JP3851013B2 - 線材加工方法およびその加工装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コイルばね、リングなどのコイルを製造する線材加工方法およびその装置に係るものである。さらに詳しくは、クイルから送り出される線材に対してコイル成形工具の成形溝部をコイルの巻き始めから巻き終わりまでの間に、コイル生成の前方側または後方側へ設定変位量だけ移動制御することによりコイルの巻回中に、コイル生成の前方側または後方側へ所定の初張力を付与可能とした線材加工方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、コイルばねなどの隣接したコイルを密着させるためには、線材を湾曲形成し、最初に線材が衝合するクイル側成形工具の成形溝部に対し、後から衝合するコイル成形工具の成形溝部を、形成されるコイルの巻き始め側若しくは巻き終わり側に一定量だけ変位させることにより、形成されるコイルに初張力を付与して形成したコイルを密着若しくは内部応力を保有したままコイルを形成させることが知られており、経験的数値に基づいて後の成形工具を一定量だけ変位させて固定し巻回作業が行われている。
【0003】
換言すれば、線材を送り出すクイル,クイル側成形工具,コイル成形工具の三要素、または、クイルとコイル成形工具の二要素で形成される線材軸線に対して、コイル成形工具をコイルの終端側若しくは始端側に一定量変位させて固定し巻回することにより初張力を付与したコイルを形成させるものである。
【0004】
ところで、コイルの線材径dやコイル径Dによる多様性はよく知られるところであり、これに加えてコイルの形状の多様性が加わり、形成するコイルに初張力を付与するコイル成形の位置条件となる設定変位量の選定は更に困難性が加わる。このように適合した設定変位量に柔軟に対応することは重要な作業条件設定上の要件であるにもかかわらず、従来技術においては前記変位量を一つのパラメータとして適宜対応可能とする技術は開示されていない。
【0005】
従来技術として例えばコイルばねを加工する装置に係る、特開平4ー89148号公報(以下A公報という)、特開平10ー156469号公報(以下B公報という)の各号公報に開示された発明が知られている。
【0006】
A公報の発明は、2個のコイリングピンT1, T2なる成形工具によって、線材を湾曲成形することでコイルばねを加工する装置である。
線材が後から衝合するコイリングピンT1は、クイル2とコイリングピンT2との間で形成される線材軸線に対して、直交するコイル成形軸線に沿って前進または後退させることはできないものである。すなわち、コイリングピンT2にたいするコイリングピンT1の相対的位置調整は、線材に付与する初張力を初期設定し、この設定された初張力を得るために、線材径やD/d(コイル径/線材径)に応じてコイリングピンT2またはコイリングピンT1の取着位置を調整するもである。
【0007】
B公報の発明は、2個の巻回工具3A,3B(本発明の2個の成形工具に相当)によって、線材を湾曲成形することでコイルばねを加工する方法であって、線材挟入工具13と始端押圧工具23と楔形ピッチ工具33とを備え、コイルばねの始端部は、線材挟入工具13と始端押圧工具23とで線材をコイルばね終端側に付勢し、また、コイルばねの終端部は、線材挟入工具13と楔形ピッチ工具33とで線材をコイルばね始端側に付勢するようにしたものである。また他の発明においては終端部のみが前記発明とことなり、楔形ピッチ工具33を押し出しピッチ工具34にしたものである。
以上説明したようにコイルばねなどのコイルに初張力を付与する技術は、工具の変位を固定して付与するものが開示されているのみである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術で述べたように、A公報の発明はコイリングピンT1(後成形工具)の取着位置は、コイルばねの寸法・形状に応じて変位量を決め取着位置をその都度試行して調整している。
このために、コイルばねの巻回中に、初張力を加減することはできず、例えば、座巻き部とコイル胴部との初張力を変化させたり、始端から終端までの間にコイル径が変化する(すなわち、D/dが変化する)コイルばねに、一定の初張力を付与することなどできないという問題があった。また、線材径やD/dが変わるたびに、コイリングピンT2またはコイリングピンT1の取着位置を調整しなければならないので、生産能率が悪いという問題もあった。
【0009】
また、B公報の発明によれば、コイルの巻き始めと巻き終わりの部分で線材を折り曲げすることは可能であるが、それぞれコイルばねの巻回中にコイル生成方向の順方向若しくは逆方向に線材を付勢することはできないので、線材に初張力を付与することはできないという問題があった。
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、湾曲に巻回される線材をコイル成形工具によってコイル生成の前方側または後方側へ付勢することで、巻回中の線材に所定の初張力を、コイル生成の前方向または後方向に生ずるように付与したり、コイルの端部をコイル成形軸線に沿って密着させたりすることが可能で、かつ、その装置が簡素に構成でき、生産能率の向上が図れる線材加工方法および装置を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために本発明の請求項1に係る線材加工方法は、クイルから送り出される線材に少なくとも1個のコイル成形工具を衝合させてその線材を湾曲に形成することでコイルを加工する方法であって、前記クイルの案内穴で規定される線材軸線に対して直交するコイル成形軸線に沿って、前記コイル成形工具の成形溝部をコイル生成の前方側または後方側へ巻回中の設定時期に設定変位量移動させた位置で、前記コイル成形工具の成形溝部を線材に衝合させて、湾曲に形成される線材を前記コイル成形工具の成形溝部によってコイル生成の前方側または後方側へ付勢し、前記クイルと前記コイル成形工具との協働によって、巻回されるコイルに初張力を付与するようにした方法である。
【0012】
また、請求項2に係る発明は、クイルから送り出される線材にクイル側成形工具とコイル成形工具とを順次衝合させてその線材を所定の湾曲に形成することでコイルを加工する方法であって、前記クイルの案内穴で規定される線材軸線に続く略同一軸線上の位置で前記クイル側成形工具の成形溝部を線材に衝合させて湾曲させた後、前記線材軸線に対して直交するコイル成形軸線に沿って前記コイル成形工具の成形溝部をコイル生成の前方側または後方側へ巻回中の設定時期に設定変位量移動させた位置で、前記コイル成形工具の成形溝部を線材に衝合させて、湾曲に形成される線材を前記コイル成形工具の成形溝部によってコイル生成の前方側または後方側へ付勢し、前記クイルと前記クイル側成形工具と前記コイル成形工具との協働によって巻回されるコイルに初張力を付与するようにした方法である。
【0013】
これらの発明によれば、クイルから送り出される線材に少なくとも1個のコイル成形工具を衝合させてその線材を所定の湾曲に形成するコイルの加工方法、または、線材にクイル側成形工具を衝合させて湾曲に形成した線材を更にコイル成形工具に衝合させて所定の湾曲に形成するコイルの加工方法のいずれの場合であっても、コイル成形軸線に沿ってコイル成形工具をコイル製造プログラムの実行途上で設定の時期に設定の変位量だけ移動させることによりコイルに設定の初張力を容易に付与することができる。
【0014】
また、請求項3に係る発明は、巻き始めから巻き終わりまでの間に相違するコイル径を有するコイルのうちの1巻回コイルを基準コイルAとし、この基準コイルAと違径コイル部Xとの線材固有の線材応力,線材径などで規定される定数Cを有する線材に設定の初張力を付与するために、前記コイル成形工具の成形溝部を移動させる設定変位量は、前記基準コイルAを加工する際には、前記基準コイルAの基準コイル径Daの線材に基準初張力Paを付与する方向に、前記コイル成形工具の成形溝部を前記線材軸線に対して基準変位量La=C・Pa・Daだけ移動させ、前記違径コイル部Xを加工する際には、前記違径コイル部Xの違径部コイル径Dxの線材に前記基準初張力Paに対する係数uを乗じた違径部初張力Px=u・Paを付与する方向に、前記コイル成形工具の成形溝部を前記線材軸線に対して違径部変位量Lx=C・u・Pa・Dxだけ移動させるよう巻き始めから巻き終わりまでの間にコイル径に対応して制御するようにした方法である。
【0015】
この発明によれば、基準コイルAの線材に基準初張力Paを付与する際には、コイル成形工具の成形溝部を線材軸線に対して基準変位量Laだけ移動させ、違径コイル部Xの線材に基準初張力Paと同一または相違する違径部初張力Pxを付与する際には、基準初張力Paに対する係数uと違径部コイル径Dxとから違径部変位量Lxだけ移動させて制御するようにしたので、巻き始めから巻き終わりまでの間に相違するコイル径を有する円錐台形,鼓形,太鼓形などのコイルに、一定または基準初張力に係数を乗じた初張力を付与して加工することができる。
【0016】
また、請求項4に係る発明は、コイル端部の線材に初張力を付与して座巻き部を内側コイルに接近または密着させるために、前記コイル成形工具の成形溝部を移動させる設定工具変位量は、巻き始めコイルおよび/または巻き終わりコイルを形成する際には、巻き始めおよび/または巻き終わりコイルの線材に対してそれぞれの内側コイルに向かって設定の初張力を付与すべく、前記コイル成形工具の成形溝部を移動させるようにした方法である。
【0017】
この発明によれば、コイルの始端部および終端部ともに初張力を付与し密着した座巻き部を形成したり、いずれかの一端のみに密着部を形成することができる。
【0018】
次いで、請求項5の線材加工装置に係る発明は、クイルから送り出される線材に少なくとも1個のコイル成形工具を衝合させてその線材を所定の湾曲に形成することでコイルを加工する装置であって、前記クイルの案内穴で規定される線材軸線に対して直交するコイル成形軸線に沿って前記コイル成形工具の成形溝部を進退移動可能に前記コイル成形工具を保持するコイル成形工具保持機構と、前記コイル成形工具の成形溝部を前記コイル成形軸線に沿って変位可能な成形溝部移動機構と、前記コイル成形軸線に沿って前記コイル成形工具の成形溝部をコイリング作業続行中にコイルの製造プログラムに従い変位可能に前記成形溝部移動機構を制御する制御手段とを備えるようにした装置である。
【0019】
また、請求項6に係る発明は、クイルから送り出される線材にクイル側成形工具を衝合させてその線材を湾曲に形成し、この湾曲に形成された線材にコイル成形工具を衝合させてその線材を所定の湾曲に形成することでコイルを加工する装置であって、前記クイルの案内穴で規定される線材軸線に続く略同一軸線上の位置で前記クイル側成形工具の成形溝部を線材に衝合可能に前記クイル側成形工具を保持するクイル側成形工具保持機構と、前記線材軸線に対して直交するコイル成形軸線に沿って前記コイル成形工具の成形溝部を進退移動可能に前記コイル成形工具を保持するコイル成形工具保持機構と、前記コイル成形工具の成形溝部を前記コイル成形軸線に沿って変位可能な成形溝部移動機構と、前記コイル成形軸線に沿って前記コイル成形工具の成形溝部をコイリング作業続行中にコイルの製造プログラムに従い変位可能に前記成形溝部移動機構を制御する制御手段とを備えるようにした装置である。
【0020】
これらの発明によれば、クイルから送り出される線材に少なくとも1個のコイル成形工具を衝合させてその線材を所定の湾曲に形成するコイルの加工装置、または、線材にクイル側成形工具を衝合させて湾曲に形成した線材を更にコイル成形工具に衝合させて所定の湾曲に形成するコイルの加工装置のいずれの場合であっても、コイル成形軸線に沿ってコイル成形工具をコイル製造プログラムの実行途上で設定の時期に設定の変位量だけ移動させることによりコイルに設定の初張力を容易に付与することが可能である。
【0021】
また、請求項7に係る発明は、前記コイル成形工具保持機構は、前記コイル成形工具を保持する工具保持部が、前記コイル成形工具の成形溝部を前記コイル成形軸線に沿って揺動可能であるようにした装置である。
【0022】
この発明によれば、コイル成形工具を移動させるスライド案内部材などが不要であるから構造が簡素にできるとともに、コイルを形成するのに必要なピッチ工具や切断工具等の機構部を所定の位置に容易に併設できる。
【0023】
また、請求項8に係る発明は、前記成形溝部移動機構は、前記コイル成形工具と駆動源との間にカム機構を設け、このカム機構を介して前記コイル成形工具の成形溝部を揺動させるようにした装置である。
【0024】
この発明によれば、コイル成形工具の成形溝部移動機構は、カム機構のカムを回動制御することでコイル成形工具を揺動させて位置決めするものであり、コイル成形工具の変位量をコイル成形工具の揺動角度とカムの回動角度とで制御できるとともに、カム面のリフト量により成形溝部のわずかな変位量を制御することが可能である。
【0025】
また、請求項9に係る発明は、前記成形溝部移動機構は、前記コイル成形工具と駆動源との間にクランク機構を設け、このクランク機構を介して前記コイル成形工具の成形溝部を揺動させるようにした装置である。
【0026】
この発明によれば、コイル成形工具の成形溝部移動機構は、クランク機構の偏心円板を回動制御してコイル成形工具を揺動させ位置決めするものであり、コイル成形工具の変位量をコイル成形工具の揺動角度と偏心円板の回動角度とで制御できるとともに、構造が簡素に構成できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態をコイルばね製造機における線材加工方法およびその加工装置の第1〜第3実施例にもとづき、図面を参照して以下のとおり説明する。
【0028】
本発明に係る第1実施例は、図1乃至図3に示すように、クイル側成形工具3Aとコイル成形工具3Bとでコイルを加工する際に、成形溝部移動機構が、コイル成形工具3Bと駆動源との間にカム39を設けたカム機構で構成されたものである。第2実施例は、図4に示すように、1個のコイル成形工具3Cでコイルを加工する際に、成形溝部移動機構が、第1実施例と同様にカム機構で構成されたものである。また、第3実施例は、図5乃至図6に示すように、クイル側成形工具3Aとコイル成形工具3Bとでコイルを加工する際に、成形溝部移動機構が、第1実施例の他の例として、コイル成形工具3Bと駆動源との間にロッド52を設けたクランク機構で構成されたものであって、第2実施例にも適用できるものである。
【0029】
〔第1実施例〕
図1は成形工具が2個の線材加工装置の平面図、図2は図1のA−A断面でコイル成形工具保持機構の断面図、図3は図1のB−B断面でコイル成形工具移動機構の断面図である。
【0030】
本発明に係る線材加工装置は、コイルばね製造機の前方に図2に示す前板50が立設され、この前板50の前面50aには図1に示す線材Wを把持して送り出す線送りローラ1,1と、線材の送り出し方向を規定するクイル2と、このクイル2から繰り出される線材Wを湾曲させて巻回するコイル軸心方向に進退移動可能なクイル側成形工具3A,コイル成形工具3Bと、巻回されたコイルにコイル生成方向に所定のピッチを付与するためにコイル軸心に向かって進退可能なピッチ工具4と、このピッチ工具4と対向する位置で巻回された線材Wの終端を切断するコイル軸心に向かって進退可能な切断工具5と、この切断工具5に対向する位置で、巻回されたコイルの内側にあって切断工具5の前進によりコイルの終端を切断する芯金6とが設けられている。
【0031】
本発明は上述のようにコイル成形工具によって、コイル巻回中に、一定または係数を乗じた変化する初張力をコイル径の増減にも対応可能に付与しようとするものであって、本第1実施例のクイル側成形工具3Aとコイル成形工具3Bとは、前述したコイルの輪郭を形成することの他に、初張力を付与するための作動をするように構成されている。すなわち、一方のクイル側成形工具3Aは、図1に示すように、クイル2近傍の後述するクイル側成形工具保持機構に設けられ、クイル2の案内穴で規定される線材軸線上の位置で、コイル径の増減に対応してコイル中心に対向するようにクイル側衝合軌跡に沿って進退移動可能に構成され、クイル2から送り出される線材に衝合させて湾曲に形成する。
【0032】
また、他方のコイル成形工具3Bは、クイル2から遠い後述するクイル遠方側のコイル成形工具保持機構に設けられ、クイル側成形工具3Aで湾曲に形成された線材と衝合可能な位置で、コイル径の増減に対応してコイル中心に対向するようにクイル遠方側衝合軌跡に沿って進退移動可能に構成されて、クイル側成形工具3Aで湾曲に形成された線材に衝合させて所定のコイル径のコイルを形成するとともに、前記線材軸線に対して直交するコイル成形軸線に沿ってコイル生成の前方側または後方側へ進退移動に構成されて、その成形溝部3Baによってコイル状線材をコイル生成の前方側または後方側へ付勢し、クイル2とクイル側成形工具とコイル成形工具との協働によって巻回されるコイルに初張力を付与するようにしたものである。
【0033】
上述した一方のクイル側成形工具保持機構はベース7A上で、クイル側成形工具3Aが、図示しない工具揺動作動機構によって、上述したクイル側衝合軌跡に沿ってクイル側成形工具3Aの成形溝部3Aaを進退移動(揺動)可能に、また、他方のコイル成形工具保持機構はベース7B上で、コイル成形工具3Bが、上述したクイル遠方側衝合軌跡に沿って進退移動可能に構成されるものである。そして、これらのベース7Aとベース7Bとは、クイル軸線を挟む略対称位置で、前板50の前面50aに取着されている。
【0034】
コイル成形工具保持機構は、図1,図2に示すように、ベース7B上に設けた工具ホルダ11を、コイル径の増減に対応して進退移動するとともに、初張力の増減に対応して揺動するように構成された機構であって、ベース7Bには、揺動軸受8A,8Bが後端部に螺着されて、この揺動軸受8A,8Bに支承される揺動軸9A,9Bの軸心を揺動中心にして、後述するスライダベース10が、図2に示す左右方向に揺動可能に構成されている。すなわち、スライダベース10の後端部に軸穴10aが穿設され、揺動軸9A,9Bが、この軸穴10aにその突出部が嵌合されてスライダベース10に螺着されているので、スライダベース10は、揺動軸9A,9Bの軸心を揺動中心にして揺動する。
【0035】
このスライダベース10には、スライダ12を案内する案内部材10b,10bが設けられて、スライダ12が、この案内部材10b,10bに沿って進退移動可能に設けられている。このスライダ12上には、コイル成形工具3Bを着脱可能に保持する工具ホルダ11が螺着されている。したがって、コイル成形工具3Bは、スライダ12が後述する工具進退作動機構によって進退移動することで、このスライダ12とともに、上述したクイル遠方側衝合軌跡に沿って進退移動する。
【0036】
次いで、コイル成形工具3Bを進退移動させる工具進退作動機構は、図1,図2に示すように、ベース7B上に設けた工具ホルダ11を、初張力の増減に対応して揺動させるように構成された機構であって、スライダベース10の後端部に減速機19を備えたサーボモータ18が取着され、この減速機19の出力軸19aには、カム軸21が螺着され、このカム軸21の端部には、カム22が、サーボモータ18によって回動可能に螺着されている。
【0037】
他方、スライダ12上には、工具ホルダ11近傍に引張コイルばね15,15の各一端部を掛止するばね支持部材14が螺着され、このばね支持部材14の後部には、ローラ枢着体16が、前後位置調整可能に螺着され、このローラ枢着体16の後部には、カムフオロア17が、カム22と外接して回動自在に枢着されている。また、引張コイルばね15,15の各他端部は、ベース7Bの後端部に螺着されたばね掛けピン13に掛止されて、ばね支持部材14、スライダ12を介して工具ホルダ11とともに、コイル成形工具3Bを後方に付勢する。
【0038】
そして、このように構成されたコイル成形工具保持機構は、スライダ12が、引張コイルばね15,15で後方に常時付勢され、サーボモータ18によって回動制御されるカム22のカム曲面によって、このカム曲面に外接するカムフオロア17が進退移動されることで、上述のようにコイル成形工具3Bをクイル遠方側衝合軌跡に沿って進退移動させるものである。
【0039】
なお、図1に示す構成は、右巻きコイルを加工するように構成されたものであって、左巻きコイルを加工する際には、コイル成形工具保持機構、クイル側成形工具保持機構、工具進退作動機構、図示しない工具揺動作動機構および後述する成形溝部移動機構を、クイル2軸線の対称位置に配設して構成する。また、コイル成形工具保持機構とクイル側成形工具保持機構とに、それぞれ工具進退作動機構、図示しない工具揺動作動機構および後述する成形溝部移動機構を備え、クイル2軸線を挟む略対称位置に配設すれば、前記各機構を取り替えることなく、右巻きコイルも左巻きコイルも加工できることは明らかである。
【0040】
次に、本第1実施例において初張力を付与するために、コイル成形工具3Bを作動させる成形溝部移動機構について説明する。
【0041】
この成形溝部移動機構は、図2に示す揺動軸9A,9Bの軸心を揺動中心にして、上述したコイル成形工具3Bを左右方向に揺動させる機構であって、成形工具の成形溝部をコイル生成の前方向若しくは後方向への変位の付与は図1においてスライダ12の前方に仮想線でローラ31を示す位置に設けてあり、図1のB−B断面を図3に示している。前記変位はローラ31と当接する軸32の軸方向の移動によって行われる。図2において、スライダベース10は揺動軸9A,9Bを支点とし、スライダベース10を常にローラ31を軸32に当接するように付勢する圧縮ばね34がボルト35に嵌装され、前板50の穴部50cに座金36とボルト35の頭部間で圧縮コイルばね34が圧縮嵌装されており、ボルト35はベース7Bの穴7Baを通ってスライダベース10に螺着されている。
【0042】
コイル成形工具3Bの変位量は揺動軸9A,9Bの中心と工具の成形溝部までの距離と揺動軸9A,9Bの中心とローラ31の作用点までの距離との比により定まる。
本第1実施例における成形溝部移動機構は、コイル成形工具を支持するスライダベース10と駆動源との間にカム機構を設け、このカム機構によりコイル成形工具の成形溝部を揺動させるものである。
【0043】
図2,図3において、図3は図1の断面A−Aを示す断面図である。軸32は、軸方向で連動するローラ枢着体37のカムフオロア46が引張コイルばね38で前記軸心方向に付勢されカム39のカム面に当接している。引張コイルばね38は支持体43に固定した支えピン47とスライダ44に設けたばね支持部材48の間で伸長され設けられている。カムのリフト量が変位量としてカム軸40の回転をNC制御することにより付与される。図3はカム機構を含む成形工具移動機構の断面図である。カム39を回転駆動するサーボモータ41と一体の減速機42の出力軸の方向は支持体43を前板50の後面50bに取着する面に平行である。支持体43には前板50の後面50bに直角にスライダ44の案内部材43aが設けられている。スライダ44とローラ枢着体37とは調整ねじ33によって位置調整可能で、スライダ44と軸32とは一体移動可能に構成されているので、カム39の変位分だけ軸32は、前板50の穴部50dに突出して形成しているスライダベース10の突出部10aにピン45でピンを軸として設けられたローラ31に当接して変位量を伝える。この結果コイル成形工具3Bの成形溝部3Baをコイル成形軸線に沿ったコイル生成の前方側または後方側へ変位させて付勢することで、設定の初張力を付与することができる。
【0044】
本第1実施例のコイル成形工具保持機構及び成形溝部移動機構の作用について図面にもとづき説明する。
【0045】
図1乃至図3において、線材Wはクイル2からクイル側成形工具3Aの成形溝部3Aaに衝合し最初の湾曲作用を受ける。溝幅は線材径より少し広く刻設されており線材Wは溝両側面のいずれかの面に接触して通過する。最初の湾曲を線材Wに付与するクイル側成形工具3Aの成形溝部3Aaは形成されるコイルの中心で後に湾曲作用を付与するコイル成形工具3Bの成形溝部3Baと対向するようにそれぞれの工具3A,3Bが位置決めされている。ピッチ工具によりコイルばねのピッチを規定し所定回数巻回されたコイルばねは線材Wの供給が停止され切断工具5及び芯金6により切断されてコイルの製造は完了する。
【0046】
本発明は前述の製造プロセス中で後に湾曲を付与するコイル成形工具3Bがコイル径に対応して移動し、かつ、成形溝部3Aaに対し成形溝部3Baがコイル成形軸線に沿った方向に変位可能に設けられ位置決め可能に制御されることによりコイルばねへの初張力付与を自在としたものである。
後述する第2実施例の図4に示すコイル成形工具1個によるコイル形成の場合は、クイル2から送り出される線材Wがコイル成形工具3Cに衝合する迄の線材軸線に対しコイル成形工具3Cの成形溝部3Caのコイル成形軸線方向への変位量の設定により初張力が付与されるものである。
【0047】
次に成形溝部移動機構の作用を説明する。
【0048】
図2に示すカム機構を用いた成形溝部3Baの変位量はスライダベース10が揺動軸9A,9Bを支点として、形成するコイルの巻き始めまたは巻き終わりの方向に揺動することで付与される。
スライダベース10への駆動力はローラ31から付与される。
【0049】
図3において、回転角位置決め可能に制御されるサーボモータ41に連接する減速機42の出力軸に取着されたカム39のリフト量が、ローラ枢着体37を介し軸32からローラ31へ伝達される。成形溝部の変位量は微少量でありカム39のカム面は偏心カムで充分である。
【0050】
〔第2実施例〕
本実施例はコイル成形工具保持機構にコイル成形工具1個を含んでなるものである。
図4はクイルから送り出される線材をコイル成形工具3Cに衝合させて、その線材を所定の湾曲に形成する成形工具が1個の線材加工装置の全体平面図であって、この装置を前記第1実施例記載の同じカム機構を介して初張力を付与することが可能である。なお後述の第3実施例のクランク機構の適用も可能である。
前述した成形工具を2個使用した線材加工装置に対し、成形工具1個を使用する場合の構成を図4にもとづき説明する。
【0051】
図4において、クイル2より送り出される線材Wは、クイルの案内穴で規定され線材Wの先端が1個のコイル成形工具3Cの成形溝部に衝合して線材が湾曲しコイルを形成していくように成形溝部の位置が湾曲するコイル径の寸法に応じ位置決めされる。即ち最初に衝合する時の成形溝部の位置は、クイル2から線材Wが送り出され、成形溝部に衝合してコイルを順次形成していく位置である。
【0052】
図4は、成形工具の位置が作業位置に位置決めされたスライダ12に工具ホルダ20が固定されておりコイル成形工具3Cはクイル2から線材Wが供給される線材軸線とほぼ平行に設けられている。ピッチ工具,切断工具の位置も図1とほぼ同じでる。成形工具を形成するコイル径に適合した位置に位置決めし、コイル生成の前方向または後方向にコイル成形工具3Cを変位させる機構は既に説明した成形工具を2個使用する場合の成形工具保持機構と同じであり説明は省略する。成形工具を1個使用する場合に、初張力を付与するための成形溝部移動機構は第1実施例で説明したカム機構とサーボモータ制御の採用により実施可能であり説明を省略する。また、後述する第3実施例のクランク機構の採用も可能である。
【0053】
〔第3実施例〕
第1実施例との相違点は、成形工具移動機構が相違するのみであり、成形工具保持機構の殆どは第1実施例と共通する。従って成形溝部移動機構を中心に図5,図6,図7について説明する。
【0054】
図5は成形工具が2個の全体平面図、図6は図5のC−C断面でコイル成形工具保持機構の断面図、図7は図5のD−D断面でコイル成形溝部移動機構の断面図である。
カム機構を介して成形コイルに初張力を付与するのに対し第3実施例はクランク機構を介して第1実施例と同様にコイルに初張力を付与可能にしたものである。
【0055】
本第3実施例における成形溝部移動機構はコイル成形工具を支持するスライダベース10と駆動源との間にクランク機構を設けこのクランク機構によりコイル成形工具3Bの成形溝部3Baを変位させるものである。
クランク機構は図5に示すようにスライダ12に円形の仮想線で示す位置に設けてあり、図5のC−C断面を示す図6ではジョイント51で示されている。ジョイント51は、ロッド52を介し、前板50から突出した支持部50eに、サーボモータ53と減速機54が設けられ減速機54の出力軸に嵌着した軸55に偏心して固定されたジョイント56と連結されている。支持壁面は前板50と一体に構成することも、分離した独立の支持体とすることも可能である。
【0056】
図7は図5のD−D断面図であってクランク機構を含む成形工具移動機構の断面図である。スライダベース10はジョイント51,ロッド52,ジョイント56が連接しており、ジョイント56が軸55の回転中心に対し偏心して取着され、サーボモータ53の回転制御によりスライダベース10が初張力を与える方向に成形工具の成形溝部を変位させて位置決めする。減速機出力軸の回転角に応じた変位量は、サーボモータをNC制御することにより付与する。
【0057】
次に成形溝部移動機構を制御する制御手段は、コイル成形工具の成形溝部の位置をコイル成形軸線に沿った方向に変位させて位置決めする。サーボモータ53の回転制御は図示しないNC制御装置で行う。このNC制御装置はコイルばねの座巻き部や違径コイル部でコイリング作業続行中に、コイルの製造フログラムに従い、コイリング動作と連動して工具を変位させてコイルに初張力を付与する。成形工具保持機構や成形溝部移動機構に設けられ回転制御される複数のサーボモータを、総合的に制御する制御手段として図示しないNC制御装置が本発明の線材加工装置に含まれている。
第3実施例の作用説明で第1実施例と異なるのは成形溝部移動機構でありクランク機構に係るものであり他は説明を省略する。
【0058】
実際のコイルばねの成形過程から見た初張力付与時の成形溝部の作用について説明する。
本発明に係る初張力を付与するコイル成形工具保持機構および成形溝部移動機構の作用の説明に先立ち初めにコイルばねの初張力について考察する。
【0059】
コイルを冷間加工して密着した部分を形成して製造する引張コイルばね、または密着した部分を分離させて製造した圧縮コイルばねのいずれを問わず冷間加工により線材を巻回して作った複数のコイルに内部に潜在する歪応力を含めたものを初張力といい、巻回されたコイルにコイル成形軸線方向で異なる方向には異なる応力を示す性質がある。またコイルの巻き始めまたは巻き終わりに座巻きを設ける圧縮コイルばねでは座巻き部分は密着しておりこの場合は一定のコイルばね成形時の残留応力で隣接するコイルが密着する性質を与えられた状態である。
【0060】
このようにコイルが密着巻きとなる性質はコイル成形工具の成形溝部に線材が衝合して湾曲される際に、クイルから送り出された線材が一つ以上のコイル成形工具で湾曲させて、目的のコイルを形成する場合またはクイル側成形工具に続くコイル成形工具で湾曲させて目的のコイルを形成する場合のいずれであっても、最後に湾曲させるコイル成形工具の線材が案内され接触して通過する成形工具の溝の面が、このコイル成形工具に進入する前に線材が案内され接触して通過する溝面若しくは壁面の、いずれもが例えば巻き始め側若しくは巻き終わり側というように同じ側の面で接触しないように、コイル成形工具をコイル成形軸線の方向に沿って変位させるとコイルに密着性若しくは初応力を有するコイルばねが作られることも良く知られている。
従って等径コイルの製造時には最後に湾曲させる成形工具を固定の一定量だけ成形溝の中心をコイル生成の方向に変位させて、密着したコイルの始端を作りはじめ、中間のコイル形成時にはピッチ工具をコイル中心方向へ進ませて所定のピッチにコイルを成形し、その後ピッチ工具を必要に応じて後退させて再び密着部分のコイル成形を行ってコイルの巻き終わり工程を終了する。
【0061】
コイル径D、線材径dが異なる種々の引張コイルばねの初張力を設計数値を与えて作る際に、コイル成形工具の成形溝部がコイルの巻き始め若しくは巻き終わりの方向に変位して位置決め可能の場合には、同一のD/dの引張コイルばねでも初張力の異なるコイルばねを製造することが可能である。違径コイルばねにおいて異なるコイル径のコイルごとの初張力を一定になるようにコイル径の増大につれてコイル成形工具の溝中心の変位量を大きくしてコイルを成形しピッチ工具を操作すれ変位量の均等な違径圧縮コイルばねが製造できる。このようにコイル成形中でもコイル成形工具をNC制御で位置決めして変位自在にすることにより冷間で製造するコイルばねについて付与する初張力のレベルおよび方向を変えることが可能である。
【0062】
次に本発明のコイル成形工具保持機構及び成形溝部移動機構の作用について図面にもとづき説明する。
【0063】
図1乃至図3において、線材Wはクイル2からクイル側成形工具3Aの成形溝部3Aaに衝合し最初の湾曲作用を受ける。溝幅は線材径より少し広く刻設されており線材Wは溝両側面のいずれかの面に接触して通過する。最初の湾曲を線材Wに付与するクイル側成形工具3Aの成形溝部3Aaは形成されるコイルの中心で後に湾曲作用を付与するコイル成形工具3Bの成形溝部3Baと対向するようにそれぞれの工具3A,3Bが位置決めされている。ピッチ工具によりコイルばねのピッチを規定し所定回数巻回されたコイルばねは線材Wの供給が停止され切断工具5及び芯金6により切断されてコイルの製造は完了する。
【0064】
本発明は前述の製造プロセス中で後に湾曲を付与するコイル成形工具3Bがコイル径に対応して移動し、かつ、成形溝部3Aaに対し成形溝部3Baがコイル成形軸線に沿った方向に変位可能に設けられ位置決め可能に制御されることによりコイルばねへの初張力付与を自在としたものである。
第2実施例の図4で説明したコイル成形工具1個によるコイル形成の場合は、クイル2から送り出される線材Wがコイル成形工具3Cに衝合する迄の線材軸線に対しコイル成形工具3Cの成形溝部3Caのコイル成形軸線方向への変位量の設定により初張力が付与されるものである。
【0065】
次に成形溝部移動機構の作用を説明する。
図2に示すカム機構を用いた成形溝部3Baの変位量はスライダベース10が揺動軸9A,9Bを支点として、形成するコイルの巻き始めまたは巻き終わりの方向に揺動することで付与される。
スライダベース10への駆動力はローラ31から付与される。
【0066】
図3において、回転角位置決め可能に制御されるサーボモータ41に連接する減速機42の出力軸に取着されたカム39のリフト量が、ローラ枢着体37を介し軸32からローラ31へ伝達される。成形溝部の変位量は微少量でありカム39のカム面は偏心カムで充分である。
【0067】
次の図6は、クランク機構を用いた成形溝部3Baの変位量付与の場合である。前述のカム機構の場合と同じく成形溝部の変位量は、スライダベース10が揺動軸9A,9Bを支点として揺動することにより付与される。スライダベース10への駆動力はジョイント51から付与される。
回転角位置決め可能に制御されるサーボモータ53に連接する減速機54の出力軸に取着された軸55に偏心に螺装されたジョイント56とロッド52で連結されるジョイント51から微少変位量が付与される。
【0068】
成形溝部3Baを初張力付与のためコイル成形軸線に沿った方向に変位させた円錐台形圧縮コイルばねの製造に係るの作用を図面にもとづいて説明する。
【0069】
図8は線材を供給するクイル2を基準とした違径コイル形成中のクイル側成形工具3Aとコイル成形工具3Bの関係位置を表している。図8(a)は、違径コイルの基準コイル部形成中の関係位置〔3ALa,3BLa〕、(b)は違径コイルの大径部形成中の関係位置〔3ALx,3BLx〕を示しており、コイル径の増大について変位量が大きくなっていることを示している。
図9は図8で示した円錐台形圧縮コイルばねを製造する場合、クイル側成形工具3Aに対し後で作用するコイル成形工具3Bの関係位置を示している。コイル成形開始時はそれぞれの工具は3ALa,3BLaの位置をとり基準変位量Laが付与され、コイル形成途中では工具は3ALx,3BLxの位置で違径部変位量Lxが付与される状態を示す図である。
【0070】
図9において、クイル側成形工具3Aはコイル径が61aから61に増大して3ALaから3ALx位置決めされることを示している。後で作用するコイル成形工具3Bはコイル径が61aから増大するときは、コイルの径方向に移動し、かつ、コイル成形軸線に沿った方向にもコイル形成段階でLaからLxに変位していることを示している。
【0071】
コイル成形開始時は線材Wを案内する成形溝部の変位量は基準変位量Laであり、Laに対応した初張力が隣接するコイル間に発生している。この変位量を固定して巻回を続けるとコイル径が大きくなったコイル部位で隣接するコイル間に生じている初張力は低下する。従ってコイル径が大きくなるほど変位量を大きくし違径部変位量Lxにする必要がある。このようにすることによりコイルの巻き始めから巻き終わりまでのコイルの初張力が等しい状態を保持した違径コイルばねを作ることができる。これは、後で衝合するコイル成形工具3Bの成形溝部3Baをコイル成形軸線方向に変位させ位置決めすることがコイル成形途中でも実行可能な制御手段を線材加工装置に含むことが要件である。
【0072】
前述の説明は円錐台形圧縮コイルばねについて行ったが、形成されるコイルの部分が他の円筒形、鼓形、太鼓形のいずれの形状のコイルばねであっても良い。またこれらの形状を組み合わせてコイルばねを形成して違径コイルばねを作る場合にも変化させた初張力を付与することが可能である。
勿論、同一コイル径のコイルばねであっても途中のコイルで初張力変化を与えることは可能である。
【0073】
図9において、基準コイルAの基準変位量Laと違径コイル部の違径部変位量Lxについて説明する。
【0074】
コイルばねにおいて初応力τiと初張力Piの間には次式で表される関係が成立することが知られている。
Pi=πd3 τi/8D
ここでdは線材径、Dはコイル径、τiは線材に生ずる初応力でD/dによって与えられる数値である。この式は初張力Piは初応力τiに比例しコイル径に反比例することを示している。
【0075】
前述の円錐台形圧縮コイルばねにあってはコイル径Dが増大するときにコイルの初張力を一定に保つには初応力τiを増大させる必要があり基準変位量Laが一定のままでは当然初張力は小さくなるのでτiを増加させる必要がある。
基準コイルAを加工する際の基準変位量Laは、基準コイル径Daの線材に基準初張力Paを付与する方向に、成形溝部をLa=C・Pa・Daで与えられる変位量だけ変位させる。ここでCは線材固有の線材応力や線材径などで規定される定数である。
【0076】
次に違径コイル部Xを加工する際には、違径コイル径Dxの線材に、Paに係数uを乗じた初張力Px=u・Paを違径部に付与し、その方向に成形溝部を変位させる違径部変位量はLx=C・Px・Dx=C・u・Pa・Dxで与えられる。コイルの巻き始めから巻き終わりに至る間に形成するコイル径に対応してコイル成形工具の成形溝部の変位量をコイル成形途中でも制御することができるのでコイルばね形成時の初張力を変化が自在であり様々なばね特性をもったコイルばねの製作が可能となる。
【0077】
【発明の効果】
本発明は、上述のとおり構成されているので、以下に記載する効果を奏する。
【0078】
請求項1、2、5または6に係る発明によれば、クイルから送り出される線材に少なくとも1個のコイル成形工具を衝合させてその線材を所定の湾曲に形成するコイルの加工方法または装置、若しくは、線材にクイル側成形工具を衝合させて湾曲に形成した線材を更にコイル成形工具に衝合させて所定の湾曲に形成するコイルの加工方法または装置のいずれの場合であっても、コイル成形軸線に沿ってコイル成形工具をコイル製造プログラムの実行途上で設定の時期に設定の変位量だけ移動させることによりコイルに設定の初張力を容易に付与することが可能であるから、多様なばね特性のコイルを加工することができ、かつ、その装置が簡素に構成でき、生産能率の向上が図れる効果を奏する。
【0079】
また、請求項3に係る発明によれば、基準コイルAの線材に基準初張力Paを付与する際には、コイル成形工具の成形溝部を線材軸線に対して基準変位量Laだけ移動させ、違径コイル部Xの線材に基準初張力Paと同一または相違する違径部初張力Pxを付与する際には、基準初張力Paに対する係数uと違径部コイル径Dxとから違径部変位量Lxだけ移動させて制御するようにしたので、巻き始めから巻き終わりまでの間に相違するコイル径を有する円錐台形,鼓形,太鼓形などのコイルに、一定または基準初張力に係数を乗じた初張力を付与して加工することができる効果を奏する。
【0080】
また、請求項4に係る発明によれば、コイルの始端部および終端部ともに初張力を付与し密着した座巻き部を形成したり、いずれか一端のみに密着部を形成することができる効果を奏する。
【0081】
また、請求項7に係る発明によれば、コイル成形工具を移動させるスライド案内部材などが不要であるから構造が簡素にできるとともに、コイルを形成するのに必要なピッチ工具や切断工具等の機構部を所定の位置に容易に併設できる効果を奏する。
【0082】
また、請求項8に係る発明によれば、コイル成形工具の成形溝部移動機構は、カム機構のカムを回動制御することでコイル成形工具を揺動させて位置決めするものであり、コイル成形工具の変位量をコイル成形工具の揺動角度とカムの回動角度とで制御できるとともに、カム面のリフト量により成形溝部のわずかな変位量を制御することができる効果を奏する。
【0083】
また、請求項9に係る発明によれば、コイル成形工具の成形溝部移動機構は、クランク機構の偏心円板を回動制御してコイル成形工具を揺動させ位置決めするものであり、コイル成形工具の変位量をコイル成形工具の揺動角度と偏心円板の回動角度とで制御できるとともに、構造が簡素に構成できる効果を奏する。
【0084】
以上の通り、本発明の線材加工方法および加工装置は、湾曲に巻回される線材をコイル成形工具によってコイル生成の前方側または後方側へ付勢することで、巻回中の線材に所定の初張力を、コイル生成の前方向または後方向に生ずるように付与したり、コイルの端部をコイル成形軸線に沿って密着させたりすることが可能で、かつ、その装置が簡素に構成でき、生産能率の向上が図れる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る成形溝部移動機構がカム機構の線材加工装置を示す説明図で、成形工具が2個の線材加工部の全体平面図である。
【図2】本発明に係る成形溝部移動機構がカム機構のコイル成形工具保持機構を示す説明図で、図1のA−A断面図である。
【図3】本発明に係る成形溝部移動機構がカム機構の成形溝部移動機構を示す説明図で、図1のB−B断面図である。
【図4】本発明に係る成形工具が1個の線材加工装置を示す説明図で、線材加工部の全体平面図である。
【図5】本発明に係る成形溝部移動機構がクランク機構の線材加工装置を示す説明図で、成形工具が2個の線材加工部の全体平面図である。
【図6】本発明に係る成形溝部移動機構がクランク機構のコイル成形工具保持機構を示す説明図で、図5のC−C断面図である。
【図7】本発明に係る成形溝部移動機構がクランク機構の成形溝部移動機構を示す説明図で、図5のD−D断面図である。
【図8】違径のコイルに初張力を付与するクイル側成形工具とコイル成形工具との位置関係を示す説明図で、(a)は基準コイル形成時、(b)は大径の違径コイル形成時の説明図である。
【図9】図8で示す違径のコイル形成時、基準コイル径と違径コイル径とに対するコイル成形工具の移動量を示す関係図である。
【符号の説明】
1 線送りローラ
2 クイル
3A クイル側成形工具
3B,3C コイル成形工具
4 ピッチ工具
5 切断工具
6 芯金
7A,7B ベース
8A,8B 揺動軸受
9A,9B 揺動軸
10 スライダベース
11 工具ホルダ
12,44 スライダ
13,45,47 支えピン
14,48 ばね支持部材
15 引張コイルばね
16 ローラ枢着体
17,46 カムフオロア
18,41,53 サーボモータ
19,42,54 減速機
20 工具ホルダ
21,40 カム軸
22,39 カム
31 ローラ
32,55 軸
33 調整ねじ
34 圧縮コイルばね
35 ボルト
43 支持体
37 ローラ枢着体
38 引張コイルばね
50 前板
51,56 ジョイント
52 ロッド
61 円錐台形圧縮コイルばね
W 線材

Claims (9)

  1. クイルから送り出される線材に少なくとも1個のコイル成形工具を衝合させてその線材を湾曲に形成することでコイルを加工する方法であって、前記クイルの案内穴で規定される線材軸線に対して直交するコイル成形軸線に沿って、前記コイル成形工具の成形溝部をコイル生成の前方側または後方側へ巻回中の設定時期に設定変位量移動させた位置で、前記コイル成形工具の成形溝部を線材に衝合させて、湾曲に形成される線材を前記コイル成形工具の成形溝部によってコイル生成の前方側または後方側へ付勢し、前記クイルと前記コイル成形工具との協働によって、巻回されるコイルに初張力を付与するようにしたことを特徴とする線材加工方法。
  2. クイルから送り出される線材にクイル側成形工具とコイル成形工具とを順次衝合させてその線材を所定の湾曲に形成することでコイルを加工する方法であって、前記クイルの案内穴で規定される線材軸線に続く略同一軸線上の位置で前記クイル側成形工具の成形溝部を線材に衝合させて湾曲させた後、前記線材軸線に対して直交するコイル成形軸線に沿って前記コイル成形工具の成形溝部をコイル生成の前方側または後方側へ巻回中の設定時期に設定変位量移動させた位置で、前記コイル成形工具の成形溝部を線材に衝合させて、湾曲に形成される線材を前記コイル成形工具の成形溝部によってコイル生成の前方側または後方側へ付勢し、前記クイルと前記クイル側成形工具と前記コイル成形工具との協働によって巻回されるコイルに初張力を付与するようにしたことを特徴とする線材加工方法。
  3. 巻き始めから巻き終わりまでの間に相違するコイル径を有するコイルのうちの1巻回コイルを基準コイルAとし、この基準コイルAと違径コイル部Xとの線材固有の線材応力,線材径などで規定される定数Cを有する線材に設定の初張力を付与するために、前記コイル成形工具の成形溝部を移動させる設定変位量は、前記基準コイルAを加工する際には、前記基準コイルAの基準コイル径Daの線材に基準初張力Paを付与する方向に、前記コイル成形工具の成形溝部を前記線材軸線に対して基準変位量La=C・Pa・Daだけ移動させ、前記違径コイル部Xを加工する際には、前記違径コイル部Xの違径部コイル径Dxの線材に前記基準初張力Paに対する係数uを乗じた違径部初張力Px=u・Paを付与する方向に、前記コイル成形工具の成形溝部を前記線材軸線に対して違径部変位量Lx=C・u・Pa・Dxだけ移動させるよう巻き始めから巻き終わりまでの間にコイル径に対応して制御するようにした請求項1または2に記載の線材加工方法。
  4. コイル端部の線材に初張力を付与して座巻き部を内側コイルに接近または密着させるために、前記コイル成形工具の成形溝部を移動させる設定工具変位量は、巻き始めコイルおよび/または巻き終わりコイルを形成する際には、巻き始めおよび/または巻き終わりコイルの線材に対してそれぞれの内側コイルに向かって設定の初張力を付与すべく、前記コイル成形工具の成形溝部を移動させるようにした請求項1、2、3のいずれか1項に記載の線材加工方法。
  5. クイルから送り出される線材に少なくとも1個のコイル成形工具を衝合させてその線材を所定の湾曲に形成することでコイルを加工する装置であって、前記クイルの案内穴で規定される線材軸線に対して直交するコイル成形軸線に沿って前記コイル成形工具の成形溝部を進退移動可能に前記コイル成形工具を保持するコイル成形工具保持機構と、前記コイル成形工具の成形溝部を前記コイル成形軸線に沿って変位可能な成形溝部移動機構と、前記コイル成形軸線に沿って前記コイル成形工具の成形溝部をコイリング作業続行中にコイルの製造プログラムに従い変位可能に前記成形溝部移動機構を制御する制御手段とを備えるようにしたことを特徴とする線材加工装置。
  6. クイルから送り出される線材にクイル側成形工具を衝合させてその線材を湾曲に形成し、この湾曲に形成された線材にコイル成形工具を衝合させてその線材を所定の湾曲に形成することでコイルを加工する装置であって、前記クイルの案内穴で規定される線材軸線に続く略同一軸線上の位置で前記クイル側成形工具の成形溝部を線材に衝合可能に前記クイル側成形工具を保持するクイル側成形工具保持機構と、前記線材軸線に対して直交するコイル成形軸線に沿って前記コイル成形工具の成形溝部を進退移動可能に前記 コイル成形工具を保持するコイル成形工具保持機構と、前記コイル成形工具の成形溝部を前記コイル成形軸線に沿って変位可能な成形溝部移動機構と、前記コイル成形軸線に沿って前記コイル成形工具の成形溝部をコイリング作業続行中にコイルの製造プログラムに従い変位可能に前記成形溝部移動機構を制御する制御手段とを備えるようにしたことを特徴とする線材加工装置。
  7. 前記コイル成形工具保持機構は、前記コイル成形工具を保持する工具保持部が、前記コイル成形工具の成形溝部を前記コイル成形軸線に沿って揺動可能であるようにした請求項5または6に記載の線材加工装置。
  8. 前記成形溝部移動機構は、前記コイル成形工具と駆動源との間にカム機構を設け、このカム機構を介して前記コイル成形工具の成形溝部を揺動させるようにした請求5、6、7のいずれか1項に記載の線材加工装置。
  9. 前記成形溝部移動機構は、前記コイル成形工具と駆動源との間にクランク機構を設け、このクランク機構を介して前記コイル成形工具の成形溝部を揺動させるようにした請求項5、6、7のいずれか1項に記載の線材加工装置。
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