JP2005295946A - 生分解性植物育成基材及びその固化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
苗植え付け時や施工時に崩壊することのない高い強力を有するセル苗の生分解性植物育成基材、及び/あるいは屋上、法面等の緑化に好適に使用される生分解性植物育成基材を提供する。
【解決手段】
培土基材に、繊維長が0.5mm以上2mm以下、アスペクト比が20〜300、繊維水分率が繊維質量に対し15%以下、捲縮数が6個/cm以下である熱融着性生分解性繊維Aと、繊維長が2mmを超え、15mm以下であり、アスペクト比が20〜1000、繊維水分率が繊維質量に対し15%以下、捲縮数が6個/cm以下である熱融着性生分解性繊維Bを配合してなる生分解性植物育成基材、及び該生分解性植物育成基材を加熱処理して固化する方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、生分解性植物育成基材及びその固化方法に関する。より詳細には、本発明は、強力の高い生分解性植物育成基材及びその固化方法に関するものであり、本発明の生分解性植物育成基材は、特に苗植え付け時や施工時に崩壊することのない強力を有するため、セル苗の植物育成基材、あるいは屋上、法面等の緑化に使用される植物育成基材として適しており、且つ、生分解性を有するために環境に優しいものである。
我が国では、就農人口の減少、就農人員の高齢化などに伴って、農作業の省力化、機械化が進められている。その1つとして、小さな容器で育てた苗を移植機で根鉢ごと容器からから抜き取って、田畑に自動的に植え付ける方法が広く採用されるようになっている。この方法による場合は、通常“セル”、“ポット”などと称されるプラスチック等からなる小さな容器または該小容器を連結して設けたトレーに培土を自動的に土詰めした後に野菜、草花、果樹、樹木などの植物の種子を播いて所定期間育苗するか、或いは種子を加えた培土を前記小さな容器またはそれを連結してなるトレーに自動的に土詰めした後に所定期間育苗し、それを根鉢ごと小容器から抜き取って移植機で田畑に植え付けることが一般に行われている。
根鉢は、培土の自己接着力と植物の根の絡みによる強力でその形を維持しているが、根鉢強力が低く、わずかな衝撃で根鉢の形が崩れてしまい、移植機による苗の植え付けが困難であった。
そこで、移植機による植え付けを可能にするためには、育苗用培土の根鉢強力を向上させる方法が従来から提案されており、そのような従来技術としては、酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体ケン化物、ポリアクリル酸ナトリウム架橋物、ビニルアルコール−アクリル酸共重合体などのようなイオン性吸水性樹脂を培土に混合したもの、培土に寒天ゲル、ベントナイト、澱粉等の結合剤を添加したもの、培土に長さ2〜20mmのセルロース繊維を添加したものなどが知られている(例えば、特許文献1〜3参照。)。これらの従来技術による場合は、ある程度の根鉢強力の向上は認められるものの、未だその効果は十分でなく、根鉢強力をより向上させるためには前記した結合剤を多量に使用する必要があり、多量の結合剤の使用は培土の水捌け性の低下、植物の育成能の低下、コストの上昇などを招き易いものであった。また、通常、紡績用途、あるいは乾式不織布用途に用いられる繊維としては繊維長が25mm以上、水分率が1%未満、捲縮数が4〜10個/cmといった繊維が用いられ、湿式不織布用途には繊維長が3mm〜20mm、水分率が15〜30%、捲縮なしといった繊維が用いられるが、これらの繊維を培土基材と配合しても繊維の分散性が不良であったり、固化後の強力が不足するといった問題を含んでいた。
一方で、我が国では、都市部での緑地面積の減少から特に屋上での緑化事業が進められている。屋上緑化の方法の1つとして主にポリプロピレン製の苗箱に培土を敷き詰め、種苗を育成する方法が取られている。しかしながらこの方法では重量が重いため、取り扱い性、施工性が非常に悪いといった問題が生じている。また、水はけ性が悪いため植物が生育不良を起こすこと、培土の重量プラス水の重量により屋上に大きな負荷がかかることが懸念されている。さらに屋上においては風が強いために培土が飛散するといった問題も有り、その軽減対策として培土の上からネットを覆い被せる方法も取られているが、省力化、およびコストの点から改善が求められているのが現状である。
上述のような状況を鑑み、育苗用培土として熱融着性繊維を用いた固化培土(例えば、特許文献4〜6参照。)や、屋上緑化を目的とした軽量緑化資材(例えば、特許文献7参照。)の提案がなされているが、これらの固化培土、あるいは緑化資材は生分解性を有するものではないため、少なからず土中に蓄積されることが予想され、地球環境に優しいと言えるものではなかった。さらに、生分解性を有する固化培土(例えば、特許文献8参照。)や植生マット(例えば、特許文献9参照。)の提案がなされているが、特にセル苗の容積が10cmを越えるような大きな植物育成基材であったり、屋上緑化、法面緑化、土留め等に使用する大きな平板状や角柱状の植物育成基材の場合には、固化強力が低いために取り扱いにくく、作業性に難があり、施工時に崩壊するといった問題が生じるものであって、十分満足されてないのが現状である。
特開昭58−31919号公報 特開平5−7427号公報 特開平8−130976号公報 特開2002−58339号公報 特開2002−58340号公報 特開2003−339226号公報 特開2002−119130号公報 特開2001−346437号公報 特開2001−333636号公報
本発明の目的は、容積の大きい植物育成基材であっても高い強力を有し、移植機で苗を植え付ける際に根鉢の崩壊が生じず、円滑に植え付けることができ、しかも苗の育成阻害を招くことなく健全に育てることのできる生分解性植物育成基材を提供すること、また、屋上や法面等を緑化する際に軽量で施工性に優れ、しかも施工後の土の飛散防止が可能な生分解性植物育成基材を提供すること、及び該生分解性植物育成基材の固化方法を提供することである。
上記の目的を達成すべく本発明者らは鋭意検討を重ねてきた。その結果、育苗用培土として、通常の培土基材に対して熱融着性繊維の繊維長が0.5mm以上2mm以下、アスペクト比が20〜300、繊維水分率が繊維質量に対し15%以下、捲縮数が6個/cm以下である熱融着性繊維Aと、繊維長が2mmを超え、15mm以下であり、アスペクト比が20〜1000、繊維水分率が繊維質量に対し15%以下、捲縮数が6個/cm以下である熱融着性繊維を培土基材に配合したものを用い、その育苗用培土を加熱処理して育苗用培土に配合した熱融着性繊維を溶融接着させると、強力の高い根鉢が形成されることを見出した。そして、それにより得られる育苗用培土が、移植機などによる植え付けに用いられるセル苗の育成用培土、及び屋上や法面の緑化に使用される苗床として適していて、特に容積が10cm以上の植物育成用容器を用いた場合に強力の高い根鉢が形成され、移植機による植え付け時に根鉢が崩壊せず、植え付け作業を円滑に行え、且つ屋上や法面等への設置の際には軽量で施工性に優れ、しかも施工後に土が飛散し難いものであることを見出した。
そして、その育苗用培土は、苗を健全に育成でき、生育阻害などを生じず、さらにその育苗用培土に配合した熱融着性繊維に生分解性繊維を用いることによって、一定期間後には生分解により崩壊するため、地球環境に優しいものであることを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち本発明は繊維長が0.5mm以上2mm以下、アスペクト比が20〜300、繊維水分率が繊維質量に対し15%以下、捲縮数が6個/cm以下である熱融着性生分解性繊維Aと、繊維長が2mmを超え、15mm以下であり、アスペクト比が20〜1000、繊維水分率が繊維質量に対し15%以下、捲縮数が6個/cm以下である熱融着性生分解性繊維Bを配合したことを特徴とする生分解性植物育成基材であり、好ましくは上記熱融着性生分解性繊維A及び/または熱融着性生分解性繊維Bが、繊維形成性重合体からなる熱融着性を有する生分解性の単独紡糸繊維であることを特徴とする生分解性植物育成基材であり、より好ましくは上記熱融着性生分解性繊維A及び/または熱融着性生分解性繊維Bが、繊維形成性重合体と該繊維形成性重合体よりも融点または軟化点が20℃以上低い熱可塑性重合体とからなる熱融着性を有する生分解性の複合紡糸繊維、及び/または混合紡糸繊維である生分解性植物育成基材である。
また本発明は、さらに好ましくは培土基材が、土とともに、ピートモス及び/またはパーライトを主体とする培土基材である上記の生分解性植物育成基材であり、培土基材と熱融着性生分解性繊維A及び/または熱融着性生分解性繊維Bの配合割合が、質量比で99:1〜70:30である上記の生分解性植物育成基材であり、生分解性植物育成基材中で熱融着性生分解性繊維A及び/または熱融着性生分解性繊維Bが溶融接着されている上記の生分解性植物育成基材である。
そして本発明は、より好ましくは上記の熱融着性生分解性繊維A及び/または熱融着性生分解性繊維Bと培土基材を植物育成用容器に充填し、灌水した後、加熱処理して培土中の熱融着性生分解性繊維A及び/または熱融着性生分解性繊維Bを溶融接着させることを特徴とする生分解性植物育成基材の固化方法に関するものである。
本発明の生分解性植物育成基材は、加熱処理によって植物育成基材中に配合した特定の熱融着性生分解性繊維が溶融接着して、繊維同士の接着または繊維と培土基材中の成分との接着がなされて三次元の網状の補強構造を植物育成基材内に形成するために、強力の高い植物育成基材を形成することができる。その結果、本発明の生分解性植物育成基材は、成型後しばらくは崩壊を生ずることなく、植え付け作業や施工作業を円滑に行うことができる。しかも、本発明の生分解積植物育成基材は、生育阻害などを生ずることなく、植物の苗を健全に育成させることができ、且つ一定期間後には生分解により崩壊するため、地球環境に優しい植物育成基材とすることができる。
以下に本発明について詳細に説明する。本発明の生分解性植物育成基材は、培土基材及び熱融着性生分解性繊維からなる。熱融着性生分解性繊維としては、熱融着性生分解性繊維を配合した培土を加熱処理したときに溶融または軟化して熱融着性生分解性繊維同士が接着し、また熱融着性生分解性繊維と培土基材中の成分との接着がなされるものであればいずれでもよい。そのうちでも、熱融着性生分解性繊維が、加熱処理後もその繊維形状を保ちながら繊維同士の溶融接着状態、及び繊維と培土基材中の成分との溶融接着状態を維持することが、強力の一層高い植物育成基材を形成できる点から好ましい。そのため、熱融着性生分解性繊維としては、加熱処理を施した後、及び植物を育成した後でも一定期間は繊維形態を維持できる融点または軟化点を有する繊維である必要がある。繊維の形態としては、生分解性を有する熱融着性繊維であれば、1成分からなる単独紡糸繊維であっても、複数成分からなる複合紡糸繊維や混合紡糸繊維等であっても構わないが、特に融点または軟化点の高い生分解性繊維形成性重合体(第1成分)と、該生分解性繊維形成性重合体よりも20℃以上低い融点または軟化点を有する生分解性熱可塑性重合体(第2成分)とからなる複合紡糸繊維、及び/または混合紡糸繊維が好ましく用いられ、複合紡糸繊維がより好ましく用いられる。複合紡糸繊維、及び混合紡糸繊維においては、繊維の表面の少なくとも一部、好ましくは繊維表面の80%以上が低融点または低軟化点の生分解性熱可塑性重合体(第2成分)から形成されていることが好ましく、その場合には加熱処理によって繊維の溶融接着(繊維同士の接着、及び繊維と培土基材中の成分との接着)が良好に行われて、より強力の高い植物育成基材が形成可能となる。
前記した生分解性繊維形成性重合体は特に限定されず、たとえば脂肪族ポリエステル(ポリ乳酸系重合体、ポリアルキレンサクシネート系重合体、ヒドロキシカルボン酸系重合体、ポリεカプロラクトン等)などの生分解性繊維形成性重合体が好適に挙げられる。なかでも繊維性能及び生分解性が高いことからポリ乳酸系重合体が好ましく、具体的にはポリ乳酸(乳酸のL体とD体の共重合体であってもよい)や乳酸と他の成分との共重合体(乳酸とヒドロキシカルボン酸等との共重合体等)などが挙げられる。特に上記した複合紡糸繊維、及び混合紡糸繊維を構成する第1成分としてはポリ乳酸(乳酸のL体とD体の共重合体:L体/D体比率=99/1:融点=170℃)が好ましく、低融点または低軟化点の生分解性熱可塑性重合体(第2成分)としてはポリ乳酸(乳酸のL体とD体の共重合体:L体/D体比率=94/6〜80/20:融点または軟化点=150〜100℃)とするのが好ましい。
ポリ乳酸は、たとえばトウモロコシの澱粉から得られる乳酸を重合することにより製造できる。該ポリ乳酸は非酵素的な加水分解反応を基本とし、ある程度加水分解が進行すると微生物や酵素によって分解が促進され、最終的には炭酸ガスと水に分解される安全性の高い繊維であり、本発明において繊維は地中に埋設されることからより優れた生分解性が奏される。本発明の効果を損なわない範囲であれば生分解性繊維形成性重合体以外の重合体を含有していてもかまわないが、繊維の生分解性を高度に確保する点からは生分解性繊維形成性重合体の割合を50質量%以上、特に70質量%以上、さらに90質量%以上とした繊維が好適に使用できる。なお本発明にいう熱融着性生分解性繊維とは、地中に埋設した場合に3ヶ月〜3年程度で形態が崩壊する繊維をいう。
複合紡糸繊維は、周知のように、2種以上の重合体の各々が繊維の長さ方向に途中で途切れることなく連続した状態で互いに接合して1本の繊維(複合繊維)を形成している繊維であり、一般に、その複合形態は繊維の横断面形状から見て、芯鞘型、貼り合わせ型(サイドバイサイド型)またはそれらの混在型などに分けられる。本発明で用いる複合紡糸繊維の複合形態は、それらのいずれであってもよく特に制限されない。そのうちでも、低融点または低軟化点の生分解性熱可塑性重合体(第2成分)を鞘成分とし、高融点または高軟化点の生分解性繊維形成性重合体(第1成分)を芯成分とする芯鞘型の複合紡糸繊維は、全表面が低融点または低軟化点の第2成分から形成されていて溶融接着性に優れているため、好ましく用いられる。
また、混合紡糸繊維は、互いに均一に混ざり合わない2種以上の重合体を紡糸口金から紡出する以前の段階で混合して紡糸することによって形成される繊維であり、2種以上の重合体の1種または2種以上が繊維の長さ方向に途中で途切れながら互いに接合して1本の繊維を形成している繊維であり、繊維の横断面は一般に海島型の構造を有していることが多く、場合によって貼り合わせ型の構造を採ることもある。混合紡糸繊維としては、低融点または低軟化点の生分解性熱可塑性重合体(第2成分)が海成分をなし、高融点または高軟化点の生分解性繊維形成性重合体が島成分をなしている混合紡糸繊維が溶融接着性に優れているため好ましく用いられる。
本発明で用いる熱融着性生分解性繊維の断面形状は特に制限されず、例えば、丸型、三角形型、T型、偏平型、多葉型、V字型、中空型などのいずれの断面形状であってもよい。
本発明で用いる熱融着性生分解性繊維は、熱融着性生分解性繊維Aとして、繊維長が0.5mm以上2mm以下である熱融着性生分解性繊維を使用し、熱融着性生分解性繊維Bとして、繊維長が2mmを超え、15mm以下である熱融着性生分解性繊維を使用することが必要である。さらには、熱融着性生分解性繊維Aの繊維長が1mm〜2mm、熱融着性生分解性繊維Bの繊維長が3mm〜10mmであることが好ましい。ここで、繊維長の異なる2種類以上の熱融着性生分解性繊維を使用するのは、繊維長の短い熱融着性生分解性繊維Aが粒径の小さい培土基材を接着、固化させるために有効であり、繊維長の長い熱融着性生分解性繊維Bが粒径の大きな培土基材を接着、固化させるために有効であることによる。また生分解性育成基材の強力の点から、熱融着性生分解性繊維Aと熱融着性生分解性繊維Bの配合割合が、質量比で90:10〜10:90とすることが好ましく、さらには30:70〜70:30とすることがより好ましい。熱融着性生分解性繊維の繊維長が0.5mm未満であると、容積の大きな植物育成基材とした際に強力が不十分となり、取り扱い性が困難であったり、崩壊が生じ易くなってしまうため、目的とする生分解性植物育成基材が得られない。一方、熱融着性生分解性繊維の繊維長が15mmを超えると、培土基材と混合する際に分散性が不足して繊維塊を形成し易くなり、強力の高い植物育成基材が形成されないほか、容積が大きいとはいえ特にセルなどの容器に充填する際には培土の充填作業が行いにくくなるといった問題を生じる点で好ましくない。
熱融着性生分解性繊維の繊度は、分散性、及び接着性などの点から、0.1〜30dtexとするのが好ましく、特に熱融着性生分解性繊維Aと熱融着性生分解性繊維Bの繊維長の異なる少なくとも2種類の熱融着性生分解性繊維を使用する場合は、熱融着性生分解性繊維Aの繊度を0.1〜10dtex、特に1〜5dtex程度とするのが好ましく、熱融着性生分解性繊維Bの繊度を2〜30dtex、特に5〜15dtex程度とするのが好ましい。
また、本発明で用いる熱融着性生分解性繊維のアスペクト比は、熱融着性生分解性繊維Aのアスペクト比を20〜300とすることが必要であり、50〜100とするのがより好ましい。熱融着性生分解性繊維Aのアスペクト比が20未満であると、強力の高い植物育成基材が形成され難く、一方300を超えると、培土基材に含まれる粒径の小さな成分が接着・固化されにくくなり、強力の高い植物育成基材が形成されにくくなる。また本発明で用いる熱融着性生分解性繊維Bのアスペクト比は20〜1000とすることが必要であり、50〜500とすることがより好ましい。これは、熱融着性生分解性繊維Bのアスペクト比が20未満であると、強力の高い植物育成基材が形成され難く、熱融着性生分解性繊維Bのアスペクト比が1000を超えると、培土基材と混合する際に分散性が不足して繊維塊を形成し易くなり、強力の高い植物育成基材が形成されない他、特にセルなどの容器に充填する際には育苗用培土の充填作業が行いにくくなるといった問題を生じるためである。なお、本明細書でいう熱融着性生分解性繊維のアスペクト比とは、繊維長を繊維径(繊維の外径)で除した値を言う。
本発明で用いる熱融着性生分解性繊維の水分率については、水分率が繊維質量に対し15%以下であることが好ましい。より好ましくは10%以下、さらには5%以下が好ましく使用できる。水分率が15%を超えると、培土基材と混合する際に熱融着性生分解性繊維が単糸に分繊しにくくなり、強力の高い植物育成基材が形成されにくくなる。
本発明で用いる熱融着性生分解性繊維の捲縮数については、1cmあたりの捲縮個数が6個以下である熱融着性生分解性繊維が好ましく用いられる。より好ましくは1cmあたりの捲縮個数が4個以下、さらには2個以下の熱融着性生分解性繊維が好ましく用いられる。捲縮個数が6個/cm超えると培土基材と混合する際に熱融着性生分解性繊維が繊維塊を生じ易くなり、強力の高い植物育成基材が形成されない他、特にセルなどの容器への培土の充填作用が行いにくくなるといった現象が生じるため好ましくない。
本発明に用いる培土基材の種類は特に制限されず、育成する植物の種類などに応じて、従来と同様のものを使用することができる。そのうちでも、本発明では、培土基材として、赤玉土、鹿沼土、日向土、山砂、川砂、桐生砂、田土、軽石などのいわゆる土(天然土)、人工粒状培土、及び/またはピートモス、ココピート、水苔、腐葉土、パーク堆肥、亜炭、モミガラ、薫炭、炭粉、ふすまなどの有機質資材を少なくとも配合するのが好ましい。なかでも、安価で且つ取り扱い性が良好であって、植物育成用容器から取り出し易い、ピートモスを主体とする培土基材が好ましく用いられる。勿論、所望により、パーライト、バーミキュライト、ロックウール、ゼオライト、鉱滓などの無機質資材、ポリエチレングリコール系湿潤剤などの湿潤剤、無機質肥料、有機質肥料、化学堆肥などの肥料などを更に配合してもかまわない。例えば、バーミキュライトや湿潤剤を配合することにより、水捌け性や保温性を適正に調整でき、肥料は種子、及び苗の育成に寄与する。
培土基材の好ましい例としては、前記したような天然土に、ピートモスなどの有機資材、バーミキュライトなどの無機資材、湿潤剤、及び肥料を配合した培土基材が挙げられる。一般的には、土100質量部に対して、ピートモスなどの天然資材を10〜800質量部、バーミキュライトなどの無機資材を10〜500質量部、湿潤剤を0.1〜1質量部、肥料を0.1〜2質量部の割合で配合するのがよい。これとは別に水捌け性の良い土壌を好む植物においては、パーライトを主体とした培土基材が好適に用いられる。勿論、この場合においても、所望により、上記のような有機質資材、ポリエチレングリコール系湿潤剤などの湿潤剤、無機質肥料、有機質肥料、化学堆肥などの肥料などを更に配合してもかまわない。
本発明の生分解性植物育性基材では、培土基材と熱融着性生分解性繊維の配合割合が、質量比で99:1〜70:30であることが好ましく、98:2〜85:15であることがより好ましく、95:5〜90:10であることが更に好ましい。植物育成用基材の全質量に基づいて、熱融着性生分解性繊維の配合割合が1質量%未満であると十分な強力が得られないため、僅かな衝撃や外力で形が崩れ易くなり、一方30質量%を超えると熱融着性生分解性繊維と培土基材の混合時に繊維塊を生じて、熱融着性生分解性繊維が培土基材中に均一に分散されなくなって、ポット、セル、トレー、苗箱などの植物育成用容器への土詰め作業が円滑に行われにくくなり、しかもコストが高くなる。
本発明の生分解性植物育成機材を得るための植物育成用容器の種類、形状、構造などは特に制限されないが、例えばセルの場合であれば、そのサイズとしては、上部穴径が20mm以上、深さが20mm以上、容積が10cm以上のセルが好ましく用いられる。より好ましくは上部穴径が50mm以上、深さが40mm以上、容積が100cm以上のセルが好ましく用いられる。また、何ら限定されるものではないが、例えば、2cm×2cm×2.5cm以上の角型の植物育成用容器等も好適に使用できる。これらの植物育成用容器に培土基材と熱融着性生分解性繊維の混合培土を土詰めした後、植物育成用容器に灌水してから加熱処理を行う方法などを採用することができる。
本発明の熱融着性生分解性繊維と培土基材の混合培土に加熱処理を施して、培土中に配合されている熱融着性生分解性繊維を溶融または軟化させることによって、熱融着性生分解性繊維同士の接着、及び熱融着性生分解性繊維と培土基材中の成分との接着が行われて、培土内に三次元の網目状補強構造が形成されて培土が固化され、その形状保持性が増し、強力の高い植物育成基材が得られる。
熱融着性生分解性繊維と培土基材の混合培土の加熱処理は、培土に灌水せずにそのまま直接行ってもよいが、培土に灌水した後に加熱処理を行うことが好ましい。培土に灌水した後に加熱処理を行うと、培土中に含まれる熱融着性生分解性繊維を短時間で均一に溶融接着することができて、全体的に均整のとれた強力を有する植物育成基材が形成される。しかも、加熱処理後の灌水された植物育成基材に植物の種子をそのまま直接播いて育苗することができる。
加熱処理時の灌水の程度は、培土を構成している培土基材、熱融着性生分解性繊維の種類、培土の組成、培土自体の水分含量などに応じて調節し得るが、一般的には、飽和の状態(毛管連絡切断点以上の含水状態)になる程度に灌水することが好ましい。
また、加熱処理温度は、熱融着性生分解性繊維における熱溶融成分の融点または軟化点に応じて選択することができ、熱融着性生分解性繊維における熱融着成分の融点または軟化点からそれよりも10℃高い温度の範囲内で行うことが好ましい。
加熱の方法、及び装置は特に制限されず、培土全体を所定の温度に均一に加熱し得る方法、及び装置であればいずれでもよい。100℃以上の温度で加熱処理する場合は、オートクレーブを用いて行うことが好ましい。
本発明の生分解性植物育成基材は比較的大きな箱などに充填して加熱処理し、そのまま屋上や法面等に施工しても構わないし、加熱処理後に、それをセル、ポット、トレー、苗箱などの植物育成用容器に詰め得る適当な大きさに切断して、その形状を保持させながら植物育成用容器に詰めてもよい。
本発明の生分解性植物育成基材の強力特性は、該植物育成基材で育成する苗の種類、苗自体の根の繁茂力、該植物育成基材の大きさ、移植機の形式などに応じて異なり得るが、例えば、充填密度が0.3g/cmとなるよう植物育成容器に培土基材と生分解性熱融着繊維を充填し、加熱処理することにより熱融着性生分解性繊維を溶融接着せしめて生分解性植物育成基材を成形した際、該植物育成基材の圧縮応力が15kN以上であることが好ましく、より好ましくは18kN以上であり、さらには20kN以上であることが好ましい。加熱処理後の生分解性植物育成基材の圧縮応力が10kN未満であると、強力が不足し、植え付け作業時、あるいは屋上や法面への施工時の取り扱い性が低下したものになり易い。
但し、ここでいう圧縮応力は加熱処理して得られた生分解性植物育成基材の中央部に面積2cm2の円形加圧板を載せて10mm/minの速度で下降させ、該円形加圧板が10mm下降した時の荷重(最大荷重)(kN)を示す。
本発明の生分解性植物育成基材への播種は種子が加熱処理時の加熱温度に耐え得るものであれば加熱処理前に行ってもよいが、育苗用培土を加熱処理して育苗用培土中の熱融着性繊維の溶融接着を行った後に種を播くのが好ましい。加熱処理前に種子を播くと、加熱処理時の高温により、種子の変質、死滅などを生じて、発芽しなかったり、発芽しても発育不良などを生ずる場合が多い。培土に灌水した後に加熱処理する場合は、加熱処理後の灌水状態にある生分解性植物育成基材に再度灌水することなく種子をそのまま直接播くことができる。しかし、必要であれば、播種時に更に灌水してもよい。また、本発明の生分解性植物育成基材は、種子を播種するだけではなく、挿し木などにも用いることができる。生分解性植物育成基材へ挿し木を行い、播種時などと同様に取り扱えばよい。さらには、平板状の生分解性植物育成基材を作成し、これに種子を播種したセル状の生分解性植物育成基材をセットして屋上や法面等に施工することも可能である。
本発明の生分解性植物育成用基材へ播種するのに適応する植物としては、切り花用途にはキンギョソウ、ブプレウルム、ユーストマ、ストック、アネモネ、カンパニュラ、ダリア、スカピオサ、デルフィニウム、ラークスパー、ニゲラ、ハナシノブ、ブルーレースフラワー、マトリカリア、シンテッポウユリ、リモニウムシニュアータ、オキシペタルム、クラスペディア、ユウギリソウ等が挙げられる。鉢物、苗物、花壇用途には、アゲラタム、イソトマ、インパチェンス、エキザカム、ガーベラ、ガザニア、カルセオラリア、クリサンセマム、コリウス、サルビア、シザンサス、シネラリア、ゼラニウム、トレニア、パンジー、ビンカ、プリムラ、ペチュニア、ベコニア、マリーゴールド、ラナンキュラス、カーネーション等が挙げられる。野菜セル苗用途には、セルリー、ビート、ネギ、タマネギ、ニラ、キャベツ、コールラピ、メキャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、ハクサイ、ツケナ、ゴマ、フダンソウ、シュンギク、ミツバ、シソ、ホウレンソウ、レタス、アスパラガス、パセリ、エンダイブ、リーキ等が挙げられる。果菜セル苗用途にはメロン、ピーマン、キュウリ、スイカ、カボチャ、トウガン、キンシウリ、トマト、ナス、オクラ、スイートコーン、インゲン、エンドウ、エダマメ、ソラマメ等が挙げられる。さらには、屋上緑化用途、法面緑化用途、及び/または土留め用資材用途等として、針葉樹、広葉樹等の大型植物の種子を播種したり、メキシコ万年草、ツル万年草、オノ万年草、マルバ万年草、サカサ万年草、スプリューム、コーラルカーペット、キリンソウ等の多肉植物を播種することも可能であり、生分解性植物育成基材を施工後にセル苗をセットして育成することも可能である。また、本発明の生分解性植物育成基材へ挿し木するのに適応する植物としては、キク、カーネーション、宿根カスミソウ等の挿し木繁殖できる植物が挙げられる。また、培土基材としては前述の切り花用途、花壇用途、野菜セル苗用途、果菜セル苗用途にはピートモスを主体とする培土基材が適しており、屋上緑化用途、法面緑化用途、及び/または土留め用資材用途にはピートモス、パーライト、バーミキュライトを混合した培土基材が適しており、挿し木するのに適応する植物を繁殖させる場合にはパーライトを主体とする培土基材が好適に用いられる。
以下に実施例などにより本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されるものではない。以下の例において、生分解性植物育成基材の圧縮応力の測定は次のようにして行った。
(1)生分解性植物育成基材の圧縮応力:
(i) 培土基材と熱融着性生分解性繊維を混合し、充填密度が0.3g/cmとなるよう植物育成用容器(上部孔径=65mm、深さ=80mm、容積=160cm)に充填し、加熱処理することにより熱融着性生分解性繊維を溶融接着せしめてセル状の生分解性植物育成基材を成形した。
(ii)圧縮試験機(カトーテック株式会社製「ハンディー圧縮試験機:KES−G5」)を用いて、該生分解性植物育成基材の中央部に面積2cm2の円形加圧板を載せ、10mm/minの速度で下降させて、該円形加圧板が10mm下降した時の荷重(最大荷重)(kN)を測定した。
(2)生分解性植物育成基材の生分解性試験;
(i) 培土基材と熱融着性生分解性繊維を混合し、充填密度が0.3g/cmとなるよう植物育成用容器(縦=30cm、横=30cm、深さ=5cm、容積=4500cm)に充填し、加熱処理することにより熱融着性生分解性繊維を溶融接着せしめてセル状の生分解性植物育成基材を成形した。
(ii)得られた生分解性植物育成基材にツル万年草を植え付け、屋外に設置し、3ヵ月後、半年後、1年後に生分解性植物育成基材を手で持ち上げ、崩壊のしやすさを3段階で評価した(○:ほとんど崩壊し手で持ち上げられない、△:手で持ち上げるのは困難で部分崩壊する、×:手で持ち上げることが可能で崩壊しない)。
また、以下の実施例または比較例で用いた熱融着性生分解性繊維、及び熱融着性繊維の内容と略号は次のとおりである。
○熱融着性生分解性繊維I:
芯成分がポリ乳酸(L体/D体=99/1)、及び鞘成分がポリ乳酸(L体/D体=88/12)よりなる芯鞘型複合繊維(芯成分:鞘成分の質量比=1:1、鞘成分の軟化温度=125℃、芯成分の融点=170℃、単繊維繊度=2.2dtex、繊維長=1mm、アスペクト比=70、水分率=12%、捲縮個数=0個/cm(非捲縮))。
○熱融着性生分解性繊維II:
芯成分がポリ乳酸(L体/D体=99/1)、及び鞘成分がポリ乳酸(L体/D体=88/12)よりなる芯鞘型複合繊維(芯成分:鞘成分の質量比=1:1、鞘成分の軟化温度=125℃、芯成分の融点=170℃、単繊維繊度=2.2dtex、繊維長=5mm、アスペクト比=350、水分率=12%、捲縮個数=0個/cm(非捲縮))。
○熱融着性生分解性繊維III:
ポリ乳酸(L体/D体=88/12)よりなる単独繊維(軟化温度=125℃、単繊維繊度=1.7dtex、繊維長=1mm、アスペクト比=80、水分率=12%、捲縮個数=0個/cm(非捲縮))。
○熱融着性生分解性繊維IV:
ポリ乳酸(L体/D体=88/12)よりなる単独繊維(軟化温度=125℃、単繊維繊度=1.7dtex、繊維長=5mm、アスペクト比=400、水分率=12%、捲縮個数=0個/cm(非捲縮))。
○熱融着性生分解性繊維V:
芯成分がポリ乳酸(L体/D体=99/1)、及び鞘成分がポリ乳酸(L体/D体=88/12)よりなる芯鞘型複合繊維(芯成分:鞘成分の質量比=1:1、鞘成分の軟化温度=125℃、芯成分の融点=170℃、単繊維繊度=2.2dtex、繊維長=5mm、アスペクト比=350、水分率=20%、捲縮個数=0個/cm(非捲縮))。
○熱融着性生分解性繊維VI:
芯成分がポリ乳酸(L体/D体=99/1)、及び鞘成分がポリ乳酸(L体/D体=88/12)よりなる芯鞘型複合繊維(芯成分:鞘成分の質量比=1:1、鞘成分の軟化温度=125℃、芯成分の融点=170℃、単繊維繊度=2.2dtex、繊維長=5mm、アスペクト比=350、水分率=12%、捲縮個数=8個/cm(捲縮))。
○熱融着性繊維VII:
芯成分がポリエチレンテレフタレート、及び鞘成分がイソフタル酸45モル%共重合ポリエチレンテレフタレートよりなる芯鞘型複合繊維(芯成分:鞘成分の質量比=1:1、鞘成分の軟化温度=110℃、芯成分の融点=260℃、単繊維繊度=1.7dtex、繊維長=1mm、アスペクト比=80、水分率=12%、捲縮個数=0個/cm(非捲縮);株式会社クラレ製「N−720」)
○熱融着性繊維VIII:
芯成分がポリエチレンテレフタレート、及び鞘成分がイソフタル酸45モル%共重合ポリエチレンテレフタレートよりなる芯鞘型複合繊維(芯成分:鞘成分の質量比=1:1、鞘成分の軟化温度=110℃、芯成分の融点=260℃、単繊維繊度=2.2dtex、繊維長=5mm、アスペクト比=350、水分率=12%、捲縮個数=0個/cm(非捲縮);株式会社クラレ製「N−720」)
さらに、以下の実施例、及び比較例で用いた培土基材の内容は次のとおりである。
○培土基材:
土(赤玉土)40質量部にピートモス10質量部、パーライト40質量部、及びバーミキュライト10質量部を混合して得た混合物100質量部に対して、湿潤剤(ポリエチレングリコール)を0.01質量部、及び肥料(チッソ旭肥料株式会社製「低度化成肥料アサヒマイクロポーラス」)を0.5質量部配合して培土基材とした。
《実施例1》
(1)上記の培土基材を90質量部、熱融着性生分解性繊維Iを5質量部、及び生分解性熱融着繊維IIを5質量部、ミキサー容器に入れ、撹拌して育苗用培土を調製した。
(2)上記(1)で得られた育苗用培土をポット(上部孔径=65mm、深さ=80mm、容積=160cm)に充填(土詰め)した後、このポットに40cc/1ポットの量で灌水し、それをオートクレーブ中で130℃、10分間加熱処理した。
(3)これにより得られた植物育成基材をポットから抜き取ったところ、根鉢の崩壊が生じず、取り扱い性に優れていた。圧縮応力、及び生分解性試験結果を表1に示す。
《実施例2》
(1)上記の培土基材を90質量部、熱融着性生分解性繊維Iを8質量部、熱融着性生分解性繊維IIを2質量部、ミキサー容器に入れ、撹拌して育苗用培土を調製した。
(2)上記(1)で得られた育苗用培土をポット(上部孔径=65mm、深さ=80mm、容積=160cm)に充填(土詰め)した後、このポットに40cc/1ポットの量で灌水し、それをオートクレーブ中で110℃、15分間加熱処理した。
(3)これにより得られた植物育成基材をポットから抜き取ったところ、根鉢の崩壊が生じず、取り扱い性に優れていた。圧縮応力、及び生分解性試験結果を表1に示す。
《実施例3》
(1)上記の培土基材を90質量部、熱融着性生分解性繊維Iを2質量部、熱融着性生分解性繊維IIを8質量部、ミキサー容器に入れ、撹拌して育苗用培土を調製した。
(2)上記(1)で得られた育苗用培土をポット(上部孔径=65mm、深さ=80mm、容積=160cm)に充填(土詰め)した後、このポットに40cc/1ポットの量で灌水し、それをオートクレーブ中で110℃、15分間加熱処理した。
(3)これにより得られた植物育成基材をポットから抜き取ったところ、根鉢の崩壊が生じず、取り扱い性に優れていた。圧縮応力、及び生分解性試験結果を表1に示す。
《実施例4》
(1)上記の培土基材を95質量部、熱融着性生分解性繊維Iを2.5質量部、熱融着性生分解性繊維IIを2.5質量部、ミキサー容器に入れ、撹拌して育苗用培土を調製した。
(2)上記(1)で得られた育苗用培土をポット(上部孔径=65mm、深さ=80mm、容積=160cm)に充填(土詰め)した後、このポットに40cc/1ポットの量で灌水し、それをオートクレーブ中で110℃、15分間加熱処理した。
(3)これにより得られた植物育成基材をポットから抜き取ったところ、根鉢の崩壊が生じず、取り扱い性に優れていた。圧縮応力、及び生分解性試験結果を表1に示す。
《実施例5》
(1)上記の培土基材を80質量部、熱融着性生分解性繊維IIIを5質量部、熱融着性生分解性繊維IVを15質量部、ミキサー容器に入れ、撹拌して育苗用培土を調製した。
(2)上記(1)で得られた育苗用培土をポット(上部孔径=65mm、深さ=80mm、容積=160cm)に充填(土詰め)した後、このポットに40cc/1ポットの量で灌水し、それをオートクレーブ中で110℃、15分間加熱処理した。
(3)これにより得られた植物育成基材をポットから抜き取ったところ、根鉢の崩壊が生じず、取り扱い性に優れていた。圧縮応力、及び生分解性試験結果を表1に示す。
《比較例1》
(1)熱融着性繊維を配合せずに上記の培土基材のみを育苗用培土として用いた。
(2)上記(1)で得られた育苗用培土をポット(上部孔径=65mm、深さ=80mm、容積=160cm)に充填(土詰め)した後、このポットに40cc/1ポットの量で灌水し、それをオートクレーブ中で110℃、15分間加熱処理した。
(3)これにより得られた植物育成基材をポットから抜き取ろうとしたが、崩壊してしまった。
《比較例2》
(1)上記の培土基材を90質量部、熱融着性繊維VIIを5質量部、及び熱融着繊維VIIIを5質量部、ミキサー容器に入れ、撹拌して育苗用培土を調製した。
(2)上記(1)で得られた育苗用培土をポット(上部孔径=65mm、深さ=80mm、容積=160cm)に充填(土詰め)した後、このポットに40cc/1ポットの量で灌水し、それをオートクレーブ中で110℃、15分間加熱処理した。
(3)これにより得られた植物育成基材をポットから抜き取ったところ、根鉢の崩壊が生じず、取り扱い性に優れていたが、表1の生分解性試験結果に示すように、1年経過してもほとんど崩壊がみられなかった。
《比較例3》
(1)上記の培土基材を90質量部、熱融着性生分解性繊維Iを10質量部、ミキサー容器に入れ、撹拌して育苗用培土を調製した。
(2)上記(1)で得られた育苗用培土をポット(上部孔径=65mm、深さ=80mm、容積=160cm)に充填(土詰め)した後、このポットに40cc/1ポットの量で灌水し、それをオートクレーブ中で110℃、15分間加熱処理した。
(3)これにより得られた植物育成基材をポットから抜き取ろうとしたが、固化強力が低いため根鉢に一部崩壊が生じ、非常に取り扱いが困難であった。
《比較例4》
(1)上記の培土基材を90質量部、熱融着性生分解性繊維IIを10質量部、ミキサー容器に入れ、撹拌して育苗用培土を調製した。
(2)上記(1)で得られた育苗用培土をポット(上部孔径=65mm、深さ=80mm、容積=160cm)に充填(土詰め)した後、このポットに40cc/1ポットの量で灌水し、それをオートクレーブ中で110℃、15分間加熱処理した。
(3)これにより得られた植物育成基材をポットから抜き取ろうとしたが、固化強力が低いため根鉢に一部崩壊が生じ、非常に取り扱いが困難であった。
《比較例5》
(1)上記の培土基材を85質量部、熱融着性生分解性繊維IVを15質量部、ミキサー容器に入れ、撹拌して育苗用培土を調製した。
(2)上記(1)で得られた育苗用培土をポット(上部孔径=65mm、深さ=80mm、容積=160cm)に充填(土詰め)した後、このポットに40cc/1ポットの量で灌水し、それをオートクレーブ中で110℃、15分間加熱処理した。
(3)これにより得られた植物育成基材をポットから抜き取ろうとしたが、固化強力が低いため根鉢に一部崩壊が生じ、非常に取り扱いが困難であった。
《比較例6》
(1)上記の培土基材を90質量部、熱融着性生分解性繊維Iを2質量部、熱融着性生分解性繊維Vを8質量部、ミキサー容器に入れ、撹拌して育苗用培土を調製した。
(2)上記(1)で得られた育苗用培土をポット(上部孔径=65mm、深さ=80mm、容積=160cm)に充填(土詰め)した後、このポットに40cc/1ポットの量で灌水し、それをオートクレーブ中で110℃、15分間加熱処理した。
(3)これにより得られた植物育成基材をポットから抜き取ろうとしたが、熱融着性生分解性繊維Vが培土中で均一に分散しないため、固化強力が低く崩壊してしまった。
《比較例7》
(1)上記の培土基材を90質量部、熱融着性生分解性繊維Iを2質量部、熱融着性生分解性繊維VIを8質量部、ミキサー容器に入れ、撹拌して育苗用培土を調製した。
(2)上記(1)で得られた育苗用培土をポット(上部孔径=65mm、深さ=80mm、容積=160cm)に充填(土詰め)した後、このポットに40cc/1ポットの量で灌水し、それをオートクレーブ中で110℃、15分間加熱処理した。
(3)これにより得られた植物育成基材をポットから抜き取ろうとしたが、熱融着性生分解性繊維VIが培土中で均一に分散しないため、固化強力が低く崩壊してしまった。
Figure 2005295946
上記の表1の結果から、繊維長が0.5mm以上2mm以下、アスペクト比が20〜300、繊維水分率が繊維質量に対し15%以下、捲縮数が6個/cm以下である熱融着性生分解性繊維Aと、繊維長が2mmを超え、15mm以下であり、アスペクト比が20〜1000、繊維水分率が繊維質量に対し15%以下、捲縮数が6個/cm以下である熱融着性生分解性繊維Bを配合してなる実施例1〜5の植物育成基材は、加熱処理して熱融着性生分解性繊維を溶融接着することによって、より強力の高い植物育成基材とすることができ、取り扱い性に優れていることがわかる。また、生分解性試験においても、実施例1〜5の植物育成基材は半年〜1年するとほとんど崩壊するものであり、生分解性に優れるものであった。
一方、熱融着性繊維を含有しない比較例1の植物育成基材では、加熱処理を施した後でも強力の高い根鉢が形成されず、取り扱い性に劣っていることがわかる。
また繊維長が0.5mm以上2mm以下、アスペクト比が20〜300、繊維水分率が繊維質量に対し15%以下、捲縮数が6個/cm以下である熱融着性繊維VIIと、繊維長が2mmを超え、15mm以下であり、アスペクト比が20〜1000、繊維水分率が繊維質量に対し15%以下、捲縮数が6個/cm以下である熱融着性繊維VIIIを配合してなる比較例2の植物育成基材は、加熱処理して熱融着性繊維を溶融接着することによって、強力の高い植物育成基材とすることができ、取り扱い性に優れているが、生分解性を有していないことから、1年後もほとんど崩壊しておらず、地球環境に優しいとはいえない。
さらに培土基材に熱融着性生分解性繊維を1種類のみ配合してなる比較例3〜5、および水分率が15%よりも高い熱融着性生分解性繊維Vを配合してなる比較例6、捲縮数が6個/cmよりも大きい熱融着性生分解性繊維VIを配合してなる比較例7の植物育成基材は培土中で熱融着性生分解性繊維が均一に分散しないため、加熱処理を施した後でも固化強力が低く、根鉢が一部崩壊を生じ、取り扱い性に劣っていた。
本発明は、容積の大きい植物育成基材であっても高い強力を有し、移植機で苗を植え付ける際に根鉢の崩壊が生じず、円滑に植え付けることができ、しかも苗の育成阻害を招くことなく健全に育てることのできる生分解性植物育成基材を提供することが可能となる。また、屋上や法面等を緑化する際に軽量で施工性に優れ、しかも施工後の土の飛散防止が可能な生分解性植物育成基材を提供すること、及び該生分解性植物育成基材の固化方法を提供することが可能となる。
本発明における生分解性植物育成基材の圧縮応力の測定方法を示す図である。
符号の説明
a 生分解性植物育成基材(加熱処理したもの)
b 支持台
c 加圧板
d 加重検出部

Claims (7)

  1. 繊維長が0.5mm以上2mm以下、アスペクト比が20〜300、繊維水分率が繊維質量に対し15%以下、捲縮数が6個/cm以下である熱融着性生分解性繊維Aと、繊維長が2mmを超え、15mm以下であり、アスペクト比が20〜1000、繊維水分率が繊維質量に対し15%以下、捲縮数が6個/cm以下である熱融着性生分解性繊維Bを配合したことを特徴とする生分解性植物育成基材。
  2. 熱融着性生分解性繊維A及び/または熱融着性生分解性繊維Bが、繊維形成性重合体からなる熱融着性を有する生分解性の単独紡糸繊維であることを特徴とする請求項1に記載の生分解性植物育成基材。
  3. 熱融着性生分解性繊維A及び/または熱融着性生分解性繊維Bが、繊維形成性重合体と、該繊維形成性重合体よりも融点または軟化点が20℃以上低い熱可塑性重合体とからなる熱融着性を有する生分解性の複合紡糸繊維、及び/または混合紡糸繊維である請求項1に記載の生分解性植物育成基材。
  4. 培土基材が、土とともに、ピートモス及び/またはパーライトを主体とする培土基材である請求項1〜3のいずれか1項に記載の生分解性植物育成基材。
  5. 培土基材と、熱融着性生分解性繊維A及び/または熱融着性生分解性繊維Bの配合割合が、質量比で99:1〜70:30である請求項1〜4のいずれか1項に記載の生分解性植物育成基材。
  6. 生分解性植物育成基材中で熱融着性生分解性繊維A及び/または熱融着性生分解性繊維Bが溶融接着されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の生分解性植物育成基材。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱融着性生分解性繊維A及び/または熱融着性生分解性繊維Bと培土基材を植物育成用容器に充填し、灌水した後、加熱処理して培土中の熱融着性生分解性繊維A及び/または熱融着性生分解性繊維Bを溶融接着させることを特徴とする生分解性植物育成基材の固化方法。
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