JP3852254B2 - プリンタおよびその用紙切断方法 - Google Patents

プリンタおよびその用紙切断方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばサーマルヘッドを用いて、画像を印画するプリンタおよびその用紙切断方法に関し、特に、用紙切断面の直角性を確保するとともに、色ズレやが少なくなるようにしたプリンタおよびその用紙切断方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、カラープリンタとしては、熱転写式プリンタが多く用いられている。この熱転写式プリンタは、インクリボンを記録用紙に重ね、インクリボンの背後からサーマルヘッドを押し当てて加熱し、インクリボンのインクを記録用紙に転写するものである。上記熱転写式カラープリンタにおいては、近年、プリントに要する時間の短縮化のためにプリント処理の高速化が強く望まれている。
【0003】
そこで、プリント処理の高速化のためにサーマルヘッドを複数、例えば3本直列に搭載したカラープリンタが提供されている。このカラープリンタには、単色のインクリボン、具体的にはイエローリボン、マゼンダリボン、シアンリボンが配置され、記録用の用紙には、ロール紙(あるいは長尺のカット紙)が用いられる。そして、フィードローラによって引き出された用紙は、各サーマルヘッドによりイエロー、マゼンダ、シアンの各色を順次印画された後、オーバーコート部でオーバーコートされる。オーバーコートされた用紙は、排紙ローラでカッターへ送られて所定の長さに切断される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来のプリンタおよびその用紙切断方法には、以下のような問題が存在する。
プリント処理の高速化のために用紙搬送と用紙切断とを並行して行った場合、切断に伴いカッターから用紙に伝わる力により、プリント部において色ズレが発生するという問題があった。また、用紙搬送中に切断することで、切断位置も安定しないため用紙四隅が直角にならず、用紙が長方形ではなく平行四辺形になってしまうという問題もあった。
【0005】
そのため、用紙切断は、用紙搬送を停止した状態で行わざるを得ず、プリント処理に要するトータル時間が長くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、用紙搬送を停止することなく、四隅切断部の直角性および色ズレ防止を確保できるをプリンタおよびその用紙切断方法提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。請求項1記載のプリンタの用紙切断方法は、テンションローラ対の間に挟んで張力を付与した用紙を搬送しながら前記テンションローラ対の上流に位置するプリント部により印画し、該印画した用紙を排紙ローラ対の間に挟んで排紙し、該排紙ローラ対の下流側に設けられたカッターによって切断するプリンタの用紙切断方法であって、前記テンションローラ対による用紙搬送を継続しつつ前記排紙ローラ対による前記用紙の排紙を停止させることによって前記テンションローラ対と排紙ローラ対との間の前記用紙を撓ませた状態で切断することを特徴とするものである。
【0008】
従って、本発明のプリンタの用紙切断方法では、用紙搬送を継続しながら用紙を切断するため、用紙切断に要する時間を短縮することができる。用紙切断の際には、排紙ローラによる用紙の排紙を停止しているので、テンションローラと排紙ローラとの間の用紙が撓み、切断に伴いカッターから用紙に伝わる力はこの撓みで吸収される。そのため、記録部で用紙に色ズレが発生することを防止できるとともに、切断位置も安定して四隅切断部の直角性を確保できる。
【0009】
請求項2記載のプリンタの用紙切断方法は、前記テンションローラ対および前記排紙ローラ対における前記用紙の挟持圧力を所定値以上にそれぞれ設定することを特徴とするものである。
【0010】
従って、本発明のプリンタの用紙切断方法では、用紙切断に伴いカッターから用紙に伝わる力が記録部へ到ることを遮断できる。そのため、用紙剛性により、記録部で用紙に色ズレが発生することを抑制できる。
【0011】
請求項3記載のプリンタの用紙切断方法は、前記テンションローラ対と前記排紙ローラ対との間の前記用紙に対して、所定値以上の挟持圧力で挟持するとともに、前記テンションローラ対が付与する張力よりも小さい張力を付与することを特徴とするものである。
【0012】
従って、本発明のプリンタの用紙切断方法では、用紙切断に伴いカッターから用紙に伝わる力を、テンションローラと排紙ローラとの間で遮断することができる。また、テンションローラと排紙ローラとの間に伝わった力がテンションローラに到達したとしても、テンションローラにおける張力の方が大きいため、テンションローラへ与える影響を微小なものにできる。
【0013】
請求項4記載のプリンタの用紙切断方法は、前記テンションローラ対と前記排紙ローラ対との間の前記用紙を一方向に向けて進退自在に押圧することを特徴とするものである。
【0014】
従って、本発明のプリンタの用紙切断方法では、用紙を進退自在に押圧することで、排紙ローラが停止したときに起こる用紙変形を吸収することができる。そのため、用紙剛性により、記録部で用紙に色ズレが発生することを抑止できる。
【0015】
請求項5記載のプリンタは、テンションローラ対により挟まれて張力を付与されて搬送される用紙を印画する記録部と、該記録部で印画された前記用紙を挟んで排紙する排紙ローラ対と、該排紙ローラ対の下流側に設けられて、排紙された前記用紙を切断する切断部とを備えたプリンタであって、前記テンションローラ対による用紙搬送を継続しつつ前記排紙ローラ対による前記用紙の排紙を停止させて前記用紙を弛ませた状態で切断するように、前記記録部、前記排紙ローラ対および前記切断部の作動タイミングを制御する制御装置を備えることを特徴とするものである。
【0016】
従って、本発明のプリンタでは、用紙搬送を継続しながら用紙を切断するため、用紙切断に要する時間を短縮することができる。用紙切断の際には、排紙ローラによる用紙の排紙を停止しているので、テンションローラと排紙ローラとの間の用紙が撓み、切断に伴いカッターから用紙に伝わる力はこの撓みで吸収される。そのため、記録部で用紙に色ズレが発生することを防止できるとともに、切断位置も安定して四隅切断部の直角性を確保できる。
【0017】
請求項6記載のプリンタは、前記テンションローラ対および前記排紙ローラ対における前記用紙の挟持圧力を所定値以上にそれぞれ設定することを特徴とするものである。
【0018】
従って、本発明のプリンタでは、用紙切断に伴いカッターから用紙に伝わる力が記録部へ到ることを遮断できる。そのため、用紙剛性により、記録部で用紙に色ズレが発生することを抑制できる。
【0019】
請求項7記載のプリンタは、前記テンションローラ対と前記排紙ローラ対との間の前記用紙に対して、所定値以上の挟持圧力で、前記テンションローラ対が付与する張力よりも小さい張力を付与する遮断ローラが設けられることを特徴とするものである。
【0020】
従って、本発明のプリンタでは、用紙切断に伴いカッターから用紙に伝わる力を、テンションローラと排紙ローラとの間で遮断することができる。また、テンションローラと排紙ローラとの間に伝わった力がテンションローラに到達したとしても、テンションローラにおける張力の方が大きいため、テンションローラへ与える影響を微小なものにできる。
【0021】
請求項8記載のプリンタは、前記テンションローラ対と前記排紙ローラ対との間の前記用紙を一方向に向けて進退自在に押圧する用紙押さえ機構を有することを特徴とするものである。
【0022】
従って、本発明のプリンタでは、排紙ローラが停止したときに起こる用紙変形を用紙押さえ機構が進退して吸収することができる。そのため、用紙剛性により、記録部で用紙に色ズレが発生することを抑止できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のプリンタおよびその用紙切断方法の実施の形態を、図1を参照して説明する。
ここでは、例えば、記録部が用紙3に対してイエローY、マゼンダM、シアンCの三色を個別に印画するカラープリンタを用いる場合の例を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るカラープリンタ(プリンタ)16の概略構成図である。
【0024】
カラープリンタ16は、上流側から下流側に向かって用紙ロール2と、用紙ガイドローラ17,18と、用紙3を搬送するフィードローラ19と、記録用の用紙3の通過域に沿って配置され、該用紙3に対してイエローY、マゼンダM、シアンCの各色をそれぞれ個別に印画(記録)するプリント部(記録部)1a、1b、1cと、後処理であるオーバーコートを行うオーバーコート部(記録部)1dと、用紙3を排紙するための排紙ローラ6と、用紙を所定長さに切断するカッター(切断部)8と、プリント済み用紙を保持するホルダ22とが順次配設されている。
【0025】
そして、フィードローラ19には、用紙3を挟んでピンチローラ20が対向配置されており、また排紙ローラ6には、用紙3を挟んでピンチローラ7が対向配置されている。フィードローラ19は、表面に微小突起を有しており、パルスモータ21によって回転駆動する構成になっている。なお、以下の説明においては、対を成すフィードローラ19とピンチローラ20、および排紙ローラ6とピンチローラ7を適宜フィードローラ対19、20および排紙ローラ対6、7と称する。
【0026】
各プリント部1a、1b、1cには、サーマルヘッド(熱記録ヘッド)9a〜9cと、該サーマルヘッド9a〜9cに対向配置されたプラテンローラ10a〜10cと、各色のインクリボン(単色インクリボン)11a〜11cをサーマルヘッド9a〜9cに供給するインクリボン供給ロール12a〜12cと、各インクリボン11a〜11cを巻き取るインクリボン巻取りロール13a〜13cとがそれぞれ配設されている。インクリボン11aはY色を、インクリボン11bはM色を、インクリボン11cはC色をそれぞれ有している。
【0027】
プリント部1aの下流側には、該プリント部1aに搬送された用紙3に張力を付与するテンションローラ23aと、該テンションローラ23aに対向配置されたピンチローラ24aが設けられている。同様に、プリント部1b、1cの下流側には、各プリント部1b、1cに搬送された用紙3に張力を付与するテンションローラ23b、23cと、各テンションローラ23b、23cに対向配置されたピンチローラ24b、24cとが設けられている。
【0028】
これらテンションローラ23a〜23cは、図示しないDCモータの電圧制御により所定の張力を有した状態で回転駆動するとともに、任意のタイミングでこの張力をそれぞれ切り替えられる構成になっている。
【0029】
一方、プリント部1a、1b、1cと同様に、オーバーコート部1dには、サーマルヘッド9d、プラテンローラ10d、オーバーコートリボン11d、オーバーコートリボン11dをサーマルヘッド9dに供給するオーバーコートリボン供給ロール12dおよびオーバーコートリボン11dを巻き取るオーバーコートリボン巻取りロール13dが配設されている。
【0030】
そして、オーバーコート部1dの下流側には、該オーバーコート部1dに搬送された用紙3に張力を付与するテンションローラ23dと、該テンションローラ23dに対向配置されたピンチローラ24dとが設けられている。このテンションローラ23dも、図示しないDCモータの電圧制御により所定の張力を有した状態で回転駆動するとともに、任意のタイミングでこの張力をそれぞれ切り替えられる構成になっている。なお、以下の説明においては、対を成すテンションローラ23a〜23dとピンチローラ24a〜24dとを適宜テンションローラ対と称する。
【0031】
ここで、テンションローラ対23d、24dおよび排紙ローラ対6、7は、用紙3の大きさに応じてピンチ押圧力(挟持力)が十分大きく設定されている。例えば、用紙3がA6サイズのときは2.94N(0.3kg)以上、A5サイズのときは3.92N(0.4kg)以上、A4サイズのときは4.90N(0.5kg)以上の圧力に設定される。また、押圧力が大きくなると各ローラの撓み量も大きくなるため、ローラの剛性を高めるために各ローラ軸径も用紙3の大きさに応じて下限値を設定する。例えば、用紙3がA6サイズのときは4.0mm、A5サイズのときは4.5mm、A4サイズのときは5.5mm以上にローラの軸径を設定する。また、排紙ローラ対6、7は、テンションローラ対23a〜23d、24a〜24dに比較して、回転トルクがより小さく、回転速度がより大きく設定されている。
【0032】
また、上記パルスモータ21、プリント部1a〜1c、オーバーコート部1d、フィードローラ対19、20、テンションローラ対23a〜23d、24a〜24d、排紙ローラ対6、7、カッター8等の作動および作動タイミングは、図示しない制御装置により制御される。
【0033】
上記の構成を有するカラープリンタを用いて用紙3に印画する工程を以下に説明する。
まず、用紙ロール2から引き出された用紙3の先端は、図示しない搬送機構によって、用紙ガイドローラ17,18を経由してフィードローラ19とピンチローラ20との間に搬送される。ここで、用紙3は、フィードローラ19とピンチローラ20との間で挟持されるとともに、パルスモータ21の作動により所定の搬送量で回転駆動するフィードローラ19によって、プリント部1aのサーマルヘッド9aとプラテンローラ10aとの間を経て、テンションローラ23aとピンチローラ24aとの間まで搬送される。
【0034】
ここで、サーマルヘッド9aが用紙3を挟んでプラテンローラ10aに圧接されるとともに、ピンチローラ24aが用紙3を挟んでテンションローラ23aに圧接される。そして、テンションローラ23aがDCモータの作動により、用紙3に一定の張力を付与するように駆動されるとともに、Y色インクリボン11aがプリント速度に同期して用紙3と一体に下流側へ送られ、サーマルヘッド9aにより用紙3にY色画像がプリントされる。送られたインクリボン11aは、インクリボン巻取りロール13aで巻き取られる。
【0035】
Y色画像のプリントが終了すると、用紙3の先端は、プリント部1bのサーマルヘッド9bとプラテンローラ10bとの間を経て、テンションローラ23bとピンチローラ23bとの間に搬送される。ここで、サーマルヘッド9bが用紙3を挟んでプラテンローラ10bに圧接されるとともに、ピンチローラ24bが用紙3を挟んでテンションローラ23bに圧接される。
【0036】
そして、DCモータの作動により、テンションローラ23bが用紙3に一定の張力を付与するように駆動されるとともに、M色インクリボン11bがプリント速度に同期して用紙3と一体に下流側へ送られ、サーマルヘッド9bにより用紙3にM色画像がプリントされる。送られたインクリボン11bは、インクリボン巻取りロール13bで巻き取られる。また、サーマルヘッド9bにおけるM色画像プリントと同時に、サーマルヘッド9aでは二枚目のY色画像が用紙3の二枚目にプリントされる。
【0037】
M色画像のプリントが終了すると、用紙3の先端は、プリント部1cのサーマルヘッド9cとプラテンローラ10cとの間を経て、テンションローラ23cとピンチローラ23cとの間に搬送される。ここで、サーマルヘッド9cが用紙3を挟んでプラテンローラ10cに圧接されるとともに、ピンチローラ24cが用紙3を挟んでテンションローラ23cに圧接される。
【0038】
そして、DCモータの作動により、テンションローラ23cが用紙3に一定の張力を付与するように駆動されるとともに、C色インクリボン11cがプリント速度に同期して用紙3と一体に下流側へ送られ、サーマルヘッド9cにより用紙3にC色画像がプリントされる。送られたインクリボン11cは、インクリボン巻取りロール13cで巻き取られる。また、サーマルヘッド9cにおけるC色画像プリントと同時に、サーマルヘッド9bでは二枚目のM色画像が用紙3の二枚目にプリントされ、サーマルヘッド9aでは三枚目のY色画像が用紙3の三枚目にプリントされる。
【0039】
C色画像のプリントが終了すると、用紙3の先端は、オーバーコート部1dのサーマルヘッド9dとプラテンローラ10dとの間を経て、テンションローラ23dとピンチローラ23dとの間に搬送される。ここで、サーマルヘッド9dが用紙3を挟んでプラテンローラ10dに圧接されるとともに、ピンチローラ24dが用紙3を挟んでテンションローラ23dに圧接される。
【0040】
そして、DCモータの作動により、テンションローラ23dが用紙3に一定の張力を付与するように駆動されるとともに、オーバーコートリボン11dがプリント速度に同期して用紙3と一体に下流側へ送られ、Y、M、C色画像が重ね合わされた用紙3にサーマルヘッド9dによりオーバーコートプリントが施される。送られたオーバーコートリボン11dは、オーバーコートリボン巻取りロール13dで巻き取られる。また、サーマルヘッド9dにおけるオーバーコートプリントと同時に、サーマルヘッド9cでは二枚目のC色画像が用紙3の二枚目にプリントされ、サーマルヘッド9bでは三枚目のM色画像が用紙3の三枚目にプリントされ、サーマルヘッド9aでは四枚目のY色画像が用紙3の四枚目にプリントされる。
【0041】
オーバーコートプリントが終了すると、用紙3の先端は余白部分の長さ分だけ早送りされ、排紙ローラ対6、7によってカッター8に排紙される。そして、図1に示すように、用紙3が切断位置まで到達すると、排紙ローラ対6、7は回転を停止し、テンションローラ対23a〜23d、24a〜24dは余白分の用紙搬送に応じた回転速度からプリント時の回転速度に減速し、同時にプリント動作が始まる。
【0042】
用紙3の搬送が継続され、プリント部1a〜1cにおける印画およびオーバーコート部1dにおけるオーバーコートが開始されても排紙ローラ対6、7による排紙が停止しており、また停止時の回転トルクを回転時の回転トルクよりも大きく設定することで、図1中二点鎖線で示すように、テンションローラ対23d、24dと排紙ローラ対6、7との間の用紙3が下方に膨出するように次第に撓み出すため、このタイミングでカッター8で用紙3を切断する。切断されたプリント済みの用紙3は、ホルダー22に溜められる。
【0043】
用紙切断が終了すると、排紙ローラ対6、7を再度回転させる。排紙ローラ対6、7は、回転トルクが小さいものの回転速度がテンションローラ対23d、24dより大きいため、用紙3は撓みが次第に解消して平坦化する。
かくして、用紙3に対する印画が完了する。
【0044】
本実施の形態のプリンタおよびその用紙切断方法では、用紙切断時にも用紙3の搬送を継続して印画するため、プリント処理を高速・短時間で実行できるとともに、静止して安定状態の用紙3を切断するため、用紙四隅の直角を維持することができる。また、本実施の形態では、用紙切断の際にテンションローラ対23d、24dと排紙ローラ対6、7との間で用紙3が撓んでいるので、切断時にカッター8から用紙3に伝わる力が吸収されるため、プリント部1a〜1cのヘッド部9a〜9cにおける色ズレやオーバーコート部1dのヘッド部9dにおけるコートズレを防止することが可能になる。
【0045】
また、本実施の形態のプリンタおよびその用紙切断方法では、用紙3の大きさに応じてテンションローラ対23d、24dおよび排紙ローラ対6、7のピンチ押圧力を十分大きくすることで、上記切断時に発生する力がプリント部1a〜1c、オーバーコート部1dに伝達されることを防止できることに加えて、各ローラの軸径も用紙3の大きさに応じて設定されているため、ピンチ押圧力により大きな撓みが発生することも防止している。
【0046】
図2は、本発明のプリンタおよびその用紙切断方法の第2の実施の形態を示す図である。この図において、図1に示す第1の実施の形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。第2の実施の形態と上記の第1の実施の形態とが異なる点は、遮断ローラ対およびトルクリミッタを設けたことである。
【0047】
すなわち、図2に示すように、テンションローラ対23d、24dと排紙ローラ対6、7との間には、ゴムローラセットの遮断ローラ対25、26が配設されている。これら遮断ローラ対25、26は、テンションローラ対23d、24dよりも若干速い送り速度で回転し、且つ図示しないトルクリミッタによりテンションローラ対23d、24dの張力に比べて十分小さい一定の張力に設定されている。また、遮断ローラ対25、26の用紙3への押圧力は、上記第1の実施の形態と同様に、用紙3の大きさに応じて十分大きく(所定値以上に)設定されている。他の構成は、上記第1の実施の形態と同様である。
【0048】
本実施の形態のプリンタおよびその用紙切断方法では、遮断ローラ対25、26がテンションローラ対23d、24dと同様の動作で回転することで、上記第1の実施の形態と同様の作用・効果が得られることに加えて、排紙ローラ6、7の停止に伴って発生する用紙変形の影響を遮断ローラ25、26により実質的に遮断できるため、プリント部1a〜1cのヘッド部9a〜9cにおける色ズレやオーバーコート部1dのヘッド部9dにおけるコートズレをより確実に防止することができる。
【0049】
図3および図4は、本発明のプリンタおよびその用紙切断方法の第3の実施の形態を示す図である。これらの図において、図1に示す第1の実施の形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。第3の実施の形態と上記の第1の実施の形態とが異なる点は、用紙押さえ機構を設けたことである。
【0050】
すなわち、図3に示すように、テンションローラ対23d、24dと排紙ローラ対6、7との間には、用紙3を下方(一方向)に向けて進退自在に押圧する用紙押さえ機構27が配設されている。図4に示すように、用紙押さえ機構27は、先端が半球状の用紙押さえヘッド28と、スプリングホルダ29に保持されて用紙押さえヘッド28を下方に付勢する押さえスプリング30と、スプリングホルダ29を吊り上げる吊り上げスプリング31と、回転軸32に対して偏心配置されたカム33とから構成されている。押さえスプリング30の付勢力(バネ定数)は、テンションローラ対23d、24dおよび排紙ローラ対6、7において用紙3が滑らない程度に十分小さくされている。
【0051】
上記の構成のカラープリンタ16では、印画処理およびオーバーコート処理が終了して用紙3がカッター8へ早送りで排紙されると、排紙ローラ6、7は回転を停止し、テンションローラ対23a〜23d、24a〜24dはプリント時の回転速度に減速する。そして、用紙3が切断位置まで到達すると同時に用紙押さえ機構27では、カム33が回転を開始する。また、プリント部1a〜1c、オーバーコート部1dでは、それぞれプリント処理が開始される。
【0052】
カム33の回転に伴い、回転軸32に対するカム33の最長外周部が最下点に近づくにつれて、スプリングホルダ29を介して用紙押さえヘッド28が用紙3に向けて進出することで、押さえスプリング30の付勢力で用紙3を押さえつける(押圧する)。排紙ローラ対6、7の回転は停止しているので、プリント処理が進行すると、用紙3が用紙押さえヘッド28に押されてテンションローラ対23d、24dと排紙ローラ対6、7との間で次第に下方に撓む。
【0053】
そして、用紙3が撓みだした直後にカッター8で用紙3を切断する。ここで、用紙切断に伴う力が用紙3に伝わっても、用紙押さえヘッド28が用紙3から退避して、押さえスプリング30によりこの力を吸収する。用紙切断が終了すると、排紙ローラ対6、7を回転させることで用紙3の撓みが解消する。この後、計算上用紙3の撓みが解消されるタイミングでカム33を動作させ、カム33の最短外周部を最下点に位置させることで吊り上げスプリング31の吊り上げ力により用紙押さえヘッド28を退避させて用紙3から離間させる。
【0054】
本実施の形態のプリンタおよびその用紙切断方法では、上記第1の実施の形態と同様の作用・効果が得られることに加えて、用紙3の変形を成り行きに任せるのではなく、用紙押さえヘッド28により制御するので、用紙切断時の用紙剛性に起因して、プリント部1a〜1cのヘッド部9a〜9cにおける色ズレやオーバーコート部1dのヘッド部9dにおけるコートズレの発生を確実に防止することができる。
【0055】
なお、上記実施の形態において、プリンタとしてカラープリンタを用いる構成としたが、これに限られるものではなく、例えばモノクロのプリンタにも適用可能である。また、プリント部1a〜1cの下流側にオーバーコート部1dを設ける構成としたが、必ずしも設ける必要はなく、さらに、プリント部1a〜1cで用紙3に3色の画像を重ね合わせる構成としたが、これに限定されるものではなく、3色以下や3色以上の画像を重ね合わせる構成であってもよい。
【0056】
また、以上は、インクリボンを用いたサーマルプリンタについて説明したが、インクリボンを用いない自己発色(TA)方式の感熱プリント方式の用紙切断方法でも上記と同じ効果を得ることができる。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係るプリンタの用紙切断方法は、用紙搬送を継続しつつ、排紙ローラによる用紙の排紙を停止させて用紙を切断する手順となっている。
これにより、このプリンタの用紙切断方法では、プリント処理を短時間で行いながら、用紙四隅の直角を維持した長方形の用紙が得られるとともに、色ズレの発生も防止できるという効果が得られる。
【0058】
請求項2に係るプリンタの用紙切断方法は、テンションローラおよび排紙ローラにおける用紙の挟持圧力をそれぞれ所定値以上に設定する構成となっている。
これにより、このプリンタの用紙切断方法では、切断時に発生する力がプリントに悪影響を及ぼすことを防止できるという効果が得られる。
【0059】
請求項3に係るプリンタの用紙切断方法は、テンションローラと排紙ローラとの間の用紙を所定値以上の圧力で挟持するとともに、テンションローラが付与する張力よりも小さい張力を付与する構成となっている。
これにより、このプリンタの用紙切断方法では、排紙ローラの停止に伴って発生する用紙変形の影響を実質的に遮断できるため、印画時の色ズレやオーバーコート時のコートズレをより確実に防止できるという効果が得られる。
【0060】
請求項4に係るプリンタの用紙切断方法は、テンションローラと排紙ローラとの間の用紙を一方向に向けて押圧する構成となっている。
これにより、このプリンタの用紙切断方法では、用紙変形を制御することで、用紙切断時の用紙剛性に起因して、色ズレやコートズレの発生を確実に防止できるという効果が得られる。
【0061】
請求項5に係るプリンタは、用紙搬送を継続しつつ、排紙ローラによる用紙の排紙を停止させて用紙を切断するように、制御装置が記録部、排紙ローラおよび切断部の作動タイミングを制御する構成となっている。
これにより、このプリンタでは、プリント処理を短時間で行いながら、用紙四隅の直角を維持した長方形の用紙が得られるとともに、色ズレの発生も防止できるという効果が得られる。
【0062】
請求項6に係るプリンタは、テンションローラおよび排紙ローラにおける用紙の挟持圧力をそれぞれ所定値以上に設定する構成となっている。
これにより、このプリンタでは、切断時に発生する力がプリントに悪影響を及ぼすことを防止できるという効果が得られる。
【0063】
請求項7に係るプリンタは、遮断ローラがテンションローラと排紙ローラとの間の用紙に対して、所定値以上の圧力で挟持するとともに、テンションローラが付与する張力よりも小さい張力を付与する構成となっている。
これにより、このプリンタでは、排紙ローラの停止に伴って発生する用紙変形の影響を実質的に遮断できるため、印画時の色ズレやオーバーコート時のコートズレをより確実に防止できるという効果が得られる。
【0064】
請求項8に係るプリンタは、用紙押さえ機構がテンションローラと排紙ローラとの間の用紙を一方向に向けて押圧する構成となっている。
これにより、このプリンタでは、用紙変形を制御することで、用紙切断時の用紙剛性に起因して、色ズレやコートズレの発生を確実に防止できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態を示す図であって、プリント部、テンションローラ、排紙ローラを有するカラープリンタの概略構成図である。
【図2】 本発明の第2の実施の形態を示す図であって、遮断ローラを有するカラープリンタの概略構成図である。
【図3】 本発明の第3の実施の形態を示す図であって、用紙押さえ機構を有するカラープリンタの概略構成図である。
【図4】 本発明のカラープリンタを構成する用紙押さえ機構の詳細図である。
【符号の説明】
1a、1b、1c プリント部(記録部)
1d オーバーコート部(記録部)
3 用紙
6 排紙ローラ
8 カッター(切断部)
16 カラープリンタ(プリンタ)
23a〜23d テンションローラ
25、26 遮断ローラ
27 用紙押さえ機構

Claims (8)

  1. テンションローラ対の間に挟んで張力を付与した用紙を搬送しながら前記テンションローラ対の上流に位置するプリント部により印画し、該印画した用紙を排紙ローラ対の間に挟んで排紙し、該排紙ローラ対の下流側に設けられたカッターによって切断するプリンタの用紙切断方法であって、前記テンションローラ対による用紙搬送を継続しつつ前記排紙ローラ対による前記用紙の排紙を停止させることによって前記テンションローラ対と排紙ローラ対との間の前記用紙を撓ませた状態で切断することを特徴とするプリンタの用紙切断方法。
  2. 請求項1記載のプリンタの用紙切断方法において、前記テンションローラ対および前記排紙ローラ対における前記用紙の挟持圧力を所定値以上にそれぞれ設定することを特徴とするプリンタの用紙切断方法。
  3. 請求項1または2記載のプリンタの用紙切断方法において、前記テンションローラ対と前記排紙ローラ対との間の前記用紙に対して、所定値以上の挟持圧力で挟持するとともに、前記テンションローラ対が付与する張力よりも小さい張力を付与することを特徴とするプリンタの用紙切断方法。
  4. 請求項1または2記載のプリンタの用紙切断方法において、前記テンションローラ対と前記排紙ローラ対との間の前記用紙を一方向に向けて進退自在に押圧することを特徴とするプリンタの用紙切断方法。
  5. テンションローラ対により挟まれて張力を付与されて搬送される用紙を印画する記録部と、該記録部で印画された前記用紙を挟んで排紙する排紙ローラ対と、該排紙ローラ対の下流側に設けられて、排紙された前記用紙を切断する切断部とを備えたプリンタであって、前記テンションローラ対による用紙搬送を継続しつつ前記排紙ローラ対による前記用紙の排紙を停止させて前記用紙を弛ませた状態で切断するように、前記記録部、前記排紙ローラ対および前記切断部の作動タイミングを制御する制御装置を備えることを特徴とするプリンタ。
  6. 請求項5記載のプリンタにおいて、前記テンションローラ対および前記排紙ローラ対における前記用紙の挟持圧力を所定値以上にそれぞれ設定することを特徴とするプリンタ。
  7. 請求項5または6記載のプリンタにおいて、前記テンションローラ対と前記排紙ローラ対との間の前記用紙に対して、所定値以上の挟持圧力で、前記テンションローラ対が付与する張力よりも小さい張力を付与する遮断ローラが設けられることを特徴とするプリンタ。
  8. 請求項5または6記載のプリンタにおいて、前記テンションローラ対と前記排紙ローラ対との間の前記用紙を一方向に向けて進退自在に押圧する用紙押さえ機構を有することを特徴とするプリンタ。
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