JP3854435B2 - マスク治具の洗浄方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、種々の工業製品、特に自動車関連製品の塗装工程において使用されるマスク治具の洗浄方法及び洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
種々の工業製品、特に自動車用の車両用灯具等の塗装工程において使用されるマスク治具は、被塗装品(塗装される製品)の所望する特定部位にだけ塗料を付着させるために、被塗装品の塗装部位以外の領域を被覆するように設置されて、塗料が付着しないようにする治具である。
【0003】
このマスク治具は、金属等の材料を使用して、被塗装品の塗装部位の形状に対応する形態に成型されており、被塗装品に対応するマスク治具が選択されて塗装工程に供され、該塗装工程で付着した塗料を洗浄することによって、繰り返し使用される。
【0004】
具体的には、塗装工程で被塗装品の所望の塗装部位を狙って吹き付けられた塗料は、塗装部位の周辺にも飛散等するため、マスク治具の表面、とりわけ塗装部位と近接するエッジ部分には、塗料が付着してしまうので、塗装工程後には、マスク治具から塗料を洗い落とすための洗浄工程が必要となる。
【0005】
ここで、マスク治具の洗浄方法として、有機塩素系溶剤であるジクロロメタン(塩化メチレン、CH2Cl2)を洗浄剤として用いる方法やシンナー系溶剤に浸漬させて、塗料を溶解する方法、高沸点溶剤(引火点70℃以上の溶剤)を使用して塗料を溶解する方法等が挙げられる。
【0006】
また、マスク治具の洗浄装置としては、特開平10−99799号報に開示されている装置等を挙げることができる。この装置は、該装置内部に塗料が付着した被洗浄物であるマスク治具を供給する洗浄容器と、この洗浄容器内に設けられたマスク治具に向けて洗浄液を噴射するノズル体と、このノズル体とマスク治具の間隔を調整することができる制御機構を備えている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術では、次の技術的課題がある。
(1)ジクロロメタンを洗浄剤として使用する洗浄方法(「以下「メチクロ洗浄方法」という。」では、ジクロロメタンが発ガン性物資である点が指摘されており、作業者の健康面での問題や地下水汚染等の環境問題を抱えている。
【0008】
また、洗浄剤中にマスク治具から洗い落とされた塗料が溶解して、洗浄力を急速に失ってしまうので、洗浄液の交換を定期的に行わなければならないので、手間がかかるとともに、洗浄液のランニングコストが高くなる。
【0009】
(2)シンナー系溶剤にマスク治具を浸漬させて、付着塗料を溶解する方法では、塗料の溶解を促進させるために、浸漬槽内でのマスク治具を揺動させる作業が必須となるとともに、洗浄工程に時間がかかる。
【0010】
(3)塗料を高沸点溶剤で溶解して洗浄する方法では、洗浄液自体のコストが高くなる、洗浄液をハンドリングするための設備のコストが高くなる、高沸点溶剤の使用が環境上問題となる、などの技術的課題がある。
【0011】
(4)特開平10−99799号報に開示されている洗浄装置では、マスク治具全体に洗浄液を吹き付けるという点、特にマスク治具の屈曲形成されたエッジ部分に付着する塗料を確実に洗い落とすという点に関し、洗浄液のノズル吹き付け方法に改善の余地を残している。
【0012】
そこで、本発明の目的は、マスク治具全体の洗浄を確実に行うことができ、かつ環境上の問題がなく、しかもランニングコストの低いマスク治具洗浄方法及び洗浄装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を採用する。
請求項1に係るマスク治具洗浄方法では、塗料によって塗膜形成を行う部材の非塗装面を被覆するために繰り返し使用されるマスク治具を収容し、該マスク治具を回転させながら、該マスク治具の少なくとも上方から洗浄液を吹き付けて洗浄する装置で、
前記洗浄液は、前記装置上方から垂設された洗浄液輸送中央パイプから側方へ放射状に延設された複数の分岐パイプのそれぞれに複数並設されてなる一対のノズルから下方側に配置されて回転する前記マスク治具に向けて吹き付けられる構成であって、
前記一対のノズルは、正面視、側面視とともに、下方に向けてハの字状に広がる形状となるように、前記分岐パイプに配設されたマスク治具洗浄装置を用いて、
屈曲形成されたエッジ部分が設けられた前記マスク治具を洗浄液で洗浄する方法であって、少なくとも、
(ア)界面活性剤を溶解する前記洗浄液を前記マスク治具に吹き付けて、該マスク治具表面に前記界面活性剤膜を形成する剥離膜形成工程と、
(イ)前記剥離膜形成工程に続いて行われる塗装工程後に、前記洗浄液を前記マスク治具に吹き付けて、該マスク治具に付着した前記塗料を前記界面活性剤膜とともに洗い落とす洗浄工程とを含むようにした。
この手段では、マスク治具にコーティング形成された界面活性剤膜は、マスク治具表面に直接塗料が付着するのを防止するとともに、上記洗浄工程において洗浄液が吹き付けられた際には、洗浄液に水溶性である界面活性剤膜が再溶解して、塗料をマスク治具から剥落させる。
マスク治具洗浄装置内部で回転されながら洗浄されるマスク治具の全体に洗浄液が吹き付けられるようになり、特に、マスク治具の屈曲形成されたエッジ部分に塗料が付着したまま残らないようにすることができる。
また、上記洗浄工程では、塗料を洗い落とすだけでなく、マスク治具表面に界面活性剤膜を形成する剥離膜形成工程をも兼ねるという作用を果たす。
【0014】
請求項2に係るマスク治具洗浄方法では、請求項1記載の洗浄工程の過程で、前記洗浄液中に混入した前記塗料を適宜の方法で除去して、前記洗浄液を前記剥離膜形成工程及び/又は洗浄工程で再利用する。
この手段では、マスク治具に吹き付けられた洗浄液から塗料を濾過手段等により除去することによって、洗浄液中の塗料成分を分離して、マスク治具に対する界面活性剤膜形成力、洗浄力を落とすことなく、洗浄液を繰り返し使用できるようになる。
【0015】
請求項3に係るマスク治具洗浄方法では、請求項1又は2記載の塗装工程と同記載の洗浄工程の間に、塗膜乾燥工程を設ける。
この手段では、マスク治具表面に付着した水系塗料中に含まれる水分を蒸発させることで洗浄液中に塗料が溶け込まないように工夫して、固液分離を確実におこなうことができるようにする。
【0016】
請求項4に係るマスク治具洗浄方法では、請求項1から3のいずれかに記載の洗浄液を一定温度以上に加温して、マスク治具に吹き付けることによって、マスク治具を加温する。
この手段では、マスク治具を温めることによって、マスク治具表面にコーティングされた界面活性剤膜を膨潤させることができるので、界面活性剤を洗浄液中に再溶解し易くし、該界面活性剤膜上に付着した塗料を、該界面活性剤膜とともに剥落させることができるようになる。
また、付着した塗料を熱硬化させることによってフィルム状に固め、洗浄液中から除去し易くする。
更に、マスク治具を温めることによって、マスク治具表面を乾燥させることができるので、マスク治具表面に付着した洗浄液からの水分蒸発を促進し、界面活性剤膜の形成を容易化する。
【0017】
請求項5に係るマスク治具洗浄方法では、請求項4記載の洗浄液を60℃以上に加温する。
この手段では、界面活性剤膜の膨潤とマスク治具の乾燥の両方を確実に行うことができる。
【0018】
請求項6に係るマスク治具洗浄方法では、請求項1から5のいずれかに記載された界面活性剤を、グルコン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、リン酸ナトリウムから構成する。
この手段では、マスク治具に形成される界面活性剤膜にベタつきが少なく、ヌレ性も良好であるのでマスク治具になじみやすく、しかも洗浄能力が高い。
【0019】
請求項7に係るマスク治具洗浄方法では、請求項1から6のいずれかに記載された界面活性剤を、洗浄液に対して5重量%以上含有させる。
この手段における洗浄液中の界面活性剤含有量では、マスク治具表面に対する界面活性剤膜の形成と塗料の洗浄の両方を良好に行うことができる。
【0020】
請求項8に係るマスク治具洗浄方法では、請求項1から7のいずれかに記載のマスク治具洗浄方法において、マスク治具の初回使用開始前に、マスク治具に対して、予めブラスト処理を行う。
この手段では、予めマスク治具の表面の汚れを除去して平滑にすることによって、マスク面の金属基地を出して、マスク治具に界面活性剤膜を形成され易くする。
【0022】
以上のように、本発明に係るマスク治具洗浄方法では、マスク治具に付着した塗料を確実に洗い落とすことができるという技術的意義を有するだけでなく、ジクロロメタンや有機系溶剤を含まない環境にやさしい洗浄剤を繰り返して使用することができるので、種々の工業製品の塗装工程における環境面、コスト面での改善に寄与するという技術的意義を有している。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
まず、図1に基づいて、種々の工業製品の塗装工程で使用されるマスク治具の基本構成について説明しておくことにする。
図1は、マスク治具の一実施形態を、自動車用の車両用灯具の塗装工程で一般に使用されているマスク治具の外観斜視図によって表している。
符号1で表されるマスク治具は、塗装が施される製品(例えば、車両用灯具を構成する前面レンズ等)の塗装部分にのみ塗料が吹き付けられるようにする目的から、合成樹脂や金属等の材料により、所定形状に成型されたマスク(被覆)用の部材である。
【0024】
このマスク治具1は、被塗装品の非塗装部分だけを被覆する形態に形成されているマスク部材101と、このマスク部材101の一部に切り開かれて形成される等して、被塗装品の塗装対象部分のみを露出させる開口部103と、マスク部材101を支持する金属製の枠体102と、から構成され、塗装工程における所定場所に設置された図示しない被塗装品の上方から位置決めされて被せられる。
【0025】
以下、本願発明に係るマスク治具洗浄方法の工程を、図2中の符号(a)〜(e)で示された各工程に従って説明する。
<(a)工程>
この(a)工程は、マスク治具1を使用した塗装工程を開始する前に、マスク治具1表面の平滑性を確保するために行われる、「ブラスト処理工程」を簡易に表している。
【0026】
ここで、ブラスト処理Bは、いわゆる「ショットブラスト法」により、サンド、金属粉体、無機物粉体などの硬質粉体を噴射して、部材(本願では、マスク治具1)の表面の凹凸や付着したゴミを除去し、表面の平滑性を確保する処理をいう。この(a)工程を行うことにより、次の(b)工程で、マスク治具1の表面に均一な厚みの界面活性剤膜4が形成される。
【0027】
<(b)工程>
この工程は、前記(a)工程でブラスト処理Bされたマスク治具1aの上方からノズル3によって洗浄液2を吹き付け、マスク治具1a表面に界面活性剤膜4を形成する、「剥離膜形成工程」である。
【0028】
具体的に説明すると、洗浄液2は、脂肪酸あるいはその混合物のナトリウム塩等で構成される界面活性剤(せっけん)を所定量水に希釈溶解させたものであり、この洗浄液2をマスク治具1表面に吹き付け、該マスク治具1表面に付着した洗浄液2の水分を蒸発させると、界面活性剤のみマスク治具1a表面に付着残留して、薄い皮膜を形成することになる。
【0029】
この界面活性剤膜4は、水溶性の界面活性剤によって形成されているものであるから、再び洗浄液2を吹き付けると、洗浄液2に再溶解するという基本的な特性を備えているため、容易に剥離する。即ち、界面活性剤膜4は、「剥離膜」として機能する。
【0030】
<(c)工程>
この(c)肯定は、前記(b)工程、即ち「剥離膜形成工程」を経て、界面活性剤膜4が形成されたマスク治具1aの内側の所定位置に、被塗装品7を収容固定した後、上方から塗料6を塗布ノズル5によって吹き付け、被塗装品7の所定領域(塗装部位)7aに塗膜8を形成する、「塗装工程」である。
【0031】
この塗装工程では、吹き付けられる塗料6が、塗装部位7aの周辺にも飛散等して、マスク治具1a表面にも付着する。特に、マスク治具1aの被塗装品7の塗装部位7aとの境界周辺部分には、比較的多量の塗料6が付着し、また、マスク治具1aの屈曲形成されたエッジ部分104(図1参照)には塗料6が蓄積し易い。
【0032】
<(d)工程>
この(d)工程は、前記塗装工程(c)を経て、マスク治具1aと被塗装品7を分離する工程を示している。
マスク治具1aの表面には、界面活性剤膜4と該界面活性剤膜4の上層に塗膜8が形成されている。一方の被塗装品7は、所望する塗装部分7aにのみ塗膜8が形成され、続く塗膜乾燥工程へと搬送される。
【0033】
<(e)工程>
この(e)工程は、マスク治具1aに付着してしまった塗膜8を洗い落とすための、「洗浄工程」を簡易に表している。
具体的には、洗浄装置10(図3参照)内部の所定位置に、塗料6が付着したマスク治具1aを後述する方法で設置し、後述する構成のノズル3から下方側のマスク治具1aに洗浄液2を吹き付け、塗料6(塗膜8)を界面活性剤膜4とともに剥落させる工程である。
【0034】
即ち、マスク治具1aに形成された界面活性剤膜4は、洗浄液2が吹き付けられると、既述した通り、該洗浄液2に再溶解することになる。このため、界面活性剤膜4は、塗膜8を伴って剥落する(洗い落とされる)ように作用する。
尚、図2の円形拡大図Sは、剥落(剥離)した塗膜8と界面活性剤膜4の断面構造を簡易に表している。
【0035】
ここで、洗浄工程(e)は、マスク治具1aに塗料6(塗膜8)が付着しなかった部分や塗料6(塗膜8)が洗い落とされた部分に、再び均一な厚みの界面活性剤膜4を形成(再形成)する工程(上記「剥離膜形成工程(b)」としての役割を果たすことにもなる。
【0036】
従って、この洗浄工程(e)に引き続いて、上記剥離膜形成工程(b)を省略して、塗装工程(c)を行うこともできる(図2に示す矢印G参照)。
このようにして、マスク治具1は、繰り返し使用されることとなる。
【0037】
以下、本願発明に係る洗浄装置10(以下「装置10」という。)の基本構成について、説明する。
図3は、装置10の構成を簡易に表している。
この装置10には、略矩形に形成された、洗浄液防曝用のケーシング13の略中央部には開口部28が形成され、この開口部28の内側位置に、モータ16によって回動可能に設けられた洗浄台15が配設されている。
【0038】
この洗浄台15には、所定の大きさに形成された、金属製のかご状のケース14に、塗料6が付着した状態のマスク治具1aが収容されて、載置固定される。
この洗浄台15の上方には、モータ25の駆動によって、洗浄台15と逆方向に回転しながら洗浄液2を下方側に吹きつける構成とされた上方ノズル体11が設けられるとともに(図4参照)、洗浄台15の下方には、洗浄液2を上方に向けて噴出する、回転可能な下方ノズル体12が設けられている。
【0039】
尚、装置1のケーシング13の側壁に、洗浄台15に設置されるマスク治具1aに向けて、側方から洗浄液2を吹き付ける側方ノズル(図示せず)を揺動可能に設け、マスク治1aの洗浄をより効果的にしてもよい。
【0040】
ここで、上方ノズル体11の構成を図4に基づいて具体的に説明する。
上方ノズル体11は、装置10の上方から下方に垂設された洗浄液輸送中央パイプ11aと、洗浄液輸送中央パイプ11aの下端部(基端部)11cから水平方向に放射状に延設された3本の分岐パイプ11bと、この分岐パイプ11b左右側周部分から突設され、下方に吐出口を向けて配設された洗浄液吹き付け用の一対のノズル3,3が、各分岐パイプ11bに3箇所ずつ設けられている(計9箇所)。尚、分岐パイプ11bの数、ノズル3の配設数は、適宜選択可能である。
【0041】
ノズル3,3の構成を、図5に基づいて、更に詳述する。
分岐パイプ11bのX部(図4参照)を正面から見たときの様子を示す図5(A)からわかるように、一対のノズル3,3は、分岐パイプ11bから外側に開くように下方に延設されており、かつ、同X部(図4参照)を側方から見たときの様子を示す図5(B)からわかるように、一対のノズル3,3は、相互に逆方向を向くように、即ち一方は前方(分岐パイプ11bの先端側)へ、残る一方は後方(分岐パイプ11bの基端部11c側)へ向くように配設されている。
【0042】
本願発明者が行った実験よれば、ノズル3,3の正面視角度αと側方視角度βは、ともに10度から25度の範囲が好ましく、ノズル3,3から洗浄台15までの距離が300〜500mm、ケース14内径の900mmの場合には、15度が特に好適であり、マスク治具1aに対して全体的に、かつ効率良く、洗浄液2を吹き付けることができた。
【0043】
このように、ノズル3,3を傾斜させて、洗浄液2を斜め下方に吹き付ける構成とした結果、マスク治具1aの屈曲形成されたエッジ部分104(図1参照)に積層した塗膜8を、確実に洗い落とすことができた。
【0044】
次に、装置10の洗浄液2の再利用手段を説明する。
上記ケーシング13の最下方位置には、吹き付けられた洗浄液2を集めるための回収路17が形成され、この回収路17の下端領域には、洗浄液槽18が設けられている。
【0045】
この洗浄積槽18内部には、マスク治具1aから剥落(剥離)した塗膜9を除去するための網19と、フィルター21と、が配設されており、固液分離を行う。また、洗浄積槽18内部には、ヒーター20が設けられており、回収された洗浄液22を後述する所定温度に温める役割を果たしている。
【0046】
塗膜9が除去された洗浄液22は、再度フィルター23で濾過され、ポンプ24によって、上方へ延設された洗浄液輸送パイプ25を介して、上方ノズル体11の洗浄液輸送中央パイプ11aに送り込まれ、分岐ノズル11bを通過して、ノズル3,3から再び吹き付けられる。
【0047】
尚、符号27は、本装置10に配設されたモータ16,26の回転等を制御する制御盤であり、符号29は、マスクに溜まった洗浄液を吹き飛ばすためのエア導入口である。
【0048】
このように、本装置10は、洗浄液2を再利用(循環)できるように構成されているので、洗浄液2の剥離膜形成力、洗浄力が、塗料6の成分が混入することによって低下してしまうことうを、より積極的に防止する必要がある。
【0049】
そこで、本願発明においては、剥落する塗膜9(固体)と洗浄液2の固液分離を確実に行うために、塗装工程(c)(図2参照)後に、塗膜9から水分を蒸発させてフィルム状に固め、洗浄液2中に塗料成分が溶解しないようにするための乾燥工程(f)(図2参照)を設けることもできる。
【0050】
尚、使用される塗料が、水溶性樹脂の場合には、洗浄液中に塗料が溶け込むため、乾燥工程にて固めてから洗浄する必要があるが、エマルジョンタイプの場合は、疎水部分のみで膜を形成するので、乾燥工程(f)は不要である。
【0051】
この乾燥工程(f)は、熱風乾燥等の手段によって行うことも考えられるが、洗浄液2を温めて使用すれば、マスク治具1aが蓄熱し、該マスク治具1aに付着している塗膜8の乾燥を、簡易な手段で促進させることができる。即ち、塗料成分を洗浄液2中に溶解し難くすることができる。
【0052】
また、洗浄液2を温めることにより、界面活性剤膜4を膨潤させるという作用を発揮させることができるので、マスク治具1a表面から界面活性剤膜4を剥離し易すくして、洗浄効果を一層高めることも可能となる。
【0053】
ここで、本願発明者が行った詳細な実験によれば、洗浄液2を温度60℃以上に温めたときには、塗膜乾燥効果と界面活性剤膜4の膨潤効果が得られるため、極めて好適であり、ハンドリングもし易すかった。
【0054】
また、同実験によれば、洗浄液2中に含まれているせっけん成分である界面活性剤4の構成成分としては、グルコン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、リン酸ナトリウムからなる混合ナトリウム塩が好適であり、更には、洗浄液中にグルコン酸ナトリウム1.5%、ポリアクリル酸ナトリウム1.0%、リン酸ナトリウム2.5%からなる計5重量%以上の混合ナトリウム塩を含有させたときにおいては、界面活性剤膜4のベタつきが少なく、マスク治具1表面へのヌレ性もよく、洗浄力も安定していた。
以上のように、本願発明に係るマスク治具洗浄方法及び装置は、種々の工業製品の塗装工程に、広く適用できるものである。
【0055】
【発明の効果】
本願発明によって奏される主な効果を列記すれば、次の通りである。
本願発明に係るマスク治具洗浄方法では、界面活性剤を溶解する前記洗浄液を前記マスク治具に吹き付けて、マスク治具表面に前記界面活性剤膜を形成する剥離膜形成工程と、前記剥離膜形成工程に続いて行われる塗装工程後に、前記洗浄液を前記マスク治具に吹き付けて、前記界面活性剤膜とともに前記塗料を洗い落とす洗浄工程と、組み合わせることによって、マスク治具にコーティング形成された界面活性剤膜が、マスク治具表面に直接塗料が付着するのを有効に防止するとともに、上記洗浄工程において洗浄液が吹き付けられた際には、洗浄液に界面活性剤膜が再溶解し、該界面活性剤膜の表面に付着している塗料を、マスク治具から容易に剥落させることができる。
装置内上方に設けられたノズル体の分岐パイプに配設される一対のノズルを、正面視、側面視とともに、下方に向けてハの字状に広がる形状となるように形成することによって、マスク治具洗浄装置内部で回転されながら洗浄されるマスク治具の全体に洗浄液が吹き付けられるようになるため、特に、マスク治具の屈曲形成されたエッジ部分に付着した塗膜を、確実に洗い落とすことができるようになる。
【0056】
マスク治具に吹き付けられた洗浄液から剥落した塗膜を濾過手段等により除去することによって、洗浄液の剥離膜形成力、洗浄力を低下させることなく、洗浄液を再利用することができるため、洗浄液の交換作業を頻繁に行う必要が無くなるとともに、洗浄時間を短縮化とマスク治具洗浄工程におけるランニングコストの大幅な低減を達成できる。
【0057】
塗装工程と洗浄工程の間に、塗膜乾燥工程を設ければ、マスク治具表面に付着した水系塗料中に含まれる水分を蒸発させることによって、洗浄液中に塗料成分が溶け込まないように工夫することができるので、回収された洗浄液から剥落した塗膜を確実に除去(固液分離)できる。
【0058】
使用する洗浄液を一定温度以上に加温して、マスク治具に吹き付けることによってマスク治具を加温すれば、マスク治具表面にコーティングされた界面活性剤膜を膨潤させて、界面活性剤を洗浄液中に再溶解しやすくするとともに、付着した塗料を熱硬化させることによってフィルム状に固めることができるので、洗浄液中から剥落した塗膜を容易に除去できる。
【0059】
マスク治具の初回使用開始前に、マスク治具に対して予めブラスト処理を行えば、マスク治具の表面が平滑になるので、均一な厚みの界面活性剤膜の形成を容易に行うことができる。
【0061】
以上のように、本発明に係るマスク治具洗浄方法では、マスク治具に付着した塗料を確実に洗い落とすことができるとともに、ジクロロメタンや有機系溶剤を含まない環境にやさしい洗浄剤を繰り返して使用することができるので、種々の工業製品に関する塗装技術の発達に、特に環境面、コスト面で寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】マスク治具の一実施形態の外観斜視図
【図2】本発明に係るマスク洗浄方法の工程を簡易に表す図
【図3】本発明に係るマスク洗浄装置の構成を簡略化して表す図
【図4】同装置の洗浄液吹き付けノズル部の外観斜視図
【図5】(A)同ノズル部の拡大正面図
(B)同ノズル部の拡大側面図
【符号の説明】
1 マスク治具
1a 界面活性剤膜が形成されたマスク治具
2 洗浄剤
3 (洗浄液)ノズル
4 界面活性剤膜(剥離膜)
6 塗料
8 塗膜
10 マスク洗浄装置
11 上方ノズル体
11a (上方ノズル体11の)洗浄液輸送中央パイプ
11b (上方ノズル体11の)分岐パイプ
B ブラスト処理
(a) ブラスト処理工程
(b) 剥離膜形成工程
(c) 塗装工程
(e) 洗浄工程

Claims (8)

  1. 塗料によって塗膜形成を行う部材の非塗装面を被覆するために繰り返し使用されるマスク治具を収容し、該マスク治具を回転させながら、該マスク治具の少なくとも上方から洗浄液を吹き付けて洗浄する装置で、
    前記洗浄液は、前記装置上方から垂設された洗浄液輸送中央パイプから側方へ放射状に延設された複数の分岐パイプのそれぞれに複数並設されてなる一対のノズルから下方側に配置されて回転する前記マスク治具に向けて吹き付けられる構成であって、
    前記一対のノズルは、正面視、側面視とともに、下方に向けてハの字状に広がる形状となるように、前記分岐パイプに配設されたマスク治具洗浄装置を用いて、
    屈曲形成されたエッジ部分が設けられた前記マスク治具を洗浄液で洗浄する方法であって、
    少なくとも、次の(ア)、(イ)の工程を含むことを特徴とするマスク治具洗浄方法。
    (ア)界面活性剤を溶解する前記洗浄液を前記マスク治具に吹き付けて、該マスク治具表面に前記界面活性剤膜を形成する剥離膜形成工程。
    (イ)前記剥離膜形成工程に続いて行われる塗装工程後に、前記洗浄液を前記マスク治具に吹き付けて、該マスク治具に付着した前記塗料を前記界面活性剤膜とともに洗い落とす洗浄工程。
  2. 前記洗浄工程の過程で前記洗浄液中に混入した前記塗料を除去して、前記洗浄液を前記剥離膜形成工程及び/又は洗浄工程で再利用することを特徴とする請求項1記載のマスク治具洗浄方法。
  3. 前記塗装工程と前記洗浄工程の間に、塗膜乾燥工程を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のマスク治具洗浄方法。
  4. 前記洗浄液を一定温度以上に加温して、前記前記マスク治具に吹き付けることによって、前記マスク治具を加温することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のマスク治具洗浄方法。
  5. 前記洗浄液を60℃以上に加温することを特徴とする請求項4記載のマスク治具洗浄方法。
  6. 前記界面活性剤は、グルコン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、リン酸ナトリウムから構成されたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載されたマスク治具洗浄方法。
  7. 前記界面活性剤は、前記洗浄液に対して5重量%以上含有していることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載されたことを特徴とするマスク治具洗浄方法。
  8. 前記マスク治具の初回使用開始前に、予めブラスト処理を行うことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のマスク治具洗浄方法。
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