JP3847607B2 - 音響反射板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、音響反射板に関し、特に、劇場の舞台上などに設置される音響反射板の改良に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】
劇場の舞台上などに設置される音響反射板としては、従来から種々の提案があるが、その多くが、たとえば、図3に示す音響反射板のように、使用後には、各反射板a,b,cを舞台S上の客席側Gから舞台S上の奥壁W側に移動して収納し得るように形成されている。
【0003】
ちなみに、図示する各反射板a,b,cは、それぞれがいわゆる門形に形成されていながら大中小となる大きさに設定されていて、奥壁W側での収納時には、最も大きい反射板aの内側に中間の大きさとなる反射板bが収容され、この中間の大きさとなる反射板bの内側に最も小さい反射板cが収容されるとしている。
【0004】
また、この音響反射板は、多くの場合に、各反射板a,b,cにそれぞれ装備されている電動モーター(図示せず)などの駆動によって、各反射板a,b,cがそれぞれ舞台S上に敷設されているレール(図示せず)上を自走し得るように構成されている。
【0005】
それゆえ、この音響反射板によれば、舞台S上で行われる演奏や演劇などで発せられる音を客席側Gに効果的に響かせることが可能になると共に、不使用時には、舞台S上の奥壁W側に移動させて舞台Sを他の用途に供することが可能になる。
【0006】
しかしながら、上記した音響反射板にあっては、その構成からして総じて大型になり易く、したがって、小人数の演奏会や独演会などの際に利用する音響反射板としては、言わば大き過ぎて不向きとなる。
【0007】
にもかかわらず、これまでに小人数向けとして満足できる音響反射板の提案がなされていないのが現状で、この発明は、この現状を打開し得て、その汎用性の向上を期待するのに最適となる音響反射板を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、この発明による音響反射板の構成を、下端にキャスターを有して移動可能とされる基台と、この基台上に立設される固定反射板と、この固定反射板の背面に下端側が連繋されながら昇降可能とされる可動反射板と、この可動反射板を昇降させるために基台に立設されると共に上端が可動反射板に連結されたシリンダと、この可動反射板の上端に基端が枢着されて起倒可能とされる揺動反射板と、一端が基台に連結されると共に他端が揺動反射板の基端側に配設された弛み逃がしリンクに連結され中間部が可動反射板の上端に保持されたプーリーに介装される定尺ワイヤーとを有してなり、上記シリンダの伸長作動で可動反射板が上昇するときに揺動反射板が起立すると共にシリンダの収縮作動で可動反射板が下降するときに揺動反射板が倒伏するようにした。
【0010】
また、基台は、アウトリガーを有することで、転倒防止を可能にするとしても良い。
【0011】
それゆえ、キャスターを利用することで、音響反射板を舞台上で移動することが可能になり、シリンダの伸長作動で可動反射板を上昇させると共に、この可動反射板の上昇でプーリーを回転させてのワイヤーの送りが可能になり、このワイヤーの送りで揺動反射板の起立が可能になる。
【0012】
そして、シリンダの収縮作動で可動反射板を下降させるとき、この可動反射板の下降でプーリーが逆転されてワイヤーの逆送りが可能になり、このワイヤーの逆送りで揺動反射板の倒伏が可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、図示した一実施形態に基づいて、この発明を説明するが、この発明による音響反射板にあっても、前記した従来の音響反射板と同様に、たとえば、劇場の舞台S(図3参照)上に設置されて利用される。
【0014】
このとき、この発明による音響反射板は、後述するように、その舞台S上での設置位置を自在に選択できるから、図示しないが、舞台Sの奥壁W(図3参照)に並行するように一基が設置されあるいは複数基が整列設置されて正面反射板に設定されるのはもちろんのこと、この正面反射板に設定された音響反射板を両側から挟むようにする態勢で二基あるいは複数基の音響反射板が隣設されて側面反射板に設定されることもある。
【0015】
そして、この音響反射板は、図1および図2に示すように、基台1と、固定反射板2と、可動反射板3と、揺動反射板4リンダ5と、定尺のワイヤー6とを有してなる。
【0016】
まず、基台1は、所定の機械的強度を有しながら可能な限りに軽量となるように配慮されていて、下端に有するキャスター1aにおいてブレーキ機構(図示せず)が作動していない限りに、このキャスター1aを利用しての人力による移動を可能にしている。
【0017】
このとき、この基台1は、多くの場合に、図1および図2中で左右方向となる奥行きの長さに対して、客席側G(図3参照)から観る舞台Sの左右方向たる間口方向の長さ、すなわち、幅の方が大きくなるように設定されるであろう。
【0018】
ただ、この発明による音響反射板が機能するところを勘案すると、設置台数が増えることが危惧されるが、基台1において間口方向の長さたる幅を狭くして奥行きの方を長くするとしても良い。
【0019】
また、この基台1に対する負荷の作用点の位置にも関係するが、いわゆる転倒防止のために、図示しないが、この基台1がアウトリガーを有するとしても良いことはもちろんである。
【0020】
つぎに、固定反射板2は、周知の構成で所定の音響効果を実現できるように形成されている一方で、後述する可動反射板3の連繋を許容すると共にこの可動反射板3が連繋状態のままで昇降することを許容し得る所定の機械的強度を有するようにも形成されている。
【0021】
ちなみに、図示しないが、この固定反射板2の幅は、多くの場合に、下方の基台1における幅とほぼ同一になるように設定されるであろう。
【0022】
可動反射板3は、固定反射板2の背面に下端側が連繋されていて、外力の作用時に、すなわち、図示するようにリンダ5の伸縮作動時に固定反射板2に副って昇降するように形成されている。
【0023】
そして、この可動反射板3は、上端に固定反射板2側に水平に張り出す天蓋部3aを有するとしており、この天蓋部3aに後述する揺動反射板4を枢支するとしている。
【0024】
このとき、天蓋部3aの張り出し長さを適宜に設定することで、この音響反射板の不使用時たるいわゆる折り畳み時に揺動反射板4が固定反射板2に干渉しないようにすることが可能になる。
【0025】
また、後述する揺動反射板4にあっても同様であるが、この可動反射板3にあっても、前記した固定反射板2と同様に、周知の構成で所定の音響効果を実現できるように形成されている。
【0026】
ちなみに、可動反射板3が固定反射板2の背面に連繋する態様については、自由に設定できるが、図示するところでは、固定反射板2の背面に上下方向に延びるように配設された左右一対のガイドレール2aに可動反射板3の下端側に配設された上下二段となるブラケット3bが適宜の離脱阻止構造下に移動可能に連繋するとしている。
【0027】
揺動反射板4は、基端が可動反射板3の上端を構成する天蓋部3aの先端に枢着されて起倒可能とされており、この音響反射板の折り畳み時には、基端を上端にして固定反射板2の面側に垂下されるとしている(図1参照)。
【0028】
ところで、この揺動反射板4にあっても、先端に天蓋部4aを有していて、この揺動反射板4が起立されるときに、この天蓋部4aによって上方からのいたずらないわゆる音抜けを阻止するとしている。
【0029】
その一方で、この揺動反射板4が倒伏されるときには、天蓋部4aが固定反射板2に干渉しないようにその張り出し長さが適宜の長さに規制されていると共に、この揺動反射板4の長さも天蓋部4aが基台1に干渉しないように適宜に規制されている(図1参照)。
【0030】
リンダ5は、基台上1に立設されて上端が可動反射板3の上端部に連結されており、基台1に支承される下端側たるシリンダ体5aに対して上端側たるロッド体5bが可動反射板3に連結されるとしている。
【0031】
それゆえ、このシリンダ5によれば、その伸長で可動反射板3を上昇させ、また、その収縮で可動反射板3を下降させる。
【0034】
ワイヤー6は、図示するように、定尺のワイヤーからなり、一端が基台1に連結されると共に他端が揺動反射板4の基端側に連結され中間部が可動反射板3の上端に保持されたプーリー7に介装されてなるとしている。
【0035】
そして、図示するように、ワイヤー6の他端は、揺動反射板4の基端側に配設された弛み逃がしリンク8に連結されてなるとしており、この弛み逃がしリンク8は、この音響反射板が折り畳み状態にあるときに、その自重でワイヤー6における弛みを除去するように機能するとしている。
【0037】
なお、ワイヤー6における中間部は、上記したプーリー7の他に適宜の位置に配設されたプーリー7a、7b(図1参照)に介装されていわゆる折り曲げられている。
【0038】
それゆえ、ワイヤー6を有することによって、可動反射板3が上昇するときに揺動反射板4が起立することになり、可動反射板3が下降するときに揺動反射板4が倒伏することになる。
【0039】
ちなみに、この音響反射板にあっては、起立する揺動反射板4がいわゆる起立し過ぎて反対側に倒れることを防止するストッパ9を有するとしており、このストッパ9は、前記した天蓋部3aに支承された座9aに揺動反射板4に保持された脚9bが当接される(図2参照)ときに、いわゆるストッパ機能を発揮するように構成されている。
【0040】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、基台がキャスターを有するから、舞台に音響反射板を走行させるためのレールなどを敷設させることなく、また、各音響反射板に駆動源などを装備させることなく、音響反射板の舞台上で移動を人手によって実現できる利点がある。
【0041】
そして、使用時に要する場合には、複数台を整列させることで広範囲になる音響反射面を確保できると共に、収納時には分散収納が可能になるから、収納のための専用スペースを確保しておく必要もない。
【0042】
また、使用時や収納時には、シリンダの伸縮作動で可動反射板を昇降させると共に、この昇降作動と連動して、プーリーに介装された定尺ワイヤー等の作用によって揺動反射板を起立または倒伏できるので、操作性に優れる利点がある。
【0043】
その結果、この発明によれば、小人数の演奏会や独演会などの利用に向き、その汎用性の向上を期待するのに最適となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による音響反射板を折り畳み状態で示す側面図である。
【図2】図1の音響反射板を引き伸ばし状態で示す側面図である。
【図3】従来の音響反射板の利用状態および収納状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1 基台
1a キャスター
2 固定反射板
2a ガイドレール
3 可動反射板
3a、4a 天蓋部
3b ブラケット
4 揺動反射板
シリンダ
5a シリンダ体
5b ロッド体
定尺ワイヤー
7 プーリー
8 弛み逃がしリンク
9 ストッパ
9a 座
9b 脚
G 客席側
S 舞台
W 奥壁

Claims (1)

  1. 下端にキャスターを有して移動可能とされる基台と、この基台上に立設される固定反射板と、この固定反射板の背面に下端側が連繋されながら昇降可能とされる可動反射板と、この可動反射板を昇降させるために基台に立設されると共に上端が可動反射板に連結されたシリンダと、この可動反射板の上端に基端が枢着されて起倒可能とされる揺動反射板と、一端が基台に連結されると共に他端が揺動反射板の基端側に配設された弛み逃がしリンクに連結され中間部が可動反射板の上端に保持されたプーリーに介装される定尺ワイヤーとを有してなり、上記シリンダの伸長作動で可動反射板が上昇するときに揺動反射板が起立すると共にシリンダの収縮作動で可動反射板が下降するときに揺動反射板が倒伏することを特徴とする音響反射板。
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