JP2001239341A - コイルばねの製造方法 - Google Patents

コイルばねの製造方法

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JP2001239341A JP2000050930A JP2000050930A JP2001239341A JP 2001239341 A JP2001239341 A JP 2001239341A JP 2000050930 A JP2000050930 A JP 2000050930A JP 2000050930 A JP2000050930 A JP 2000050930A JP 2001239341 A JP2001239341 A JP 2001239341A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コイルのピッチ付与時にコイル成形工具に過
大な押圧力が作用して、その成形溝側壁が破損したり摩
耗して工具寿命を短くすること、また線材に傷が発生す
ることを防止する。 さらに、適正な初張力を付与でき
るようにする。 【解決手段】 少なくとも一個のコイル成形工具3B
(3A)でクイル2から送り出される線材Wを湾曲させ
るとともに、ピッチ工具4でピッチが付与されたコイル
ばねを製造する方法において、巻き始めから巻き終わり
までの間の所定時期に、前記成形工具3B(3A)の成
形溝を、そのシャンク部軸心を中心として設定回動角度
θだけ回動せた位置でコイルばねを巻回するようにし
た。 また、付与するピッチがさらに大きい際には、前
記成形工具3B(3A)の成形溝を、コイル成形方向へ
設定移動量Lbだけ移動させて巻回する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コイルばねの製造
方法に係るものである。 さらに詳しくは、巻回中の線
材軸線に対して、コイルを形成する成形工具の成形溝を
設定回動角度だけ回動させた位置で、湾曲線材に衝合さ
せて巻回するコイルばねの製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来の技術によるコイルばねの製造方法
としては、例えばクイルから送り出される線材に少なく
とも1個のコイル成形工具を衝合させて、湾曲に巻回さ
れる線材を、所定位置のコイル成形工具によってコイル
生成の前方側または後方側へ付勢することで、巻回中の
湾曲線材をコイル生成の前方側または後方側に塑性変形
させてコイルばねを巻回する。 そして、座巻き部のみ
を密着させてコイル胴部に所定のピッチを付与した座巻
き付ピッチ巻きコイルばねを加工する際には、コイル成
形工具によって座巻き部の湾曲線材を密着させ、密着し
ようとするコイル胴部の湾曲線材をピッチ工具によって
コイル生成の前方側へ付勢することでピッチを付与する
製造方法(以下、従来技術Aという)が知られている。
【0003】また、従来技術Aを改良したものとして、
先に本願の発明者等が提案した特願平11−50227
号の発明(以下、従来技術Bという)がある。 この従
来技術Bの発明は、巻き始めから巻き終わりまでの間の
設定移動時期に、少なくとも1個のコイル成形工具の成
形溝を、クイルの案内穴で規定される線材軸線に対して
直交するコイル成形軸線に沿って、コイル生成の前方側
または後方側へ設定変位量だけ移動させて付勢すること
で、巻回中の湾曲線材をコイル生成の前方側または後方
側に塑性変形させてコイルばねを巻回する。
【0004】そして、座巻き部のみを密着させてコイル
胴部に所定のピッチを付与した座巻き付ピッチ巻きコイ
ルばねを加工する際には、座巻き対応位置のコイル成形
工具によって座巻き部の湾曲線材を密着させ、ピッチ巻
き対応位置のコイル成形工具によってコイル胴部の湾曲
線材をコイル生成の前方側または後方側へ付勢するとと
もに、ピッチ工具によってその湾曲線材をコイル生成の
前方側へ付勢することでピッチを付与する製造方法であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来技術A,Bにおいては、コイル成形工具の成形溝軸
線が、クイルから送り出される線材軸線に対して平行な
移動しかできないので、下記のような問題があった。
【0006】すなわち、ピッチの大きな座巻き付の圧縮
コイルばねを成形する際、コイル成形工具により座巻き
部分のコイルが成形された後に、ピッチ工具が前進し、
密着しようとする湾曲線材をピッチ工具によって付勢し
て所定のピッチになるよう塑性変形させ、コイルの間隔
を広げるとき、湾曲線材は、コイル成形工具の成形溝の
衝合端部近傍を支点としてピッチ工具による曲げ荷重を
受ける。 この作用によって、湾曲線材とコイル成形工
具の成形溝側面との間には成形溝側面方向へ過大な押圧
力が発生し、コイル成形工具の成形溝側面が破損した
り、巻回中の湾曲線材に傷が発生したりするという問題
があった。
【0007】また、上記問題を解決するために、コイル
成形工具の成形溝の衝合端部を削り取ることで、コイル
成形工具の成形溝側面方向への過大な押圧力を抑止でき
るが、標準的なコイル成形工具が使用できなくなるの
で、特殊で余分なコイル成形工具が必要となって、製造
原価が高くなるとともに工具管理が煩雑になるという問
題があった。
【0008】また、コイルばねに付与するピッチに対応
して巻回中の線材軸線に対するコイル成形工具の成形溝
軸線を所定角度位置に位置調整し、湾曲線材とコイル成
形工具との間の過大な負荷の発生を除去することによ
り、湾曲線材への傷発生をなくし、コイル成形工具の損
傷を防ぐという方法があるが、この方法ではコイルばね
に付与するピッチを変更するたびに段取り替えで調整し
なければならない。 したがって、所定角度位置の再現
性が悪く、位置調整に長時間を要するので、生産性の向
上を図ることが難しいという問題があった。
【0009】本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑
みてなされたものであって、その目的とするところは、
標準的なコイル成形工具を使用して、かつ、コイル成形
工具の成形溝側面の破損や、巻回中の湾曲線材に傷が発
生しないようにするとともに、所定角度位置の再現精度
や生産性の向上を図ることができるコイルばねの製造方
法を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに本発明の請求項1に係るコイルばねの製造方法は、
少なくとも1個のコイル成形工具に、クイルから送り出
される線材を衝合させて湾曲に形成し、その湾曲線材を
巻回するとともに、巻回された線材の側面に巻き始めか
ら巻き終わりまでの間の所定時期にピッチ工具を当接さ
せることでピッチが付与されたコイルばねを製造する方
法であって、巻き始めから巻き終わりまでの間の所定時
期に、前記コイル成形工具の成形溝を、そのシャンク部
軸線を中心に巻回中の線材軸線に対して設定回動角度だ
け回動させた位置で、コイルばねを巻回するようにした
方法である。
【0011】また、請求項2に係る発明は、前記設定回
動角度だけ回動させた位置で湾曲線材と衝合している前
記コイル成形工具の成形溝を、巻き始めから巻き終わり
までの間の所定時期に、前記クイルの案内穴で規定され
る線材軸線に対して直交するコイル成形軸線に沿ってコ
イル生成の前方側または後方側へ設定変位量だけ移動さ
せた位置で、コイルばねを巻回するようにした製造方法
である。
【0012】また、請求項3に係る発明は、クイル側成
形工具とコイル成形工具とに、クイルから送り出される
線材を衝合させて湾曲に形成し、その湾曲線材を巻回す
るとともに、巻回された線材の側面に巻き始めから巻き
終わりまでの間の所定時期にピッチ工具を当接させるこ
とでピッチが付与されたコイルばねを製造する方法であ
って、巻き始めから巻き終わりまでの間の所定時期に、
前記コイル成形工具の成形溝を、そのシャンク部軸線を
中心に巻回中の線材軸線に対して設定回動角度だけ回動
させた位置で、コイルばねを巻回するようにした製造方
法である。
【0013】また、請求項4に係る発明は、前記設定回
動角度だけ回動させた位置で湾曲線材と衝合している前
記コイル成形工具の成形溝を、巻き始めから巻き終わり
までの間の所定時期に、前記クイルの案内穴で規定され
る線材軸線に対して直交するコイル成形軸線に沿ってコ
イル生成の前方側または後方側へ設定変位量だけ移動さ
せた位置で、コイルばねを巻回するようにした製造方法
である。
【0014】また、請求項5に係る発明は、クイル側成
形工具とコイル成形工具とに、クイルから送り出される
線材を衝合させて湾曲に形成し、その湾曲線材を巻回す
るとともに巻回された線材の側面に巻き始めから巻き終
わりまでの間の所定時期にピッチ工具を当接させること
でピッチが付与されたコイルばねを製造する方法であっ
て、巻き始めから巻き終わりまでの間の所定時期に、前
記コイル成形工具またはクイル側成形工具のいずれか一
方の成形溝を、そのシャンク部軸線を中心に巻回中の線
材軸線に対して設定回動角度だけ回動させた位置で、か
つ、巻回中の線材軸線に対しては回動させずに湾曲線材
と衝合している他方の成形溝を、前記クイルの案内穴で
規定される線材軸線に対して直交するコイル成形軸線に
沿ってコイル生成の前方側または後方側へ設定変位量だ
け移動させた位置で、コイルばねを巻回するようにした
製造方法である。
【0015】また、請求項6に係る発明は、前記設定回
動角度だけ回動させた位置で湾曲線材と衝合している前
記コイル成形工具またはクイル側成形工具のいずれか一
方の成形溝と、回動させずに湾曲線材と衝合している他
方の成形溝とを、巻き始めから巻き終わりまでの間の所
定時期に、前記クイルの案内穴で規定される線材軸線に
対して直交するコイル成形軸線に沿ってコイル生成の前
方側または後方側へ設定変位量だけそれぞれ移動させた
位置で、コイルばねを巻回するようにした製造方法であ
る。
【0016】また、請求項7に係る発明は、クイル側成
形工具とコイル成形工具とに、クイルから送り出される
線材を衝合させて湾曲に形成し、その湾曲線材を巻回す
るとともに、巻回された線材の側面に巻き始めから巻き
終わりまでの所定時期にピッチ工具を当接させることで
ピッチが付与されたコイルばねを製造する方法であっ
て、巻き始めから巻き終わりまでの間の所定時期に、前
記コイル成形工具と前記クイル側成形工具との成形溝
を、そのシャンク部軸線を中心に巻回中の線材軸線に対
して設定回動角度だけそれぞれ回動させた位置で、コイ
ルばねを巻回するようにした製造方法である。
【0017】また、請求項8に係る発明は、前記設定回
動角度だけそれぞれ回動させた位置で湾曲線材と衝合し
ている前記コイル成形工具とクイル側成形工具との成形
溝のうちの少なくとも一方の成形溝を、巻き始めから巻
き終わりまでの間の所定時期に、前記クイルの案内穴で
規定される線材軸線に対して直交するコイル成形軸線に
沿ってコイル生成の前方側または後方側へ設定変位量だ
け移動させた位置で、コイルばねを巻回するようにした
製造方法である。
【0018】上記請求項1に係る発明によればコイル成
形工具の成形溝を、また、請求項3または7に係る発明
によれば、コイル成形工具、クイル側成形工具の一方ま
たは双方の成形溝を、所定時期に設定回動角度だけ回動
させた位置でコイルばねを巻回するようにしたので、コ
イル成形工具の成形溝を巻回中の線材軸線に対して、一
致させるか、または、所定角度だけ齟齬させるように設
定回動角度を選択することで、湾曲線材にコイル生成の
前方側または後方側へ過大な押圧力を発生させずにコイ
ルばねを巻回することができる。 したがって、コイル
ばねに初張力やピッチを付与する際に、湾曲線材をコイ
ル生成の前方側または後方側へ適切な押圧力で付勢する
ことができる。
【0019】また、上記請求項2に係る発明によればコ
イル成形工具の成形溝を、また、請求項4、5、6また
は8に係る発明に発明によれば、コイル成形工具、クイ
ル側成形工具の一方または双方の成形溝を、所定時期に
設定回動角度だけ回動させるとともに、所定時期にコイ
ル成形の前方側または後方側へ設定変位量だけ移動させ
た位置でコイルばねを巻回するようにしたので、コイル
成形工具の成形溝を巻回中の線材軸線に対して、一致さ
せるか、または、所定角度だけ齟齬させるように設定回
動角度を選択し、かつ、コイル成形工具、クイル側成形
工具の一方または双方の成形溝を設定変位量だけ移動さ
せることで、前記請求項1、3または7の発明に係る作
用に加えて、さらに大きなピッチのコイルばねに対して
初張力やピッチを付与する際に、湾曲線材をコイル生成
の前方側または後方側へ適切な押圧力で付勢することが
容易にできる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、三種類の
実施例のコイルばね製造機を使用してコイルばねを製造
する各例の方法について、図面を参照して以下のとおり
説明する。
【0021】本発明に係る方法を実施する装置の第1実
施例を、図1乃至図3に示す。 この第1実施例は、ク
イル側成形工具3Aとコイル成形工具3Bとを回動させ
る成形溝回動機構が、前記各成形工具の保持部材に付加
されており、さらに、前記各成形工具の成形溝をコイル
成形の前方側または後方側へ移動させる成形溝移動機構
が、前記各成形工具の保持部材近傍に設けられているも
のである。 第2実施例は、図4,図5に示すように、
第1実施例の装置から成形溝移動機構を取り除いたもの
である。 第3実施例は、図6に示すように、第1実施
例のクイル側成形工具およびその関係機構を取り除い
て、コイル成形工具3をクイル側に近づけ、ほぼコイル
中心のクイル前面と対向する位置に芯金を設けたもので
ある。
【0022】〔第1実施例〕図1は成形工具が2個のコ
イルばね加工装置の平面図、図2は図1のA−A矢視断
面でコイル成形工具体保持機構の断面図、図3は成形溝
回動機構を示す拡大断面図である。
【0023】本発明に係るこのコイルばね加工装置は、
製造機本体の前方に図2に示す前板50が立設され、こ
の前板50の前面50aには図1に示す線材Wを把持し
て送り出す線送りローラ1,1と、線材の送り出し方向
を規定するクイル2と、このクイル2から繰り出される
線材Wを湾曲させて巻回するコイル生成軸心方向に進退
移動可能なクイル側成形工具3A,コイル成形工具3B
と、巻回されたコイルにコイル生成方向に所定のピッチ
を付与するために前端を楔状に形成しコイル軸心に向か
って進退可能なピッチ工具4と、このピッチ工具4と対
向する位置で巻回された線材Wの終端を切断するコイル
軸心に向かって進退可能な切断工具5と、この切断工具
5に対向する位置で、巻回されたコイルの内側にあって
切断工具5の前進によりコイルの終端を切断する芯金6
とが設けられている。
【0024】本第1実施例のクイル側成形工具3Aとコ
イル成形工具3Bとは、前述したコイルの輪郭を形成す
ることの他に、初張力を付与するための作動をするよう
に構成されている。 すなわち、一方のクイル側成形工
具3Aは、図1に示すように、成形溝回動機構を介して
クイル2近傍の後述するクイル側成形工具体保持機構に
回動可能に設けられ、クイル2の案内穴で規定される線
材軸線上の位置で、コイル径の増減に対応してコイル中
心に対向するようにクイル側衝合軌跡に沿って進退移動
可能に構成されるとともに、前記クイル2の案内穴で規
定される線材軸線に対して直交するコイル成形軸線に沿
ってコイル生成の前方側または後方側へ進退移動可能に
構成されて、その成形溝3Aa(図7参照)によってコ
イル状線材をコイル生成の前方側または後方側へ付勢し
てクイル2から送り出される線材に衝合させて湾曲に形
成する。
【0025】また、他方のコイル成形工具3Bは、図1
に示すように成形溝回動機構を介して、クイル2から遠
い後述するクイル遠方側の後述するコイル成形工具体保
持機構に設けられ、クイル側成形工具3Aで湾曲に形成
された線材と衝合可能な偏位した位置で、コイル径の増
減に対応してコイル中心に対向するようにクイル遠方側
衝合軌跡に沿って進退移動可能に構成されて、クイル側
成形工具3Aで湾曲に形成された線材に衝合させて所定
のコイル径のコイルを形成するとともに、前記クイル2
の案内穴で規定される線材軸線に対して直交するコイル
成形軸線に沿ってコイル生成の前方側または後方側へ進
退移動に構成されて、その成形溝3Baによってコイル
状線材をコイル生成の前方側または後方側へ付勢し、ク
イル2とクイル側成形工具3Aとコイル成形工具3Bと
の3要素の協働によって巻回されるコイルに初張力を付
与するようにしているものである。
【0026】ここで重要なことはクイル側成形工具3
A,コイル成形工具3Bともに、各成形溝3Aa,3B
aの溝方向を角度調整可能に、後述する成形溝回動機構
がそれぞれに付加されて成形溝側壁に作用する線材の圧
力を平均化若しくは減少させるようにしたことにある。
【0027】上述した一方のクイル側成形工具体保持機
構はベース7A上で、クイル側成形工具3Aが、図示し
ない揺動可能な成形溝移動機構によって、コイル成形軸
線に沿ってコイル生成の前方側または後方側へクイル側
成形工具3Aの成形溝3Aaを進退移動(揺動)可能
に、また、他方のコイル成形工具体保持機構はベース7
B上で、コイル成形工具3Bが、図2に示す揺動可能な
成形溝移動機構によって、コイル成形軸線に沿ってコイ
ル生成の前方側または後方側へコイル成形工具3Bの成
形溝3Aaを進退移動(揺動)可能に構成されているも
のである。 そして、これらのベース7Aとベース7B
とは、クイル軸線を挟む略対称位置で、前板50の前面
50aに取着されている。
【0028】コイル成形工具体保持機構と、クイル側成
形工具体保持機構とは同じ機構であるのでコイル成形工
具体保持機構で説明する。 成形溝移動機構は、図1,
図2に示すように、ベース7B上に設けた工具支持体1
1Bとともにコイル成形工具3Bの成形溝3Baを、初
張力の増減に対応して揺動して移動するように構成され
た成形溝移動機構であって、ベース7Bには、揺動軸受
8a,8bが後端部に螺着されて、この揺動軸受8a,
8bに支承される揺動軸9a,9bの軸心を揺動中心に
して、後述するスライダベース10が、図2に示す左右
方向に揺動可能に構成されている。 すなわち、スライ
ダベース10の後端部に軸穴10aが穿設され、揺動軸
9a,9bが、この軸穴10aにその突出部が嵌合され
てスライダベース10に螺着されているので、スライダ
ベース10は、揺動軸9a,9bの軸心を揺動中心にし
てクイル2の案内穴に対して直交するコイル成形軸線に
沿って揺動可能である。
【0029】このスライダベース10には、スライダ1
2を案内する案内部材10b,10bが設けられて、ス
ライダ12が、この案内部材10b,10bに沿って進
退移動可能に設けられている。 このスライダ12上に
は、コイル成形工具3Bを着脱可能に保持する成形溝回
動機構を締着した工具支持体11Bが螺着されている。
したがって、コイル成形工具3Bは、スライダ12が
後述する工具進退作動機構によって進退移動すること
で、このスライダ12とともに、コイル径も増減に対応
して上述したクイル遠方側衝合軌跡に沿って進退移動す
る。
【0030】次いで、コイル成形工具3Bを進退移動さ
せる工具進退作動機構は、図1,図2に示すように、ス
ライダベース10の後端部に減速機19を備えたNC制
御のサーボモータ18が取着され、この減速機19の出
力軸19aには、カム軸21が螺着され、このカム軸2
1の端部には、カム22が、サーボモータ18によって
回動可能に螺着されている。
【0031】他方、スライダ12上には、工具支持体1
1B近傍に引張コイルばね15,15の各一端部を掛止
するばね支持体14が螺着され、このばね支持体14の
後部には、ローラ枢着体16が、前後位置調整可能に螺
着され、このローラ枢着体16の後部には、カムフオロ
ア17が、カム22と外接して回動自在に枢着されてい
る。 また、引張コイルばね15,15の各他端部は、
ベース7Bの後端部に螺着されたばね掛けピン13に掛
止されて、ばね支持体14、スライダ12を介して工具
支持体11Bとともに、コイル成形工具3Bを後方側
(図2の上方側)に付勢し、カム22とカムフオロア1
7とを圧接する。
【0032】そして、このように構成されたコイル成形
工具体保持機構は、スライダ12が、引張コイルばね1
5,15で後方に常時付勢され、工具進退作動機構のサ
ーボモータ18によって回動制御されるカム22のカム
曲面によって、このカム曲面に外接するカムフオロア1
7が進退移動されることで、上述のようにコイル成形工
具3Bをクイル遠方側衝合軌跡に沿って進退移動させる
ものである。
【0033】更に成形溝回動機構は図3に示すように、
コイル成形工具3Bを着脱可能に保持する工具ホルダ2
5Bが工具支持体11Bに、コイル巻回中心に軸芯を向
けて軸受26,26により回動可能に支持されている。
さらにNC駆動のサーボモータ27Bが工具支持体1
1Bに、工具ホルダ25Bと平行に支持されていて、サ
ーボモータ27Bの出力軸27Baに締着した歯車28
Bと、工具ホルダ25Bに締着された歯車29Bとが噛
合されていて、サーボモータ27Bによりコイル成形工
具3Bの回動角度位置が適宜制御されるものである。
これによってコイル成形工具3Bの成形溝3Baと、通
過する線材Wとの接触圧を減少するように調整すること
ができるとともに、コイルばねの座巻き部の初張力をも
調整することができる。
【0034】更にまたコイルばねに初張力を付与調整す
るために、コイル成形工具3Bを移動させる成形溝移動
機構は、図2に示す揺動軸9a,9bの軸心を揺動中心
にして、上述したコイル成形工具3Bを左右方向に揺動
させることで、その成形溝3Baをコイル成形軸線に沿
って移動させる成形溝移動機構であって、コイル成形工
具3Bの成形溝3Baをコイル成形軸線に沿って前方側
若しくは後方側へ変位させるには、ローラ31と当接す
る軸32の軸方向の移動によって行われる。
【0035】図2において、スライダベース10は揺動
軸9a,9bを支点とし、スライダベース10に枢支さ
れたローラ31を軸32に常時当接するように付勢する
圧縮ばね34がボルト35に嵌装され、前板50の穴部
50cに座金36とボルト35の頭部間で圧縮ばね34
が圧縮嵌装されており、ボルト35はベース7Bの穴7
Baを通ってスライダベース10に螺着されている。
コイル成形工具3Bのコイル成形軸線に沿った変位量
は、揺動軸9a,9bの中心からコイル成形工具3Bの
成形溝3Baまでの距離と、揺動軸9a,9bの中心か
らローラ31の作用点までの距離との比により定まる。
【0036】図2において、軸32は、軸方向で連動す
るローラ枢着体37のカムフオロア46が、引張コイル
ばね38で前記軸心方向に付勢されて、カム39のカム
面に当接している。 引張コイルばね38は、支持体4
3に固定した支えピン47と、スライダ44に設けたば
ね支持部材48との間で張設されている。 カム39の
リフト量をカムフオロア46の移動変位量として、カム
軸40の回転をNC制御の図示しないサーボモータによ
り付与される。 支持体43には、前板50の後面50
bに直角にスライダ44の案内部材が設けられていてス
ライダ44が移動可能である。
【0037】スライダ44とローラ枢着体37とは調整
ねじ33によって位置調整可能で、スライダ44と軸3
2とは一体移動可能に構成されているので、カム39の
変位分だけ軸32はその軸方向に移動し、前板50の穴
部50dに突出して形成されているスライダベース10
の突出部にピン45により枢支されたローラ31に当接
して、その移動変位量を伝える。 この結果、コイル成
形工具3Bの成形溝3Baをコイル成形軸線に沿ったコ
イル生成の前方側または後方側へ変位させて線材Wを付
勢することで、設定の初張力を付与することができる。
他方のクイル側成形工具3Aのクイル側成形工具体保
持機構,成形溝回動機構および成形溝移動機構は、前述
したコイル成形工具3B用の一連の機構と同じであり、
コイル成形工具3Bと向きを異にするのみであるので一
部にアルファベッドの大文字Aを数字の後に付して説明
を省略する。
【0038】なお、図1に示す構成は、右巻きコイルを
加工するように構成されたものであって、左巻きコイル
を加工する際には、コイル成形工具3Bのコイル成形工
具体保持機構、クイル側成形工具3Aのクイル側成形工
具体保持機構と、各々の工具進退作動機構、成形溝回動
機構および成形溝移動機構とを、図1に示すクイル2の
軸線を挟んで図示の反対側に配設して構成するものであ
る。
【0039】本第1実施例のコイル成形工具3Bとクイ
ル側成形工具3Aとに付設した成形溝回動機構及び成形
溝移動機構の作用を説明する。
【0040】図1乃至図3において、所定ピッチの圧縮
コイルばねを成形する場合を図7,図8,図9にもとづ
いて説明する。 図1,図7に示すように、線送りロー
ラ1,1でクイル2から送り出された線材Wは、クイル
2の前方で待機するクイル側成形工具3Aの成形溝3A
aに衝合し、さらに、コイル成形工具3Bの成形溝3B
aに衝合して湾曲に形成され、クイル2から線材Wを連
続的に送り出すことで、図示のようにコイル状に巻回さ
れる。 すなわち、巻回されるコイル径は、クイル2の
案内穴端部、コイル成形工具3Bの成形溝3Ba、クイ
ル側成形工具3Aの成形溝3Aaの3要素の位置で決ま
る。
【0041】また、各々の成形溝3Ba,3Aaの溝幅
は線材径より少し広く形成されており、線材Wは、各成
形溝3Ba,3Aaの両側面のいずれかの面に接触して
通過する。 線材Wを最初に湾曲させるクイル側成形工
具3Aの成形溝3Aaに対し、線材Wを最後に湾曲させ
るコイル成形工具3Bの成形溝3Baは、湾曲線材に初
張力を付与するために、図8(a)に示すように、初期
移動量Laだけずれた位置で、コイル生成方向に前進位
置決めされている。
【0042】このコイル成形工具3Bで初張力が付与さ
れて、座巻き部の1巻が成形されたあと、図8(b)に
示すように、ピッチ工具4が所定量前進することにより
コイルばねのピッチが規定され、所定回数巻回されてピ
ッチ工具4が後退して、他端の座巻き部が成形される
と、線材送りローラ1,1からの線材Wの供給が停止さ
れ、図7に示す切断工具5が前進されて芯金6との協働
により線材Wが切断されて、1個のコイルばねの加工は
完了する。
【0043】コイルばねに付与されるピッチが小さい場
合には、成形溝3Baの側壁に作用する接触圧力はそれ
程大きくないので、クイル側成形工具3A及びコイル成
形工具3Bの成形溝3Aa,3Baは、図8(b)に示
すように、平行な状態に位置決めされる。 しかし、成
形するコイルばねのピッチが図8(c)に示すように格
段に大きくなると、コイル成形工具3Bの成形溝3Ba
の入口側はコイル生成の後方側の側壁に摺接し、出口側
はコイル生成の前方側の側壁に摺接して、線材Wには曲
げ荷重がかかり、強い接触圧力が作用し、成形工具の摩
耗を早め若しくは側壁に欠けが生じて工具寿命が短くな
るとともに、余分な動力を消費することになる。
【0044】これを回避するため本発明は、上述した第
1実施例の構成によって、コイル成形工具3Bの成形溝
3Ba,クイル側成形工具3Aの成形溝3Aaを回動ま
たはコイル成形軸線に沿って移動させることで、所定の
コイルばねを製造できる。その組み合わせ例を表1に示
し、以下のとおり説明する。
【0045】
【表1】
【0046】表1の項目c例は、成形溝回動機構のサー
ボモータ27Bを回転制御して、コイル成形工具3Bの
成形溝3Baを、図9に示す時計方向に所定の回動角度
量θだけ回動させることにより、成形溝3Baを線材W
と平行に沿わせるようにする。 若しくは、湾曲線材の
スプリングバック等を考慮して、成形溝3Baを線材W
と平行な角度位置よりも多少齟齬させる。 この回動角
度量θは、製造するコイルばねの線材質,ピッチ量,線
径,コイル径等によって設定し、各設定値の適否は実機
における試巻きで確認する。
【0047】このようにコイル成形工具3Bの成形溝3
Baを回動させることで、その側壁の接触圧力を軽減す
ることができ、製造するコイルばねに最も適合した条件
をつくり出すことができて、工具寿命を長くするととも
に線材に傷が生じない品質の良いコイルばねを製造する
ことができる。 さらに、コイルばねに付与するピッチ
が大きくなったとき、または、線材固有の巻き癖を事前
に予測できない要因によりコイル成形工具3Bの成形溝
3Baを回動させるのみでは充分に目的が達せられない
ものがある。
【0048】この場合においては、表1の項目d例のよ
うに、コイル成形工具3Bの成形溝3Baのコイル成形
軸線方向の位置をクイル側成形工具3Aに対し、図10
に示すように、初期移動量Laの位置より更にコイル生
成方向に二次移動量Lbだけずらせる。 若しくは、表
1の項目e例のように、クイル側成形工具3Aの成形溝
3Aaをコイル生成方向にずらせて、これらの移動と、
コイル成形工具3Bの成形溝3Baの回動とを組み合わ
せる必要がある。
【0049】即ち、成形溝移動機構の図示しないサーボ
モータの駆動でカム39を回動し、カムフオロア46を
介して軸32を前進させて、スライダベース10を揺動
軸9a,9bを支点として変位させ、コイル成形工具3
Bの成形溝3Baをコイル生成方向に二次移動量Lbだ
けずらせるものである。 この二次移動量Lbは、製造
するコイルばねの線材質,ピッチ量,線径,コイル径な
どによって設定し、各設定値の適否は実機における試巻
きで確認する。
【0050】さらにコイル成形工具3Bの成形溝3Ba
の移動のみ、または回動と移動の組み合わせで充分に対
応できない場合には、表1の項目f,g,h例のよう
に、クイル側成形工具3Aの成形溝3Aaを回動させる
か、または、移動させることを適宜組み合わせること
で、線材Wがコイル成形工具3Bの成形溝3Baに衝合
する前に予め線材Wにひねり,曲げを与えておくことが
できる。 これにより、コイル成形工具3Bによるひね
り,曲げとを相互に補間して成形できるので、所定の初
張力とピッチが付与されたコイルばねを加工できる。
また、表1の項目i例のように、クイル側成形工具3
A,コイル成形工具3Bの各成形溝3Aa,3Baをと
もに回動させて対応することもできる。 さらにまた、
表1の項目j,k,n例のように、クイル側成形工具3
Aの成形溝3Aaの回動のみ、または回動と移動、及び
コイル成形工具3Bの成形溝3Baの回動のみ、または
回動と移動とを組み合わせることで対応することもでき
る。 そして、これらの回動角度量θと初期移動量L
a,二次移動量Lbとは、製造するコイルばねの形状条
件や線材条件などによって設定し、各設定値の適否は実
機における試巻きで確認する。
【0051】このように、クイル側成形工具3A,コイ
ル成形工具3Bの各成形溝3Aa,3Baの回動角度量
と、各移動量とは互いに影響する関係にあり、両方を適
宜選択することにより、加工難易度の高いコイルばねの
加工精度の向上を図ることができる。 即ち、クイル側
成形工具3Aの成形溝3Aaの回動角度量,コイル成形
軸線方向への移動量と、コイル成形工具3Bの成形溝3
Baの回動角度量,コイル成形軸線方向への移動量との
組み合わせは、成形されるコイルばねの線径,コイル
径,ピッチなどに対応して適宜設定することが可能であ
る。
【0052】また、不等ピッチのコイルばねの場合には
ピッチに対応して、違径コイルの成形時には径の変化に
対応して、各成形工具の回動角度及び移動量をサーボモ
ータのNC制御によって、自動的且つ連続して相互に関
連して作動させることができる。
【0053】〔第2実施例〕次に第2実施例を示す図
4,図5および図9にもとづき説明する。 図4は成形
工具が2個のコイルばね加工装置の平面図、図5は図1
のB−B矢視断面でコイル成形工具体保持機構の断面図
である。 第1実施例と同じ部分は同符号を付して説明
を省略する。 第1実施例との相違点は成形溝移動機構
を取り除いた構成であって、成形溝回動機構は同じよう
に付加されているので、コイル成形工具3Bの回動のみ
で対応できない場合は、クイル側成形工具3Aの回動と
組み合わせて対応することができる。 コイル成形工具
3Bの成形溝3Baと、衝合する線材Wとの過大な接触
圧力の発生を防止することができるものである。 その
回動の組み合わせ例を表2に示し、以下のとおり説明す
る。
【0054】
【表2】
【0055】このような構成において、表2の項目c例
のようにしてコイルばねを成形する場合は、図9に示す
ように、コイル成形工具3Bをクイル側成形工具3Aよ
りコイル生成方向に初期移動量Laだけずらせて配置し
て初張力を付与する状態にし、さらにピッチの増大に対
応して、コイル成形工具3Bの成形溝3Baを回動角度
量θだけ図示の時計方向に回動させた状態においてコイ
ルを形成させるものである。
【0056】また、ピッチが大きな場合は、表2の項目
i例のように、コイル成形工具3Bの成形溝3Baを回
動させるとともに、クイル側成形工具3Aの成形溝3A
aも併せて回動させるものである。 また、ピッチが比
較的小さい場合は、コイル成形工具3Bの成形溝3Ba
の初期移動量Laを極めて小さくし、その代わりに、成
形溝3Baを回動角度量θだけ回動させることによって
も所定の初張力を付与することができる。
【0057】〔第3実施例〕次に第3実施例を図面にも
とづき説明する。 図6は成形工具を1個としたコイル
ばね加工装置の平面図である。 第1実施例と同じ部分
は同符号(1個となったために不要となった数字の後の
アルファベッド大文字は取り除いてある)を付して説明
を省略する。
【0058】クイル2より送り出される線材Wは、クイ
ル2の案内穴で規定されて最初に芯金6の下端部に衝合
し、次いで1個のコイル成形工具3の成形溝に衝合し
て、線材Wを湾曲に形成し、コイル状に巻回するように
構成されている。 そして、このコイル成形工具3の位
置は、座巻き部に初張力を付与する際には、その成形溝
のコイル成形軸線方向への位置を、クイル2軸線からコ
イル生成方向に初期移動量(図8(a)の初期移動量L
aに相当)だけずらせ、コイルばねにピッチを付与する
際には、この初期移動量の位置、または、その位置から
さらに二次移動量(図10の二次移動量Lbに相当)だ
けずらせるようにしたものである。
【0059】スライダ12に、コイル成形工具3の位置
が所定位置に位置決めされた工具支持体11が固定され
ており、コイル成形工具3は、前述した成形工具が2個
の場合の図1または図4に示す、クイル側成形工具3A
とコイル成形工具3Bとの中間位置でコイル成形中心を
向き、クイル2から線材Wが供給される線材軸線とほぼ
平行に設けられている。 第1実施例,第2実施例にお
いては、コイルの湾曲形成に必要な3要素はクイル2,
クイル側成形工具3A,コイル成形工具3Bであった
が、本例では、クイル側成形工具を設けないので、それ
に替わる作用点として芯金6をクイル2前面迄伸ばした
構成にしたものである。 すなわち、クイル2,芯金
6,コイル成形工具3の3要素で湾曲に形成するもので
あり、同等の作用効果を奏する。
【0060】クイル2より送り出された線材Wは、最初
に芯金6の下端部に衝合し、次いでコイル成形工具3の
成形溝に衝合して、線材Wを湾曲に形成し、1巻回目の
コイルに所定の初張力が付与されて座巻き部が形成され
たあと、ピッチ工具4が前進して所定のピッチが形成さ
れ、ピッチ工具4が後退して他端の座巻き部が形成され
されると、線材送りローラ1,1からの線材Wの供給が
停止され、切断工具5が前進されて芯金6との協同によ
り線材Wが切断されて、1個のコイルばねの加工は完了
する。 コイル成形工具3の成形溝の回動と、コイル成
形軸線方向への移動との組み合わせ例を表3に示し、以
下のとおり説明する。
【0061】
【表3】
【0062】ピッチが大きいときは、表3の項目a例の
ようにして第1実施例と同じように、コイル成形工具3
の成形溝を回動させて成形溝を線材に沿わせる。 それ
でも充分でないときは、表3の項目b例のように、コイ
ル成形工具3の成形溝をコイル生成方向に更に移動させ
ることによって、コイル成形工具3の成形溝側面の破損
や、巻回中の湾曲線材に傷が発生しないようにしてコイ
ルばねを加工することができる。 この第3実施例にお
いても、コイル成形工具3の成形溝の回動量,移動量
は、製造するコイルばねの線材質,ピッチ量,線径,コ
イル径などによって設定し、各設定値の適否は実機にお
ける試巻きで確認する。
【0063】
【発明の効果】本発明は、上述のとおり構成されている
ので、以下に記載する効果を奏する。
【0064】請求項1に係る発明によればコイル成形工
具を、また、請求項3または7に係る発明によれば、コ
イル成形工具、クイル側成形工具の一方または双方を、
所定時期に設定回動角度だけ回動させた位置でコイルば
ねを巻回するようにしたので、コイル成形工具の成形溝
を巻回中の線材軸線に対して、一致させるか、または、
所定角度だけ齟齬させるように設定回動角度を選択する
ことで、湾曲線材にコイル生成の前方側または後方側へ
過大な押圧力が発生せず、コイル成形工具の成形溝側面
の破損や、巻回中の湾曲線材に傷が発生することなく、
コイルばねを巻回できる。 また、コイルばねに初張力
やピッチを付与する際に、湾曲線材をコイル生成の前方
側または後方側へ適切な押圧力で付勢することができる
ので、所定角度位置の再現精度や生産性の向上を図るこ
とができる。 さらに、コイル成形工具をずらせて配置
しなくても成形溝を回動させることによって初張力を付
与することもできる。
【0065】また、請求項2に係る発明によればコイル
成形工具の成形溝を、また、請求項4,5,6または8
に係る発明によれば、コイル成形工具、クイル側成形工
具の一方または双方の成形溝を、所定時期に設定回動角
度だけ回動させるとともに、所定時期にコイル成形の前
方側または後方側へ設定変位量だけ移動させた位置でコ
イルばねを巻回するようにしたので、コイル成形工具の
成形溝を巻回中の線材軸線に対して、一致させるか、ま
たは、所定角度だけ齟齬させるように設定回動角度を選
択し、かつ、コイル成形工具、クイル側成形工具の一方
または双方の成形溝を設定変位量だけ移動させること
で、前記請求項1、3または7の発明に係る効果に加え
て、さらに大きなピッチのコイルばねに対して初張力や
ピッチを付与する際に、湾曲線材をコイル生成の前方側
または後方側へ適切な押圧力で付勢することが容易にで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施するための第1実施例の装
置を示す説明図であって、2個の成形工具およびその関
連機構要部の平面図である。
【図2】図1のA−A矢視断面図である。
【図3】図2に示す成形溝回動機構の拡大断面図であ
る。
【図4】本発明の方法を実施するための第2実施例の装
置を示す説明図であって、2個の成形工具およびその関
連機構要部の平面図である。
【図5】図4のB−B矢視断面図である。
【図6】本発明の方法を実施するための第3実施例の装
置を示す説明図であって、1個の成形工具およびその関
連機構要部の平面図である。
【図7】コイル成形時のクイル,クイル側成形工具、コ
イル成形工具、芯金の関係位置を示す配置図である。
【図8】コイル形成の過程を示す図で、(a)はコイル
成形工具の成形溝がコイル生成方向に初期移動量Laだ
けずらせた位置にあり、初張力を付与されて座巻き部が
形成された図、(b)はピッチ工具が前進されて所定の
小さいピッチのコイルが形成される図、(c)は大きい
ピッチのコイルが形成される図である。
【図9】コイル成形工具の成形溝がコイル生成方向に初
期移動量Laだけずらせた位置で、更に工具軸芯を中心
として回動角度量θだけ回動した状態でコイルが生成さ
れる状態を示す図である。
【図10】コイル成形工具の成形溝がコイル生成方向に
初期移動量Laだけずらせた位置より更に、二次移動量
Lbだけずらせ、かつ、工具軸芯を中心として回動角度
量θだけ回動させてコイルが生成される状態を示す図で
ある。
【符号の説明】
1 線送りローラ 2 クイル 3 コイル成形工具 3A クイル側成形工具 3B コイル成形工具 3Aa,3Ba 成形溝 4 ピッチ工具 6 芯金 7,7A,7B ベース 9a,9b 揺動軸 10 スライダベース 11 工具保持体 12 スライダ 15,38 引張コイルばね 22,39 カム 25,25A,25B 工具ホルダ 18,27,27A,27B サーボモータ W 線材

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1個のコイル成形工具に、ク
    イルから送り出される線材を衝合させて湾曲に形成し、
    その湾曲線材を巻回するとともに、巻回された線材の側
    面に巻き始めから巻き終わりまでの間の所定時期にピッ
    チ工具を当接させることでピッチが付与されたコイルば
    ねを製造する方法であって、 巻き始めから巻き終わりまでの間の所定時期に、前記コ
    イル成形工具の成形溝を、そのシャンク部軸線を中心に
    巻回中の線材軸線に対して設定回動角度だけ回動させた
    位置で、コイルばねを巻回するようになしたことを特徴
    とするコイルばねの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記設定回動角度だけ回動させた位置で
    湾曲線材と衝合している前記コイル成形工具の成形溝
    を、 巻き始めから巻き終わりまでの間の所定時期に、前記ク
    イルの案内穴で規定される線材軸線に対して直交するコ
    イル成形軸線に沿ってコイル生成の前方側または後方側
    へ設定変位量だけ移動させた位置で、コイルばねを巻回
    するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のコイ
    ルばねの製造方法。
  3. 【請求項3】 クイル側成形工具とコイル成形工具と
    に、クイルから送り出される線材を衝合させて湾曲に形
    成し、その湾曲線材を巻回するとともに、巻回された線
    材の側面に巻き始めから巻き終わりまでの間の所定時期
    にピッチ工具を当接させることでピッチが付与されたコ
    イルばねを製造する方法であって、 巻き始めから巻き終わりまでの間の所定時期に、前記コ
    イル成形工具の成形溝を、そのシャンク部軸線を中心に
    巻回中の線材軸線に対して設定回動角度だけ回動させた
    位置で、コイルばねを巻回するようにしたことを特徴と
    するコイルばねの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記設定回動角度だけ回動させた位置で
    湾曲線材と衝合している前記コイル成形工具の成形溝
    を、 巻き始めから巻き終わりまでの間の所定時期に、前記ク
    イルの案内穴で規定される線材軸線に対して直交するコ
    イル成形軸線に沿ってコイル生成の前方側または後方側
    へ設定変位量だけ移動させた位置で、コイルばねを巻回
    するようにしたことを特徴とする請求項3に記載のコイ
    ルばねの製造方法。
  5. 【請求項5】 クイル側成形工具とコイル成形工具と
    に、クイルから送り出される線材を衝合させて湾曲に形
    成し、その湾曲線材を巻回するとともに巻回された線材
    の側面に巻き始めから巻き終わりまでの間の所定時期に
    ピッチ工具を当接させることでピッチが付与されたコイ
    ルばねを製造する方法であって、 巻き始めから巻き終わりまでの間の所定時期に、前記コ
    イル成形工具またはクイル側成形工具のいずれか一方の
    成形溝を、そのシャンク部軸線を中心に巻回中の線材軸
    線に対して設定回動角度だけ回動させた位置で、かつ、
    巻回中の線材軸線に対しては回動させずに湾曲線材と衝
    合している他方の成形溝を、前記クイルの案内穴で規定
    される線材軸線に対して直交するコイル成形軸線に沿っ
    てコイル生成の前方側または後方側へ設定変位量だけ移
    動させた位置で、コイルばねを巻回するようにしたこと
    を特徴とするコイルばねの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記設定回動角度だけ回動させた位置で
    湾曲線材と衝合している前記コイル成形工具またはクイ
    ル側成形工具のいずれか一方の成形溝と、回動させずに
    湾曲線材と衝合している他方の成形溝とを、 巻き始めから巻き終わりまでの間の所定時期に、前記ク
    イルの案内穴で規定される線材軸線に対して直交するコ
    イル成形軸線に沿ってコイル生成の前方側または後方側
    へ設定変位量だけそれぞれ移動させた位置で、コイルば
    ねを巻回するようにしたことを特徴とする請求項5に記
    載のコイルばねの製造方法。
  7. 【請求項7】 クイル側成形工具とコイル成形工具と
    に、クイルから送り出される線材を衝合させて湾曲に形
    成し、その湾曲線材を巻回するとともに、巻回され
    材の側面に巻き始めから巻き終わりまでの所定時期にピ
    ッチ工具を当接させることでピッチが付与されたコイル
    ばねを製造する方法であって、 巻き始めから巻き終わりまでの間の所定時期に、前記コ
    イル成形工具と前記クイル側成形工具との成形溝を、そ
    のシャンク部軸線を中心に巻回中の線材軸線に対して設
    定回動角度だけそれぞれ回動させた位置で、コイルばね
    を巻回するようにしたことを特徴とするコイルばねの製
    造方法。
  8. 【請求項8】 前記設定回動角度だけそれぞれ回動させ
    た位置で湾曲線材と衝合している前記コイル成形工具と
    クイル側成形工具との成形溝のうちの少なくとも一方の
    成形溝を、 巻き始めから巻き終わりまでの間の所定時期に、前記ク
    イルの案内穴で規定される線材軸線に対して直交するコ
    イル成形軸線に沿ってコイル生成の前方側または後方側
    へ設定変位量だけ移動させた位置で、コイルばねを巻回
    するようにしたことを特徴とする請求項7に記載のコイ
    ルばねの製造方法。
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