JP6917555B2 - 工作機械の主軸装置 - Google Patents
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Description
しかし、センタースルー方式では、主軸のテーパ穴にエアブラストを行う場合、主軸の中心からのみエアを噴射するためテーパ面にエアブラストが十分触れず、工具のテーパ穴への食い付き防止の重要な要素である潤滑油も十分に付与できなかった。更に、テーパ穴の中央からのみエアを噴射させると周囲に逆向きの渦が発生する(図13参照)。そのため、テーパ面にもエアブラストの吐出孔を設けたいが、切削液が逆流して主軸内部に流入すると内部の部品が損傷してしまうという問題があった。
また、特許文献2に記載の主軸装置でも、同様に高圧のエアがラビリンス隙間を通って軸受に流入してしまうという同様な問題があり、主軸を逆回転させると更に悪い状況になる恐れがある。
本発明では、工具のアンクランプ時にエアブロー流路から供給されるエアを、エア吐出孔を通して主軸先端のテーパ穴に吐出して着脱する工具やテーパ穴の清掃を行い、エアに潤滑油を含む場合には潤滑油を付着させる。エアブロー流路は閉じられた空間であるため高圧でも漏れることがない。クランプ時に工具とテーパ穴の間の密着が不完全でも切削液がエアブロー流路を逆流することを可動シール部材によって阻止できる。
エアブロー流路の閉鎖状態で切削液が逆流することを阻止できる。
可動シール部材に加えてシール部材とストッパ部材によって三重にエアブロー流路を封止できるため、テーパ穴から切削液がエアブロー流路に逆流することを確実に阻止できる。
アンクランプ状態からクランプ状態に切り換えた場合、弾性部材によって可動シール部材を摺動させてエアブロー流路を閉鎖させ、その後、弾性部材を設けた室内の切削液の圧力によって更に可動シール部材を閉鎖する圧力を高める。
アンクランプ時に工具把持部材の移動に連動する可動シール部材によってエアブロー流路を開放するため、エア吐出孔を通してエアをテーパ穴に吐出することができる。
エアブロー流路を通してエア吐出孔と主軸中央の空間部を通してテーパ穴にエアを吐出して工具やテーパ面を清掃し、エア中の潤滑油のミストで工具の食い付きを防止できる。
なお、切削液流路は、工具の中心または径方向外側のフランジ部を通して切削液を吐出するようにしてもよい。
しかも、エアブロー流路は閉じられた空間であるためエアが高圧でも漏れることがない。また、クランプ時に異物等で工具とテーパ穴の間の密着が不完全でも切削液がエアブロー流路に逆流することを可動シール部材で阻止できる。
図1は本実施形態による工作機械1の自動工具交換装置の主軸装置2を示すものである。本実施形態による主軸装置2は、主軸6の中心軸線Oに沿って切削液が先端に送られて吐出されるセンタースルー方式である。
図1に示す主軸装置2において、マシニングセンタ等の主軸頭に固定された略筒状のハウジング本体5と、その内部に軸受周りに回転可能に設けた中空状の主軸6と、主軸6の後部に進退可能に配設されたアンクランプ機構7とを備えている。なお、本明細書において、図1の主軸装置2の工具ホルダ(工具)13側を前側、前方とし、アンクランプ機構7側を後側、後方というものとする。
図2において、主軸6のテーパ穴6aに連通していて中心軸線O方向に延びる略筒状の穴部6bが形成され、穴部6b内の前側にはプルスタッド13bを把持可能で中心軸線Oの前後方向に移動可能なコレット15が設置されている。コレット15の後部にはプッシュロッド16が前後動可能に連結されている。プッシュロッド16の外周面には円筒状のシールホルダ14が固定されている。プッシュロッド16はその後端部が主軸6の後端から突出している(図1参照)。プッシュロッド16の前後動によってコレット15が前後動することになる。
空間部18内には、後述する主エアブロー流路30のエア通路20から分岐された中央エアブロー流路31から供給されるエアを貯留可能である。しかも中央エアブロー流路31の先端側の空間部31を含む空間はテーパ穴6aを除いて気密な閉鎖空間とされ、エアの漏れを防いでいる。
工具ホルダ13のクランプ状態において、拡径通路14aは後方から供給されるエアがエア連通路14cを介してエア通路20に流れ込んでエア吐出孔21から吐出させる。テーパ穴6a内の切削液がエア吐出孔21を通してエア通路20を逆流する場合には、シールピストン22でエア連通路14cを閉鎖することになる。
後述するアンクランプ用ピストン34でプッシュロッド16が前方(アンクランプ方向)に押されると、後部バネリテーナ28がシールホルダ14に係止された前部バネリテーナ27との間で付勢部材29を圧縮させる。
そのため、主エアブロー流路30を通してエア吐出孔21からテーパ穴6aにエアを吐出することができる。また、主エアブロー流路30から中央エアブロー流路31を介して空間部18にもエアを吐出することができる。空間部18に溜まったエアはテーパ穴6aから工具ホルダ13を引き抜くことでテーパ穴6a内に吐出される。
また、主軸6の中心軸Oには、中央エアブロー流路31とは別に切削液流路16a及び接続ノズル17を通して切削液をテーパ穴6aを通して工具ホルダ13による切削点に噴出する切削液の流路が形成されている。
図7に示すように、主軸6の後方には、アンクランプ機構7のシリンダ32内に略円筒状の油圧室33が中心軸線O回りに形成されている。油圧室33の外周側には前後方向に拡径する拡径溝33a、33bが形成されており、その中心軸線O寄りの面が拡径溝33a、33bよりも縮径した縮径部を形成する。主軸6のプッシュロッド16は後端部に段部16cを有しており、段部16cの後方に延びるプッシュロッド16の軸部16eは油圧室33を有するシリンダ32を貫通してハウジング本体5の後方から外側に突出している。
この被検体38に対向する位置にはクランプとアンクランプを検知する確認スイッチ39が設置され、被検体38の進退位置を検出して工具ホルダ13がクランプ位置にあるかアンクランプ位置にあるかを判別して後述の制御装置51に入力する。なお、被検体38が前進位置にある場合にはアンクランプ位置を示し、後退位置にある場合にはクランプ位置を示している。被検体38の更に後端部にはロータリージョイント40が設置され、切削液流路16aに供給するための切削液が切削液供給源48からロータリージョイント40に供給される。
また、油圧室33の前側の拡径溝33aにはハウジング本体5の外周面からクランプ用油圧ポート42が連通して形成されている。クランプ用油圧ポート42から油圧室33内に油圧が供給されると作動翼34bを後方に押動させてアンクランプ用ピストン34を主軸6の後端から離間させる。そして、付勢部材29の付勢力でプッシュロッド16を後方に移動させてコレット15を引き込むことで、爪部15aで工具ホルダ13のプルスタッド13bをクランプする。
なお、工具交換の際、図示しないチェンジャアームで工具ホルダ13を主軸6のテーパ穴6aから引き抜いたタイミングで、エアポート46から主エアブロー流路30を介して空間部18のエアを噴出させると、エアの流れに時間を要するため工具交換に時間がかかる欠点がある。しかし、本実施形態では、工具交換の前段階で空間部18内にエアを予め充満させておくことで、工具ホルダ13の抜き取り時に即応してエアを吹き付けることができる。
ロータリージョイント40には切削液供給源48から切削液が供給される。切削液は、プッシュロッド16内の切削液流路16aを通して中心軸Oに沿って前方に送られ、テーパ穴6aに装着された工具ホルダ13内を通ってワークの切削点に噴出される。切削液は工具ホルダ13で保持された工具でワークを切削する場合に、切削点の冷却と工具刃先の摩耗低減用の潤滑のために供給される。
クランプ用油圧ポート42とアンクランプ用油圧ポート43には油圧供給源49から油圧の供給と引き上げが交互に行われる。エアポート46には空圧供給源50からエアが供給され、補助エアブロー流路45から主エアブロー流路30を通して前方に送られる。そして、主エアブロー流路30を通してエア吐出孔21からミスト状潤滑油を含むエアが、中央エアブロー流路31を通して中心軸O上の空間部18からエアが、テーパ穴6aにそれぞれ噴射される。油圧供給源49と空圧供給源50での圧油とエアの吐出と停止の制御は制御装置51によって行われる。
最初に工具ホルダ13のクランプ動作について説明する。主軸6のテーパ穴6aに工具ホルダ13のテーパシャンク13aを挿入した状態で、制御装置51により、図7に示すアンクランプ用油圧ポート43を開放し、クランプ用油圧ポート42に圧油を投入して前側の拡径溝33aから油圧室33へ供給する。
この状態で、電動モータM1を駆動することで工具ホルダ13と主軸6を一体回転させて図示しないワークを切削加工できる。
シールホルダ14に設けた拡径通路14a内のシールピストン22がコイルばね23で押されるため、後方に移動してエア連通路14cを閉鎖し、主エアブロー流路30を遮断する。しかも、切削液流路16aの切削液の一部が切削液連通路16bを通して拡径通路14aのコイルばね23のばね室23aに流入してシールピストン22を更に押圧する。これにより、主エアブロー流路30とエア通路20との間のエア連通路14cを閉鎖する。切削液供給源48からの切削液の供給によってばね室23a内の液圧が増大するため、シールピストン22はより強固にエア連通路14cを閉鎖させる。
なお、シールホルダ14とストッパナット25はねじ締結されているため、シールピストン22の軸方向の荷重はストッパナット25で終結され、プッシュロッド16や付勢部材29に影響を及ぼさない。
図1及び図7において、確認スイッチ39で被検体38がクランプ位置にあることを確認してアンクランプ位置に切り換える。即ち、制御装置51からの指示によりクランプ用油圧ポート42を開放し、油圧供給源49からアンクランプ用油圧ポート43に圧油を投入し、後側の拡径溝33bから油圧室33へ供給する。
アンクランプ用ピストン34は前進してプッシュロッド16の段部16cに当接する。アンクランプ用ピストン34とプッシュロッド16の段部16cとの当接により、アンクランプ用ピストン34の補助エアブロー流路45とプッシュロッド16の段部16cに設けた主エアブロー流路30とが接続される。
これによって、拡径通路14a内で、シールピストン22はエア連通路14cから外れて開放させる。その際、シールピストン22の前進を妨げる逆止弁等がないためスムーズに移動し、エア連通路14cを開放する。これによってエアポート46から供給されるエアは、主エアブロー流路30を前方に送られる。一部のエアは主エアブロー流路30から中央エアブロー流路31を介して空間部18に貯留される。また、残りのエアはエア通路20を通してテーパ穴6aのテーパ面に連通するエア吐出孔21に送られる。
主エアブロー流路30及び中央エアブロー流路31は完全に閉じられた空間であり、高圧のエアであっても漏れることなく空間部18とエア吐出孔21に運ばれる。エア吐出孔21のエアは、テーパ穴6aと工具ホルダ13との間の狭い隙間に残る異物を吹き飛ばすことができる。
空間部18からエアの吹出しと同時に、テーパ穴6aのテーパ面に形成されたエア吐出孔21からミスト状の潤滑油を含むエアがエアブラストとして噴出される。これにより、テーパ穴6aのテーパ面と工具ホルダ13のテーパ面の清掃と潤滑油の付与を行う。
主エアブロー流路30は閉じられた空間であるため高圧でも漏れることがない。しかも、エア連通路14cの開閉切り替えは、プッシュロッド16の前後動に連動して行うことができる。
また、工具交換の前段階で、主軸6のテーパ穴6aに嵌合した工具ホルダ13の後ろ側の空間部18内にエアを予め充満させておくことで、工具交換が短時間で瞬時に行われる場合でも、工具ホルダ13の抜き取りに即応してエアを空間部18から噴射させ、テーパ穴6aや工具ホルダ13に付着したゴミ等を吹き飛ばすことができる。
本実施形態による主軸装置2Aは、上述のセンタースルー方式に代えて、工具ホルダ13のフランジ部から切削液が吐出されるフランジスルー方式である。図11及び図12は、主軸装置2Aにおける中心軸Oの上下両側で工具ホルダ13のクランプ状態とアンクランプ状態を示している。
本第二実施形態による主軸装置2Aでは、図12に示すように、プッシュロッド16に設けた切削液流路16aはシールホルダ14の切削液連通路16bを介して拡径通路14aのコイルばね23を備えたばね室23aに連通している。ばね室23aに流入した切削液はコイルばね23と共にシールピストン22を押圧している。切削液連通路16bより先端側の切削液流路16aは封止されている。
図13の従来例に示すように、工作機械1の主軸装置2Bがセンタースルー方式で、テーパ穴6aのテーパ面に開口するエア吐出孔21を設けない場合、主軸6の先端の中心軸線O付近からのみエアが噴射される。この場合、図に示すようにセンターエアのエア流の周囲に逆向きの渦流が発生するため、テーパ穴6a内にゴミ等を運んで付着させるという現象が生じる。
図11及び図14に示す主軸装置2Bでは、第一実施形態と同様に、エアを噴射するノズル形状としてエア吐出孔21をテーパ穴6aのテーパ面に備えている。エア吐出孔21に接続されるエア通路20が主軸6に設けられている。プッシュロッド16の先端側には開閉可能な複数に分割されたコレット15の間に、空間部18に有底筒状の中央エアノズル58が設置されている。
図12に示すように、エア通路20から分岐された中央エアブロー流路31は、圧縮ばね19内に延びており、圧縮ばね19の先端部に装着された中央エアノズル58の後部に連結されている。
その後、工具ホルダ13を引き抜くことで、空間部18とエア吐出孔21から大流量のエアがテーパ穴6a内に噴射され、ゴミ等の異物の排除を効果的に行える。しかも、エア吐出孔21からのエアは潤滑油のミストが含まれ、テーパ穴6aに装着される工具ホルダ13の食い付きを防止できる。
なお、第一実施形態においても、中央エアブロー流路31の先端側に中央エアノズル58が設置されていてもよい。或いは空間部18を設けずに、中央エアノズル58から直接エアをテーパ穴6aに噴射するようにしてもよい。
上述した各実施形態では、自動工具交換装置(ATC)を備えた工作機械1の主軸装置2について説明したが、自動工具交換装置を備えていない工作機械にも本発明を適用できる。また、空圧供給源50から供給するエアに潤滑油のミストを混ぜてもよい。これによって、エア吐出孔21のエアに潤滑油のミストを混ぜる必要がなくなる。
本発明において、プッシュロッド16とコレット15は工具把持部材に含まれ、シールピストン22は可動シール部材に含まれ、ストッパナット25はストッパ部材に含まれ、主エアブロー流路30及び中央エアブロー流路31はエアブロー流路に含まれる。
2,2A,2B 主軸装置
6 主軸
6a テーパ穴
14c エア連通路
13 工具ホルダ
13a テーパシャンク
14a 拡径通路
16 プッシュロッド
16a 切削液流路
18 空間部
20 エア通路
21 エア吐出孔
22 シールピストン
23 コイルばね
23a ばね室
24 シール部材
29 付勢部材
30 主エアブロー流路
31 中央エアブロー流路
33 油圧室
34 アンクランプ用ピストン
42 クランプ用油圧ポート
43 アンクランプ用油圧ポート
45 補助エアブロー流路
46 エアポート
58 中央エアノズル
K 隙間
Claims (4)
- 主軸先端のテーパ穴にエアを吐出することで前記テーパ穴の清掃を行う工作機械の主軸装置において、
先端の前記テーパ穴に工具が取り付けられる中空状の主軸と、
前記テーパ穴のテーパ面からエアを吐出するエア吐出孔と、
前記主軸内で進退して前記工具のクランプとアンクランプを切り換える工具把持部材と、
前記工具把持部材の外周側に設けられていて前記エア吐出孔にエアを供給するエアブロー流路と、
前記エアブロー流路内に摺動可能に設けられていて前記エアブロー流路を開閉可能な可動シール部材と、を備え、
前記工具のクランプ時に前記可動シール部材によって前記エアブロー流路を閉鎖して前記テーパ穴から切削液が逆流することを阻止し、
前記工具把持部材内には先端側に切削液を供給する切削液流路が設けられ、
前記切削液流路は、前記可動シール部材でエアと仕切られ、かつ、弾性部材が設けられた室に連通し、
前記可動シール部材は、前記弾性部材によって前記エアブロー流路を閉鎖することで切削液の逆流を阻止し、
前記エアブロー流路内には、液密に固定されたストッパ部材と、前記可動シール部材と前記ストッパ部材の間に設けられたシール部材とを備え、
前記工具のクランプ時に前記シール部材と前記ストッパ部材によって前記エアブロー流路を閉鎖することによって切削液の逆流を阻止し、
前記ストッパ部材は前記工具把持部材に設けられた凸部に当接されていることによって切削液の逆流を阻止していることを特徴とする工作機械の主軸装置。 - 前記工具のアンクランプ時に前記工具把持部材に前記可動シール部材を連動させて前記エアブロー流路を開放させる請求項1に記載された工作機械の主軸装置。
- 前記エアブロー流路は、前記エア吐出孔と前記テーパ穴近傍に設けた空間部とにエアを供給するようにした請求項1又は2に記載された工作機械の主軸装置。
- 前記切削液流路は、前記工具の中心または径方向外側のフランジ部を通して切削液を吐出するようにした請求項3に記載された工作機械の主軸装置。
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