JP3847198B2 - 静電チャック - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CVD、PVD、スパッタリング、SOD、SOG等の成膜装置やエッチング装置において、半導体ウエハ等のウエハを吸着保持する静電チャックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体デバイスを製造する、CVD、PVD、スパッタリング、SOD、SOG等の成膜工程では、被処理物である半導体ウエハ(以下、ウエハという)に均一でかつ均質な被覆膜を成膜する必要があり、また、エッチング工程では、成膜した被覆膜に均一な深さでエッチングを施す必要があることから、ウエハを精度良く保持するために静電チャックが使用されている。
【0003】
ところで、近年、半導体デバイスの内部配線がアルミニウムから銅に置き換わりつつあり、銅配線ではウエハを高温に加熱する必要がないことから、室温付近でウエハを吸着する静電チャックが要求されている。
【0004】
そこで、室温付近で大きく吸着力が得られる静電チャックとして図3に示すような静電チャック50が提案されている。
【0005】
この静電チャック50は、基板51上に絶縁膜52を備えるとともに、絶縁膜52上に一対の静電吸着用電極53を備え、これら一対の静電吸着用電極53を覆うように絶縁膜52上に、1010〜1014Ω・mの体積固有抵抗を有する誘電体膜54を配置したもので、誘電体膜54の上面を吸着面55としたものであった(特開平4−3956号公報参照)。
【0006】
そして、この静電チャック50によりウエハWを吸着保持するには、吸着面55にウエハWを載せ、一対の静電吸着用電極53間に電圧を印加することによりウエハWと吸着面55との間に作用する静電気力(漏れ電流によるジョンソン・ラーベック力)によってウエハWを吸着面55に倣って吸着保持するようになっていた。
【0007】
ところが、半導体デバイスの高機能性と高密度化の要求から配線のサイズは毎年微細化されており、このような半導体デバイスを製造するには静電チャックの静電吸着用電極とウエハとの間に流れる漏れ電流をさらに小さくすることが要求されている。
【0008】
また、半導体製造工程において、各種加工処理のスループットの向上は半導体産業の最重要課題であることから、吸着力を低下させることなく、静電チャックの残留吸着力を小さくし、ウエハを短時間で離脱させることが要求されている。
【0009】
しかしながら、図3に示す静電チャック50では漏れ電流量及びウエハWの離脱時間を低減することは難しいものであった。
【0010】
そこで、漏れ電流の低減と離脱時間の短縮を目的とした静電チャックとして次のようなものが提案されている。
【0011】
例えば、実開平4−131193号公報には、図4に示すように、静電吸着用電極63上に、抵抗値の小さい絶縁材61(例えばTiO2入りのアルミナ:固有抵抗1014Ω・m)を設けるとともに、絶縁材61の外周に抵抗値の大きい絶縁材62(例えばアルミナ:固有抵抗1018Ω・m)を設け、この絶縁材62の頂面を絶縁材61の上面より突出させるように構成した静電チャック60が開示されている。
【0012】
この静電チャック60によれば、絶縁材62の頂面にウエハWの周縁を載せ、ウエハWと静電吸着用電極63との間に通電してウエハWと絶縁材上面との間に静電気力(クーロン力)を発生させることによりウエハWを吸着保持させる構造であるため、抵抗値の小さい絶縁材61に流れる漏れ電流がウエハWに流れ難く、また、ウエハWと静電吸着用電極63との間の通電を止めると、電荷は殆ど残らないため、ウエハWを短時間で離脱させることができるようになっていた。
【0013】
また、特開平11−251417号公報には、図5に示すように、一対の静電吸着用電極73を埋設した絶縁基板72上に絶縁層71を設けるとともに、この絶縁層上面に、複数の導電層74を所定の間隔で設け、これら導電層74の頂面を吸着面75とした静電チャック70が開示されている。
【0014】
この静電チャック70によれば、ウエハWを吸着面75に載せ、一対の静電吸着用電極73間に電圧を印加してウエハWと静電吸着用電極73との間に静電気力を発生させることによりウエハWを吸着保持させる構造であるため、漏れ電流の発生が殆どなく、また、ウエハWと静電吸着用電極73との間の通電を止めると、電荷は殆ど残らないため、ウエハWを短時間で離脱させることができるようになっていた。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図4に示す静電チャック60は、ウエハWの周縁のみを保持する構造であることから、ウェハWの中央が下に凸となるような反りが発生し、さらに電極63とウェハWの間に電圧を印加し、ウェハWを吸着させる静電気力を発生させると、ウエハWの中央が下凸となるようにさらに反るため、ウエハWを精度良く吸着保持することができないといった課題があった。
【0016】
しかも、ウエハWと絶縁材上面との間に静電気力を発生させる場合、その間の距離は極めて小さく、それ故、下に凸に反ったウエハWの一部が絶縁材61の上面と接触し、その結果、絶縁材61を流れる漏れ電流がウエハWに流れ易くなり、ウエハW上のデバイスを破損する恐れがあった。
【0017】
一方、図5に示す静電チャック70は、同一高さに揃えられた導電層74の頂面にウエハWを保持する構造であることから、ウエハWに大きな反りを発生させることなく比較的精度良く吸着保持することができるものの、この静電チャック70における吸着力は、静電吸着用電極73とウエハWとの間でのクーロン力によるものであり、これらの距離が長いために大きな吸着力を発生させることが難しいといった課題があった。
【0018】
その為、いずれの静電チャック60,70も、50℃程度の室温付近において、静電吸着用電極63,73に500Vの電圧を印加した時、吸着力を4kPa以上、漏れ電流を1.0mA以下とし、かつ静電吸着用電極63,73への通電を止めれば5秒以内にウエハWを離脱させることは難しいものであった。
【0019】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、絶縁基板と、この絶縁基板上に設けた静電吸着用電極と、これら一対の静電吸着用電極を覆うように上記絶縁基板上に接合一体化した誘電体層とを有し、上記誘電体層の上面に複数の凹部を備え、該凹部内に上記誘電体層上面より1〜20μmの範囲で突出する凸部を設け、これら凸部頂面をウエハの保持面とするとともに、該頂面の面積が0.008〜0.07cm であって、該頂面が占める占有面積が上記ウエハの面積の10〜40%であり、上記誘電体層の体積固有抵抗値を1011〜1013Ω・mとし、かつ上記凸部が体積固有抵抗値が10 15 Ω・m以上である絶縁性のセラミック焼結体からなり上記凸部の体積固有抵抗値を上記誘電体層の体積固有抵抗値よりも高く、上記凸部の頂面に、体積固有抵抗値が10 13 Ω・m以下の低抵抗層を設け、該低抵抗層の頂面を吸着面とした静電チャックを構成したことを特徴とする。
【0020】
なお、上記凸部の体積固有抵抗値は1015Ω・m以上とすることが好ましく、さらに上記凸部の頂面に体積固有抵抗値が1013Ω・m以下の低抵抗層を設け、この低抵抗層の頂面を吸着面としても構わない。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0022】
図1は本発明の静電チャックの一実施形態を示す図で、(a)はその平面図、(b)は(a)のX−X線断面図である。
【0023】
この静電チャック1は、セラミックスからなる絶縁基板3上に、一対の静電吸着用電極4を備え、これら一対の静電吸着用電極4を覆うように上記絶縁基板3上に、セラミックスからなる誘電体層2を接合一体化してなり、上記誘電体層2には、複数の凹部2aを所定の間隔で備え、これら凹部2a内に上記誘電体層上面6より1〜20μmの突出量Tで突出するセラミック製のの凸部5を設け、これら凸部頂面を吸着面7としたもので、上記誘電体層2を形成するセラミックスの−50℃〜100℃における体積固有抵抗を1011〜1013Ω・mとするとともに、上記凸部5を形成するセラミックスの−50℃〜100℃における体積固有抵抗を、誘電体層2よりも大きくしてあり、特に1015Ω・m以上とすることが好ましい。
【0024】
静電吸着用電極4は、吸着保持するウエハWと略同等の大きさで形成してあり、上記凹部2aは静電吸着用電極4が占める占有領域内に分布させてある。
【0025】
その為、吸着面7にウエハWを載せ、一対の静電吸着用電極4間に電圧を印加すれば、1011〜1013Ω・mの体積固有抵抗を有する誘電体層2内には微小電流が流れ、ウエハWと誘電体層上面6とで形成される空間を誘電層として大きなクーロン力を発生させることができるため、ウエハWを吸着面上に吸着保持することができる。
【0026】
即ち、クーロン力の大きさは導体層間の距離の二乗に反比例するのであるが、本発明の静電チャック1は、誘電体層2の−50℃〜100℃における体積固有抵抗が1011〜1013Ω・mと小さく、微小電流が流れるため、クーロン力の発生に寄与する距離はウエハWと誘電体層上面6との間の間隔で決定されるのであるが、この距離が微小であるため、大きなクーロン力を発生させることができる。
【0027】
その為、所定の間隔で島状に配置された吸着面7にならって精度良くウエハWを吸着保持することができる。
【0028】
ただし、ウエハWと誘電体層上面6との間の間隔を決定する誘電体層上面6から吸着面7までの突出量Tが20μmを超えると、大きな吸着力が得られなくなり、逆に突出量Tを1μm未満とすると、吸着時にウエハWが誘電体層上面6と接触し、誘電体層2を流れる微小電流がウエハWに流れてウエハW上のデバイスを破損させるがある。
【0029】
その為、誘電体層上面6から吸着面7までの突出量Tは1〜20μmとすることが良い。
【0030】
また、ウエハWは体積固有抵抗の大きな凸部5と接触するだけで微小電流が流れる誘電体層2と接することがない。しかも、凸部5は誘電体層2に形成する凹部2aにまで延設してあることから、凸部5内を微小電流が流れることを防ぐことができ、ウエハWに流れる漏れ電流量を極めて小さくすることができるため、ウエハW上のデバイスに悪影響を与えることがない。
【0031】
さらに、ウエハWは誘電体層2と接しない構造であることから、静電吸着用電極4への通電を止めれば、直ちに帯電する電荷を逃がすことができ、ウエハWの離脱時間を大幅に短縮することができる。
【0032】
ところで、凸部頂面はウエハWとの接触面積をできるだけ小さくし、着脱時の摺動に伴う摩耗粉の発生を抑える観点からできるだけ小さくすることが良く、好ましくは0.008〜0.19cm2、望ましくは0.008〜0.07cm2とすることが良く、また、凸部5でウエハWを保持した時、凸部5間でウエハWが撓むのを防止するため、凸部頂面が占める占有面積は、ウエハWの面積に対して10〜40%の範囲で形成することが良い。
【0033】
また、誘電体層2を形成するセラミックスとしては、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化イットリウム等を主体とし、これにTiO2、C、CeO2、ZrB2、AlB12等の導電材を添加した−50℃〜100℃における体積固有抵抗が1011〜1013Ω・mのセラミック焼結体を用いることが好ましい。
【0034】
ここで、誘電体層2を形成するセラミック焼結体の−50℃〜100℃における体積固有抵抗を1011〜1013Ω・mとしたのは、ウエハWと静電吸着用電極4との間でクーロン力を発生させるのではなく、ウエハWと誘電体層上面6との間で大きなクーロン力を発生させるため、誘電体層2の体積固有抵抗が1013Ω・mを超えると、ウエハWと静電吸着用電極4との間でのクーロン力となり、大きな吸着力を発生させることができなくなるからであり、逆に誘電体層2の体積固有抵抗が1011Ω・m未満となると、誘電体層2を介して凸部5の表面に流れる漏れ電流が増大し、ウェハW上のデバイスを破壊するといった不都合があるからである。
【0035】
一方、凸部5を形成するセラミックスとしては、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化イットリウム等を主体とする絶縁性のセラミック焼結体を用いることが良く、その体積固有抵抗が誘電体層2を形成するセラミック焼結体よりも大きく、特に−50℃〜100℃における体積固有抵抗が1015Ω・m以上を有するセラミック焼結体により形成することが良い。
【0036】
ここで、凸部5を形成するセラミック焼結体の体積固有抵抗を、誘電体層2を形成するセラミック焼結体よりも大きくするのは、誘電体層2中に流れる微小電流がウエハWへ流れ込まないようにするためで、上記凸部5を形成するセラミック焼結体の体積固有抵抗を1015Ω・m以上とすることで、ウエハWに流れる漏れ電流量を0.1mA以下にまで抑えることができる。
【0037】
さらに、ウエハWの離脱応答性を高めるためには、図2に示すように、凸部頂面に、−50℃〜100℃における体積固有抵抗値が1013Ω・m以下の低抵抗層8を設けることが好ましい。
【0038】
このように、凸部頂面に低抵抗層8を設けることで、静電吸着用電極4への通電を遮断した時にはウエハWとの間に電荷が残らないようにすることができるため、図1に示す静電チャック1と比較して離脱性を向上させることができる。
【0039】
なお、体積固有抵抗値が1013Ω・m以下の低抵抗層8を形成する材質としては特に限定するものではなく、Ti、TiN、TiC、Ta、TaC等の金属や合金を用いることができる。
【0040】
次に、図1(a)(b)に示す本発明の静電チャック1の製造方法について説明する。
【0041】
本発明の静電チャック1はセラミックスの積層技術又はプレス技術によって製作することができる。
【0042】
例えば、積層技術により製作する場合、セラミック原料に溶媒とバインダーとを添加混練してスラリーを作製し、ドクターブレード法等のテープ成形法にて複数枚のセラミックグリーンシートを製作する。この時、絶縁基板をなすセラミックグリーンシートの製作にあたっては、セラミック原料として、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化イットリウム等を主体とし、これに焼結助剤や安定化剤を添加したものを用い、また、誘電体層をなすセラミックグリーンシートの製作にあたっては、セラミック原料として、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化イットリウム等を主体とし、これにTiO2、C、CeO2、ZrB2、AlB12等の導電材及び焼結助剤や安定化剤を添加したものを用いる。
【0043】
次に、絶縁基板3をなすセラミックグリーンシート上にスクリーン印刷法等にて静電吸着用電極4をなす導電ペーストを所定形状に印刷した後、誘電体層2をなすセラミックグリーンシートを積層一体化し、しかる後、各セラミック原料を焼結させることができる温度で焼成することにより、絶縁基板3と誘電体層2との間に静電吸着用電極4を埋設した板状体を製作する。
【0044】
次いで、板状体の誘電体層2に、0.008〜0.19cm2の面積を有する複数の凹2aを所定の間隔で形成した後、この凹部2a内に別に用意した、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化イットリウムを主体とする絶縁性セラミックスからなる凸部5を接着剤を介して接合し、しかる後、各凸部5の頂面に研磨加工を施して同一平面上に位置するように形成するとともに、凸部頂面が誘電体層上面6より1〜20μmの範囲で突出するように構成することにより得ることができる。
【0045】
また、プレス技術により製作する場合、セラミック原料に溶媒とバインダーとを添加して混練乾燥させることにより造粒粉を製作する。この時、絶縁基板をなす造粒粉の製作にあたっては、セラミック原料として、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化イットリウム等を主体とし、これに焼結助剤や安定化剤を添加したものを用い、また、誘電体層をなす造粒粉の製作にあたっては、セラミック原料として、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化イットリウム等を主体とし、これにTiO2、C、CeO2、ZrB2、AlB12等の導電材及び焼結助剤や安定化剤を添加したものを用いる。
【0046】
次に、絶縁基板3をなす造粒粉を金型に充填してプレス成形し、板状体を成形した後、板状体上に静電吸着用電極4をなす金属膜又は金属箔を載せ、さらに誘電体層2をなす造粒粉を充填した後、ホットプレス成形することにより、絶縁基板3と誘電体層2との間に静電吸着用電極4を埋設した板状体を製作する。
【0047】
次いで、板状体の誘電体層2に、0.008〜0.19cm2の面積を有する複数の凹2aを所定の間隔で形成した後、この凹部2a内に別に用意した、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化イットリウムを主体とする絶縁性セラミックスからなる凸部5を接着剤を介して接合し、しかる後、各凸部5の頂面に研磨加工を施して同一平面上に位置するように形成するとともに、凸部頂面が誘電体層上面6より1〜20μmの範囲で突出するように構成することにより得ることができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について示したが、本発明は上述した実施形態だけに限定されるものではなく、例えば、双極型の静電チャック以外に単一型の静電チャックにも適用できることは言う迄もなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で改良や変更したものに適用できることは言う迄もない。
【0049】
【実施例】
(実施例1)
ここで、図1、図2に示す本発明の静電チャック、及び図3、図4に示す従来の静電チャックを用意し、吸着力、被吸着物に流れる漏れ電流量、離脱時間をそれぞれ比較する実験を行った。
【0050】
本実験にあたっては各静電チャックを以下のようにして製作した。
【0051】
まず、窒化アルミニウム粉末に対し、重量換算で10質量%の酸化セリウムを添加し、さらにイソプロピルアルコールとウレタンボールを用いてボールミルにより48時間混練することにより窒化アルミニウムのスラリーを製作した。
【0052】
次に、窒化アルミニウムのスラリーを200メッシュに通し、ウレタンボールやボールミル壁の屑を取り除いた後、防爆乾燥機にて120℃で24時間乾燥することにより窒化アルミニウム粉末を製作した。
【0053】
次いで、得られた窒化アルミニウム粉末にアクリル系のバインダーと溶媒を混合して窒化アルミニムのスリップを作製し、ドクターブレード法にて窒化アルミニムのグリーンシートを複数枚製作した。
【0054】
そして、得られた窒化アルミニムのグリーンシートを複数枚積層した後、静電吸着用電極となるタングステンペーストをスクリーン印刷法にて形成した後、残りの窒化アルミニムのグリーンシートを重ね、熱圧着にて積層体を形成した。
【0055】
しかる後、積層体を非酸化性ガス気流中にて500℃の温度で5時間脱脂を施した後、非酸化性雰囲気にて1900℃の温度で5時間の焼成を行い、絶縁基板と誘電体層とが焼結にて接合一体化され、両者の間に静電吸着用電極を埋設してなる板状体を製作した。
【0056】
なお、板状体を形成する絶縁基板及び誘電体層の−50℃〜100℃における体積固有抵抗値を測定したところ、1011Ω・mであった。
【0057】
そして、図3に示す従来の静電チャック50は、得られた板状体に研削加工を施し、直径200mm、板厚8mmの円盤状体とするとともに、誘電体層上面から静電吸着用電極53までの平均距離が1mmとなるようにし、誘電体層上面を吸着面55として製作した。
【0058】
また、図1に示す本発明の静電チャック1は、得られた板状体に研削加工を施し、直径200mm、板厚8mmの円盤状体とするとともに、誘電体層上面6から静電吸着用電極4までの平均距離が1mmとなるようにし、誘電体層上面6に所定の間隔で、直径2mm、深さ0.5mmの凹部2aを形成し、この凹部2a内に、直径2mm、高さ1.0mmの円柱状体をなし、−50℃〜100℃における体積固有抵抗が1016Ω・mの窒化アルミニウム質焼結体からなる凸部5をポリイミド系の有機接着剤を介して接合し、凸部頂面を吸着面7として製作した。
【0059】
なお、誘電体層上面6を上方から見た時、誘電体層上面6における面積に対する凸部5が占める割合は30%となるように島状に分布させた。
【0060】
また、−50℃〜100℃における体積固有抵抗が1016Ω・mの窒化アルミニウム質焼結体からなる凸部5は、窒化アルミニウム粉末にバインダーを添加して混練乾燥させて造粒粉を製作し、これを金型に充填してプレス成形することにより、直径3mm、高さ1.2mmの円柱状をした成形体を形成し、しかる後、非酸化性雰囲気中にて2000℃で4時間焼結した後、研削加工を施すことにより製作した。
【0061】
さらに、図2に示す本発明の静電チャック1については、図1に示す静電チャック1の凸部頂面に、膜厚が1μmのチタンからなる低抵抗層8をCVD法により被着し、低抵抗層8の頂面を吸着面7として製作した。
【0062】
一方、図4に示す静電チャック60は、静電吸着用電極63となるタングステン製の円板の上面に、絶縁材61となる酸化チタンを添加したアルミナセラミック製の円板を接着し、この周囲に絶縁材62となる高純度アルミナ製の円筒を接着して製作した。
【0063】
そして、得られた各静電チャック1,50,60の吸着面7,55に、1インチ角のシリコンウエハを載せ、静電吸着用電極4,53,63に500Vの電圧を印加してシリコンウエハを吸着保持した。そして、シリコンウエハをロードセルを介して引っ張り上げ、シリコンウエハが剥がれる引っ張り強度を吸着力として測定した。
【0064】
次に、漏れ電流量の測定は、図1,2,3に示す双極型の静電チャック1,50にあっては、8インチのシリコンウェハを載置面7,55に載せずに静電吸着用電極4,53間に500Vの電圧を印加した時の静電吸着用電極4,53間に流れる電流値と、8インチのシリコンウェハを載置面7,55に載せ、静電吸着用電極4,53間に500Vの電圧を印加した時の静電吸着用電極4,53間に流れる電流値を測定し、その差を漏れ電流量とした。
【0065】
また、図4に示す単極型の静電チャック60にあっては、8インチのシリコンウエハと静電吸着用電極63との間に500Vの電圧を印加した時の両者間に流れる電流量を漏れ電流として測定した。
【0066】
さらに、シリコンウエハの離脱時間については、静電吸着用電極4,53,63への印加電圧を500Vとして8インチのシリコンウエハを吸着させ、印加電圧を0Vにしてからシリコンウエハが離脱するまでの時間を離脱時間とした。
【0067】
結果は表1に示す通りである。
【0068】
【表1】
Figure 0003847198
【0069】
この結果、図3に示す従来の静電チャック50は、漏れ電流量が1.0mAと大きく、シリコンウエハの離脱時間も7秒間と長いものであった。
【0070】
また、図4に示す従来の静電チャック60は、漏れ電流量が1.1mA、シリコンウエハの離脱時間が7秒間と大きく、吸着力も1kPaと小さいものであった。
【0071】
これに対し、図2に示す本発明の静電チャックは、4kPaの吸着力が得られ、また、漏れ電流量を0.01mAと極めて小さく、しかもシリコンウエハの離脱時間を4秒以下とすることができ、優れていた。
(実施例2)
次に、誘電体層2及び凸部5を、−50℃〜100℃における体積固有抵抗が異なるセラミック焼結体により形成し、実施例1に示す寸法の静電チャックを試作し、実施例1と同様に、吸着力、漏れ電流量、離脱時間をそれぞれ測定した。また、凸部頂面に低抵抗層として、チタン膜、窒化チタン膜を被着したものも用意し、同様の実験を行った。
【0072】
結果は表2に示す通りである。
【0073】
なお、誘電体層2は実施例1と同様に窒化アルミニウム質焼結体により形成し、窒化アルミニウム質焼結体の−50℃〜100℃における体積固有抵抗は、CeO2の含有量を変えることにより調整した。
【0074】
また、凸部5は0.1質量%の酸化チタンを含有するアルミナ質焼結体により形成し、アルミナ質焼結体の−50℃〜100℃における体積固有抵抗は、焼成時の還元度合いを変化させることにより調整した。
【0075】
【表2】
Figure 0003847198
【0076】
表2より、試料No.1は、誘電体層2の体積固有抵抗が2×1010Ω・mと小さいことから、吸着力が3kPaとかなり小さいものであった。しかも、離脱時間が6秒と離脱に時間がかかることが判る。
【0077】
試料No.2は、吸着力及び離脱時間の点では問題ないものの、凸部5の体積固有抵抗が7×1013Ω・mと小さく、漏れ電流が1mAと大きいためウェハ上の半導体デバイスを破壊する恐れがあった。
【0078】
試料No.5は、誘電体層2の体積固有抵抗が3×1013Ω・mと大きいことから、吸着力が3kPaとかなり小さいものであった。
【0079】
これに対し、試料No.3,4,6〜8は、誘電体層2の体積固有抵抗が1011〜1013Ω・m、凸部5の体積固有抵抗が1015Ω・m以上であるため、漏れ電流が1mA未満と小さく、また、吸着力は6kPa以上と、4kPaを上回る大きな吸着力が得られた。しかも、離脱時間が秒以下と小さく、離脱性にも優れていた。特に、試料No.6〜8のように、凸部頂面に低抵抗層を設けたものを用いれば、離脱時間が1秒とさらに離脱性を高めることができ、優れていた。
【0080】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、絶縁基板と、この絶縁基板上に設けた静電吸着用電極と、これら一対の静電吸着用電極を覆うように上記絶縁基板上に焼結によって接合一体化した誘電体層とを有し、上記誘電体層の上面に複数の凹部を備え、該凹部内に上記誘電体層上面より1〜20μmの範囲で突出する凸部を設け、これら凸部頂面をウエハの吸着面とするとともに、該頂面の面積が0.008〜0.07cm であって、該頂面が占める占有面積が上記ウエハの面積の10〜40%であり、上記誘電体層の体積固有抵抗値を1011〜1013Ω・mとし、かつ上記凸部が体積固有抵抗値が10 15 Ω・m以上である絶縁性のセラミック焼結体からなり上記凸部の体積固有抵抗値を上記誘電体層の体積固有抵抗値よりも高くし、上記凸部の頂面に、体積固有抵抗値が10 13 Ω・m以下の低抵抗層を設け、該低抵抗層の頂面を吸着面とした静電チャックを構成したことによって、磨耗粉の発生を抑え、漏れ電流が小さく、離脱時間が短く、吸着力の大きい静電チャックを得ることができる。
【0081】
特に、上記凸部の体積固有抵抗値を1015Ω・m以上とすることで、さらに漏れ電流を小さくすることが可能となる。
【0082】
また、上記凸部の頂面に体積固有抵抗値が1013Ω・m以下の低抵抗層を設けることにより、離脱時間をさらに短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の静電チャックの一実施形態を示す図で、(a)はその平面図、(b)は(a)のX−X線断面図である。
【図2】本発明の静電チャックの他の実施形態を示す断面図である。
【図3】従来の静電チャックの一例を示す断面図である。
【図4】従来の静電チャックの他の例を示す断面図である。
【図5】従来の静電チャックのさらに他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1:静電チャック
2:誘電体層
2a:凹部
3:絶縁基板
4:静電吸着用電極
5:凸部
6:誘電体層上面
7:吸着面
W:ウエハ

Claims (1)

  1. 絶縁基板と、該絶縁基板上に設けた静電吸着用電極と、該静電吸着用電極を覆うように上記絶縁基板上に接合された誘電体層とを有し、上記誘電体層の上面に複数の凹部を備え、該凹部内に上記誘電体層上面より1〜20μmの範囲で突出する凸部を設け、該凸部の頂面をウエハの吸着面とした静電チャックであって、該頂面の面積が0.008〜0.07cm であって、該頂面が占める占有面積が上記ウエハの面積の10〜40%であり、上記誘電体層の体積固有抵抗値が1011〜1013Ω・mであるとともに、上記凸部が体積固有抵抗値が10 15 Ω・m以上である絶縁性のセラミック焼結体からなり上記凸部の体積固有抵抗値が上記誘電体層の体積固有抵抗値よりも高く、上記凸部の頂面に、体積固有抵抗値が10 13 Ω・m以下の低抵抗層を設け、該低抵抗層の頂面を吸着面としたことを特徴とする静電チャック。
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