JP3852675B2 - 土木・建設用資材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般及び産業廃棄物を骨材として土木用、建設用等の資材に使用することを可能にし、特に、廃棄物の再資源化技術の一環として有用な、硫黄、硫黄変性剤及び骨材を混合する土木・建設用資材の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
硫黄は、119℃を越えると溶融し、常温では固体である性質を利用して、土木用、建設用等の資材の一つとしての利用が古くから試みられている。例えば、舗装材料(米国特許第4290816号明細書)、建築材料用結合材(特公昭55−49024号公報)あるいは廃棄物封鎖用結合材(特公昭62−15274号公報)として使用が検討されている。
これまで硫黄はその用途の一つに結合材があり、各種の骨材と混合して成形物が製造され、土木建設資材として使用されている。
【0003】
ところで、一般及び産業廃棄物は、埋め立て、焼却等の方法で処分されるが、そのための処分場所は近年ますます少なくなってきており、その再利用が極力求められている。例えば、焼却灰等の産業廃棄物を、土木埋立材や建設資材等とするには、圧縮・曲げ・引張り強度及び耐衝撃性等の機械的強度が十分であり、産業廃棄物中に含まれる重金属化合物の溶出を防ぐための遮水性、裸火で着火しない難燃性が必要である。更に、土中・海中で使用する場合には、表面硫黄を腐食する硫黄酸化細菌に対する耐久性等も必要とされる。
そこで、硫黄単独を結合材として産業廃棄物と混合した成形物が提案されているが、該成形物は物性上の多くの課題があり、使用方法が限定されている。このため、硫黄を利用して産業廃棄物を完全封鎖し、土木建設資材として使用可能な硫黄組成物を製造する改良技術が求められている。
その改良方法の一つとして、ジシクロペンタジエンの添加による硫黄の改善が検討されている。このような、ジシクロペンタジエンと硫黄との反応は、一種の重合反応といわれており、最初ジシクロペンタジエンと硫黄とが反応し、環状S8が開環して硫黄とシクロペンタジエンとが結合した前駆体が生成すると考えられており、生成時の発熱により硫黄がラジカル連鎖反応により高分子化する。そのため、大きな発熱を伴い、粘度の急上昇も起きる。従って、ジシクロペンタジエンと硫黄との反応は、急激な温度上昇及び粘度上昇のため、反応が制御できず、急激に固化して成形できない状態になるという問題がある。
また、これまでジシクロペンタジエンを添加する場合の製造条件については十分検討されておらず、ジシクロペンタジエン濃度、温度等の反応条件と、製造される結合材の望ましい性状との関係もまだ十分に判っていないのが実状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、土木・建設用資材の製造時における反応を容易に制御し、得られる成形物の表面状態や作業性を改善し、かつ得られる資材の機械的強度、遮水性、着火性、耐硫黄酸化細菌性等を改善できる土木・建設用資材の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、硫黄、硫黄変性剤及び骨材を含む硫黄組成物を混合して土木・建設用資材を製造する方法において、硫黄変性剤の使用量を硫黄量の2〜20質量%とし、硫黄と硫黄変性剤とを反応させ、GPCで測定した分子量が320〜500の変性硫黄前駆体の生成を確認し、反応系の粘度が140℃に換算して20〜200mPa・sの状態において、硫黄組成物全量に対して、骨材を60〜90質量%添加・混合し、冷却することを特徴とする土木・建設用資材の製造方法が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法において、使用される原料の硫黄組成物は主に硫黄、骨材、硫黄変性剤であり、本発明の目的を損なわない範囲でその他の成分をこれに加えることもできる。
本発明では硫黄に硫黄変性剤を反応させた初期の状態のGPCで測定した分子量が320〜500のものを特に変性硫黄前駆体という。
【0007】
本発明において原料として用いる硫黄とは、通常の硫黄単体であり、一般に市販されているものが使用できる。例えば天然産又は石油や天然ガスの脱硫によって生成した硫黄等が使用できる。
本発明において硫黄の使用量は、通常、硫黄組成物全体の10〜40質量%である。
【0008】
本発明において原料として用いる硫黄変性剤とは、シクロペンタジエンの単体、2〜4量体を主体に構成される混合物をいう。該混合物は、ジシクロペンタジエンの含有量が70質量%以上、好ましくは85質量%以上のものをいう。従って、いわゆるジシクロペンタジエンと称する市販品の多くを使用することができる。
硫黄変性剤の使用量は、上記硫黄量の2〜20質量%である。硫黄変性剤の使用量が少ないと硫黄の反応による粘度上昇が遅く、多いと硫黄の反応による粘度上昇が急激であるから、作業上、硫黄変性剤の使用量を上記範囲とする必要がある。また得られる土木・建設用資材の難燃性、遮水性、耐硫黄酸化細菌性、機械的強度等の性質は、硫黄変性剤の使用量に関係し、通常は使用量が多いほどそれぞれの性能が改善され、硫黄量の約10質量%で改善効果は飽和し、それ以上では変化は少ないので硫黄量の2〜10質量%であれば実質的に性能は満足される。従って、硫黄変性剤の好ましい使用量は硫黄量の2〜10質量%である。使用量が硫黄の20質量%を超えると、粘弾性が顕著になり、硫黄変性剤の使用量が硫黄の2質量%未満では資材の強度が不足するおそれがある。
【0009】
本発明において原料として用いる骨材は、土木・建設用資材の性能を低下させないものであれば特に限定されないが、主に産業廃棄物等の無機系資材を好ましく使用することができる。
上記産業廃棄物としては、例えば、焼却灰・焼却飛灰、都市ごみ高温溶融炉から発生する溶融飛灰、電力事業及び一般産業から排出される石炭灰、流動床焼却装置で使用した流動砂、研磨屑、各種金属製造時に副生する副生物(例えば、鉄鋼スラグ・ダスト、フェロニッケルスラグ、アルミドロス、銅スラグ)等から選ばれる一種もしくは二種以上の無機系資材を混合したもの等が挙げられる。
【0010】
焼却灰としては、都市ごみ焼却炉や産業廃棄物焼却炉等各種の燃焼炉から排出され、主成分が、シリカ、アルミナ、酸化カルシウム、酸化鉄等の酸化物であり、鉛、カドミウム、砒素等の有害金属の含有量も多い、従来、汚水を出さない最終処分場で埋め立て処理されてきたものが使用できる。
石炭灰としては、発電用、加熱用等各種の石炭焚燃焼炉から排出され、コンクリートや土木資材混合材として利用されているものが使用できる。
鉄鋼スラグとしては、製鉄業から副生するスラグ等が挙げられ、具体的には、高炉から排出される高炉スラグ、平炉や転炉から排出される平炉スラグ、転炉スラグ等が使用できる。鉄鋼スラグの主成分は、シリカ、アルミナ、酸化カルシウム、酸化鉄等の酸化物やその他無機硫化物も含まれる。
【0011】
本発明においては、骨材として、上記以外の他の骨材、例えば、粘土鉱物、活性炭、カーボンファイバー、グラスファイバー、ビニロン繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、砂、砂利等の有害物質を含有しない無機系資材、有機系資材等を使用することもできる。
更にこれら他の骨材と前記産業廃棄物等の無機系資材を任意に組み合わせて使用することもできる。
本発明において、骨材の使用量は、通常、硫黄組成物全体の60〜90質量%である。
【0012】
本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲において、原料として上記硫黄、硫黄変性剤及び骨材に加えて、他の材料を使用することもできる。
該他の材料としては、例えば、珪酸ソーダ、硫化ソーダ、キレート剤等の重金属封鎖安定剤;アスファルト、硫酸ニッケル、硫酸コバルト、硫酸銀、各種ポリマー等が挙げられる。他の材料の使用量は、得られる硫黄組成物の総量に対して、30質量%以下となるように配合することが好ましい。
【0013】
本発明の製造方法では、まず、硫黄と硫黄変性剤とを反応させ、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)で測定した分子量が320〜500の変性硫黄前駆体を生成させる。そして、この反応系中において前記変性硫黄前駆体が5〜45質量%、好ましくは10〜40質量%生成している状態を確認し、反応系の粘度が140℃に換算して20〜200mPa・sの状態において骨材を添加・混合する方法を採用する。
前記分子量の測定は、硫黄変性剤を加えた硫黄を二硫化炭素やトルエン等に溶かし、GPCにより行うことができる。その測定は、例えば、クロロホルム溶媒を使用し室温において、1ml/分の流速で、二硫化炭素1mass/Vol%濃度試料溶液を、UV254nm検出器を用い、ポリスチレンで測定した検量線により行うことができる。
【0014】
本発明において、硫黄と硫黄変性剤とを反応させるには、例えば、まず、硫黄を通常120〜155℃、好ましくは135〜145℃に加熱して溶融する。硫黄溶融後、全体を攪拌しつつ適当な粘度計、例えば、B型粘度計で粘度を測定しながら好ましくは135〜150℃、特に好ましくは135〜145℃に温度を維持する。そこへ所定量の硫黄変性剤を少しずつ添加して混合する方法等により行うことができる。反応系の温度が150℃を越えると付加反応が進行するものの、通常は付加反応の生成熱(発熱)により160℃以上となりゴム状硫黄が生成するため好ましくない。一方、系の温度が130℃であると付加反応が進行するものの発熱により140℃程度となり所望の硫黄重合物の生成速度が遅くなり製造時間短縮にならないので好ましくない。従って、溶融硫黄の保持温度は135℃〜150℃に設定し硫黄変性剤を添加することが好ましい。当然、硫黄変性剤の添加量が多くなれば付加反応時の発熱が大きくなるため溶融硫黄の保持温度を低くする必要があるが135℃未満であると付加反応開始が遅くなるので好ましくない。また150℃を超えると硫黄重合物の生成速度が速くなり制御が難しく製造条件範囲が狭くなるので好ましくない。
【0015】
上記反応開始後の温度上昇は、硫黄に対して硫黄変性剤を5質量%添加したときは、添加から約10分間で約10℃の温度上昇が認められる。
前記硫黄と硫黄変性剤との反応によって生成する変性硫黄前駆体は、硫黄変性剤による8員環を形成している硫黄への付加反応により生成すると考えられており、変性硫黄前駆体の生成によって温度上昇し、系の粘度は通常10〜20mPa・sで硫黄そのものの粘度と変わらずほぼ一定となる。その後、5〜30分程度で温度上昇が終了し、粘度が上昇を開始した時に変性硫黄前駆体の生成がなされたとみなすことができる。
【0016】
本発明の製造方法における反応系において、骨材の添加時期を規定する、変性硫黄前駆体が5〜45質量%、好ましくは10〜40質量%生成している状態は、予備実験等により実際の変性硫黄前駆体の生成量が上記範囲となる条件を確認して実施することができる。この際、変性硫黄前駆体が5〜45質量%生成している状態とは、未反応の硫黄及び変性硫黄前駆体中に変性硫黄前駆体が上記割合で存在している状態、未反応の硫黄、変性硫黄前駆体及び変性硫黄中に変性硫黄前駆体が上記割合で存在している状態、変性硫黄前駆体及び変性硫黄中に変性硫黄前駆体が上記割合で存在している状態のいずれであっても良く、またこれらの反応系中にその他の成分が含まれる場合もある。従って、変性硫黄前駆体が全て生成した後であっても変性硫黄分の割合によっては変性硫黄前駆体が5〜45質量%生成している状態となりうる。
【0017】
本発明の製造方法における反応系において、骨材の添加時期を規定する、反応系の粘度は、140℃に換算して20〜200mPa・s、好ましくは20〜100mPa・s、特に好ましくは20〜90mPa・sになったときである。従って、反応系が上記粘度範囲となっていることをB型粘度計等で確認し、骨材を添加する時期を決定することができる。このように骨材添加時期を、溶融粘度(B型粘度計等で測定)という現象面からとらえた場合には、実際の作業上は容易である。
前記溶融粘度は、その溶融温度により若干上下するので適宜実験により定めることができる。例えば、上記140℃に換算した溶融粘度範囲は、150℃のときであれば、その範囲が15〜200mPa・s、好ましい範囲が15〜100mPa・sに相当する。また、135℃のときであれば、下限値が20mPa・sよりやや大きくなるであろうが、25mPa・sよりは低いであろうし、上限値は200mPa・sである。更に、これらの間の温度であれば、比例計算すれば容易に当該粘度を決定することができる。
粘度が当該範囲の上限を超えてから骨材を添加すると、硫黄重合反応が進行し、骨材と十分に混合することが困難になる。一方、粘度が当該範囲未満において骨材を添加すると、変性硫黄前駆体の生成が十分でなく硫黄の重合が速やかに進行しない恐れがある。
【0018】
本発明において、上記骨材の添加は、130℃〜160℃にて予備加熱乾燥した骨材を用いて行うのが好ましい。
混合に使用する混合機は、混合が十分に行えるものであれば良く、例えば、固液攪拌用を用いることがよい。具体的には例えば、インターナルミキサー、ロールミル、ドラムミキサー、スクリュー押出し機、パグミル、ポニーミキサー、リボンミキサー等が使用できる。
骨材を添加・混合する際の温度は、135〜155℃が好ましく、骨材添加後の混合時間は、通常、約5〜60分間、好ましくは10〜30分間である。該混合時間は更に延ばすことができるが長時間混合することにより成形品強度が高くなるものの作業性が悪くなる。骨材を添加・混合する際の温度が155℃を超えると粘度上昇が急激で混合時に骨材と硫黄との馴染みが悪くなるので好ましくない。一方、該温度が135℃未満であると混合時の硫黄の反応が遅いため所要時間が長くなり製造時間の短縮とならないので好ましくない。
【0019】
上記骨材添加後の混合終了は、変性された硫黄の重量平均分子量によって適宜決定することができる。例えば、混合終了の目安となる該分子量としては、GPCによる重量平均分子量として500を超え、2000以下、好ましくは600〜1500の範囲が好ましい。平均分子量が500以下であると所望の圧縮強度が得られない恐れがあるので好ましくなく、また2000を越えると作業性が悪くなりかつ成形時に気泡の混入や成形体の表面状態が悪くなるので好ましくない。
分子量の測定は、硫黄変性剤を加えた硫黄を二硫化炭素やトルエン等に溶かし、GPCによって行うことができる。その測定は、例えば、クロロホルム溶媒を使用し室温において、1ml/分の流速で、二硫化炭素1mass/Vol%濃度試料溶液を、UV254nm検出器を用いポリスチレンで測定した検量線によって行うことができる。
【0020】
ところで、硫黄、硫黄変性剤及び骨材を用いる土木・建設用資材の製造方法において、骨材添加順序は、本発明の製造方法以外に、例えば、(1)硫黄と硫黄変性剤と骨材との混合物を同時に反応させる方法、(2)硫黄と骨材との混合物に硫黄変性剤を反応させる方法が考えられる。
しかし、上記(1)の方法では、硫黄変性剤が骨材に吸着され硫黄と反応するのが非常に遅く製造時間が長くなる。また、硫黄変性剤が骨材に吸着されるために、その使用量は所定量以上が必要となってしまい好ましくない。一方、上記(2)の方法では、骨材の主成分であるシリカ、アルミナ等に硫黄変性剤が吸着され硫黄との反応が極端に遅く、かつ加熱乾燥した骨材と硫黄変性剤が接触するとパーオキサイドが生成するため安全上からの問題もあり好ましくない。
また、予め硫黄変性剤と硫黄との2成分を反応させてバインダー(通常粘度100mPa・s)を調製した後に、該バインダーと骨材とを混合する方法も考えられる。この方法では、圧縮強度が高い土木・建設用資材が得られるが、骨材との混合時にバインダーを再度溶融する必要があり、作業が煩雑化し、更に、骨材混合後の製造時間が本発明よりも長くなる。
本発明の製造方法では、特定量の変性硫黄前駆体が生成した溶融物中に骨材を添加するので、骨材と混合すると同時に硫黄の高分子量化が進行し、短時間で所望の土木・建設用資材を得ることができる。
【0021】
本発明の土木・建設用資材は、用途に応じて任意の形状に成形することができ、例えば造粒装置、型枠による製造等により、粒状、板状、直方体、正方体等の形状にすることができる。
溶融状態の硫黄組成物を粒状化する方法としては、特に限定されず、例えば、該溶融物を冷却固化しながら造粒して粒状物とする造粒方法や、溶融物を冷却固化して得た成形物を粉砕して粒状物とする方法等が挙げられる。
造粒方法としては、例えば、通常のドラムや、水平若しくは傾斜板を具備した、転動造粒機又は振動造粒機を用い、転動造粒法又は振動造粒法により行なうことが好ましい。
これらの方法の条件は、硫黄、硫黄変性剤及び骨材の種類や配合割合等に応じて得られる土木・建設用資材からなる粒状物がコンクリートやモルタル用の骨材として適した粒径になるように適宜選択して決定しうる。例えば、JIS標準篩に基づき、通常2〜44.4mmの任意の大きさの粒子を製造するように設定することが好ましく、用途に応じて適宜粒径が選択されることは言うまでもない。
【0022】
転動造粒法を採用した場合の粒状物の粒径は、回転板やドラムの傾斜角度、回転速度等によって調整できる。ただし、所望する粒径により回転板やドラムのサイズを考慮して選定する必要は特になく、例えば、同一回転板の傾斜角度を変えることによって、2〜44.4mmの任意の大きさの粒子を製造することができる。傾斜角度は一般に0〜70°の範囲で調整される。
振動造粒法を採用した場合の粒状物の粒径は、振動数や振幅、傾斜角度によって調整することができる。例えば、振動数は3000回/分程度、振幅は0.3mm以上、振動時間は30分間〜3時間で、溶融状態の硫黄組成物が飛散しない範囲で選定される。傾斜角度は通常0〜60°の範囲で調整される。振動方式は、往復式でも回転式でも又はこれらの組合せ方式でも良い。なお、回転ドラム等を使用し、実質的に振動を与えて造粒することも可能である。
【0023】
溶融状態の硫黄組成物を成形した後に破砕して粒状物を得ることができるが、任意の大きさの粒子を製造し難いことから造粒法により粒状物を得る方が好ましい。なお、破砕して得た粒状物については、コンクリートやモルタルの骨材の使用に適した粒径分布を得るために、必要に応じてふるい分けして使用しても構わない。
他の造粒法として、溶融した硫黄を水中に落下させる方法があるが、この方法は、水中に重金属が溶出すること、造粒物表面に錆が発生することから骨材の被覆が完全でない場合があるので好ましくない。
【0024】
本発明の製造方法により得られる固化された土木・建設用資材の圧縮強度は、通常10〜100MN/m2、好ましくは20〜100MN/m2、より好ましくは30〜100MN/m2である。
土木・建設用資材の密度は、強度、特に圧縮強度に影響し密度が高いほど成形体中に気泡の混入が少なく、そのため硫黄と骨材とが十分混合され成形物は完全な連続相となり、表面も滑らかな成形体あるいは粒状物となる。
土木・建設用資材の表面が滑らかであれば、微細な凹凸がクラック発生の起点になることを防止でき、従って、機械的強度や有害物質の溶出を遮蔽する性能に優れ、かつ製品の美観にも優れる土木・建設用資材が得られるという利点がある。
本発明により得られる固化された土木・建設用資材の密度は、例えば、骨材に石炭灰を使用したときには、通常2.40〜2.51g/cm3、好ましくは2.45〜2.51g/cm3の範囲にある。密度が2.40g/cm3未満であると成形体中に気泡が混入するため圧縮強度が低下する。密度は高いほど密に金型に充填され気泡の混入が少ない。
【0025】
本発明の製造方法により得られる土木・建設用資材は、例えば、造粒物にしてセメント、コンクリート、石膏等と混合して使用することもできる。
本発明の製造方法により得られる土木・建設用資材は、成形体であれば、任意の構造を作製可能な特性を生かし、パネル材、床材、壁材、瓦、水中構造物等として利用することができる。また、粒状物であれば、埋立材、路盤材、盛土材、コンクリート用骨材等として利用することができる。
【0026】
【発明の効果】
本発明の製造方法では、硫黄、硫黄変性剤、骨材を混合する際に、特定の段階で骨材を添加・混合するので、土木・建設用資材の製造時間が短縮でき、かつ硫黄と骨材とが十分に混合することができる。従って、例えば、完全な連続相を有し、表面も滑らかな成形体あるいは粒状物等であっても効率良く製造することができる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1
5リッターのダルトン製混練機に、固体硫黄686gを入れ加熱し、120℃で溶融後、140℃に保持した。その際の粘度をB型粘度計で測定したところ18mPa・sであった。続いて、約90℃に加熱溶融したジシクロペンタジエン39g(固体硫黄量に対して約5質量%)をゆっくりと添加し、150rpmの回転数で撹拌した。反応が始まり、発熱反応により12分後(誘導期間と称す)、反応温度が10℃上昇し系の温度が150℃となった。その後、温度上昇が終了したことを確認し、その際の粘度を測定したところ20mPa・sであった。その一部を採取しGPCにより分子量を測定した結果、重量平均分子量は390であった。この際、反応系内の重量平均分子量390の変性硫黄前駆体の含有割合は、約20質量%程度であった。
次に上記状態において、150℃にて加熱乾燥した骨材(高炉スラグ2400g及び石炭灰480g)を投入し、混合を開始した。混合物の温度を150℃にコントロールし20分間混合した。混合終了後、得られた溶融状態の硫黄組成物を粒状物と成形体にした。成形体は、溶融状態の硫黄組成物を型枠に流し込んで冷却し、直径5cm、高さ10cmの円柱型検体を作製した。
別に粒状物10gをとり二硫化炭素100mlを用いソックスレー抽出を6時間行った。この抽出液を1mass/Vol%に二硫化炭素で希釈しGPC分析により硫黄とシクロペンタジエンとの付加体および硫黄重合物等からなる変性硫黄の分子量を求めた。その結果、重量平均分子量は790であった。
成形体の圧縮強度は75.70MN/m2であり、成形体の密度は2.51g/cm3であった。また、成形体の表面は滑らかであった。
【0028】
比較例1
攪拌混合槽に固体硫黄950gを入れ加熱し、120℃で溶融後、140℃に保持した。その時の粘度をB型粘度計で測定したところ18mPa・sであった。続いて、約90℃に加熱溶融したジシクロペンタジエン50gをゆっくりと添加し、約5分間静かに攪拌した後145℃まで温度を上げた。反応が始まり、次第に反応温度および粘度が上昇していき、その後温度上昇が終了したことを確認後、反応温度を150℃にコントロールした。約1時間で粘度は100mPa・sに達した。次いで、冷却しジシクロペンタジエン変性硫黄バインダーを得た。
ダルトン混練機に上記バインダー725gを投入し120℃で溶融した。ダルトン混練機混合槽の温度を150℃に上げ、150℃にて乾燥した骨材2880gを添加し、150℃にコントロールしながら混練を20分間実施した。混練り後、粒状物と成形体を作製した。
GPCにより測定した上記バインダーの重量平均分子量は2050であった。また、成形体の圧縮強度は65.8MN/m2であり、成形体の密度は2.46g/cm3であった。
成形体の表面状態は荒れが認められ、密度も実施例1に比較し低い結果であった。製造時間は、1時間20分を要した。実施例1では32分間で成形体が製造できた。
【0029】
実施例2
5リッターのダルトン製混練機に固体硫黄686gを入れ加熱し、120℃で溶融後、140℃に保持した。その際の粘度をB型粘度計で測定したところ18mPa・sであった。続いて、約90℃に加熱溶融したジシクロペンタジエン39g(固体硫黄量に対して約5質量%)をゆっくりと添加し、150rpmの回転数で撹拌した。反応が始まり、発熱反応により12分後反応温度が10℃上昇し、系の温度が150℃となった。その後、さらに3分間撹拌した。この際の粘度をB型粘度計で測定したところ25mPa・sであった。その一部を採取しGPCにより分子量を測定した結果、重量平均分子量は412であった。この際、反応系内の重量平均分子量422の変性硫黄前駆体の含有割合は、約27質量%程度であった。
続いて、160℃に加熱乾燥した骨材(高炉スラグ2400g及び石炭灰480g)を投入し混練を開始した。混練物温度を155℃にコントロールし20分間混練した。混練終了後、溶融物を粒状物と成形体にした。成形体は、溶融物を型枠に流し込んで冷却し直径5cm、高さ10cmの円柱型検体を作製した。
得られた変性硫黄の重量平均分子量をソックスレー抽出により求めたところ1100であった。成型体の圧縮強度は64.4MN/m2であり、成型体の密度は2.48g/cm3であった。
【0030】
実施例3
固体硫黄の使用量を562gとした以外は実施例1と同様に成型体を調製した。得られた成形物の圧縮強度は60.3MN/m2であり、成型体の密度は2.47g/cm3であった。また、得られた変性硫黄の重量平均分子量をソックスレー抽出により求めたところ780であった。
Claims (2)
- 硫黄、硫黄変性剤及び骨材を含む硫黄組成物を混合して土木・建設用資材を製造する方法において、硫黄変性剤の使用量を硫黄量の2〜20質量%とし、硫黄と硫黄変性剤とを反応させ、GPCで測定した分子量が320〜500の変性硫黄前駆体の生成を確認し、反応系の粘度が140℃に換算して20〜200mPa・sの状態において、硫黄組成物全量に対して、骨材を60〜90質量%添加・混合し、冷却することを特徴とする土木・建設用資材の製造方法。
- 骨材を添加・混合する前に、該骨材を130〜160℃に予備加熱乾燥することを特徴とする請求項1記載の土木・建設用資材の製造方法。
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