JP2018001323A - 工作機械の工具アンクランプ装置と工具アンクランプ方法 - Google Patents
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特許文献1に記載された自動工具交換装置は、工具を交換する旋回アームと主軸の内部において軸線方向へスライドすることで工具をクランプまたはアンクランプするドローバの動作とのタイミングを調整する方法に関するものである。
このような工具の食い付き状態から工具交換すると工具の抜き取りが困難になることがあった。そのため、この点でも、工具のテーパ穴内への食い付き状態から工具を交換することに長時間を要するという問題があった。
また、本発明の他の目的は、主軸への工具の食い付きを軽減させて容易に引き抜きできるようした工作機械の工具アンクランプ装置とアンクランプ方法を提供することである。
主軸の工具保持部に装着した工具を交換する際、工具交換の前段階で油圧室に低圧油を供給してアンクランプ用作動部材を作動させて工具把持部材を低圧で押圧すると共に付勢部材の圧縮準備を終了させておき、次の工具交換段階で油圧室に低圧油に代えて高圧油を供給してアンクランプ用作動部材を更に大きな荷重で作動させ、しかも工具交換段階で既に付勢部材の圧縮準備が終了しているために、工具把持部材を迅速に押し込んで工具を主軸から引き抜くことのできるアンクランプ状態にさせることができる。
工具交換前に空間部にエアを充満しておくため、工具交換の際に高速で工具の抜き取りが行われたとしても即応してエアを工具や主軸の工具保持部に噴出させることができるため、ごみ等の付着を阻止できる。しかも、エアにミスト状の潤滑油を混合させておくことで、迅速に工具や主軸の工具保持部を潤滑させることができて工具の食い付きを抑制できる。
主軸エアブロー流路を備えた工具把持部材に補助エアブロー流路を備えたアンクランプ用作動部材を当接させることで、補助エアブロー流路からエアを空間部に送り込むことができる。
主軸の工具保持部に工具が食い付いたとしても、工具交換時にチェンジャアームが工具を把持する際の衝撃で食い付きを解除することができる。
本発明による工作機械の工具アンクランプ方法によれば、主軸の工具保持部に装着した工具を交換する際、工具交換の前段階で油圧室に低圧油を供給してアンクランプ用作動部材を作動させて工具把持部材を低圧で押圧して付勢部材の圧縮準備を終了させておき、次の工具交換段階で油圧室に低圧油に代えて高圧油を供給してアンクランプ用作動部材を更に大きな荷重で作動させると、既に付勢部材が圧縮される準備動作が終了しているため、工具把持部材を迅速に押し込んで工具を主軸から引き抜くことのできるアンクランプ状態にできるため、工具交換をより迅速に行える。
工具を引き抜く際に、迅速にエアを空間部から噴出できるため、工具や工具保持部への潤滑油等の付着とゴミ等の除去を確実に行えて、工具交換をより迅速に行える。
工具交換時に、チェンジャアームで工具を把持するときの衝撃で工具の食い付きを解除できると共に、高圧油で工具把持部材を押し込んで迅速に工具のアンクランプ状態にできる。
図1乃至図4は実施形態による自動工具交換装置1の主軸ユニット2に設けた工具アンクランプ装置3を示すものである。図1に示す主軸ユニット2において、マシニングセンタ等の主軸頭(図示せず)に固定された略筒状のハウジング本体5と、その内部に軸受周りに回転可能に設けた中空状の主軸6と、主軸6の後部に進退可能に配設されたアンクランプ機構7とを備えている。なお、本明細書において、図1の主軸ユニット2の工具13側を前側、前方とし、アンクランプ機構7側を後側、後方というものとする。
主軸6の前部は前軸受9を介してハウジング本体5に保持され、後部は後軸受10を介してハウジング本体5に保持されている。ハウジング本体5内には、その前軸受9と後軸受10の間に主軸6を中心軸線O回りに回転させるための電動モータM1として、内側にモータロータ11が設置され、その外側にモータステータ12が設置されている。
主軸6のテーパ穴6aに連通していて中心軸線O方向に延びる略筒状の穴部6bが形成され、穴部6b内の前側にはプルスタッド13bを把持可能で中心軸線Oの前後方向に移動可能なコレット15が設置されている。コレット15の後部にはプッシュロッド16が連結され、プッシュロッド16はその後端部が主軸6の後端から突出している。そのため、プッシュロッド16の前後動によってコレット15が前後動することになる。コレット15の先端部には工具13のプルスタッド13bを把持するための爪部15aが形成されている。
図2において、主軸6の穴部6bの中心軸線O方向には前側段部6cを介して拡径穴部6dが形成され、プッシュロッド16には前側段部6cに係止可能な前部バネリテーナ21とその後方に設けていてプッシュロッド16に固定された後部バネリテーナ22とが所定の間隔を開けて設置されている。前部バネリテーナ21と後部バネリテーナ22は拡径穴部6d内に設置されている。前部バネリテーナ21と後部バネリテーナ22の間には、例えば皿ばね等からなる付勢部材23が圧縮状態で取り付けられている。
図3において、穴部6bの拡径穴部6d内には、主軸6の後端部分から、プッシュロッド16の穴通路、後部バネリテーナ22の穴通路、付勢部材23、前部バネリテーナ21の穴通路を介して空間部18にまで延びる管状の主軸エアブロー流路25が形成されている。この主軸エアブロー流路25を通して、後述するエアポート41から流入するエアを空間部18内に吹出すようになっている。
この油圧室27内にはアンクランプ用ピストン28がプッシュロッド16の軸部16bに沿って進退可能に設置されており、アンクランプ用ピストン28は本体部28aが油圧室27と同軸に略円筒状に形成されている。アンクランプ用ピストン28の後端部はハウジング本体5の後端面から外側に突出しており、ナット31が螺合されている。このナット31はアンクランプ用ピストン28が前方に移動する際にハウジング本体5の後端面に当接することでストップし、アンクランプ用ピストン28のアンクランプ方向の摺動範囲を規制する。
また、油圧室27の前側の拡径溝27aにはハウジング本体5の外周面からクランプ用油圧ポート33が連通して形成されていて、高圧油が供給される。クランプ用油圧ポート33から油圧室27内に高圧油が供給されると作動翼28bを後方に押動させてアンクランプ用ピストン28を主軸6の後端から離間させる。そして、付勢部材23の付勢力でプッシュロッド16を後方に移動させてコレット15を引き込むことで、爪部15aで工具13のプルスタッド13bをクランプする。
なお、図6が高圧油供給回路36及び低圧油供給回路37を示す油圧回路図であり、切換弁38で高圧油と低圧油を切り換え制御し、切換弁39はクランプとアンクランプを切り換え制御する。なお、図6に示す油圧回路図の状態で切換弁38はOFFであり、圧力制御弁42の働きで設定した低圧(低圧油)になる。切換弁38をONにすると高圧(高圧油)になる。圧力制御弁42はAポート通路のC点の圧力を設定以下に制御するので、図6に示す状態で油が流れて圧力が発生し低圧に下げる。切換弁38がONするとC点はTポート(ドレンタンクへ戻る)になり、圧力は0になるため設定圧力より小さくなる。そのため、圧力制御弁42は圧力を下げることをやめて元圧の高圧(高圧油)になり、切換弁39に高圧油が送られる。
なお、工具交換の際、後述するチェンジャアーム53で工具13を主軸6のテーパ穴6aから引き抜いたタイミングで、エアポート41から主軸エアブロー流路25を介して空間部18やテーパ穴6a及び工具13のテーパシャンク13aにミスト状潤滑油を含むエアを噴出させると、エアの流れに時間を要するため工具交換に時間がかかる欠点がある。しかし、本実施形態において、工具交換の前段階で空間部18内にエアを予め充満させておくことで、工具13の抜き取り時に即応してエアを吹き付けることができる。
一方、アンクランプ用油圧ポート34を通して油圧室27に高圧油を供給した場合には、油圧によってアンクランプ用ピストン28が押されて前方に移動し、プッシュロッド16の段部16aを強い力で押動させ、コレット15を前進させて爪部15aが開くアンクランプ位置に移動させる。
なお、図1に示すハウジング本体5の後端面には、工具13のクランプ状態とアンクランプ状態を検知する検出器46が設置されており、プッシュロッド16の軸部16bの後端に連結された被検体47の進退位置を検出してクランプ状態とアンクランプ状態を判別することができる。
そして、チェンジャアーム53を回転させることで、一方のグリッパ55でマガジンポット51内の新たな工具13を把持し、他方のグリッパ55で主軸6のテーパ穴6aに嵌合された使用済み工具13を把持して引き抜くことができる。チェンジャアーム53を180度回転させることで工具13を交換して新たな工具13を主軸6のテーパ穴6aに嵌合できる。
最初に工具13のクランプ動作について説明すると、主軸6のテーパ穴6aに工具13のテーパシャンク13aを挿入した状態で、図6に示す切換弁39を切換操作することで、図4に示すアンクランプ用油圧ポート34を開放し、クランプ用油圧ポート33に高圧油を投入して前側の拡径溝27aから油圧室27へ供給する。
すると、油圧室27内の油圧によってアンクランプ用ピストン28は油圧室27内で後退し、後端側の縮径部27cに当接して止まる。これにより、プッシュロッド16の段部16aとアンクランプ用ピストン28との間に隙間Kが生じる。プッシュロッド16は図1及び図2に示すように付勢部材23の付勢力で後方に移動するため、コレット15が穴部6b内に引き込まれて爪部15aで工具13のプルスタッド13bを引き込んでテーパシャンク13aがテーパ穴6a内に嵌合保持される。
この状態で、電動モータM1を駆動することで工具13と主軸6を一体回転させて図示しないワークを切削加工できる。
図7において、工具交換の前段階として、主軸6や自動工具交換装置1のチェンジャアーム53や各送り軸等を自動工具交換できる位置に設定する(オリエンテーションという)。主軸ユニット2のシリンダ26において、切換弁38、39を切り換え操作することで、クランプ用油圧ポート33を開放し、低圧油供給回路37からアンクランプ用油圧ポート34に低圧油を投入して後側の拡径溝27bから油圧室27へ供給する。
この低圧油の油圧によりアンクランプ用ピストン28を油圧室27内で前進させて隙間Kが小さくなり、更にアンクランプ用ピストン28がプッシュロッド16の段部16aに当接して止まる(S101)。しかも、アンクランプ用ピストン28とプッシュロッド16の当接により、アンクランプ用ピストン28の補助エアブロー流路40とプッシュロッド16の段部16aに設けた主軸エアブロー流路25とが接続される。
一方、図5に示す自動工具交換装置1のチェンジャアーム53は、マガジンポット51の次に使用する新たな工具13と主軸ユニット2の主軸6に装着された使用済みの工具13の中間に上下方向の向きに位置する。
更に工具13の後部に設けた空間部18内に潤滑油を含むエアが充満しているために、工具13の食い付き解放に寄与する。
次に、チェンジャアーム53を更に180度旋回させて引き戻すことで(S107)、マガジンポット51から抜き出した新たな工具13を主軸6のテーパ穴6a内に差し込むことができる(S108)。新たな工具13の差し込み時にも主軸エアブロー流路25からミスト状の潤滑油を含むエアが噴射されており、テーパシャンク13aとテーパ穴6aに吹き付けられる。これによって、工具13のテーパ穴6a内への食い込みを抑制できる。工具13のテーパ穴6aへの差し込み終了後にエアポート41へのエアの供給が終了する(S109)。
そして、チェンジャアーム53を90度逆方向に旋回戻りさせて(S111)、工具自動交換サイクルを終了する。
しかも、低圧油によるアンクランプ用ピストン28を介したプッシュロッド16の押圧、チェンジャアーム53で工具13を把持する時の衝撃等によって、工具13の主軸6のテーパ穴6aへの食い込みを解除することができるので、この点でも工具交換を迅速に行うことができる。
本変形例では、シリンダ26で低圧油を油圧室27に供給してアンクランプ用ピストン28を前進させてプッシュロッド16の後端を押圧し、補助エアブロー流路40から主軸エアブロー流路25を通して空間部18内にミスト状潤滑油を含むエアを充満させたことを図8のフローチャートにおけるS112の工程で確認してから、チェンジャアーム53を90度回転させて工具13を把持するようにした。
空間部18内へのエアの充満を確認する手段として、例えばタイマー等でエアブローの吐出開始から充満するまでの所定時間の経過を確認してもよいし、空間部18内のエア圧を検知するセンサ等を設置してもよい。
これによって、チェンジャアーム53による工具13の交換と空間部18からのエアの噴射とを確実にリンクさせることができる。
例えば、アンクランプ用ピストン28に補助エアブロー流路40を設けることなく、主軸エアブロー流路25に接続するエアポート41をハウジング本体5の外周面に設けて、エアブロー流路43からミスト状の潤滑油を含むエアを供給するようにしてもよい。この場合でも、工具交換の前段階でエアを空間部18に充満することができる。なお、噴射させるエアに潤滑油を含まなくてもよい。
なお、本発明において、プッシュロッド16とコレット15は工具把持部材に含まれ、アンクランプ用ピストン28はアンクランプ用作動部材に含まれ、切換弁38,39は切換部材に含まれる。
2 主軸ユニット
3 工具アンクランプ装置
5 ハウジング本体
6 主軸
6a テーパ穴
13 工具
13a テーパシャンク
13b プルスタッド
15 コレット
16 プッシュロッド
18 空間部
23 付勢部材
25 主軸エアブロー流路
27 油圧室
28 アンクランプ用ピストン
33 クランプ用油圧ポート
34 アンクランプ用油圧ポート
36 高圧油供給回路
37 低圧油供給回路
38 切換弁
40 補助エアブロー流路
41 エアポート
51 マガジンポット
53 チェンジャアーム
K 隙間
Claims (7)
- 先端に工具が取り付けられる中空状の主軸と、前記主軸内に中心軸線方向に移動可能に配置されていて中心軸線方向の移動によって前記工具のクランプとアンクランプを選択的に行う工具把持部材と、前記工具把持部材を工具のクランプ方向に付勢する付勢部材と、前記工具把持部材をアンクランプ方向に移動させるアンクランプ用作動部材と、前記アンクランプ用作動部材に設けられていて油圧の供給によって前記工具把持部材をアンクランプ方向に押圧する油圧室とを備えた工作機械の工具アンクランプ装置において、
前記油圧室に低圧油を供給して前記アンクランプ用作動部材によって前記工具把持部材及び前記付勢部材をアンクランプ方向に押圧する低圧油供給回路と、
前記油圧室に低圧油より高圧の高圧油を供給して前記アンクランプ用作動部材によって前記工具把持部材を押動させて工具のアンクランプを行う高圧油供給回路と、
前記低圧油と高圧油を切り換えて前記油圧室に供給する切換部材とを備え、
工具交換の前段階で前記油圧室に低圧油を供給して前記アンクランプ用作動部材を介して前記工具把持部材を低圧で押圧して前記付勢部材を圧縮準備させ、工具交換段階で前記油圧室に高圧油を供給して前記アンクランプ用作動部材を介して前記工具把持部材を押し込んで工具をアンクランプさせるようにしたことを特徴とする工作機械の工具アンクランプ装置。 - 前記主軸に設けられていて前記主軸の工具保持部の後側の空間部にエアまたは潤滑油を含むエアを供給する主軸エアブロー流路を備え、
前記工具交換の前段階で、前記主軸エアブロー流路を通して前記エアを前記空間部に充満させるようにした請求項1に記載された工作機械の工具アンクランプ装置。 - 前記アンクランプ用作動部材に設けられていて前記主軸エアブロー流路に接続可能な補助エアブロー流路を更に備え、
前記工具交換の前段階で、前記アンクランプ用作動部材を押動して前記補助エアブロー流路を前記主軸エアブロー流路に接続させて、前記エアを前記空間部に充満させるようにした請求項2に記載された工作機械の工具アンクランプ装置。 - 前記主軸に取り付けられた工具を自動交換のために把持するチェンジャアームが設けられており、前記チェンジャアームで工具を把持するときの衝撃で工具に対する主軸の食い付きを解除するようにした請求項1から3のいずれか1項に記載された工作機械の工具アンクランプ装置。
- 先端に工具が取り付けられる中空状の主軸と、前記主軸内に中心軸線方向に移動可能に配置されていて中心軸線方向の移動によって前記工具のクランプとアンクランプを選択的に行う工具把持部材と、前記工具把持部材をクランプ方向に付勢する付勢部材と、前記工具把持部材をアンクランプ方向に移動させるアンクランプ用作動部材と、前記アンクランプ用作動部材に設けられていて油圧の供給によって前記工具把持部材をアンクランプ方向に押圧する油圧室とを備えた工作機械の工具アンクランプ方法において、
工具交換の前段階で低圧油を前記油圧室に供給することで前記アンクランプ用作動部材を介して前記工具把持部材を低圧で押圧して前記付勢部材を圧縮させる準備動作を終了させ、工具交換段階で前記油圧室に供給する低圧油を高圧油に切り換えて前記工具把持部材を押し込んで工具をアンクランプさせるようにしたことを特徴とする工作機械の工具アンクランプ方法。 - 工具交換の前段階で、低圧油を前記油圧室に供給して前記アンクランプ用作動部材を前記工具把持部材に低圧で押圧させると共に、エアまたは潤滑油を混合したエアを前記主軸における工具保持部の空間部に供給して充満させる工程と、
工具交換段階で、チェンジャアームによって工具を主軸から引き抜くことで前記空間部のエアを工具と工具保持部に噴出させるようにした請求項5に記載された工作機械の工具アンクランプ方法。 - 前記チェンジャアームで前記主軸に装着された工具を把持した後で、前記油圧室に供給する低圧油を高圧油に切り換えて前記アンクランプ用作動部材を介して前記工具把持部材を押し込んで工具をアンクランプさせるようにした請求項6に記載された工作機械の工具アンクランプ方法。
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