JP3808275B2 - 押し通し曲げ加工装置の制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はパイプや車体フレームの様な長尺ワークを対象とする押し通し曲げ加工装置の制御方法の改良技術に関する。なお、ワークの先端をヘッド、後端をテールと記載する。
【0002】
【従来の技術】
例えば特開平10−24328号公報「曲げ加工装置」は、同公報の図1に示される通り、供給装置2(符号は公報記載のものを流用。以下同様。)で送り出す素材1を位置決め治具6及び曲げ治具12を通過させる際に、曲げ治具12にて素材1を曲げ加工すると言うものである。
同公報の段落番号[0029]第2行〜第3行に「曲げ治具を素材供給方向と垂直な面内で移動して素材を曲げ加工でき、」と明示されている通り、上記公報の技術は、曲げ治具12を素材供給方向と垂直な面内で移動して素材の曲げ加工を行うことを前提とした加工技術である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、上記公報と同様の装置で曲げ加工を実施したところ、長尺ワークのヘッド及びテールに不可避的に発生する捨て代が大きいこと、曲げの途中で曲げ半径を換えるべく曲げ治具を素材供給方向と垂直な面内で移動すると、製品に大きな潰れが発生しやすくなることが分かった。これらを図7〜図9を参照の上詳しく説明する。
【0004】
図7(a)〜(c)は従来の曲げ加工装置で実施したワークのヘッドの加工説明図である。ただし、符号は100番代の数字を振り直した。
(a)において、ワークのヘッドを治具にセットする。すなわち、ストレートな素材101を、位置決め治具102及び曲げ治具103に挿入する。
(b)において、素材101を矢印▲1▼の如く送りながら、曲げ治具103を矢印▲2▼,▲3▼の如く移動する。矢印▲2▼,▲3▼の移動に伴なって位置決め治具102の出口で素材101に曲げ半径が連続的に変化するところの徐変部105が出来る。
【0005】
(c)は、曲げ治具103の移動を止め、安定した曲げ加工を開始するときの状態図である。徐変部105の次に曲げ半径が一定である製品部106が形成できたことを示す。以降、矢印▲1▼の送りを進めることで十分に長い製品部106を得ることができる。
ところで、素材のヘッド(先端)では、直線部107及び徐変部105は曲げ半径が要求曲げ半径と異なるので製品にはなりえず、捨てざるを得ない。即ち、長さDAの部分は、捨て代となる。
【0006】
図8(a),(b)は従来の曲げ加工装置で実施したワークのテールの加工説明図である。
(a)は位置決め治具102及び曲げ治具103で所望の曲げ半径の曲げ加工を実施している様子を示す。このときには曲げ治具103により素材101に曲げ加工力が安定して作用している。
【0007】
素材101のテール(後端)が位置決め治具102に近づいた時点で、図(b)において、曲げ治具103を矢印▲4▼及び▲5▼のごとく戻す。この戻し作業は、位置決め治具102及び曲げ治具103から素材101を外す上で、必要な手続である。矢印▲4▼及び▲5▼の戻しにともなって徐変部108が発生し、直線部109と合せた長さDBの部分が捨て代となる。
【0008】
図9(a),(b)は従来の曲げ加工装置で実施したワークの曲げ反力の説明図である。
(a)は小さな曲げ半径RAと大きな曲げ半径RBを含んでいる製品を示す。
(b)において、素材101を長さLの片持ち梁と考え、且つ曲げ半径RAの梁を101A、同RBの梁を101Bと呼ぶことにする。
【0009】
曲げ半径RAが小さく曲率が大きな梁101Aの基部には大きな曲げ応力MAが発生し、MA/L=FAで算出できる曲げ反力FAも大きくなる。
曲げ半径RBが大きく曲率が小さな梁101Bの基部には小さな曲げ応力MBが発生し、MB/L=FBで算出できる曲げ反力FBも小さくなる。
【0010】
梁101Aをパイプで考えると分かりやすいが、パイプが大きな力(FA)で上下に押圧されると、パイプは断面が潰れることにより横長楕円になる。この楕円化は加わる力の大きさに応じて断面の潰れが大きくなる。
このことから、梁101Aは断面の潰れが大きくて製品性が低くなり、一方、梁101Bは断面の潰れが小さくて製品性は高くなる。しかし、製品全体としては梁101Aの断面の潰れが品質の上での一つ要素となっている。
【0011】
以上に述べた通り、従来の曲げ装置では、素材のヘッド及びテールに大きな捨て代が発生して製造上での歩留りが悪くなること、及び曲げ半径が小さくなるほど偏平が酷くなり製品品質が劣化することが課題となる。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を検討し、実験を積み重ねた結果、本発明者らは位置決め治具と曲げ治具との間隔(本発明では第1・2型間の型間隔)を変更する制御を実施することで上記の課題を解決することに成功した。
【0015】
請求項1(押し通し曲げ加工装置の制御方法)は、ワークフィーダで送り出した長尺ワークを、第1型と第2型とに順に通し、第1型と第2型を相対変位させることで所望の曲げ半径で曲げた長尺ワークを得る曲げ加工装置の制御方法において、加工開始に当り長尺ワークのヘッドを第1・2型に導通させるときに第1・2型間の型間距離を最短距離とし、次に長尺ワークの送り速度に対応した速度で第2型を移動し、第1・2型間の型間距離が曲げ半径から定めた値に達したら移動を停止して定常曲げ加工に移行することを特徴とする。
【0016】
ワークのヘッドを加工する際に第2型を移動する。この移動により、ワークのヘッドに発生する不可避的捨て代を大幅に縮小することができ、製造上での歩留りを高めることができる。
【0017】
請求項2(曲げ加工装置の制御方法)は、ワークフィーダで送り出した長尺ワークを、第1型と第2型とに順に通し、第1型と第2型を相対変位させることで所望の曲げ半径で曲げた長尺ワークを得る曲げ加工装置の制御方法において、曲げ加工の末期に長尺ワークのテールが第1型に所定の距離まで近づいた時点で、第1・2型間の型間距離が最短になるように第2型の移動を開始し近接させ、第1・2型間の型間距離が最短に達した時点で長尺ワークの送りを止めることで、長尺ワークの末端から第2型の出口までの距離で規定される捨て代を最小限にする。
【0018】
ワークのテールを加工する際に第2型を移動する。この移動により、ワークのテールに発生する不可避的捨て代を大幅に縮小することができ、製造上での歩留りを高めることができる。
【0019】
請求項3(曲げ加工装置の制御方法)では、ワークフィーダで送り出した長尺ワークを、第1型と第2型とに順に通し、第1型と第2型を相対変位させることで所望の曲げ半径で曲げた長尺ワークを得る曲げ加工装置の制御方法において、曲げ加工の末期に長尺ワークのテールが第1型に所定の距離まで近づいた時点で、長尺ワークの送りを止め、次に第1・2型間の型間距離が最短になるように第2型を移動させることで、長尺ワークの末端から第2型の出口までの距離で規定される捨て代を最小限にすることを特徴とする。
長尺ワークを止めた状態で第2型を移動することで、テールに発生する捨て代をごく小さなものに留めることができ、製造上での歩留りを一層高めることができる。
【0020】
請求項4(曲げ加工装置の制御方法)は、所望の曲げ半径が、R1、これより大きいR2又は小さいR3の如く複数の曲げ半径の曲げを連続させたものであり、その際の第1型における長尺ワークの曲げモーメントをそれぞれM1、M2又はM3としたときに、M1/L1=M2/L2=M3/L3となるように、曲げ半径R1に第1・2型間の型間距離L1を対応させ、曲げ半径R2に前記L1より小さい型間距離L2を対応させ又は曲げ半径R3に前記L1より大きな型間距離L3を対応させ、曲げ加工途中で曲げ半径の変更に応じて第1・2型間の型間距離を変更することを特徴とする。
【0021】
ワークの曲げ半径を成形途中で変更する際に、型間距離制御部の制御により第2型移動機構を作動させ、第2型を移動する。この移動により、製品の断面の潰れを平準化すことができ、製品品質を高めることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、X,Y,Zは図中に明記した方向記号である。
図1は本発明に係る押し通し曲げ加工装置の分解斜視図であり、押し通し曲げ加工装置1は、ワークフィーダ10と、第1型28を主要素とする第1の型部20と、第2型39を主要素とする第2の型部30と、中子送り部50と、第2型39を移動する第2型移動機構60と、この移動機構60を制御する型間距離で構成したものであり、以下に各構成を詳しく説明する。
【0023】
ワークフィーダ10は、駆動用サーボモータ11と、このサーボモータ11の軸端に取付けた駆動用プーリ12、タイミングベルト13、従動用プーリ14と、この従動用プーリ14で廻されるボールスクリューシャフト15と、このボールスクリューシャフト15が回転することによりZ方向に直線的に移動するスライダ16と、このスライダ16に載せた押し金17とからなる。
なお、ワークフィーダ10は、押し金17を2点鎖線で示した長尺のワーク2の後端に当て、第1の型部20及び第2の型部30の加工の進行に合わせて長尺のワーク2をZ軸に沿って直線的に送り出すものである。
【0024】
第1の型部20は、支持台21,22,23と、これらの支持台21,22,23にローラ24・・・(・・・は複数を示す。以下同様。)を介して回転可能に支持した略半円筒形の回転胴25と、この回転胴25を図中Z軸廻りに旋回させるボールスクリュー付きサーボモータ26と、回転胴25に取付けた第1型28と、この第1型28に開けたワーク導通口27とからなり、第1型28は、ワーク2にZ軸廻りに捩りを与えるものである。
【0025】
第2の型部30は、固定壁31と、この固定壁31に図中X方向に移動可能に取付けたL字形移動台32と、このL字形型移動台32に図中Y方向に移動可能に取付けたスライドベース33,33と、このスライドベース33,33に図中Z方向に移動可能に取付けた門形移動台34と、この門形移動台34にY軸廻りに旋回可能に支持された回転テーブル35と、この回転テーブル35に取付けた受け台36と、この受け台36に図中X軸廻りに旋回可能に支持された固定板37と、この固定板37に取付け、中央にワーク2の外形に合せたワーク導通孔38を開けた第2型39と、X方向移動用サーボモータ40と、Y方向移動用モータ41,42と、X軸廻りの取付け角度変更用サーボモータ44と、Y軸廻りの取付け角度変更用サーボモータ45とからなる。
【0026】
第2型39はX軸及びY軸方向に移動可能且つ、Y軸及びX軸廻りに旋回可能である。
さらに、前記スライドベース33,33に水平に取付けたガイドレール61・・・と、これらのレール61・・・に沿ってZ方向に移動する門形移動台34と、この門形移動台34をZ方向に移動させるZ方向移動用サーボモータ62とからなる第2型移動機構60を付設することで、第2型39をZ軸に沿って移動できるようにした。
【0027】
中子送り部50は、架台51と、この架台51に取付けたモータ52と、このモータ52により回転するプーリ53、プーリ54、タイミングベルト55と、このタイミングベルト55と共にZ方向に移動する移動台56と、この移動台56に載ったサーボモータ57と、このサーボモータ57によりZ軸方向に移動するサポートロッド58とからなる。
中空のワーク2は、曲げ加工の際断面の潰れが生じ易い。そこで、第1型28と第2型39との間において中子と称するつぶれ防止材を使用する。その度にサポートロッド58でワーク2の後部開口から挿入するのが中子送り部50である。
【0028】
図2は本発明に係る押し通し曲げ加工装置の作動原理図兼型間距離制御部の説明図である。
先ず、曲げ加工の作動原理を説明すると、単純曲げであれば、第1型28から送り出した長尺ワーク2は、第1型28と第2型39の相対変位により曲げることができる。
【0029】
曲げにねじりを加えた複合的ねじり曲げを実施するときには、次の2つの方法がある。
第1の方法は、静止状態の第1型28から送り出した長尺ワーク2を、第2型39で処理するときに、第2型39をY軸上に移動しつつX軸(図1参照)廻りに傾けることで曲げ作用を発揮させ且つZ軸(図1参照)廻りに傾けることで捩り作用を発揮させて第2型39のみでねじり曲げを実施する。
【0030】
第2の方法は、第1型28から送り出した長尺ワーク2を第2型39で処理するときに、第1型28をZ軸(図1参照)廻りに捻ることで捩り作用を発揮させ、第2型39をY軸上に移動しつつX軸(図1参照)廻り傾けることで曲げ作用を発揮させる。
第2の方法は制御がやや複雑ではあるが、製品の仕上り精度は第1の方法より格段に優れている。
しかし、図1の押し通し曲げ加工装置1は、第1の方法、第2の方法の双方が実施可能な装置であり、第1・2の方法の何れを採用するかは任意である。
【0031】
次に、型間距離制御部を説明する。
図2において、第2型移動機構60のZ方向移動用サーボモータ62で第2型39を強制移動(Z方向移動)させることにより、第1・第2型28,39の型間距離Lを調整可能としたが、この調整をなすために型間距離制御部65でZ方向移動用サーボモータ62を制御することにした。型間距離制御部65は長尺ワーク2のヘッドが何処にあるかという「ヘッド位置情報」、長尺ワーク2のテールが何処にあるかという「テール位置情報」、製品に要求される曲げ半径がいくらであるかという「曲げ半径情報」、製品に要求される捩れ角度がいくらであるかという「断面ねじれ角度情報」の全部若しくは1つを取入れ、次に述べる制御の全部若しくは少くとも1つを実施する。
【0032】
図3(a)〜(c)は長尺ワークのヘッドに係る装置制御方法説明図であり、説明の都合で図右に第2型39を配置し、図左に第1型28を配置し、長尺ワーク2を図左から右へ送るようにした。図4,5も同様。
(a)で、第1型28に最も接近せた位置に第2型39を置き、この第2型39に、長尺ワーク2の先端(ヘッド3)を導通させる。このときの型間距離(最短距離)をL0と呼ぶ。この型間距離L0は装置構成上可能な最短距離に相当する。
【0033】
次に(b)で、第2型39を図右に移動しつつ上方へ移動し且つ傾けることにより、長尺ワーク2の送り速度Vを維持しつつ、長尺ワーク2を徐々に曲げる。4は曲げ半径が一定しない徐変部である。
【0034】
(c)で、徐変部4の後部が所望の曲げ半径R1(製品曲げ半径に相当)に達したところから製品部5が形成できる。この製品部5が出来始めた型間距離をL1と定め、この型間距離L1に第2型39が達したら、第2型39の移動を止め、以降、型間距離L1を維持しつつ、長尺ワーク2を送れば曲げ半径R1の製品部5を得ることが出来る。
(c)で示すD1が捨て代であり、この捨て代D1は図7(c)に示した捨て代DAより、格段に短い。この結果、本発明によれば製造上での歩留りが大幅に良くなる。
【0035】
以上の制御方法をまとめると、加工開始に当り長尺ワーク2のヘッド3を第1・2型28,39に導通させるときに第1・2型間の型間距離を最短距離L0とし、次に長尺ワーク2の送り速度Vに対応した速度で第2型39を移動し、第1・2型間の型間距離が曲げ半径R1から定めた値L1に達したら移動を停止して定常曲げ加工に移行することを特徴とする。
【0036】
図4(a)〜(c)は長尺ワークのテールに係る装置制御方法説明図であり、(a)は型間距離L1を維持しながら、製品部5を連続的に得る定常曲げ加工を実施していることを示す。
(b)において、長尺ワーク2のテール7が所定の位置に達したら、想像線で示す第2型39を、実線で示す第2型39の位置まで移動する。
(c)は、型間距離が最短距離L0に達したことを示し、原則としてこのときに長尺ワーク2の送りを止める。この結果、図中D2がテール7における捨て代となる。この捨て代D2は図8(b)に示した捨て代DBより格段に短い。この結果、本発明によれば製造上での歩留りが大幅に良くなる。
【0037】
この制御方法をまとめると、曲げ加工の末期に長尺ワーク2のテール7が第1型28に所定の距離まで近づいた時点で、第2型39を第1型28へ近づけるべく第2型39の移動を開始することを特徴とする。
【0038】
なお、図4(b)において、テール7が第1型28内の仮想線8で示す位置までは第2型39を想像線で示す位置に留めておく。そして、テール7が仮想線8に達した時点で長尺ワーク7の送りを止める。次に、止めた長尺ワーク7に対して想像線の第2型39を実線の第2型39まで移動する。
この操作により、図4(c)における捨て代D2を最短にすることができる。ただし、この方法は製造上での歩留りは最良となるものの、生産性は若干低下する。
【0039】
この改良した制御方法をまとめると、曲げ加工の末期に長尺ワーク2のテール7が第1型28に所定の距離まで近づいた時点で、長尺ワーク2の送りを止め、それから第2型39を第1型28へ近づけるべく第2型39の移動を開始することを特徴とする。
【0040】
図5は(a)〜(c)は複数の曲げ半径を含む製品の曲げに係る装置制御方法説明図である。
(a)は曲げ半径R1と、これより大きな曲げ半径R2とを含み、これらの曲げ半径R1,R2を変曲点9で繋いだ製品部5を示す。この様な製品部5を次の方法で製造する。
【0041】
(b)において、相対的に小さな曲げ半径R1に対しては相対的に大きな型間距離L1にて長尺ワーク2の曲げ加工を実施する。長尺ワーク2は第1型28を固定支持した片持ち梁と看做すことができ、第1型28における曲げモーメントをM1、曲げ反力をF1とすれば、M1=F1×L1から、F1=M1/L1となる。この曲げ反力F1は大きいほど製品の断面の潰れが大きくなることは先に述べた通りである。
【0042】
(c)において、相対的に大きな曲げ半径R2に対しては相対的に小さな型間距離L2にて長尺ワーク2の曲げ加工を実施する。長尺ワーク2は第1型28を固定支持した片持ち梁と看做すことができ、第1型28における曲げモーメントをM2、曲げ反力をF2とすれば、M2=F2×L2から、F2=M2/L2となる。
【0043】
上記F1=M1/L1においては、M1は大きいがL1も大きい。一方、F2=M2/L2においては、M2は小さいがL2も小さい。この結果、F1=F2=一定のごとくF1にF2を合せることができる。
この結果、図5(a)において曲げ半径R1の部位の断面の潰れと、曲げ半径R2の部位の断面の潰れとが同じ若しくはほぼ同じになり、この断面の潰れが製品品質に強く影響する。従来方法では製品中で最も条件の悪い部位における断面の潰れで製品品質が影響されいたのとは全く相違する。すなわち、本発明方法によれば製品の部位に関係なく製品品質を管理することができ、このことから従来方法よりは格段に品質を上げることができる。
【0044】
なお、曲げ半径R1にこれより小さな曲げ半径R3を連続させるときには、型間距離L1をこれより大きな型間距離L3に変更すればよい。
【0045】
図6は本発明に係る型間距離の変更要領図であり、図5(a)に示す変曲点9の部位で徐変部が発生することは避けられず、この徐変部で製品品質が低下する可能性はある。
そこで、曲げ半径Rを横軸、型間距離Lを縦軸に取った図6のグラフにおいて、型間距離L1とL2とを緩い傾きの斜線Eで結び、且つこの斜線Eの中点を概ね変曲点に合致させる。斜線Eの傾きは任意に定めることができるが、一例として、|R1−R2|=|L1−L2|(|は絶対値符号)とする。
この様に型間距離を適当な変化率で変化させることにより、製品の徐変部における断面の潰れをも一律に保つことができる。
【0046】
以上の制御方法をまとめると、所望の曲げ半径が、R1、これより大きいR2又は小さいR3の如く複数の曲げ半径の曲げを連続させたものであるときに、曲げ半径R1に第1・2型間の型間距離L1を対応させ、曲げ半径R2に前記L1より小さい型間距離L2を対応させ又は曲げ半径R3に前記L1より大きな型間距離L3を対応させ、曲げ加工途中で曲げ半径の変更に応じて第1・2型間の型間距離を変更することを特徴とする。
【0049】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1の装置制御方法では、ワークのヘッドを加工する際に第2型を移動する。この移動により、ワークのヘッドに発生する不可避的捨て代を大幅に縮小することができ、製造上での歩留りを高めることができる。
【0050】
請求項2の装置制御方法では、ワークのテールを加工する際に第2型を移動する。この移動により、ワークのテールに発生する不可避的捨て代を大幅に縮小することができ、製造上での歩留りを高めることができる。
【0051】
請求項3の装置制御方法では、曲げ加工の末期に長尺ワークのテールが第1型に所定の距離まで近づいた時点で、長尺ワークの送りを止めることを特徴とし、長尺ワークを止めた状態で第2型を移動することで、テールに発生する捨て代をごく小さなものに留めることができ、製造上での歩留りを一層高めることができる。
【0052】
請求項4の装置制御方法では、ワークの曲げ半径を成形途中で変更する際に、型間距離制御部の制御により第2型移動機構を作動させ、第2型を移動する。この移動により、製品の断面の潰れを平準化すことができ、製品品質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る押し通し曲げ加工装置の分解斜視図
【図2】本発明に係る押し通し曲げ加工装置の作動原理図兼型間距離制御部の説明図
【図3】長尺ワークのヘッドに係る装置制御方法説明図
【図4】長尺ワークのテールに係る装置制御方法説明図
【図5】複数の曲げ半径を含む製品の曲げに係る装置制御方法説明図
【図6】本発明に係る型間距離の変更要領図
【図7】従来の曲げ加工装置で実施したワークのヘッドの加工説明図
【図8】従来の曲げ加工装置で実施したワークのテールの加工説明図
【図9】従来の曲げ加工装置で実施したワークの曲げ反力の説明図
【符号の説明】
1…押し通し曲げ加工装置、2…長尺ワーク、3…ワークのヘッド、6…ワークの送り軸、7…ワークのテール、10…ワークフィーダ、28…第1型、39…第2型、60…第2型移動機構、62…Z方向移動用サーボモータ、65…型間距離制御部、L,L1〜L3…型間距離、R,R1〜R3…曲げ半径。
Claims (4)
- ワークフィーダで送り出した長尺ワークを、第1型と第2型とに順に通し、第1型と第2型を相対変位させることで所望の曲げ半径で曲げた長尺ワークを得る曲げ加工装置の制御方法において、
加工開始に当り長尺ワークのヘッドを第1・2型に導通させるときに第1・2型間の型間距離を最短距離とし、次に長尺ワークの送り速度に対応した速度で第2型を移動し、第1・2型間の型間距離が曲げ半径から定めた値に達したら移動を停止して定常曲げ加工に移行することを特徴とした押し通し曲げ加工装置の制御方法。 - ワークフィーダで送り出した長尺ワークを、第1型と第2型とに順に通し、第1型と第2型を相対変位させることで所望の曲げ半径で曲げた長尺ワークを得る曲げ加工装置の制御方法において、
曲げ加工の末期に長尺ワークのテールが第1型に所定の距離まで近づいた時点で、第1・2型間の型間距離が最短になるように第2型の移動を開始し近接させ、第1・2型間の型間距離が最短に達した時点で長尺ワークの送りを止めることで、長尺ワークの末端から第2型の出口までの距離で規定される捨て代を最小限にすることを特徴とした押し通し曲げ加工装置の制御方法。 - ワークフィーダで送り出した長尺ワークを、第1型と第2型とに順に通し、第1型と第2型を相対変位させることで所望の曲げ半径で曲げた長尺ワークを得る曲げ加工装置の制御方法において、
曲げ加工の末期に長尺ワークのテールが第1型に所定の距離まで近づいた時点で、長尺ワークの送りを止め、次に第1・2型間の型間距離が最短になるように第2型を移動させることで、長尺ワークの末端から第2型の出口までの距離で規定される捨て代を最小限にすることを特徴とした押し通し曲げ加工装置の制御方法。 - ワークフィーダで送り出した長尺ワークを、第1型と第2型とに順に通し、第1型と第2型を相対変位させることで所望の曲げ半径で曲げた長尺ワークを得る曲げ加工装置の制御方法において、
前記所望の曲げ半径が、R1、これより大きいR2又は小さいR3の如く複数の曲げ半径の曲げを連続させたものであり、その際の第1型における長尺ワークの曲げモーメントをそれぞれM1、M2又はM3としたときに、M1/L1=M2/L2=M3/L3となるように、曲げ半径R1に第1・2型間の型間距離L1を対応させ、曲げ半径R2に前記L1より小さい型間距離L2を対応させ又は曲げ半径R3に前記L1より大きな型間距離L3を対応させ、曲げ加工途中で曲げ半径の変更に応じて第1・2型間の型間距離を変更することを特徴とした押し通し曲げ加工装置の制御方法。
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