JP3847212B2 - 育苗用培土 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、育苗用培土およびその固化方法に関する。より詳細には、本発明は、強力の高い根鉢や苗床を形成することのできる育苗用培土およびその固化方法に関する。本発明の育苗用培土は、容積が10cm3以上の植物育成用容器に充填して用いるのに特に適しており、前記植物育成用容器への充填性が良好で、しかも移植機や人作業による苗植え付け時に崩壊することのない強力の高い根鉢を形成することができる。さらに、本発明の育苗用培土は、屋上、法面、風雨の強い土地などのような、風や雨によって土の飛散や流失が生じ易い場所に施工する苗床の製造にも適しており、本発明の育苗用培土を用いて形成した苗床は風や雨によって飛散したり、流失することがなく、植物を健全に生育さてそれらの場所の緑化を円滑に行うことができる。
【0002】
【従来の技術】
我が国では、就農人口の減少、就農人員の高齢化などに伴って、農作業の省力化、機械化が進められている。その1つとして、小さな容器で育てた苗を移植機で根鉢ごと容器からから抜き取って、田畑に自動的に植え付ける方法が広く採用されるようになっている。この方法による場合は、通常“セル”、“ポット”などと称されるプラスチック等からなる小さな容器または該小容器を連結して設けたトレーに培土を自動的に土詰めした後に野菜、草花、果樹、樹木などの植物の種子を播いて所定期間育苗するか、或いは種子を加えた培土を前記小さな容器またはそれを連結してなるトレーに自動的に土詰めした後に所定期間育苗し、それを根鉢ごと小容器から抜き取って移植機で田畑に植え付けることが一般に行われている。
根鉢は、培土の自己接着力と植物の根の絡みによる強力でその形を維持しているが、根鉢強力が低く、わずかな衝撃で根鉢の形が崩れてしまい、移植機による苗の植え付けが困難であった。
【0003】
そこで、移植機による植え付けを可能にすることを目的として、育苗用培土の根鉢強力を向上させる方法が従来から提案されており、そのような従来技術としては、酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体ケン化物、ポリアクリル酸ナトリウム架橋物、ビニルアルコール−アクリル酸共重合体などのようなイオン性吸水性樹脂を培土に混合したもの(特開昭58−31919号公報)、培土に寒天ゲル、ベントナイト、澱粉等の結合剤を添加したもの(特開平5−7427号公報)、培土に長さ2〜20mmのセルロース繊維を添加したもの(特開平8−130976号公報)などが知られている。これらの従来技術による場合は、ある程度の根鉢強力の向上は認められるものの、未だその効果は十分ではなく、根鉢強力をより向上させるためには前記した結合剤を多量に使用する必要があり、多量の結合剤の使用は培土の水捌け性の低下、植物の育成能の低下、コストの上昇などを招き易いものであった。
【0004】
また、紡績用途または乾式不織布用途には、通常、繊維長が25mm以上、水分率が1%未満および捲縮数が4〜8個/cmである繊維が用いられ、また湿式不織布用途には、通常、繊維長が3〜20mmおよび水分率が15〜30%の捲縮していない繊維が用いられているが、これらの繊維を培土基材に配合しても、繊維の分散性が不良であったり、固化後の強力が不足するといった問題が生じ易い。
【0005】
さらに、育苗用培土の割れや崩れを防止する目的で、培土基材に熱融着性の芯鞘型繊維を配合し、芯鞘型繊維の鞘部を軟化させて接着・固化した育苗用培土が提案されている(特開平11−113388号公報、特開2000−23561号公報など)。しかしながら、この従来技術による場合にも、移植機で苗を根鉢ごと田畑などに植え付ける際に、根鉢の割れや崩壊を生ずることがあり、根鉢の強力が必ずしも十分ではない。容積が10cm3以下の小さな植物育成用容器に用いる育苗用培土では、充填操作の妨げになる繊維塊などが育苗用培土中に形成されないこと、育苗用培土が均一な組成を保ちながら容器に良好な操作性で充填されること、充填後は容器内で強力の高い根鉢が形成されることが求められているが、この従来技術の育苗用培土は、それらの点について考慮されておらず、十分に満足するものではない。
【0006】
また、近年、緑化の促進や環境保護などを目的として、屋上、法面、前記以外の風や雨の強い土地などに植物を植えることが行われるようになっている。屋上、法面などの緑化に当たっては、苗箱に土詰めして育苗したものをそのまま屋上や法面などに設置する方法が一般に採用されている。しかしながら、そのような従来の方法による場合は、土詰めした苗箱は重くて施工性に劣り、しかも水捌けが十分ではない。その上、屋上や法面などでは、風や雨によって土の飛散や流失が生じやすく、そのような従来法では植物を健全に生育させることが困難であった。そのため、軽量で、施工性に優れ、建物などに対する負担が少なく、取り扱い性に優れ、水捌け性に優れ、しかも風や雨で飛散したり流失せずに強力な苗床を形成して植物を円滑に生育させることのできる育苗用培土が求められてきたが、そのような要求を満たす育苗用培土が得られていないのが現状であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、より強力の高い根鉢を形成し、移植機や人手によって苗を根鉢ごと田畑などに植え付ける際に根鉢の崩壊が生じず、円滑に植え付けることができ、しかも苗を育成阻害を招くことなく健全に育てることのできる育苗用培土およびその固化方法を提供することである。特に、本発明は、容積が10cm3以上、特に10〜400cm3の植物育成用容器への機械充填に一層適していて、前記容器への充填の妨げになるような大きな繊維塊が形成されず、繊維が育苗用培土中に均一に分散されていて、該植物育成用容器に良好な作業性で円滑に機械充填することができ、しかも植物育成用容器に充填した後は、強力の高い根鉢を形成することのできる育苗用培土、および該育苗用培土の固化方法の提供を目的とする。
さらに、本発明の目的は、屋上、法面、風雨の強い土地などのような、風や雨によって土の飛散や流失が生じ易い場所に用いたときに、飛散したり流失することがなく、強力な苗床を形成することができ、しかも、軽量性、施工性、取り扱い性、水捌け性などの特性にも優れる育苗用培土およびその固化方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく本発明者らは鋭意検討を重ねてきた。そして、培土基材に、繊維長が0.5〜2mm、アスペクト比が20〜300、繊維水分率が繊維質量に対し10%以下および捲縮数が6個/cm以下である熱融着性繊維を配合して育苗用培土を調製し、それを加熱処理して育苗用培土中の熱融着性繊維を溶融接着すると、強力の高い根鉢が形成されること、その育苗用培土は容積が10cm3以下の小さな植物育成用容器に充填して用いるのに特に適していて、その育苗用培土を用いて形成された根鉢は移植機による植え付け作業時に崩壊せず、植え付け作業を円滑に行えることを先に見出して出願した(特開2002−58339号公報)。
【0009】
さらに、本発明者らは、培土基材に、繊維長が2mmを超え15mm以下、アスペクト比が20〜1000、繊維水分率が繊維質量に対し15%以下および捲縮数が6個/cm以下である熱融着性繊維を配合して育苗用培土を調製し、それを加熱処理して育苗用培土中の熱融着性繊維を溶融接着した場合にも、強力の高い根鉢が形成されること、そしてその育苗用培土は容積が10cm3以上の比較的大きな植物育成用容器に充填して用いるのに特に適していて、それによって形成された根鉢は移植機による植え付け作業時に根鉢が崩壊せず、植え付け作業を円滑に行えることを先に見出して出願した(特開2002−58340号公報)。
【0010】
本発明者らは上記した発明を踏まえてさらに検討を重ねた。その結果、培土基材に対して、2種類の特定の熱融着性繊維、すなわち繊維長が2mm以下、アスペクト比が20〜300、繊維水分率が繊維質量に対し15%以下および捲縮数が6個/cm以下である熱融着性繊維と、繊維長が2mmを超え15mm以下、アスペクト比が20〜1000、繊維水分率が繊維質量に対し15%以下および捲縮数が6個/cm以下である熱融着性繊維を配合して育苗用培土を調製し、その育苗用培土を加熱処理して育苗用培土に配合した熱融着性繊維を溶融接着させると、強力の高い根鉢が形成されること、それにより得られる育苗用培土が、セル苗の育成用培土として特に適していて、移植機や人手による苗植え付け時に根鉢が崩壊せず、植え付け作業を円滑に行えることを見出した。特に、前記した特定の熱融着性繊維2種を配合してなる育苗用培土は、容積が10cm3以上、特に10〜400cm3の植物育成用容器に機械などにより充填するのに適していて、該植物育成用容器への充填の妨げとなるような大きな繊維塊が形成されず、均一な組成を保ちながら良好な操作性で充填できること、しかも充填後は該植物育成用容器内で強力に優れる根鉢を形成することを見出した。
さらに、本発明者らは、上記した2種類の熱融着性繊維を含む育苗用培土は、高い根鉢強力と共に、軽量性、取り扱い性、施工性、水捌け性などの特性にも優れていて、屋上、法面などのような土の飛散、流失などを生じやすい箇所を緑化するための苗床としも適しており、該育苗用培土を用いると、良好な作業性、施工性で、建物などに対する負担が少なくて、土の飛散や流失がなく、水捌け性に優れ、植物を健全に生育させる苗床が形成されることを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、
(1) 培土基材に、繊維長が2mm以下、アスペクト比が20〜300、繊維水分率が繊維質量に対し15%以下および捲縮数が6個/cm以下である熱融着性繊維Aと、繊維長が2mmを超え15mm以下、アスペクト比が20〜1000、繊維水分率が繊維質量に対し15%以下および捲縮数が6個/cm以下である熱融着性繊維Bを配合したことを特徴とする育苗用培土である。
【0012】
そして、本発明は、
(2) 熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bが、繊維形成性重合体と、該繊維形成性重合体よりも融点または軟化点が20℃以上低い熱可塑性重合体とからなる、熱融着性の複合紡糸繊維および/または混合紡糸繊維である前記(1)の育苗用培土;
(3) 熱融着性繊維A:熱融着性繊維Bの配合割合が、質量比で90:10〜10:90である前記(1)または(2)の育苗用培土;
(4) 培土基材が、土と共に、ピートモスおよび/またはパーライトを主体とする培土基材である前記(1)〜(3)のいずれかの育苗用培土;
(5) [培土基材]:[熱融着性繊維Aと熱融着性繊維Bの合計]の配合割合が、質量比で99:1〜85:15である前記(1)〜(4)のいずれかの育苗用培土;
(6) 容積が10cm3以上の植物育成用容器に用いるための育苗用培土である前記(1)〜(5)のいずれかの育苗用培土;および、
(7) 屋上、法面または地面の緑化に使用する苗床用である前記(1)〜(5)のいずれかの育苗用培土;
である。
【0013】
さらに、本発明は、
(8) 育苗用培土中で熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bが溶融接着されている前記(1)〜(7)のいずれかの育苗用培土;および、
(9) 育苗用培土を、底部直径3.5cm、上部直径6.5cm、高さ8.0cmおよび容積160cm3の容器に充填密度が0.3g/cm3となるように充填した後に加熱処理して育苗用培土中の熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bを溶融接着して得られる円錐台状成形物を試験片とし、該試験片の底部中央部に面積2cm2の円形加圧板を載せて10mm/minの速度で下降させ、円形加圧板が10mm下降したときの圧縮応力が15kN以上である前記(8)の育苗用培土;
である。
【0014】
そして、本発明は、
(10) 前記(1)〜(6)のいずれかの育苗用培土を植物育成用容器に充填し、灌水した後、加熱処理して培土中の熱融着性繊維を溶融接着させることを特徴とする育苗用培土の固化方法である。
【0015】
さらに、本発明は
(11) 前記(1)〜(5)および(7)のいずれかの育苗用培土を屋上、法面または地面に施して苗床を形成し、灌水した後、加熱処理して培土中の熱融着性繊維を溶融接着させることを特徴とする苗床の固化方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の育苗用培土は、培土基材、熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bを含有する。
熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bとしては、熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bを配合した育苗用培土を加熱処理したときに、溶融または軟化して熱融着性繊維Aと熱融着性繊維Bの接着、熱融着性繊維A同士の接着、熱融着性繊維B同士の接着、熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bの少なくとも一方と培土基材中の成分との接着などが行われ、しかも熱融着性繊維Aでは繊維長が2mm以下、アスペクト比が20〜300、繊維水分率が繊維質量に対し15%以下および捲縮数が6個/cm以下であるもの、熱融着性繊維Bでは繊維長が2mmを超え15mm以下、アスペクト比が20〜1000、繊維水分率が繊維質量に対し15%以下および捲縮数が6個/cm以下であるものであればいずれも使用できる。
【0017】
そのうちでも、熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bとしては、加熱処理後もその繊維形状を保ちながら繊維同士の溶融接着状態および繊維と培土基材中の成分との溶融接着状態を維持できるものを使用することが好ましく、それによって強力の一層高い根鉢や苗床などを形成することができる。
そのような熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bとしては、加熱処理を施した後でも繊維形態を維持できる高い融点または軟化点を有する繊維形成性重合体(第1成分)と、該繊維形成性重合体よりも20℃以上低い融点または軟化点を有する熱可塑性重合体(第2成分)とからなる複合紡糸繊維および/または混合紡糸繊維が好ましく用いられ、複合紡糸繊維がより好ましく用いられる。複合紡糸繊維および混合紡糸繊維においては、繊維の表面の少なくとも一部、好ましくは繊維表面の80%以上が低融点または低軟化点の熱可塑性重合体(第2成分)から形成されていることが好ましく、その場合には加熱処理によって繊維の溶融接着(繊維同士の接着および繊維と培土基材中の成分との接着)が良好に行われて、強力の高い根鉢および苗床が形成される。
【0018】
前記した複合紡糸繊維および混合紡糸繊維を構成する繊維形成性重合体(第1成分)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの高い融点または軟化点を有する繊維形成性重合体を挙げることができる。
また低融点または低軟化点の熱可塑性重合体(第2成分)としては、第1成分として用いられるポリエステル、ポリアミドよりも融点または軟化点が20℃以上低い熱可塑性重合体、例えば変性ポリエステル(共重合ポリエステルなど)、変性ポリアミド(共重合ポリアミドなど)、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体などを挙げることができる。
複合紡糸繊維または混合紡糸繊維は、適当な第1成分用重合体の1種または2種以上と、適当な第2成分用重合体の1種または2種以上を組み合わせて形成されていることができる。第2成分用重合体としては、熱融着性繊維の溶融接着を円滑に行うことができることから、その融点または軟化点が130℃以下の熱可塑性重合体が好ましく用いられる。
【0019】
複合紡糸繊維は、周知のように、2種以上の重合体の各々が繊維の長さ方向に途中で途切れることなく連続した状態で互いに接合して1本の繊維(複合繊維)を形成している繊維であり、一般に、その複合形態は繊維の横断面形状から見て、芯鞘型、貼り合わせ型(サイドバイサイド型)またはそれらの混在型などに分けられる。本発明で用いる複合紡糸繊維の複合形態は、それらのいずれであってもよく特に制限されない。そのうちでも、低融点または低軟化点の熱可塑性重合体(第2成分)を鞘成分とし、高融点または高軟化点の繊維形成性重合体(第1成分)を芯成分とする芯鞘型の複合紡糸繊維は、全表面が低融点または低軟化点の第2成分から形成されていて溶融接着性に優れているため、好ましく用いられる。
また、混合紡糸繊維は、互いに均一に混ざり合わない2種以上の重合体を紡糸口金から紡出する以前の段階で混合して紡糸することによって形成される繊維であり、2種以上の重合体の1種または2種以上が繊維の長さ方向に途中で途切れながら互いに接合して1本の繊維を形成している繊維であり、繊維の横断面は一般に海島型の構造を有していることが多く、場合によって貼り合わせ型の構造をとることもある。混合紡糸繊維としては、低融点または低軟化点の熱可塑性重合体(第2成分)が海成分をなし、高融点または高軟化点の繊維形成性重合体が島成分をなしている混合紡糸繊維が溶融接着性に優れているため好ましく用いられる。
【0020】
本発明で用いる熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bの断面形状は特に制限されず、例えば、丸型、三角形型、T型、偏平型、多葉型、V字型、中空型などのいずれの断面形状であってもよい。
【0021】
本発明で用いる熱融着性繊維Aは、その繊維長が2mm以下であることが必要であり、1〜2mmであることが好ましい。また、熱融着性繊維Bは繊維長が2mmを超え15mm以下であることが必要であり、3〜10mmであることが好ましい。熱融着性繊維Aは、培土基材に含まれる粒径の小さい成分を接着・固化するのに有効であり、熱融着性繊維Bは培土基材に含まれる粒径の大きな成分を接着・固化するのに有効である。本発明の育苗用培土では、繊維長の短い熱融着性繊維Aと繊維長の長い熱融着性繊維Bを併用していることによって、培土基材に含まれる粒径の小さな成分と粒径の大きな成分の両方が十分にムラ無く接着・固化されるために、熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bのいずれか一方を単独で使用した場合に比べて、強力のより高い根鉢および苗床を形成することができる。本発明の育苗用培土は、容積が10cm3以上、特に10〜400cm3の植物育成用容器や苗床への充填に適しており、例えば容積が100cm3以上の容器に充填した場合にも、充填後に加熱処理することによって崩壊しにくい、強力の高い根鉢や苗床が形成される。
【0022】
熱融着性繊維Aの繊維長が2mmを超えると、培土基材に含まれる粒径の小さな成分の接着・固化が円滑に行われなくなり、また熱融着性繊維Bの繊維長が2mm以下であると培土基材に含まれる粒径の大きな成分の接着・固化が円滑に行われなくなり、強力の高い根鉢および苗床が形成されなくなる。また、熱融着性繊維Bの繊維長が15mmを超えると、培土基材と混合する際に分散性が不足して繊維塊を形成し易くなり、強力の高い根鉢や苗床が形成できなくなり、しかもそのような繊維塊を含む育苗用培土を容器に充填する際に充填作業が行いにくくなる。
【0023】
本発明で用いる熱融着性繊維Aのアスペクト比は20〜300であることが必要であり、50〜100であることが好ましい。熱融着性繊維Aのアスペクト比が20未満であると、強力の高い根鉢や苗床を形成できなくなり、一方300を超えると培土基材に含まれる粒径の小さな成分が接着・固化されにくくなり、強力の高い根鉢や苗床を形成できなくなる。
また、本発明で用いる熱融着性繊維Bのアスペクト比は20〜1000であることが必要であり、50〜500であることが好ましい。熱融着性繊維Bのアスペクト比が20未満であると、強力の高い根鉢や苗床を形成できなくなり、一方1000を超えると培土基材と混合する際に分散性が不足して繊維塊を生じ易くなり、強力の高い根鉢や苗床が形成されなくなり、しかも育苗用培土をセルなどの容器に充填する際に充填作業が行いにくくなる。
なお、本明細書における熱融着性繊維のアスペクト比とは、繊維長を繊維径(繊維の外径)で除した値をいう。
【0024】
また、熱融着性繊維Aの繊度は、分散性および培土基材に含まれる粒径の小さな成分の接着・固化性などの点から0.1〜10dtex、特に1〜5dtex程度であることが好ましく、熱融着性繊維Bの繊度は、分散性および培土基材に含まれる粒径の大きな成分の接着・固化性などの点から1〜10dtex、特に2〜8dtex程度であることが好ましい。
【0025】
本発明で用いる熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bは、いずれも、その水分率が各熱融着性繊維の質量に対して15%以下であることが必要であり、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bの水分率が15%を超えると、培土基材と混合する際に熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bが単糸に分繊しなくなって、培土基材中に均一に分散せず、強力の高い根鉢や苗床が形成されなくなる。
【0026】
本発明で用いる熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bは、捲縮していても又は捲縮していなくてもいずれでもよいが、その捲縮数が6個/cm以下(約15個/インチ以下)、すなわち0〜6個/cmであることが必要であり、4個/cm以下であることが好ましく、2個/cm以下であることがより好ましい。熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bの捲縮数が6個/cmを超えると、培土基材と混合する際に繊維塊を生じ、強力の高い根鉢および苗床が形成されなくなり、しかもセルなどの容器への充填作業が行いにくくなる。
【0027】
本発明は、上記したように、熱融着性繊維として熱融着性繊維Aと熱融着性繊維Bを併用することによって従来よりも一層強力な根鉢および苗床を形成し得る育苗用培土を提供するものであり、本発明の育苗用培土では、熱融着性繊維A:熱融着性繊維Bの配合割合は、質量比で、90:10〜10:90であることが好ましく、70:30〜30:70であることがより好ましい。
熱融着性繊維Aと熱融着性繊維Bの合計質量に対して、熱融着性繊維Aの配合割合が90質量%を超えると(熱融着性繊維Bの配合割合が10質量%未満であると)、培土基材に含まれる粒径の大きな成分の接着・固化が不十分になって、より強力な根鉢や苗床が形成されにくくなる。一方、熱融着性繊維Aと熱融着性繊維Bの合計質量に対して、熱融着性繊維Aの配合割合が10質量%未満であると(熱融着性繊維Bの配合割合が90質量%を超えると)、熱融着性繊維Aの配合量が不足するだけでなく、育苗用培土の質量当たりの全体の熱融着性繊維の本数が不足することから、培土基材に含まれる粒径の小さな成分の接着・固化のみならず、粒径の大きな成分の接着・固化が不十分になり、より高い強力を有する根鉢や苗床が形成されにくくなる。
【0028】
本発明の育苗用培土に用いる培土基材の種類は特に制限されず、育成する植物の種類などに応じて、従来と同様のものを使用することができる。そのうちでも、本発明では、培土基材として、赤玉土、鹿沼土、日向土、山砂、川砂、桐生砂、田土、軽石などのいわゆる土(天然土);人工粒状培土、ピートモス、ココピート、水苔、腐葉土、パーク堆肥、亜炭、モミガラ、薫炭、炭粉、フスマなどの有機質資材の1種または2種以上を用いることが好ましい。なかでも、安価で且つ取り扱い性に優れ、植物育成用容器から取り出し易い、ピートモスを主体とする培土基材が好ましく用いられる。勿論所望により、パーライト、バーミキュライト、ロックウール、ゼオライト、鉱滓などの無機質資材、ポリエチレングリコール系湿潤剤、無機質肥料、有機質肥料、化学堆肥などの肥料などを更に配合してもかまわない。例えば、バーミキュライトや湿潤剤を配合することにより、水捌け性や保温性を適正に調整できる。また、肥料は種子および苗の生育に寄与する。
【0029】
培土基材の好ましい例としては、前記したような天然土に、ピートモスなどの有機資材、バーミキュライトなどの無機資材、湿潤剤および肥料を配合した培土基材が挙げられる。一般的には、土100質量部に対して、ピートモスなどの天然資材を10〜800質量部、バーミキュライトなどの無機資材を10〜500質量部、湿潤剤を0.1〜1質量部、肥料を0.1〜2質量部の割合で配合するのがよい。
これとは別に、水捌けの良い土壌を好む植物においては、パーライトを主体として培土基材が好適に用いられる。勿論、この場合においても、所望により、上記した有機質資材、ポリエチレングリコール系湿潤剤などの湿潤剤、無機質肥料、有機質肥料、化学堆肥などの肥料などを更に配合してもかまわない。
【0030】
本発明の育苗用培土では、[培土基材]:[熱融着性繊維Aと熱融着性繊維Bの合計]の配合割合が、質量比で99:1〜85:15であることが好ましく、98:2〜90:10であることがより好ましく、97:3〜95:5であることが更に好ましい。育苗用培土の全質量に基づいて、熱融着性繊維Aと熱融着性繊維Bの合計の配合割合が1質量%未満であると十分な強力を有する根鉢や苗床が得られにくくなり、僅かな衝撃や外力で根鉢や苗床の崩れが生じ易くなり、一方15質量%を超えると熱融着性繊維と培土基材の混合時に繊維塊を生じて、熱融着性繊維が培土基材中に均一に分散されなくなって、ポット、セル、トレー、苗箱などの植物育成用容器への土詰め作業が円滑に行われにくくなり、しかもコストが高くなる。
【0031】
本発明の育苗用培土は、熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bを溶融接着するための加熱処理を施さずに、培土基材と熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bを単に混合した状態で流通販売し、購入者(使用者)がそれをセル、ポット、トレー、苗箱などの植物育成用容器に詰めたり、また屋上、法面、その他の地面に直接施した後に加熱処理を施して熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bを溶融接着させて培土の固化を行ってもよい。また、本発明の育苗用培土をセル、ポット、トレー、苗箱などの植物育成用容器に詰めて加熱処理を施して固化した後に、それを流通販売してもよい。また場合によっては、本発明の育苗用培土を比較的大きな箱などに充填して加熱処理した後に、それをセル、ポット、トレー、苗箱などの植物育成用容器に詰め得る適当な大きさに切断して、その形状を保持させながら植物育成用容器に詰めてもよい。しかし、加熱処理を本発明の育苗用培土の販売者が行うかまたは購入者(使用者)が行うかに拘わらず、本発明の育苗用培土をセル、ポット、トレー、苗箱などの植物育成用容器に詰めてから加熱処理することが望ましい。
【0032】
本発明の育苗用培土を詰めるための植物育成用容器や苗箱の種類、形状、構造などは特に制限されないが、例えばセルの場合であれば、そのサイズとしては、上部穴径が20mm以上、深さが20mm以上、容積が10cm3以上のセルが好ましく用いられ、上部穴径が50mm以上、深さが40mm以上、容積が100cm3以上のセルがより好ましく用いられる。前記したセル(植物育成用容器)は、従来から色々市販されており[例えば、みのる産業株式会社製の「POT220」(商品名)など多数市販されている]、本発明の育苗用培土はそのような従来市販のセル(植物育成用容器)のいずれに対しても有効に用いることができる。
【0033】
また、何ら限定されるものではないが、例えば、本発明の育苗用培土を自動播種機の土入れボックスに入れ、それを例えば特表平5−508994号公報に記載されているようなポット苗箱に充填(土詰め)した後にポット苗箱に灌水してから加熱処理を行う方法などを採用することができる。
また、場合によっては、本発明の育苗用培土を加熱処理前または加熱処理後に、屋上、法面、その他の地面などに直接施してもよい。
【0034】
本発明の育苗用培土に加熱処理を施して、育苗用培土中に配合されている熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bを溶融または軟化させることによって、熱融着性繊維A同士の接着、熱融着性繊維B同士の接着、熱融着性繊維Aと熱融着性繊維Bの接着、並びに熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bと培土基材中の成分との接着が行われて、育苗用培土内に三次元の網目状補強構造が形成されて育苗用培土が固化され、その形状保持性が増し、従来よりも一層高い強力を有する根鉢や苗床が形成される。
【0035】
育苗用培土の加熱処理は、育苗用培土に灌水せずにそのまま直接行ってもよいが、育苗用培土に灌水した後に加熱処理を行うことが好ましい。育苗用培土に灌水した後に加熱処理を行うと、育苗用培土中に含まれる熱融着性繊維を短時間で均一に溶融接着することができて、全体的に均整のとれた強力を有する固化物(根鉢や苗床など)が形成される。しかも、加熱処理後の灌水された育苗用培土に植物の種子をそのまま直接播いて育苗することができる。
加熱処理時の灌水の程度は、育苗用培土を構成している培土基材、熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bの種類、育苗用培土の組成、育苗用培土自体の水分含量などに応じて調節し得るが、一般的には、飽和の状態(毛管連絡切断点以上の含水状態)になる程度に灌水することが好ましい。
また、加熱処理温度は、熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bにおける熱溶融成分の融点または軟化点に応じて選択することができ、熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bにおける熱融着成分の融点または軟化点からそれよりも10℃高い温度の範囲内で行うことが好ましい。
加熱の方法および装置は特に制限されず、育苗用培土全体を所定の温度に均一に加熱し得る方法および装置であればいずれでもよい。100℃以上の温度で加熱処理する場合は、オートクレーブを用いて行うことが好ましい。
【0036】
育苗用培土中の熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bを加熱接着した後の本発明の育苗用培土の強力特性は、育苗用培土で育成する苗の種類、苗自体の根の繁茂力、植物育成用容器の大きさ、移植機の形式などに応じて異なり得るが、一般的には、育苗用培土を、底部直径3.5cm、上部直径6.5cm、高さ8.0cmおよび容積160cm3の容器に充填密度が0.3g/cm3となるように充填した後に加熱処理して育苗用培土中の熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bを溶融接着して円錐台状成形物よりなる試験片(根鉢)をつくり、該試験片(根鉢)の底部中央部に面積2cm2の円形加圧板を載せて10mm/minの速度で下降させ、円形加圧板が10mm下降したときに、その圧縮応力が15kN以上となるような強力特性を有することが好ましく、20kN以上の強力特性を有することがより好ましい。前記15kN以上の高い圧縮応力を有することによって、育苗用培土から形成された根鉢や苗床に植物を植え付ける際の作業性、移植機や人手により苗を移植する際の作業性、屋上、法面、その他の場所への育苗用培土を施工する際の作業性や取り扱い性が良好になる。
【0037】
本発明の育苗用培土への播種は、種子が加熱処理時の加熱温度に耐え得るものであれば加熱処理前に行ってもよいが、育苗用培土を加熱処理して育苗用培土中の熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bの溶融接着を行った後に種を播くのが好ましい。加熱処理前に種子を播くと、加熱処理時の高温により、種子の変質、死滅などを生じて、発芽しなかったり、発芽しても発育不良などを生ずる場合が多い。育苗用培土に灌水した後に加熱処理する場合は、加熱処理後の灌水状態にある育苗用培土に再度灌水することなく種子をそのまま直接播くことができる。しかし、必要であれば、播種時に更に灌水してもよい。また、本発明の育苗用培土は、種子を播種するだけではなく、挿し木などにも用いることができる。育苗用培土へ挿し木を行い、播種時などと同様に取り扱えばよい。
【0038】
固化する前の本発明の育苗用培土、または固化した後の本発明の育苗用培土(例えば育苗用セルや苗床など)に播種するのに適する植物としては、切り花用途には、キンギョソウ、ブプレウルム、ユーストマ、ストック、アネモネ、カンパニュラ、ダリア、スカピオサ、デルフィニウム、ラークスパー、ニゲラ、ハナシノブ、ブルーレースフラワー、マトリカリア、シンテッポウユリ、リモニウムシニュアータ、オキシペタルム、クラスペディア、ユウギリソウなどが挙げられる。鉢物、苗物、花壇用途には、アゲラタム、イソトマ、インパチェンス、エキザカム、ガーベラ、ガザニア、カルセオラリア、クリサンセマム、コリウス、サルビア、シザンサス、シネラリア、ゼラニウム、トレニア、パンジー、ビンカ、プリムラ、ペチュニア、ベコニア、マリーゴールド、ラナンキュラス、カーネーションなどが挙げられる。野菜セル苗用途には、セルリー、ビート、ネギ、タマネギ、ニラ、キャベツ、コールラピ、メキャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、ハクサイ、ツケナ、ゴマ、フダンソウ、シュンギグ、ミツバ、シソ、ホウレンソウ、レタス、アスパラガス、パセリ、エンダイブ、リーキなどが挙げられる。果菜セル苗用途には、メロン、ピーマン、キュウリ、スイカ、カボチャ、トウガン、キンシウリ、トマト、ナス、オクラ、スイートコーン、インゲン、エンドウ、エダマメ、ソラマメなどが挙げられる。また、固化する前の本発明の育苗用培土、または固化した後の本発明の育苗用培土(育苗用プラグなど)に挿し木するのに適する植物としては、キク、カーネーション、宿根カスミソウなどの挿し木で繁殖できる植物が挙げられる。また、その際の培土基材としては、前記の切り花用と、花壇用と、野菜セル苗用と、果菜セル苗用とのはピートモスを主体とする培土基材が適しており、挿し木するのに適応する植物を繁殖させる場合にはパーライトを主体とする培土基材が特に適している。
【0039】
また、本発明の育苗用培土を、屋上、法面、その他の地面などの緑化のために用いる場合は、樹木、芝草のほか、例えば、耐乾燥性に優れるサカサマンネングサ、モリムラマンネングサ、メキシコマンネングサ、ツルマンネングサ、コーラルカーペット、スプリュームなどのセダム類の植物の種を播いたり、植物を植えることができる。
【0040】
【実施例】
以下に実施例などにより本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されるものではない。以下の例において、育苗用培土の圧縮応力の測定および根鉢強力の評価は次のようにして行った。
【0041】
(1)育苗用培土の圧縮応力:
(i) 以下の例で得られた育苗用培土を、底部直径3.5cm、上部(開口)直径6.5cm、高さ8.0cmおよび容積160cm3の容器(ポット)に充填密度が0.3g/cm3となるように充填し、40ml/1容器の量で灌水した後、110℃で15分間加熱処理して育苗用培土中の熱融着性繊維を溶融接着して円錐台状成形物(根鉢)を製造した。
(ii) 上記(i)で得られた円錐台状成形物(根鉢)を容器から取り出して試験片として用い、その底部を上に向けた状態で、圧縮試験機(カトーテック株式会社製「ハンディー圧縮試験機:KES−G5」)を用いて、該底部の中央部に面積2cm2の円形加圧板を載せて10mm/minの速度で下降させ、円形加圧板が10mm下降したときの荷重(最大荷重)(kN)を測定して圧縮応力とした。
【0042】
(2)根鉢強力:
前記(1)−(i)で製造した根鉢(播種前の加熱処理後の根鉢)を2mの高さから落下させて、下記に示す4段階の評価基準にしたがって点数評価した。
[評価基準]
1点:根鉢がバラバラに砕けた。
2点:根鉢が4〜10個に割れた。
3点:根鉢が2〜3個に割れた。
4点:根鉢の割れが生じなかった。
【0043】
また、以下の実施例または比較例で用いた熱融着性繊維の内容と略号は次のとおりである。
なお、以下の熱融着性繊維において、所定繊維長の繊維を得るための切断操作は、熱融着性繊維A1についでは「ギロチンカッター」(小野打製作所製)を使用して、トウ繊度1000ktexのトウを用いてショット速度150ショット/分の条件下に行い、熱融着性繊維B1〜B4および熱融着性繊維C1〜C3については「ECカッター」(イーストマン・コダック社製)を使用して、トウ繊度100ktexのトウを用いて、速度140m/分の条件下に行った。
【0044】
熱融着性繊維A 1
芯成分がポリエチレンテレフタレートおよび鞘成分がイソフタル酸45モル%共重合ポリエチレンテレフタレートよりなる芯鞘型複合繊維[芯成分:鞘成分の質量比=1:1、鞘成分の軟化点=110℃、芯成分の融点=260℃、単繊維繊度=1.7dtex;繊維長=1mm、アスペクト比=80、水分率=12%、捲縮数=0個/cm(非捲縮)]
熱融着性繊維B 1
芯成分がポリエチレンテレフタレートおよび鞘成分がイソフタル酸45モル%共重合ポリエチレンテレフタレートよりなる芯鞘型複合繊維[芯成分:鞘成分の質量比=1:1、鞘成分の軟化点=110℃、芯成分の融点=260℃、単繊維繊度=2.2dtex;繊維長=5mm、アスペクト比=350、水分率=12%、捲縮数=0個/cm(非捲縮)]
熱融着性繊維B 2
芯成分がポリエチレンテレフタレートおよび鞘成分がイソフタル酸45モル%共重合ポリエチレンテレフタレートよりなる芯鞘型複合繊維[芯成分:鞘成分の質量比=1:1、鞘成分の軟化点=110℃、芯成分の融点=260℃、単繊維繊度=2.2dtex;繊維長=5mm、アスペクト比=350、水分率=0%、捲縮数=2個/cm]
熱融着性繊維B 3
芯成分がポリエチレンテレフタレートおよび鞘成分がイソフタル酸45モル%共重合ポリエチレンテレフタレートよりなる芯鞘型複合繊維[芯成分:鞘成分の質量比=1:1、鞘成分の軟化点=110℃、芯成分の融点=260℃、単繊維繊度=6.6dtex;繊維長=5mm、アスペクト比=200、水分率=10%、捲縮数=0個/cm(非捲縮)]
熱融着性繊維B 4
芯成分がポリエチレンテレフタレートおよび鞘成分がイソフタル酸45モル%共重合ポリエチレンテレフタレートよりなる芯鞘型複合繊維[芯成分:鞘成分の質量比=1:1、鞘成分の軟化点=110℃、芯成分の融点=260℃、単繊維繊度=1.7dtex;繊維長=10mm、アスペクト比=800、水分率=12%、捲縮数=0個/cm(非捲縮)]
【0045】
熱融着性繊維C 1
芯成分がポリエチレンテレフタレートおよび鞘成分がイソフタル酸45モル%共重合ポリエチレンテレフタレートよりなる芯鞘型複合繊維[芯成分:鞘成分の質量比=1:1、鞘成分の軟化点=110℃、芯成分の融点=260℃、単繊維繊度=2.2dtex;繊維長=5mm、アスペクト比=350、水分率=20%、捲縮数=0個/cm(非捲縮)]
熱融着性繊維C 2
芯成分がポリエチレンテレフタレートおよび鞘成分がイソフタル酸45モル%共重合ポリエチレンテレフタレートよりなる芯鞘型複合繊維[芯成分:鞘成分の質量比=1:1、鞘成分の軟化点=110℃、芯成分の融点=260℃、単繊維繊度=2.2dtex;繊維長=5mm、アスペクト比=350、水分率=0%、捲縮数=8個/cm]
熱融着性繊維C 3
芯成分がポリエチレンテレフタレートおよび鞘成分がイソフタル酸45モル%共重合ポリエチレンテレフタレートよりなる芯鞘型複合繊維[芯成分:鞘成分の質量比=1:1、鞘成分の軟化点=110℃、芯成分の融点=260℃、単繊維繊度=2.2dtex;繊維長=20mm、アスペクト比=1400、水分率=12%、捲縮数=0個/cm(非捲縮)]
【0046】
さらに、以下の実施例および比較例で用いた培土基材の内容は次のとおりである。
培土基材
土(赤玉土)40質量部にピートモス10質量部、パーライト40質量部およびバーミキュライト10質量部を混合して得た混合物100質量部に対して、湿潤剤(ポリエチレングリコール)を0.01質量部および肥料(チッソ旭肥料株式会社製「低度化成肥料アサヒマイクロポーラス」)を0.5質量部の割合で配合して培土基材とした。
【0047】
《実施例1》
(1) 上記の培土基材90質量部、熱融着性繊維A15質量部および熱融着性繊維B15質量部をミキサー容器に入れ、撹拌して育苗用培土を調製した。
(2) 上記(1)で得られた育苗用培土を、同サイズの複数のポット[底部直径3.5m、上部(開口)直径6.5cm、高さ8.0cmおよび容積160cm3]に充填密度が0.3g/cm3となるようにそれぞれ充填し、40ml/1ポットの量で灌水した後、110℃で15分間加熱処理して育苗用培土中の熱融着性繊維を溶融接着して根鉢を製造した。
(3) 上記(2)で得られた根鉢をポットから抜き取って、圧縮応力を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
また、上記(2)で得られた別の根鉢をポットから抜き取って、その根鉢強力を上記した方法で評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(4) 上記(2)で得られた更に別の根鉢をポットに入れたまま、ツルマンネングサを播種し、温度および湿度の管理を特に行わずに2〜3cm径の大きさになるまで苗を成長させ(約30日間育成)、これを根鉢ごとポットから抜き取って、予め根鉢のサイズに合わせて穴を空けたコンクリートブロックに移植したところ、移植時の根鉢は崩壊が生じず、取り扱い性に優れていた。
【0048】
《実施例2》
(1) 上記の培土基材90質量部、熱融着性繊維A18質量部および熱融着性繊維B12質量部をミキサー容器に入れ、撹拌して育苗用培土を調製した。
(2) 上記(1)で得られた育苗用培土を用いて、実施例1の(2)と同じ操作を行って根鉢を製造した。
(3) 上記(2)で得られた根鉢をポットから抜き取って、圧縮応力を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
また、上記(2)で得られた別の根鉢をポットから抜き取って、その根鉢強力を上記した方法で評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(4) 上記(2)で得られた更に別の根鉢をポットに入れたまま、ツルマンネングサを播種し、温度および湿度管理を特に行わずに2〜3cm径の大きさになるまで苗を成長させ(約30日間育成)、これを根鉢ごとポットから抜き取って、予め根鉢のサイズに合わせて穴を空けたコンクリートブロックに移植したところ、移植時の根鉢は崩壊が生じず、取り扱い性に優れていた。
【0049】
《実施例3》
(1) 上記の培土基材90質量部、熱融着性繊維A12質量部および熱融着性繊維B18質量部をミキサー容器に入れ、撹拌して育苗用培土を調製した。
(2) 上記(1)で得られた育苗用培土を用いて、実施例1の(2)と同じ操作を行って根鉢を製造した。
(3) 上記(2)で得られた根鉢をポットから抜き取って、圧縮応力を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
また、上記(2)で得られた別の根鉢をポットから抜き取って、その根鉢強力を上記した方法で評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(4) 上記(2)で得られた更に別の根鉢をポットに入れたまま、ツルマンネングサを播種し、温度および湿度の管理を特に行わずに2〜3cm径の大きさになるまで苗を成長させ(約30日間育成)、これを根鉢ごとポットから抜き取って、予め根鉢のサイズに合わせて穴を空けたコンクリートブロックに移植したところ、移植時の根鉢は崩壊が生じず、取り扱い性に優れていた。
【0050】
《実施例4》
(1) 上記の培土基材90質量部、熱融着性繊維A15質量部および熱融着性繊維B25質量部をミキサー容器に入れ、撹拌して育苗用培土を調製した。
(2) 上記(1)で得られた育苗用培土を用いて、実施例1の(2)と同じ操作を行って根鉢を製造した。
(3) 上記(2)で得られた根鉢をポットから抜き取って、圧縮応力を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
また、上記(2)で得られた別の根鉢をポットから抜き取って、その根鉢強力を上記した方法で評価したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(4) 上記(2)で得られた更に別の根鉢をポットに入れたまま、ツルマンネングサを播種し、温度および湿度の管理を特に行わずに2〜3cm径の大きさになるまで苗を成長させ(約30日間育成)、これを根鉢ごとポットから抜き取って、予め根鉢のサイズに合わせて穴を空けたコンクリートブロックに移植したところ、移植時の根鉢は崩壊が生じず、取り扱い性に優れていた。
【0051】
《実施例5》
(1) 上記の培土基材90質量部、熱融着性繊維A15質量部および熱融着性繊維B35質量部をミキサー容器に入れ、撹拌して育苗用培土を調製した。
(2) 上記(1)で得られた育苗用培土を用いて、実施例1の(2)と同じ操作を行って根鉢を製造した。
(3) 上記(2)で得られた根鉢をポットから抜き取って、圧縮応力を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
また、上記(2)で得られた別の根鉢をポットから抜き取って、その根鉢強力を上記した方法で評価したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(4) 上記(2)で得られた更に別の根鉢をポットに入れたまま、ツルマンネングサを播種し、温度および湿度の管理を特に行わずに2〜3cm径の大きさになるまで苗を成長させ(約30日間育成)、これを根鉢ごとポットから抜き取って、予め根鉢のサイズに合わせて穴を空けたコンクリートブロックに移植したところ、移植時の根鉢は崩壊が生じず、取り扱い性に優れていた。
【0052】
《実施例6》
(1) 上記の培土基材95質量部、熱融着性繊維A12.5質量部および熱融着性繊維B12.5質量部をミキサー容器に入れ、撹拌して育苗用培土を調製した。
(2) 上記(1)で得られた育苗用培土を用いて、実施例1の(2)と同じ操作を行って根鉢を製造した。
(3) 上記(2)で得られた根鉢をポットから抜き取って、圧縮応力を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
また、上記(2)で得られた別の根鉢をポットから抜き取って、その根鉢強力を上記した方法で評価したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(4) 上記(2)で得られた更に別の根鉢をポットに入れたまま、ツルマンネングサを播種し、温度および湿度の管理を特に行わずに2〜3cm径の大きさになるまで苗を成長させ(約30日間育成)、これを根鉢ごとポットから抜き取って、予め根鉢のサイズに合わせて穴を空けたコンクリートブロックに移植したところ、移植時の根鉢は崩壊が生じず、取り扱い性に優れていた。
【0053】
《実施例7》
(1) 上記の培土基材90質量部、熱融着性繊維A15質量部、熱融着性繊維B12.5質量部および熱融着性繊維B32.5質量部をミキサー容器に入れ、撹拌して育苗用培土を調製した。
(2) 上記(1)で得られた育苗用培土を用いて、実施例1の(2)と同じ操作を行って根鉢を製造した。
(3) 上記(2)で得られた根鉢をポットから抜き取って、圧縮応力を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
また、上記(2)で得られた別の根鉢をポットから抜き取って、その根鉢強力を上記した方法で評価したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(4) 上記(2)で得られた更に別の根鉢をポットに入れたまま、ツルマンネングサを播種し、温度および湿度の管理を特に行わずに2〜3cm径の大きさになるまで苗を成長させ(約30日間育成)、これを根鉢ごとポットから抜き取って、予め根鉢のサイズに合わせて穴を空けたコンクリートブロックに移植したところ、移植時の根鉢は崩壊が生じず、取り扱い性に優れていた。
【0054】
《比較例1》
(1) 熱融着性繊維を用いずに上記の培土基材のみを用いて、実施例1の(2)と同じ操作を行って根鉢を製造した。
(2) 上記(1)で得られた根鉢をポットから抜き取ろうとしたところ、崩壊してしまい、圧縮応力の測定および根鉢強力の評価を行うことができなかった。
【0055】
《比較例2》
(1) 上記の培土基材90質量部および熱融着性繊維A110質量部をミキサー容器に入れ、撹拌して育苗用培土を調製した。
(2) 上記(1)で得られた育苗用培土を用いて、実施例1の(2)と同じ操作を行って根鉢を製造した。
(3) 上記(2)で得られた根鉢をポットから抜き取って、圧縮応力を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
また、上記(2)で得られた別の根鉢をポットから抜き取って、その根鉢強力を上記した方法で評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
(4) 上記(2)で得られた更に別の根鉢をポットに入れたまま、ツルマンネングサを播種し、温度および湿度の管理を特に行わずに2〜3cm径の大きさになるまで苗を成長させ(約30日間育成)、これを根鉢ごとポットから抜き取って、予め根鉢のサイズに合わせて穴を空けたコンクリートブロックに移植しようとしたところ、根鉢強力が小さく、移植作業を円滑に行うことができなかったので、以後の栽培を行わなかった。
【0056】
《比較例3》
(1) 上記の培土基材90質量部および熱融着性繊維B110質量部をミキサー容器に入れ、撹拌して育苗用培土を調製した。
(2) 上記(1)で得られた育苗用培土を用いて、実施例1の(2)と同じ操作を行って根鉢を製造した。
(3) 上記(2)で得られた根鉢をポットから抜き取って、圧縮応力を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
また、上記(2)で得られた別の根鉢をポットから抜き取って、その根鉢強力を上記した方法で評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
(4) 上記(2)で得られた更に別の根鉢をポットに入れたまま、ツルマンネングサを播種し、温度および湿度の管理を特に行わずに2〜3cm径の大きさまで苗を成長させ(約30日間育成)、これを根鉢ごとポットから抜き取って、予め根鉢のサイズに合わせて穴を空けたコンクリートブロックに移植したところ、大半の根鉢はほぼ円滑に移植できたが、たまに根鉢の一部が移植時に欠けることがあった。
【0057】
《比較例4》
(1) 上記の培土基材90質量部、熱融着性A12質量部および熱融着性繊維C18質量部をミキサー容器に入れ、撹拌して育苗用培土を調製した。
(2) 上記(1)で得られた育苗用培土を用いて、実施例1の(2)と同じ操作を行って根鉢を製造した。
(3) 上記(2)で得られた根鉢をポットから抜き取って、圧縮応力を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
また、上記(2)で得られた別の根鉢をポットから抜き取って、その根鉢強力を上記した方法で評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
(4) 上記(2)で得られた更に別の根鉢をポットに入れたまま、ツルマンネングサを播種し、温度および湿度の管理を特に行わずに2〜3cm径の大きさになるまで苗を成長させ(約30日間育成)、これを根鉢ごとポットから抜き取って、予め根鉢のサイズに合わせて穴を空けたコンクリートブロックに移植したところ、大半の根鉢はほぼ円滑に移植できたが、場合によって根鉢の一部に欠けが生ずることがあった。
【0058】
《比較例5》
(1) 上記の培土基材90質量部、熱融着性A12質量部および熱融着性繊維C28質量部をミキサー容器に入れ、撹拌して育苗用培土を調製した。
(2) 上記(1)で得られた育苗用培土を用いて、実施例1の(2)と同じ操作を行って根鉢を製造した。
(3) 上記(2)で得られた根鉢をポットから抜き取って、圧縮応力を上記した方法で測定したところ、下記の表4に示すとおりであった。
また、上記(2)で得られた別の根鉢をポットから抜き取って、その根鉢強力を上記した方法で評価したところ、下記の表4に示すとおりであった。
(4) 上記(2)で得られた更に別の根鉢をポットに入れたまま、ツルマンネングサを播種し、温度および湿度の管理を特に行わずに2〜3cm径の大きさまで苗を成長させ(約30日間育成)、これを根鉢ごとポットから抜き取って、予め根鉢のサイズに合わせて穴を空けたコンクリートブロックに移植したところ、多くの根鉢はほぼ円滑に移植できたが、時々根鉢の崩壊または欠けが生ずることがあった。
【0059】
《比較例6》
(1) 上記の培土基材90質量部、熱融着性A15質量部および熱融着性繊維C35質量部をミキサー容器に入れ、撹拌して育苗用培土を調製した。
(2) 上記(1)で得られた育苗用培土を用いて、実施例1の(2)と同じ操作を行って根鉢を製造した。
(3) 上記(2)で得られた根鉢をポットから抜き取って、圧縮応力を上記した方法で測定したところ、下記の表4に示すとおりであった。
また、上記(2)で得られた別の根鉢をポットから抜き取って、その根鉢強力を上記した方法で評価したところ、下記の表4に示すとおりであった。
(4) 上記(2)で得られた更に別の根鉢をポットに入れたまま、ツルマンネングサを播種し、温度および湿度の管理を特に行わずに2〜3cm径の大きさになるまで苗を成長させ(約30日間育成)、これを根鉢ごとポットから抜き取って、予め根鉢のサイズに合わせて穴を空けたコンクリートブロックに移植したところ、かなりの根鉢で部分崩壊が生じ、移植時の取り扱い性が不良であった。
【0060】
《比較例7》
(1) 上記の培土基材90質量部、熱融着性B15質量部および熱融着性繊維B45質量部をミキサー容器に入れ、撹拌して育苗用培土を調製した。
(2) 上記(1)で得られた育苗用培土を用いて、実施例1の(2)と同じ操作を行って根鉢を製造した。
(3) 上記(2)で得られた根鉢をポットから抜き取って、圧縮応力を上記した方法で測定したところ、下記の表4に示すとおりであった。
また、上記(2)で得られた別の根鉢をポットから抜き取って、その根鉢強力を上記した方法で評価したところ、下記の表4に示すとおりであった。
(4) 上記(2)で得られた更に別の根鉢をポットに入れたまま、ツルマンネングサを播種し、温度および湿度の管理を行わずに2〜3cm径の大きさまで苗を成長させ(約30日間育成)、これを根鉢ごとポットから抜き取って、予め根鉢のサイズに合わせて穴を空けたコンクリートブロックに移植したところ、かなりの根鉢に部分崩壊を生じ、取り扱い性が不良であった。
【0061】
《比較例8》
(1) 上記の培土基材90質量部および熱融着性繊維B310質量部をミキサー容器に入れ、撹拌して育苗用培土を調製した。
(2) 上記(1)で得られた育苗用培土を用いて、実施例1の(2)と同じ操作を行って根鉢を製造した。
(3) 上記(2)で得られた根鉢をポットから抜き取って、圧縮応力を上記した方法で測定したところ、下記の表4に示すとおりであった。
また、上記(2)で得られた別の根鉢をポットから抜き取って、その根鉢強力を上記した方法で評価したところ、下記の表4に示すとおりであった。
(4) 上記(2)で得られた更に別の根鉢をポットに入れたまま、ツルマンネングサを播種し、温度および湿度の管理を特に行わずに2〜3cm径の大きさまで苗を成長させ(約30日間育成)、これを根鉢ごとポットから抜き取って、予め根鉢のサイズに合わせて穴を空けたコンクリートブロックに移植したところ、大半の根鉢はほぼ円滑に移植できたが、たまに根鉢の一部が移植時に欠けることがあった。
【0062】
【表1】
Figure 0003847212
【0063】
【表2】
Figure 0003847212
【0064】
【表3】
Figure 0003847212
【0065】
【表4】
Figure 0003847212
【0066】
上記の表1〜表4の結果にみるように、比較例1の育苗用培土は、熱融着性繊維を含有していないために加熱処理後の根鉢は簡単に崩壊してしまい、取り扱い性に著しく劣っている。
それに対して、実施例1〜7の育苗用培土は、繊維長が2mm以下、アスペクト比が20〜300、繊維水分率が繊維質量に対し15%以下および捲縮数が6個/cm以下という要件を満たす熱融着性繊維A(熱融着性A1)と、繊維長が2mmを超え15mm以下、アスペクト比が20〜1000、繊維水分率が繊維質量に対し15%以下および捲縮数が6個/cm以下という要件を満たす熱融着性繊維B(熱融着性繊維B1〜B3のいずれか)を含有していることによって、熱融着性繊維を含有しない比較例1の育苗用培土は勿論のこと、熱融着性繊維Aのみを含有する比較例2の育苗用培土、熱融着性繊維B(熱融着性繊維B1、B3および/またはB4)のみを含有する比較例3および比較例7〜8の育苗用培土、並びに熱融着性繊維Aと共に他の熱融着性繊維(熱融着性繊維C1〜C3;熱融着性繊維の水分率、捲縮個数または繊維長が本発明の範囲から外れる熱融着性繊維)を含有する比較例4〜6の育苗用培土に比べて、容積が10cm3以上の根鉢、特に100cm3以上の根鉢を形成したときに、強力が一層高くて、取り扱い性に優れる根鉢が形成される。
【0067】
【発明の効果】
本発明の育苗用培土は、加熱処理によって、育苗用培土中に配合した熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bが溶融接着して、繊維同士の接着、培土基材に含まれる粒径の小さな成分と熱融着性繊維Aとの接着および粒径の大きな成分と熱融着性繊維Bとの接着などが良好に行われて、三次元の網状の補強構造が育苗用培土内に形成され、熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bのいずれをも配合しない育苗用培土は勿論のこと、熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bのいずれか一方を単独で配合した育苗用培土に比べて、強力の一層高い根鉢を形成することができる。その結果、本発明の育苗用培土は、移植機や手作業によって根鉢ごと苗を植え付ける際に、根鉢の崩壊を生ずることなく、植え付け作業を円滑に行うことができる。しかも、本発明の育苗用培土は、生育阻害などを生ずることなく、植物の苗を健全に育成させることができる。
特に、本発明の育苗用培土は、容積が10cm3以上、特に10〜100cm3の植物育成用容器に自動充填装置などを使用して充填するのに適しており、該植物育成用容器に充填する際に充填不良や充填不能を生じず、該植物育成用容器に良好な作業性で円滑に充填することができ、しかも強力の極めて高い根鉢を形成する。
【0068】
さらに、育苗用培土は、前記した高い強力を有する根鉢を形成すると共に、軽量性、取り扱い性、施工性、水捌け性などの特性にも優れており、そのため屋上、法面、その他風雨の影響を受け易い土地などの、土の飛散や流失などを生じやすい場所を緑化するための苗床としも適している。そのため本発明の育苗用培土を用いると、良好な作業性、施工性で、軽量で建物などに対する負担が少なく、しかも土の飛散や流失がなく、水捌け性に優れ、植物を健全に生育させることの苗床を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の育苗用培土の圧縮強度の測定方法を示す図である。
【符号の説明】
a 育苗用培土(加熱処理後の根鉢)
b 支持台
c 加圧板
d 加重検出部

Claims (11)

  1. 培土基材に、繊維長が2mm以下、アスペクト比が20〜300、繊維水分率が繊維質量に対し15%以下および捲縮数が6個/cm以下である熱融着性繊維Aと、繊維長が2mmを超え15mm以下、アスペクト比が20〜1000、繊維水分率が繊維質量に対し15%以下および捲縮数が6個/cm以下である熱融着性繊維Bを配合したことを特徴とする育苗用培土。
  2. 熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bが、繊維形成性重合体と、該繊維形成性重合体よりも融点または軟化点が20℃以上低い熱可塑性重合体とからなる、熱融着性の複合紡糸繊維および/または混合紡糸繊維である請求項1に記載の育苗用培土。
  3. 熱融着性繊維A:熱融着性繊維Bの配合割合が、質量比で90:10〜10:90である請求項1または2に記載の育苗用培土。
  4. 培土基材が、土と共に、ピートモスおよび/またはパーライトを主体とする培土基材である請求項1〜3のいずれか1項に記載の育苗用培土。
  5. [培土基材]:[熱融着性繊維Aと熱融着性繊維Bの合計]の配合割合が、質量比で99:1〜85:15である請求項1〜4のいずれか1項に記載の育苗用培土。
  6. 容積が10cm3以上の植物育成用容器に用いるための育苗用培土である請求項1〜5のいずれか1項に記載の育苗用培土。
  7. 屋上、法面または地面の緑化に使用する苗床用である請求項1〜5のいずれか1項に記載の育苗用培土。
  8. 育苗用培土中で熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bが溶融接着されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の育苗用培土。
  9. 育苗用培土を、底部直径3.5cm、上部直径6.5cm、高さ8.0cmおよび容積160cm3の容器に充填密度が0.3g/cm3となるように充填した後に加熱処理して育苗用培土中の熱融着性繊維Aおよび熱融着性繊維Bを溶融接着して得られる円錐台状成形物を試験片とし、該試験片の底部中央部に面積2cm2の円形加圧板を載せて10mm/minの速度で下降させ、円形加圧板が10mm下降したときの圧縮応力が15kN以上である請求項8に記載の育苗用培土。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の育苗用培土を植物育成用容器に充填し、灌水した後、加熱処理して培土中の熱融着性繊維を溶融接着させることを特徴とする育苗用培土の固化方法。
  11. 請求項1〜5および7のいずれか1項に記載の育苗用培土を屋上、法面または地面に施して苗床を形成し、灌水した後、加熱処理して培土中の熱融着性繊維を溶融接着させることを特徴とする苗床の固化方法。
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