JP3602015B2 - 草花植生用シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、栽培面積の大小を問わず、再現性よく、簡単に草花の種子を栽培して開花させることができる草花植生用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
草花の栽培には、苗、球根、種子等による方法がある。苗や球根は、開花までの日数も短く、比較的容易に草花を開花させることができるが、苗や球根は種子に比べて高価である。
一方、種子からの栽培方法には、例えば、手播き方法と吹付機械を使用する方法がある。手播き方法は、例えばレーキを使用して種子の播き溝を作り、そこに種子を手で播き、さらに覆土して行われる。吹付機械による方法は、例えば、種子、水、肥料、土等を混合したものを、地面に吹き付けて行われる。
しかしながら、手播き方法は、安価ではあるが、播き溝の深さ、種子の量、種の間隔、覆土の量に関してある程度の知識を要し、これらの播種条件の僅かな違いで発芽しない、生育が悪い、花が咲かない等、再現性よく草花の種子を栽培して開花させることが難しい。
また、吹付機械による方法は、例えば1000m2を越える大面積に通常使用されるものである。このような機械は、一般家庭や小さな花壇では使用されないのが普通である。
さらに、手播き方法と吹付機械を使用する方法では、法面や河川敷で施工する場合、降雨や風により種子が流失したり飛散したりするため、種子を使用することは、このような場所における草花の栽培には不向きであった。
ところで、複数の一体化した種子袋を用いた播種方法は公知である(登録実用新案公報第3052467号参照)。この方法は、水溶性袋の中に草花種子と培養土が併存している種子袋を地面に置いて散水することにより、種蒔きを可能とするものである。しかしながら、袋材としてPVA等の水溶性物質含有シートのみを使用するため、散水時に種が流出して発芽むらが生じ、草花の生育が悪く花が咲かないことがあるという欠点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、種子の量、播種の間隔を考慮することなく、また、栽培面積の大小を問わずに播種することができ、発芽率のよい草花植生用シートを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、繊維状物からなる水分散性シートの上部に水溶性物質含有シートを設け、水分散性シートと水溶性物質含有シートとを結合してパターン状に形成した複数の空間に、草花種子を1〜4g/m2の密度で封入することによって、上記播種の問題点を克服することができることを見出した。
即ち、本発明は、繊維状物からなる水分散性シートと、該水分散性シート上に設けた水溶性物質含有シートと、草花種子とを有し、該水分散性シートと該水溶性物質含有シートが、該水分散性シートと該水溶性物質含有シートとの間に複数の空間を形成するようにパターン状に相互に結合され、該複数の空間に該草花種子が1〜4g/m2の密度で封入されていることを特徴とする草花植生用シートに関するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる繊維状物からなる水分散性シートは、水によって分散されるシートであれば特に限定されることなく、各種繊維状物からなるシートを使用することができる。このようなシートとしては、例えば、パルプを漉くことによって得られる紙シート、特にトイレットペーパーが好適である。水分散性シートに含まれる繊維状物の太さは、例えば直径0.01〜1mm、好ましくは直径0.1〜0.5mmであり、長さは、例えば0.5〜5mm、好ましくは1〜3mmである。水分散性シートの秤量は、例えば5〜20g/m2、好ましくは、8〜12g/m2のものが使用される。5g/m2より軽いものは、破れやすいので好ましくない。20g/m2より重いものは、水溶解しにくい、散水後、乾燥により繊維状物が硬くなり、発芽不良の原因になる等の点から好ましくない。
【0006】
本発明で上記水分散性シートの上に設けられる水溶性物質含有シートは、水に溶解する物質を含むシートであれば、特に限定されることなく、各種シートを使用することができる。このようなシートとしては、水溶性材料からなるものだけでなく、そのような水溶性材料と水不溶性材料とを組み合わせたシートでもよい。水溶性材料からなるものとしては、例えば、水溶性の高分子フィルム、特に水溶性PVAフィルム、水溶性ビニロンフィルムが好適である。
一方、水溶性材料と不溶性材料とを組み合わせたシートとしては、例えば、水溶性PVA繊維と、綿、麻、レーヨン等の天然素材の繊維を混綿した不織布を用いてもよい。不織布を用いることにより、法面等の種子が流失、飛散しやすい場所でも、種子が流失等することなく施工することができる。水溶性材料と不溶性材料とを組み合わせたシートには、例えば、20〜100g/m2、好ましくは40〜80g/m2のものを用い、水溶性材料と不溶性材料とを組み合わせたシートに対する不溶性材料の混合割合は、20〜60質量%、好ましくは30〜50質量%である。不溶性材料の割合が20質量%より低いと上記種子の流失防止等の効果が得られず、60質量%より多いと発芽の妨げとなるので好ましくない。
【0007】
水溶性物質含有シートの厚さは、例えば、20〜120μm、好ましくは、40〜80μmである。20μmより薄いものは、強度不足の点から、例えば水分散性シートとパターン状に結合する際、破れやすくなるので好ましくない。また、120μmより厚いものは、経済性の問題や、散水時に溶けにくいという点から好ましくない。
このように、繊維状物からなる水分散性シートの上に水溶性物質含有シートを設けたものに散水すると、水溶性物質含有シート中の水溶性材料は溶解し、水分散性シートを構成する繊維状物の上に付着する。水溶性材料が溶解した溶解物が繊維状物に付着すると、全体として保水性とタック性が生じる。つまり、当該溶解物が繊維状物、例えばパルプ繊維に吸着されることによって、長期間にわたって発芽に必要な水分を種子に供給できると共に、繊維状物に種子が保持されやすくなるので、風雨等による種子の流出、飛散を防止することができる。
【0008】
繊維状物からなる水分散性シートと水溶性物質含有シートは、両シートの間に複数の空間が形成されるように、パターン状に相互に結合される。結合パターンには、草花植生用シートの上面から見て、例えば格子状、千鳥格子状、円状等があり、形成された空間の断面の形状は、草花植生用シートの側面から見て、例えば円形、長円形、紡錘形、矩形、正方形等になるが、一般には紡錘形となる。結合は、例えば熱溶着、水溶性糸による縫合等によって行われ、接着しろは、結合強度の面から、3〜6mm、好ましくは、2〜4mmの幅である。接着しろで囲まれた空間を上面から見たときの平面の大きさは、例えば、格子状であれば一辺が5〜30mm、好ましくは10〜25mmであり、当該平面の面積は、例えば25〜900mm2、好ましくは100〜625mm2である。また、1つの空間の体積は、例えば50〜1800mm3、好ましくは、200〜1250mm3である。
【0009】
上記空間に封入される種子は、草花の種子、好ましくは草本類に属する草花の種子である。本発明で好ましく使用される種子には、例えば、ジニア、ポピー、ハナビシソウ、カスミソウ、ワスレナグサ、ヤグルマソウ、アリッサム、フランスギク、オオキンケイギク、カワラナデシコ、ルピナス、ルドベキアがある。種子は、1〜4g/m2、好ましくは2〜3g/m2の量で播種される。換言すれば、種子の大きさにもよるが、ヤグルマソウの種では、例えば50〜100粒/m2、好ましくは70〜90粒/m2で播種される。種子は、全体の0.5〜2%、好ましくは0.8〜1.2%の空間に封入される。上記密度で播種される場合には、ある空間では全く種子の封入されていないものもある。従って、種子の種類にもよるが、種子は、一般に5〜30cm間隔、好ましくは10〜20cm間隔で封入される。このように、単位面積当たりの種子量等を調節するのは、草花育成の過程で間引きや移植の必要性を低減するためである。
【0010】
さらに、前記空間の任意の箇所に、肥料を封入してもよい。これは、例えば種子に適合する肥料を封入することによって、必要な肥料を選択することなく、簡易に施肥することが可能となるからである。封入される肥料は、封入した種子にもよるが、一般に、30g/m2〜200g/m2、好ましくは50g/m2〜100g/m2である。
【0011】
また、前記空間の任意の箇所に、培養土を封入してもよい。培養土は、封入した種子に適合した種類のものが好ましいが、一般には、バーク堆肥、牛糞、ピートモス、赤土、鹿沼土、草炭、山砂、パーライト及びこれらの混合物が使用され、さらに草花がリン酸を吸いやすくする菌、空中窒素を草花が固定する菌等を混合したものを使用してもよい。封入される培養土は、一般に、300g/m2〜2000g/m2、好ましくは500g/m2〜1000g/m2である。
特に好ましい培養土は、ピートモスである。ピートモスには、泥炭より炭化度の低い、草炭であり、特にミズゴケ(sphagnum)に由来するものである。ピートモスは、一般に体積比で約1/2に圧縮して、粒径0.1〜3mm、好ましくは粒径1〜2mmとした粒状物の形で入手可能である。長繊維の構造物と比べて吸水性があり、急速に水分を吸着して元の大きさの1.5〜2倍に膨張する。従って、当該ピートモスを使用することにより、適度な水保持性が得られると共に、種子に適合した覆土量を選択することなく、容易に覆土を施工することが可能となる。ピートモスの量は、種子の種類にもよるが、絶乾時で一般に、10g/m2〜200g/m2、好ましくは30g/m2〜100g/m2である。
【0012】
前記草花植生用シートに、補強用ネットを結合してもよい。結合は、草花植生用シートの上に、例えば熱溶着、水溶性糸で縫合等することによって行われるが、好ましくは、水分散性シートと水溶性物質含有シートとの熱溶着と同時に補強用ネットも熱溶着することが好ましい。従って、補強用ネットは、水溶性物質含有シート側の面に、熱溶着によって結合されることが好ましい。
ネットには、例えばジュート、やし繊維等のような天然素材の繊維が、土壌に還元されやすい点で使用される。ネットの形状は、例えば格子状、亀甲状等であってもよい。ネットに使用される糸の直径は、例えば、0.1〜10mm、好ましくは1〜3mm、ネットの間隔は、例えば格子状では10〜50mm四方、好ましくは20〜30mm四方である。ネットの開口率は、遮光しないため、発芽を妨げないようにするため等の観点から、高い方が好ましく、例えば80〜99%である。なお、ここでいう開口率とは、ネット全体の面積に対するネットに覆われていない面積の割合をいう。
【0013】
本発明の草花植生用シートは、例えば、0.3〜2m、好ましくは、0.5〜1mの幅を有する長尺物であり、任意の長さに切断した形態、あるいは、ロールされた形態が取り扱いやすい。
【0014】
本発明の草花植生用シートは、水分散性シートを下にして地面に敷設し、その上に任意に施肥、覆土を行えば播種が完了するが、以下のような植生土壌の上に敷設することが好ましい。
すなわち、植生土壌として、雑草の種子を実質的に有さない土と天然やし繊維とを容量比で50:50〜95:5、好ましくは、70:30〜90:10の割合で混合したものを使用する。雑草の種子を実質的に有さない土を使用するのは、草花は雑草に比べ、生育が遅く、繁殖力が弱いため、種子栽培において土壌に雑草の種が含まれていると、草花の生育や開花状況が悪くなるためであり、例えば深層の土、造成土が使用される。天然やし繊維には、例えば、やし殻から長繊維を取り除いた残りの繊維、例えば、0.01〜5mm、好ましくは0.1〜1mmの粉状繊維、特に10年以上熱帯地方で野積放置され、草花の生長阻害物質である塩分・タンニン成分が流出したものを使用することが好ましい。天然やし繊維を加えると、土壌内に生育に必要な水分と酸素を適度に保持することができ、これにより生育を早めて飛来雑草が繁茂する前に草花を生育させることができる。さらに、土壌の保水性を高めるために、任意に保水剤を加えてもよい。使用される保水剤には、例えば、吸水性ポリマー(興人(株)製、サーモゲル)等があり、例えば0.1〜5質量%、好ましくは1〜3質量%の割合で植生土壌に添加される。
【0015】
また、本発明の草花植生用シートに施す覆土には、通常の土壌、培養土等あらゆる土壌が使用できるが、ピートモス、天然やし繊維、バーク堆肥等、保水性の高い繊維素材を使用するのが好適である。好ましくは、これらの素材を体積比で1/3〜1/10に圧縮成形して粒径0.5〜5mm、好ましくは粒径1〜3mmとした粒状物を用いる。覆土の量は、覆土の種類にもよるが、約0.3〜3リットル/m2、好ましくは、1〜2リットル/m2である。なお、草花植生用シート中に覆土が含まれている場合は、覆土を施すことを要しない。
【0016】
以下、本発明の実施例の草花植生用シートについて、図面を参照しながら、更に説明する。
本発明の草花植生用シートは、図2に示すように、水分散性シート1と、その上に水溶性物質含有シート2が格子状に接着しろ3に沿って相互に熱溶着され、複数の空間4が形成されている。
図1に示すように、草花植生用シートは、長尺物として表現されているが、これに限定されるものではない。草花植生用シートの空間4には、1〜4g/m2、好ましくは2〜3g/m2の密度で草花種子が封入されている。このシートは、まず移動する水分散性シートの上に、所定の投入量で種子が散布される。このため、種子は、全ての空間4に入っているものではなく、ランダムな状態で空間4のいずれかに封入されている。なお、これら図には、草花種子5のみ封入されている例が示されているが、肥料や土壌等も種子の散布と同様にして水分散性シートの上に散布して、空間に封入することもできる。
【0017】
本発明の草花植生用シートは、一般に、通常の土壌の上に敷いて使用されるが、好ましくは、上述した植生土壌に、任意に肥料及び保水剤を加えたものの上に敷設して使用される。特に、草花植生用シートの飛散防止のため、好ましくは、草花植生用シートを地面に敷設した上から金串を刺して、地面に固定される。また、当該植生土壌の下に防草シートを敷くことが、雑草の繁茂防止の面から見て好ましい。敷設した草花植生用シート上に、必要に応じて施肥、覆土を行い、播種が完了する。
さらに、草花植生用シートは、はさみ等で容易にカットできるため、使用にあたっては、任意の大きさに切り張りして組み合わせてもよい。これにより、小径(曲線)、ボーダー(直線)、ベット(円形)といった任意の形の花壇や、草花種類を任意に選択した花壇を容易に作ることができる。
【0018】
【実施例】
1.草花植生用シートの製造
参考例1
繊維状物からなる水分散性シートとして長さ50m、幅1mで、10g/m2の水解紙(三島製紙(株)製トイレットペーパー、繊維太さ直径0.1mm、長さ1mm)を用いた。水分散性シートを5m/分の速度で巻き取りながら送り、ホッパーに装填した草花種子(雪印種苗製スノーブレンド)を、2g/m2の割合で水分散性シート上に散布した。さらに、緩効性肥料(日本合同肥料製グリーンマップIIS)を30g/m2の割合で、ピートモス圧縮成形材(トスコ製)を30g/m2の割合で散布した。その後、水溶性物質含有シートとして長さ50m、幅1m、厚さ80μmのPVAフィルム(日本合成化学製ハイセロン)を水分散性シート上に重ねた。次に、水溶性物質含有シートの上から、トスコ(株)製ヒートシール機を使用して、接着しろ4mmで熱溶着し、10×20mmの格子状の空間を作成した。
【0019】
実施例2
本実施例では、参考例1で水溶性物質含有シートとして使用したPVAフィルムの代わりに、不織布を使用し、補強用ネットとしてヤシネットを使用した。不織布は、水溶性PVA繊維50質量%、レーヨン繊維50質量%で60g/m2(クラレ(株)製)のものを使用した。本実施例では、補強用ネットとして、ヤシネット(糸径4mm、糸間隔40mm、トスコ(株)製)を水溶性物質含有シートの上に重ね、参考例1と同様にして補強用ネットの上から熱溶着し、10×20mmの格子状の空間を作成した。
【0020】
2.植生土壌の調製
雑草の種子を実質的に有さない土として、造成土を200リットル/m2使用し、これに、緩効性肥料(日本合同肥料(株)製グリーンマップII)を100g/m2、保水剤((株)興人製サールゲル)を50g/m2加えて転耕した土壌を植生土壌Aとした。
さらに植生土壌Aに、天然やし繊維としてココピート(ヤシダスト)(伊藤忠アグリシステム(株)製)を20リットル/m2加えて同様に転耕した土壌を植生土壌Bとした。
【0021】
3.草花植生用シートの評価
3−1.平地に敷設した場合の草花植生用シートの評価
平地にて、上記参考例1で作成した草花植生用シートを植生土壌A又はBの上にそれぞれ敷設し、その上から散水した。一方、比較例1として、平地にて、参考例1で使用したものと同じ草花種子(雪印種苗製スノーブレンド)のみ2g/m2で植生土壌Aに手播し、散水した。
これらの実験に対する発芽数、草丈、葉張、開花までの日数を以下の表1に示す。表中、発芽数は、播種してから1月後の発芽数を示し、草丈及び葉張は、1月後の平均値を示す。
【表1】
表1:参考例1の草花植生用シートを使用した場合の評価
発芽数、草丈、葉張、開花までの日数ともに、参考例1は、比較例1に比べて良好な値を示した。特に、参考例1(土壌B)の約1ヶ月間の生育速度(草丈、葉張)は、比較例1の約2倍であり、その後の開花までにも日数がかからない(約1/2)ことが分かる。即ち、本発明の草花植生用シートを使用することにより、発芽率がよく、生育のよい草花を咲かせることができることが分かった。さらに本発明の草花植生用シートを雑草の種子を実質的に有さない土と天然やし繊維とを混合した植生土壌Bに敷設すると当該効果がさらに顕著に発揮されることが分かった。
【0022】
3−2.法面に敷設した場合の草花植生用シートの評価
法面(45度勾配)にて、上記実施例2で作成した草花植生用シートを植生土壌A又はBの上にそれぞれ敷設し、草花植生用シートを通して金串を地面に刺すことによって当該シートを固定し、その上から散水した。一方、比較例2として、同様の法面で、実施例2で使用したものと同じ草花種子(雪印種苗製スノーブレンド)のみ2g/m2で植生土壌Aに手播し、散水した。
これらの実験に対する発芽数、草丈、葉張、開花までの日数を以下の表2に示す。表中、発芽数は、播種してから1月後の発芽数を示し、草丈及び葉張は、1月後の平均値を示す。
【表2】
表2:実施例2の草花植生用シートを使用した場合の評価
発芽数、草丈、葉張、開花までの日数ともに、実施例2は、比較例2より良好な値を示した。また、実施例2の中では、植生土壌Aを使用したものより植生土壌Bを使用した方が、良好な値を示した。特に発芽数について、比較例2と比べ、実施例2(土壌A)で約1.9倍、実施例2(土壌B)で2.2倍の値を示している。これは、本発明の草花植生用シートが種子の流失、飛散を防止したためと考えられ、本発明の草花植生用シートが法面での敷設に適していることを示している。
【0023】
【発明の効果】
本発明の草花植生用シートを使用すると、散水により水溶性物質含有シートの水溶性材料が溶解して水分散性シートを構成する繊維状物の上に付着し、全体として保水性とタック性が生じるため、種子の流出、飛散を防止できる。
また、栽培面積の大小を問わず、再現性よく簡単に草花種子の播種を可能とし、及び発芽率、生育とも良好な草花を生育させることが可能となる。また、本発明の草花植生用シートを雑草の種子を実質的に有さない土と、天然やし繊維とを混合した植生土壌の上に敷設することにより、さらに生育が良好となり、特に雑草が繁茂する前に早期に草花を生育させることが可能となる。
さらに、花色の異なる種子を封入した本発明の草花植生用シートを組み合わせることにより、色彩豊かな独創性のある花壇や公園を簡単に造ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の草花植生用シートの平面図である。
【図2】図1に示す本発明の草花植生用シートのA−A’断面図である。
【符号の説明】
1:繊維状物からなる水分散性シート
2: 水溶性物質含有シート
3: 接着しろ
4: 空間
5:草花種子
Claims (1)
- 繊維状物からなる水分散性シートと、該水分散性シート上に設けた水溶性物質含有シートと、草花種子とを有し、該水溶性物質含有シートが、水溶性材料と水不溶性天然素材の繊維とを含み、該水分散性シートと該水溶性物質含有シートが、該水分散性シートと該水溶性物質含有シートとの間に複数の空間を形成するようにパターン状に相互に結合され、該複数の空間に該草花種子が1〜4g/m2の密度で封入されていることを特徴とする草花植生用シート。
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