JP3846855B2 - 音響反射板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、音響反射板に関し、特に、劇場の舞台上などに設置される音響反射板の改良に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】
劇場の舞台上などに設置される音響反射板としては、従来から種々の提案があるが、その多くが、たとえば、図3に示す音響反射板のように、使用後には、各反射板a,b,cを舞台S上の客席側Gから舞台S上の奥壁W側に移動して収納し得るように形成されている。
【0003】
ちなみに、図示する各反射板a,b,cは、それぞれがいわゆる門形に形成されていながら大中小となる大きさに設定されていて、奥壁W側での収納時には、最も大きい反射板aの内側に中間の大きさとなる反射板bが収容され、この中間の大きさとなる反射板bの内側に最も小さい反射板cが収容されるとしている。
【0004】
また、この音響反射板は、多くの場合に、各反射板a,b,cにそれぞれ装備されている電動モーター(図示せず)などの駆動によって、各反射板a,b,cがそれぞれ舞台S上に敷設されているレール(図示せず)上を自走し得るように構成されている。
【0005】
それゆえ、この音響反射板によれば、舞台S上で行われる演奏や演劇などで発せられる音を客席側Gに効果的に響かせることが可能になると共に、不使用時には、舞台S上の奥壁W側に移動させて舞台Sを他の用途に供することが可能になる。
【0006】
しかしながら、上記した音響反射板にあっては、その構成からして総じて大型になり易く、したがって、小人数の演奏会や独演会などの際に利用する音響反射板としては、言わば大き過ぎて不向きとなる。
【0007】
にもかかわらず、これまでに小人数向けとして満足できる音響反射板の提案がなされていないのが実状で、この発明は、この現状を打開し得て、その汎用性の向上を期待するのに最適となる音響反射板を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、この発明による音響反射板の構成を、下端にキャスターを有して移動可能とされる基台と、この基台の前端に立設させた固定反射板と、この固定反射板の背面側に配在されて上記基台上に立設させたガイド支柱と、このガイド支柱に下端のブラケットを介して昇降自在に連繋させた可動反射板と、上記基台上の後端に設置した巻取り手段と、上記ブラケットに一端が連結されると共に他端が上記巻取り手段に巻装されながら中間部が上記ガイド支柱の上端に保持されたプーリーに介装される牽引体とを有してなることを特徴とするものである。
【0009】
そして、上記した構成において、より具体的には、基台は、アウトリガーを有して転倒防止を可能にするのが好ましく、巻取り手段は、手動で駆動し得るように設定されるのが好ましい。
【0010】
それゆえ、キャスターを利用することで、音響反射板を舞台上で任意の位置に移動し得ることになる。
【0011】
そして、巻取り手段の駆動で牽引体が巻取り手段に巻き取られることで、可動反射板がガイド支柱に副って上昇し、固定反射板における音響反射面の上方に可動反射板における音響反射面を連続させる状態にして、音響反射板における音響反射面を高さ方向に大きくする。
【0012】
また、巻取り手段の駆動で牽引体が巻取り手段から送り出されることで、可動反射板がガイド支柱に副って下降し、可動反射板が固定反射板の背面側に隠れることになって、音響反射板における全体の背丈を小さくしてコンパクト化されることになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、図示した一実施形態に基づいて、この発明を説明するが、この発明による音響反射板にあっても、前記した従来の音響反射板と同様に、たとえば、劇場の舞台S(図3参照)上に設置されて利用される。
【0014】
このとき、この発明による音響反射板は、後述するように、その舞台S上での設置位置を自在に選択できるから、図示しないが、舞台Sの奥壁W(図3参照)に並行するように一基が設置されあるいは複数基が整列設置されて正面反射板に設定されるのはもちろんのこと、この正面反射板に設定された音響反射板を両側から挟むようにする態勢で二基あるいは複数基の音響反射板が隣設されて側面反射板に設定されることもある。
【0015】
そして、この音響反射板は、図1および図2に示すように、基台1と、固定反射板2と、可動反射板3と、牽引体4とを有してなる。
【0016】
それゆえ、牽引体4を巻き取るようにすることで、可動反射板3を上昇させて固定反射板1の上方に連続させるようにし、音響反射板における音響反射面を大きくし、上記したところから牽引体4を送り出すようにすることで、可動反射板3を下降させて固定反射板1の背面側に隠れるようにし、音響反射板における背丈を小さくすることが可能になる。
【0017】
すなわち、まず、基台1は、所定の機械的強度を有しながら可能な限りに軽量となるように配慮されていて、下端に有するキャスター1aにおいてブレーキ機構(図示せず)が作動していない限りに、このキャスター1aを利用しての人力による移動を可能にしている。
【0018】
このとき、この基台1は、多くの場合に、図1および図2中で左右方向となる奥行きの長さに対して、客席側G(図3参照)から観る舞台Sの左右方向たる間口方向の長さ、すなわち、幅の方が大きくなるように設定されるであろう。
【0019】
ただ、この発明による音響反射板が機能するところを勘案すると、設置台数が増えることが危惧されるが、基台1において間口方向の長さたる幅を狭くして奥行きの方を長くするとしても良い。
【0020】
また、この基台1に対する負荷の作用点の位置にも関係するが、いわゆる転倒防止のために、図示しないが、この基台1がアウトリガーを有するとしても良いことはもちろんである。
【0021】
つぎに、固定反射板2は、周知の構成で自己支持性を保障する所定の機械的強度を有するように、また、所定の音響効果を保障し得るように形成されていて、図示するところでは、基台1の図中で左端となる前端に下端が連設された状態にして基台1に立設されるとしており、これによって、固定反射板2における正面たる音響反射面(符示せず)を有効利用できるとしている。
【0022】
ちなみに、図示しないが、この固定反射板2の幅は、多くの場合に、下方の基台1における幅とほぼ同一になるように設定されるであろう。
【0023】
可動反射板3は、固定反射板2の背面側に配在されて基台1上に立設されたガイド支柱5に下端部が移動可能に連繋されていながらこのガイド支柱5に副って昇降可能とされている。
【0024】
そして、この可動反射板3は、上端に固定反射板2側に水平に張り出す天蓋部13aを有するとしており、この天蓋13aの張り出し長さを適宜に設定することで、この音響反射板の使用時における上方からのいたずらないわゆる音抜けを阻止し得ることになる。
【0025】
また、この可動反射板3にあっても、前記した固定反射板2と同様に、周知の構成で自己支持性を保障する所定の機械的強度を有するように、また、所定の音響効果を保障し得るように形成されている。
【0026】
そしてまた、この可動反射板3がガイド支柱5に連繋する態様については、自由に設定できるが、図示するところでは、可動反射板3の下端部の背面に上下の二段に連設されたブラケット3aが適宜の離脱防止構造下にガイド支柱5に移動可能に連繋するとしている。
【0027】
一方、ガイド支柱5は、可動反射板3の昇降可能な連繋を許容するのはもちろんのこと、後述する牽引体4を介しての外力作用に対抗し得る所定の機械的強度を有するように形成されていながら、基台1上に起立されている。
【0028】
牽引体4は、図示するところでは、ワイヤーからなるとしており、可動反射板3の下端部に一端が連結されると共に他端が基台1上に設置された巻取り手段6に巻装されながら中間部がガイド支柱5の上端に保持されたプーリー7に介装されてなるとしている。
【0029】
そして、図示するところでは、牽引体4の一端は、可動反射板3の下端部に配設された上下の二段となるブラケット3aにおける下方側のブラケット3aに連結されてなるとしており、これによって、可動反射板3における有効上昇量を確保するとしている。
【0030】
また、巻取り手段6は、図示するところでは、ウインチからなるとしており、それも、手動操作でドラム(符示せず)を回転し得るとしている。
【0031】
このとき、この巻取り手段6は、基台1の上にあって、図中で右端となる後端に配置されるとしており、これによって、前記した固定反射板2が基台1の先端に連設されることに対して、いわゆる重量バランスをとることが可能になり、この音響反射板における転倒防止の点で有利となる。
【0032】
それゆえ、この牽引体4および巻取り手段6を有するところによれば、巻取り手段6の駆動で可動反射板3の昇降が可能になり、音響反射板における音響反射面の大きさをいわゆる高さ方向に大小できることになる。
【0033】
なお、この音響反射板にあって、可動反射板3の最上昇位置、すなわち、停止位置の設定については、たとえば、上下の二段となるブラケット3aにおける上方側のブラケット3aがガイド支柱5における適宜個所に当接することによるとする他、任意の構成を採用できる。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、基台がキャスターを有するから、舞台に音響反射板を走行させるためのレールなどを敷設させることなく、また、各音響反射板に駆動源などを装備させることなく、音響反射板の舞台上で移動を人手によって実現できる利点がある。
【0035】
可動板を牽引体の巻き取り又は巻き戻し操作で昇降させることで固定反射板と可動反射板との協働により使用時に全体の音響反射板の音響反射面を大きくしたり、小さくすることができ、又不使用時には音響反射板全体の背丈を小さくして格納できる。
そして、使用時に要する場合には、複数台を整列させることで広範囲になる音響反射面を確保できると共に、収納時には分散収納が可能になるから、収納のための専用スペースを確保しておく必要もない。
【0036】
また、使用時や収納時には、昇降手段の作動で可動反射板を昇降させることで足り、操作性に優れる利点がある。
【0037】
その結果、この発明によれば、少人数の演奏会や独演会などの利用に向き、その汎用性の向上を期待するのに最適となる。
さらには、固定反射板を基台の先端に連設すると共に巻取り手段を基台上の後端に配置したので、いわゆる重量バランスをとることが可能になり、音響反射板における転倒防止の上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による音響反射板を縮めた状態で示す側面図である。
【図2】図1の音響反射板を伸ばした状態で示す側面図である。
【図3】従来の音響反射板の利用状態および収納状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1 基台
1a キャスター
2 固定反射板
2a 天蓋部
3 可動反射板
3a ブラケット
4 牽引体
5 ガイドレール
6 巻取り手段
7 プーリー
G 客席側
S 舞台
W 奥壁
Claims (1)
- 下端にキャスターを有して移動可能とされる基台と、この基台の前端に立設させた固定反射板と、この固定反射板の背面側に配在されて上記基台上に立設させたガイド支柱と、このガイド支柱に下端のブラケットを介して昇降自在に連繋させた可動反射板と、上記基台上の後端に設置した巻取り手段と、上記ブラケットに一端が連結されると共に他端が上記巻取り手段に巻装されながら中間部が上記ガイド支柱の上端に保持されたプーリーに介装される牽引体とを有してなることを特徴とする音響反射板。
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