JP3853144B2 - 電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池の未使用状態、すなわち電池が新しいか古いかを識別することのできるシールを貼り付けた電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電池の未使用状態、いわゆるバージン性を識別できるように、種々の方法が考案されている。
例えば、実開昭52−72029号公報には、熱可塑性合成樹脂製の断面L字状の絶縁リングと、これと一体成形された架橋状の帯状部とからなる正極端子面用封止具が開示されている。
しかし、この封止具は構造が複雑であり、一体成形工程そのものが煩雑になるという問題がある。また、封止具を正極端子面へ取り付けることが比較的困難であるという問題がある。さらに、この封止具は負極端子面には適用できない。
【0003】
つぎに、実開昭54−48934号公報には、紙などの絶縁性薄板の中心部の周辺に小さな孔を設け、中心部以外の部分に接着剤を塗布して得られる乾電池用の新旧区分板が開示されている。また、特開昭58−169768号公報には、乾電池用封印テープが開示されている。このテープは、帯状のテープ本体の一方の面に粘着剤を塗布し、得られる粘着面の中央部に沿って帯状フィルムを接着し、前記フィルムをベースに接着し、切り込みによって、前記フィルムがテープ本体中央部に位置する封印テープを前記ベースから引きはがすことができるように形成することによって得られる。
しかし、これらの公報に記載されている接着剤は、いわゆる粘着性を有する接着剤であり、正極端子面および負極端子面のいずれにも適用が可能であるが、貼り付けの作業性に劣るという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の問題点に鑑み、本発明は、正極端子および負極端子のいずれにも用いることができ、かつ貼り付け作用が容易な新旧識別シールを貼り付けてなる電池を得ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、正極端子および負極端子の少なくとも一方に、感熱性接着剤層を有する絶縁基材からなる新旧識別シールが、前記接着剤層を介して、貼り付けられ、前記絶縁基材は熱収縮性樹脂フィルムからなり、前記感熱性接着剤の感熱接着温度が、前記熱収縮性樹脂フィルムの熱収縮温度よりも低い電池を提供する。
また、前記シールが、前記正極端子面および/または負極端子面に接する部分に、非接着剤層を有するのが好ましい。
また、前記電池が熱収縮性外装材で覆われており、前記新旧識別シールが前記外装材と一体に形成されているのが有効である。
ここで、本発明において、「端子面」とは、電池の端子における最も外側の端部に位置する面をいう。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、感熱性接着剤層を有する絶縁基材からなる新旧識別シール(以下、「識別シール」という。)により、前記接着剤層を介して、正極端子および負極端子の少なくとも一方が覆われている電池を提供する。
ここで、本発明の最大の特徴は、識別シールに、感熱性接着剤層を設けた点にある。かかる感熱性接着剤層があると、感熱性接着剤層の部分をポイント的に加熱するだけで、識別シールを正極端子面および/または負極端子面に貼り付けることができるのである。さらに、感熱性接着剤層によれば、識別シールを一旦剥がすと、加熱源がないかぎり再び貼り付けることができず、バージン性の確保に対する信頼性が向上するという利点がある。
【0007】
本発明における識別シールは、感熱性接着剤層を有する絶縁基材からなる。
絶縁基材としては、絶縁性を有し、電池の正極端子および負極端子に沿って貼り付けることができるように、ある程度折り曲げたりすることのできるものであれば特に制限はない。例えば、紙、各種樹脂フィルムなどがあげられる。なかでも、端子の形状に沿って収縮することにより端子を密着して覆うため、識別シールの周縁部が引っかかりにくく取れにくいという信頼性の観点から、熱収縮性フィルムを用いるのが好ましい。
熱収縮性樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドなどより形成される(例えば厚さ0.01〜0.2mm程度)単層または多層のフィルムを使用することができる。前記熱収縮性フィルムとしては、電池に貼り付けたときに周方向に大きく収縮するように、一軸または二軸に延伸して形成されたフィルムを用いるのが好ましい。
【0008】
また、感熱性接着剤層を形成する感熱接着剤としては、例えばポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体などのエチレン系樹脂に、ロジン、石油樹脂、テルペン樹脂などの粘着付与剤、可塑剤、滑剤などを添加して形成した接着剤を使用することができる。
この感熱性接着剤は、絶縁基材として熱収縮性フィルムを用いる場合に特に好ましい。例えば、感熱性接着剤の感熱接着温度と熱収縮性フィルムの熱収縮温度とを適宜選択することにより、感熱性接着剤による接着と熱収縮性フィルムの熱収縮との順序を変えることができる。
感熱性接着剤の感熱接着温度が熱収縮性フィルムの熱収縮温度より低い場合は、識別シールを貼り付ける際に徐々に加熱することにより、まず接着させてから、熱収縮させることができる。また、反対に感熱性接着剤の感熱接着温度が熱収縮性フィルムの熱収縮温度より高い場合は、識別シールの適用に当たって、まず熱収縮させてから接着することができる。確実に、かつ美観を損なわずに識別シールを配するという観点からは前者が好ましいと考えられる。
【0009】
つぎに、図面を参照しながら、本発明の識別シールの形態について説明する。なお、本発明における識別シールの形態は、少なくとも正極端子面および負極端子面を有効に封止することができればこれらのみに限定されるものではない。
(1)正極端子について
まず、正極端子用の識別シールの形態の例について説明する。
図1は、正極端子に識別シールを貼り付けた本発明の一実施の形態に係る電池の斜視図である。
図1に示すように、電池本体1の正極端子2に識別シール3を貼り付けることにより、本発明の電池が構成されている。
ここで、識別シール3は、正極端子2と接する両方の端部3’に、感熱性接着剤を塗布することにより形成された層を有するのが好ましい。このように、端部3’のみが接着剤層を有すれば、その上面のみを加熱することにより、識別シール3を正極端子2に貼り付けることができる。
また、正極端子2の最端部である正極端子面2’と接する識別シール3の部分に、感熱接着剤層を設けなければ、すなわち非接着剤層を設ければ、識別シール3を容易に取り外すことができるという利点がある。
【0010】
つぎに、図2は、正極端子に識別シールを貼り付けた本発明の別の実施の形態に係る電池の斜視図である。
電池の種類によって正極端子は種々の形状を採りうるため、正極端子2のうち少なくとも正極端子面2’を覆うことができれば、図2に示すように、正極端子の一部に識別シール3を貼り付ける態様としてもよい。なお、図2において、図1と同じ符号を用いて表した部分は前述と同じである。
【0011】
(2)負極端子について
図3および図4に、電池本体1の負極端子5に本願発明に係る識別シール3を貼り付ける態様を示す。図3は、負極端子に識別シールを貼り付けた本発明の一実施の形態に係る電池の斜視図である。また、図4は、負極端子に識別シールを貼り付けた本発明の別の実施の形態に係る電池の斜視図である。
図4に示すように、負極端子5の全面を覆うことのできる円形の識別シール3を貼り付けてもよい。ただし、剥がし易さの観点から、感熱性接着剤層は負極端子面以外の周縁部に設けるのが好ましい。
また、図3に示すような帯形状の識別シール3としてもよく、負極端子5の負極端子面5’と接する部分には感熱性接着剤層を設けず、識別シール3の両端部3’にのみ感熱性接着剤層を設けるのが好ましい。
なお、ここでは正極端子と負極端子について識別シールの形状を例示したが、これらの形状は正極端子および負極端子の間で任意に組み合わせて用いることができる。さらに、本発明に係る識別シールは、電池の形状に応じて適宜変更することが可能であり、これらの形状に限定されるものではない。
【0012】
(3)外装材との一体形成について
さらに、本発明における識別シールは、電池を覆う外装材と一体に形成されていると有効である。
図5に、外装材に一体に形成された識別シールを電池に設ける様子を説明するための図を示す。図5に示すように、外装材6には、識別シール3が一体に形成されており、その境界部にはミシン目7を設けるのが好ましい。また、識別シール3の正極端子2に面する側の面には、感熱性接着層を設けるが、識別シール3の取り外しが容易になるように、その端部8に感熱性接着剤が塗布されていないマージンを設けておくのが有効である。
また、正極端子2の正極端子面2’と接する部分には、感熱性接着剤層を設けないのが好ましい。
【0013】
つぎに、図6に、外装材に一体に形成された識別シールを有する電池の部分概略断面図を示す。
図6に示す矢印の部分に加熱しながら押圧することにより、外装材6で電池を覆うとともに、新旧識別シール3を正極端子2に貼り付けることができる。
端部8は接着していないため、これを引っ張れば、容易に識別シール3を剥がすことができる。また、正極端子面2’に感熱性接着剤層を設けていないため、識別シール3を容易に取り外すことができる。
【0014】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、貼り付け作業が容易で、バージン性の確保に関して信頼性に優れる電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】正極端子に識別シールを貼り付けた本発明の一実施の形態に係る電池の斜視図である。
【図2】正極端子に識別シールを貼り付けた本発明の別の実施の形態に係る電池の斜視図である。
【図3】負極端子に識別シールを貼り付けた本発明の一実施の形態に係る電池の斜視図である。
【図4】負極端子に識別シールを貼り付けた本発明の別の実施の形態に係る電池の斜視図である。
【図5】本発明の外装材に一体に形成された識別シールを電池に設ける様子を説明するための図である。
【図6】本発明の外装材に一体に形成された識別シールを有する電池の部分概略断面図である。
【符号の説明】
1 電池本体
2 正極端子
2’ 正極端子面
3 識別シール
3’ 端部
5 負極端子
5’ 負極端子面
6 外装材
7 ミシン目
8 端部
Claims (3)
- 正極端子および負極端子の少なくとも一方に、感熱性接着剤層を有する絶縁基材からなる新旧識別シールが、前記接着剤層を介して、貼り付けられ、前記絶縁基材が熱収縮性樹脂フィルムからなり、前記感熱性接着剤の感熱接着温度が、前記熱収縮性樹脂フィルムの熱収縮温度よりも低い電池。
- 前記新旧識別シールが、前記正極端子面および/または負極端子面に接する部分に、非接着剤層を有する請求項1記載の電池。
- 前記電池が熱収縮性外装材で覆われており、前記新旧識別シールが前記外装材と一体に形成されている請求項1または2記載の電池。
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