ところで、読み出し(再生)専用ディスクと異なり、記録型ディスクの場合、トラッキング信号へのクロストークが問題となってくる。
そのため、記録型ディスクの場合、トラッキング方式として、3ビーム(1つのメインビームと2つのサブビーム)を用いた差動プッシュプル法(以下、DPPと呼ぶ)が一般的に採用されている。DPP法とは、メインビームのプッシュプル信号と前後サブビームのプッシュプル信号との差動をとることで、オフセットの無いトラッキング信号を得る方式である。
そして、例えば、上記3ビームを用いて、DVD±Rディスクに情報を記録する場合、記録速度は、メインビームの光強度の二乗に比例するため、高速記録するには、メインビームの光強度をできるだけ大きくする必要がある。そこで、上記DVD±Rディスクに情報を記録する場合には、メインビームとサブビームの強度比を、例えば、10:1や15:1に設定するために、サブビームの光強度はかなり小さくなってしまう。従って、上記サブビームを検出する検出器(受光部)は、メインビームよりも非常に小さい光強度の光ビームを検出することとなる。
一方、複数の記録層が積層された光ディスクに対して、情報の再生または情報の記録を行う場合、情報を再生(記録)する層以外の目的外層で反射した反射光が迷光として受光部に入射する。これら迷光には、メインビームの迷光もサブビームの迷光も含まれることとなる。そして、上記迷光は、記録層の層間隔分だけディフォーカスした光のために、集光光学系を通過し、受光部に入射する際には、絞られることなく、情報を再生(記録)する層から照射される光ビームと比べて、かなり大きな光ビームの状態で照射されることとなる。このように広範囲にわたって照射される迷光は、トラッキング制御用に設けられた各受光部に入射し、トラッキングサーボ信号を算出する場合の誤差となって、正確なトラッキング制御の妨げとなってしまう。
このような迷光の光密度(単位面積当りの光量)は、メインビームおよびサブビーム自身の光量と比較すれば、かなり小さい。しなしながら、メインビームはサブビームと比較して、もともとの光強度が大きく設定されているいため、メインビームに由来する迷光は、トラッキング制御に少なからず悪影響を及ぼす。
そこで、上記3ビームを用いてDVD±Rディスクに情報を記録する場合に、特許文献1、2に開示されている技術を用いて迷光による誤差を抑制しようとすると、目的外層で反射された光のみを受光する補助受光部を、上記3ビームそれぞれのトラッキング用ビームを検出する各受光部に対してそれぞれ設けることが必要となる。しかし、このように補助受光部を各トラッキングビーム用受光部に対してそれぞれ設けることによって、受光手段全体の面積が大型化してしまうとともに、これらに付随する回路の複雑化を招いてしまうという問題が発生する。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、複数のビームを用いてDVD±Rディスクに情報を記録する場合に、補助受光部の数を増やすことなく、正確かつ安定にトラッキング制御を行える光ピックアップ装置、および、情報記録/再生装置を提供することにある。
本発明にかかる光ピックアップ装置は、上記の課題を解決するために、複数の情報記録層が積層された記録媒体から反射され、集光手段を通過したメインビームから、少なくともトラッキングサーボ信号を求めるためのトラッキング用メインビームを分離するとともに、上記記録媒体から反射され、上記集光手段を通過した上記メインビームよりも光の強度の小さいサブビームから、少なくともトラッキングサーボ信号を求めるためのトラッキング用サブビームを分離する分離手段と、上記トラッキング用メインビームおよびトラッキング用サブビームを受光する受光手段とを備える光ピックアップ装置であって、上記受光手段は、上記トラッキング用メインビームを受光するトラッキング用メイン受光部、上記トラッキング用サブビームを受光するトラッキング用サブ受光部、および、トラッキングサーボ信号に誤差が生ずることを抑制するための誤差量算出用の受光部として、情報の記録/再生を行っている上記情報記録層以外の情報記録層で反射された光ビームのみを受光する補助受光部を有しており、上記補助受光部の受光面積は、上記トラッキング用サブ受光部の受光面積よりも小さいことを特徴とするものである。
情報の記録/再生(記録および/または再生)を行っている上記情報記録層以外の情報記録層(以下、目的外層と称する)から反射された光ビーム(メインビームおよびサブビーム)は、光路長の差のために、集光手段を通過し、情報の記録/再生(記録および/または再生)を行っている情報記録層(以下、目的層と称する)から反射された光ビームと比べて、受光手段に照射される面積が大きくなる。従って、目的外層で反射された光ビームは、目的層で反射された光ビームよりも、単位面積あたりの光の強度は小さい。
しかしながら、メインビームは、サブビームよりも光の強度が強くなっており、上記目的外層で反射されたメインビームは、目的層で反射されたサブビームの光強度と近くなっている。そのため、この目的外層で反射されたメインビームが、トラッキングサーボ信号を得るために設けられたトラッキング用サブ受光部およびトラッキング用メイン受光部に入射すると、入射する光量に誤差が生じ、正確なトラッキング信号を得ることができない。
そこで、本発明の光ピックアップ装置には、トラッキングサーボ信号に誤差が生ずることを抑制するための誤差量算出用の受光部として、情報の記録/再生を行っている上記情報記録層以外の情報記録層で反射された光ビーム(すなわち、目的外層で反射された光ビーム)のみを受光する補助受光部が設けられている。
ところで、本発明の光ピックアップ装置のように、メインビームおよびサブビームの両方を用いてトラッキング信号を求める場合には、トラッキング用サブ受光部およびトラッキング用メイン受光部のそれぞれに対して誤差量算出用の補助受光部を設けることが必要になる。しかし、トラッキング用サブ受光部およびトラッキング用メイン受光部のそれぞれに対して補助受光部を設けると、受光手段全体の面積が大型化するとともに、各受光部に付随する回路の複雑化を招き、結果としてコストアップにつながってしまう。
そこで、本発明のピックアップ装置においては、上記補助受光部の受光面積を、上記トラッキング用サブ受光部の受光面積よりも小さくすることによって、トラッキング用サブ受光部およびトラッキング用メイン受光部において入射した光量に含まれる目的外層で反射された光ビーム(迷光)の光量(つまり、誤差量)をより正確に相殺できるようにしている。これによって、トラッキングサーボ信号を求める場合に発生するオフセットをより確実に相殺し、より正確なトラッキングサーボ信号を得ることができる。なお、上記受光面積とは、実際に光ビームを受光している領域を示す。
上記の構成によれば、トラッキングサーボ信号を算出する際に、補助受光部をトラッキング用メイン受光部およびトラッキング用サブ受光部のそれぞれに対して設けることなく、両方に入射した迷光による誤差の発生を抑制することができる。これによって、受光手段全体の面積が大型化することなく、また、各受光部に付随する回路の複雑化を招くことなく、より正確なトラッキングサーボ信号を得ることができる。
そして、例えば3ビームを用いてDVD±Rディスクに情報を記録する場合などのように、複数のビームを用いて情報の記録を行う場合に、補助受光部の数を増やすことなく、正確かつ安定にトラッキング制御を行うことができる。
本発明の光ピックアップ装置は、上記の構成に加えて、上記分離手段は、上記メインビームおよびサブビームを、それぞれ2つ以上の上記トラッキング用メインビームまたはトラッキング用サブビームに分離するとともに、上記受光手段には、この2つ以上に分離された上記トラッキング用メインビーム、または、トラッキング用サブビームのそれぞれに対応して、トラッキング用メイン受光部、トラッキング用サブ受光部、および、補助受光部が設けられており、この2つ以上に分離された上記トラッキング用メインビーム、または、トラッキング用サブビームのそれぞれに対応して設けられた各補助受光部の面積は、互いに異なっていてもよい。
上記の構成によれば、分離手段で2つ以上のビームに分離されたトラッキング用メインビームの迷光のビーム径が異なっており、各ビーム径に応じて異なる誤差が生じた場合にも、各補助受光部の面積が異なっていることによって、各ビーム径に応じた誤差量を算出することができる。したがって、より正確なトラッキング制御を行うことができる。
なお、各補助受光部の面積は、自身に入射する迷光の単位面積あたりの光量に応じて決めることがより好ましい。
また、本発明にかかる光ピックアップ装置は、上記に課題を解決するために、複数の情報記録層が積層された記録媒体から反射され、集光手段を通過したメインビームから、少なくともトラッキングサーボ信号を求めるためのトラッキング用メインビームを分離するとともに、上記記録媒体から反射され、上記集光手段を通過した上記メインビームよりも光の強度の小さいサブビームから、少なくともトラッキングサーボ信号を求めるためのトラッキング用サブビームを分離する分離手段と、上記トラッキング用メインビームおよびトラッキング用サブビームを受光する受光手段とを備える光ピックアップ装置であって、上記受光手段は、上記トラッキング用メインビームを受光するトラッキング用メイン受光部、上記トラッキング用サブビームを受光するトラッキング用サブ受光部、および、トラッキングサーボ信号に誤差が生ずることを抑制するための誤差量算出用の受光部として、情報の記録/再生を行っている上記情報記録層以外の情報記録層で反射された光ビームのみを受光する補助受光部を有するとともに、上記受光手段は、上記の各受光部が受光した光量に基づいてトラッキングサーボ信号を算出する演算回路と接続されており、上記演算回路には、上記の各受光部が受光した光量に基づいて出力された信号にゲインを付加するゲイン調整器が備えられ、かつ、上記ゲイン調整器は、上記トラッキング用サブ受光部に由来する信号に付加するゲインよりも小さなゲインを、上記補助受光部に由来する信号に付加することを特徴とするものである。
情報の記録/再生(記録および/または再生)を行っている上記情報記録層以外の情報記録層(以下、目的外層と称する)から反射された光ビーム(メインビームおよびサブビーム)は、光路長の差のために、集光手段を通過し、情報の記録/再生(記録および/または再生)を行っている情報記録層(以下、目的層と称する)から反射された光ビームと比べて、受光手段に照射される面積が大きくなる。従って、目的外層で反射された光ビームは、目的層で反射された光ビームよりも、単位面積あたりの光の強度は小さい。
しかしながら、メインビームは、サブビームよりも光の強度が強くなっており、上記目的外層で反射されたメインビームは、目的層で反射されたサブビームの光強度と近くなっている。そのため、この目的外層で反射されたメインビームが、トラッキングサーボ信号を得るために設けられたトラッキング用サブ受光部およびトラッキング用メイン受光部に入射すると、入射する光量に誤差が生じ、正確なトラッキング信号を得ることができない。
そこで、本発明の光ピックアップ装置には、トラッキングサーボ信号に誤差が生ずることを抑制するための誤差量算出用の受光部として、情報の記録/再生を行っている上記情報記録層以外の情報記録層で反射された光ビーム(すなわち、目的外層で反射された光ビーム)のみを受光する補助受光部が設けられている。
ところで、本発明の光ピックアップ装置のように、メインビームおよびサブビームの両方を用いてトラッキング信号を求める場合には、トラッキング用サブ受光部およびトラッキング用メイン受光部のそれぞれに対して誤差量算出用の補助受光部を設けることが必要になる。しかし、トラッキング用サブ受光部およびトラッキング用メイン受光部のそれぞれに対して補助受光部を設けると、受光手段全体の面積が大型化するとともに、各受光部に付随する回路の複雑化を招き、結果としてコストアップにつながってしまう。
そこで、本発明の光ピックアップ装置には、各受光部が受光した光量に基づいてトラッキングサーボ信号を算出する演算回路が受光手段と接続されており、上記演算回路には、各受光部から出された信号にゲインを付加するゲイン調整器が備えられている。そして、上記ゲイン調整器は、トラッキング用サブ受光部に由来する信号に付加するゲインよりも小さなゲインを、補助受光部に由来する信号に付加するようになっている。
これによって、トラッキング用サブ受光部およびトラッキング用メイン受光部において入射した光量に含まれる目的外層で反射された光ビーム(迷光)の光量(つまり、誤差量)をより正確に相殺できるようにしている。そのため、トラッキングサーボ信号を求める場合に発生するオフセットをより確実に相殺し、より正確なトラッキングサーボ信号を得ることができる。
上記の構成によれば、トラッキングサーボ信号を算出する際に、補助受光部をトラッキング用メイン受光部およびトラッキング用サブ受光部のそれぞれに対して設けることなく、両方に入射した迷光による誤差の発生を抑制することができる。これによって、受光手段全体の面積が大型化することなく、また、各受光部に付随する回路の複雑化を招くことなく、より正確なトラッキングサーボ信号を得ることができる。
そして、例えば3ビームを用いてDVD±Rディスクに情報を記録する場合などのように、複数のビームを用いて情報の記録を行う場合に、補助受光部の数を増やすことなく、正確かつ安定にトラッキング制御を行うことができる。
本発明の光ピックアップ装置は、上記の構成に加えて、上記分離手段は、上記メインビームおよびサブビームを、それぞれ2つ以上の上記トラッキング用メインビームまたはトラッキング用サブビームに分離するとともに、上記受光手段には、この2つ以上に分離された上記トラッキング用メインビーム、または、トラッキング用サブビームのそれぞれに対応して、トラッキング用メイン受光部、トラッキング用サブ受光部、および、補助受光部が設けられており、上記ゲイン調整器が、この2つ以上に分離された上記トラッキング用メインビーム、または、トラッキング用サブビームのそれぞれに対応して設けられた各補助受光部に由来する信号に対して付加する各ゲインは、互いに異なっていてもよい。
上記の構成によれば、分離手段で2つ以上のビームに分離されたトラッキング用メインビームの迷光のビーム径が異なっており、各ビーム径に応じて異なる誤差が生じた場合にも、ゲイン調整器によって付加される各ゲインが異なっていることによって、各ビーム径に応じた誤差量を算出することができる。したがって、より正確なトラッキング制御を行うことができる。
なお、各補助受光部に由来する信号に対して付加される各ゲインは、各補助受光部に入射する迷光の単位面積あたりの光量に応じて決めることがより好ましい。
本発明の光ピックアップ装置は、上記の構成に加えて、上記分離手段は、上記集光手段から見て、情報の記録/再生を行っている上記情報記録層よりも遠い情報記録層で反射されたメインビームおよびサブビームが集光される領域を除く領域で、トラッキング用メインビームおよびトラッキング用サブビームを分離するものであってもよい。
上記目的外層のうち、上記目的層よりも上記集光手段から遠い情報記録層で反射された光ビームは、当該光ビームの光路長の差により、分離手段上に、目的層で反射され分離手段に集光された光ビームの領域に比べて、小さい領域に集光されることとなる。上記の構成によれば、上記分離手段は、上記集光手段から見て、上記目的層よりも遠い情報記録層で反射された光ビームが集光される領域以外の領域(つまり、上記小さい領域を除く領域)を用いてトラッキング用光ビームを分離している。これにより、上記目的層よりも上記集光手段から遠い情報記録層で反射された光ビームが、トラッキング受光手段に照射されることを防止することができる。従って、上記目的層よりも上記集光手段から遠い情報記録層で反射された光ビーム(迷光)のみを受光するための補助受光部を設ける必要がない。
なお、上記分離手段は、上記記録媒体で反射された光ビームの光軸付近の領域を除く領域でトラッキング用光ビーム(トラッキング用メインビームおよびトラッキング用サブビーム)を分離するものである構成としてもよい。
また、上記トラッキング受光手段は、上記分離手段がメインビームおよびサブビームを分離する分離領域のうち、上記集光手段から見て、情報の記録/再生を行っている上記情報記録層よりも遠い情報記録層で反射されたメインビームおよびサブビームが当該分離手段に集光される領域を除く領域で分離されたメインビームおよびサブビームを受光する構成としてもよい。
本発明の光ピックアップ装置において、上記補助受光部は、上記トラッキング用サブ受光部と隣り合って配置されていてもよい。
上記の構成によれば、補助受光部がトラッキング用サブ受光部と隣り合って配置されていることよって、トラッキング用サブ受光部が受光した迷光の光密度を正確に得ることができる。そして、上記補助受光部の受光面積が、上記トラッキング用サブ受光部の受光面積よりも小さくなっていることで、トラッキング用メイン受光部が受光した迷光による誤差についても相殺することができる。
上記光ピックアップ装置は、差動プッシュプル法を用いてトラッキングサーボ信号を得るものであってもよい。
本発明の光ピックアップ装置では、補助受光部の受光面積を、トラッキング用サブ受光部の受光面積よりも小さくしている。そして、本発明の光ピックアップ装置が、上記のように、差動プッシュプル法を用いてトラッキングサーボ信号を得るものであれば、層間クロストークを除去する場合に、補助受光部から検出された光量を用いて、トラッキング用サブ受光部に発生するオフセットとトラッキング用メイン受光部に発生するオフセットとを併せた形で層間クロストークを除去することができる。つまり、トラッキング用メイン受光部、トラッキング用サブ受光部のそれぞれに対応した補助受光部を設けることなく、1つの補助受光部のみで、トラッキングサーボ信号を求める場合に発生するオフセットをより確実に相殺し、より正確なトラッキングサーボ信号を得ることができる。
本発明の光ピックアップ装置において、上記分離手段は、ホログラムであってもよい。
上記の構成とすることにより、簡単な構成で、光ビームを分離することができるので、装置の小型化を図ることができる。
また、本発明の光ピックアップ装置には、記録媒体に対して光ビームを照射する光源と、上記光源から照射された光ビームから1つのメインビームと、2つのサブビームとを生成する生成手段とがさらに備えられていてもよい。
上記の構成によれば、3ビームを用いた差動プッシュプル法を用いて、正確なトラッキングサーボ信号を得ることができる。
また、本発明の光ピックアップ装置は、上記分離手段と、上記受光手段と、上記光源と、上記生成手段とが一体化された構成となっていてもよい。
上記の構成によれば、上記分離手段と受光手段と光源と生成手段とが一体化されているので、光ピックアップ装置を小型化することができる。
また、本発明にかかる情報記録/再生装置は、上記のいずれかの光ピックアップ装置を備えることを特徴とするものである。
上記の構成によれば、上記の光ピックアップ装置を備えているので、複数の情報記録層を有する記録媒体であっても、良好に情報の再生/記録を行うことができる。
本発明にかかる光ピックアップ装置は、以上のように、上記受光手段が、上記トラッキング用メインビームを受光するトラッキング用メイン受光部、上記トラッキング用サブビームを受光するトラッキング用サブ受光部、および、トラッキングサーボ信号に誤差が生ずることを抑制するための誤差量算出用の受光部として、情報の記録/再生を行っている上記情報記録層以外の情報記録層で反射された光ビームのみを受光する補助受光部を有しており、上記補助受光部の受光面積は、上記トラッキング用サブ受光部の受光面積よりも小さいことを特徴としている。
また、本発明にかかる光ピックアップ装置は、以上のように、上記受光手段が、上記トラッキング用メインビームを受光するトラッキング用メイン受光部、上記トラッキング用サブビームを受光するトラッキング用サブ受光部、および、トラッキングサーボ信号に誤差が生ずることを抑制するための誤差量算出用の受光部として、情報の記録/再生を行っている上記情報記録層以外の情報記録層で反射された光ビームのみを受光する補助受光部を有するとともに、上記受光手段は、上記の各受光部が受光した光量に基づいてトラッキングサーボ信号を算出する演算回路と接続されており、上記演算回路には、上記の各受光部が受光した光量に基づいて出力された信号にゲインを付加するゲイン調整器が備えられ、かつ、上記ゲイン調整器は、上記トラッキング用サブ受光部に由来する信号に付加するゲインよりも小さなゲインを、上記補助受光部に由来する信号に付加することを特徴としている。
上記のいずれかの構成によれば、トラッキングサーボ信号を算出する際に、補助受光部をトラッキング用メイン受光部およびトラッキング用サブ受光部のそれぞれに対して設けることなく、両方に入射した迷光による誤差の発生を抑制することができる。これによって、受光手段全体の面積が大型化することなく、また、各受光部に付随する回路の複雑化を招くことなく、より正確なトラッキングサーボ信号を得ることができるという効果を奏する。
〔実施の形態1〕
本発明の実施の形態1について説明すると以下の通りである。本実施の形態にかかる光ピックアップ装置は、光ディスク等の記録媒体に対して光学的に情報を記録または再生する光ディスク装置(情報記録/再生装置)に備えられたものである。そして、この光ピックアップ装置は、記録媒体に対して情報の記録を行う場合、3ビーム(1つのメインビームと2つのサブビーム)を用いた差動プッシュプル法(以下、DPPと呼ぶ)によってトラッキング制御を行うものである。
なお、以下の説明では、複数の記録層を有する記録媒体のうち、光ピックアップ装置にて情報の記録/再生を行っている記録層以外の記録層を目的外層、情報の記録/再生を行っている記録層を目的層として説明する。つまり、目的層以外の記録層が目的外層となる。
図2は、本実施の形態にかかる光ピックアップ装置7の概略の構成を示す側面図である。光ピックアップ装置7は、レーザ光源(光源)1、回折部(生成手段)2、対物レンズ(集光手段)3、ビームスプリッタ10、ホログラム5(分離手段)および受光体(受光手段)6を備えている。
レーザ光源1は、光ディスク(記録媒体)4に対してレーザ光を照射するものである。上記レーザ光源1は、例えば、波長650nmのレーザビーム(光ビーム)を出射する。なお、レーザ光源1から出射される光ビームの波長は特に限定されるものではなく、例えば、405nmであってもよい。
回折部2は、レーザ光源1と上記光ディスク4との間に配置されており、レーザ光源1から出射される1つの光ビームから、1つのメインビーム(0次透過光)と2つのサブビーム(+1次回折光、−1次回折光)とを生成するものである。つまり、レーザ光源1から出射された光ビームは、回折部2にて3つの光ビームになる。本実施の形態では、回折部2は、レーザ光源1から対物レンズ3までの間(より詳細にはレーザ光源1からビームスプリッタ10までの間)に設けられている。そして、上記回折部2は、メインビームを、サブビームの光強度よりも大きくなるように、2種類の光ビームを生成している。より具体的には、上記回折部2は、2つのサブビームである+1次回折光と−1次回折光との光量の和よりもメインビームの光量が大きくなるように、上記メインビームとサブビームとを生成している。本実施の形態では、回折部2は、それぞれの光量が+1次回折光:0次透過光:−1次回折光=1:10:1となるように光ビームを回折している。また、上記回折部2が回折格子で構成されている場合には、当該回折格子の溝の深さによって、0次透過光と±1次回折光との割合を制御することができる。
対物レンズ3は、回折部2にて回折された3つの光ビームを光ディスク4上に集光させるものである。また、光ディスク4によって反射された光ビームは、上記対物レンズ3を通過して、ホログラム5に入射される。
ビームスプリッタ10は、光ディスク4から反射された3つの光ビーム(1つのメイン光ビームおよび2つのサブ光ビーム)をホログラム5に導くものである。本実施の形態では、光ディスク4で反射されて対物レンズ3を通過した3つの光ビームは、ビームスプリッタ10にて進行方向が変えられてホログラム5に導かれる。
ホログラム5は、光ディスク4で反射されて対物レンズ3を通過した光ビームを分離するものである。上記ホログラム5は、複数の領域に分割されており、上記対物レンズ3を通過した光ビームを各分割領域により分割して受光体6に入射させる。そして、具体的には、上記光ビームは、上記ホログラム5にて少なくともフォーカスサーボ信号を求めるためのフォーカス用光ビームとトラッキングサーボ信号を求めるためのトラッキング用光ビームとに分離される。なお、上記ホログラム5の分割パターンおよび受光体6の詳細な構成については後述する。
受光体6は、複数の受光素子を有し、上記ホログラム5にて分離された光ビーム(フォーカス用光ビーム、トラッキング用光ビーム)を受光(検出)して電気信号に変換するものである。上記受光体6では、受光された光ビームの光強度を検出する。また、上記受光体6は、フォーカス用光ビームを受光するフォーカス用受光部ABと、トラッキング用光ビームを受光するトラッキング用受光部(トラッキング受光手段)C・D・E・F・G・Hとを備えている。そして、フォーカス用受光部ABからは、フォーカスサーボ信号が生成され、また、トラッキング用受光部C・D・E・F・G・Hからは、トラッキングサーボ信号が生成される。なお、上記トラッキング用受光部は、トラッキング用メインビームを受光するトラッキング用メイン受光部C・Dと、トラッキング用サブビームを受光するトラッキング用サブ受光部E・F・G・Hとに分けられる。
上記の構成を有する光ピックアップ装置7において、レーザ光源1から出射された光ビームは、回折部2にて3つの光ビームに回折された後、ビームスプリッタ10を透過し、対物レンズ3によって光ディスク4上に集光される。光ディスク4で反射した光ビームは、再び、対物レンズ3を通り、ビームスプリッタ10で反射し、ホログラム5で3個以上の複数の光ビームに分割されて受光体6に入射する。
ここで、ホログラム5と受光体6との詳細な構成について説明する。図1は、ホログラム5の分離領域(分離パターン)と、受光体6に設けられた各受光部の配置を示す正面図である。なお、図中の矢印の方向はトラック方向を示している。
図1に示すように、上記ホログラム5は、3つの領域(5AB、5Cおよび5D)に分割されている。上記領域5ABは、上記メインビーム8が上記ホログラム5に照射された場合における、上記光ビームの光軸を中心として、当該光軸を含む直線で2分割されたうちの一方である。より詳細には、上記領域5ABは、ホログラム5の分離領域のうち、上記ホログラム5に照射されるメインビームの光軸を含みトラック方向と直交する方向の直線(以下、直交直線と称する)で2分割された領域のうちの一方の領域である。
そして、領域5Cおよび領域5Dは、それぞれ、ホログラム5の分離領域のうち、上記領域5AB以外の領域であり、上記光ビームの光軸を含みトラック方向と平行な直線(以下、平行直線と称する)と上記直交直線とで囲まれた領域である。つまり、上記光軸を中心として、直交直線と平行直線とで分割された4つの領域のうち、平行直線で分割された領域のうちの隣り合う2つの領域が、領域5C、5Dであり、直交直線で分割された一方の領域が領域5ABである。
そして、上記分割された3つの領域のうち、領域5ABで分割された光ビームは、フォーカスサーボ信号を求めるためのフォーカス用光ビームであり、上記領域5C、5Dで分割された2つの光ビームは、トラッキングサーボ信号を求めるためのトラッキング用光ビームである。フォーカス用光ビームは、フォーカス用受光部ABに照射され、トラッキング用光ビームは、トラッキング用受光部C・D・E・F・G・Hに照射される。
そして、上記領域5ABで分割されたメインビームは、フォーカスサーボ信号を求めるためのフォーカス用メインビーム8ABであり、上記領域5C、5Dで分割された2つのメインビームは、トラッキングサーボ信号を求めるためのトラッキング用メインビーム8C・8Dである。また、上記領域5ABで分割されたサブビームは、他のサブビーム(説明の便宜上フォーカス用サブビーム11AB・12ABと称する)であり、上記領域5C、5Dで分割された2つのサブビームは、トラッキングサーボ信号を求めるためのトラッキング用サブビーム11C・11D・12C・12Dである。なお、以下の説明では、メインビームとサブビームとを特に区別しない場合には、受光体6に入射される光ビームをフォーカス用光ビーム、トラッキング用光ビームと称して説明する。
また、受光体6は、図1に示すように、上記フォーカス用光ビームを受光するフォーカス用受光部ABと、トラッキング用光ビームを受光するトラッキング用受光部C・D・E・F・G・Hを備えている。具体的には、上記フォーカス用受光部ABは、ホログラム5の領域5ABにて分離されたフォーカス用光ビーム(フォーカス用メインビーム8AB)を受光するものであり、上記トラッキング用受光部のうち、C・E・Gは、上記領域5Cにて分離されたトラッキング用光ビーム8C・11C・12Cを受光するものであり、上記トラッキング用受光部のうち、D・F・Hは、上記領域5Dにて分離されたトラッキング用光ビーム8D・11D・12Dを受光するものである。
また、上記領域5Cにて分離されたトラッキング用光ビームを受光するトラッキング用受光部C・E・Gのうち、Cは、0次透過光であるトラッキング用メインビーム8Cを受光するトラッキング用メイン受光部であり、EおよびGは、±1次回折光である2つのトラッキング用サブビーム11C・12Cをそれぞれ受光するトラッキング用サブ受光部である。
また、上記領域5Dにて分離されたトラッキング用光ビームを受光するトラッキング用受光部D・F・Hのうち、Dは、0次透過光であるトラッキング用メインビーム8Dを受光するトラッキング用メイン受光部であり、FおよびHは、±1次回折光である2つのトラッキング用サブビーム11D・12Dをそれぞれ受光するトラッキング用サブ受光部である。
ホログラム5によって分離される上記の各光ビームが、受光体6に照射される位置については、図1では影を付して示している。
そして、上記トラッキング用メイン受光部C、トラッキング用サブ受光部EおよびG(D、FおよびH)は、トラッキング用メイン受光部C(D)を真中としてその両隣になるようにトラッキング用サブ受光部EおよびG(FおよびH)がトラック方向に延びるように、それぞれ配置されている。なお、上記の説明において、メインビームおよびサブビームは目的層で反射された光ビームである。
さらに、上記光ピックアップ装置7には、トラッキング用サブ受光部EおよびG(FおよびH)と隣り合って、補助受光部VおよびX(WおよびY)が配置されている。具体的には、上記補助受光部VおよびX(WおよびY)は、トラッキング用サブ受光部EおよびG(FおよびH)のトラッキング用メイン受光部C(D)と隣り合っている端部とは反対側の端部において隣り合って、トラッキング方向に延びるように配置されている。
この補助受光部VおよびX(WおよびY)は、上記目的外層にて反射した光ビーム(以下、迷光と称する)のみを受光するものである。つまり、光ディスク4が単層の場合には、補助受光部VおよびX(WおよびY)には光は入射しない。
そして、領域5Cにて分離されたトラッキング用光ビームを受光する5つの受光部(補助受光部V、トラッキング用サブ受光部E、トラッキング用メイン受光部C、トラッキング用サブ受光部G、補助受光部X)および、領域5Dにて分離されたトラッキング用光ビームを受光する5つの受光部(W、F、D、H、Y)は、トラッキング方向に沿って、上記の順に配置されている。また、上記各5つの受光部からなる2つの群(V・E・C・G・X、および、W、F、D、H、Y)は、フォーカス用受光部ABから見て同じ側に並列して配置されている。上記2つの群を隣り合って並列に配置することにより、受光体6の大きさ(面積)を小さくすることができる。なお、図1において、一点鎖線は、ホログラム5における光軸を含む直線(直交直線、平行直線)と対応した一を示している。
そして、上記領域5ABで回折されたメインビーム8は、フォーカス用受光部ABにフォーカス用メインビーム8ABよして入射する。また、領域5ABで回折されたサブビーム11・12(図示せず)は、フォーカス用受光部ABを挟んで、受光部が備えられていない場所にサブビーム11AB・12ABとして入射する。つまり、領域5Aで回折されたサブビーム11AB・12ABは、フォーカスサーボ信号およびトラッキングサーボ信号を求めるためには使用されない。
一方、上記領域5C(5D)で回折されたメインビーム8は、トラッキング用メイン受光部C(D)に入射される。また、領域5C(5D)で回折されたサブビーム11・12(図示せず)は、それぞれトラッキング用サブ受光部E・G(F・H)に入射される。
ここで、本実施の形態にかかる補助受光部V・X(W・Y)の形状について説明する。本実施の形態において、上記補助受光部V・X(W・Y)は、図1に示すように、その受光面積が、トラッキング用サブ受光部E・G(F・H)受光面積よりも小さくなっている。これについて以下に詳しく説明する。
先ず、補助受光部の形状に関する説明をする前に、光ディスク4が単層である場合におけるトラッキングサーボ信号(トラッキング誤差信号、以下の説明では、TESと称する)を差動プッシュプル法(以下、DPP法と称する)を用いて算出する方法について説明する。DPP法は、特に記録型光ディスク4の場合に多く用いられる。そして、DPP法では、トラッキング用メイン受光部Cで検出された光量を“C”、トラッキング用メイン受光部Dで検出された光量を“D”、トラッキング用サブ受光部E・Gで検出された光量をそれぞれ“E”・“G”、トラッキング用サブ受光部F・Hで検出された光量をそれぞれ“F”・“H”としたとき、上記TESは、下式(1)、
TES=(“C”−“D”)−K×{(“E”+“G”)−(“F”+“H”)}……(1)
の演算式により求める。なお、上記Kは、メインビームとサブビームとの光量の差から求められる任意の係数である。
つまり、領域5Cと領域5Dとで分離されたメインビームの差とサブビームの差とをそれぞれ算出して、これらの差分を取ることによりトラッキングサーボ信号を求めている。
次に、複数の記録層が積層された光ディスク4において発生する迷光(目的外層で反射されるメインビームおよびサブビーム)について説明する。図1、3には、目的層から反射された光ビームと、目的層よりも対物レンズ3からの距離が近い迷光が、ホログラム5および受光体6に照射された場合のそれぞれのスポットを示す正面図である。なお、図3は、受光体に補助受光部が設けられていない場合である。また、図中では、目的外層から反射された光ビーム(迷光)を点線で示している。以下の説明では、2層ディスクについて説明するが、記録層の数については特に限定されるものではない。
目的層よりも対物レンズ3側の記録層(目的外層)からの光ビーム(以下、ニア側迷光と称する)8nと目的層からの光ビーム8とは、両者の光路長の差によって、ホログラム5および受光部6に入射する光ビームの面積が異なる。具体的には、図1に示すように、ホログラム5および受光部6に入射するニア側迷光8nは、光路長の差および対物レンズ33の影響により、光ビーム8よりもその照射面積が大きくなる。つまり、ホログラム5および受光部6に形成されるスポットは、光ビーム8よりもニア側迷光8nのほうが大きい。
なお、図1、3において、光ビーム8およびニア側迷光8nは、回折部2によって、それぞれメインビームとサブビームとが存在しているが、説明の便宜上、ニア側迷光8nについては0次透過光のみを示している。なお、実施の形態では0次透過光>>±1次回折光となっており、以下の説明では、オフセットに強い影響を与える(光量の多い)0次透過光のみについて説明する。
図1に示すように、領域5ABにて分離されたニア側迷光8nは、フォーカスニア側迷光8nABとしてフォーカス用受光部ABに入射する。このとき、フォーカスニア側迷光8nABは、領域5ABにて分離された光ビーム8よりもフォーカス用受光部AB上に形成されるスポットの大きさは大きくなる。また、領域5C(5D)にて分離されたニア側迷光8nは、トラッキングニア側迷光8nC(8nD)としてトラッキング用メイン受光部C(D)に入射する。このとき、トラッキングニア側迷光8nC(8nD)は、領域5C(5D)にて分離された光ビーム8よりもトラッキング用メイン受光部C(D)上に形成されるスポットの大きさは大きくなる。そして、上記トラッキングニア側迷光8nC(8nD)は、その光ビームの照射面積の大きさのために、トラッキング用サブ受光部G(H)および補助受光部X(Y)にも照射される。
つまり、上記トラッキングニア側迷光8nC(8nD)が、トラッキング用サブ受光部G(H)に照射されることにより、オフセットが生じることとなる。また、トラッキング用メイン受光部C(D)にも、同様にオフセットが発生している。このため、上記TESは、下式(2)、
TES={(“C”+Δc)−(“D”+Δd)}−K×{(“E”+“G”+Δg)−(“F”+“H”+Δh)}……(2)
となる。上記Δc(Δd)は、トラッキングニア側迷光8nC(8nD)がトラッキング用メイン受光部C(D)に入射することにより発生するオフセットを示しており、上記Δg(Δh)は、トラッキングニア側迷光8nC(8nD)がトラッキング用サブ受光部G(H)に入射することにより発生するオフセットを示している。
ここで、迷光(トラッキングニア側迷光8nC(8nD))による各オフセット量が全く同じであれば、補助受光部を設けなくても、オフセットをキャンセルすることができるが、実際には、例えば、光ピックアップ装置7の組立て誤差等により、図中の左右方向(ラジアル方向)にトラッキングニア側迷光8nC(8nD)が移動するため、Δc≠Δd、Δg≠Δhとなる。
そのため、正確なTESを得るためには、各受光部C・D・E・F・G・Hという6個の受光部のそれぞれに対応した6個の補助受光部が必要となる。しかしながら、6個の補助受光部を設けると、受光体6全体のサイズが大型化するとともに、各受光部に接続される回路が複雑化するという問題が発生する。
そこで、本実施の形態では、補助受光部V・X(W・Y)の受光面積を、トラッキング用サブ受光部E・G(F・H)の受光面積よりも小さくしている。そして、図1に示すように、受光体6においては、トラッキング用サブ受光部Eに隣り合って配置された補助受光部V、トラッキング用サブ受光部Gに隣り合って配置された補助受光部X、トラッキング用サブ受光部Fに隣り合って配置された補助受光部W、トラッキング用サブ受光部Hに隣り合って配置された補助受光部Yという計4個の補助受光部が設けられている。
なお、上記受光面積とは、受光部全体の面積のうち、実際に光ビームを面積のことを意味しており、受光部自体の面積(すなわち、受光部が受光可能な面積)とは異なる。しかし、本実施の形態のように各受光部を配置した場合には、補助受光部V・X(W・Y)自体の面積が、トラッキング用サブ受光部E・G(F・H)自体の面積よりも小さくなっている。
そして、上記式(2)において、補助受光部Xおよび補助受光部Yにより得られる出力信号を、それぞれx、yとすると、上記TESは、下式(3)、
TES={(“C”+Δc)−(“D”+Δd)}−K×{(“E”+“G”+Δg−x)−(“F”+“H”+Δh−y)}……(3)
となる。
ここで、Δc−K×(Δg−x)=0、Δd−K×(Δh−y)=0となるようにx、yを決定した場合、トラッキング用メイン受光部C(D)およびトラッキング用サブ受光部E・G(F・H)に発生するオフセットをキャンセルすることができる。そして、本実施の形態では、このようなx、yとなるように、補助受光部X・Yおよび補助受光部W・Yの受光面積(形状)を決定している。換言すると、本実施の形態にかかる補助受光部Xおよび補助受光部Yの受光面積は、トラッキング用メイン受光部C(D)およびトラッキング用サブ受光部E・G(F・H)によって発生するオフセットをキャンセルすることができるように設定されている。
そして、例えば、補助受光部Xおよび補助受光部Yと、トラッキング用サブ受光部E・G(F・H)との受光面積を互いに同じとした場合、Δg=x、Δh=yとなるため、K×(Δg−x)、K×(Δh−y)の部分のオフセットをキャンセルすることが可能であるが、Δc−Δdのオフセット(Δc≠Δd)は残留することとなる。そこで、本実施の形態では、上記トラッキング用メイン受光部C(D)によって発生するオフセットをキャンセルするために、つまり、Δg−x>0、Δh−y>0とするために、補助受光部Xおよび補助受光部Yの受光面積を、トラッキング用サブ受光部G(H)の受光面積よりも小さくしている。また、目的層よりも対物レンズからの距離が遠い迷光に起因する誤差の発生を抑えるために、補助受光部Vおよび補助受光部Wの受光面積を、トラッキング用サブ受光部E(F)の受光面積よりも小さくしている。
なお、上記の説明は、目的層よりも対物レンズ3からの距離が近い迷光(二ア側迷光)が、受光体6に照射された場合について述べたものである。一方、目的層よりも対物レンズ3からの距離が遠い迷光(ファー側迷光)が、受光体6に照射された場合については、当該ファー側迷光は、ニア側迷光とは逆の形状(つまり、トラッキング方向に反転した形状)で受光体6に照射される。それゆえ、ファー側迷光は、補助受光部V(W)に入射される。この場合も、補助受光部V(X)の受光面積がトラッキング用サブ受光部E(F)の受光面積よりも小さくなっているため、補助受光部Vおよび補助受光部Wによって得られる出力信号を用いて、ニア側迷光と同様にして、トラッキング用メイン受光部およびトラックング用サブ受光部によって発生するオフセットをキャンセルすることができる。
また、本実施の形態の光ピックアップ装置7においては、図4に示すように、ホログラム5の領域5Cで分離されたトラッキングニア側迷光8nCのみを受光する補助受光部X(V)の受光面積とホログラム5の領域5Dで分離されたトラッキングニア側迷光8nDのみを受光する補助受光部Y’(W’)の受光面積とを、互いに異ならせている。より詳細には、補助受光部X(V)と補助受光部Y’(W’)とのそれぞれの受光面積は、それぞれに入射する光ビームの密度(単位面積あたりの光量)に応じた面積を有している。これについて説明する。
ホログラム5にて、目的層で反射された光ビームおよび迷光を分離して各受光体6に入射する場合、当該ホログラム5の分割パターンや、当該分割パターンと各受光体6が設けられている位置によっては、上記ホログラム5の領域5Cと領域5Dとの分離された光ビームは、互いに、分離角度およびホログラム5から受光体6までの光路長が異なることとなる。例えば、領域5Cと領域5Dとの分離された光ビームが、ホログラム5にて、互いに異なる分離角度で、各受光体6に入射する場合、当該各受光体6に照射された光ビームのビーム径は異なる。
具体的には、上記分離角度が大きければ大きいほどビーム径は大きくなる。この場合には、トラッキング用メイン受光部Cとトラッキング用メイン受光部Dとに入射する迷光の密度(単位面積当たりに入射する光量)は異なる。また、トラッキング用サブ受光部E・Gとトラッキング用サブ受光部F・Hとに入射する上記光ビームの密度も異なる。そして、補助受光部V・Xと補助受光部W・Yとに入射する上記光ビームの密度も異なる。
従って、図4に示す受光体6では、補助受光部V・Xと補助受光部W’・Y’とに照射された迷光の密度が同じになるように、当該補助受光部V・Xと補助受光部W’・Y’との受光面積を設定している。具体的には、補助受光部V・Xと補助受光部W’・Y’との受光面積を互いに異ならせることにより、分離角度が異なっている光ビームが両者に照射される場合であっても、両者が受光する上記密度を同じにすることができる。
また、本実施の形態にかかる光ピックアップ装置では、図9に示すように、上記レーザ光源1、回折部2、ホログラム5および受光部6を一体化させて集積ユニット20とすることにより、光ピックアップ装置の小型化を図ることができる。そして、上記集積ユニット20と対物レンズ3(および対物レンズ3を駆動させる駆動源)とを有するものが光ピックアップ装置7である。なお、上記ホログラム5の代わりに分離手段としてプリズムを用いてもよい。
ここで、本実施の形態にかかる光ピックアップ装置7(光ピックアップユニット)を備えた情報記録/再生装置について説明する。
本実施の形態に係る情報記録/再生装置50は、図10に示すように、光ディスク4を回転駆動するスピンドルモータ51、光ディスク4に情報を記録再生する光ピックアップ装置7、上記スピンドルモータ51および光ピックアップ装置7を駆動制御するための駆動制御部52を備えている。
上記駆動制御部52は、上記スピンドルモータ51の駆動制御を行うスピンドルモータ駆動回路、対物レンズ3をフォーカス方向に移動させるフォーカス・アクチュエータの駆動制御を行うフォーカス駆動回路、上記対物レンズ3をラジアル方向に移動させるトラッキング・アクチュエータの駆動制御を行うトラッキング駆動回路を有するとともに、上記光ピックアップ装置7から得られた信号から上記の各制御回路への制御信号を生成するための制御信号生成回路、上記光ピックアップ装置7から得られた信号から光ディスク4に記録されている情報を再生し、再生信号を生成するための情報再生回路を有している。
〔実施の形態2〕
本発明の実施の形態2について説明すると、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
本実施の形態にかかる光ピックアップ装置7(図2参照)では、各受光部が受光した光量に基づいてトラッキングサーボ信号を算出するための演算回路が、受光体と接続されており、この演算回路には、各受光部が受光した光量に基づいて出力された信号にゲインを付加するゲイン調整器が備えられている。
図5には、本実施の形態にかかる受光体6の一部と、この受光体6の各受光部に接続された演算回路30とを示す。なお、補助受光部の形状を除く受光体6の構成については、前記実施の形態1と同じであるためその説明を省略する。
図5に示すように、本実施の形態にかかる光ピックアップ装置7においては、受光体6における各受光部が受光した光量に基づいてトラッキングサーボ信号を算出するための演算回路30が、受光体6に接続して設けられている。この演算回路30には、各受光部(すなわち、トラッキング用メイン受光部C・G、トラッキング用サブ受光部E・G・F・H、補助受光部V・X・W・Y)が受光した光量に基づいて出力された出力信号にゲインを付加するゲイン調製器15が備えられている。そして、このゲイン調製器15では、トラッキング用サブ受光部E・G・F・Hからの出力信号に付加するゲインよりも小さなゲインを、補助受光部V・X・W・Yからの出力信号に付加している。
以下に、本実施の形態におけるゲインの付加方法についてより詳しく説明する。
図5に示すように、本実施の形態の光ピックアップ装置7においては、トラッキング用サブ受光部E・G(F・H)、および、補助受光部V・X(W・Y)からの出力信号にゲインを付すゲイン調整器15が備えられている。上記ゲイン調整器は、トラッキング用サブ受光部E・G(F・H)から出力される出力信号、補助受光部X(またはV)から出力される出力信号、および、補助受光部Y(またはW)から出力される出力信号に対して、個別にゲインを付すことができる。
ここでは、まず、補助受光部Xおよび補助受光部Yから出力される出力信号に同じゲインを付加する場合について説明する。
補助受光部Xおよび補助受光部Yにより得られる出力信号を、それぞれx、yとすると、上記TESは、実施の形態1で述べたように、下式(3)、
TES={(“C”+Δc)−(“D”+Δd)}−K×〔{(“E”+“G”+Δg)×I−x×M}−{(“F”+“H”+Δh)×I−y×M}〕……(3)
となる。
そして、トラッキング用サブ受光部E・G(F・H)から出力される出力信号に付すゲインをIとし、補助受光部XおよびYから出力される出力信号に付すゲインをMとする。
Δc−K×(Δg×I−x×M)=0、Δd−K×(Δh×I−y×M)=0
となるように、上記ゲインMを設定することにより、トラッキング用メイン受光部C(D)およびトラッキング用サブ受光部E・G(F・H)に発生するオフセットをキャンセルすることができる。
ここで、補助受光部Xおよび補助受光部Yと、トラッキング用サブ受光部E・G(F・H)との受光面積を互いに同じとした場合、Δg=x、Δh=yとなる。このとき、もし、各出力信号に付すゲインを同じにすると(すなわち、I=Mとすると)、K×(Δg×I−x×M)、K×(Δh×I−y×M)の部分のオフセットをキャンセルすることが可能であるが、Δc−Δdのオフセット(Δc≠Δd)は残留することとなる。
そこで、本実施の形態では、上記トラッキング用メイン受光部C(D)によって発生するオフセットをキャンセルするために、トラッキング用サブ受光部G(H)からの出力信号に付加するゲインよりも小さなゲインを、補助受光部X(Y)からの出力信号に付加するつまり、Δg×I−x×M>0、Δh×I−y×M>0とするために、I>Mとしている。
次に、補助受光部Xから出力される出力信号に付加するゲインと、補助受光部Yから出力される出力信号に付加するゲインとが、互いに異なる場合について、図6を用いて説明する。
図6に示す光ピックアップ装置の受光体6においては、受光体6における各受光部が受光した光量に基づいてトラッキングサーボ信号を算出するための演算回路30が、受光体6に接続して設けられている。この演算回路30には、各受光部(すなわち、トラッキング用メイン受光部C・D、トラッキング用サブ受光部E・G・F・H、補助受光部V・X・W・Y)が受光した光量に基づいて出力された出力信号にゲインを付加するゲイン調製器15’が備えられている。そして、このゲイン調製器15’では、トラッキング用サブ受光部E・G・F・Hからの出力信号に付加するゲインよりも小さなゲインを、補助受光部V・X・W・Yからの出力信号に付加している。
さらに、図6に示す受光体6のトラッキング用メイン受光部C・Dには、ホログラム5(図示せず)の領域5C、5Dによって分離された2つのトラッキング用メインビームがそれぞれ照射される。また、トラッキング用サブ受光部E・GおよびF・Hには、ホログラム5の領域5C、5Dによって分離された2つのトラッキング用サブビームがそれぞれ照射される。
また、図6に示す受光体6には、領域5Cによって分離されたトラッキング用メインビームおよびトラッキング用サブビームに対応した補助受光部V・Xが設けられているとともに、領域5Dによって分離されたトラッキング用メインビームおよびトラッキング用サブビームに対応した補助受光部W・Yが設けられている。そして、この2つに分離された上記トラッキング用メインビームおよびトラッキング用サブビームのそれぞれに対応して設けられた2種の補助受光部V・XおよびW・Yからの出力信号に対して付加する各ゲインは、互いに異なっている。
以下に、図6に示す受光体6におけるゲインの付加方法についてより詳しく説明する。
なお、この互いに異なるゲインの付加は、図6に示すように、トラッキング用受光部C・E・Gとトラッキング用受光部D・F・Hにそれぞれ入射する迷光8nCおよび8nDの密度が、互いに異なる場合に行うことが好ましい。ここでは、補助受光部Xからの出力信号に付加するゲインをMとし、補助受光部Yからの出力信号に付すゲインをNとして、MとNとを互いに異ならせるように設定する。具体的には、M>N、I>M、I>Nとする。
この場合には、
Δc−K×(Δg×I−x×M)=0、Δd−K×(Δh×I−y×N)=0
となるように、上記各ゲインM、N、Iを設定することにより、トラッキング用メイン受光部C(D)およびトラッキング用サブ受光部G(H)に発生するオフセットをキャンセルすることができる。
本実施の形態における具体的な演算方法としては、図5、6に示すように、補助受光部Xからの出力信号にゲインMを付した出力信号(ア)と、トラッキング用サブ受光部GとEの出力信号の加算信号(イ)との間で差動演算を行った結果出力(ウ)と、補助受光部Yからの出力信号にゲインM(またはN)を付した出力信号(エ)とトラッキング用サブ受光部HとFの出力信号の加算信号(オ)との間で差動演算を行った結果出力(カ)とから、さらに上記結果出力(ウ)と結果出力(カ)との間で差動演算を行い、この結果出力(キ)にゲインKを付したものと、トラッキング用メイン受光部CとDとの間で差動演算を行った結果出力(ク)との間で差動演算を行うことにより、TESを求めている。なお、TESの演算方法(算出方法)については上記に限定されるものではない。
これにより、補助受光部X(Y)の受光面積を変化させることなく、トラッキング用メイン受光部C(D)およびトラッキング用サブ受光部G(H)に発生するオフセットをキャンセルすることができる。
なお、上記のように各ゲインを設定する方法としては、例えば、光ピックアップ装置7が読み取る光ディスク4毎に、再生信号のジッター値やエラー率が最も小さくなるようにゲインを定めればよい。また、より簡単な最適化手法としては、ピックアップ組立て時に、基準となる多層光ディスク4を用いて、トラッキング信号のオフセットや再生信号のジッター値、エラー率を測定し、ベストなゲインを決定すればよい。
上記の説明は、目的層よりも対物レンズ3からの距離が近い迷光(二ア側迷光)が、受光体6に照射された場合について述べたものである。一方、目的層よりも対物レンズ3からの距離が遠い迷光(ファー側迷光)が、受光体6に照射された場合については、当該ファー側迷光は、ニア側迷光とは逆の形状(つまり、トラッキング方向に反転した形状)で受光体6に照射される。それゆえ、ファー側迷光は、補助受光部V(W)に入射される。この場合も、上記ゲイン調製器は、上記トラッキング用サブ受光部E(F)に由来する信号に付加するゲインよりも小さなゲインを、上記補助受光部V(W)に由来する信号に付加するため、補助受光部Vおよび補助受光部Wによって得られる出力信号を用いて、ニア側迷光と同様にして、トラッキング用メイン受光部およびトラックング用サブ受光部によって発生するオフセットをキャンセルすることができる。
また、本実施の形態にかかる光ピックアップ装置では、図9に示すように、上記レーザ光源1、回折部2、ホログラム5および受光部6を一体化させて集積ユニット20とすることにより、光ピックアップ装置の小型化を図ることができる。そして、上記集積ユニット20と対物レンズ3(および対物レンズ3を駆動させる駆動源)とを有するものが光ピックアップ装置7である。なお、上記ホログラム5の代わりに分離手段としてプリズムを用いてもよい。
ここで、本実施の形態にかかる光ピックアップ装置7(光ピックアップユニット)を備えた情報記録/再生装置について説明する。
本実施の形態に係る情報記録/再生装置50は、図10に示すように、光ディスク4を回転駆動するスピンドルモータ51、光ディスク4に情報を記録再生する光ピックアップ装置7、上記スピンドルモータ51および光ピックアップ装置7を駆動制御するための駆動制御部52を備えている。
〔実施の形態3〕
本発明の実施の形態3について説明すると、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
本実施の形態にかかる光ピックアップ装置7(図2参照)では、ホログラム5における、トラッキングサーボ信号を求めるために光ビームを分離する領域5Cと領域5Dの形状が、メインビームの光軸付近の領域を含まない領域になっている。図7、8には、本実施の形態にかかる光ピックアップ装置に備えられたホログラムと受光体を示す。これらの図に示すように、ホログラム5における領域5AB、5C、5Dの形状が、実施の形態1に示すホログラム5の形状とは異なっている。それ以外の構成については、実施の形態1と同じである。
図7は、目的層から反射された光ビームと、目的層よりも対物レンズ3からの距離が近い迷光が、ホログラム5および受光体6に照射された場合のそれぞれのスポットを示す正面図である。なお、図中では、目的外層から反射された光ビームを点線で示している。
ホログラム5は、上記のように、トラッキングサーボ信号を求めるために光ビームを分離する領域5Cと領域5Dの形状が、メインビームの光軸付近の領域を含まない領域になっている。具体的には、上記ホログラム5において光ディスク4から反射された光ビームを分離する領域である領域5Cおよび5Dは、上記対物レンズ3から見て、目的層よりも遠い目的外層で反射されたメインビームおよびサブビームが集光される領域を除く領域になっている。より詳細には、上記目的層よりも対物レンズ3から遠い側の迷光のビーム径の最大値よりも大きい部分を除く領域で、トラッキングサーボ信号を得る構成である。なお、上記大きい部分とは、対物レンズ3がトラッキングの際に移動しても、目的層よりも遠い迷光がはみ出さない部分を示している。
具体的には、例えば、ホログラム5上での光ディスク4から反射された光ビームの直径が600μmの場合には、光軸から、半径130μm程度(直径260μm)の円形部分を除く領域を用いてトラッキングサーボ信号を求めればよい。なお、上記数値は、光学系の構成(対物レンズ3の焦点距離・開口数、ホログラム5の分割パターン等)により異なる。
このため、ホログラム5の領域5Cと領域5Dとを通過したトラッキング用光ビームは、受光部上に、ドーナツ状の中抜きの1/4円となって、トラッキング用メイン受光部C(D)、トラッキング用サブ受光部E・G(F・H)に照射する。従って、図7に示すように、ホログラム5の領域5C(5D)を通過し、目的層から反射されたトラッキング用光ビームは、トラッキング用メイン受光部X(Y)およびトラッキング用サブ受光部E・G(F・H)に、中抜きの1/4円の形状で入射する。また、トラッキングニア側迷光8nC(8nD)も同様に入射する。
一方、ホログラム5の領域5ABは、上記光軸付近の領域を含んだ領域となっている。そして、領域5ABを通過し、目的層から反射したフォーカス用光ビームは、フォーカス用受光部ABに、大きな半円と小さな半円とを併せた形のスポットを形成することとなる。また、このとき、迷光も上記目的層から反射したフォーカス用光ビームと同じ形状でフォーカス用受光部ABに入射することとなる。
図8は、目的層から反射された光ビームと、目的層よりも対物レンズ3からの距離が遠い迷光が、ホログラム5および受光体6に照射された場合のそれぞれのスポットを示す正面図である。図8に示すように、迷光(メインビームとサブビームとの両方)は、ホログラム5の領域5ABのみに照射されている。つまり、上記迷光は、トラッキングサーボ信号を求めるために光ビームを分離する領域5Cと領域5Dとには照射されていない。また、トラッキング制御のために、対物レンズ3を移動させた場合であっても、上記迷光は、領域5Cと領域5Dとには照射されない。
従って、上記トラッキングファー側迷光8fは、フォーカス用受光部ABのみに照射され、トラッキング用メイン受光部C(D)、トラッキング用サブ受光部E・G(F・H)、および、補助受光部X(Y)には照射されない。
つまり、ホログラム5のトラッキングサーボ信号を求めるための領域5Cおよび5Dを、トラッキングファー側迷光8fが、トラッキング用の各受光部C・E・G(D・F・H)に入射しない形状とすることにより、トラッキングファー側迷光8fD、トラッキングファー側迷光8fCによるオフセットを検出するための補助受光部V、Wを設ける必要がない。そのため、補助受光部の個数を減らすことができるとともに、装置の小型化を図ることができる。
また、本実施の形態にかかる光ピックアップ装置では、図9に示すように、上記レーザ光源1、回折部2、ホログラム5および受光部6を一体化させて集積ユニット20とすることにより、光ピックアップ装置の小型化を図ることができる。そして、上記集積ユニット20と対物レンズ3(および対物レンズ3を駆動させる駆動源)とを有するものが光ピックアップ装置7である。なお、上記ホログラム5の代わりに分離手段としてプリズムを用いてもよい。
ここで、本実施の形態にかかる光ピックアップ装置7(光ピックアップユニット)を備えた情報記録/再生装置について説明する。
本実施の形態に係る情報記録/再生装置50は、図10に示すように、光ディスク4を回転駆動するスピンドルモータ51、光ディスク4に情報を記録再生する光ピックアップ装置7、上記スピンドルモータ51および光ピックアップ装置7を駆動制御するための駆動制御部52を備えている。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。