JP3852219B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的に読み取った原稿の画像情報を画像処理して画像出力する画像形成装置に係り、特に、電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えば、LEDプリンタ、レーザ・ビーム・プリンタ)などの電子写真方式の画像形成装置に関する。
【0002】
更に詳しくは、本発明は、原稿の地肌の濃度に応じた地肌除去を行うタイプの画像形成装置に係り、特に、入力した画像情報を縮小・拡大処理、TI(テキスト・イメージ)分離処理する際に悪影響を及ぼさない地肌除去処理を行う画像形成装置に関する。
【0003】
【従来の技術】
各種OA機器が従来より開発・製作され、企業や研究機関のオフィスなどに広範に普及してきている。特にドキュメンテーションが最重要視される現代社会においては、各種原稿に関する画像情報を複製するための電子写真式の画像形成装置(例えば複写機やファクシミリ)がオフィス内に深く浸透している。
【0004】
この種の画像形成装置は、一般に、プラテン・ガラス上に載せた原稿を光学的に走査して読み取る画像入力部と、入力した画像情報に所定の処理を施す画像処理部と、処理済みの画像情報に相当するトナー像を電子写真プロセスによって形成して用紙上に転写・溶着する画像形成部で構成される。また、画像形成装置は、画像を読み取るべき原稿を自動的に順次引き込むための手段や、転写用紙を逐次供給・搬送・排出するための手段も備えている。
【0005】
複写機やファクシミリが読み取るべき原稿の素材(言い換えれば地肌面の濃度)は多岐にわたる。通常の白地の用紙を用いた原稿だけではなく、例えば新聞や藁半紙、再生紙、色紙など、様々の素材の用紙を用いた原稿から画像情報を読み取らなければならない。このように通常の白地の用紙を用いていない原稿は、地肌面の濃度が高いため、光学走査系から読み取った画像情報をそのまま画像出力すると地肌の濃度までもが再現されて転写用紙は汚くなり、画質を保証できなくなってしまう。
【0006】
このため、地肌が一定以上の濃度を持つ原稿に対しては、地肌の濃度を薄くするあるいは除去するといった「地肌除去」処理が、以前から採用されていた。地肌除去は、例えば、原稿の中央付近などの所定の領域を読み取り、その平均的な光量を検出して現像バイアスを行い、地肌のハイライト部を飽和させて地肌濃度を薄くすることで達成される。
【0007】
また、本出願人に譲渡されている特開平6−311364号公報には、光学的に読み取った原稿の地肌濃度を検出して地肌除去に用いる閾値(すなわち地肌除去レベル)を決定する、デジタル複写機用の地肌除去装置について開示されている。同公報に開示された地肌除去装置によれば、プリスキャンを行わず、原稿引き込みと同じタイミングで、地肌除去レベルを検出することができる。
【0008】
ところで、最近では、画像形成装置の多機能化・高機能化も進んでいる。例えば、画像形成装置は、単に原稿の画像情報を複製処理するだけではなく、編集処理も行う。ここで言う編集処理には、片面原稿を用紙の両面に印刷する「両面印刷」(図5参照)や、片面原稿数枚分(例えば4枚分)の画像情報を1枚の用紙上に貼り付ける「N−up(4−up)画像合成」(図6参照)、2つ折りにした転写用紙を束ねて小冊子となるように片面原稿の画像情報を用紙の両面に印刷する「小冊子印刷」(図7参照)などの処理が含まれる。さらには、後に編集処理のために、入力した画像情報をハード・ディスクなどの外部記憶装置に一旦格納したり、画像形成装置外の装置(例えばケーブル接続されたコンピュータ・システム)に画像情報を転送したりすることもある。
【0009】
複数ページにわたる原稿に関する画像情報を編集処理する場合、入力した原稿の順序に従って各ページの画像情報が出力されるとは限らない。例えば、6ページ分の片面原稿を両面印刷するときには、図5に示すように、▲1▼→▲2▼→▲3▼→▲4▼→▲5▼→▲6▼の順で画像入力すると▲1▼→▲3▼→▲5▼→▲2▼→▲4▼→▲6▼の順に画像出力される。また、▲1▼〜▲4▼の片面原稿を4−up印刷するときには、図6に示すように、各ページの画像情報を一旦は何処かに格納してから出力するより他に手立てはない。また、▲1▼〜▲8▼の8ページ分の片面原稿を小冊子印刷するときには、図7に示しように、(▲1▼,▲8▼)→(▲3▼,▲6▼)→(▲2▼,▲7▼)→(▲4▼,▲5▼)という順に並び替えて画像出力しなければならない。言い換えれば、画像を編集処理するためには、入力した画像情報を「ページ・メモリ」のような記憶装置に一旦は格納しておく必要があるのである。
【0010】
また、入力したままの画像情報は、一般にサイズが大きく、そのままメモリに保存したのでは巨大なメモリ容量を要し、コスト増大を招来する。したがって、メモリ容量の節約のためには、画像情報をメモリに格納する前には縮小処理することが好ましい。画像出力するときには、ページ・メモリから取り出した画像情報を拡大処理して元の画像情報に復元して利用すればよい。
【0011】
また、昨今における情報の多様化に伴ない、1ページの原稿の中にテキスト情報と写真などのイメージ情報が混在することが多くなってきている。白黒の2色のみで表現可能なテキストと多階調の濃淡で表現されるイメージとでは明らかに性質が異なる。このため、1ページ分の画像情報の中からテキスト部分とイメージ部分とを分離(すなわちTI分離)して、それぞれについて個別のフィルタリング処理を施すことによって画質を維持するという工夫も採用されている。
【0012】
ところが、地肌除去処理を行った後の画像情報に対して、上述の縮小・拡大処理及びTI分離処理を行うと、地肌除去レベル付近の濃度の連続性が失われるため、TI分離時にテキスト部分とイメージ部分とを誤判定してしまう可能性が高くなる。
【0013】
例えば前述の特開平6−311364号公報に開示された地肌除去装置の場合、地肌除去レベルの検知の後に地肌除去処理を続けて行う構成となっている。このような装置構成の場合、必然的に、地肌除去処理を行った画像情報に対してページ・メモリへの保存のための縮小・拡大処理やTI分離処理を行うことになる。すなわち、地肌除去レベル付近の濃度の連続性が失われた画像情報に対してTI分離処理を施すことになり、テキスト部分とイメージ部分とを誤判定してしまう可能性が高い。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、原稿の地肌の濃度に応じた地肌除去を行うタイプの、優れた画像形成装置を提供することにある。
【0015】
本発明の更なる目的は、入力した画像情報を縮小・拡大処理、TI(テキスト・イメージ)分離処理する際に悪影響を及ぼさないで地肌除去処理を行うことができる、優れた画像形成装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面は、原稿の地肌濃度に応じた地肌除去処理を行うタイプの画像形成装置であって、
(a)原稿を読み取って画像情報を入力する画像入力手段と、
(b)前記画像入力手段により入力した画像情報に基づいて原稿の地肌除去レベルを検知する地肌除去レベル検知手段と、
(c)前記地肌除去レベル検知手段により検知した地肌除去レベルを保持する地肌除去レベル記憶手段と、
(d)前記画像入力手段により入力した画像情報に対してテキスト・イメージ分離などの所定の画像処理を施す画像処理手段と、
(e)前記地肌除去レベル記憶手段の地肌除去レベルに従って、前記画像処理手段による画像処理後の画像情報に地肌除去処理を施す地肌除去処理手段と、
(f)地肌除去処理後の画像情報を出力する画像出力手段と、
を含むことを特徴とする画像形成装置である。
【0017】
また、本発明の第2の側面は、原稿の地肌濃度に応じた地肌除去処理を行うタイプの画像形成装置であって、
(a)原稿を読み取って画像情報を入力する画像入力手段と、
(b)前記画像入力手段により入力した画像情報に基づいて原稿の地肌除去レベルを検知する地肌除去レベル検知手段と、
(c)前記地肌除去レベル検知手段により検知した地肌除去レベルを保持する地肌除去レベル記憶手段と、
(d)原稿1ページ分以上の画像情報を蓄積するためのページ・メモリと、
(e)前記ページ・メモリに保管する画像情報を縮小処理する縮小処理手段と、
(f)前記ページ・メモリから取り出した画像情報を拡大処理する拡大処理手段と、
(g)画像情報に対してテキスト・イメージ分離などの所定の画像処理を施す画像処理手段と、
(h)前記地肌除去レベル記憶手段の地肌除去レベルに従って、前記画像処理手段による画像処理後の画像情報に地肌除去処理を施す地肌除去処理手段と、
(i)地肌除去処理後の画像情報を出力する画像出力手段と、
を含むことを特徴とする画像形成装置である。
【0018】
本発明の第2の側面に係る画像形成装置は、さらに、前記ページ・メモリに蓄積された原稿複数ページ分の画像情報を貼り合わせて1ページ分の画像情報を生成する画像貼り合わせ手段を有し、
前記地肌除去処理手段は、1ページ分の画像情報に含まれる各原稿の地肌除去レベルのうち最大値を用いて当該ページの地肌除去処理を行うようにしてもよい。
【0019】
あるいは、本発明の第2の側面に係る画像形成装置は、さらに、前記ページ・メモリに蓄積された原稿複数ページ分の画像情報を貼り合わせて1ページ分の画像情報を生成する画像貼り合わせ手段を有し、
前記地肌除去処理手段は、1ページ分の画像情報に含まれる各原稿の地肌除去レベルに応じて各原稿エリア毎に当該ページの地肌除去処理を行うようにしてもよい。
【0020】
また、前記画像貼り合わせ手段が行う画像情報の貼り合わせは、小冊子印刷、N−up印刷のための貼り合わせ処理を含んでもよい。
【0021】
【作用】
本発明に係る画像形成装置は、検知した原稿の地肌除去レベルを一旦格納する地肌除去レベル格納手段、若しくは地肌除去レベルを伝達する伝達手段を設けることで、地肌除去レベルの検知処理と地肌除去処理とを分離して行うことが可能な構成とした。
【0022】
入力した画像情報からまず地肌除去レベルを検知してから、ページ・メモリへの保管のための縮小・拡大処理やTI分離処理などの所定の画像処理を行う。そして、これら画像処理を施した後で画像出力する前に、格納若しくは伝達された地肌除去レベルを用いて地肌除去処理を行う。
【0023】
本発明に係る画像形成装置によれば、地肌除去処理前の画像情報、すなわち地肌除去レベル付近での濃度の連続性が失われていない画像情報に対してTI分離処理を施すことができる。テキスト部分とイメージ部分とを正確に判定することができる。この結果、良好な画質を保証することができる。
【0024】
本発明によれば、画像処理による画質劣化を少なくし、同時出力や高速両面印刷、小冊子作成、N−up機能を実現可能にした画像形成装置において、適切な地肌除去レベルにて、地肌除去を行うことができる。
【0025】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施例や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を詳解する。
【0027】
図1には、本発明の実施に供される電子写真式の画像形成装置100の外観構成を模式的に示している。同図に示すように、CVT部1と、UI部2と、IIT部3と、IOT部4と、IPS/SYS部5と、ESS部6とで構成される。以下、各部について説明する。
【0028】
CVT(Constant Velocity Transport)部1は、画像を捕捉すべき原稿を供給するためのユニットである。複数枚の原稿を自動で略一定速度にてプラテン・ガラス(図示しない)上に引き込む機能を備えていてもよい。
【0029】
UI(User Interface)部2は、オペレータが装置100に対するコマンドを入力したり、逆に装置100からオペレータに対してメッセージや操作上の指示メニューを提示するユニットであり、例えばタッチパネル式のディスプレイで構成される。オペレータ入力には、「両面印刷」、「N−up印刷」、「小冊子印刷」などの動作モードの指示入力が含まれる。また、オペレータへの出力には、「用紙切れ」や「トナー補給」などのメッセージ/警告表示が挙げられる。
【0030】
IIT(Image Input Terminal)部3は、図示しないプラテン・ガラス上に載せられた(若しくは引き込まれた)原稿の表面を、光学的に走査して、画像情報として入力するためのユニットである。
【0031】
IPS/SYS(Image Processing System/System)部5は、入力された画像情報に対して各種の画像処理を施すためのユニットであり、例えば装置100本体に内蔵される制御回路基板(システム・ボード)上に実装されている。
【0032】
IPS部5が行う画像処理には、入力画像情報に関する地肌除去レベルの検出、地肌除去処理、TI(テキスト・イメージ)分離処理、ページ・メモリ(後述)への蓄積・取り出しのために行う縮小・拡大処理、画像編集処理などが含まれる。画像編集処理には、N−up印刷や小冊子印刷(前述)のために、原稿複数ページ分の画像情報を1ページ上に貼り合わせる画像貼り合わせ処理が含まれる。但し、IPS部5の構成や動作特性については後に詳解する。
【0033】
IOT(Image Output Terminal)部4は、画像処理が施された画像情報を外部出力するユニットの1つであり、特に、電子写真プロセスに従って画像情報に相当するトナー像を用紙上に転写処理する。電子写真プロセス自体は、本発明の要旨に直接関連せず、従来の方式をそのまま適用することができる。
【0034】
ここで、電子写真プロセスについて簡単に説明しておく。電子写真プロセスは、簡潔に言えば、読み取った原稿画像に相当するパターンに従って感光体ドラム表面を露光して、静電潜像を形成し、現像器によって静電潜像からトナー像を形成し、搬入された用紙上にトナー像を転写し、加熱溶融・圧着などの作用によりトナー像を用紙上に定着することにより実現される。
【0035】
IOT部4は、用紙を感光体ドラムに自動的に給紙・搬送する機構や、転写用紙を排出するトレイ、丁合いさせて貯蔵するスタックなどを含んでいてもよい。
【0036】
ESS(Electric Subsystem)部6も、画像処理が施された画像情報を外部に出力するためのユニットの1つであるが、電気的な画像信号として他の装置への転送処理を行う。他の装置の一例はコンピュータ・システムであり、送られてきた画像情報を例えば画像ファイルとしてハード・ディスクなどの蓄積装置に格納する。格納された画像ファイルは、コンピュータ・システム上で、各種の編集処理が加えられる。
【0037】
図2には、画像形成装置100の内部ハードウェア構成について、特に、IPS/SYS部5の内部を詳細に図解している。同図に示すように、IPS/SYS部5は、濃度補正・地肌除去レベル検出論理回路51と、縮小処理部52と、拡大処理部53と、TI分離・フィルタ処理論理回路54と、濃度補正・地肌除去論理回路55と、ページ・メモリ56と、地肌除去レベル転送用のデータ・バス57と、地肌除去レベル保存用のメモリ58とを含んでいる。これら各回路コンポーネントは、システム・ボード(前述)上に搭載されている。以下、各部について説明する。
【0038】
濃度補正・地肌除去レベル検出論理回路51は、CVT部1やIIT部3において入力された画像情報に対して、濃度補正を行ったり、地肌濃度に基づいて地肌除去の閾値として用いる地肌除去レベルを検出するようになっている。地肌除去レベルの検出方法は、例えば特開平6−311364号公報に開示されたものと同一でよい。地肌除去レベルは各原稿の画像情報毎に決定される。
【0039】
ページ・メモリ56は、編集処理するために、原稿複数ページ分の画像情報を蓄積するためのメモリである。画像情報の編集処理には、両面印刷やN−up印刷、小冊子印刷などが含まれる。両面印刷やN−up印刷、小冊子印刷などを行うときには、画像出力するページの順番は画像入力された順番とは相違する([従来の技術]の項、及び図5乃至図7を参照のこと)ため、ページ・メモリ56で画像情報を一旦蓄積しておく必要がある。
【0040】
また、入力した画像情報は、一般にサイズが大きく、そのままメモリに保存したのでは巨大なメモリ容量を要し、コスト増大を招来する。ページ・メモリの容量節約のために、ページ・メモリに格納する前に画像情報を縮小処理することが好ましい。縮小処理部52はこの目的で配設されている。他方の拡大処理部53は、 画像出力するときに、ページ・メモリから取り出した画像情報を拡大処理して元の画像情報に復元するためにして用いられる。画像情報の縮小及び拡大処理は、従来の方式をそのまま適用してもよい。
【0041】
TI(テキスト・イメージ)分離・フィルタ処理論理回路54は、画像情報に含まれるテキスト部分とイメージ部分とを切り離して、各々の性質に適合したフィルタ処理等を行うためのユニットである。従来のTI分離及びフィルタリング方式をそのまま適用してもよい。
【0042】
濃度補正・地肌除去論理回路55は、TI分離・フィルタ処理後の画像情報に含まれる地肌濃淡を除去するためのユニットである。地肌除去に用いる地肌除去レベルは、地肌除去レベル転送用のデータ・バス57を介して地肌除去レベル検出回路51から直接転送されるか、また、地肌除去レベル保存用のメモリ58から取り出される。地肌除去処理の詳細な手順については後に詳解する。
【0043】
IPS部5への画像情報の入力と出力がほとんど同時に行われる場合(例えば片面原稿→片面印刷)には、論理回路51で検出された地肌除去レベルは、メモリ58に保管する必要がなく、データ・バス57を介して地肌除去論理回路55に直接転送される(厳密には、バス57を介して当該論理回路55の入力レジスタに書き込まれる)。
【0044】
他方、両面印刷やN−up印刷、小冊子印刷など、複数ページに跨る画像情報の編集処理を行うときには、IPS部5への画像入力と出力は同時には行われない。この場合、複数ページ分の画像情報がページ・メモリ56に蓄積される(前述)。また、各ページについての地肌除去レベルをメモリ58に保管しておく必要がある。地肌除去論理回路55は、各ページについて該当する地肌除去レベルをメモリ58から取得すればよい。
【0045】
[表1]には、メモリ58内に格納される地肌除去レベル情報のデータ構造を模式的に示している。該情報は、画像入力された各原稿ページ毎に1つのエントリが用意され、各エントリは地肌除去レベルを書き込むためのフィールドを含んでいる。メモリ58中の各エントリにはランダムにアクセス可能であり、例えばLRU(Least Recently Used)論理に従って管理されている。
【0046】
【表1】
【0047】
地肌除去処理が済んだ原稿は、IOT部4に出力されて用紙印刷されるか、または、ESS部6を介して装置100外のコンピュータ・システム(図示しない)に出力される。
【0048】
IPS部5内の各回路コンポーネント51〜55は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)技術を用いて個別のLSI(Large Scale Integration)チップとして設計・製作することが可能である。各回路チップは、データ入出力用の内部レジスタを含み、図示しないバスによって相互接続されている。
【0049】
なお、画像形成装置100を構成するためには、図1や図2に示した以外にも多くのハードウェア構成要素が必要である。但し、これらは当業者には周知であり、また、本発明の要旨を構成するものではないので、本明細書中では省略している。また、図面の錯綜を回避するため、図中の各ハードウェア・ブロック間の接続も一部しか図示していない点を了承されたい。
【0050】
次いで、画像形成装置100の動作特性とともに本発明の作用について説明することにする。
【0051】
図3には、IPS/SYS部5で行われる画像処理の実行手順をフローチャートの形式で模式的に示している。以下、各ステップについて説明する。
【0052】
まず、CVT部1やIIT部3などの画像入力装置から入力された画像情報を、濃度補正・地肌除去レベル検出論理回路51で処理して、濃度補正処理や地肌の濃度を検出する(ステップS11)。そして、地肌の濃度に基づいて地肌除去レベルを決定すると、メイン・ルーチンとは分離されたステップS20によって地肌除去レベルの伝達が実行される。ここで言う伝達には、メモリ58への書き込みとデータ・バス57を介した転送の2通りがある。
【0053】
次いで、ページ・メモリ56に格納するために画像情報を縮小処理し(ステップS12)、ページ・メモリ56に格納し(ステップS13)、ページ・メモリ56から取り出して拡大処理する(ステップS14)。
【0054】
次いで、画像情報に対して、TI分離及びフィルタリングなどの画像処理を施す(ステップS15)。なお、TI分離・フィルタリング処理は、ページ・メモリ56への蓄積処理(ステップS12〜S14)の前に行ってもよい。
【0055】
次いで、画像情報に対して、濃度補正処理や地肌除去処理を施してから(ステップS16)、IOT部4やESS部6などの画像出力装置に出力する。地肌除去処理には、メイン・ルーチンとは切り離されたステップS20によって伝達された地肌除去レベルが用いられる。
【0056】
図4には、濃度補正・地肌除去論理回路55で行われる地肌除去の処理手順を、フローチャートの形式で詳細に示している。地肌除去処理は、設定された印刷・画像編集モードに従って実行される。以下、各ステップについて説明する。
【0057】
まず、現在設定された印刷・画像編集モードが入出力同時モードか否かを判断する(ステップS51)。入出力同時モードとは、片面原稿から片面印刷を行う場合のように、入力した画像データをページ・メモリ56に蓄積することなく入力した順序に従って画像出力する動作モードのことである。
【0058】
入出力同時モードであれば、データ・バス57を介した地肌除去レベルの読み込み設定を行う(ステップS52)。この結果、地肌除去検出論理回路51で検出された地肌除去レベルは、データ・バス57経由で地肌除去論理回路55の入力レジスタに書き込まれて、地肌除去処理が行われる(ステップS53)。入出力同時モードでは、入力された順序を維持したまま画像情報が出力されるので、データ・バス57を介して転送された地肌除去レベルを利用することができる。
【0059】
他方、入出力同時モードでなければ、入力された画像情報はページ・メモリ56に一旦蓄積され、動作モードに従って、ページの順序を並び替えて出力される(図5乃至図7を参照のこと)。この場合、地肌除去レベルも入力とは異なる順序で使用されるので、メモリ58に一旦保管される。
【0060】
まず、貼り付けモードか否かを判断する(ステップS54)。貼り付けモードとは、N−up印刷や小冊子印刷のように、原稿複数ページ分の画像情報を貼り合わせて1ページの出力画像を生成する動作モードを言う(図6及び図7を参照のこと)。
【0061】
貼り付けモードであれば、最終原稿に至るまで、各原稿についての地肌除去レベルを逐次メモリ58に保管する(ステップS57及びS58)。そして、画像出力すべき1ページ内に含まれる各原稿の地肌除去レベルのうち最大値を、当該ページの地肌除去レベルとして選択する(ステップS59)。これは、最も濃度の高い地肌の原稿によって他の原稿の画像が汚染されないようにするためである。
【0062】
他方、貼り付けモードでなければ、出力画像1ページは元の原稿1ページのみで構成されるので、ステップS59のごとき選択処理は必要でない。該当するページの地肌除去レベルをメモリ58から取り出すだけでよい。
【0063】
次いで、地肌除去論理回路55は、処理中のページについての地肌除去レベルを内部レジスタに設定し(ステップS55)、このレジスタ値を用いて画像情報に対して地肌除去処理を行う(ステップS56)。
【0064】
なお、上述した実施例では、画像出力すべき1ページが複数の原稿で構成される貼り付けモードにおいては、ステップS59において、画像出力すべき1ページ内に含まれる各原稿の地肌除去レベルのうち最大値を当該ページの地肌除去レベルとして選択するようにした。但し、ステップS59の代替的な処理として、1ページ分の画像情報に含まれる各原稿の地肌除去レベルに応じて、各原稿エリア毎に当該ページの地肌除去処理を行うようにしてもよい。この代替的な処理によれば、最も濃度の高い地肌の原稿によって他の原稿の画像が汚染されることを回避できるとともに、最も濃度の低い地肌の原稿に対して過度の地肌除去処理を行ってしまうことも防止することができる。
【0065】
[追補]
以上、特定の実施例を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0066】
【発明の効果】
以上詳記したように、本発明によれば、入力した画像情報を処理する際に悪影響を及ぼさないで原稿の地肌の濃度に応じた地肌除去を行うタイプの、優れた画像形成装置を提供することができる。
【0067】
また、本発明によれば、特に、入力した画像情報を縮小・拡大処理、TI(テキスト・イメージ)分離処理する際に悪影響を及ぼさないで地肌除去処理を行うことができる、優れた画像形成装置を提供することができる。
【0068】
本発明に係る画像形成装置によれば、地肌除去処理前の画像情報、すなわち地肌除去レベル付近での濃度の連続性が失われていない画像情報に対してTI分離処理を施すことができる。テキスト部分とイメージ部分とを正確に判定することができる。この結果、良好な画質を保証することができる。
【0069】
本発明によれば、画像処理による画質劣化を少なくし、同時出力や高速両面印刷、小冊子作成、N−up機能を実現可能にした画像形成装置において、適切な地肌除去レベルにて、地肌除去を行うことができる訳である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施に供される画像形成装置100の外観構成を模式的に示した図である。
【図2】 画像形成装置100の内部ハードウェア構成を模式的に示した図であり、特にIPS/SYS部5を詳細に展開した図である。
【図3】 IPS/SYS部5で行われる画像処理の実行手順をフローチャートの形式で模式的に示した図である。
【図4】 濃度補正・地肌除去論理回路55で行われる地肌除去の処理手順を詳細に示したフローチャートである。
【図5】 入力した画像情報を編集処理する様子を概念的に示した図であり、より具体的には、複数枚の片面原稿から両面印刷する様子を示したものである。
【図6】 入力した画像情報を編集処理する様子を概念的に示した図であり、より具体的には、4枚の片面原稿から4−up画像合成する様子を示したものである。
【図7】 入力した画像情報を編集処理する様子を概念的に示した図であり、より具体的には、8枚の片面原稿から小冊子印刷する様子を示したものである。
【符号の説明】
1…CVT部
2…UI部
3…IIT部3
4…IOT部
5…IPS/SYS部
6…ESS部
51…濃度補正・地肌除去レベル検出論理回路
52…縮小処理部
53…拡大処理部
54…TI分離・フィルタ処理論理回路
55…濃度補正・地肌除去論理回路
56…ページ・メモリ
57…データ・バス
58…地肌除去レベル格納メモリ
100…画像形成装置
Claims (2)
- 原稿の地肌濃度に応じた地肌除去処理を行うタイプの画像形成装置であって、
(a)原稿を読み取って画像情報を入力する画像入力手段と、
(b)前記画像入力手段により入力した画像情報に基づいて原稿の地肌除去レベルを検知する地肌除去レベル検知手段と、
(c)前記地肌除去レベル検知手段により検知した地肌除去レベルを保持する地肌除去レベル記憶手段と、
(d)原稿1ページ分以上の画像情報を蓄積するためのページ・メモリと、
(e)前記ページ・メモリに保管する画像情報を縮小処理する縮小処理手段と、
(f)前記ページ・メモリから取り出した画像情報を拡大処理する拡大処理手段と、
(g)画像情報に対してテキスト・イメージ分離などの所定の画像処理を施す画像処理手段と、
(h)前記地肌除去レベル記憶手段の地肌除去レベルに従って、前記画像処理手段による画像処理後の画像情報に地肌除去処理を施す地肌除去処理手段と、
(i)地肌除去処理後の画像情報を出力する画像出力手段と、
(j)前記ページ・メモリに蓄積された原稿複数ページ分の画像情報を貼り合わせて1ページ分の画像情報を生成する画像貼り合わせ手段を有し、
前記地肌除去処理手段は、1ページ分の画像情報に含まれる各原稿の地肌除去レベルのうち最大値を用いて当該ページの地肌除去処理を行う、
ことを特徴とする画像形成装置。 - 前記地肌除去処理手段は、1ページ分の画像情報に含まれる各原稿の地肌除去レベルに応じて各原稿エリア毎に当該ページの地肌除去処理を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
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