脂と共に表面改質剤を使用することもできる。表面改質剤としては、例えば、シリコンオイル、フッソ樹脂等が挙げられる。
【0098】
更に電子写真感光体の成膜性、可撓性、機械的強度を向上するために周知の可塑剤を含有してもよい。可塑剤としては、例えばビフェニル、塩化ビフェニル、o−ターフェニル、p−ターフェニル、ジブチルフタレート、ジエチルグリコールフタレート、ジオクチルフタレート、トリフェニル燐酸、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種のフルオロ炭化水素等フタル酸エステル、リン酸エステル、ハロゲン化パラフィン、メチルナフタレン等の芳香族化合物が挙げられる。
【0099】
感光層に用いられる増感剤としてはいずれも周知のものが使用できる。
【0100】
増感剤としては、例えば、メチルバイオレット、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット等のトリフェニルメタン染料、メチルブルー等のチアジン染料、シアニン染料、ピリリウム染料、クロラニル、テトラシアノエチレン、ローダミンB、メロシアニン染料、チアピリリウム染料等が挙げられる。
【0101】
また、本発明の電子写真感光体においては、保存性、耐久性、耐環境依存性を向上させるために感光層中に酸化防止剤や光安定剤等の劣化防止剤を含有させることもできる。その例としては、フェノール化合物、ハイドロキノン化合物、アミン化合物などを挙げることができ、具体的には、ブチルヒドロキシトルエンなどを挙げることができる。
【0102】
その他、本発明の効果を損なわない限りにおいて、各種の添加剤を併用することが可能である。
【0103】
更に、本発明においては、導電性支持体と感光層との接着性を向上させたり、導電性支持体から感光層への自由電荷の注入を阻止する為、導電性支持体と感光層との間に、必要に応じて接着層或はバリアー層を設けることもできる。
【0104】
これらの層に用いられる材料としては、前記結着樹脂に用いられる高分子化合物のほか、例えばカゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、ニトロセルロース、ポリビニルブチラール、フェノール樹脂、ポリアミド、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーラテックス、スチレン−ブタジエン系ポリマーラテックス、ポリウレタン、ゼラチン、酸化アルミニウム(アルマイト)、酸化スズ、酸化チタン等が挙げられ、その膜厚は1μm以下が望ましい。
【0105】
本発明の電子写真感光体は以上のような構成であって、以下述べる実施例からも明らかなように、優れた特性を有するものである。
【0106】
【実施例】
以下に実施例を示すが、これにより本発明が実施例に限定されるものではない。尚、下記実施例において「部」はすべて『重量部』を表す。
【0107】
(合成例1)
四塩化チタニウムとオルトフタロニトリルより得られたCuKα線による粉末X線回折において図4のスペクトルを示しIR吸収において図5のスペクトルを示すオキシチタニウムフタロシアニン20部と、2,2’−ビフェニールジオール9.0部を、α−クロロナフタレン240部中で195〜205℃で攪絆下1.5時間反応させた。
【0108】
これを室温にまで冷却した後、ろ別し、ベンゼン、メタノール、DMF(ジメチルフォルムアミド)、水の順に洗浄後、減圧乾燥することにより、青色粉末を得た。
【0109】
このフタロシアニン化合物は、マススペクトルにおいてm/Z=744にピークを示し、IR吸収において図6のスペクトルを示すことから、式(5)
【0110】
【化29】
【0111】
のフタロシアニン化合物であることがわかる。
【0112】
得られたフタロシアニン化合物の、CuKα線による粉末X線回折スペクトルを図7に、また、得られたフタロシアニン化合物のα−クロロナフタレン溶液の光吸収スペクトルを図8に示す。
【0113】
(電荷発生層(CGL)用塗料の調製1)
(1)合成例1で得た前記式(5)で表されるフタロシアニン化合物2部及びブチラール樹脂(積水化学社製「エスレックBH−3」)1部をメタノールと酢酸エチル混合溶媒を用いてロール練肉を行い、その後粉砕してチップ状顔料分散樹脂を得た。このチップ4.5部を、塩化メチレン78部及び1,1,2−トリクロロエタン117部から成る混合溶媒に添加し、ガラスビーズと共にサンドグラインダーで溶解、分散してフタロシアニン化合物の電荷発生物質分散液Iを得た。
【0114】
(2)マススペクトルにおいてm/Z=576、648にピークを示し、IR吸収において図9のスペクトルを示し、CuKα線による粉末X線回折において図10のスペクトルを示す、オキシチタニウムフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブチレングリコラートチタニウムフタロシアニンとの混晶であるチタニウムフタロシアニン化合物1部、及びブチラール樹脂(積水化学社製「エスレックBH−3」)1部を、塩化メチレン48部及び1,1,2−トリクロロエタン72部から成る混合溶媒に添加し、ガラスビーズと共にサンドミルで分散、混合して、チタニウムフタロシアニン化合物の電荷発生物質分散液IIを得た。
【0115】
(電荷発生層(CGL)用塗料の調製2)
前記電荷発生物質分散液I及びIIを重量比で(イ)5:95、(ロ)20:80、(ハ) 40:60、(ニ)60:40、(ホ)80:20の割合で混合して、それぞれ電荷発生物質分散液(イ)、(ロ)、(ハ) 、(ニ)、(ホ)を得た。
【0116】
(電荷輸送層(CTL)用塗料の調製)
前記した例示化合物No.(10)の電荷輸送材料であるヒドラゾン化合物14.4部及びポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学製「ユーピロンZ200」)16部を、塩化メチレン67部及びモノクロロベンゼン17部から成る混合溶媒で溶解して、電荷輸送層(CTL)用塗料を得た。
【0117】
(実施例1)
アルミニウムを蒸着したPETフィルム上に、バーコーターで前記電荷発生物質分散液(イ)を塗布し、乾燥後の膜厚が0.3μmの電荷発生層を形成した。この電荷発生層の上に、バーコーターで上記電荷輸送層(CTL)用塗料を塗布し、乾燥後の膜厚が15μmの電荷輸送層を形成して、図1に示した層構成を有する電子写真感光体を得た。
【0118】
(実施例2)
実施例1の電荷発生物質分散液(イ)に代えて、前記電荷発生物質分散液(ロ)を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0119】
(実施例3)
実施例1の電荷発生物質分散液(イ)に代えて、前記電荷発生物質分散液(ハ)を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0120】
(実施例4)
実施例1の電荷発生物質分散液(イ)に代えて、前記電荷発生物質分散液(ニ)を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0121】
(実施例5)
実施例1の電荷発生物質分散液(イ)に代えて、前記電荷発生物質分散液(ホ)を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0122】
(比較例1)
メタルフリーフタロシアニン2部及びブチラール樹脂(積水化学社製「エスレックBH−3」)2部を、塩化メチレン66部及び1,1,2−トリクロロエタン99部から成る混合溶媒に添加し、ガラスビーズと共にサンドミルで分散、混合して電荷発生物質分散液III を得た。
【0123】
電荷発生物質分散液II及びIII を質量比で20:80の割合で混合し、電荷発生物質分散液(ヘ)を得た。
【0124】
実施例1の電荷発生物質分散液(イ)に代えて、前記電荷発生物質分散液(ヘ)を用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0125】
(比較例2)
実施例1の電荷発生物質分散液(イ)に代えて、前記電荷発生物質分散液IIを単独で用いた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0126】
(比較例3)
比較例2において、電荷発生層の膜厚を0.3μmから0.2μmに代えた以外は、比較例2と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0127】
なお、電荷発生物質分散液IIで、0.2μmよりも薄い膜を形成させようとしたが、うまく形成できなかった。
【0128】
(評価)
実施例1〜5及び比較例1〜3で得た各電子写真感光体の特性を、静電複写紙試験装置(川口電気製作所製「EPA−8100」)を用いて測定した。
【0129】
電子写真感光体を暗所で−6kVのコロナ放電により帯電し、この時の電子写真感光体の表面電位をV0 (−V)とする。そのまま暗所で10秒間放置したときの電子写真K感光体の表面電位をV10(−V)とする。V0 とV10より電子写真感光体の表面電位の電位保持率V10/V0 (DDR)(%)を計算する。
【0130】
さらに、表面電位V10に対して波長780nm、露光エネルギー0.5μW/cm2 の光で露光を行い、表面電位がV10の半分になるまでの時間により半減露光量E1/2 (μJ/cm2 )を求める。
【0131】
なお、各電子写真感光体のV0 は、−800〜−1000Vであった。
【0132】
実施例1〜5及び比較例1で得た各電子写真感光体の測定結果を表1に示した。
【0133】
【表1】
【0134】
表1に示した実施例1〜5の結果から、フタロシアニン化合物の電荷発生物質分散液と他のチタニウムフタロシアニン化合物の電荷発生物質分散液の、異なる使用割合によって得た電子写真感光体では、同じ膜厚でありながら、4.2倍の感度変化を示すことがわかる。
【0135】
なお、フタロシアニン化合物の使用割合が多くなるにしたがい、電位保持率が良好になることもわかる。
【0136】
実施例5及び比較例1〜3までの測定結果を表2に示した
【0137】
【表2】
【0138】
表2に示した実施例5と比較例2では、感度が4.5倍の差があるが、比較例1と比較例2のように、本発明の組み合わせ以外の組み合わせでは感度が1.4倍の範囲でしか調整できないことがわかる。
【0139】
また、表2に示す比較例2と比較例3のように、単独の電荷発生物質で膜厚のみで感度を調整しようとしても、本発明のような幅広い範囲の感度調整はできないことがわかる。
【0140】
【発明の効果】
本発明の電子写真感光体は、特定構造を有するフタロシアニン化合物とチタニウムフタロシアニン化合物との使用割合を変化させて電荷発生層に使用することによって、従来以上の幅広い範囲で感度調整ができるので、今後ますます予想される幅広いニーズに対応できるという利点を有する。また、本発明の、特定構造を有するフタロシアニン化合物とチタニウムフタロシアニン化合物との使用割合が質量比で5:95〜80:20の範囲にある電子写真感光体の電荷発生層を形成する電荷発生材料分散液は、塗料の安定性に優れているので、製造面における利点が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる電子写真感光体の層構成の一例を示す模式断面図である。
【図2】本発明に係わる電子写真感光体の層構成の一例を示す模式断面図である。
【図3】本発明に係わる電子写真感光体の層構成の一例を示す模式断面図である。
【図4】合成例で得られた本発明に係るフタロシアニン化合物を得るために使用したオキシチタニウムフタロシアニンのCuKα線による粉末X線回折スペクトル図である。
【図5】合成例で得られた本発明に係るフタロシアニン化合物を得るために使用したオキシチタニウムフタロシアニンのIR吸収スペクトル図である。
【図6】合成例で得られた本発明に係るフタロシアニン化合物のIR吸収スペクトル図である。
【図7】合成例で得られた本発明に係るフタロシアニン化合物のCuKα線による粉末X線回折スペクトル図である。
【図8】合成例で得られた本発明に係るフタロシアニン化合物のα−クロロナフタレン溶液の光吸収スペクトル図である。
【図9】実施例で用いたチタニウムフタロシアニン化合物の電荷発生物質分散液Cを得るために使用したチタニウムフタロシアニン化合物のIR吸収スペクトル図である。
【図10】実施例で用いたチタニウムフタロシアニン化合物の電荷発生物質分散液Cを得るために使用したチタニウムフタロシアニン化合物のCuKα線による粉末X線回折スペクトル図である。
【符号の説明】
1 導電性支持体
2 電荷発生層
3 電荷輸送層
4a 感光層
4b 感光層
4c 感光層
5 電荷発生材料
6 電荷移動媒体
7 電子写真感光体
Claims (4)
- 導電性支持体上に電荷輸送層及び電荷発生層を有する電子写真用感光体において、電荷発生層が、下記一般式(1)
- 一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物が、式(1)中、Ar1及びAr2がオルトフェニレン基であるフタロシアニン化合物である請求項1に記載の電子写真感光体。
- 導電性支持体上に電荷輸送層及び電荷発生層を有する電子写真用感光体において、電荷発生層が、下記一般式(2)
- 一般式(2)で表されるビス(ヒドロキシアリール)化合物が、置換基を有していても良い2,2’−ビフェニールジオールであることを特徴とする請求項3記載の電子写真感光体。
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