JP2006334676A - 工作機械、異物除去方法、及び、異物検出方法 - Google Patents

工作機械、異物除去方法、及び、異物検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
工作機械における、工具の交換時に、工具と工具保持部との当接面に異物を挟み込むことを防止するとともに、異物を挟み込んだ場合に、挟み込んだ異物を除去、検出できる工作機械を提供すること。
【解決手段】
工具1と、工具1と嵌合する工具保持孔15が形成された工具保持部2と、を備え、工具保持部2に対して工具1の脱着による交換が可能な工作機械50において、工具1と工具保持孔15とが当接する第1の当接面に向けて、工具保持部2を貫通するようにして設けられた少なくとも一つの第1の流体供給路5と、工具1を工具保持孔15から取り外す時、及び、工具1を工具保持孔15へ装着する時に、第1の流体供給路5を介して、第1の当接面に向けて流体25を供給する流体供給手段22とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、切削加工等に用いられる工作機械における、ワークを切削する工具とこの工具を保持する工具保持部との当接面に、異物を挟み込むことを防止する機能を備えた工作機械、その異物を除去する方法、及び、その異物を検出する方法に関するものである。
ワークの加工に用いる工具を、工具保持部に対して脱着可能として、工具を交換することが可能な工作機械が知られている。このような工作機械では、予め用意された多種類の工具の中から、必要な工具を選択し、ワークの加工が行われる。この時、加工精度を良好に維持、あるいは、向上させるために、工具を工具保持部に対して正確に装着することが必要である。そのためには、工具を交換する時に、工具と工具保持部との当接面に異物を挟み込まないことが重要である。
ところが、工具や工具保持部は、ワークを加工する近傍に配置されているため、ワークの加工に伴って発生した切削屑や切粉等の異物が工具や工具保持部に付着し、工具を工具保持部に装着する時に、工具と工具保持孔との当接面に異物を挟み込んでしまうことがある。そこで、工具と工具保持孔との当接面に異物を挟み込んでしまった場合に、それを検出する機能を備えた工作機械が提案されている。
例えば、特許文献1に開示された発明では、リニアスケールを工具保持部の近傍に設置して、工具の挿入前端部である引き込み端の位置を当該リニアスケールにより測定する。この時、工具と工具保持孔との当接面に異物を挟み込んでいた場合には、引き込み端が所定の位置まで引き込まれないことを利用して、異物を検出する。
また、特許文献2に開示された発明では、ギャップセンサを工具のワーク側(挿入後端側)の近傍に設置して、工具が回転する際の回転軸のずれを当該ギャップセンサにより測定する。この際、工具と工具保持孔との当接面に異物を挟み込んでいた場合には、工具及び工具保持部の回転軸が所定の位置からずれることを利用して、異物を検出する。
特開平5−309548号公報 特開2000−5907号公報
上述した、特許文献1で開示された、リニアスケールを備えた工作機械において、図4(a)に示すように、リニアスケール6は工具1の挿入前端部(引き込み端)12の近傍に設置される。しかしながら、工具1の挿入前端部12の近傍には、工具保持部2を回転させるためのモータ(図示せず)や、工具1を工具保持孔15に引っ張り込むために、プルスタッド4やコイルバネ(図示せず)等の周辺機器が配置されている。このため、リニアスケール6を工具1の挿入前端部12の近傍に設置することはスペースの都合上、それが難しいことがある。
このような状況において、リニアスケール6は、工具1の挿入前端部12から離れた場所に設置されることになるが、リニアスケール6を挿入前端部12から離れた場所に設置すると、工具1と工具保持孔15との第1の当接面に異物30を挟み込んでも、その検出が正確に行われないことがあった。
すなわち、リニアスケール6の感度を繊細にすると、リニアスケール6は図示しないモータやコイルバネ、プルスタッド4等の周辺機器の発熱に伴う工具1や工具保持部2の熱膨張を検出してしまい、工具1と工具保持孔15との第1の当接面に異物30を挟み込んでいないにも関わらず、異物を検出したと誤作動することがある。これに対し、リニアスケール6の感度を鈍感にすると、工具1や工具保持部2の熱膨張に起因する誤作動は避けることができるが、工具1と工具保持孔15との第1の当接面に侵入した微小な異物30を検出することができなくなってしまう。
また、特許文献2で開示された、ギャップセンサを備えた工作機械において、図4(b)に示すように、ギャップセンサ7は、工具1の挿入後端部14、ゲージライン8の近傍に設置される。しかしながら、ギャップセンサ7を工具1の挿入後端部14やゲージライン8の近傍に設置すると、ワークの加工に伴って発生する切粉や屑等が、時間の経過と共に増加して、ギャップセンサ7を覆ってしまう。すると、ギャップセンサ7の異物を検出する精度が低下してしまうことがある。
そこで、本発明は以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、切削加工等に用いられる工作機械における、工具とこの工具を保持する工具保持部との当接面に、異物を挟み込むことを防止する機能を備えた工作機械を提供することにある。さらに、この当接面の異物を除去する方法、及び、異物を挟み込んだ場合には、その異物を検出する方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に係る工作機械は、工具と、工具と嵌合する工具保持孔が形成された工具保持部と、を備え、工具保持部に対して工具の脱着による交換が可能な工作機械において、工具と工具保持孔とが当接する第1の当接面に向けて、工具保持部を貫通するようにして設けられた少なくとも一つの第1の流体供給路と、工具を工具保持孔から取り外す時、及び、工具を工具保持孔へ装着する時に、第1の流体供給路を介して、第1の当接面に向けて流体を供給する流体供給手段とを備えることを特徴とする。
これにより、第1の当接面に向けて工具保持部を貫通するように第1の流体供給路を設けたので、工作機械の周辺部分に配置される配管を減らすことができる。そして、それに伴って、少ないスペースに工作機械を設置することができる。また、工具保持部に対して工具を脱着する時に、流体供給手段により第1の流体供給路を介して第1の当接面に向けて流体を供給することができるので、工具や工具保持孔に付着した異物を除去することができる。これにより、工具を工具保持孔へ装着する時に、第1の当接面に異物を挟み込むことを防止できる。
請求項2に係る工作機械は、流体供給手段は、流体に所定の流体圧力を与えて供給する供給ポンプを有し、当該流体供給手段は、工具を工具保持部孔に勘合した後にも供給ポンプを用いて、所定の流体圧力を供給するものであり、供給ポンプにより第1の流体供給路を介して供給された流体の流体圧力を測定する圧力センサと、圧力センサにより測定された流体圧力に基づいて、第1の当接面における異物の挟み込みを判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
このように、工具を工具保持孔に装着する時に、供給ポンプにより所定の流体圧力を与えられた流体が、第1の当接面に向けて設けられた第1の流体供給路を介して第1の当接面に供給される。
ここで、異物が工具と工具保持孔との当接面に挟み込まれた場合、工具と工具保持孔との間に隙間が生じる。このため、供給ポンプによって供給された流体は、その隙間から漏れて、流体の圧力が低下する。このようにして、圧力センサにより測定された流体圧力に基づいて、判定手段が、第1の当接面への異物の挟み込みを判定するので、工作機械を稼動させる前に、挟み込んだ異物を検出することができる。したがって、第1の当接面に異物を挟み込んだまま、工作機械を稼動させることを防ぐことができる。
請求項3に係る工作機械は、工具には、工具を前記工具保持孔に装着した時に、工具保持孔の周囲において工具保持部の端面と当接するフランジ部が形成され、工具保持部の端面と前記フランジ部との第2の当接面に向けて、工具保持部を貫通するようにして設けられた少なくとも一つの第2の流体供給路を、さらに備え、流体供給手段は、工具を工具保持孔から取り外す時、及び、工具を工具保持孔へ装着する時に、第2の流体供給路を介して、第2の当接面に向けて流体を供給することを特徴とする。
これにより、工具保持部に対して工具を脱着する時に、流体供給手段により第2の流体供給路を介して第2の当接面に向けても流体を供給することができるので、工具保持部の端面や工具のフランジ部に付着した異物を除去することができる。これにより、工具を、工具保持孔に装着する時に、第2の当接面に異物を挟み込むことを防止できる。
請求項4に係る工作機械は、流体供給手段は、流体に所定の流体圧力を与えて供給する供給ポンプを有し、当該流体供給手段は、工具を工具保持部孔に勘合した後にも供給ポンプを用いて、所定の流体圧力を供給するものであり、供給ポンプにより第1及び第2の流体供給路を介して供給された流体の流体圧力を測定する圧力センサと、圧力センサにより測定された流体圧力に基づいて、第1及び第2の当接面の少なくとも一方における異物の挟み込みを判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
このように、工具を工具保持孔に装着する時に、供給ポンプにより所定の流体圧力を与えられた流体が、第1及び第2の当接面に向けて設けられた第1及び第2の流体供給路を介して第1及び第2の当接面に供給される。したがって、上述したのと同様の理由から、圧力センサにより測定された流体圧力に基づいて、判定手段が、第1及び第2の当接面の少なくともいずれかへの異物の挟み込みを判定でき、工作機械を稼動させる前に、挟み込んだ異物を検出することができる。したがって、第1及び第2の当接面の少なくともいずれかに異物を挟み込んだまま、工作機械を稼動させることを防ぐことができる。
請求項5に係る異物除去方法は、工作機械の工具を、工具保持部に形成された工具保持孔から取り外す時、及び、工具保持孔へ装着する時に、工具と工具保持部に付着した異物を除去する工作機械の異物除去方法であって、工具保持部を貫通し、工具と工具保持孔とが当接する第1の当接面に向かうように設けられた少なくとも一つの第1の流体供給路を介して、流体を前記第1の当接面に供給する工程を有し、流体によって、工具と工具保持孔とを洗浄し、工具と工具保持孔とに付着した異物を除去することを特徴とする。
この異物除去方法により、工具を工具保持孔に装着した時に、第1の当接面に異物を挟み込むことを防止できる。
請求項6に係る異物除去方法は、工具保持部を貫通し、工具に形成されたフランジ部と工具保持部の端面とが当接する第2の当接面に向かうように設けられた少なくとも一つの第2の流体供給路を介して、流体を前記第2の当接面に供給する工程をさらに備え、流体によって、フランジ部と工具保持部の端面とを洗浄し、フランジ部と工具保持部の端面とに付着した異物を除去することを特徴とする。
この異物除去方法により、工具を工具保持孔に装着した時に、第2の当接面に異物を挟み込むことを防止できる。
請求項7に係る異物検出方法は、工具保持部に形成された工具保持孔への工具の装着が完了した時に、工具と工具保持部とが当接する当接面に挟み込んだ異物を検出する工作機械の異物検出方法であって、工具保持部を貫通し、工具と工具保持孔とが当接する第1の当接面に向かうように設けられた少なくとも一つの第1の流体供給路を介して、供給ポンプによる所定の流体圧力が与えられた流体を第1の当接面に向けて供給する工程と、流体圧力を測定する工程と、測定された流体圧力に基づいて、第1の当接面に挟み込んだ異物を検出する工程とからなることを特徴とする。
この異物検出方法により、工具を工具保持孔に装着した時に、第1の当接面に異物を挟み込んでいても、その異物を検出することができる。そして、異物を挟み込んだまま、工作機械を稼動させることを防ぐことができる。
請求項8に係る異物検出方法は、工具保持部を貫通し、工具に形成されたフランジ部と工具保持部の端面とが当接する第2の当接面に向かうように設けられた少なくとも一つの第2の流体供給路を介して、供給ポンプによる所定の流体圧力が与えられた流体を第2の当接面に向けて供給する工程と、流体圧力を測定する工程と、測定された流体圧力に基づいて、判定手段による前記第2の当接面に挟み込んだ異物を検出する工程とをさらに備えることを特徴とする。
この異物検出方法により、工具を工具保持孔に装着した時に、第2の当接面に異物を挟み込んでいても、その異物を検出することができる。そして、異物を挟み込んだまま、工作機械を稼動させることを防ぐことができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態における工作機械50について、図1を用いて説明する。工具1は、工具保持部2の工具保持孔15に挿入される挿入部16を有し、後述するプルスタッド4が挿入部16の前端部12に連係している。挿入部16の後端部14には、工具保持孔15の開口周囲の表面に当接するフランジ部1bが設けられている。このフランジ部1bには、ワーク(図示せず)を加工するための刃具9が装着されている。工具1の挿入部16は、テーパー面1aを有し、工具保持孔15は挿入部16のテーパー面1aに対応する形状に形成されている。
工具1は、工具保持部2からの脱着が自在であり、交換が可能である。工具1の挿入部16を、挿入前端部12から工具保持孔15に挿入して、工具保持部2に装着すると、工具1のテーパー面1aと工具保持孔15とが当接する第1の当接面において、工具1は工具保持孔15で保持されている。また、工具1のフランジ部1bと工具保持部2の端面13とが当接する第2の当接面において、工具1は保持されている。ただし、このフランジ部1bは、省略可能であり、本実施形態における工作機械50において、工具1は、いわゆる、1面拘束型の形状である。
ここで、工具1を工具保持孔15に装着するときに、引張手段10(例えば、油圧式シリンダ)により、工具1の挿入前端部12に連係したプルスタッド4を介して、工具1を工具保持孔15に引っ張り込む方向に、数百キログラム以上の引張圧力を加えている。したがって、工具1は工具保持部2に対して強固に保持されているので、工作機械50の稼動時(高速回転時)に、工具1が工具保持孔15内でがたつくことを低減している。なお、工作機械50は、工具保持部2に保持された工具1を回転させるためのモータ等を含む駆動機構(図示せず)を備えている。
第1の流体供給路5は、その一部が工具保持部2を貫通するように、少なくとも一つが設けらてれいる。この第1の流体供給路5の一端は、工具1のテーパー面1aと工具保持孔15とが当接する第1の当接面に向けて、流体25を供給できるように配設されている。また、この第1の流体供給路5の他端には、吸入口24が設けられ、流体25が貯蔵された流体タンク20に向けて配設されている。ここで、流体タンク20に貯蔵された流体25は、供給ポンプ22により吸入口24より吸入され、吸入された流体25は、フィルタ21でろ過されて異物が除去される。そして、ろ過された流体25は、第1の流体供給路5を介して、第1の当接面に向けて供給される。
ところで、工具1を挿入前端部12より工具保持孔15に挿入し、装着する時に、第1の当接面に、ワークの加工に伴って発生した切削屑や切粉等の異物30を挟み込んでしまうことがある。異物30を挟み込んだまま、工具1に対して、上述したような引張圧力を加えても、工具1を工具保持孔15に正確に装着することができないことがある。そして、この正確に装着されていない状態のまま、工作機械50を稼動させ、工具1と工具保持部2とが高速回転すると、工具1と工具保持部2とは、本来の回転軸3から振れて回転してしまうことがあり、その結果、ワークの加工精度に影響を及ぼすことになる。
また、上述したように、工具1を工具保持孔15に装着する時には、工具1に対して、引張手段10により、工具1の挿入前端部12に連係したプルスタッド4を介して、挿入前端部12を工具保持孔15に引っ張り込む方向に、数百キログラム以上の引張圧力を加えている。このため、第1の当接面に異物30を挟み込んでいると、工具1にキズや歪みが発生するおそれがある。すると、工具1の形状バランスや重量バランスが崩れ、刃具9や刃具9を装着した工具1が本来の回転軸3から振れて回転してしまうことがあり、その結果、やはり、ワークの加工精度に影響を及ぼすことになる。
そこで、本実施形態における工作機械50は、工具1の脱着時における、工具1を工具保持孔15から取り出す時から取り出しが完了するまでの所定時間(例えば、数秒間)、及び、工具1を工具保持孔15へ装着する時から装着が完了するまでの所定時間(例えば、数秒間)、第1の流体供給路5を介して、第1の当接面に向けて流体25を供給するものである。このように流体25を供給することで、工具1を工具保持孔15に装着する時に、工具1のテーパー面1aや工具保持孔15に異物30が付着していたとしても、流体25が、工具1のテーパー面1aや工具保持孔15を洗浄し、異物30を除去する。このため、工具1を工具保持孔15に装着する時に、第1の当接面に異物30を挟み込むことを防止することができる。
なお、図1では第1の流体供給路5が、1つ配設された例を示しているが、第1の流体供給路を複数配置したり、あるいは、第1の流体供給路を分枝して、流体を供給するための供給口を増やしてもよい。こうすることで、流体25を第1の流体供給路5を介して第1の当接面に向けて満遍なく行き渡らせることができる。
以上、説明したように、本実施形態における工作機械50によれば、工具1を工具保持孔15へ装着する時に、異物30を挟み込むことなく、工具1を工具保持孔15に正確に装着することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態における工作機械51について、図2を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を一部省略する。
第1の実施形態における工作機械50においては、工具1はテーパー面1a有し、このテーパー面1aと工具保持孔15とが、第1の当接面で当接することで、工具1が工具保持孔15に保持されている。そして、第1の流体供給路5は、その一部が工具保持部2を貫通するように、少なくとも一つが設けられ、第1の流体供給路5の一端は、第1の当接面に向けて配設されている。
本実施形態における工作機械51においては、工具11を工具保持孔15に装着した時に、工具11が工具保持部2の端面(工具保持部端面)13と当接するフランジ部11bをさらに有する形状、いわゆる、2面拘束型の形状を採用したものである。つまり、工具11を挿入前端部12から工具保持孔15に挿入し、工具保持部2に装着すると、工具11のテーパー面11aと工具保持孔15とが、第1の当接面で当接するだけでなく、工具11のフランジ部11bと工具保持部端面13とが当接して、工具11が工具保持部2に対して、さらに強固に保持されるようになっている。なお、2面拘束型の形状を成す工具11においても、引張手段10(例えば、油圧式シリンダ)により、工具11の挿入前端部12に連係したプルスタッド4を介して、工具11を工具保持孔15に引っ張り込む方向に、数百キログラム以上の引張圧力を加えている。
本実施形態における工作機械51においては、第1の当接面に向けて流体25を供給する第1の流体供給路5に加えて、工具11のフランジ部11bと工具保持部端面13とが当接する第2の当接面に向けて流体25を供給する、少なくとも一つの第2の流体供給路5aをさらに配設した。第2の流体供給路5aは、第1の流体供給路5から分枝するように配設してもよく、又は、第1の流体供給路5とは独立して配設してもよい(図2は、第1の流体供給路5から分枝するように第2の流体供給路5aを設けた状態を示す)。
第2の流体供給路5aを第1の流体供給路5から分枝するように配設した場合、第2の流体供給路5aの一端は、第2の当接面に向けて流体25を供給できるように配設され、第2の流体供給路5aの他端は、第1の流体供給路5と接続している。一方、第2の流体供給路5aを独立するように設けた場合、第2の流体供給路5aの一端は、第2の当接面に向けて流体25を供給できるように配設され、第2の流体供給路5aの他端には、吸入口24が設けられ、外部に設置された流体タンク20に向けて配設されている。なお、いずれの場合においても、第2の流体供給路5aは、第1の流体供給路5と同様に、工具保持部2を貫通するように設けられている。
ところで、2面拘束型の工具11を工具保持部2に装着する時には、工具11のテーパー面11aと工具保持孔15とが当接する第1の当接面に異物30を挟みこむことを防止するだけではなく、同時に、工具11のフランジ部11bと工具保持部端面13とが当接する第2の当接面に異物31を挟み込むことを防止することも必要である。
そこで、本実施形態の工作機械51は、工具11の脱着時における、工具11を工具保持孔15から取り出す時から取り出しが完了するまでの所定時間(例えば、数秒間)、及び、工具11を工具保持孔15へ装着する時から装着が完了するまでの所定時間(例えば、数秒間)、第1、第2の流体供給路5、5aを介して、第1、第2の当接面に向けて流体25を供給するものである。このように流体25を供給することで、工具11を工具保持孔15へ装着する時に、工具11のテーパー面11aや工具保持孔15、あるいは、工具11のフランジ部11bや工具保持部の端面13に異物30、31が付着していたとしても、供給ポンプ22により供給される流体25が、工具11のテーパー面11aや工具保持孔15、及び、工具11のフランジ部11bや工具保持部の端面13を洗浄して、異物30、31を除去する。このため、工具11を工具保持孔15に装着する時に、第1、第2の当接面に異物30、31を挟み込むことを防止することができる。
なお、図2では第1及び第2の流体供給路5、5aがそれぞれ1つずつ配設された例を示しているが、第1及び第2の流体供給路5、5aを分枝して、流体を供給するための供給口を増やしてもよい。こうすることで、流体25を第1、第2の当接面に向けて満遍なく行き渡らせることができる。
以上、説明したように、本実施形態における工作機械51によれば、工具11を工具保持名15に装着する時に、異物30、31を挟み込むことなく、2面拘束型の工具11を工具保持孔15に正確に装着することができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3における実施形態における工作機械52について、図3を用いて説明する。なお、第1または第2の実施形態と同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を一部省略する。
本実施形態における工作機械52は、第2の実施形態で説明した工作機械51に、供給ポンプ22によって供給される流体25の流体圧力を測定する圧力センサ23と、圧力センサ23によって、測定された流体圧力に基づいて異物30、31の挟み込みを判定する判定回路26と、をさらに備えたものである。
本実施形態における工作機械52では、工具11の脱着時における、工具11を工具保持孔15から工具11の脱着時における、工具11を工具保持孔15から取り出す時から取り出しが完了するまでの所定時間(例えば、数秒間)、及び、工具11を工具保持孔15へ装着する時から装着が完了するまでの所定時間(例えば、数秒間)、第1、第2の流体供給路5、5aを介して、第1、第2の当接面に向けて、所定の流体圧力が与えられた流体25を供給するものである。このように流体25を供給することで、工具11を工具保持孔15へ装着する時に、工具11のテーパー面11aや工具保持孔15、あるいは、工具11のフランジ部11bや工具保持部の端面13に異物30、31が付着していたとしても、供給ポンプ22により供給される流体25が、工具11のテーパー面11aや工具保持孔15、及び、工具11のフランジ部11bや工具保持部の端面13を洗浄して、異物30、31を除去する。このため、工具11を工具保持孔15に装着する時に、第1、第2の当接面に異物30、31を挟み込むことを防止することができる。
しかしながら、異物30、31が、粘着性を有していたり、また、磁性を帯びたりしていたりすると、異物30、31は工具11や工具保持部2に対する付着力が強く、供給ポンプ22により供給される流体25で異物30、31を完全に除去することができないことがある。すると、第1、第2の当接面に異物30、31を挟み込んだ状態で、工具11を工具保持孔15に装着してしまうことがある。このような状況で工作機械52を稼動させると、工具11、工具保持部2は、本来の回転軸3から振れるように回転してしまい、その結果、ワークの加工精度に影響を及ぼすことになる。そこで、このようなことを防ぐために、工作機械を稼動させる前にこの異物30、31を検出して、除去することが必要である。
そのために、本実施形態における工作機械52は、工具11が工具保持孔15に装着が完了した後にも供給ポンプ22により流体25を供給して、当該流体25の圧力が所定圧力となるようにする。具体的には、圧力センサ23により測定される流体圧力が所定圧力となるまで、供給ポンプ22による流体25の供給を継続する。その後、圧力センサ23によって測定された流体圧力に基づいて異物30、31の挟み込みを、判定回路26によって判定する。
例えば、第1、第2の当接面に異物30、31を挟み込まずに、工具11が工具保持孔15に装着が完了していると、流体25の流体圧力は、供給ポンプ22により与えられた所定の流体圧力にほぼ維持される。圧力センサ23が供給ポンプ22の停止後に個の所定圧力を測定した場合には、判定回路26は、第1、第2の当接面のいずれにも異物30、31を挟み込んでいないと判定する。
これに対し、第1、第2の当接面の少なくともどちらかに異物30、31を挟み込んだ状態で、工具11が工具保持孔15に装着が完了すると、流体25の流体圧力は、供給ポンプ22により与えられた所定の流体圧力から低下していく。このような流体圧力の低下が、圧力センサ23により測定されると、判定回路26は、第1、第2の当接面の少なくともどちらかに異物30、31を挟み込んでいると判定する。
これは、異物30、31が、第1、第2の当接面に僅かな隙間を形成するので、供給ポンプ22により所定の流体圧力を与えられた流体25が、この空洞から徐々に漏れるからである。
そして、判定回路26が、第1、第2の当接面のいずれにも異物30、31を挟み込んでいないと判定した場合、工作機械52をそのまま稼動させればよい。一方、判定回路26が、第1、第2の当接面の少なくともいずれかに異物30、31を挟み込んでいると判定した場合、上述した工具11の脱着時における手順を繰り返し行って、異物30、31の除去を行えばよい。
以上、説明したように、本実施形態における工作機械52によれば、工具11を工具保持部2に装着する時に、第1、第2の当接面に異物を挟み込むことを防止することができる。さらに、第1、第2の当接面の少なくともいずれかに異物30、31を挟み込んだ場合においても、異物30、31を検出することができるので、異物30、31を挟み込んだまま工作機械を稼動させることを防ぐことができる。
以上、本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、数々の変形実施が可能である。また、本発明のうち従属請求項に係る発明においては、従属先の請求項の構成要件の一部を省略する構成とすることもできる。
本発明の第1の実施形態に係る工作機械の断面図。 本発明の第2の実施形態に係る工作機械の断面図。 本発明の第3の実施形態に係る工作機械の断面図。 従来の工作機械における異物を検出する手段を設置した図であり、(a)はリニアスケールを設置した図、(b)はギャップセンサを設置した図。
符号の説明
1,11・・・工具、 1a,11a・・・テーパー面、 1b,11b・・・フランジ部、 2・・・工具保持部、 3・・・回転軸、 4・・・プルスタッド、 5・・・第1の流体供給路、 5a・・・第2の流体供給路、 6・・・リニアスケール、 7・・・ギャップセンサ、 8・・・ゲージライン、 9・・・刃具、 10・・・引張手段、 12・・・挿入前端部、 13・・・工具保持部端面、 14・・・挿入後端部、 15・・・工具保持孔、 16・・・挿入部、 20・・・流体タンク、 21・・・フィルタ、 22・・・供給ポンプ、 23・・・センサ、 25・・・流体、 26・・・比較検出手段、 30,31・・・異物、 50,51,52・・・工作機械

Claims (8)

  1. 工具と、
    前記工具と嵌合する工具保持孔が形成された工具保持部と、を備え、
    前記工具保持部に対して前記工具の脱着による交換が可能な工作機械において、
    前記工具と前記工具保持孔とが当接する第1の当接面に向けて、前記工具保持部を貫通するようにして設けられた少なくとも一つの第1の流体供給路と、
    前記工具を前記工具保持孔から取り外す時、及び、前記工具を前記工具保持孔へ装着する時に、前記第1の流体供給路を介して、前記第1の当接面に向けて流体を供給する流体供給手段とを備えることを特徴とする工作機械。
  2. 前記流体供給手段は、前記流体に所定の流体圧力を与えて供給する供給ポンプを有し、当該流体供給手段は、前記工具を前記工具保持部孔に勘合した後にも前記供給ポンプを用いて、所定の流体圧力を供給するものであり、
    前記供給ポンプにより前記第1の流体供給路を介して供給された前記流体の前記流体圧力を測定する圧力センサと、
    前記圧力センサにより測定された前記流体圧力に基づいて、前記第1の当接面における異物の挟み込みを判定する判定手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の工作機械。
  3. 前記工具には、前記工具を前記工具保持孔に装着した時に、前記工具保持孔の周囲において前記工具保持部の端面と当接するフランジ部が形成され、
    前記工具保持部の端面と前記フランジ部との第2の当接面に向けて、前記工具保持部を貫通するようにして設けられた少なくとも一つの第2の流体供給路を、さらに備え、
    前記流体供給手段は、前記工具を前記工具保持孔から取り外す時、及び、前記工具を前記工具保持孔へ装着する時に、前記第2の流体供給路を介して、前記第2の当接面に向けて流体を供給することを特徴とする請求項1に記載の工作機械。
  4. 前記流体供給手段は、前記流体に所定の流体圧力を与えて供給する供給ポンプを有し、当該流体供給手段は、前記工具を前記工具保持部孔に勘合した後にも前記供給ポンプを用いて、所定の流体圧力を供給するものであり、
    前記供給ポンプにより前記第1及び第2の流体供給路を介して供給された前記流体の前記流体圧力を測定する圧力センサと、
    前記圧力センサにより測定された前記流体圧力に基づいて、前記第1及び第2の当接面の少なくとも一方における異物の挟み込みを判定する判定手段と
    を備えることを特徴とする請求項3に記載の工作機械。
  5. 工作機械の工具を、工具保持部に形成された工具保持孔から取り外す時、及び、前記工具保持孔へ装着する時に、前記工具と前記工具保持部に付着した異物を除去する工作機械の異物除去方法であって、
    前記工具保持部を貫通し、前記工具と前記工具保持孔とが当接する第1の当接面に向かうように設けられた少なくとも一つの第1の流体供給路を介して、流体を前記第1の当接面に供給する工程を有し、
    前記流体によって、前記工具と前記工具保持孔とを洗浄し、前記工具と前記工具保持孔とに付着した異物を除去することを特徴とする異物除去方法。
  6. 前記工具保持部を貫通し、前記工具に形成されたフランジ部と前記工具保持部の端面とが当接する第2の当接面に向かうように設けられた少なくとも一つの第2の流体供給路を介して、流体を前記第2の当接面に供給する工程をさらに備え、
    前記流体によって、前記フランジ部と前記工具保持部の端面とを洗浄し、前記フランジ部と前記工具保持部の端面とに付着した異物を除去することを特徴とする請求項5に記載の異物除去方法。
  7. 工具保持部に形成された工具保持孔への工具の装着が完了した時に、前記工具と前記工具保持部とが当接する当接面に挟み込んだ異物を検出する工作機械の異物検出方法であって、
    前記工具保持部を貫通し、前記工具と前記工具保持孔とが当接する第1の当接面に向かうように設けられた少なくとも一つの第1の流体供給路を介して、供給ポンプによる所定の流体圧力が与えられた流体を前記第1の当接面に向けて供給する工程と、
    前記流体圧力を測定する工程と、
    測定された前記流体圧力に基づいて、前記第1の当接面に挟み込んだ異物を検出する工程とからなることを特徴とする異物検出方法。
  8. 前記工具保持部を貫通し、前記工具に形成されたフランジ部と前記工具保持部の端面とが当接する第2の当接面に向かうように設けられた少なくとも一つの第2の流体供給路を介して、前記供給ポンプによる所定の流体圧力が与えられた流体を前記第2の当接面に向けて供給する工程と、
    前記流体圧力を測定する工程と、
    測定された前記流体圧力に基づいて、前記第2の当接面に挟み込んだ異物を検出する工程とをさらに備えることを特徴とする請求項7記載の異物検出方法。
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