JP3848813B2 - 主軸と工具ホルダとの間の嵌合部を清浄化する方法、工具ホルダとの間の嵌合部を清浄化する機能を備えた主軸装置およびこれらに使用する工具ホルダ - Google Patents
主軸と工具ホルダとの間の嵌合部を清浄化する方法、工具ホルダとの間の嵌合部を清浄化する機能を備えた主軸装置およびこれらに使用する工具ホルダ Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主軸と工具ホルダとの間の嵌合部を清浄化する方法、工具ホルダとの間の嵌合部を清浄化する機能を備えた主軸装置およびこれらに使用する工具ホルダに関する。
【0002】
【従来の技術】
マシニングセンタなどのように、工具を固着した複数の工具ホルダを主軸先端部のテーパ孔に交互に装着して工具交換を行うようにした工作機械においては、主軸のテーパ孔と工具ホルダのテーパ面に付着した切り屑や塵芥などを除去して両者の嵌合を密にする必要がある。このために従来は、例えば実公昭48−43193号公報、実開平7−40053号公報などに示すように、工具ホルダの交換時に主軸のテーパ孔あるいは端面と工具ホルダの間に生じる隙間に加圧エアーを噴出して、付着した切り屑や塵芥などの除去を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら噴出したエアーは直接当たる場所から離れるにつれて勢いが弱くなるので、上述した従来技術では切り屑などの除去が完全には行われないことがある。このような問題を解決する方法として、エアーの圧力を高くすることが考えられるが、通常は専用のエアー供給源を設けることなく工場で使用するエアーを利用しているので、充分な圧力のエアーを得ることはむずかしい。
【0004】
これに対し、液体の方が切り屑などの除去効率がよいので、主軸および工具を通して直接加工箇所に加圧したクーラントを供給するスピンドルスルー方式の工作機械では、このクーラントにより嵌合面の切り屑などを除去して清浄化することも考えられる。しかしこのクーラントは高圧であるので、工具交換のために工具ホルダを緩め(アンクランプ)た際に、クーラントの圧力で工具ホルダがテーパ孔から抜け出して工具交換に支障を生じたり、また工具ホルダの離脱後にテーパ孔の内面に多量のクーラントが付着したままとなっているので次の工具ホルダをテーパ孔に装着する際の抵抗が増大してやはり工具交換の支障となることがある。このため現状では、加圧エアーによる清浄化しか行われていない。
【0005】
本発明は、加圧エアーとクーラントとを組み合わせて清浄化することにより、このような各問題を解決することを目的とする。
【0007】
【問題を解決するための手段】
本発明の請求項1による工具ホルダとの間の嵌合部を清浄化する機能を備えた主軸装置は、工具を固着した工具ホルダを着脱可能に装着するテーパ孔を先端部に形成した主軸と、この主軸に軸線方向に挿通した進退ロッドと、主軸の先端部内に設けられてテーパ孔に装着された工具ホルダを進退ロッドの進退により離脱可能に係止する係止機構を備えてなり、進退ロッド内に少なくとも一部が形成されたクーラント供給通路を通してクーラント供給源からのクーラントを供給するようにしてなる主軸装置において、主軸内に形成されクーラント供給通路から分岐されてテーパ孔の内面に開口する噴出孔に連通される清浄化通路と、クーラント供給通路を工具ホルダの装着時にはクーラント供給源にまた工具ホルダの交換時にはエアー供給源に選択的に連通する電磁切換弁と、進退ロッドの進退と連動して作動し電磁切換弁の出口側を係止機構が係止されている状態では係止機構側に係止機構が離脱されている状態では清浄化通路を介して噴出孔に選択的に連通する切換弁機構を備え、工具ホルダは係止機構が離脱された状態でも工具交換アームにより引き抜かれるまでは前記テーパ孔から離脱されることなく保持されるように装着したことを特徴とするものである。
【0008】
前項の発明は請求項2に示すように、テーパ孔に対する工具ホルダの保持は、テーパ孔内に部分的に突出するようにスプリングにより付勢されたボールを有する抜け止めホルダを主軸に設け、工具ホルダのテーパ面をテーパ孔に隙間なく嵌合させた状態ではボールがテーパ面に形成した小穴と係合することにより行うことが好ましい。
【0009】
また本発明の請求項3による工具ホルダは、前各項の発明の主軸先端のテーパ孔に装着して使用する工具ホルダであって、係止機構側から工具側にクーラントを供給することが可能な連通孔と、この連通孔から工具を介することなく外部に連通する逃がし孔を形成したものである。
【0010】
前項の発明は請求項4に示すように、逃がし孔は着脱可能な埋め栓により閉塞可能とすることが好ましい。
【0011】
また請求項5による主軸と工具ホルダとの間の嵌合部を清浄化する方法は、請求項1または請求項2に記載の主軸装置において、工具ホルダに固着される工具にクーラントが導入されるクーラント供給孔が設けられていない場合には、工具ホルダの交換前に電磁切換弁を介してクーラント供給源からクーラントを供給してクーラント供給通路内の少なくとも一部にクーラントを溜めるサイクルを実行し、工具ホルダの交換時に電磁切換弁を介してクーラント供給通路にエアー供給源からの加圧エアーを供給して、クーラント供給通路内に溜まっているクーラントを加圧エアーとともに主軸とと工具ホルダの間の嵌合部に生じる隙間に噴出することを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
先ず、図1〜図5に示す第1の実施の形態により本発明の説明をする。図1および図2は、この実施の形態の主軸装置の構造を示している。この主軸装置は、主軸ヘッド10、主軸14、係止機構20、進退ロッド25、工具ホルダ30、進退ロッド内通路42、清浄化通路43、切換弁機構45などにより構成されている。
【0013】
主軸ヘッド10はボールベアリング12を介して主軸14を軸承し、その先端には軸受押え11が固定されている。主軸14は、互いに同軸的に一体結合された主軸本体15とボールホルダ16とリング部材17よりなり、その最先端部材であるリング部材17には、工具ホルダ30を装着するテーパ孔14aが同軸的に形成され、ボールホルダ16先端の円筒部16aは隙間をおいてテーパ孔14a内に同軸的に突出している。円筒部16aには円周方向複数箇所(通常は2箇所)に均等に、係止機構20のボール23を実質的に隙間なく保持する半径方向の保持孔16bが形成されている。主軸本体15には内孔15aが同軸的に形成されている。
【0014】
主軸本体15の内孔15aとボールホルダ16の中心孔を通して軸線方向に進退可能に設けられた進退ロッド25は、互いに一体的にねじ込み結合された後半のドローバー25aと前半のスプール25bよりなり、スプール25bのボールホルダ16より後方に突出する部分は、内孔15a内に液密に嵌合固定されたスリーブ26により、液密かつ摺動自在に嵌合されている。スリーブ26の後端に当接したワッシャ27とドローバー25aの後端に固定したスプリング受け(図示省略)の間には、内孔15a内に位置する多数の皿ばね28が介装され、これにより進退ロッド25は後向きに弾性的に付勢されている。主軸本体15の後部には、皿ばね28に抗して進退ロッド25を前向きに移動させる作動装置(図示省略)が設けられている。
【0015】
工具ホルダ30にはその後端面31から突出する円筒状の係合突起32が同軸的に一体形成され、係合突起32の外周には主軸14先端のテーパ孔14aと隙間なく嵌合可能なテーパ面32aが形成されている。この実施の形態では、テーパ面32aとテーパ孔14aとが隙間なく嵌合した状態では、工具ホルダ30の後端面31と主軸14の前端面14bも互いに隙間なく当接されるようになっており、この状態でボールホルダ16の各保持孔16bと対応する係合突起32の内周面には、各保持孔16bに保持された各ボール23と係合可能な複数の係止凹部33が形成されている。工具ホルダ30には、そのチャック部30aを介して、中心にクーラント供給孔Taを形成したドリルなどの工具Tが固着されている。またチャック部30aを含む工具ホルダ30には、クーラント供給孔Taを係合突起32の内側に連通する連通孔34と、この連通孔34を外部に連通する逃がし孔34aが形成されている。この逃がし孔34aは、通常は埋め栓をねじ込むことにより閉塞されている。
【0016】
係止機構20は主軸14の先端部内に位置しており、進退ロッド25のスプール25bの先端に一体形成されたプルスタッド21と、その外周面にボールホルダ16の保持孔16bと対応して形成された複数の逃がし凹部22と、保持孔16bにより保持されたボール23により構成されている。前述した作動装置を作動させて、図1および図2の上半部に示したように、皿ばね28に抗してプルスタッド21を進退ロッド25とともに前向きに移動させた状態では、ボール23はボールホルダ16の円筒部16aの外周面から突出しないように逃がし凹部22内に入ることができ、係止機構20は、工具ホルダ30の係合突起32が主軸14先端のテーパ孔14aに対し係合離脱可能な離脱状態となる。工具ホルダ30のテーパ面32aを主軸14先端のテーパ孔14aに隙間なく嵌合させた状態で、作動装置を不作動としてプルスタッド21を進退ロッド25とともに皿ばね28により後向きに弾性的に付勢させれば、図1および図2の下半部に示したように、保持孔16b内に保持された各ボール23は、逃がし凹部22の前側に連続して形成した傾斜面22aにより半径方向外向きに押し出されて係合突起32内面の係止凹部33に押圧され、係止機構20は、工具ホルダ30の係合突起32が主軸14先端のテーパ孔14aに離脱不能に係止される係止状態となる。
【0017】
なお主軸14先端のリング部材17には、テーパ孔14aに開口する先端部を絞った孔18dを形成してその中にボール18cを入れ、孔18dの口元にねじ込み固定したキャップ18aとの間にスプリング18bを介装してボール18cがテーパ孔14a内に部分的に突出するように付勢してなる抜け止めホルダ18を設けてある。工具ホルダ30のテーパ面32aを主軸14先端のテーパ孔14aに隙間なく嵌合させた状態では、この抜け止めホルダ18のボール18cはテーパ面32aに形成した小穴と係合し、係止機構20が離脱された状態(図1および図2の上半部参照)でも、ある程度の外力を加えなければ工具ホルダ30は離脱されないようになっている。
【0018】
次に進退ロッド内通路42、清浄化通路43および切換弁機構45の説明をする。進退ロッド内通路42は、ドローバー25aの後端部(図示省略)に開口する第1連通路42aと、プルスタッド21の先端に開口する第2連通路42bよりなり、それぞれ進退ロッド25内の中心軸線にそって形成され、その境界部はスプール25b内に位置して切換弁機構45を介して連結されている。清浄化通路43はスリーブ26および主軸14内に形成された分岐路43a、連通路43b〜43eおよび分配通路43fからなり、切換弁機構45を介して進退ロッド内通路42から分岐され、先端部となる分配通路43fはテーパ孔14aの内面に開口される噴出孔44aと、主軸14の前端面14bで工具ホルダ30の後端面31に当接される部分に開口する噴出孔44bに連通されている。この実施の形態では、清浄化通路43および噴出孔44a,44bはそれぞれ1個だけを図示しているが、実際にはそれぞれ複数個が円周方向に沿って均等に配置されている。
【0019】
切換弁機構45は、進退ロッド内通路42の第1および第2連通路42a,42bの各接近端から半径方向に延びて進退ロッド25のスプール25bの外周面に開口する各複数の連通路45a,45bと、この各連通路45a,45bと関連してスリーブ26の内周面に形成された環状溝45cを備えている。なお連通路45aは第1連通路42aと連通し、連通路45bは第2連通路42bと連通されている。切換弁機構45はまた、清浄化通路43の分岐路43aと関連する軸線方向位置において第1連通路42aから半径方向に延びてスプール25bの外周面に開口する連通路45dを備えている。係止機構20が係止されている状態(図1および図2の下半部参照)では、環状溝45cは第1および第2連通路42a,42bの両連通路45a,45bに連通され、第1連通路42aの連通路45dは分岐路43aに連通されないので、第1連通路42aは係止機構20の一部であるプルスタッド21の先端に開口する第2連通路42bには連通されるが、噴出孔44a,44bに連通される清浄化通路43には連通されない。また、係止機構20が離脱されている状態(図1および図2の上半部参照)では、環状溝45cは第1連通路42aの連通路45aだけに連通され、第1連通路42aの連通路45dは分岐路43aに連通されるので、第1連通路42aは清浄化通路43を介して噴出孔44a,44bには連通されるが、係止機構20の一部であるプルスタッド21の先端に開口する第2連通路42bには連通されない。すなわち切換弁機構45は、第1連通路42aを、係止機構20が係止されている状態では係止機構20側に、係止機構20が離脱されている状態では清浄化通路43を介してテーパ孔14aの内面に開口される噴出孔44a,44bに、選択的に連通する。
【0020】
進退ロッド内通路42の後端にはディストリビュータ(図示省略)を介して耐圧ホース41の一端が接続され、この耐圧ホース41と進退ロッド内通路42がクーラント供給通路40を構成している。耐圧ホース41の他端は3ポート3位置電磁切換弁48の出口ポート48a(出口側)に接続されている。この電磁切換弁48は、次に述べるように、クーラント供給通路40を、クーラント供給源46に接続された状態と、エアー供給源47に接続された状態と、この両者46,47のいずれにも接続されない状態に選択的に切り換えるものである。
【0021】
次に図3〜図5により、上述した第1の実施の形態の作動の説明をする。この実施の形態では、クーラント供給孔Taを有する工具Tを固着した工具ホルダ30を使用している。この場合は逃がし孔34aは埋め栓により閉塞されている。
【0022】
先ず工具ホルダ30を装着して係止機構20により係止した主軸14を工具交換位置から移動して加工開始位置に位置決めし、電磁切換弁48をクーラント供給源46側に切り換えてクーラント供給通路40にクーラント供給源46からのクーラントを供給し、主軸14を回転駆動して工具Tによる工作物の加工を開始する(図3のステップ101,102)。クーラントの供給は、工具交換位置からの移動開始時から行ってもよい。クーラント供給通路40に供給されたクーラントは、工具Tのクーラント供給孔Taから加工部に供給される。加工が終了すれば電磁切換弁48を切り換えてクーラント供給通路40へのクーラントの供給を遮断し、主軸14を停止して工具交換位置に戻す(ステップ103,104)。そして加工すべき次の工作物があるか否かを判断して(ステップ105)、なければ加工装置を停止し、あれば次のステップ106に進む。
【0023】
ステップ106では、次の工作物の加工のために工具を交換する必要があるか否かを判断し、必要がなければ上述したステップ101〜ステップ104の加工を繰り返し、ステップ105およびステップ106の判断を繰り返す。ステップ106で工具を交換する必要があれば、先ず作動装置により進退ロッド25を前進させて係止機構20による工具ホルダ30の係止を離脱させて緩め、電磁切換弁48をエアー供給源47側に切り換えてクーラント供給通路40にエアー供給源47からの加圧エアーを供給し(ステップ107)、テーパ孔14aに装着されていた工具ホルダ30を工具交換アーム(図示省略)の一方の腕に把持させて引き抜き(ステップ108)、工具交換アームを回動させて他方の腕に把持されていた次の工具ホルダ30をテーパ孔14aに挿入し、電磁切換弁48を切り換えてクーラント供給通路40への加圧エアーの供給を遮断し(ステップ109)、次いで進退ロッド25を後退させて係止機構20により工具ホルダ30を係止して締める(ステップ110)。そしてステップ101に戻って交換された工具Tによる加工を行い(ステップ101〜104)、ステップ105およびステップ106の判断を繰り返す。工具交換アームによりそれまでの工具ホルダ30を引き抜いて次に使用する工具ホルダ30を挿入するまでの時間は、例えば1秒程度である。
【0024】
工具ホルダ30の交換時であってエアー供給源47からの加圧エアーがクーラント供給通路40に供給されているステップ107〜109の当初は、電磁切換弁48の出口ポート48aと切換弁機構45の間のクーラント供給通路40に溜まっていたクーラントは加圧エアーにより弾性的に押されているが、それまで装着されていた工具ホルダ30が工具交換アームにより引き抜かれるまでは抜け止めホルダ18により装着位置に保持されているので、噴出孔44a,44bから洩れる量は僅かである。工具交換アームにより工具ホルダ30が引き抜かれて主軸14のテーパ孔14aおよび前端面14bと工具ホルダ30のテーパ面32aと後端面31の間に隙間が生じれば、クーラント供給通路40内に溜まってエアー供給源47からの加圧エアーにより弾性的に押されていたクーラントはこの隙間内に噴出される。この場合のクーラントの噴出流量は、図5に示すように噴出開始当初は多いが、そのうち加圧エアーが混合されるので次第に減少する。クーラント供給通路40内に溜まっていたこのクーラントは加圧エアーにより弾性的に押されているので、工具交換アームにより工具ホルダ30が引き抜かれて主軸14のテーパ孔14aおよび前端面14bと工具ホルダ30のテーパ面32aと後端面31の間に隙間が生じれば、クーラントは噴出当初は破裂的に広がってこの隙間内に噴出され、また後には加圧エアーが混合されて噴出されるので、やはり破裂的に広がって噴出される。したがって、圧力の高い専用のエアー供給源を使わなくても、単にクーラントを供給するものに比して、主軸14と工具ホルダ30の間に付着した切り屑や塵芥などを除去して清浄化する効果は大きくなる。
【0025】
また、工具ホルダ30の交換時の最後で、次に使用する工具ホルダ30を挿入する頃には主として加圧エアーが噴出し、これにより主軸14と次の工具ホルダ30の間のクーラントはほとんど除去されるので、次の工具ホルダ30のテーパ孔14aへの装着は支障なく行われる。
【0026】
また上述した実施の形態では、工具ホルダ30の交換のために係止機構20を離脱した状態では、切換弁機構45が清浄化通路43側に選択され、クーラントおよび加圧エアーは清浄化通路43を介してテーパ孔14aおよび前端面14bに開口された噴出孔44a,44bだけから噴出され、クーラント供給通路40内に溜まっていたクーラントがプルスタッド21側に流れて消費されることはないので、清浄化の効率は向上する。
【0027】
なお上述した実施の形態では、工具ホルダ30のテーパ面32aと後端面31は主軸14のテーパ孔14aおよび前端面14bに同時に隙間なく当接するようにしているが、本発明は工具ホルダ30のテーパ面32aが主軸14のテーパ孔14aに嵌合された状態では後端面31と前端面14bの間に隙間が残るようにして実施することもできる。なおこの場合には、清浄化通路43からのクーラントと加圧エアーを噴出する噴出孔は、主軸14のテーパ孔14aと前端面14bの両方に設けてもよいし、テーパ孔14aだけに設けてもよい。
【0028】
次に、図3および図6により、クーラント供給孔Taが設けられていない工具Tを固着した工具ホルダ30を使用する場合の第2の実施の形態について説明をする。この場合は上述したのと同じ工具ホルダ30を使用するが、逃がし孔34aは埋め栓を取り外して外部に解放されている。この場合は加工箇所に供給するクーラントをクーラント供給通路40を介して供給することは不要であるので、主軸14を工具交換位置から加工開始位置に移動する間あるいは加工開始時初期の短時間だけ、電磁切換弁48をクーラント供給源46側に切り換えてクーラント供給通路40にクーラント供給源46からのクーラントを供給することにより、クーラント供給通路40内にクーラントを溜めるサイクルを実行する(図3のステップ201)。すなわち、クーラントを供給している間は、クーラント供給通路40内のエアーおよびクーラント供給源46からのクーラントは、クーラント供給通路40内を通って工具ホルダ30に設けられた逃がし孔34aから排出され、クーラント供給通路40内にクーラントが溜められる。
【0029】
そして、主軸14を回転駆動して工具Tによる工作物の加工を開始する(図3のステップ202,203)。この際、加工箇所に別途設けたノズルからクーラントを供給するようにしてもよいし、クーラントなしのドライ加工でもよい。
【0030】
その他の作用は前述した、クーラント供給孔Taを有する工具Tを固着した工具ホルダ30を使用する場合と同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0031】
なお、図3および図6において、クーラント供給通路40内にクーラントを溜めるサイクルは、工具交換位置から加工開始位置に移動する間あるいは加工開始時の初期に行うように設定されているが、このクーラントを溜めるサイクルは図6における最初の工具交換位置から工具緩めの寸前までの間Pに行えばよい。
【0032】
この第2の実施の形態によれば、スピンドルスルー方式の工作機械の主軸装置をそのまま使用して、従来のスピンドルスルー方式でない工具T工具ホルダ30に取り付けても、クーラント供給通路40内にクーラントを溜めるサイクルが実行できるため、主軸14と工具ホルダ30の間に付着した切り屑や塵芥などを効率よく除去して清浄化することが可能となる。
【0033】
したがって本願発明は、前述した第1の実施の形態だけでなく、前記第2の実施の形態についても発明の主要な1形態である。
【0034】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、工具ホルダの交換時の当初は係止機構が離脱されてもある程度の外力を加えなければ工具ホルダは離脱されないので、クーラント供給通路内に溜まってエアー供給源からの加圧エアーにより弾性的に押されているクーラントは、工具ホルダが引き抜かれれば主軸と工具ホルダの間の嵌合部に生じる隙間に破裂的に広がって噴出され、次いで加圧エアーが混合されて噴出される。従って、単にクーラントを供給するものに比して主軸と工具ホルダの間を清浄化する効果が向上する。また工具ホルダの交換時の最後には主として加圧エアーが噴出し、これにより主軸と次に使用する工具ホルダの間のクーラントはほとんど除去されるので、次の工具ホルダのテーパ孔への装着は支障なく行われる。さらに工具ホルダの交換のために係止機構を離脱した状態では、クーラントおよび加圧エアーは清浄化通路を介してテーパ孔の内面に開口される噴出孔だけから噴出され、クーラントおよび加圧エアーが係止機構側に送られることはないので、主軸と工具ホルダの間の清浄化の効率は一層向上する。
【0035】
請求項2の発明によれば、係止機構が離脱されてもある程度の外力を加えなければ工具ホルダは抜け止めホルダにより離脱されることなく確実に保持されるので、クーラントは先ず破裂的に広がって噴出され次いで加圧エアーが混合されて噴出されるという作用は一層確実に行われる。
【0037】
また請求項3の発明によれば、クーラントを通す通路を備えていない工具を工具ホルダに取り付けた場合でも、クーラント供給源からのクーラントは逃がし孔を通ることによりクーラント供給通路内に溜められるので、前各項の発明と同様、主軸と工具ホルダの間を清浄化する効果が得られる。
【0038】
請求項4の発明によれば、逃がし孔を閉塞する埋め栓を着脱することにより、クーラントを通す通路を備えた工具にも、そのような通路を備えていない工具にも使用できる工具ホルダが得られる。
【0039】
請求項5の発明によれば、スピンドルスルー方式でない工具を工具ホルダに固着した場合であっても、工具ホルダの交換前までにクーラント供給通路内にクーラントを溜めるサイクルを実行することができるため、第1項から第3項の発明と同様に、主軸と工具ホルダとの間を効率よく清浄化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による主軸と工具ホルダとの間の嵌合部を清浄化する方法に使用する主軸装置の全体構成を示す図である
【図2】 図1に示す主軸装置の要部を示す長手方向断面図である。
【図3】 図1に示す主軸装置の作動の一例を説明するフローチャートである。
【図4】 図3のフローチャートの作動に対応するタイムチャートである。
【図5】 清浄化通路を通るクーラントの噴出流量の時間的変化を示す図表である。
【図6】 図1に示す主軸装置の図3とは異なる場合の作動を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
14…主軸、14a…テーパ孔、18…抜け止めホルダ、18b…スプリング、18c…ボール、20…係止機構、25…進退ロッド、30…工具ホルダ、34…連通孔、34a…逃がし孔、40…クーラント供給通路、43…清浄化通路、44a…噴出孔、45…切換弁機構、46…クーラント供給源、47…エアー供給源、48…電磁切換弁、T…工具、Ta…クーラント供給孔。
Claims (5)
- 工具を固着した工具ホルダを着脱可能に装着するテーパ孔を先端部に形成した主軸と、この主軸に軸線方向に挿通した進退ロッドと、前記主軸の先端部内に設けられて前記テーパ孔に装着された前記工具ホルダを前記進退ロッドの進退により離脱可能に係止する係止機構を備えてなり、前記進退ロッド内に少なくとも一部が形成されたクーラント供給通路を通してクーラント供給源からのクーラントを供給するようにしてなる主軸装置において、前記主軸内に形成され前記クーラント供給通路から分岐されて前記テーパ孔の内面に開口する噴出孔に連通される清浄化通路と、前記クーラント供給通路を前記工具ホルダの装着時には前記クーラント供給源にまた前記工具ホルダの交換時にはエアー供給源に選択的に連通する電磁切換弁と、前記進退ロッドの進退と連動して作動し前記電磁切換弁の出口側を前記係止機構が係止されている状態では前記係止機構側に前記係止機構が離脱されている状態では前記清浄化通路を介して前記噴出孔に選択的に連通する切換弁機構を備え、前記工具ホルダは前記係止機構が離脱された状態でも工具交換アームにより引き抜かれるまでは前記テーパ孔から離脱されることなく保持されるように装着したことを特徴とする工具ホルダとの間の嵌合部を清浄化する機能を備えた主軸装置。
- 前記テーパ孔に対する前記工具ホルダの保持は、前記テーパ孔内に部分的に突出するようにスプリングにより付勢されたボールを有する抜け止めホルダを前記主軸に設け、前記工具ホルダのテーパ面を前記テーパ孔に隙間なく嵌合させた状態では前記ボールがテーパ面に形成した小穴と係合することにより行うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の工具ホルダとの間の嵌合部を清浄化する機能を備えた主軸装置。
- 請求項1または請求項2に記載の主軸先端のテーパ孔に装着して使用する工具ホルダであって、前記係止機構側から前記工具側にクーラントを供給することが可能な連通孔と、この連通孔から前記工具を介することなく外部に連通する逃がし孔を形成したことを特徴とする工具ホルダ。
- 前記逃がし孔は着脱可能な埋め栓により閉塞可能である請求項3に記載の工具ホルダ。
- 請求項1または請求項2に記載の主軸装置において、前記工具ホルダに固着される工具にクーラントが導入されるクーラント供給孔が設けられていない場合には、前記工具ホルダの交換前に前記電磁切換弁を介してクーラント供給源からクーラントを供給して前記クーラント供給通路内の少なくとも一部にクーラントを溜めるサイクルを実行し、前記工具ホルダの交換時に前記電磁切換弁を介して前記クーラント供給通路にエアー供給源からの加圧エアーを供給して、前記クーラント供給通路内に溜まっているクーラントを前記加圧エアーにより前記主軸とと工具ホルダの間の嵌合部に生じる隙間に噴出することを特徴とする主軸と工具ホルダとの間の嵌合部を清浄化する方法。
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