JP3916873B2 - 線材曲げ成形方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はクイルから送り出される線材に成形工具を衝合させてコイルを成形するようにしたばね成形方法に関し、特に、捻れのないフック部または設定した初張力もしくは設定したピッチを持つコイル部を成形する圧縮コイルばね、引っ張りコイルばね等の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、初張力やピッチが付与されたばねを成形するばね製造方法として、クイル先端の線材繰出穴から繰出された線材に、先端に傾斜する溝が形設された成形工具を衝合してコイルを成形する一方で、このコイル状に成形されて移動する線材に固定されたピッチツールを圧接することにより、初張力およびピッチを所定の大きさに調整する方法が従来から知られている。
【0003】
また、成形工具の傾斜する溝の中心軸線をわずかの量だけコイルの成形方向へ偏心させることによって、線材の繰出され移動する方向がコイル成形方向とは逆方向になるようにし、より大きな初張力を持つ密着ばねを成形する方法が従来から知られている。
【0004】
さらに、前記固定されたピッチツールに換わって、進退移動可能なピッチツールを該コイル線材の繰出に連動して圧接することにより、コイル部の初張力またはピッチを調整する方法が特許公報「第2894542号」(以下従来技術Aという。)に記載されている。従来技術Aには、クイル前面にNC制御で位置制御されて進退する成形ツールにNC制御で送り出される線材が衝合してコイルに曲げられ、NC制御で位置制御されるピッチツールによって所定ピッチに成形され、NC制御で所定長さで切断されてコイルばねを成形するNCばね成形において、ピッチ工具(ツール)は上端面が垂直面内で傾斜するエッジを形成する楔であってクイルの切欠き側面において線材送り方向と直角な上下方向に移動可能に配置されていてNC装置で制御駆動されるサーボモータで回転される送りネジにより上下に進退され位置制御され、コイルを所定ピッチに成形する方法が記載されている。
【0005】
また、クイル先端の線材繰出穴から繰出された線材に、先端に傾斜する溝が形設された成形工具を衝合しコイルを成形中に、該成形工具を線材繰出孔の中心軸線を中心に回動することにより、コイルにピッチを付与するコイルばねの成形方法、例えば「特公平6−81649」(以下従来技術Bという。)が知られている。
【0006】
従来技術Bは、央部に穿孔された線材繰出孔と平行な切欠きを有し、かつ、前記線材繰出孔の下側に切欠き状に形成したコイルを送り込む滑り斜面を有するクイルの線材繰出孔から線材を繰出すとともに、クイルの線材繰出孔を中心として回動位置決め可能で、かつ、クイルの軸線を含む面内で旋回位置決め可能に設けた成形工具をクイルから送り出される線材の前面に進出させて線材と衝合することでフック部およびまたはコイル部を成形するばね成形方法であって、線材の繰出とともに、先端に傾斜する溝を形設した成形工具を、クイルの線材繰出孔の中心軸線を中心として、成形工具の傾斜する溝の中心軸線とクイルの線材繰出孔の中心軸線とを略一致させて回動移動させ、かつ、クイルの軸線を含む面内で旋回移動させることにより、1巻目の成形初めの部分の姿勢制御をして、コイルばねのフック部およびまたはコイル部1巻き目の湾曲のひねりを矯正するとともにフック部の湾曲ならびにもしくは密着コイルばねまたは密着しないコイルばねのコイル胴部および必要ならば前記コイル胴部と連なるピッチの異なるコイルばねのコイル胴部の成形を1個の成形工具で行うことを特徴とするコイルばねの成形方法である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
クイル先端の線材繰出穴から繰出された線材に、先端に傾斜する溝が形設された成形工具を衝合してコイルを成形する一方で、このコイル状に成形されて移動する線材に固定されたピッチツールを圧接することにより、初張力およびピッチを調整するコイル成形方法は、ピッチツールが固定されているので、全てのコイルが密着した密着ばね、または全てのコイルが同ピッチのピッチ巻きばねを成形することは可能であるが、座巻き付きピッチばねなどの密着部とピッチ巻き部とを併せ持ったばね、または、異なるピッチのコイル部を併せ持った不等ピッチばねを成形することは不可能であるという問題があった。
【0008】
また、成形工具の傾斜する溝の中心軸線をわずかの量だけコイルの成形方向へ偏心させることによって、大きな初張力を持つフック付密着ばねを成形する場合、すでに初張力を付けるために生じているフック部の捻れを修正するために、フック部に対して進退可能な補正ツールをコイルの成形方向に付勢して補正する必要があるという問題があった。
【0009】
従来技術Aは、コイルばねの成形でコイル部のピッチ量を変えるピッチ巻き成形を行う場合に、コイル部成形用の成形工具とピッチ量を変えるピッチツールとの2個の成形工具を用いて成形加工を行う方法であるが、この方法は成形工具の他にピッチツールおよび該ピッチツールを往復動するスライド装置、更には該スライド装置を駆動する駆動装置を必要とするという問題があった。また、コイルばね成形形状が更に複雑になれば、それだけ線材加工のための成形工具を多く用いて、クイルから繰出される線材に対しあらゆる方向から線材に加工を加えなければならず、ピッチツールとそれぞれが干渉するという問題があった。
【0010】
従来技術Bにおいては、クイルの線材繰出孔を中心として回動位置決め可能で、かつ、クイルの軸線を含む面内で旋回位置決め可能に設け、先端に傾斜する溝を形設した成形工具をクイルから送り出される線材の前面に進出させて線材と衝合してフック部およびまたはコイル部を成形するばね成形方法であるため、成形工具には回動位置決め、旋回位置決めおよび進退移動位置決めのそれぞれの機能を必要とした。そのため、装置が複雑となり高価になるという問題があった。また、線材が成形空間後方から繰出される装置の場合には、成形空間前面に、クイルの線材繰出孔の中心軸線を中心として成形工具を回動位置決めする機能を持った装置を設置する必要があるため、作業性が悪いという問題があった。
【0011】
本発明は、このような従来の技術が有していた問題を解決しようとするものであり、固定ピッチツールや進退移動可能なピッチツールや修正ツールを設置することなく、成形工具とクイルのみで、捻れのないフック部または設定した初張力もしくは設定したピッチを持つコイル部を成形することを特徴とする線材曲げ成形方法を提供すること目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本願請求項1の発明は上記目的を達成するために、内部に穿孔された線材繰出穴と平行な切欠き面を有、該線材繰出穴の中心軸線を中心に回動可能なクイルの先端の該線材繰出穴から線材を繰出すとともに、該クイル先端近傍のばね成形空間に向けて進退移動可能に設けられ先端に傾斜する溝が形設された成形工具をクイルから送り出される線材の前面に進出させて該傾斜する溝と線材と衝合することで、該線材を湾曲してコイル部を成形する線材曲げ成形方法であって、前記クイルを前記線材繰出孔の中心軸線を中心に回動して前記クイルの切り欠き面を設定角度位置に位置決めしたあと、前記線材繰出孔の中心軸線を含む面内で前記線材繰出孔に対向するよう位置決めされた前記溝に前記クイル先端から繰出される前記線材を衝合し成形したコイルを前記切欠き面に圧接し、前記傾斜する溝の中心軸線と繰出される線材の中心軸線との交点を基準として前記コイル側の線材に前記切欠き面からコイル成形方向へ、前記設定角度位置に応じて、弾性変形領域の捻れ変位を与えて初張力f0の密着巻きのコイルを成形し、又は、塑性変形領域の捻れ変位を与えて捻れの大きさに関係して初張力f0より小さい初張力を持つ密着巻きのコイル若しくは捻れの大きさに関係した大きさのピッチを持つピッチ巻きのコイルを成形することにより、設定した初張力もしくは設定したピッチを持つコイル部を成形することを特徴とする線材曲げ成形方法を提案するものである。
【0013】
上記請求項1の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、クイル先端から線材を繰出すとともに、該線材に進出位置にある前記成形工具の傾斜する溝を衝合し線材を湾曲させコイル部を成形する一方で、線材の繰出しに連動して該クイルを前記線材繰出穴の中心軸線を中心に、所定角度回動位置決めし前記クイル切欠き面を設定した角度に傾かせ、前記成形中のコイル部線材を該クイル切欠き面に圧接し、該クイル切欠き面と接触する該コイル部線材位置に切欠き面に対して直角方向の変位を与えて、線材の繰出に伴い線材に塑性変形を生じさせることにより、捻れのないフック部または設定した初張力もしくは設定したピッチを持つコイル部を成形するようにしたので、次のような作用がある。
【0014】
第1に、固定ピッチツールまたは進退移動可能なピッチツールとを設置することなく、成形工具とクイルのみで、捻れのないフック部または設定した初張力もしくは設定したピッチを持つコイル部を成形するすることができるようになった。したがって、固定ピッチツールや進退移動可能なピッチツール、更には該進退移動可能なピッチツールを往復動するスライド装置、更には該スライド装置を駆動する駆動装置が不要となった。そのため、装置が簡素化でき安価に製作することができるようになり、また、そのためにクイル前面に空間が確保でき作業性がよくなる。
【0015】
第2に、成形工具の傾斜する溝の中心軸線をわずかの量だけコイルの成形方向へ偏心させ、大きな初張力を持つフック付き密着ばねを成形する場合、すでに捻れが生じているフック部の捻れを取るための補正ツールをコイルの成形方向に付勢して補正する必要がなくなり、補正ツールが不要になった。
【0016】
第3に、従来技術Bにおいては、先端に傾斜する溝が形設された成形工具を、クイルの線材繰出孔を中心として回動位置決め可能で、かつ、クイルの軸線を含む面内で旋回位置決め可能に設け、先端に傾斜する溝を形設した成形工具をクイルから送り出される線材の前面に進出させて線材と衝合してフック部およびまたはコイル部を成形するばね成形方法であるため、成形工具を回動位置決め、旋回位置決めおよび進退移動位置決めするそれぞれの機能を必要とした。
【0017】
しかし、本発明においては、クイル先端近傍のばね成形空間に向けて進退移動可能に設けられ先端に傾斜する溝が形設された成形工具を進出位置に進出し、成形工具の傾斜する溝を衝合し線材を湾曲させコイル部を成形する一方で、線材の繰出しに連動してクイルを前記線材繰出穴の中心軸線を中心に、所定角度回動位置決めし前記クイル切欠き面を設定した角度に傾かせ、前記成形中のコイル部線材を該クイル切欠き面に圧接し、該クイル切欠き面と接触する該コイル部線材位置に切欠き面に対して直角方向の変位を与えて、線材の繰出に伴い線材に塑性変形を生じさせることにより、捻れのないフック部または設定した初張力もしくは設定したピッチを持つコイル部を成形するようにしたので、先端に傾斜する溝が形設された成形工具は、クイル先端近傍のばね成形空間に向けて進退移動可能な機能のみ備えておればよいことになった。したがって、成形工具の回動位置決め、および、旋回位置決めの機能は不要となった。そのため、装置が簡素化でき安価に製作することができるようになり、また、そのためにクイル前面に空間が確保でき作業性がよくなる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施方法の構成を図1〜図3に基づいて以下の通り設明する。図1は、クイル回転部の線材繰出孔20aの中心軸線を通り水平に断面した平面図である。図2は図1のB矢視図である。図3は、図1のC矢視図である。
【0019】
図1において、線材wを上下に圧接した一対のフィードロール11の回転により、クイルライナ12の線材挿通孔12bを挿通し、クイル20先端の線材繰出孔20aから強制的に送り出される線材wに、前方に待ち受ける成形工具30が衝合し線材wを湾曲に成形する方法であって、断面形状が半円のクイルライナ片12aを2個重ね合わせ中心部に線材wが挿通する線材挿通孔12bを形成した円柱状のクイルライナ12は、前面プレート10の裏側に取着されたブラケット14の内部に取着されたクイルライナホルダ13の中央部に穿孔された孔13aに嵌挿され、ねじにより固定されている。
【0020】
クイルライナホルダ13の中央部より前方端までの外周部には、前後一対の軸受13bが取り付けられ、クイルライナ12の線材挿通孔12bの中心軸線を回転軸として、回転部材22が回転自在に取着されている。回転部材22前端面には、クイルホルダ21が取着され、このクイルホルダ21には前記クイルライナ12の前端面とわずかの隙間eで縁切りされてクイル20が取着されている。また、クイル20にはその内部に線材wを繰出す線材繰出孔20aが穿孔されており、線材繰出孔20aは前記クイルライナ12の線材挿通孔12aと同芯に取着されている。さらに、クイル20は、線材繰出孔20aの中心軸線と平行な切欠き面20bを有している。
【0021】
前記回転部材22の後端外周には外側へ出っ張った鍔部に平歯車22aが加工してあり、前面プレート10裏側後方に取着されたブラケット14に固着されたサーボモータ26により、一対の歯車24,25を介して、回転駆動されるピニオン軸23の前方軸端部に加工された平歯車23aと噛み合っている。すなわち、サーボモータ26が回動すると、クイル20はクイル20の線材繰出孔20aの中心軸線を中心として回動する。
【0022】
クイル20の先端近傍のばね成形空間において、クイル20の先端線材繰出孔20aから繰出される線材wに衝合して線材wを湾曲させる前記成形工具30は、図示しないスライド機構により下降し、成形工具30の先端に形設された傾斜する溝30aの中心軸線が、クイル20の線材繰出孔20aの中心軸線を含む面、クイル20の線材繰出孔20aに対向するよう所定の位置に位置決め可能となっている。
【0023】
以上の構成により、クイル先端から線材wを繰出すとともに、下降位置に位置決めされた前記成形工具30を該線材wに衝合し線材wを湾曲させコイル部を成形する一方で、線材wの繰出しに連動して、該クイル20を前記線材繰出穴20aの中心軸線を中心に、所定角度回動位置決めし前記クイル切欠き面20bを設定した角度に傾かせ、前記成形中のコイル部線材wを該クイル切欠き面20bに圧接し、該コイル部線材の該クイル切欠き面20bと接触する位置にクイル切欠き面20bに対して直角方向の変位を与えて、線材wの繰出に伴い線材wに塑性変形を生じさせることにより、捻れのないフック部または設定した初張力もしくは設定したピッチを持つコイル部を成形するものである。
【0024】
つぎに、本発明の線材曲げ成形方法で、密着コイルとピッチ巻きコイルとを有するばねを成形する実施例1の場合について、図4から図12までのばね成形の過程を示す一連の図に基づき説明する。図4において、(a)図はクイル20先端近傍のばね成形空間において、クイルの線材繰出孔20aから繰出された線材wと、該クイル先端近傍のばね成形空間に向けて下降位置決めされる前の原位置にある成形工具30とを示している。(b)図は(a)図のE矢視図である。クイル20のクイルホルダ21への取付面20cはこの実施例の場合垂直になっているが、所定角度傾いていてもよい。(c)図は(a)図の平面図である。この実施例では、成形工具30の先端に形設された傾斜する溝30aの中心軸線は、クイル20の繰出孔20aを含む面内にあるが、必要に応じて、傾斜する溝30aをわずかに傾けるか、または繰出孔20aの中心軸線に対してコイル成形方向へわずかに変位して、線材に捻れを発生させるようにしてもよい。
【0025】
図5は、図4において成形工具30が下降し、傾斜する溝30aがクイルの線材繰出孔20aに対向する所定の位置に位置決めされ、成形工具30と線材wの先端が接触後わずか線材繰出が行われ、成形工具30の先端に傾斜する溝30aの沿って線材が移動しているところを示す。また、クイル20がクイルの線材繰出孔20aの中心軸線を中心に、θ1°時計方向に回動したところを示す。
【0026】
図6の(c)図は(a)図のD−D矢視図であり、成形工具30を線材wとの接点を含む水平面で断面した断面図を含む平面図である。図6は、図5において、線材繰出孔20aから線材wが繰出され、成形工具30の傾斜する溝30aが衝合して線材wを湾曲させ、コイル部線材先頭部がクイル切欠き面20bの前面において成形中であるところを示す。線材wはクイル切欠き面20bと接触していないので、まだ線材には捻れは生じていない。
【0027】
図7は、図6においてクイル20をクイルの線材繰出孔20aの中心軸線を中心にθ1°反時計方向に回動し、成形中のコイル部線材wをクイル切欠き面20bに圧接し、該コイル部線材wと該クイル切欠き面20bと接触する位置にクイル切欠き面20bに対し直角方向へ変位δ1を与え、成形工具30の傾斜する溝30aの中心軸線と繰出される線材wの中心軸線との交点pを基準として線材wに捻れ角α1を与えて、線材wの繰出に伴い線材wに捻れの塑性変形を生じさせ、コイル部の初張力が設定値になるよう成形しているところを示し、巻数は1巻目を超えたところである。
【0028】
ここで、前記変位と初張力またはピッチとの関係を概念図図13に基づき説明する。図13において、(a)図は、クイル20が線材繰出孔20aの中心軸線を中心にθ°反時計方向へ回動し、線材繰出孔20aより繰出された線材wがクイル20の切欠き面20bに圧接しコイル成形方向へδ変位され、成形工具30の傾斜する溝30aの中心軸線と繰出される線材wの中心軸線との交点pを基準に捻れ角α°捻りが生じているところを示す。(b)図において、横軸はクイルの傾きθに関係して変化する前記交点pを基準とした線材の捻れ角度αである。縦軸は、上側が密着ばねにおける初張力Fの大きさを示し、下側がピッチ巻きばねのピッチPの大きさを示す。
【0029】
図13において、クイル20をクイルの線材繰出孔20aの中心軸線を中心にθ°反時計方向に回動して、成形工具30の傾斜する溝30aの中心軸線と繰出される線材wの中心軸線との交点pを基準として、切欠き面20bに対して直角方向へ変位δを与え線材wにαの捻れを与えた場合、捻れαの大きさが線材wに対して捻れの弾性変形のみを生じる捻れの最大値αa以下であれば、線材wに塑性変形は生じず、コイルは初張力Fが一定(F=f0)の密着巻きになる。捻れ角αがαaを超えるとその捻れ角αの大きさに関係して線材に塑性変形が生じる。そのため、コイルの初張力Fは捻れ角αに関係して減少しついには初張力Fは0となる。このときの捻れ角αをαbとすると、捻れ角αがαbを超えるとピッチ巻きになり捻れ角αに関係してピッチPの大きさは大きくなる。
【0030】
したがって、クイル20の線材繰出孔20aの中心軸線を中心にした回動角度θの大きさを加減することにより、コイルのねじれ方向の塑性変形の大きさを調整することが可能であり、この塑性変形の大きさに関係して初張力Fの大きさ、およびピッチPの大きさを調整することができる。すなわち、θの大きさを加減することにより、コイルの初張力Fを調整したり、ピッチの大きさPを調整することができる。
【0031】
図8は、図7において更に線材wを繰出し複数巻の密着したコイルを成形しているところを示す。図9は、図8においてクイル20をクイルの線材繰出孔20aの中心軸線を中心に更にθ2°反時計方向に回動し、成形中のコイル部線材wをクイル切欠き面20bに更に強く圧接し、該コイル部線材wにおいて該クイル切欠き面20bと接触する位置にクイル切欠き面20bに対して直角方向の更に大きな変位δ2を与え、成形工具30の傾斜する溝30aの中心軸線と繰出される線材wの中心軸線との交点pを基準として、切欠き面20bに対して直角方向へ変位を与え線材wにα2°の捻れを与えて、線材wの繰出に伴い線材wに更に大きな捻れの塑性変形を生じさせ、コイル部ピッチを設定値に成形しているところを示す。塑性変形の大きさがある大きさを超えると、上述のとおり、密着バネからピッチ巻きのばねになり、塑性変形の大きさに関係してピッチの大きさを大きく調整することができる。
【0032】
図10は、図9において更に線材wを繰出し、コイル部ピッチを設定値に成形し、複数巻のピッチ巻きコイルを成形しているところを示す。図11は、図10において所定巻数ピッチ巻きの成形が完了し、クイル20をクイルの線材繰出孔20aの中心軸線を中心にθ2°時計方向に回動し、成形中のコイル部線材wをクイル切欠き面20bに図7または図8と同じ大きさで圧接し、該コイル部線材wにおいて該クイル切欠き面20bと接触する位置にクイル切欠き面20bに対して直角方向の変位を与え線材wにα1°の捻れを与えて、線材wの繰出に伴い線材wに捻れの塑性変形を生じさせ、コイル部の初張力を最初の密着ばねと同じ設定値になるよう成形しているところを示す。
【0033】
図12は、図11において更に線材wを繰出し、所定の初張力に調整した複数巻の密着巻きのコイルを成形しているところを示す。所定巻き数の密着巻きのコイルを成形すると線材繰出しは停止し、成形工具30は上方原位置へ待避し、図示しない切断ツールが前進し、所定の位置で線材は切断される。以上で密着部、ピッチ巻部、密着部で構成されたばねの成形が完了し、最初から同じ動作を繰り返すことで、連続して同じばねを生産することが可能である。
【0034】
この実施例では、密着部、ピッチ巻部、密着部で構成されたばねの成形を説明したが、全コイルとも所定の初張力に調整した密着ばねも可能であり、また、全コイルが所定の大きさのピッチに調整されたピッチ巻きばねも可能である。さらに、ピッチの大きさが複数のピッチからなる異ピッチばねの成形も可能である。
【0035】
他の実施例2を図14〜図16に基づき説明する。図14の(c)図に示すように、成形工具30先端の傾斜する溝30aの中心軸線は線材繰出孔20aの中心軸線とわずかな量xだけコイルの成形方向へ偏心している。線材繰出孔20aから繰出された線材wは、この成形工具30の傾斜する溝30aの壁に衝合し、コイル成形方向とは逆方向に捻られながら繰出移動しコイルが成形される。このときクイルはθ3°時計方向へ傾いており、繰出されてたコイルとは干渉しない。コイルwの先端がクイルの切欠き面20bに差しかかったときに、線材wを繰出す一方、線材繰出孔20aの中心軸線を中心としてθ4°反時計方向へ回動すると、図15に示すようにクイルの切欠き面20bに押圧され線材wはコイル成形方向へ矯正される。その結果、成形工具30が原位置へ上昇した後線材wがさらに繰出されるとフック部は自由となり、図16に示すように捻れのないフック部が完成する。
【0036】
実施例1においては、成形工具30先端の傾斜する溝30aの中心軸線は線材繰出孔20aの中心軸線と同一面内にあったが、実施例2と同様に、成形工具30先端の傾斜する溝30aの中心軸線は線材繰出孔20aの中心軸線とわずかな量xだけコイルの成形方向へ偏心することにより、実施例1で説明した同様の方法でより大きな初張力持った密着ばねを成形することできるのは言うまでもない。
【0037】
本実施例において、前記クイル20の材質は工具鋼であり、線材繰出穴20a部を超硬にしているが、線材繰出穴と平行な切欠き面も超硬にすれば、線材による切り欠き面の摩耗を防ぐことができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明は、線材の繰出しに連動して、該クイルを前記線材繰出穴の中心軸線を中心に、所定角度回動位置決めし前記クイル切欠き面を設定した角度に傾かせ、前記成形中のコイル部線材を該クイル切欠き面に圧接し、該クイル切欠き面と接触する該コイル部線材位置に切欠き面に対して直角方向の変位を与えて、線材の繰出に伴い線材に塑性変形を生じさせることにより、コイル部の初張力またはピッチを設定値に成形するようにしたので、成形工具とクイルのみで、コイル部の初張力またはピッチを設定値にすべく調整することができるようになった。そのため、ピッチツールおよび該ピッチツールを往復動するスライド装置、更には該スライド装置を駆動する駆動装置が不要となった。また、機械前面の装置が不要となったので作業性がよくなった。更に、線材加工のための成形工具を多く設置することが可能になったので、複雑な成形形状のコイルばねが成形可能になった。
【0039】
【図面の簡単な説明】
【図1】 クイル回転部のクイル線材繰出孔の中心軸線を通り水平に断面した平面図
【図2】図1のB矢視図
【図3】図1のC矢視図
【図4】実施例1におけるばね成形の過程を示す図
【図5】実施例1におけるばね成形の過程を示す図
【図6】実施例1におけるばね成形の過程を示す図
【図7】実施例1におけるばね成形の過程を示す図
【図8】実施例1におけるばね成形の過程を示す図
【図9】実施例1におけるばね成形の過程を示す図
【図10】実施例1におけるばね成形の過程を示す図
【図11】実施例1におけるばね成形の過程を示す図
【図12】実施例1におけるばね成形の過程を示す図
【図13】変位と初張力またはピッチとの関係の概念図
【図14】実施例2におけるばね成形の過程を示す図
【図15】実施例2におけるばね成形の過程を示す図
【図16】実施例2におけるばね成形の過程を示す図
【0040】
【符号の説明】
10 前面プレート
12 クイルライナ
13 クイルライナホルダ
20 クイル
20a 線材繰出孔
21 クイルホルダ
22 回転部材
30 成形工具
30a 成形工具の傾斜する溝
w 線材

Claims (1)

  1. 内部に穿孔された線材繰出穴と平行な切欠き面を有、該線材繰出穴の中心軸線を中心に回動可能なクイルの先端の該線材繰出穴から線材を繰出すとともに、該クイル先端近傍のばね成形空間に向けて進退移動可能に設けられ先端に傾斜する溝が形設された成形工具をクイルから送り出される線材の前面に進出させて該傾斜する溝と線材と衝合することで、該線材を湾曲してコイル部を成形する線材曲げ成形方法であって、
    前記クイルを前記線材繰出孔の中心軸線を中心に回動して前記クイルの切り欠き面を設定角度位置に位置決めしたあと、前記線材繰出孔の中心軸線を含む面内で前記線材繰出孔に対向するよう位置決めされた前記溝に前記クイル先端から繰出される前記線材を衝合し成形したコイルを前記切欠き面に圧接し、前記傾斜する溝の中心軸線と繰出される線材の中心軸線との交点を基準として前記コイル側の線材に前記切欠き面からコイル成形方向へ、前記設定角度位置に応じて、弾性変形領域の捻れ変位を与えて初張力f0の密着巻きのコイルを成形し、又は、塑性変形領域の捻れ変位を与えて捻れの大きさに関係して初張力f0より小さい初張力を持つ密着巻きのコイル若しくは捻れの大きさに関係した大きさのピッチを持つピッチ巻きのコイルを成形することにより、設定した初張力もしくは設定したピッチを持つコイル部を成形することを特徴とする線材曲げ成形方法。
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